2010年05月31日
新国立劇場演劇『夢の泪』05/06-23新国立劇場小劇場
メルマガのお薦め前売り情報で2ヵ月連続(⇒2月号、⇒3月号)でご紹介しておりました、井上ひさし作「東京裁判三部作」。『夢の裂け目』(⇒メルマガ号外)に続いて『夢の泪』を拝見しました。演出は栗山民也さんです。
初演よりも演出の緻密さが増していたように思います。たしか初演の時は(も?)脚本がぎりぎりに完成したんですよね・・・。
ただ一人のこまつ座所属俳優である辻萬長さんが弁護士役を演じていらして、こまつ座の蓄積も「東京裁判三部作」に加わったように感じました。
⇒CoRich舞台芸術!『夢の泪』
≪あらすじ≫ 公式サイトより (役者名)を追加。
昭和21年4月から6月にかけて、新橋駅近く、焼け残りのビルの1階にある「新橋法律事務所」。
弁護士・伊藤菊治(辻萬長)は、7回も司法試験に落ちたものの女性弁護士の草分けで腕利きの秋子(三田和代)と結婚、亡父の開設した法律事務所での仕事に追われる毎日。だが唯一の欠点でもある、女性に弱いことが原因で2人は離婚寸前。継父を慕う秋子の娘・永子(大和田美帆)は、両親や敗戦後の日本人の行く末に不安を感じている。
そんな事務所では、復員兵で夜学に通う田中正(小林隆)が事務所に住み込みで働くことになるが、どうも永子を秘かに想っているらしい。永子の幼なじみの片岡健(福本伸一)も永子宛の恋文をもって現れる。健の父親は新橋を仕切るやくざに対抗する朝鮮人組長で、どうやら重傷を負ったらしい。と、隣の第一ホテルの将校クラブで歌うナンシー岡本(土居裕子)とチェリー富士山(春風ひとみ)が乱入してきた。お互いの持ち歌の著作権を争って大喧嘩、法律事務所に決着をつけてもらおうと飛び込んで来たのだった。
そんな折、秋子が東京裁判においてA級戦犯・松岡洋右の補佐弁護人になるよう依頼されて事務所に戻ってくる。事務所の宣伝のため、とりわけ秋子との関係修復のため、菊治も勇んで松岡の補佐弁護人になることに。亡父の仲間だった老弁護士・竹上玲吉(木場勝己)に細かい民事事件などを手伝ってもらうことにしたのだが、こと東京裁判に関しては、裁判そのものの意味や弁護料の問題など難問が山積みである。ついにはGHQの米陸軍法務大尉で日系二世のビル小笠原(石田圭祐)から呼び出しが菊治にかかる。
≪ここまで≫
『夢の裂け目』と同様に、この作品がいま上演されていることに感謝しきり。2人の女性歌手が歌う桜の歌をの冒頭部分を聴くだけで、すぐに涙ぐんでしまう状態でした・・・もうオタクの域ですね、コレは(汗)。
初演の藤谷美紀さんに代わり、弁護士夫婦の娘役を大和田美帆さんが演じてらっしゃいました。大和田さんは井上ひさし作品には初出演ですよね。若い役者さんがどんどん井上作品に出て、次世代へと受け継いでいってくれることを嬉しく思います。
一緒に観た人が「役者さんの実年齢が役柄の年齢と合っていない(役柄よりかなり年上)のが気になった」と言っていて、そういえばその通りだと思いました。でもこればっかりは・・・私の偏見かもしれませんが、井上ひさし作品は容易には演じられないと思うんですよね。キャストがベテラン俳優やこまつ座公演経験者でかためられても仕方ないんじゃないかなと思います。もちろん、どんな作品でも演じられる若い俳優が育ってくれることを望んでやみません。
ここからネタバレします。セリフなどは正確ではありません。
A級戦犯の弁護人となった秋子(三田和代)は猛勉強をして弁護のための材料をあつめます。
「ニュルンベルク裁判でドイツは“平和に対する罪”“人道に対する罪”に問われた。でも事後法で日本を裁くことはできない。」
「日本はパリ不戦条約に調印したのに、それを破り続けた。」
「広島に原爆が落とされた翌日に、日本では機密書類を焼き捨てろとの命令が出ていた。そして焼かれずに残った70万点におよぶ書類を、アメリカが持ち去っていた。戦敗国は証拠をすべて隠滅しようとし、戦勝国は自分たちに不利な証拠だけを隠そうとした。いったいそんな裁判のどこが正当なのか。」
最後は夫を亡くした2人の未亡人が弁護士のビルに入ってバーを開き、みんな仲良く楽しく暮らしている様子をにぎやかに描きます。でもその華やかさの中にはどこか空虚なところがあるんですよね。それは舞台奥の幕に空いた穴や、歌が終わると同時にパっと暗転するあっけない幕切れにも表されていたと思います。
出演:辻萬長/小林隆/福本伸一/石田圭祐/木場勝己/三田和代/大和田美帆/土居裕子/春風ひとみ
【生演奏】キーボード:朴勝哲 ウッドウィンズ:大下和人(中秀仁とダブルキャスト) テューバ:佐藤桃 ドラム・パーカッション:山田貴之
脚本:井上ひさし 演出:栗山民也 音楽:クルト・ヴァイル 宇野誠一郎 音楽監督・編曲:久米大作 美術:石井強司 照明:服部基 音響:黒野尚 衣裳:前田文子 ヘアメイク:佐藤裕子 ステージング・振付:井手茂太 歌唱指導:伊藤和美 演出助手:北則昭 舞台監督:福本伸生 総合舞台監督:増田裕幸 芸術監督:鵜山仁 主催:新国立劇場芸術
A席:5250円 B席:3150円 Z席:1500円
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000212_play.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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新国立劇場演劇『夢の裂け目』04/08-28新国立劇場小劇場
メルマガのお薦め前売り情報で2ヵ月連続(⇒2月号、⇒3月号)でご紹介しておりました、新国立劇場の東京裁判三部作が開幕しました。3部作すべての脚本は井上ひさしさん、演出は栗山民也さんです。
第1作目の『夢の裂け目』の初演は2001年。『夢の泪』『夢の痂(かさぶた』は観たけれど『夢の裂け目』は観ていなかった母を連れて、2人で観に行きました。母は3作の中で『夢の裂け目』が一番好きと言っていました。私もそうかも。
メルマガ号外を発行しました。キャストは一部変わっていますが、優しい言葉を通して伝わってくる心は同じ。上演時間は約3時間(途中休憩15分を含む)。
⇒CoRich舞台芸術!『夢の裂け目』
≪あらすじ≫ 公式サイトより (役者名)を追加。
昭和21年6月から7月にかけて、奇跡的に焼け残った街、東京・根津の紙芝居屋の親方、天声こと田中留吉(角野卓造)に起こった滑稽で恐ろしい出来事。講釈師から活動弁士を経て紙芝居という「語り物」の日本の芸能の系譜をひく“しゃべる男”天声が、突然GHQ・国際検事局から「東京裁判に検察側の証人として出廷せよ」と命じられ、民間検事局勤務の川口ミドリ(土居裕子)から口述書をとられる。ふるえあがる天声。
岳父の紙芝居の絵描き・清風(木場勝己)、都立第一高女を卒業したばかりの娘・道子(藤谷美紀)、妹で元柳橋の芸妓・君子(熊谷真実)、君子の柳橋の同僚・妙子(キムラ緑子)、失業中の映写技師・川本孝(大鷹明良)、紙芝居大好きな復員兵・関谷三郎(高橋克実)、謎の闇ブローカー・成田耕吉(石井一孝)ら、家中の者を総動員して「極東国際軍事法廷証人心得」を脚本がわりに予行演習をする。そのうちに熱が入り、家の中が天声や周囲の人間の〈国民としての戦争犯罪を裁く家庭法廷〉といった様相を呈しはじめる。
そして出廷。東条英機らの前で大過なく証言を済ませた天声は、東京裁判の持つ構造に重大なカラクリがあることを発見するのだが・・・・・・。
≪ここまで≫
シャープな抽象美術を重みのある照明が染めて、終戦直後をたくましく生きる庶民の生活を力強く歌います。『三文オペラ』が大好きなので、メロディーを耳にするだけでも嬉しくなります。
「東京裁判とは戦犯にすべての戦争責任を負わせる意図があったのではないか。じゃあ日本国民は?“私たち”にはまったく責任はないのか?」という問いかけ。
ここからネタバレします。
初演では、ジャワ島のスラバヤで会った娼婦ジェニィの思い出を語る場面で、当時のことを知る老齢のお客様が大いに笑ってらしたんですが、今回はそういう雰囲気はありませんでした。そういえば国際法の教授(石井一孝)が闇市のブローカーになってしまったというエピソードでも、今回は特に笑いは起こっていなかったように思います。
戦争を経験した観客がごく少数になったからではないかしら・・・。私の母は戦後生まれなので、戦争経験者となると私の祖父と祖母ですが、祖父は亡くなっていますし、祖母は劇場に来られるほど元気ではありません。初演から10年経って、客層もぐっと変わったのだと思います。
出演:角野卓造/高橋克実/大鷹明良/石井一孝/木場勝己/土居裕子/藤谷美紀/熊谷真実/キムラ緑子
【生演奏】キーボード:朴勝哲 ウッドウィンズ:坂川諄(大下和人が急病で降板。中秀仁とダブルキャスト) テューバ:佐藤桃 ドラム・パーカッション:山田貴之
脚本:井上ひさし 演出:栗山民也 音楽:クルト・ヴァイル 宇野誠一郎 音楽監督・編曲:久米大作 美術:石井強司 照明:服部基 音響:黒野尚 衣裳:前田文子 ヘアメイク:佐藤裕子 ステージング・振付:井手茂太 歌唱指導:伊藤和美 演出助手:北則昭 舞台監督:濱野貴彦 総合舞台監督:増田裕幸 芸術監督:鵜山仁 主催:新国立劇場
【休演日】2/15,22 【発売日】2010/02/21 A席:5250円 B席:3150円 Z席:1500円
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000211_play.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年05月29日
ジェットラグプロデュース『幸せを踏みにじる幸せ』05/28-31タイニイアリス
ジェットラグプロデュースというと意外な作家、演出家、出演者の組み合わせで、私にはどうなるのやら想像がしづらい公演が多いのですが、今回はDULL-COLORED POPの谷賢一さんが脚本と演出の両方を担当する新作ということで、谷さんが役者さんとどんな戦いっぷりを見せてくれるのかを楽しみに伺いました。
最初のドタバタから一体どうなるのかと思ったら、意外にシリアスでヒリヒリするようなドラマに発展。
玉置玲央さん(柿喰う客)が文字通り体を張ってらして、小松美睦瑠さん(コマツ企画)の堂々たるサドっぷりが、さらにその効果を際立たせました。
⇒CoRich舞台芸術!『幸せを踏みにじる幸せ』
レビューは記録のみ。
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
死にたい死にたい死にたい!
死にたくって集まったワタシ達、森の中でLet's練炭自殺ってとこで、
もくもく準備してたんだけど、とんだ邪魔が入ってしまい…。
万事一転、もう断然、生きたい生きたい生きたい!
あなたの幸せを踏みにじって、私、幸せの階段を登り詰めたいの。
≪ここまで≫
出演/玉置玲央(柿喰う客)、中井理恵(劇団桟敷童子)、我妻三輪子、小松美睦瑠(コマツ企画)、永山智啓(elePHANTMoon)、廣瀬正仁(ナルペクト/トランジスタone)、百花亜希、佐々木潤、山口オン(elePHANTMoon)
脚本・演出/谷賢一(DULL-COLORED POP) 舞台監督/横川奈保子(Y's factory) 照明/河上賢一(La Sens)音響/岡田 悠(One-Space) 演出助手/井筒優菜(ConRary、) 演出部/緑川陽介 塚越健一 宣伝美術/on 宣伝写真/上野由日路(ZENI.) 宣伝ヘアメイク/高橋純子 制作/ジェットラグ、北澤芙未子(DULL-COLORED POP) プロデューサー/武藤博伸 ジェネラルプロデューサー/阿部敏信 企画・製作/ジェットラグ
【発売日】2010/04/23 全席自由(整理番号付き)前売り¥3,500 当日¥3,800 初日割引(整理番号付き)前売り¥3,200 当日¥3,500 平日マチネ割引(整理番号付き)前売り¥3,200 当日¥3,500
http://www.jetlag.jp/news/news.html#article14
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年05月25日
JAM SESSION『わが町』05/25-30赤坂RED/THEATER
JAM SESSIONは西沢栄治さんの演出作品を上演するプロデュース形式の団体です。今月のメルマガでもご紹介しましたWi!Wi!Wilder2010参加作品で、演目は『わが町』。今年の秋には新国立劇場、静岡舞台芸術センター(SPAC)でも上演されます。
通路席までぎっしりの初日。上演時間は約1時間45分。ちょうど『寝台特急“君のいるところ”号』の休演日で、中野成樹+フランケンズの面々も客席に。演劇祭の臨場感が味わえました♪
戯曲本がロビーで販売されています。945円なら安いと思える名作です。訳注や解説が充実しています。別役実さんの寄稿も掲載。
早川書房
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⇒CoRich舞台芸術!『わが町』 ★こりっちでカンタン予約!
