ままごとの柴幸男さんがソーントン・ワイルダーの『ロング・クリスマス・ディナー』をリーディング公演に。といってもこれは横浜の劇場STスポットが開催した柴幸男ワークショップの発表会です。⇒募集情報
発表会なのにびっくりするほど沢山の観客が!100人以上は確実ですね。出演者にぐるりと囲まれて、戯曲の中の家族と長い(ロングな)時間をともに過ごせました。上演時間は約40分。
⇒CoRich舞台芸術!『ワイルダーで、ままごと』
祖母、父母、子、孫、ひ孫と続いていくある一家の歴史を、場面をクリスマスの食卓に絞って短時間で描く戯曲です。客席は左、中央、右の3ブロックに分かれていましたが、観客が座れるのは中央ブロックのみ。真ん中にギュっと固まった観客をテーブルとみなし、ホール入口やステージも含む劇場空間全体を演技スペースとしたリーディング公演でした。
ワイルダー、素敵だな~。今年中に数本観られそうで嬉しいです。
ここからネタバレします。
ト書きを読む人は舞台上に。その他の出演者は客席に。ホール入口からの登場は誕生を意味し、舞台下手面側の出口への退場は死を意味します。リーディングが終わると観客も同様に面側出口からロビーへと退場しました。劇場に入って来てから出ていくまでが人生、つまり「劇場=人生」という仕掛け。上演中も劇場内のデジタル時計が実際の時間を刻み続けましたので、夜7時過ぎからの40分間に何人もの人生が通り過ぎていき、観客自身も一度生まれて、死んでいきました。
私は結婚せずにずっと実家にいた妹ジャナビープ(青柳いづみ)に心を寄せました。彼女のひとことは重かった。
≪おはなしの会≫ 発言はうろおぼえです。
上演後はロビーでトークがありました。柴さんが観客の質問にその場でざんざか返答。近しい距離感がとても心地よかったです。
柴「ワイルダーと僕の作品の共通点は、時間を圧縮したり引き延ばしたりして面白く見せるところ。もしかしたらつまらないかもしれない日常を引っ張り出して来て面白くみせるところ。」
柴「役者が手に持っているライトの種類について。一族は電球。他の人は蛍光灯。色の違いが出る。」
柴さんは今年7月下旬にSTスポットで『ロング・クリスマス・ディナー』を本格上演するとのこと。意味がわからなかったとおっしゃっていた「ちょっとした勇ましい禁欲主義者なのね」というセリフを、どう解釈してどう表現するのか楽しみです。
ワークショップ参加者はオーディションで選ばれました。なんと福岡から参加された方もいらっしゃいます。「応募者の名前をgoogleで検索した」というのはまさに現代ですね。
出演(柴幸男ワークショップ『ワイルダーで、ままごと』参加者):青柳いづみ、こいけけいこ、古賀菜々絵、中島愛子、二宮未来、平田暁子、福岡佑美子、光瀬指絵、森岡望、森谷ふみ アシスタント:黒川深雪 白川のぞみ
原作:ソーントン・ワイルダー『ロング・クリスマス・ディナー』 演出:柴幸男(ままごと) 照明:富山貴之 音響:星野大輔 舞台監督:伊藤智史、佐藤恵 宣伝美術:佐々井美都 制作協力:佐藤泰紀(STスポット横浜) 宮永琢生(ZuQnZ) 主催:神奈川県、財団法人神奈川芸術文化財団 企画協力:NPO法人STスポット横浜、ままごと 助成:平成21年度文化庁芸術拠点形成事業
【発売日】2009/12/24 入場料:全席自由 500円(前売・当日ともに) *未就学児童 入場不可 *かながわアーツ倶楽部会員は10%割引
http://www.kanagawa-kenminhall.com/event/event-40031.html
http://stspot.jp/schedule/reading-wilder.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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