REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2010年03月19日

Studio Life『萩尾望都作品連鎖公演「訪問者」』02/27-03/22紀伊國屋ホール

 『トーマの心臓』に続いて『訪問者』を拝見。⇒過去レビュー ⇒記者発表レポート

 『トーマ』のメインキャラクターであるオスカーの幼い頃を描いた、とても、とても悲しい家族のお話です。物語にどっぷり入り込んで楽しみつつ、外側からも眺めて、発せられるメッセージを受け取りました。

 次々と流れる美しい音楽が悲劇性をロマンティックに際立たせます。私が原作ファンだからでもあると思いますが、大満足でした。

訪問者 (小学館文庫)
訪問者 (小学館文庫)
posted with amazlet at 10.03.19
萩尾 望都
小学館
売り上げランキング: 57371

 ⇒CoRich舞台芸術!『「トーマの心臓」「訪問者」

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 家庭内に居場所がないように感じていたオスカー・ライザー(荒木健太朗)は、自分は父グスタフの子供ではないのではないかと疑っていた。
 ある時、父グスタフ(高根研一)は妻ヘラ(吉田隆太)に事実を告げられ、衝動で彼女を撃ち殺してしまう。オスカーは父が母を殺したこと、そして自分が父の子供でないことを悟る。警察から必死に父をかばうオスカーは父に連れられ、逃亡の旅に出るのだった・・・・・・
 ≪ここまで≫

 主人公のオスカーが客席を向いて独白をして話が進みます。回想シーンがシームレスに挿入されますので、演劇ならではの演出が生かされていました。好みは分かれるかもしれませんが、私は演出については『トーマ』よりも好きですね。選曲は王道ですが、色んな種類のクラシックの楽曲が流れて、まるでコンサートを聴くみたいに心地よかったです。

 子供が親に対して抱く無条件の愛。それを受け止められないどころか、疑い、恐れ、はねつける親。よくある人間関係だといえばそうですが、このことさえわかれば、自分の頭と体で理解し、認めることができれば、人間はもっともっと優しくなれるし、今すぐ幸せになれるのではないかと夢想します。

 ここからネタバレします。

 狩人の家にやってきた神様の話が何度も語られます。オスカーは狩人(=父)の子供になりたかったのだけれど、父にとってオスカーは、厳しい審判を下しにやってきた神だった・・・と結論付けられるのが、本当に悲しい。

 でも最後にオスカーはシュロッターベッツの門をくぐり、実の父親である校長ミュラー(船戸慎士)と出会い、将来の親友ユーリ(山本芳樹)を得ます。『トーマ』へと続くのが救いとなっているんですね。連鎖公演で観られるのが本当にありがたいです。むしろ『訪問者』だけを上演するは難しいんじゃないかと思います(初演は単独上演ですが)。

【出演】グスタフ・ライザー:高根研一 オスカー・ライザー:荒木健太朗 ヘラ:吉田隆太 ルドルフ・ミュラー:船戸慎士 ニーナ:青木隆敏 シュテファン:植田圭輔(客演) バッハマン:河内喜一朗 アズ:仲原裕之 エンゲリーカ:関戸博一 ローレンツ:牧島進一 医師:山本芳樹 曽世海司・岩﨑大・小林浩司・奥田努・篠田仁志・冨士亮太・石井昭裕・緒方和也・神野明人・原田洋二郎・堀川剛史・山﨑康一・石飛幸治・藤原啓児・鈴木智久
原作=萩尾望都(小学館文庫) 脚本・演出=倉田淳 美術=松野潤 照明=森田三郎 舞台監督=土門眞哉(ニケステージワークス) 音響=竹下亮(OFFICE my on) 衣裳=竹原典子 ヘアメイク=角田和子・片山昌子 殺陣=渥美博 振付:新海絵理子 演出助手=平河夏・荒川真寿恵 美術助手=渡辺景子 照明操作:宮田正芳 小道具=高津映画装飾 大道具=俳優座劇場 エンブレムデザイン:VIA BO, RINK 宣伝写真=竹中圭輔(D-CORD) 宣伝ヘアメイク=山﨑初生 前田亜耶 宣伝デザイン=前川恵子 宣伝制作=ソニー・ミュージック・コミュニケーションズ デスク=山﨑みれい 制作=揖斐圭子 稲田佳雄 浅場優美 大野純也 武井和美 制作協力=蓬田恵美子 永井純 馬場妙子 東容子 縄志津絵 小泉裕子 企画・制作=Studio Life
【休演日】3/1【発売日】2010/01/17 前売・当日共¥5,800 【全席指定/税込】
http://www.studio-life.com/stage/toma2010_new/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガも発行しております。

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ
Posted by shinobu at 2010年03月19日 16:10 | TrackBack (0)