素舞台に脚立とイス。『わが町』の戯曲に忠実ですね。元気にハキハキとセリフをしゃべり、はつらつとした笑顔の役者さんたち。前のめりにずんずん進んでいこうとする勢いが空間に満ちていました。体と気持ちの推進力でスピーディーに展開しつつ、止まるところはしっかり止まる、メリハリの利いた演出です。選曲はいつもながら大胆で、好みは分かれるかもしれませんが、私は面白いと思いました。衣裳は紺、水色、白を基調にしたさわやかな色合いに、赤などの鮮やかな差し色を生かした可愛らしいデザイン。
平凡な生活の中の生と死。時間の伸縮。明るくほがらかで人のいいグローヴァーズ・コーナーズの住民たちと自分を重ね合わせて、過去に未来に、自由に思いをめぐらせました。今の自分の幸せをかみしめられる嬉しい作品です。
ここからネタバレします。
選曲は「Amazing Grace」、Carpenters 「Sing」、PUFFY「愛のしるし」など。讃美歌、フォークソング、J-POPと色とりどり。
タイムカプセルに「わが町」の台本を入れるっていう発想が凄いな~。100年以上前のアメリカを舞台に書かれた戯曲がこんなに胸を打つんだから、きっと1000年後も、私たち人間は変わらないのだろうと思いました。
エミリーの「さようなら」はにっこり笑って言う方が私は好きですね。ついつい先日観たばかりの『寝台特急“君のいるところ”号』と比べてしまいました。
カーテンコールが2度になってしまうのは、観客心理としてちょっともったいない気がしました。心を込めた拍手を1度に集中させて贈りたいです。
JAM SESSION.10 ワイワイワイルダー2010参加
出演:高橋ゆうこ 斉藤範子 荒井志郎 福寿奈央 亀田真二郎 塚本淳也 山口森広 花澄 田邉淳一 山田英真 山田宗和 藤井悠平 山田留美 加藤祐未
原作:ソーントン・ワイルダー 脚本:鳴海四郎 演出:西沢栄治 舞台監督:井関景太・鈴木晴香(るうと工房)/照明:大島早保子/音響:角張正雄 衣裳:木村江梨子/照明協力:野村梢、水頭友佳子/舞台写真:moco 宣伝美術:SNEA/WEB:SORA 制作:松谷章代/制作協力:ジェイ.クリップ 票券:中村真弓(ガイプロジェクト)、吉田仁美(クロカミショウネン18) 企画製作:JAM SESSION
【発売日】2010/04/10 前売・当日3500円 学生 2000円(要:学生証) 初日・平日昼割引 3000円 リピーター割引 2000円(要:チケット半券)
http://www.jam-session.info/
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2010年05月24日
谷山浩子 Presents うさぎと猫の芝居小屋『第1話「不思議なアリス」/第2話「真夜中の太陽」』05/19-22全労済ホール/スペース・ゼロ
シンガー・ソング・ライターの谷山浩子さんの楽曲をもとに、うさぎ庵の工藤千夏さんが作・演出される短編2本立て公演です。『不思議なアリス』(約50分)と『真夜中の太陽』(約45分)の間に休憩20分。
『真夜中の太陽』は始まって数分で傑作だと確信しました。衣装と配役だけで演劇ならではの多重構造を示し、ほぼ何もない舞台に時間軸と空間軸が一瞬で広がったからです。
これからもずっとずっと上演し続けていってもらいたい戯曲です。特に高校演劇にはぴったりだと思います。登場人物がほぼ全員女性なので、女子校演劇部に向いてるかも。
⇒『真夜中の太陽』昨年初演時の詳しい感想(ブログ電波塔の少年)
⇒CoRich舞台芸術!『「不思議なアリス」「真夜中の太陽」』
ここからネタバレします。
■第1話『不思議なアリス』
出演:谷山浩子、畑中友仁(青年団)、うさぎと猫合唱団
ディズニーアニメの『不思議の国のアリス』風の衣裳の可愛い女の子がいっぱい登場。谷山さんのライブ・パフォーマンス付きで、谷山さんご自身も登場人物(アリス)の一人として出演されていました。ファン向けですね。
でも最後は、数学教師(畑中友仁)の悲しい一人言で、奥行きのある演劇空間を作り上げました。力技というか・・・。
■第2話『真夜中の太陽』 ※あらすじなどはこちらに詳しいです。
出演:多田慶子、ジェイソン・ハンコック、山藤貴子(PM/飛ぶ教室)、江幡朋子・恩田愛・加藤充華・加藤道子・神岡磨奈・澤山佳小里・白川美波・中村まい・中村真沙海・小川ひかる
セーラー服にもんぺの女学生たちの中に、たった一人白いワンピースの老婆。よく見ると、金髪のハンサムな白人男性もいます。最初の数分で、井上ひさし作『朗読劇 少年口伝隊一九四五』(2010年夏も上演決定!)と飴屋法水演出・平田オリザ作『転校生』が一緒に表れたんです。衝撃でした。最後まで観て、最近観た映画『パンズ・ラビリンス』を思い出しました。
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15歳の時、学校の防空壕が爆撃されて、一人生き残ったケイコ(多田慶子)。彼女はもしかすると認知症かもしれない80歳の老人です。この劇の全てはケイコがうたたねの間に、死ぬ間際に見た夢(空想)だったかもしれない・・・。でも私の目の前でのびのびと走りまわる女学生と、彼女たちの清らかな合唱は幻ではありません。まぎれもない実体です。みずみずしい死者たちと出逢い、震えて、涙が流れ続けました。ほとんど嗚咽状態の45分間。
楽曲「真夜中の太陽」(作詞・作曲:谷山浩子)は、女学生たちがマーヴィン先生(ジェイソン・ハンコック)から教えてもらった詩を日本語に訳し(戦時中は英語禁止だったので)、曲をつけて歌にしたという設定になっていました。なんて素敵な! 不正確ですが↓セリフはこんな感じでした。
女学生1「シェリーの詩だったかしら。」
女学生2「キーツよ」
マーヴィン先生「いえ、詠み人知らずです。」
死者との邂逅というと、お能もですよね。私たちは死者のおかげで生きている、そしていずれ死者になる。だからこの世界は死者と生者でできているんですよね。今はもちろんですが、過去も未来も大事に抱きしめたい。そのすべてがある舞台でした。
≪国境なき楽団協力企画≫ 交感ひろば@SPACE ZERO ~ミュージック&ドラマ ウィーク~
第一話「不思議なアリス」【出演】被告人(教師):畑中友仁(青年団) 白うさぎ:小川ひかる 裁判長:恩田愛 検事:加藤道子 弁護人:中村真沙海 陪審1:松本奈緒 陪審2:加藤充華 陪審3:江幡朋子 証人1:山藤貴子(PM飛ぶ教室) 証人2:中村まい 証人3:白川美波 証人4(歌手):谷山浩子 証人5:神岡磨奈
第二話「真夜中の太陽」【出演】ケイコ:多田慶子 ジェームス・マービン:ジェイソン・ハンコック タカコ先生:山藤貴子(PM飛ぶ教室) トモコ:江幡朋子 ヒカル:小川ひかる アイコ:恩田愛 アツコ:加藤充華 ミチコ:加藤道子 マナ:神岡磨奈 ハッチャン:澤山佳小里(テアトル・エコー) ミナミ:白川美波 マイコ:中村まい マサミ:中村真沙海 ナオコ:松本奈緒
原案・音楽:谷山浩子 脚本・演出:工藤千夏 音楽制作:石井AQ 舞台監督:空閑秀樹(スペース・ゼロ) 舞台監督助手:坪根孝(スペース・ゼロ) 舞台美術:束原繁(スペース・ゼロ) 音響:藤平美保子(T.S.E) 照明:古倉栄一(スペース・ラボ) 衣裳:渡辺まり ワードローブ:明神杏奈 宣伝美術:工藤規雄+橋本麻由実(Griff Inc)、宣伝美術オブジェ・写真:山下昇平 谷山浩子マネージャー:伊藤司律子(ヤマハミュージックアーティスト) 谷山浩子ヘアメイク:井筒道夫 制作:黒川明子(エピキュラス) 西原遼子(エピキュラス) 藤井敦子(スペース・ゼロ) 制作協力:島田祐一(東京音協) プロデューサー:吉田幸三(スペース・ゼロ) 岡田信一(エピキュラス) エグゼクティブプロデューサー:西山秀樹(スペース・ゼロ) 企画・製作:株式会社スベース・ゼロ 株式会社エピキュラス 主催:全労済ホール/スベース・ゼロ ニッボン放送
【発売日】2010/02/26 前売一般 ¥4,000(税込・全席指定)当日一般¥4,500(税込・全席指定)
http://www.spacezero.co.jp/kokuchi/koukan_hiroba/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年05月23日
中野成樹+フランケンズ『寝台特急“君のいるところ”号』05/20-30こまばアゴラ劇場
『寝台特急“君のいるところ”号』は2000年に初演され、今回で4度目の上演となる中野成樹+フランケンズ(通称:ナカフラ)の代表作のようです。私は初見。
今月のメルマガでもご紹介しましたWi!Wi!Wilder2010参加作品で、米国の劇作家ソーントン・ワイルダーの『寝台特急ハヤワサ号』を、中野さんが誤意訳・演出されます。上演時間は約1時間20分。
⇒柴幸男さんのブログに詳しい感想あり
⇒CoRich舞台芸術!『寝台特急“君のいるところ”号』
≪あらすじ≫
ニューヨークからシカゴに向かう寝台列車の中。そして、外の世界。
≪ここまで≫
舞台奥には線路を示すのであろう格子が貼りられた白いパネルが3枚。小道具は折りたためる茶色いイスが数脚。照明でパーテーションして場面転換をします。いつもながら粋で、ほんわかと優しいムード。音楽の鳴るタイミングも音量にもこだわりを感じます。
幼稚園児のペープサートを懐かしく、嬉しく思い出しました。お遊戯やおままごとなど、私にとってとても身近で大好きだったものに備わっている演劇の特性が、そのまま演出に生かされていて、なぜだか人生そのものを暖かく肯定されたような心地になりました。また、これがアメリカ戯曲だということで、国境を超える普遍性も感じます。
観客に語りかけるセリフもあり、劇中劇の構造にもよくなりますが、演技(作りもの、見世物)であることを徹底しているところが潔いと思いました。周到に用意された展開に笑ったり、泣いたり、前のめりに入り込んで楽しませていただきました。
役者さんは皆さん清潔感があってストイックで、とても好感の持てる雰囲気でした。いつもながら衣裳もおしゃれだし。中でも医者役の洪雄大さんが面白かったですね~。
ここからネタバレします。
線路が床ではなく壁になっているのがいいなと思ったら、やがてそれが車窓になったり、取り外されて天国への梯子になったり。
おっちょこちょいのボーイ(福田毅)が1ヵ月後には仕事を辞めることが予言されたり(乗客と結婚するから)、心臓の発作で倒れた妻(小泉真希)が、車中であっけなく死んでしまったり。かと思うと、死んだ妻が天使(野島真理)と相談する場面は無言のまま長い時間が取られていたり(観客には声が聴こえません)。舞台で進む時間がぎゅっと縮まったり引き延ばされたりします。
やはり妻(若い女性)が亡くなるところでは『わが町』を思いだして涙ぐんじゃいますね。「さようなら」とか言われちゃうと、ね!
もともとの戯曲は読んだことがないので詳細はわかりませんが、明らかに役者さんのプライベートなことが話される場面がありました(医者役の洪雄大さんがボーイ役の福田毅さんを責めるところとか)。ショー・マスト・ゴー・オン的な内容ですが、それもきちんと“脚本どおりの作りもの”であるように演じているのが良かったです。劇世界がとても大事にされていると思いました。
狂女役の斎藤淳子さんを見て「月ちゃんだ!」と思ってしまう私はプチ『わが星』中毒♪
出演:フランケンズ(村上聡一、福田毅、洪雄大、竹田英司、田中佑弥、野島真理、石橋志保、斎藤淳子) ゲスト(小泉真希)
作: ソーントン・ワイルダー『寝台特急ハヤワサ号』より 誤意訳・演出:中野成樹 舞台監督:井関景太(有限会社るうと工房) 照明:高橋英哉 音楽:竹下亮 美術:細川浩伸(急な坂アトリ エ) 制作:加藤弓奈 提携:(有)アゴラ企画・こま ばアゴラ劇場 主催:中野成樹+フランケンズ
料金:全席自由前売り2800円、当日3000円、高校生 以下1800円(前売り・当日とも) チケット発売:4月20日(火)
http://www.frankens.net/
2010年05月22日
サスペンデッズ『2010億光年』05/22-30東京芸術劇場小ホール2
早船聡さんが作・演出される劇団サスペンデッズの新作です。『2010億光年』は東京芸術劇場が注目する才能たち、「芸劇eyes」の2010年度のトップバッター。上演時間は約1時間50分。
早船さんが2008年に作・演出された『ロゼット』の、2010年12月再演決定の仮チラシが入っていました(⇒稽古場レポート)。キャスティングも含めて楽しみですね。
「CoRich舞台芸術まつり!2010春」審査員として拝見しました(⇒91本中の10本に選出 ⇒応募内容)。※レビューはCoRich舞台芸術!に書きます。
⇒CoRich舞台芸術!『2010億光年』
第8回公演
出演:佐藤銀平(カメラマン)/伊藤総(SMアルバイトの画家)/佐野陽一(劇団のリーダー)/細越みち子(カメラマンの妻)/太田紘子(劇団の演出家)/新田めぐみ(目の見えない女)/関寛之(劇団員)/尾浜義男(劇団員)/伊藤俊輔(劇団員)/白州本樹(画廊の弟)/高橋理恵子(画廊の姉)
脚本・演出:早船聡 美術:袴田長武+鴉屋 照明:工藤雅弘(Fantasista?ish.) 音響:平井隆史(末広寿司) 衣裳:大野典子 舞台監督:大友圭一郎 イラストレーション:木村タカヒロ 宣伝美術:野島敏光 舞台写真:渡辺大祐 制作:上田郁子(オフィス・ムベ) 石川はるか(ハイリンド)
【発売日】2010/04/08 前売3,000円、当日3,500円 学生(高校生以下)前売2,000円 学生当日2,500円(取扱いはサスペンデッズ、オフィスムベのみ) 平日マチネ前売2,500円 当日3,000円
http://www.suspendeds.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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アル☆カンパニー『家の内臓』05/21-30 SPACE雑遊
アル☆カンパニーは平田満さんと井上加奈子さんの俳優ご夫婦の演劇ユニット。プロデュース形式で新作をどんどん上演されています。今回の脚本・演出は五反田団の前田司郎さん。
ワハハと笑わせていただきながら、日本人の家族、会社、集団について考えました。新しいことにチャレンジし続ける平田さん、井上さんのおかげで、珍しい座組みの面白い作品を観られることが嬉しいです。上演時間は約1時間15分。
全席指定なので席は会場についてのお楽しみですが、たぶん近い席の方が楽しいんじゃないかと思いました。でも至近距離だとどうしても役者さんの背中ばかり見る場面があるのも事実。
⇒CoRich舞台芸術!『家の内臓』
前作『罪』と同様に舞台が温泉旅館なのが、まず面白いです。同じ場所での家族の話といえど、ここまで違うものかと(笑)。
5人部屋の中で最年長(であろう)平田さんの役柄は、わがままで、“一緒にいたらめちゃくちゃ面倒くさそうなオヤジ”でした(笑)。くどいし、しつこいし、凝りないし、「もういい加減にしてよ!」と本気で怒っても、たぶんその時は聞いてないだろうし(笑)。
ポツドール作品でよく拝見していた(覚えがある)西園泰博さんの、自然な居住まいや受け答えがとても良かったです。彼のおかげで気持ちい呼吸で笑わせていただきました。
元気はつらつな役が多い(気がする)小林美江さんの、抑えた演技の確かさも嬉しかったです。
当日配布のパンフレットに書かれていたとおり、出演者はワークショップ・オーディションから選ばれました。こういう開かれた機会がどんどん増えて欲しいと思います。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
離婚したけど同じ会社に勤める元夫婦。娘も入社して奇妙な職場環境。社員旅行で群馬の温泉旅館に来た。
母「しょうゆがなかったからソースでいいや!ぐらいのことじゃないの」
娘「だからうちの煮物はソース味なの!?」
そのやりとりの後で「家族なんてそんなもんだよねぇ」という空気が流れて、ちょっと納得。家庭の味なんて各家庭それぞれ。その家族だけの味で(世間に通用しないでも)いいんですよね。
タイトルを1文字変えたら「家の内装」なんですね。
≪新宿、川崎≫ アル☆カンパニー第7回公演
出演:平田満(父・内装会社の管理職)、小林美江(内装会社社員5年目)、西園泰博(内装会社社員3年目)、橋本和加子(娘・内装会社社員)、井上加奈子(母・内装会社社員)
