新国立劇場制作の高瀬磨理子さん、パントマイマーの小野寺修二さんの会に行ってとても面白かったから、そして木藤歩さんの照明のファンなので今年も芸団協の「海外研修サポートセミナー」に参加しました。いいお話を聴けました。芸団協セミナーを拝聴する度に自分の狭い視野を広げてもらっています。
■海外研修サポートセミナーVol.1ガイダンスと研修報告会
「クリエイターにとって海外で研修するということ」
ゲスト:木藤歩(照明家)/乘峯雅寛(舞台美術家・劇団文学座所属)
進行:島川とおる(日本舞台美術家協会理事長)
★Vol.2は3月26日(金)19:00-21:00。ゲストは英国で研修してこられた阿佐ヶ谷スパイダースの長塚圭史さんです。なんと札幌、仙台、大阪、広島、福岡の5か所でネット生中継が行われます!
乘峯・木藤「一流の現場は日本も海外(ドイツ、ロンドン)も同じ。」
乘峯・木藤「外部から日本を相対化して、見比べることができるようになった。」
乘峯・木藤「ヨーロッパでは、劇場が社会や地域コミュニティーに果たす役割が大きい。そして産業としての規模も違う(日本は小さい)。“シアター”という言葉の意味が日本とは違う。例えば子供は幼いころから劇場に親しんで育つから、劇場に対する意識がとても身近。」
乘峯「ロンドンでは毎年100人以上のプロの美術家が、有名な学校から輩出される。競争が激しい。」
乘峯「イギリスの有名劇場は世界的なツアーを前提として新作を作るので、1つの作品が10年上演されることもある。対して日本は新作ばかり制作されるので(再演もツアーも少ない)、美術家にとっては仕事が多いとも言える。」
木藤「ドイツでは演出家が頂点にいるのではなく、美術家、照明家、衣裳家などが同等の立場でケンカしながら(笑)作品をつくる。それをドラマターグがまとめるというスタイル。※中劇場以上の規模の話」
木藤「ドイツ人に比べると日本人は細やか。」
木藤「アーティストにとっては母国と違う気候の土地に暮らすことがいい経験になると思う。例えばベルリンはマイナス40度になるので、光の種類で体感温度が変わった。」
木藤「日本では親戚に自分の職業を伝える時、まず照明家について説明しなければならない。でもドイツではその必要はなかった。誰にでも“照明家”で通じる。日本もそうなれば、もっと楽しくなるのではないかと思う。」
【つぶやき】
事業仕分けの影響もあって、文化庁新進芸術家海外留学制度の予算の四分の一が削減されたのは残念です。でもこの不況の中で四分の一で済んだのは、まだ良い方なのかもしれません。
こちらにも書きましたが、海外留学をしてこられたスタッフさんの仕事って、本当に素晴らしいんですよね。アーティスト自ら研修先を探し、海外に滞在して刺激を受け、新たな感覚や技術を獲得して、そして帰国して上質な作品を生み出してくださるのですから、日本に大いに貢献されていると思います。木藤さん、乘峯さんのご活躍が楽しみです。
●PART1:ガイダンス18:00-18:30 文化庁担当者による新進芸術家海外留学制度の説明 ※私は不参加です。
●PART2:研修報告会19:00-21:00
「クリエイターにとって海外で研修するということ」
ゲスト:木藤歩(照明家)/乘峯雅寛(舞台美術家・劇団文学座所属)※乗峯雅寛とも表記。
進行:島川とおる(日本舞台美術家協会理事長)
対象:芸術関係者で今後、海外で研修したいと考えている人、または海外で研修してきた人の報告に関心のある舞台芸術関係者
内容:第一部は、特に芸術分野で海外研修を考えている人が主対象です。文化庁新進芸術家海外研修制度について、ご担当から支援制度について説明していただきます。
(分野は舞台芸術に限らず、特に問いませんが、学生のための留学支援についてではありません)。第二部は、平成20年度海外研修員としてベルリンで研修された木藤さんと、平成19年度海外研修員としてロンドンで研修された乘峯さんに研修報告をしていただきます。海外研修者の報告に関心のある舞台芸術関係者ならどなたでも。
定員:40名程度 参加費2,000円(茶菓代を含む。) PART1だけの方は無料。ただし、いずれも事前に必ずお申込みください。
http://www.geidankyo.or.jp/12kaden/04pro/manage/kaigai10vol12.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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