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2010年02月01日

こまばアゴラ劇場・舞台と空間のワークショップ09冬「言葉を越えて…『言葉を融かす』野村政之(ドラマターグ)」01/20こまばアゴラ劇場5F稽古場

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チラシ

 青年団の制作部に所属する野村政之さんのワークショップに、受講者として参加いたしました。野村さんは制作の仕事の他に“ドラマターグ”としても活躍されています。

 野村さんのことはブログツイッターでよくチェックしており、最近よく目にする“ドラマターグ”とは何なのか、一体どんな仕事なのかにた興味があったので、思い切って申込みました。

 2回のトイレ休憩をはさんでみっちり4時間あり、かなり疲れましたが(笑)、非常に有意義な体験になりました。以下、メモ書き程度の発言の記録と感想です。

 ⇒「舞台と空間のワークショップ09冬『言葉を越えて…』

 野村「ドラマターグは、自分では何も表現しない。(自分の考える)ドラマターグの仕事は、説明して腑に落ちてもらうこと。説明がいらない妙案を出すこと。そうやって他人を動かすこと。」

 野村「ドラマターグには担当(脚本、演出、美術、照明、音響、衣裳、制作など)がない。だから決定権がない、責任がない、権力がない。つまり自由。無責任に提案できる。担当を越境して融合させられる。そこが楽しいし、達成感につながる。」

 野村「すでにあるもの(人、テキスト、空間、お金などの制約条件)と、自分の思考力、気づきを頼りに現場へいく。」

 杉山至(今企画ディレクター)「ドラマターグは“第一の観客”ともいわれる。」

 詩の朗読を繰り返し聴いたり、クイズやゲームのような言葉遊びをいくつかやっていく内に、徐々に文章の中の単語の1つずつに焦点が合うようになり、その意味や味わいをより豊かなものとして受け取れるようになりました。一読した時はサラリと通り過ぎていた単語が、色を帯びたり、湿度を増したり、重みで沈んでいるように見えたりしてくるのです。嘘じゃないです、ホントに!

 野村「(意味を)ずらすことでイメージの幹がふくらむ。言葉のイメージが太くなる。」

 お芝居をつくる時、スタッフや役者さんなど全ての参加者をつないでいるのは戯曲(テキスト)です。その言葉たちへの強い執心、言葉を起点に無限に広がる想像力から、作品が生まれるんですね。作り手の皆さんへの敬意が増すとともに、言葉すなわち日本語がよりいとおしいものとして見えるようになりました。(講座のテキストだった)寺山修司の詩なんてもう、最高。

 このワークショップシリーズはもう何年も継続されているもので、私は作り手ではないから遠慮していたのですが、誰でも参加できるし、とても楽しいものだと思いました。日ごろ当たり前のように目にしてるもの・ことの違う側面が見えてきて、結果、自分の新しい面を見つけられたり。“ワークショップの効用”はやはり体験してこそわかるものだなと思いました。


*動きやすい服装でお越しください。スケッチブック、鉛筆を持参してください。各回の前に、宿題・持ち物などの告知があります。
1月6日(水)19:00~22:00 松井周[劇作・演出]
1月13日(水) 19:00~22:00 杉山至[舞台美術]
1月20日(水) 19:00~22:00 野村政之[ドラマターグ]
1月27日(水) 19:00~22:00 木藤歩[照明]
2月3日(水) 19:00~22:00 牛川紀政[音響]
2月17日(水) 19:00~22:00 白神ももこ[振付]
12/6(日)受付開始  通し参加 一般:¥10,000 学生:¥8,000/各回の参加 一般:¥2,000 学生:¥1,500 <劇場法人会員・グループ会員特典対象>通し参加=チケット5枚 各回の参加=チケット引換券1枚
主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 Performing Space Labo 協賛:舞台美術研究工房・六尺堂 ワークショップ事務局:杉山至(ディレクター)、野村政之、林有布子、木元太郎、有賀千鶴、濱崎賢二
http://www.agora-summit.com/2009w/ws_butai.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2010年02月01日 22:35 | TrackBack (0)