脚本・演出:前田司郎(五反田団) 美術:池田ともゆき 舞台監督:金安凌平 照明:相良浩司[MGS] 音響:藤田赤目 衣装:前田文子 制作:中野良恵、松岡正勝、河合千佳(川崎市アートセンター) 記録:齋藤耕路 宣伝美術:松吉太郎 宣伝写真:五十嵐和則 企画製作:アル☆カンパニー 川崎市アートセンター
【発売日】2010/04/03 3,800円
http://www.aru-c.com/stage07.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年05月21日
THEATRE MOMENTS『マクベス-シアワセのレシピ-』05/20-23シアターX
THEATRE MOMENTS(シアターモーメンツ)は佐川大輔さんが構成・演出される劇団です。“フィジカルシアター”と呼ばれる身体表現でみせる演劇なんですね。
古典戯曲だけでなく童話なども上演してこられています。今回は第14回公演でシェイクスピア原作『マクベス-シアワセのレシピ-』の再演。上演時間は約1時間40分。
「CoRich舞台芸術まつり!2010春」審査員として拝見しました(⇒91本中の10本に選出 ⇒応募内容)。※レビューはCoRich舞台芸術!に書きます。
⇒CoRich舞台芸術『マクベス-シアワセのレシピ-』
■予言に翻弄されるマクベスを現代に読み替える
シンプルな装置の中で、主に身体表現で戯曲を立体化するスタイルでした。想像していたよりも原作に忠実で、初めて「マクベス」を観た人にもその内容があらかたわかるようになっていたことに好感を持ちました。主人公マクベスは三人の魔女の予言に翻弄されますが、それを現代に読み替えた演出がとても面白かったです。
オープニングの「観客の恋愛体験をその場で手短に演じてみる」という余興(ガチンコ馴れ初め芝居)は、個人的には好きにはなれませんでしたが、舞台から役者さんが観客に気さくに話しかけ、希望者全員に飴を配るサービスづくしの幕開けには、劇団の姿勢がよく表れていて感心しました。ロビーでは絵画展が併催されており、演劇鑑賞の窓口を広げる工夫もされています。
初日はシアター・カイが通路席まで埋まっており、劇団の固定ファンを大勢獲得されているのがよくわかりました。
受付に長蛇の列ができており、スムーズに客席につけたとは言いがたい状況でした。終演後に演出の佐川大輔さんとお話させていただいた際、作品の感想と一緒にそのことをお伝えしたところ、真摯に聞き届けてくださいました。翌日からは具体的に改善されていたようで、観客への誠実な対応を嬉しく思いました。
ここからネタバレします。
衣装は末広がりのパンツ・スーツで統一しつつ、中に着る白系のインナーやヘアメイクで個人差を出していました。統一イメージで俳優を記号化し、演じる役が次々に変わっていくことで、物語の普遍性を伝えられていたと思います。
マクベスとマクベス夫人を演じる役者さんをある場面から変えることで、2人のおかれた状況および精神状態が大きく変化したことを示すのは、演出家の解釈がはっきりと表れて面白いです。
フィジカルシアターとはいえ心理描写は非常にリアル。メソード演技の技術を感じさせました。たとえば、王位には就けたが心の静寂を失ってしまったマクベス(山本悠生)が、マクベス夫人(絵理)に「お前のせいでこんな目に遭った!」と涙を浮かべて逆ギレする姿に、爆笑できたんですよね。「演技をしている人たち」を眺める階層から、「自分のことを棚にあげて誰かに当り散らす困った人」を目の当たりにする階層へとジャンプできたからだと思います。
赤い糸と紙(新聞紙)、てるてる坊主などの小道具の使い方も効果的でした。
敵兵に囲まれ孤立したマクベス(佐川大輔)は、新聞記事を身にまといながら舞台をぐるぐる走り回ります。それはTVコマーシャル、ノウハウ本、占い、噂話などに翻弄される現代人を表していました。
個人的にもったいないと思ったところを数点。ダンカン王を演じていた山本悠生さんが、後でマクベスを演じていたのには違和感がありました。1人1役ではないものの、メインの役柄については固定イメージがつく演出だったので、違う役者さんにしてほしかったです。
マクベスを破ったマルカム王子が勝利宣言をする場面は、できれば皮肉な視点も盛り込んで欲しかったですね。最初の場面のリプライズになり、パタっと突然とぎれるような幕切れも物足りなかったです。
マクダフのエピソードをカットして「母の腹をやぶって生まれてきた」のをマルカム王子にするのは、思い切った選択ですが巧い工夫だと思えました。
出演:佐川大輔、中原くれあ、矢ヶ部妙子、松浪淳平、青木まさと、山本悠生、小暮智美、宮山知衣、南早希、絵理(嘉月絵理改め)、矢原将宗
原作:W・シェイクスピア 演出:佐川大輔 IMAGINATION:all members 原作:W・シェイクスピア 構成・演出:佐川大輔 音響:寿島宅弥 音響操作:越川徴郎 照明プラン:清水義幸(カフンタ) 照明操作:白浜若奈 舞台監督:江連亜花里(カフンタ) 舞台美術:根来美咲(劇団青年座) 衣装:有島由生 宣伝美術:下元貴心 宣伝・舞台写真:prayer 宣伝キャスト写真:basigrapher ビデオ撮影:株式会社キャット WEB:まさ&マツタケ 稽古アシスタント:三石美咲 製作:THEATRE MOMENTS 翻訳協力:小田島雄志先生(白水社Uブックス「マクベス」) 大道具:U-MAX
【発売日】2010/03/20 【全席自由席】 大人 早割3,000円 / 前売3,500円 / 当日3,800円 高校生以下 早割2,000円 / 前売2,500円 / 当日2,800円 【リピーター割引】自由席:1,500円
http://www.moments.jp/play14/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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ブルドッキングヘッドロック『Do!太宰』05/14-23三鷹市芸術文化センター星のホール
ブルドッキングヘッドロックはナイロン100℃の所属俳優でもある喜安浩平さんが作・演出される劇団です。主宰は西山宏幸さん。劇団員の総数が17名とのこと。最近では珍しい大所帯ですよね。
三鷹市芸術文化センターの企画「太宰治作品をモチーフにした演劇公演」としての新作で、劇団の10周年記念公演第2弾だそうです。上演時間は約2時間20分(休憩なし)。
「CoRich舞台芸術まつり!2010春」審査員として拝見しました(⇒91本中の10本に選出 ⇒応募内容)。※レビューはCoRich舞台芸術!に書きます。
⇒CoRich舞台芸術!『Do!太宰』
■オーソドックスな演出で劇世界を深く豊かに、そして遠くへ
太宰治作品やその登場人物、太宰自身と彼の周囲の人々のエピソードと平行して、ブルドッキング・ヘッドロックという劇団の成り立ちや内部事情、たとえば脚本家(喜安浩平さん)の脚本執筆が遅いことや劇団員の生活が厳しいことなどを、暴露するように見せていきます。
私小説を書いた太宰と劇団史(部分的に私戯曲)を書く喜安さんが重なり、太宰作品および太宰の人生と現代の若者の群像劇が相似していく脚本がとんでもなく面白いです。
台を山車のように、壁を障子のようにスライドさせ、動画や文字映像を壁に映すなどして多くの場所、時代へとすいすい場面転換していきます。装置による演劇的演出がとても巧みです。今では見慣れた、もしかすると少し古さも感じる演出方法かもしれません。でも太宰を見る私、私を見る太宰、その双方を見つめる私(観客)という多層空間が力強く立ち上がっており、オーソドックスな手法から生まれるマジックを再確認できました。
しかし、いかんせん全体的に役者さんの演技は上手いわけではなく・・・作品として拝見する体勢を整えるまでに長い時間がかかってしまいました。
男子高校生役を演じた時の津留崎夏子さんの、思い切った振り切れっぷりには見入りました。津留崎さんのことは他劇団の公演でもよく拝見していましたが、違った面を見せていただけました。
制作面についてはロビーでの物販が充実しており、10周年記念のTシャツの色が豊富で、思わず物色してしまいました(笑)。DVDだけでなくサウンドトラックも作ってらっしゃるんですね。
総勢17人という劇団体制は、今の小劇場の状況から考えると大所帯だ言っていいと思います。大人数のマンパワーを今後も大いに見せつけていっていただけたらと思います。
ここからネタバレします。
終盤の展開に心奪われました。突然日本の主要都市がテロに襲われ、戦争状態になってしまいます。劇団の過去と現状を太宰および太宰作品と重ねるだけに終わらず、架空の未来の姿を示したことで、日本の内にとどまらない普遍性を感じ取れました。
(終演後に主宰の西山宏幸さんに伺ったところ、戦火を逃げ惑った太宰と重ねた場面だったそうです)
ブルドッキングヘッドロック10周年記念公演第2弾/vol.19
出演:西山宏幸、篠原トオル、寺井義貴、小島聰、馬場泰範、岡山誠、永井幸子、藤原よしこ、深澤千有紀、伊藤聡子、津留崎夏子、ぎたろー(コンドルズ)、磯和武明、小笠原東院健吉(ザ・風来'S)、菅原功人(TEAMHANDY)、齊藤圭祐、武藤心平(7%竹)、佐藤幾優、中澤功(サモ・アリナンズ)
脚本・演出:喜安浩平(ナイロン100℃) 舞台美術:秋山光洋 照明:斎藤真一郎(A.P.S) 音響:水越佳一(モックサウンド) 舞台監督:長谷川ちえ 演出助手:陶山浩乃(劇団競泳水着) 音響操作:照山未奈子 音楽:西山宏幸 映像:篠原トオル/猪爪尚紀 映像操作:諸田奈美 衣裳:山口かほり 宣伝美術:オカイジン 記録映像:トリックスターフィルム スチール:mika(f-me) イラスト:永井幸子 WEB:久野ひろみ/寺井義貴 制作:林拓郎(J-Stage Navi) 企画・制作:ブルドッキングヘッドロック 主催:(財)三鷹市芸術文化振興財団
【発売日】2010/04/10(全席指定)前売/3,200円(財団友の会会員 2,800円)当日/3,500円(財団友の会会員 3,150円)大学生/2,500円(前売・当日共、公演当日要学生証)高校生以下/1,000円(前売・当日共、公演当日要学生証)☆初日割引(前売・当日共) 2,800円(財団友の会会員 2,300円)
http://www.bull-japan.com/
http://mitaka.jpn.org/ticket/1005140/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年05月20日
【オーディション】バンダラコンチャ・セカンドアルバム公演「出演女優オーディション」※6/5〆切(郵送のみ)
近藤芳正さんのプロデュース企画“バンダラコンチャ”が、近藤さんが作・演出・出演される公演に出演する女優を募集しています。
“女優”といっても経験不問ですし、対象年齢は10歳位から90歳位までの心身ともに健康な方で、自称女性もOK。詳細は公式サイト(PDF)でどうぞ。
●バンダラコンチャ・セカンドアルバム公演
作・演出・出演:近藤芳正
期間:2011年1月14日~23日(予定)
会場:青山円形劇場
オーディション参加費用:3000円
応募〆切:6月5日(土)消印有効 ※郵送のみ
※条件を満たしている方は全員オーディションを受けられます。後日、オーディションで選ばれた方を集めたワークショップを開催し、その中から出演者を決定します。
お問い合わせ:バンダラコンチャオーディション係
電話:03-5778-2871(平日13時~17時)
2010年05月17日
燐光群『ザ・パワー・オブ・イエス』05/10-23ザ・スズナリ
坂手洋二さん率いる燐光群がイギリスの劇作家デイヴィッド・ヘアーさんの新作を本邦初演。ヘアー作品を上演するのはもう3度目なんですね。
2009年9月にイギリスで初演され、この4月まで上演されていた演目が、早くも日本語版として観られるのは、劇団が作家との信頼関係を築いてこられたからだと思います。ありがとうございます。
開演前にパンフレットの用語集をよく読んでおかれると良いと思います。
⇒CoRich舞台芸術!『ザ・パワー・オブ・イエス』
イギリスの国立劇場から新作執筆依頼を受けて、劇作家のデイヴィッド・ヘアー(John Oglevee)は金融業界の人々にインタビューをしていきます。登場するのは実在の人物ばかりのドキュメンタリー演劇です。
国立劇場が「世界金融危機はなぜ起こったか、いま何が起きているのか。」(公式サイトより)を劇作家に依頼することに、まず感動。
回収見込みのない債権(サブプライム・ローン)を証券にして、小分けにして販売していたことなどの事実を、当事者の生々しい言葉で伝えてくれるので、とてもわかりやすいです。
終わったことは振り返らない、過去に学ばない、反省しない銀行家たち。井上ひさしさんの「いつまでも過去を軽んじていると、やがて私たちは未来から軽んじられることになるだろう」という言葉を、より生々しい実感を持って、受け止めることができました。※現在、新国立劇場で上演中の『東京裁判三部作』のキャッチコピーになっている言葉です。
一部の役者さんのセリフがおぼつかなくて心配になりました。ヘアー役のJohn Ogleveeさんは日本語で話してくださるのですが、早口ですべるように語尾をにごしてしまうと、意味がわからなくなるんですよね(日本語は最後が大事)。もうちょっとゆっくりめに、丁寧に話していただけたらなぁと思いました。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
「いっぱい儲けたんだから、それに見合った額の報酬があってしかるべき」というトレーダーの感覚は、言葉づらの意味だけを受け取るとなるほどねと思えるかもしれません。でも元手は自分の資金じゃないんですよね、そもそも。
「好況の後は不況、不況の後は好況がやってくる。経済は恩恵をもたらしてくれるから、損をするときは我慢をすればいい」という考えに対して、「損害をこうむるのは恩恵を受けた人じゃない、一般市民なんだ」という返答。全くそのとおりですよね。そこの部分を想像しないで、自分とお金だけの関係で片付けちゃえるから、振り返らないのかしら・・・。
いや、銀行家の方々のせいにするのが目的なのではなくて、今の資本主義経済のシステムが、もう頼れるものではないってことなんでしょうね。
≪東京、大阪、愛知≫ "The Power of Yes" by David Hare
出演:藤井びん 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋 田中茂弘 John Oglevee 杉山英之 伊勢谷能宣 西川大輔 鈴木陽介 橋本浩明 中山マリ 南谷朝子 松岡洋子 樋尾麻衣子 安仁屋美峰 渡辺文香 桐畑理佳 横山展子 矢部久美子 根兵さやか
脚本:デイヴィッド・ヘアー 演出:坂手洋二 訳:常田景子 美術:島次郎 照明:竹林功(龍前正夫舞台照明研究所) 音響:島猛(ステージオフィス) 衣裳:宮本宣子 舞台監督:高橋淳一 演出助手:武山尚史 文芸助手:清水弥生・久保志乃ぶ・村松みさき イラスト:沢野ひとし 宣伝意匠:高橋勝也 制作:古元道広 近藤順子
【発売日】2010/03/27 全席指定 一般前売3,600円 ペア6,600円(前売・予約のみ) 当日4,000円 大学・専門学校生3,000円 高校生以下2,000円 (学生券は前売・当日共通料金 劇団予約のみ 受付で要学生証提示)
http://www.alles.or.jp/~rinkogun/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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ハイバイ『「ヒッキー・カンクーントルネード」の旅2010~初めて組』05/16-23アトリエヘリコプター
ハイバイは俳優としても活躍される岩井秀人さんが作・演出・出演される劇団です。『ヒッキー・カンクーントルネード』は劇団旗揚げ公演にして、再演を重ねる人気演目(過去レビュー⇒1、2、3)。
東京、神奈川、福岡の3都市ツアーで、東京では経験者組と初めて組のキャスト違いの2本立て公演となっています。上演時間は約1時間25分。
初めて組の初日を拝見しました。初演キャストのチャン・リーメイさん以外は、オーディションで約300人の中から選ばれた方々だそうです!
