桜美林大学の学生が、同大学の講師であるOrt-d.dの倉迫康史さんの演出で、三島由紀夫作『近代能楽集』を上演。上演時間は約2時間20分(休憩なし)。
淵野辺駅のすぐ近くにあるプルヌスホールは、私の家からは少々遠いのですが、もう通い慣れました。公演だけでなく講演会やワークショップ発表会など、色んな企画があるんですよね。
⇒CoRich舞台芸術!『近代能楽集 ~「綾の鼓」「班女」「弱法師」』
倉迫さんらしい演出に、役者さんが追い付いていない印象。朗読のような独特のせりふ回しと形式ばった動きは、身体能力が高くないと難しいですよね。照明は影を生かす方向のものが多く、常に暗い目の空間ばかり続くと飽きちゃったり。
4つの空間に分かれている高さのある美術がしっかり作られていました。隙間や細い階段はちょっと危なそうでしたね。初日だったからかもしれません。
この2年ぐらいで首都圏には多くの新しい演劇のスタイルが生まれてきています。だから「こうなって、こうなって、こうなる」という順序が明らかにわかる演出には、古さを感じました。若者の身体が変化してるのもあるんじゃないかしら。『ゴーストユース』や『カサブタ』はすごく面白かったんですけどね。
■「綾の鼓(あやのつづみ)」
【出演】岩吉/内藤裕志 加代子/渡辺真美 藤間春之輔/河内耕史 戸山/林大樹 金子/上田祐揮 マダム/名倉歩美 女店員/高麗芙美子 華子/中嶋珠美
「綾の鼓」は新国立劇場で初めて観たので、これが2度目です。役者さんの演技も演出の硬さも気になって、あまり集中できず。
■「班女(はんじょ)」
【出演】実子/市原佐都子 花子/竹中香子 吉雄/亀尾建史
「班女」も三条会で初めて観たのでこれが2度目。
駅で男を待ち続ける狂女・花子役の竹中香子さんは、1人でしっかり立つことができていて、瞬間ごとの声と感情表現も意図どおりに定まっていて、とっても良かったです。高くて可愛らしい声も澄んでいてきれい。花子を溺愛する絵描きの実子と2人っきりになる最後の場面は、エロティシズムも感じられました。
■「弱法師(よろぼし)」
【出演】俊徳/河内耕史 川島/大井克弘 川島夫人/高麗芙美子 高安/内藤裕志 高安夫人/岡亜沙美 桜間級子/吉田聡子
「弱法師」は2度観ています(過去レビュー⇒1、2)
息子欲しさにイエスマンになる親たちを、悲しく愚かに見せるか、とことん滑稽に見せるか、色んな選択があると思うんですが、演出の意図どおりには表現できていない気がしました。難しい戯曲ですよね。
家庭裁判所の職員・桜間役の吉田聡子さんの、穏やかな言葉はこびと柔らかな声が、饒舌で直情的な俊徳(河内耕史)とは対照的で、リズムもバランスも良かったように思います。
作:三島由紀夫「近代能楽集」 演出:倉迫康史(Ort-d.d/桜美林大学講師) 舞台監督:木村光晴 舞台美術:村上薫 照明:大久保果那子・塚原佑梨 音響:柴田未来・角田里枝 衣装:西島美都子 小道具:小倉優貴子 メイク:細野ゆりか 宣伝美術:早川春果 制作:羽根佳美・渡辺恵 【アドバイザー】舞台美術:鈴木健介(桜美林大学総合文化学群非常勤講師) 照明:金英秀(桜美林大学総合文化学群准教授) 音響:藤田赤目(桜美林大学総合文化学群非常勤講師) 衣装:竹内陽子 メイク:(株)レサンクサンス 制作:渡辺麻依(Ort-d.d)
チケット発売日 2009年12月14日(月)~ 一般:1300円 学生:1000円 高校生以下:800円 *当日券各200円増 *日時指定・全席自由 *学生券は学生証を合わせてご提示ください *ARTS芸術地域通貨使用可
http://www8.obirin.ac.jp/opai/opap_item.php?no=61
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
便利な無料メルマガも発行しております。