昨年度の岸田國士戯曲賞最終候補となった劇作家・演出家の野木萌葱さんの新作です。私は彼女が作・演出を手掛ける劇団パラドックス定数のファンで、できるかぎり公演は観たいと思っています。マチネに鑑賞。上演時間は約1時間55分。
会場の個性を生かした作品でした。エッジは何度も使われてますからお手の物ですね!IQの低そうな男たち(失敬!)が、ぶざまで良かった!
⇒CoRich舞台芸術!『ブロウクン・コンソート』
レビューを最後までアップしました(2010/03/27)。
≪あらすじ≫
偽造拳銃作りの職人とその拳銃を売りさばくヤクザ、ヤクザとつるむ刑事、そして拳銃を買う客。
拳銃に魅せられ、群がり、操られる男たち。
≪ここまで≫
マチネを観たのですが、音響も照明もなし。装置も会場(倉庫)そのまま。明るい空間でのハードボイルドを堪能。ほぼ吹きっさらしなので、花粉症の私はマスクをつけたままの鑑賞になりました。少々つらいものもありましたが、すぐに気にならなくなりました。ストイックにヤクザものの芝居を作り上げる姿勢が嬉しいです。
ここからネタバレします。
私利私欲にまみれ、でも計算高くはなれず、個人的な思い込みや執着に自分から振り回されていく、みっともない男たち。
場面転換の時も、音響、照明の変化はなし。1人の役者さんがただじっと立っている間に、数日間経っていたりします。演技だけで見せる(芝居を作り上げる)潔さが好き。
知的障害者である拳銃職人の兄を演じた小野ゆたかさん。キャラクターを細部まで造形されていて感心しました。小野さんは職人肌なんじゃないかと想像。次はどんな役を演じるのか楽しみな役者さんです。
自称殺し屋の青学大生(井内勇希)。ひょうひょうと、堂々としているようで、実はただの弱虫という無様さが痛快。鮮やかな青のジャンパー(ウィンドブレーカー?)にジーンズ、金色の運動靴という衣裳も軽薄で良かったです。
青学大生は裁断機(のようなもの?)でヤクザのリーダーに手を切りおとされてしまいます。黒いタオルでその手を巻いて登場した時、タオルからは血ではなく水がしたたり落ちていました。私はそのフィクション性がとても良かったと思いました。
第21項
出演:植村宏司、十枝大介、西原誠吾、井内勇希、今里真、諌山幸治、小野ゆたか
脚本・演出:野木萌葱 照明協力:伊藤泰行 舞台脇力:金安凌平 青木拓也 宣伝美術:成川知也 舞台写真:渡辺竜太 販促:副島千尋 制作補:たけいけいこ 制作統括:赤沼かがみ(G-up)
日時指定・全席自由 前売り2800円 当日3000円
http://www.pdx-c.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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