経験者組は早くも完売(当日券あり)。桜美林大学プルヌスホールと西鉄ホールは経験者組ですので、遠出されてもいいかも。
※劇団初の公演パンフレットをロビーで販売中(600円)。今読んでたら、なんと6度目の再演なんですね、すごいな~。
⇒岩井さんはサロンパスのCMで唐沢寿明さんと共演
⇒CoRich舞台芸術!『「ヒッキー・カンクーントルネード」の旅2010』
あらすじなどについては過去のレビュー等をご覧いただけたらと思います。
岩井さんが出演していない「ヒッキー」を初めて観たのですが、風合いは違うものの、いつもと同じものを受け取って・・・あぁこの作品は作者の手を離れて公(パブリック)のものになったんだなぁと思いました。⇒この作品で演劇をはじめてご覧になった方のツイート
出張おねえさん役のチャン・リーメイさんがパワーアップ!あかの他人の家族をかき回して楽しんでいるような、凄みのある笑顔が恐ろしいです(笑)。
トミオの妹アヤ役の浅野千鶴さんは、笑ったときはもちろん、怒って怒鳴っても可愛い方でした。こんな女性に生まれたかったな~と普通にうらやんでしまいました。
ここからネタバレします。
トミオが玄関の方の暗闇に消えるシーンの後に、お母さんが公衆電話でお父さんと話すシーンが追加されていました(東京では初お目見え)。以前のも好きですが、希望がより鮮やかに見えるラストもいいと思います。
≪東京、神奈川、福岡≫ 第4回福岡演劇フェスティバル参加作品
初めて組:篠崎大悟(ロロ) 浅野千鶴(味わい堂々) 近藤フク(ペンギンプルペイルパイルズ) 吉田亮(ハイバイ) チャン・リーメイ(Love&Light)
経験者組出演:岩井秀人(ハイバイ) 成田亜佑美 坂口辰平(ハイバイ) 平原テツ(ハイバイ) チャン・リーメイ(Love&Light)
脚本・演出:岩井秀人 照明:松本大介 衣装:mario 舞台監督:川除学(至福団) 演出助手:T-BOY 郷淳子 宣伝美術:土谷明子(citron works) 宣伝写真:岩井泉 記録写真:曳野若菜 制作:三好佐智子 坂田厚子 藤木やよい 提携:西鉄ホール(西鉄ムーブスペシャル) 主催:ハイバイ (有)quinada パンフレット編集協力:藤原ちから パンフレットレイアウト:林弥生(演劇サムライナンバーナイン)
【休演日】5月20日【発売日】2010/04/03 自由席(整理番号付) 前売:3,000円 当日:3,300円
http://hi-bye.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年05月16日
チェルフィッチュ『ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶』05/07-19ラフォーレミュージアム原宿
稽古場レポートを書かせていただいたチェルフィッチュの新作です。原宿での土曜日のマチネは盛況でした。上演時間は約1時間10分。
最後列で拝見(全席自由です)。もっと前で見ればよかったなぁと思いました。
⇒プリコグ公式ツイッターで当日券情報をこまめに告知してくれています。
⇒CoRich舞台芸術!『ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶』
ごく個人的なことですが、このステージを観る直前に友人との昼食会で、正規社員の現状について話をしていたんです。その苛酷さというか、精神的に追い詰められる感覚は、「派遣社員とか正規社員とかに分けてる場合じゃないよね」っていう気持ちにならざるを得ないものだったんです(私は正規、派遣ともに経験がありますので、その違いはある程度はわかっているつもりです)。だから正規社員と派遣社員という切り口から、この作品を観ることができませんでした。
照明がくっきり鮮やかに舞台を染めるんだろうと想像してたのですが、意外に色が薄かったですね。音楽やマイクを通した声については、なぜか私からはとても遠い場所にあるような感覚(最後列だったせいかも)。SuperDeluxeで観たら全然違うだろうな~と想像したり。
タイトやフレアのスカートから見える女優さんの細い足が美しくて、しかも絶え間なく動くのがなまめかしくて、なにかと足ばかりに目が行ってしまった(笑)。
フリーペーパーの“ホットペッパー”を持って話す武田力さんがすごく面白かったです。
ここからネタバレします。
登場するのは派遣社員3人、正規社員2人、派遣社員1人という順番になってしました。
■「ホットペッパー」
出演:伊東沙保、横尾文恵、武田力
私が観た回については、3人いるからこその何かがなかったというか、1人ずつのパフォーマンスを順番に観る状態から離れられず、残念。
■「クーラー」
主演:山縣太一、安藤真理
男女のダンス・デュオのような感覚が増していて、エロティックなムードが素敵。繰り返しが多く、語られる内容以外のところに想像力が働かされました。
「23℃、強風」に設定しなおす犯人はわかりきっているのに、男がずっとしらばっくれて、女も本人には直接言わないのが可笑しいです。
■「お別れの挨拶」
主演:南波圭
両手が同じ動きをするのは退屈だったりも。もっとぐちゃぐちゃ、バラバラな瞬間も観たいなと思いました。1人であれだけのことをやりきるのは、やはり凄いと思います。
chelfitsch " Hot Pepper, Air Conditioner, and the Farewell Speech "
≪ボローニャでプレビュー、ベルリンで初演。東京、ブリュッセル、リスボン、ハノーバー、ウィーン、バルセロナ、チューリッヒ、ハンブルグ、リュブリアナ、パリ、京都≫
出演:山縣太一、安藤真理、伊東沙保、南波圭、武田力、横尾文恵
脚本・演出:岡田利規 舞台監督:鈴木康郎 照明:大平智己 音響:牛川紀政 林あきの 制作:プリコグ(中村茜 山崎奈玲子 黄木多美子 門田美和) 主催:チェルフィッチュ 共同制作:HAU劇場(ベルリン/ドイツ) チラシデザイン:Daisuke Nagaoka
【休演日】5月13日【発売日】2010/03/20 前売3500円/学生3000円/当日4000円(日時指定、入場整理番号付き自由席)
http://chelfitsch.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年05月13日
【写真レポート】東京芸術劇場・2010年度高校生割引第一弾「NODA・MAP『ザ・キャラクター』のチケットを高校生に¥1,000で発売!」※5/15(土)11:00よりWEB申込開始
中村勘三郎さんと野田秀樹さんの記者会見で、NODA・MAP番外公演『表に出ろいっ!』の概要発表および主演女優オーディションの告知がありました。それに合わせて高校生に朗報が!
既に前売り完売しているの新作『ザ・キャラクター』(作・演出・出演:野田秀樹 主演:宮沢りえ)において、「夏休み高校生割引」を実施するそうです。なんと1枚1,000円!映画より安い!!
⇒東京芸術劇場「高校生割引」特設サイト
⇒野田秀樹からの手紙 ※野田さんの思いが強く伝わってきます!
■夏休み高校生割引 対象公演(10公演限定)
①7/20(火)19:00の回
②7/21(水)14:00の回
③7/21(水)19:00の回
④7/22(木)19:00の回
⑤7/23(金)19:00の回
⑥7/27(火)19:00の回
⑦7/28(水)14:00の回
⑧7/28(水)19:00の回
⑨7/29(木)19:00の回
⑩7/30(金)19:00の回
■高校生割引価格
¥1,000/1枚 (S席通常販売価格¥9,500のところ)
■対象者
2名以上でお申込み可能な高校生
■2010年5/15(土)11:00よりWEB申込開始!
※お申し込みはこちらから。
※先着受付。予定枚数が終了次第、締め切り。
東京芸術劇場芸術監督に就任された野田さんは昨年、英国の劇団プロペラの公演(関連エントリー⇒1、2、3)に高校生を無料招待しました。その他の劇場主催公演でも25歳以下の割引チケットの販売が実施され、若者が劇場に来やすくなる試みを継続されていることを心から嬉しく思います。
以下、勘三郎さんと野田さんが記者会見で、特に若い人たちに向けて語られた内容をまとめました。
■S席9,500円のところ、高校生は1,000円!
野田「昨年はイギリスの劇団の公演に、高校生を無料招待しました。だから自分の(NODA・MAPの)公演で何もしないのはいけないんじゃないかと思って。6月の『ザ・キャラクター』では、限られた期間と枚数ですが、高校生はチケット代1,000円で観てもらえるようにします。」
勘三郎「高校生に1,000円で観てもらうのは大賛成です。これは芸術監督だからできることであって、彼(野田さん)はやっぱり芝居を愛してると思います。中村座でもやりたいんだけどね。」
■今の若い人たちが文化に入って来づらい状況がもどかしい
野田「自分が若い頃は、若者の活動によって新しい文化が生み出されてきたのだけれど、今はそれが難しい。演劇に限らず、今の若い人たちが文化に入って来づらい状況を、もどかしく思っている。客席を見ても、だんだん(観客の)年齢が上がって来ていて。」
野田「『表に出ろいっ!』のヒロインオーディションでは演じる側に、『ザ・キャラクター』では観る側に興味を持ってもらいたい。2本柱ですね。」
■最初の一歩を踏み出してもらいたい
野田「今の若い人が劇場に足を運ぶことがほとんどないのは、我々とその下の世代の人間のせいかもしれない。一回面白いものを観れば、もうひとつ観ようという気持ちが生まれる可能性がある。だから(この機会に)最初の一歩を踏み出してもらいたい。」
勘三郎「今はパソコンで何でも見られるし、情報も全部入ってくる時代ですよね。ところが劇場はわざわざ行って(作品を)観る場所。僕らも高校生の時に舞台を観て、今がある。若い人にわざわざ来てもらいたい。とにかく劇場に足を運んでもらうこと。まず観てもらうこと。」
野田「高校生ぐらいの年齢であれば、背伸びをすべきじゃないかと僕は思ってる。(意味が)わからなくても背伸びをして観るぐらいのものを、観てほしい。内容的に『表に出ろいっ!』は背伸びをしなくても観られるもので、『ザ・キャラクター』は背伸びが必要。」
■記者会見参加者との質疑応答
質問:高校生の頃に観て影響を受けた舞台は?
勘三郎「やっぱり唐十郎さんかな。そこから中村座のテント芝居につながってます。」
野田「ピーター・ブルック演出『真夏の夜の夢』と、蜷川幸雄演出、清水邦夫脚本『ぼくらが非情の大河をくだる時』。その頃は生意気だったから“これぐらいのものはいつでも観られるだろう”と思ってたんだけど、そうでもなかった。」
質問:『表に出ろいっ!』と『ザ・キャラクター』の関連性は?
野田「両作品とも“人が信じるということ”“人が信じているもの”に関連性があって、『ザ・キャラクター』のある部分のエピソードが、『表に出ろいっ!』に出てくる仕掛けになっています。『ザ・キャラクター』を観ていなくても理解できるように書いてますが、観ておくと『表に出ろいっ!』の中でちょっとふくらむ瞬間がある。だから両方観てくださいっていう(笑)、アコギな商売でございます。」
※2010年9月のNODA・MAP番外公演『表に出ろいっ!』でも高校生割引を実施する予定だそうです。
【中村勘三郎×野田秀樹記者会見】
登壇者:中村勘三郎 野田秀樹 司会:中井美穂
会見日時:5月13日(木)10:30~11:30 会場:パークハイアット東京39階ボールルーム
http://www.nodamap.com
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【オーディション】NODA・MAP番外公演『表に出ろいっ!』ヒロインオーディション※〆切は6/25(郵送のみ)
『表に出ろいっ!』
中村勘三郎さんと野田秀樹さんの記者会見が開催され、NODA・MAP番外公演の概要が発表されました。
新作のタイトルは『表に出ろいっ!』。中村勘三郎さんと野田秀樹さんのお2人と共演する女優1名を、なんと一般公募のオーディションで選ぶそうです!⇒公式サイト
NODA・MAPは2010年6月公演『ザ・キャラクター』でもアンサンブル出演者を一般公募しました。野田さんはできるだけ多くの若者と出会い、一緒に作品創作をしようとされているのだと思います。有名無名問わず、経験も不問ですので、我こそはと思う女性は飛び込んでみてください!!
■NODA・MAP番外公演『表に出ろいっ!』
公演期間:2010年9/5(日)~9/28(火)
会場:東京芸術劇場小ホール1
作・演出:野田秀樹
出演:中村勘三郎(父役) 野田秀樹(母役) オーディション合格者1名(一人娘役)
上演時間は約1時間30分ほどの予定。
★キャスト募集条件:18歳以上で、20歳から25歳に見える女性
■新作『表に出ろいっ!』は“現代”というより“現在”の劇。
野田「『表に出ろいっ!』に登場する家族3人は、それぞれに非常にハマっているものがあります。父はアミューズメント・パーク、母はアイドル系、娘はファーストフードが大好き。娘は中途半端にロンドン留学して帰ってきたという設定です。」
勘三郎「明治、大正、昭和のものならやったことがあったかもしれないけど、日本の現在の劇に出るのは初めてじゃないかと。現在といっても私のようなサラリーマンはいませんから(笑)、職業を“お能の先生”にしてくれたので少しほっとしております。」
■中村勘三郎(父役)と野田秀樹(母役)の“一人娘”を一般公募!
野田「僕は無名性に賭けています。大手俳優事務所等によって俳優が作られていきやすい現状において、それ以外のところから、特に演劇から、新たな人材が育ってほしい。」
野田「最初は2人芝居にしようと思ったんですが、三つ巴の方が面白い物語になるので3人芝居に。セリフの分量は凄く多いのでかなり達者じゃないと・・・いえ、誰でも大丈夫です!(笑)」
勘三郎「活きのいい、可愛らしい人がいいですね!(20~25歳の女性に見える方でも)男性はお断りします、歌舞伎になっちゃうので(笑)」
以下、記者会見でいただいたリリース資料からの情報です。
◆NODA・MAP番外公演『表に出ろいっ!』ヒロインオーディション開催!!◆
2010年9月5日(日)から9月28日(火)に東京芸術劇場小ホール1で上演される、NODA・MAPの新作公演『表に出ろいっ!』で、中村勘三郎演じる「父親」と、野田秀樹演じる「母親」の「一人娘」となるヒロインをオーディションにて決定いたします。
◆オーディション日時◆
2010年7月12日(月)午後予定
(書類選考後。集合時間及びオーディションにかかる時間など詳細をお知らせいたします。)
◆募集条件◆
1~3の条件を満たす方に限りご応募ください。
1.7月下旬から9月4日(土)までの稽古と、9月5日(日)から9月28日(火)の公演に参加可能な方
2.女性の方(ヒロインのイメージは、20歳から25歳。ただし、その年齢に見えれば・・・)
3.18歳以上の方(※20歳未満の方は保護者の同意が必要です)
◆応募から選考、出演決定までのプロセス◆
応募締切は6月25日(金)必着です。
プロフィールは専用の応募用紙をお使いください。
(応募用紙はNODA・MAPホームページにて5/13(木)18:00以降ダウンロードいただけます。)
書類選考後、その結果を7月5日(月)、文書にて発送いたします。
6/25(金):応募用紙締切(当日必着)
7/5(月):書類選考結果を文書にてNODA・MAPより発送。
7/12(月):オーディション実施。
※オーディションにかかる費用はございません(オーディション会場への交通費をのぞく)。
7月中旬:オーディション結果を発表。ヒロイン決定。
◆お送り先◆
〒171-0021
東京都豊島区西池袋1-8-1東京芸術劇場気付
NODA・MAP「表に出ろいっ!」ヒロインオーディション受付係
◆お問合せ◆
TEL 03-6802-6681
NODA・MAP「表に出ろいっ!」ヒロインオーディション受付係
URL http://www.nodamap.com
【中村勘三郎×野田秀樹記者会見】
登壇者:中村勘三郎 野田秀樹 司会:中井美穂
会見日時:5月13日(木)10:30~11:30 会場:パークハイアット東京39階ボールルーム
http://www.nodamap.com
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年05月12日
劇団、本谷有希子『甘え』05/10-06/06青山円形劇場
本谷有希子さんの新作のテーマは“夜這い”。主演に小池栄子さんを迎えた大人の5人芝居でした。
めちゃくちゃ面白かったです!全く躊躇せず、大きくダブルコール(カーテンコールで2度目の拍手)をしました。
内容から振り返ると『甘え』というタイトルが素晴らしい!女性だから書ける脚本なのではないかと思いました。本谷さんは青山円形劇場の使い方もお手の物ですね。美術、照明、音響(および音楽・選曲)、衣裳などあらゆるスタッフワークが充実。贅沢なお芝居でした。上演時間は約1時間50分。
⇒「劇団、本谷有希子」公式ツイッター
⇒CoRich舞台芸術!『甘え』
レビューをアップしました(2010/05/16)。
≪あらすじ≫
父から虐待を受けながらも家から出ることができない順(小池栄子)。母はいない。父に新しい恋人(広岡由里子)ができたのだが、全くウマが合わない。
≪ここまで≫
白いカーテンで囲まれた空間が一部客席にせり出している、ほぼ円形の舞台。薄いオレンジ色のタイル(のような柄)が敷き詰められたステージ。光の加減によって、水で濡れているようにも見えます。水には危うさや罪のイメージも香ります(例:韓国映画「春夏秋冬そして春」)。
中央にはステージと同素材の、人が寝られる大きさのまな板のような、ベッドのような台。周囲の床は斜めになっていたり、穴があいていたり、とても不安定な印象です。
ダメだとわかっていてもやめられない、他人にそれを指摘されたら逆ギレするキャラクターは、ポツドール(=三浦大輔さんが作・演出される劇団)作品の登場人物に似てる気がしました。何でも他人のせいにするんですよね。「僕が抱いたんじゃない、君が誘ったからだ」とか。
でも、本谷作品の登場人物は考えに考えています。頭をすごくよく使っている。自己流ながらも必死に考えた末、結局またぐるぐる回ってもとに戻ってくる。頭でっかちで行動が伴わない(まわりくどい・素直じゃない)のは、現代の若者をよく表していると思います。何らかの行動を起こせた場合はその理由づけ(いいわけ)を考えてしまうし、成功しても失敗しても原因を何か(誰か)に求めます。むしろ先を予想してしまうから、行動できない。賢いからこそ、動けない。
読書家で賢い順の心の中の叫びや妄想を、劇中劇のように表現するのも面白いです。順は体を動かさず頭だけを使っているはずですが、観客の目に見えるのは、舞台で激しく動く役者さんの身体なんですよね。
タイトルの“甘え”には誰かのせいにする(他人に依存する)という意味はもちろんあるでしょう。でも私は、頭で考えたことの責任を身体に取らせる、頭脳が身体に依存している(甘えている)ことを表しているのではないかと思いました。
小池さんのナイスバディーを完全に封印した衣裳で、演技と作品自体にフォーカスしたのが憎い!(素晴らしいと思います) 先輩役の水橋研二さんの衣裳は足元(靴とズボンのすそ)がピンク色に染色されていて、肉欲、そして罪がうまく象徴されていると思いました。
水橋さんの高くて可愛らしい声と、役柄の不道徳な行動および支離滅裂な言動とのアンバランスさがものすごく面白くて、何度もツボに入り笑ってしまいました。
ここからネタバレします。
賢いから考え過ぎてしまう。振り返って反省ばかりしてしまう。自分が悪いと思ってしまう。じゃあ賢い頭を総動員して自分が変わればいいんだけど、そう簡単には変われない。自分は変わってもいいんだ、自分は絶対変われるんだと思える出来事が必要。頭では無理だから、体に何かを起こさなければ。だから、複数の見知らぬ男たちに、夜這いされることにする。
順「私よ、みそがれよ!」
出演:小池栄子 水橋研二 安藤玉恵 広岡由里子 大河内浩
脚本・演出:本谷有希子 美術:中根聡子 照明:小川幾雄 音楽:渡邊琢磨 音響:藤森直樹(Sound Busters) 衣裳:畑久美子 ヘアメイク:二宮ミハル 演出助手:相田剛志 舞台監督:宇野圭一+至福団 美術:新上ヒロシ+上野友美(ナルティス) 宣伝写真:渞忠之 宣伝ヘアメイク:二宮ミハル、奥野展子 宣伝スタイリスト:澤田石和寛 衣裳協力:TADASHI SHOJI WEB製作:ACTZERO 票券:脇本好美 当日運営:宍戸円 制作助手:嶋口春香、杉田香奈恵 制作:寺本真美 協力:青山円形劇場 企画・製作:ヴィレッヂ・劇団、本谷有希子
【休演日】5/14,21,28 6/2【発売日】2010/04/03 料金:6,000円(全席指定・税込)未就学児童入場不可。
http://www.motoyayukiko.com/next_performance/
http://www.motoyayukiko.com/performance/amae/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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パルコ・プロデュース『裏切りの街』05/07-30パルコ劇場
ポツドールの三浦大輔さんがパルコ劇場に初登場。しかも主演が松尾スズキさん、秋山菜津子さんという超豪華キャストなので、いさんで初日を拝見しました。
怠惰な人たちの怠惰すぎる生活と裏切りの連鎖。ポツドール未見の方へ⇒性描写がありますので、そのおつもりで観に行かれた方がいいです。
上演時間は前半110分、休憩15分をはさんで後半70分という3時間超えの大作ですが、長さは感じませんでした。
⇒CoRich舞台芸術!『裏切りの街』
≪あらすじ≫
平日昼間からだらだら何もせず過ごす若者(田中圭)が、2ショットダイヤルで年上の女(秋山菜津子)と出会う。若者は彼女(安藤サクラ)と同棲中だし、女には夫(松尾スズキ)があった。
≪ここまで≫
いつものポツドールらしいギラギラ感、ざらざら感が少なめだったのは個人的に残念でしたが、前半は私ったら恥ずかしげもなく、爆笑・失笑の連続(笑)。端から見るとてんでどうでもいい会話や、生産性ゼロのぐだぐだの時間がものすごく丁寧に描かれていて、その瑣末な瞬間の連続が豊かに蓄積していきました。
具象にこだわる美術には具象ならではの味わいがありましたが、回り舞台やスライドして出てくる装置の転換に時間がかかり、暗転が長くなるのはもったいない気がしましたね。でもダイナミックなのは大きな劇場ならではの贅沢。
音楽の選曲は、敢えて過剰さを狙ったんじゃないかと思えるメランコリックなメロディーが面白くて、流れる度にちょっと笑えます。でも全体的にざーーーーーっとノイズが入っているのが気になりました。演出意図なのかもしれませんが、せっかくのパルコ劇場なので個人的にはきれいな音質で聴きたかったです。あと、いきなりの大音量は耳を押さえることで難を逃れました。すみません。
秋山菜津子さんは“化け物”のような役もやりこなすとても魅力的な舞台女優さんですが、今回はいわばごく普通の主婦の役。ボソっとつぶやくような短いセリフが超色っぽい!電話口から聴こえるため息まじりの「・・・はい」とか特に!!
