矢内文章さんが作・演出・出演されるアトリエ・センターフォワードの第三回公演(⇒第二回公演レビュー)。観客の年齢層の高さに驚きました。やはり新劇の劇団員さんが多数出演されてるからでしょうか。上演時間は約1時間50分。
チラシのキャッチコピー通り、いかにもB級SFな火星空間でのがっつりストレート・プレイ。小さな劇場での3000円台のお芝居なのに、美術、衣裳、ヘアメイクが凝っているのがとても嬉しい。チラシもかっこいいし。そして出演者も豪華なんですよね。実はこういう劇団(矢内さんの1人ユニット?)って珍しい気がします。
⇒CoRich舞台芸術!『ブルー・ウォーター 20XX火星編』
≪あらすじ≫
深刻な水不足となった地球では、火星への移民が奨励された。しかし火星の環境は人間が暮らすのにはあまりに過酷。人々は地球に帰る日を夢見て肉体労働(水源探し)に耐えていた。ある日、地球から世間知らずのお嬢様(中川安奈)が火星にやってきて・・・。
≪ここまで≫
社会的なテーマをふんだんに盛り込んだ火星SF。そしてダジャレありお色気ありの、オーソドックスな物語喜劇でもあります。観客に話しかけたり、客席通路を使ったり、アクティブな演出で観客を楽しませてくれます。
たまに役者さんの“お約束”な演技が気になったり、セリフで説明しすぎなんじゃないかな~と思ったりもしましたが、丁寧に書きこまれた設定もアイデアも面白かったですし、メッセージも共感できるところが多かったです。団体としてはまだ第3作目なんですよね。こういう作風の劇団を他に知らないので、脚本・演出の矢内さんの今後が気になります。
ここからネタバレします。
生命の危機に追い込まれて野獣と化す人間たちよりも、データを収集・蓄積して成長する2体のロボット(眞藤ヒロシ&佐藤麻衣子)の方が、より人間らしい理性と感情を持つようになるのが皮肉で面白いです。
ミナ(中川安奈)が地球にふりそそぐ流れ星の正体を「ロケットよ!」とあばいて終幕。つまり地球に帰ろうとしても撃ち落とされるのかな・・・。
出演:中川安奈 栗原茂(流山児☆事務所) 斉藤直樹 佐藤晴彦 五十嵐明(青年座) 椿真由美(青年座) 佐藤麻衣子(文学座) 眞藤ヒロシ 巌大介 矢内文章 アナウンスの声:深貝大輔
脚本・演出/矢内文章 演出助手/大久保遼 カトウシンスケ 美術/宇野奈津子 衣裳進行/及川千春 照明/宮野和夫 音響/上野雅 ヘアメイク/梅澤裕子 ヘアメイクアドバイザー/鎌田直樹 舞台監督/深沢亜美(るうと工房) 制作/松本恵美子 トータルアドバイザー/冨士山和夫 主催/アトリエ・センターフォワード
【発売日】2010/01/23 前売:3800円、当日4000円
プレビュー(3月3日)は前売・当日とも2500円
http://centerfw.net
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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