古川貴義さんが脚本・演出を手掛ける箱庭円舞曲の新作です。上演時間は約2時間15分(休憩なし)。長かったです。でも最後の方で、それまでの全てが凝縮し、言外の思いが空間に満ちるシーンがあったので、観て良かったと思いました。
箱庭円舞曲の公演は過去に2作しか観ていないのですが、今回が一番見ごたえがあって、体にじわりと残るものがありました。
⇒CoRich舞台芸術!『とりあえず寝る女』
装置に仕掛けをして「おっ」と思わせる演出があるのは、古川さんの個性だなと思います。そういう具体性のある見せ場を用意しつつ、今回はしっとりと、俳優の存在から立ち上がる(不穏な)空気感でも見せてくださいました。
役者さんの中では、突然押し掛けてくるヤンママを演じた赤澤ムックさんが素敵でした。役を演じながら観客に見せる気持ちもあって、心と体が開いた状態がセクシーだと思います。
ここからネタバレします。
誰とでも肉体関係を持つ(迫られると断れない)妹と、“ちゃんと”生きてきた姉が、母の四十九日に喪服を着て、2人っきりで話すシーンが良かったです。
オープニングでは欄間に「とりあえず寝る女」のタイトルが出てきました。立ち退き受け入れ後に室内の家具がすべてなくなったり、桜吹雪が贅沢に舞ったり。
出演:小野哲史 須貝英 爺隠才蔵 村上直子(ホチキス) 片桐はづき 玉置玲央(柿喰う客)
和知龍範 小林タクシー(ZOKKY) 真下かおる(くねくねし) 井上みなみ 赤澤ムック(黒色綺譚カナリア派)
脚本・演出・前説:古川貴義 舞台美術:稲田美智子 照明:工藤雅弘(Fantasista?ish.) 音響:岡田悠(One-Space) 衣装:三木葉子 舞台監督:鳥養友美 宣伝美術:Box-Garden House 演出補佐:菅原功人 川端美郷 末吉康一郎 制作協力:林みく(Karte) 企画製作:箱庭円舞曲
前売:3,000円/当日:3,300円 ※2(金)の19:30の回は、初日割引 前売:2,500円 / 当日2,800円
http://www.hakoniwa-e.com/past14.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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