松尾スズキさん。すみません、出てくる度に笑ってしまいました(笑)。ぬるっと存在したかと思うとグサっと刺すような瞬間もあって、目が離せないですね。
映画「TAJOMARU」でも素敵だな~と思っていた田中圭さんが、ポルドール作品によく登場する“ダメな若者”を好演されていて、驚きつつ嬉しく拝見。『音楽劇「死ぬまでの短い時間」』でもざわざわしたような不確かさが良かったんですよねー。いい俳優さんだなーこれからも追いかけたいです。
米村亮太朗さんはポツドールの世界を体現されていて素晴らしかった。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
若者(田中圭)が40代の人妻(秋山菜津子)に初めてキスするシーンは、あまりの情けなさに失笑。田中さんが「ちょっと、いいスか?」とおそるおそる近づくのが男としてみっともない!(笑) ちゃっかり秋山さんにキスしちゃった後に「まあ大人なんで、今後はこういうこともアリで」みたいな、聞き苦しいことこの上ない言い訳をするのが、たまらなく可笑しかった!
2人が初めてベッドインした西荻窪のラブホテルで、エッチの後にカラオケしちゃうシーンが最高に面白かったです。曲目が「夢の中へ」だったのも(笑)。こういう“イケてなさそうな娯楽”が実は心底楽しめてしまうんですよね。
後半というか結末は物足りなかったです。私が勝手にもっと殺伐としたり、どうしようもない悲劇が訪れたりするのを期待していたせいでしょう。妊娠してもまだズルズル怠惰・・・という感覚が私にはリアルじゃなかったからかも。別にリアルである必要はないんですけど。
カーテンコールが終わって幕が下りた後に、主題歌が大音量で流れます。本編と同様にノイズが気になりましたが、いい歌でしたね。でも私はノレなかったなー。主題歌を終演後に流すのって映画みたい。
結局、秋山さんと田中さんが役の名前で呼び合うシーンはあったのかしら?「ラブホで会うだけの男女に名前なんていらない」というのは『三月の5日間』と同じなんだけど、あの2人とは全然違う(笑)。
≪東京、大阪、福岡≫
出演:秋山菜津子/田中圭/安藤サクラ/古澤裕介/米村亮太朗/江口のりこ/松尾スズキ 声の出演:山本裕子 林田惠子
脚本・演出:三浦大輔 音楽:銀杏BOYZ 美術:田中敏恵 照明:伊藤孝(ART CORE design) 音響:中村嘉宏 衣裳:小泉身和子 ヘアメイク:河村陽子 映像:冨田中理 演出助手:山田美紀 舞台監督:小笠原幹夫 宣伝:吉田プロモーション プロデューサー:山田希世子 製作:山崎浩一 制作協力:(有)マッシュ ポツドール 企画・製作:(株)パルコ
【休演日】5/11,18,25【発売日】2010/03/13 一般¥7,350(全席指定・税込) 学生券¥5,000(当日指定席引換・要学生証提示・イープラスのみ取扱。限定枚数販売)
http://www.parco-play.com/web/page/information/uragiri/
http://www.parco-play.com/web/play/uragiri/
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渡辺源四郎商店『ヤナギダアキラ最期の日』05/02-05ザ・スズナリ
青森の現役高校教師である畑澤聖悟さんが作・演出(出演も)される、劇団渡辺源四郎商店の新作です。
畑澤さんは高校演劇界でも有名ですが、青森以外の地域で中高生向けワークショップを開催したり、劇団昴に新作戯曲を書きおろすなど幅広く活躍されています。受賞歴も多数。
上演時間は約1時間30分弱、だったと思います。
⇒CoRich舞台芸術!『ヤナギダアキラ最期の日』
≪あらすじ≫
湖が見える東北地方のホスピス。末期がん患者らが入院している。
≪ここまで≫
上下に白いカーテン。舞台奥の壁には湖を描いた(と思われる)大きな油絵。客席方向に見えるとされる湖を、奥の壁で表現するのがいいですね。
自分の体調が万全でなかったせいもあると思いますが、人物の出はけや演技の荒さが気になり、あまり集中できませんでした。私は『夜の行進』や『背中から40分』などのプロデュース集団だった時期の秀作や、CoRich舞台芸術まつり!2008春・スポンサード公演『どんとゆけ』などでの、役者さんの演技の完成度の高さを期待していたようです。
日本の戦争について書くこと。想像に過ぎませんが、畑澤さんはそれを劇作家としての使命だと思われているのではないでしょうか。その覚悟に一観客としてついていきたいと思います。
宮越昭司さんが今年も東京まで来てくださって、すごく嬉しいです。また来年のゴールデンウィークも(GWじゃなくても)舞台上の宮越さんにお会いしたいです。今年の夏も青森の劇団アトリエに伺う予定なので、もしかしたらその時にお見かけできるかしら。
ここからネタバレします。
南方戦線で「人魚の肉」を食べた日本人の兵隊と娼婦が、不老不死になってしまい、今もその頃の姿のまま生き延びている。高橋留美子さんの漫画「人魚シリーズ」(Wikipedia)を思い出しました。
入院したばかりのヤクザ(牧野慶一)の若妻(工藤由佳子)も、もしかしたらその肉を食べたかもと匂わせるのはいいですね。
車椅子に座った老人(宮越昭司)を舞台に残し、じわじわと暗転するラストシーンは深い余韻を残してくれました。
渡辺源四郎商店第12回公演 ≪青森、東京≫
出演:工藤由佳子 工藤静香 三上晴佳 工藤貴樹 宮越昭司 吉田唯 牧野慶一(劇団雪の会) 山田百次(劇団野の上) 畑澤聖悟
脚本・演出:畑澤聖悟 照明:浅沼昌弘 音響:藤平美保子 舞台美術:山下昇平 装置:渡辺源四郎商店 舞台監督:田守裕子 プロデュース:佐藤誠 ドラマターグ・演出助手:工藤千夏 宣伝美術:木村正幸 制作:渡辺源四郎商店 制作補:西後知春、おりゅう 主催・企画制作:渡辺源四郎商店
【発売日】2010/04/01 前売一般 3,000円、学生2,000円、高校生以下1,000円 当日一般 3,300円、学生2,300円、高校生以下1,300円
http://www.nabegen.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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シス・カンパニー『2人の夫とわたしの事情』04/17-05/16シアターコクーン
英国の作家W・サマセット・モームが1919年に書いた戯曲を、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんが演出。主演は松たか子さんです。お2人は初顔合わせなんですね。上演時間は約2時間40分(途中休憩2回を含む)。
装置も衣裳も豪華なドタバタ喜劇でした。90年も前の海外の王道ラブコメを、小劇場出身のケラさんが演出されているのが意外というか、不思議な感じがしました。シアターコクーンでの上演ですが、新橋演舞場やル・テアトル銀座にいるような心地にも。
⇒CoRich舞台芸術!『2人の夫とわたしの事情』
≪作品紹介≫ 公式サイトより一部抜粋。
原題を「HOME & BEAUTY(故国と美女)」というこの戯曲の設定は、まだまだヴィクトリア朝時代の厳粛な価値感が色濃い20世紀初頭の英国のある上流家庭。 第一次世界大戦終結後、愛する夫を戦争で失い、戦争未亡人となったヒロインは、夫の親友の求愛を受け、めでたく再婚を果たします。 しかし、あろうことか、そこに、戦死したはずの"前" 夫が、ひょっこり帰還! 苦労して帰国したと思ったら、自分は死んだことになっていて、しかも親友が自分の後釜に!? "2人の夫"を前に呆然とする美しきヒロイン。 まさに、戦争に翻弄された "けなげな妻"と "2人の夫たち" の涙なくしては語れない大悲劇・・・・・・なのかと思いきや、英国紳士たるべく自己犠牲の精神をフルに発揮して、「自分こそが身を引くべきだ」と、なぜか積極的に主張し合う"2人の夫たち"。そして、"けなげ美女"であるはずのヒロインも、実は、天真爛漫というか天衣無縫というか、結局のところは、「世界は自分のために回っている」と心の底から信じて疑わないタイプ。当然、愛情なんて言葉だけでは計れない様々な欲望やキワドイ思惑が絡まり合っている模様で、事態は組んず解ぐれつ、予想外の展開へ! 果たして、この「重婚狂騒曲」のフィナーレで、真の幸福をつかむのはどちらのカップルなのか・・・?!
≪ここまで≫
松さんがドレスを着て豪華な装置の中にいる図から、新橋演舞場での『嵐が丘』(2001年1月・岩松了演出)を思い出しました。ケラさんが新橋演舞場でスタンダードな喜劇を演出する日も近いのでしょうか。きっと成功する気がします(←勝手)。※ケラさんはすでに明治座で演出されていました!⇒2003年3月公演『さくら』
笑いはベタもナンセンスも自在。ふと恐怖がよぎる場面も照明、音響で盛り上げてくださり、贅沢なマチネ鑑賞になりました。
松さんと段田安則さん、渡部徹さんをはじめ芸達者な役者さんたちの演技を観て、ケラさんがご自身のブログで「うまい役者」について書かれていることにも納得。ただ、うまい役者のうまい演技が続くのって、私にはちょっと退屈だったりも。
演劇ジャーナリストの徳永京子さんのツイッターでのご発言から(⇒1、2、3、4、5)、新劇の状況(新劇を上演する劇団の現在)についても少し考えました。新劇って一体何なのかと問われてもはっきりとは答えられないんですが(すみません)、戦中から今も続いている老舗劇団が上演するストレート・プレイがそれに当たるんじゃないでしょうか。最近はあまりそういう作品が観られていないので私には比べようがないのですが、ケラさんの他にも小劇場界から、そういった作品を演出できる若手演劇人がぐんぐん育ってきていると思います。
ここからネタバレします。
休憩が終わると装置が完全に変わっていて感激。2幕の青い壁の客間にあった、妙ちきりんな人型のオブジェさいこー。松さん、皆川猿時さんがお立ち台(山車?)に乗ってドアから出てくるのも可笑しかった。
松さんの母親役の新橋耐子さんはやっぱり凄かったです。プロだなーと思います。いるだけでほほえましいし、毒々しい(笑)。
大森博史さんの代役で弁護士役を演じられた猪岐英人さん。ナイロン100℃公演でもよく拝見してますが、機械仕掛けの人形のような動き(演技)がとても面白かったです。
"Home and beauty" by W. Somerset Maugham
出演:松たか子 段田安則 渡部徹 猪岐英人 皆川猿時 水野あや 池谷のぶえ 西尾まり 皆戸麻衣 新橋耐子 ※大森博史が体調不良のため降板し、代役は猪岐英人。
原作:ウィリアム・サマセット・モーム 演出・上演台本:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 翻訳:徐賀世子 美術:二村周作 照明:小川幾雄 衣裳:前田文子 音響:水越佳一 ヘアメイクデザイン:勇見勝彦 演出助手:西祐子 舞台監督:瀧原寿子 プロデューサー:北村明子 提携:Bunkamura 企画・製作:シス・カンパニ― チラシ画:金子國義
【休演日】4/19,26 5/3,10【発売日】2010/03/07 S席¥9,000/A席¥7,000/コクーンシート¥5,000
http://www.siscompany.com/03produce/27futari/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年05月11日
イキウメ『プランクトンの踊り場』05/08-23赤坂RED/THEATER
前川知大さん率いる劇団イキウメの新作です。前川さんは今や紀伊国屋演劇賞や読売演劇大賞の常連の、若手最注目の劇作家・演出家です。大手プロデュース公演でも活躍される一方で、劇団公演も精力的に行われており、今回も東京、大阪のツアーがあります。
今回もごく普通の日常と隣り合わせの、ちょっと怖いSF世界を楽しむことができました。常連客の期待を裏切らない、安定感のある劇団ですよね。チラシや当日パンフレットでも劇団のカラーが定まってきているように思います。客席は通路席も出て盛況でした。上演時間は約2時間弱。
【舞台写真↓左から伊勢佳世、岩本幸子 撮影:田中亜紀】
⇒前川知大『プランクトンの踊り場』インタビュー
⇒CoRich舞台芸術!『プランクトンの踊り場』
≪あらすじ≫
要(伊勢佳世)は滋(浜田信也)との離婚を決心し、ぐうたらな兄(安井順平)が一人で暮らす実家に帰ってきた。
同じ町の商店街で飲食店をオープンしようとしていた島(窪田道聡)は、店で次々とおかしなことが起こり困り果てている。
要が出て行ってからもいつもと変わらず東京で働く滋の携帯に、おかしな電話がかかってきた。「あなたは本当に東滋(あずま・しげる)さんですか?」
≪ここまで≫
一見、白い箱にドアが数個ついただけの抽象的な美術。でも扉の仕掛けと照明、音響で動的に場面転換し、さまざまに表情を変えながら複雑な設定をわかりやすく伝えてくれます。いつもながら見事だなと思いました。
ただ、今回は役者さんの演技が全体的に平板な気がして、説明を聞くばかりの状態に少し退屈することも。でも「自分がもう一人いる!?」という非常にフィクション性の高いストーリーに無理なく入り込めるのは、イキウメならではだなと思います。
要たちが問題解決のために取った大胆な行動から“取り返しのつかない状況”になり、ぐいぐいと引き込まれました。「一体どうやってこれを“片付ける”のかしら??」と、少し不安になるぐらい(笑)。そして訪れた結末は、私には全く予想がつかなかった種類のものでした。
お話が終わって暗転し、音楽が流れる客席の闇の中で、家の近くの沿道に生えている大きな木や、通っていた小学校の近くにあったほこらなどを思い出しました。いつもの日常の奥行が広く、深くなったように感じました。
【舞台写真↓左から安井順平、伊勢佳世 撮影:田中亜紀】
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
舞台奥の大きな壁が回転扉になっており、ぐるりと回って空間を斜めに区切ります。効果音と照明の変化で鮮やかに、美しく場面転換。ほれぼれします。
島の友人で料理人の藤枝(緒方健児)は、もう1人の自分(=ドッペルゲンガー)とばったり出会って、ショックで入院中。要は自分を追ってきた滋の他に、東京で働いている滋がいると知り混乱します。
実は、島の飲食店が入っているビルが建つ“土地”に不思議な力があり、そこでは人間が望んだものが物体となって出てきてしまうのです。島は誰もいないトイレの中に藤枝がいると信じ込んだ。要は滋に追いかけてきて欲しかったあまりに、島の後ろ姿に滋を想像してしまったんですね。
要のそばにいる滋は要との記憶しか持ち合わせておらず、東京にいる滋は要との記憶だけが抜け落ちており、ドッペルゲンガー(同一人物)というより2人合わせて1人であるというのがミソでした。
2人に割れた滋はそれぞれに同じ時間を違う場所で生きており、2人を出会わせて合体させるにしても、その時期の2人の別々の記憶が1つの体の中で重複してしまうことで、精神に異常をきたす可能性があります(藤枝のように)。そこで要の兄が考え出したアイデアが非常に斬新でした(笑)。3人目の滋を生み出して、2人目の滋が生まれてから今までの記憶を、その中に入れてしまおう、1人目との重複記憶をなくそうということだったのです。最初はその意味がわからなくて置いていかれそうになりました(笑)。
1人目と2人目の滋の合体はできたものの、新しい3人目の(ほんの数カ月の記憶しかない)滋が実体として残ってしまいます。兄はそれを「CD-ROMのようなデータにすぎない」と言い殺そうとしますが、要は「データではなく記憶だ」と反論します。
要「データと記憶は違う。記憶なら忘れることができるんだから。」
3人目の滋を抱きしめて「滋(本人)のことをすっかり忘れられたら、この人は消えるだろう」と言う要。情報の入れ物のように扱われていた滋が個性を持った人間に見えてきて、難しいパズルを解くように冷静に見つめていた舞台が、体温を帯びてむずむずとうごめくように感じました。知的なSF世界から一気に人間ドラマへと変貌して驚きました。
要の実家の家政婦を演じた加茂杏子さんと、シュークリームの実験に付き合わされた学生を演じた大窪人衛さんの、独特のトボけた雰囲気に癒やされました。これまでのイキウメにはなかったキャラクターのような気がします。
≪東京、大阪≫ ※舞台写真は劇団よりご提供いただきました。
出演:浜田信也、盛隆二、岩本幸子、伊勢佳世、森下創、窪田道聡、緒方健児、安井順平、大窪人衛、加茂杏子
脚本・演出:前川知大 美術:土岐研一 照明:松本大介(enjin-light) 音楽:安東克人(SoundGimmick) 音響:鏑木知宏 衣裳:今村あずさ(SING KEN KEN) 演出助手:石内エイコ 舞台監督:棚瀬巧 谷澤拓巳(至福団) 制作:中島隆裕 吉田直美 演出部:渡邉亜沙子 照明操作:吉村愛子 ヘアメイク:前原大祐 衣裳部:山本満穂 橋本加奈子 大道具制作:C-COM舞台装置 小道具:高津装飾美術(株) 運搬:(株)マイド 宣伝美術:図工ファイブ 宣伝写真:TALBOT. 宣伝写真ヘアメイク:高橋真弓(PRELL) 舞台写真:田中亜紀 稽古場助成:財団法人セゾン文化財団 助成:文化芸術振興費補助金 主催:イキウメ/エッチビイ株式会社
【発売日】2010/03/20 前売り3,800円 当日 4,000円(全席指定・税込み)
http://www.ikiume.jp/plankton.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年05月10日
タカハ劇団『パラデソ』05/02-11小劇場 楽園
タカハ劇団は高羽彩さんが作・演出する作品を上演するプロデュース集団です。第6回公演ということで、いつもながら出演者が個性派ぞろい。
ネット上の情報やクチコミなどから、私が得意ではない“お葬式の話”だと聞いていましたが、苦手な方向性ではなかったので心配無用でした。上演時間は約2時間弱。
⇒CoRich舞台芸術!『パラデソ』
≪あらすじ≫
静岡の小さな居酒屋。深夜に葬式帰りの一行がやってきた。彼らはかつて、ある新興宗教団体に所属していたのだが、当時の仲間の1人が死んだらしい。
≪ここまで≫
装置はリアルな居酒屋。劇場も客席も巻き込んでくれてウキウキしました。
“お葬式もの”というと、お通夜に久しぶりに集まった人々が死んだ人の思い出話をする内に、徐々にその人の生前のことがわかってくる、過去の謎が解けてくる・・・というパターンが多い気がします。
でもこの作品では再会した人たちに焦点が当てられ、居酒屋にいる時間(=今)が大切に描かれているように感じました。いなくなった誰か及びその人を知っていた人たちの過去の話を聴かされるのではなく、目の前に居る身近な人々のすったもんだを、前のめりに見ていることができました。
終演後は一般客に飲み物を販売して、キャスト・スタッフとの語らいの場を設けてくれていました。観客も舞台に上がれるのは楽しいですね。
ここからネタバレします。
みんなが喪服の中、今も教団に残っている四方田(古木知彦)だけが白い衣裳(教団の制服?)で、言動も突飛なのでとても目立ちます。“彼だけが変わった人”という状態から、“彼もまた私たちと同じ人間”という段階に進んだところが観たいなと思いました。個人的に、彼にもっと近しい気持ちをいだきたかったですね。
小さい店での激しい乱闘や、突然始まる空気を読まない選曲のカラオケなど、盛り上がる仕掛けがたくさんあるコメディーでした。でも私が観た回については、少々わざとらしさが気になりました。
教団をやめた仲間が、それぞれにスプーン曲げや透視、霊写などの超能力を持っていたのが可笑しかったです。
第6回公演
出演:瓜生和成(東京タンバリン) 町田水城(はえぎわ) 大佐藤崇 古木知彦 内田亜希子 石澤美和 異儀田夏葉(ヨシロォの夏は夢叶え冒険団) 高野ゆらこ(毛皮族) 笹野鈴々音
脚本・演出:高羽彩 舞台監督:藤田有紀彦 照明:吉村愛子 照明操作:保坂真矢 音響:角張正雄 衣裳:車杏里 衣裳協カ:よちこ フライヤーデザイン:サノアヤコ 運営:安田裕美・たけいけいこ 制作統括:赤沼かがみ(G-up) 企画・製作:タカハ劇団
前売り/当日共 3300円(全席指定) ペアチケット 6000円(タカハ劇団でのみ取扱)
http://www.takaha-gekidan.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年05月09日
世田谷パブリックシアター『日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~「老花夜想(ノクターン)」』05/07-09シアタートラム
『熱帯樹』『ポンコツ車と五人の紳士』に続いて太田省吾さんの戯曲『老花夜想(ノクターン)』を拝見。演出は中屋敷法仁さんです。上演時間は約1時間30分、だったような。
私が観た回についてですが、3作品とも客席は9割以上埋まっていたように思います。3年続けてこられた成果でしょうね。もちろん今回の3人の演出家やキャストの魅力もあると思います。
⇒History of 『日本語を読む』
⇒稽古場写真
⇒CoRich舞台芸術!『老花夜想』
≪あらすじ≫
月食の夜。ホテル月光には娼婦をもとめて男たちが訪れる。年老いた娼婦ハナは、ある男が再びやって来るのをずっと待っていた。
≪ここまで≫
変形ハの字に並べられたテーブル。そのテーブルとセットになったイスに腰掛けて本を読みます。たまにその周囲を歩く人物もありましたが、オーソドックスな朗読の形式でした。
台本をテーブルの上に出すことで登場したことを示すなど、いくつかのルールはありましたが、語り方や場面転換においてあまり特徴だった演出がなく、ちょっと退屈しちゃいました。
太田省吾さんのセリフがしっかりとある戯曲は初めてだったので、観られて(聴けて)良かったです。意味が読み取れずとまどうこともありましたが、詩のような、独り言のような、叫びのような、独特の言葉づかいが面白かったです。
私の戯曲の好みもあると思いますが、3つの中では『熱帯樹』が断トツに面白かったですね。発語の方法(声の大きさ、早さ、抑揚など)を工夫し、戯曲の独自の解釈にもとづいて、言葉の色、深み、味わいを作り出していました。照明、音響、選曲についても一番凝っていたように思います。何より登場人物が恐ろしい怪物のように(見たことのない巨大な熱帯樹のように)見えたことが、私にはすごく良かったです。あ、『熱帯樹』の感想になっちゃいました。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
司会:矢作勝義(世田谷パブリックシアター) ゲスト(左から):中屋敷法仁 柴幸男 谷賢一
中屋敷さんは26歳、柴さんは27歳、谷さんは「あさって28歳になる」とのこと。
これからの劇場に何を望むかという質問に対する3人のお答えが、それぞれの個性をよく表しているように思い、とても興味深かったです。
以下、私が受け取った内容です。※実際の発言とはかけ離れています。
谷「上演と合わせてレクチャーなどをもっと充実させてはどうか。自分は受講者にも講師にもなりたいし、もっと勉強したい。」
柴「世田谷パブリックシアターおよびシアタートラムは、世田谷線と田園都市線とほぼ直結する素晴らしいロケーションにある。劇場の中にいる作り手と観客、そしてそれを見かける外部の人(劇場に来たことのない人)が、交わるきっかけを生むことを前提とした公演をしてみたい。」
中屋敷「劇場がアーティストを抱えるといいと思う。今は劇場と芸術団体とはお互いに利用しあう関係にあるが、もっと(共犯関係を結ぶように)密接にかかわり合っていいのではないか。そして劇場を支援してる観客も、積極的に(劇場や団体に)意見をするなどしてかかわって欲しい。」
出演:内田淳子/粕谷吉洋/久世星佳/谷川昭一朗/中村美貴/ベンガル/宮田早苗/吉見一豊 ※出演者は五十音順
脚本:太田省吾 演出:中屋敷法仁(柿喰う客) 舞台監督:鈴木章友 照明プラン:三谷恵子 照明操作:大屋惠一 音響プラン:小笠原康雅 音響操作:中田摩利子 遠藤瑶子 プロダクションマネージャー:福田純平 道具製作:水森利明 衣裳:三茶小町 小道具協力:高津映画装飾株式会社 法務アドバイザー:福井建策 営業:鶴巻智恵子 吉兼恵利 広報:宮村恵子 和久井彩 武井美津子 制作進行:相見真紀 制作:穂坂智恵子 矢作勝義 大下玲美 菅原力 内田安紗子 [主催] 財団法人せたがや文化財団 [企画制作] 世田谷パブリックシアター
【休演日】5/8【発売日】2010/04/04 一般 各作品1,000円 高校生以下500円(劇場チケットセンターのみ取扱い、年齢の確認できるもの要提示) TSSS 500円
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/05/3_1.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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世田谷パブリックシアター『日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~「ポンコツ車と五人の紳士」』05/06-08シアタートラム
『熱帯樹』に続いて『ポンコツ車と五人の紳士』を拝見。別役実さんの戯曲を柴幸男さんが演出されます。
やはり役者さんが豪華ですね~。ベンガルさんと谷川昭一朗さんが隣で本読みをされているだけで、ウキウキしました。
⇒History of 『日本語を読む』
⇒稽古場写真
⇒CoRich舞台芸術!『ポンコツ車と五人の紳士』
下手に音響、照明スタッフ、上手にト書きを読む演出助手と演出の柴さん。そして中央に読み手の5人という配置。役者さんは床に座ります。
気持ちのいい間をとってトボけた会話が続く、ほんわかいい雰囲気の朗読でした。くだらないことをグダグダ話している紳士5人ですが、徐々に時間の感覚が曖昧になり、存在さえも不確かになっていきます。
ここからネタバレします。
紳士たちは5人いたけれど、もしかすると1人しかいなかったかもしれない、いや、初めから紳士なんていなかったかも・・・とまるでSFのような不思議さ。
「誰か1人がいなくなったら、あとの4人がそれを憶えている」と確認する紳士たち。それ(役者5人)を見守るスタッフ、その舞台全体を見つめる観客・・・と入れ子構造になったように感じて、最後は人も車も何もかも消え去った不毛の地に、風が吹きすさぶ絵が浮かびました。
『熱帯樹』で使われたソファーやテーブルなどの家具が、舞台奥に積み上げられていたのも面白かったです。
出演:粕谷吉洋/谷川昭一朗/玉置孝匡/福士惠二/ベンガル ※出演者は五十音順
脚本:別役実 演出:柴幸男(ままごと) 演出助手:平田暁子 舞台監督:鈴木章友 照明プラン:三谷恵子 照明操作:大屋惠一 音響プラン:小笠原康雅 音響操作:中田摩利子 遠藤瑶子 プロダクションマネージャー:福田純平 道具製作:水森利明 衣裳:三茶小町 小道具協力:高津映画装飾株式会社 法務アドバイザー:福井建策 営業:鶴巻智恵子 吉兼恵利 広報:宮村恵子 和久井彩 武井美津子 制作進行:相見真紀 制作:穂坂智恵子 矢作勝義 大下玲美 菅原力 内田安紗子 [主催] 財団法人せたがや文化財団 [企画制作] 世田谷パブリックシアター
【休演日】5/7【発売日】2010/04/04 一般 各作品1,000円 高校生以下500円(劇場チケットセンターのみ取扱い、年齢の確認できるもの要提示) TSSS 500円
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/05/3_1.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年05月07日
芸団協セミナー2010「海外研修サポートセミナーVol.2研修報告会『「演劇人にとって海外で研修するということ』」03/26芸能花伝舎1-1
海外研修サポートセミナーVol.2
前回に続き芸団協セミナーに伺いました。ゲストは劇作家・演出家・俳優であり、劇団阿佐ヶ谷スパイダース主宰の長塚圭史さん。昨年ロンドンで約1年間(350日間)の研修をしてこられました。
研修を経て新作『アンチクロックワイズ・ワンダーランド』を発表されたばかりの長塚さんの、熱の入った力強い語り口、そして演劇を信じる言葉に勇気づけられました。大堀久美子さんのスムーズな進行のおかげもあり、2時間みっちり、とても貴重で面白いお話を聴くことができました。以下、私がメモしたことのまとめです。
■海外研修サポートセミナーVol.2研修報告会
「演劇人にとって海外で研修するということ」
ゲスト:長塚圭史(劇作家・演出家・俳優)
進行:大堀久美子(フリーエディター)
※このセミナーは札幌・仙台・大阪・広島・福岡の全国5か所でネット中継されました。東京会場以外に、70人の方が参加されていたそうです。
■ロンドンに決めた理由/ナショナルシアターStudioという恵まれた場所
長塚「研修先をロンドンに決めたのは、自分がアイルランドの作家マーティン・マクドナーの戯曲を演出したことが大きい。また、ニューヨークやパリは好きなんだけど、面白すぎるのはだめな気がして。ロンドンは暗いし曇ってるし、いい思い出もないし。自分をそういう場所に追い込むことが必要な気がしたから。それに自分がアメリカよりもイギリスの作品を好きなのもある。例えば『スウィーニー・トッド』とか。」
長塚「演出家のデイヴィッド・ファー (David Furr) がいるリリック・ハマースミス劇場に行くことになっていた。でもデイヴィッドがRSCに行ってしまったので、自分が劇場に残ることができなくなった。それでナショナルシアター(国立劇場)が受け入れてくれることに(⇒写真)。国立劇場から徒歩10分ぐらい離れた場所に国立劇場のStudio(ストゥディオ)がある。ワークショップ(以下はWSと表記)など、アイデアを膨らませる作業ために使う場所。3つの部屋があり、1週間から2週間借りて活動できる。(その恵まれた環境に)驚愕した。」
長塚「国立劇場だから寄付金を得ているのもあるのだろうけど、Studioでの活動(WSなど)に役者やスタッフが15人必要なら、15人分の最低賃金をくれるのはすごい。前線で活躍しているアーティストが次々と集まってくる、とてつもない場所だった。ウエストエンドで上演される『War Horse』(←音が鳴ります)もStudioで育てられた。」
■自分からアプローチしないと何も実現しない
長塚「国立劇場の芸術監督は演出家ニコラス・ハイトナー(Nicholas Robert Hytner)。『ミス・サイゴン』の演出家であり、映画『クルーシブル』を撮っていたりもする。僕を推薦してくれた栗山民也さんに「とにかく稽古を見ろ!」と言われていたので、彼の稽古も見学した。」
長塚「自分自身でアプローチしないと何も実現しない。「この舞台を観たい」「稽古を見たい」「部屋を借りたい」「WSをやりたい」など、何でも自分で交渉しないと進まない。もちろん英語で(笑)。」
長塚「とにかく英語ができないとだめ。制作の人からは恐ろしいほどプレッシャーをかけられた。彼らは基本的にめちゃくちゃ忙しいから厳しい。(僕の英語がおぼつかないのもあって)話している途中で無視されたりね(苦笑)。Studioにはテクニカルスタッフがいて、彼らとはとてもウマが合った。やはり制作者よりクリエイションに関わる人の方が話しやすかった。」
■自分でワークショップを開催
長塚「さぼってたらいくらでもさぼれちゃうから、自分にプレッシャーをかけていかないと。何もしないままでは馬鹿にされる。自分で何かを始めてみようと思い、1月から準備して3月にWSを開始した。」
長塚「Studioで井上ひさし作『父と暮せば』と三好十郎作『胎内』を使ってWSをやった。イギリス人の日本に対する興味は想像以上に低かった。広島は知ってても長崎は知らないとか。今の日本を語るためには、まず第二次世界大戦のことから始めないとと思っている。」
長塚「日本人とイギリス人は、まず人と人との距離感が違う。例えば日本人の僕はハグがうまくできないとか(笑)。イギリスの俳優に日本人の距離感をうまく理解してもらえないだろうかと思って、畳やちゃぶ台を用意し、日本の朝の風景のエチュード(即興演劇)などを少しずつ進めた。」
長塚「彼らはアメリカ英語がとても嫌いで、話すのを嫌がる。手に入れた『父と暮せば』の戯曲はアメリカ英語で書かれていたので、イギリス英語に直すのがまず大変。毎日1時間ぐらいその作業をした。噂にたがわぬ議論好きだから、議論はいつも長くなる。」
長塚「1週間後に発表会をした。WSでフィジカリティ(身体性)に日本の感覚を落としこんで、本番では装置をイギリスの家に全部取り換えた。『父と暮せば』の登場人物の名は“タケゾー”と“ミツエ”だが、装置も衣裳もイギリス風なので、イギリスで起こったことのように見えた。でも身体性は日本人なので、その向こうに日本が、広島が見えた。とても演劇的だった。」
■イギリスの俳優
長塚「イギリスの俳優は積極的。仕事がない時でも、いつでも勉強しているし、常に探っている。彼らは必ず万全の状態で稽古場にやってくる。芝居が生活の中に組み込まれているのが彼らのスタンス。公演のためだけに俳優をやっているわけじゃない。演出家として、俳優のそういう姿勢はとても嬉しい。」
長塚「夏に2人の俳優と3度目のWSをした。題材は2000年に書いた『侍』という一人芝居。参加者の1人ダニエル・ワイマンは今売り出し中の俳優で、年齢は僕より1つか2つ下ぐらい。彼は「テレビの仕事が終わったから何かやろう!」と言ってきた。「常に勉強」とも言っていて、電車に乗っていても「あそこにいる人の動きが面白い。あれを取り入れてみよう」など、延々と演劇の話をするタイプ。」
長塚「アマンダ・ローレンスという女優は、休みの日に女優を集めてリーデイングをやっている。勉強のために。僕が住んでいたアパートにいたおばあちゃんも、何人かで集まってストーリーテリングの勉強会をやっていた。そうやって常に練習している。」
■イギリスの制作者・劇場関係者
長塚「ゲートシアター(ザ・スズナリより小さい劇場)で『ワーニャ叔父さん』を観た。そこの芸術監督は26~7歳のとても若いナタリーという女性。寄付金を集めたり、しっかり運営していた。」
長塚「バタシーアートセンター(Battersea Arts Centre)という元市庁舎だった建物。300部屋もあり、アーティストの交流が激しい。そこの芸術監督(Artistic Director of BAC in London)であるデイヴィッド・ジョブ(David Jubb)は、劇場をいかに素晴らしい空間にするかに興味を持っていた。プログラムを決める芸術監督というよりは、人と人とをつなげて最高の出会いをさせて、育てていくことに興味がある。つまり商業的なものとは正反対。」
■イギリスの劇場
長塚「イギリスの劇場の在り方に感銘を受けた。それぞれの劇場が熱くて(熱気があって)、人々が交流できる場所だった。夏には野外フェスティバルがあり、観客じゃない人もいっぱい集まっている。常にコンサートが開かれていたり、若い人が新しいことを試していたり。国立劇場ではいつも新しいものが生まれ、上演されているし、電光掲示板で今やってる演目を宣伝している。情報の発信の仕方が日本とは全然違う。」
長塚「芸術監督のニコラス・ハイトナーは「(国立劇場は)国民のための最大のマーケットでありたい」と言っていた。彼は新作も古典もどんどん演出している。彼が演出したイギリスの移民の歴史をひもといた作品は、色んな民族をひどく悪く言う芝居で(笑)、劇場にはものすごい苦情が来た。でも彼は常に攻めの姿勢だった。彼は「劇場が強くあれば演劇は育つ」と思っている。自分の理論を持っている。芸術監督は名誉もあるが大変な仕事。」
長塚「“劇場が強くあること”“そこに人が集まること”。僕はいい場所で作品を作っていきたいし、日本のプロデューサーや劇場関係者に、演劇を文化としてとらえる熱意があればいいなと思いました。」
↑Royal National Theatre, London from Waterloo Bridge 劇場公式サイトより。
■帰国後の新作『アンチクロックワイズ・ワンダーランド』
長塚「“帰国後第一作目”とかプレッシャーをかけられて、すごく嫌だった(笑)。そうするとますます不親切なことを、凶暴な形でやりたくなってしまうんですよね。」
長塚「『アンチクロックワイズ…』は物語を書くことに興味を失ってしまった1人の作家の話。書き手として僕はストーリー・テリングが好きな分、次から次に現代の新しい物語を作ろうとしてきたけれど、どこか物足りなさを感じていた。時間や存在について考え始めていた。」
長塚「思い切って今回は演出部(のスタッフ)なしで稽古をした(不況というのもあったけど)。俳優が演技もし、セットも動かした。片付けるのも俳優。本番が近くなってから、俳優が演出部にセットの動かし方を教えた。そうすると演出部のヤル気もすごく増す。僕はスタッフも限りなく作品の一部だと思っている。」
■「本当に僕は演劇が豊かだと思う」
長塚「舞台を観る時は、観客も舞台に参加しなきゃいけないんじゃないかと思って。これは悪くない考えだと思う。良い悪いに関係なく、舞台から何かをもらうのだから。劇場において、観客とともに、観客なしには成立しない演劇を作りたい。」
長塚「ペットボトルの水を手に持って“これが妻です”と言ったら、それが成立してしまうのが、演劇。本当に僕は演劇が豊かだと思う。何もないところから作り上げられるのだから。そこに一度、大きく立ち戻れたことが良かった。観客にはその(演劇の虚構を受けとめる)準備ができているはず。そこに面白さを感じる。」
長塚「幸い僕は(日本の)大きな劇場で作品を作ったり、素晴らしい体験をさせてもらった。今後もエンタメをやりたい気持ちはある。でも忙しくなると見えなくなることもある(忙しい時:「もっとくれ!もっとくれ!」と言われ続けてるような、周囲の要求に歯止めが利かない状態。)。演劇とは何だろうと考えながらやっていきたい。常に原点に戻って作り上げていく。そこを怠らずに芝居に向かっていきたいと思った。」
■これからの劇場・プロデューサーについて
長塚「僕が研修に行ったのが国立劇場だったのもあって、「日本の国立劇場はどうなの?」って尋ねられるんですよね。日本の国立劇場というと新国立劇場なんですが、僕はもっと宣伝をして欲しいです。新国立劇場でやる演劇はちゃんと値段も高くないし、もっと多くの人が来てほしい。最近、鵜山仁さんが僕と同世代の若い人たちと色々やったりしていました。日本の演劇を観に、年齢問わず人が集まる場所にしてほしい。」
長塚「例えば野田秀樹さんが芸術監督になった東京芸術劇場など、最近は新しい試みにあふれていていいと思う。劇場同士がお互いに強い刺激を受ければいいし、そしていいコネクションを作っていけばいいんじゃないか。そこからさらに上へ、上へと活動していけば、地域も活性化すると思う。若い演劇人が芸術監督になって、活動の中心に立って盛り上げていけばいい。きっと面白くなるだろう。あせらずに、意識しながら現状を変えていってほしい。」
長塚「これは僕の勝手な意見ですけど、日本の映画の才能や歌舞伎の才能が演劇で交わり、その公演に山ほど客が入った時代はもう終焉を迎えると思う。今はいい時期に入ってきている。プロデューサーの人たちは、そのいい時期を逃さないでほしい。有名俳優が出てるスター・システムも大事だけれど、“色んなキャスト・スタッフを集めてカンパニーを置きました(座組みを作りました)”というところで終わらないで、そこから何を見せるかに突っ込んでいってほしい。」
長塚「難しいことだけれど、まず、どの作品をどういう風にやるのかを徹底的に話して、そこから作品を作りはじめる座組み(がいいと思う)。そのためには1つ2つ、早めに手を打たないとだめだけど。プロデューサーは作る段階に関わって、そういうことを、きちんとしていかないといけないんじゃないか。」
長塚「あわただしい日本の芝居の作り方も、それはそれで好きだし、否定する気もない。でも弱い企画や危い公演も多い。制作者が厳しい気持ちを持って欲しい。はっきりとした意見を交換できないプロデューサーだと、芝居の世界が豊かになるのに時間がかかるのではないかと思う。」
長塚「劇場に交流の場が欲しい。人がワッと集まれる空間があるといい。ロンドンの劇場もそうだし、ベルリンもそう。多くの劇場関係者がそのように思ってくれたらいいなと思います。」
※「プロデューサー」と「制作者」について。名称は違うものの、ここでは同じ仕事を指していると思います。
■留学中の具体的な収穫例
・戯曲
長塚「仕入れてきた戯曲をパルコ劇場でリーディング上演します。『ビリー・エリオット』というミュージカルをつくった、リー・ホールという劇作家の一人芝居。」⇒2010年4月上演『スプーンフェイス・スタインバーグ』
・子供のための演劇
長塚「3歳までの子供ための芝居を観ました。感激しますね。僕が観たのは“地球を作っていく”ことを表現した作品。見る力、想像力を徹底的に考えたつくりになっていて、大人も楽しめるものだった。質の高い作品が地方の小さなところで上演されている。子供のころから、いかに演劇がそばにあるのかがわかる。」
■これから留学される方へのアドバイス
長塚「イギリスに行くなら英語!僕はとにかく英語に苦労しました。英会話学校でネイティブの先生に習っていて、「お前の英語は大丈夫だ」と言われたのに、いざロンドンでおばさんに道を尋ねてみたら、そのおばさんの英語が全く聴き取れなかった(苦笑)。クイーンズ・イングリッシュじゃないとだめなんですよね。」
長塚「“1年”という期間を意識しない方がいい。自分からリミットを数えてしまうから。向こうの人間は当然ながら、そんなこと全然考えずに接してくる。意識し過ぎるとあわててしまい、からまわりしちゃう可能性がある。だからあせりすぎないで、ドンとかまえていた方がいい。自分の興味は移り変わるものだから、それ(移り変わる興味)に乗っかっていった方が面白いに決まってる。」
ネット中継:札幌・仙台・大阪・広島・福岡 3月26日(金)19:00-21:00
ゲスト:長塚圭史(劇作家・演出家・俳優 阿佐ヶ谷スパイダース主宰)/平成20年度文化庁新進芸術家海外留学研修員としてロンドンで研修 進行:大堀久美子(フリーエディター) 司会:米屋尚子(芸団協)
主催:社団法人日本芸能実演家団体協議会 共催:社団法人日本照明家協会 /日本舞台美術家協会(vol.1) 社団法人日本劇団協議会 (vol.2) 協力:文化庁芸術家在外研修員の会/NPO法人FPAP Arts Managers' Net 広報協力:社団法人日本劇団協議会/日本舞台音響家協会/日本舞台監督協会(いずれもVol1.) 助成:平成21年度文化庁芸術団体人材育成支援事業 社団法人私的録音補償金管理協会(sarah)
参加費2,000円(茶菓代を含む。) 事前に必ずお申込みください。
http://www.geidankyo.or.jp/12kaden/04pro/manage/kaigai10vol12.html
http://www.fpap.jp/netseminar/2010/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
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世田谷パブリックシアター『日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式 による上演~「熱帯樹」』05/05-08シアタートラム
シアタートラムでのリーディング公演です。毎年5月のお約束になってきました。今年も若手演出家が3人取り上げられ、キャストが豪華です。1000円はお得!
トップバッターの谷賢一さんが演出される三島由紀夫戯曲『熱帯樹』を拝見。リーディングなのに2時間40分(途中休憩10分を含む)という大作でした。エロティックで濃厚で良かった~。
⇒History of 『日本語を読む』
⇒稽古場写真
⇒CoRich舞台芸術!『熱帯樹』
レビューは記録程度です。
≪設定≫
父(吉見一豊)、母(久世星佳)、兄(石母田史朗)、妹(中村美貴)の4人家族、そしておば(松浦佐知子)が暮らす家。
≪ここまで≫
官能的な部分が強調されていてとても面白かったです。特に母と兄のやりとりにはゾクゾクしました。
★「老花夜想(ノクターン)」のレビューより↓
私の戯曲の好みもあると思いますが、3つの中では『熱帯樹』が断トツに面白かったですね。発語の方法(声の大きさ、早さ、抑揚など)を工夫し、戯曲の独自の解釈にもとづいて、言葉の色、深み、味わいを作り出していました。照明、音響、選曲についても一番凝っていたように思います。何より登場人物が恐ろしい怪物のように(見たことのない巨大な熱帯樹のように)見えたことが、私にはすごく良かったです。あ、『熱帯樹』の感想になっちゃいました。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫ 記録程度です。
出演:プロデューサーの楫屋一之さん、演出の谷賢一さん
谷「この戯曲には三島の性や死に対する美学が凝縮されている。」
谷「(演出についての問いに答えて)エッチにしたいなと思った。」
谷「昭和の文豪の文体には英語的なところがある気がする。明治の夏目漱石や二葉亭四迷だとむしろ江戸時代風で、たとえば落語のような言い回しがあったりする。でも昭和になると西洋文学の要素(メタファー、隠喩、比ゆなど)を、日本語の美しさに落とし込んでいる、そんな要素があるのではないか。」
出演:石母田史朗/久世星佳/中村美貴/松浦佐知子/吉見一豊
脚本:三島由紀夫 演出:谷賢一(DULL-COLORED POP) 舞台監督:鈴木章友 照明プラン:三谷恵子 照明操作:大屋惠一 音響プラン:小笠原康雅 音響操作:中田摩利子 遠藤瑶子 プロダクションマネージャー:福田純平 道具製作:水森利明 衣裳:三茶小町 小道具協力:高津映画装飾株式会社 法務アドバイザー:福井建策 営業:鶴巻智恵子 吉兼恵利 広報:宮村恵子 和久井彩 武井美津子 制作進行:相見真紀 制作:穂坂智恵子 矢作勝義 大下玲美 菅原力 内田安紗子 [主催] 財団法人せたがや文化財団 [企画制作] 世田谷パブリックシアター
【休演日】5/6,7【発売日】2010/04/04 一般 各作品1,000円 高校生以下500円(劇場チケットセンターのみ取扱い、年齢の確認できるもの要提示) TSSS 500円
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/05/3_1.html
ゴジゲン『アメリカン家族』04/29-05/02吉祥寺シアター
ゴジゲンは松居大悟さんが作・演出・出演される劇団です。劇団といっても所属しているのは松居さんと俳優の目次立樹さん、プロデューサー、制作のみですので、プロデュース団体といっていいかもしれませんね。
「CoRich舞台芸術まつり!2010春」審査員として拝見しました(⇒91本中の10本に選出 ⇒応募内容)。※レビューはCoRich舞台芸術!に書きます
⇒CoRich舞台芸術!『アメリカン家族』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
朝起きたら母がいなくなっていた。
父は何も言わずにビチョビチョのご飯を出して、ボクは息を止めて全部食べた。
もう家には嫌いな人しかいない。
唯一の救いは、互いに嫌い合っていることを全員がわかっているということだ。
そんな気まずい空気の中、目の前に広げられた小粋なケーキや素敵なプレゼント。
ボクはずっと床の木目を見つめていた。
祝う気なんかないクセに。
こうして誰からも望まれない誕生日パーティーが始まった。
バラバラの家族が取り繕う、バレバレの一家団欒。
家族なんだけど!いつか殺す!!
最低な善意が暴走する、救いようのないホームコメディ。
凍りついてこそ家族だ。
≪ここまで≫
第8回公演
出演:安藤聖 奥村徹也 加賀田浩二(飛ぶ劇場) 島田曜蔵(青年団) 津村知与支(モダンスイマーズ) 土佐和成(ヨーロッパ企画) 東迎昂史郎 松居大悟 目次立樹 吉牟田眞奈(THE SHAMPOO HAT)
脚本・演出:松居大悟 舞台監督 / 川除学+至福団 舞台美術 / 片平圭衣子 小道具:高津映画装飾 照明 / 伊藤孝(ART CORE) 照明操作 / 上原皓介 音響 / 鏑木知宏+角田里枝 音楽 / 森優太 映像 / 大見康裕 衣裳 / 本間圭一 横田真理 演出助手 / 久保大輔 演出補佐 / 青木直也 西岡知美(カミナリフラッシュバックス) 演出部:上嶋倫子 宣伝美術 / 今城加奈子 WEB / 飯塚美江 後輩 / 橋爪知博 制作 / 半田桃子 武藤香織 プロデューサー / 北川隆来 企画製作 / ゴジゲン
【発売日】2010/03/20 前売り3,000円、当日3,500円、学割2,000円
http://www.5-jigen.com/
「CoRich舞台芸術まつり!2010春」最終選考作品
http://stage.corich.jp/festival2010/detail.php?stage_main_id=10216
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年05月06日
【稽古場レポート】チェルフィッチュ『ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶』04/06急な坂スタジオ
岡田利規さん
岡田利規さん(⇒プロフィール ⇒ブログ)が作・演出されるチェルフィッチュの新作『ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶』の稽古場に伺いました(過去の主なレビュー⇒1、2、3)。
チェルフィッチュの先鋭的で独自性の高い演劇作品は、海外でも大いに注目されており、『ホットペッパー・・・』はドイツのHAU劇場との共同制作で2009年10月にベルリンで初演されました。今年5月の東京公演で日本初上演を迎え、その後はブリュッセルをはじめ国内外10都市ツアーに出発します。
岡田さんの稽古場に伺ったのはこれが2度目(⇒1度目)。前回同様、同じ場面を何度も繰り返す厳しい現場でした。でも1度目と圧倒的に違ったのは、稽古を見ながら、私が何度も涙がにじむほど爆笑してしまったこと!(笑)
膨大な現代口語のセリフで紡がれるチェルフィッチュならではのお芝居ですが、前作とは打って変わって、とぼけた妙味がたまらないクールなダンス作品になっていました。おしゃれの街、原宿で観るのにぴったりの演目だと思います。
チラシ
■チェルフィッチュ『ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶』
⇒公演公式ページ
期間:2010年5/7(金)~19(水)
会場:ラフォーレミュージアム原宿(⇒詳細)
今後のツアー先⇒ブリュッセル、リスボン、ハノーバー、ウィーン、バルセロナ、チューリッヒ、ハンブルグ、リュブリアナ、パリ、京都
チケット販売⇒プリコグWEBショップ
⇒岡田利規インタビュー by 佐々木敦(2010年)
⇒CoRich舞台芸術!『ホットペッパー…』
『ホットペッパー・・・』はタイトルどおり、「ホットペッパー」「クーラー」「お別れの挨拶」の3つの短編をつなげて1つに構成された作品です。「ホットペッパー」と「クーラー」は過去に日本で上演されたバージョンを改訂・拡張したもので(過去レビュー⇒1、2)、「お別れの挨拶」は日本初登場。今回は「ホットペッパー」と「お別れの挨拶」の稽古を拝見しました。
「ホットペッパー」に登場するのは、オフィスで働く若い派遣社員たち。「退職するエリカさんの送別会の料理は何がいいか」「送別会の幹事は本来、正社員の仕事ではないか」等、ともすれば愚痴やわがままにしか聞こえない個人的な主張を、3人それぞれが一方的につらつらと繰り返します。
それだけでも滑稽なのですが、そこでずっと流れているのがジョン・ケージ(⇒Wikipedia)の楽曲なのです。前衛的なピアノの調べと語られる内容のギャップ、そしてとぼけた身体表現との三つ巴のアンバランスさが、とんでもなく可笑しくて楽しい!
【写真↓左から横尾文恵さん、武田力さん】
踊り(伝統芸能、バレエ、ダンスなど)の“振付”というと、あらかじめ決められた動きを体得して、本番も稽古どおりに踊ることをイメージします。でもこの作品の身体表現については固定された動きが非常に少なく、岡田さんは「動きは毎回違ってもいい。自分の中でアレンジしてカスタマイズしてもいい。」と強調されていました。
岡田「演技をしながら音楽も聴いていて下さい。大事なのは音をキュー(きっかけ)としてではなく、音楽としてとらえていること。音とからみ続けること。もっと曲と懇ろ(ねんごろ)になって。」
岡田「音楽と足がじゃれて戯れているのがいい。進むために歩くのじゃつまらない。段取りに律儀なのはもったいない。そこを超えて欲しい。」
【写真↓伊東沙保さん】
「お別れの挨拶」はゴージャスなジャズのBGMにのって、1人の女優さんがしゃべりっぱなし、動きっぱなしの数十分間! 女の子らしい妄想をめいっぱい盛り込んだユーモラスな“挨拶”は、話題をあちこちにとっ散らかしながら、秘めた恋や渇いた人間関係もじわりと浮かびあがらせます。狙いを定めた切なさにグっと来ました。
そして今回拝見した俳優全員に当てはまることですが、セリフをしゃべりながら音楽を聴いて踊ってと、同時に複数のことを行う技術には目を見張ります。
【写真↓南波圭さん】
約4時間の稽古で痛切に感じたのは、チェルフィッチュの作品に出演する俳優には、強い自立性と柔軟な即興性が求められるということ。1人で40分以上立ったまま語り、動き続けた俳優もいましたので、体力はもちろん精神的な強さも必要です。岡田さんはある俳優に「前に進もうとしてるのがいい。先取りしてるのもいい。攻めてるのが良かった。」とも発言されていました。つまり主体的に作品を引っ張っていく、気力体力ともに充実した俳優でなければ務まらないんですね。
岡田「最初から最後まで通った筋が欲しい。そしてその軸をキープして。ペースを自分で握っていて。」
岡田「コンセプトの提示だけだとつまらない。それ以上のものになった時、それはパフォーマンスになり得る。」
地道でストイックな稽古の蓄積から、密度の高い“パフォーマンス”が生み出されていました。音楽と俳優とのコラボレーションだけでも満腹だったのに、本番ではそこに照明が加わると思うとぞくぞくします!そして、そんな舞台と観客とのコミュニケーションが空間に満ちれば、未知の体験ができるのではないでしょうか。
【舞台写真】2009年10月@Hebbel Am Ufer/HAU劇場(ベルリン) (c)Dieter Hartwig
chelfitsch " Hot Pepper, Air Conditioner, and the Farewell Speech "
≪モデナでプレビュー、ベルリンで初演。東京、ブリュッセル、リスボン、ハノーバー、ウィーン、バルセロナ、チューリッヒ、ハンブルグ、リュブリアナ、パリ、京都≫
出演:山縣太一、安藤真理、伊東沙保、南波圭、武田力、横尾文恵
脚本・演出:岡田利規 共同制作:HAU劇場
【休演日】5月13日【発売日】2010/03/20 前売3500円/学生3000円/当日4000円(日時指定、入場整理番号付き自由席)
http://chelfitsch.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年05月05日
モジョ ミキボー上演委員会『モジョ ミキボー』05/04-30 OFF OFFシアター
文学座所属の俳優である浅野雅博さんと石橋徹郎さんの企画。『モジョ ミキボー』はアイルランドの劇作家オーウェン・マカファーティさんの2人芝居です(⇒過去レビュー)。演出は新国立劇場芸術監督の鵜山仁さん。上演時間は約1時間20分。
豪華キャスト・スタッフによる小空間公演に大いに期待して初日を拝見したところ、すっごく面白かったです!!2人で17人の登場人物をくるくるコミカルに演じ分けるアクティブなお芝居ですが、ふとした隙に深いテーマを突き付けられ、涙しました。美術、音楽、照明のコンビネーションも凝っていて贅沢!※美術は文学座の乗峯雅寛さん(⇒関連記録)
OFF OFFシアター(約80席)で一ヶ月のロングランというと『夜光ホテル』がありましたよね。『夜光ホテル』の終盤は完売続出になっていましたので、チケット予約はお早めに!5月7日(金)まではなんと前売り2000円(全席自由)です!!その後は3,500円(全席指定)ですが納得価格です。
⇒CoRich舞台芸術!『モジョ ミキボー』
レビューは記録程度。
舞台は『シュート・ザ・クロウ』と同じく北アイルランドのベルファスト。無邪気な少年モジョ(浅野雅博)とミキボー(石橋徹郎)と彼らの家族の日常を、子供の視点から描きます。
ここからネタバレします。
映画「明日に向かって撃て!(Butch Cassidy and the Sundance Kid)」のカウボーイ2人組。
オーストラリア移住の夢。
爆弾テロでミキボーの父親が即死。オレンジと緑に分かれた街の意味。
"Mojo Mickybo" - Owen McCaffetry
出演:浅野雅博 石橋徹郎
脚本:オーウェン・マカファーティ 翻訳:平川大作 演出:鵜山仁 美術:乘峯雅寛 照明:中山奈美 照明操作:阪口美和 音響効果:栗原亜衣 振付:洞至 新海絵理子 映像製作:池田暁 演出助手:斎藤栄作 舞台監督:乗峯雅寛 宣伝写真・宣伝美術:垣内敏秀 票券:奥井美樹 制作:橋本香苗 企画・製作:「モジョ ミキボー」上演委員会
【休演日】5/10,20【発売日】2010/04/04
5月4日(祝)~ 7日(金)2,000円(全席自由・前売当日共)
5月8日(金)~30日(日)3,500円(全席指定・前売当日共)
※小学生未満のお子様のご入場はご遠慮ください。※劇場の構造上、車椅子でのご入場はご遠慮ください。※開演後、ご入場できない時間帯、指定席を変更させていただく場合がございます。
http://ameblo.jp/mojo-mickybo/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年05月04日
大駱駝艦・壺中天公演『田村一行「オママゴト」』05/01-16大駱駝艦・壺中天
麿赤兒(まろ・あかじ)さん率いる大駱駝艦(だいらくだかん)の、壺中天(こちゅうてん)公演を拝見しました。大駱駝艦の作品を観るのは初めて。壺中天とは吉祥寺にある大駱駝艦の稽古場の名前です。
麿さん以外の艦員が演出する稽古場公演を、2001年から続けてらっしゃるんですね。『オママゴト』の振鋳・演出・美術を手掛けるのは田村一行さん。上演時間は約1時間30分。
⇒CoRich舞台芸術!『オママゴト』
アングラが苦手な私ですが、全然平気でした。全身白塗りでほぼ全裸で踊る舞踏という点では山海塾と似ていますが(山海塾主宰の天児牛大さんは大駱駝艦出身)、体のつくり、描こうとしている世界は違うんだなと思いました。ユーモアが素敵。
出演者は(白塗りなのではっきりとはわかりませんが)、20代から30代の若い方が多かったと思います。拠点を維持して、長年の蓄積を次世代へと確かに継承されているんですね。壺中天公演で演出ができるのは、5年以上の経験がある方に限られているそうです(制作さんに聞きました)。
開演前の前説で「レディースアンドジェントルマン・・・」と英語で話し始められました。日本の舞踏は外国人に人気で、シルク・ド・ソレイユの出演者も観に来られたとか。パンフレットも日本と英語の両方表記でした。インターナショナルな活動であることが前提なんですね。自分の視野の狭さを反省しました。
【場面表題】
I:タビノシタク
Ⅱ:ハザマ
Ⅲ:シノホウガク
IV:サンズウオ
Ⅴ:ソラヲヨム
Ⅵ:ハシワタシ
Ⅶ:オトドケモノ
鋳態:田村一行 村松卓矢、向雲太郎、松田篤史、塩谷智司、湯山大一郎、 若羽幸平、小田直哉、鉾久奈緒美、藤本梓、岡本彩、西森由美子
振鋳・演出・美術:田村一行 監修:麿赤兒 音楽:土井啓輔 衣裳:平岡容子 舞台監督:橋本まつり 照明:高桑晶子 音響:我妻恵美子 宣伝写真:松田純一 宣伝美術:木本園子 制作:山本良 プロデューサー:新船洋子 主催:キャメルアーツ㈱
【休演日】5月10日(月)・11日(火)【発売日】2010/04/02 前売2,500円・当日3,000円 (全席自由・日時指定)
http://www.dairakudakan.com
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2010年05月03日
メルマガ 2010年05月のお薦め舞台
お薦めお芝居をご紹介しています
2010年05月のお薦め舞台7本+αをご紹介します。
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“しのぶの演劇レビュー” Vol. 72 2010.05.01 1,532部 発行
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今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
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◎春なのに寒い日が続いて、いまだにセーターが手放せません・・・。
今月はゴールデンウィーク中も、めいっぱい観劇予定で埋まりそう!
舞台には、あなたの心を揺さぶり、
人生の輝きを増してくれる奇跡があります。
“今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪
◎メルマガのバックナンバー↓は全て公開しています。
http://archive.mag2.com/0000134861/index.html
○
○○ 今回のもくじ
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◆1【今月のお薦め10本+α】
◎No.1→新国立劇演劇『夢の泪』
05/06-23新国立劇場小劇場
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000212_play.html
◆2【先月のベスト3】
◎No.1→新国立劇場演劇『夢の裂け目』
04/08-28新国立劇場小劇場
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0411231056.html
◆3【2010年はソーントン・ワイルダー祭り?5月の注目は2公演】
◎名作『わが町』はこれから少なくとも3バージョン観られます!
◆4【「CoRich舞台芸術まつり!2010春」最終審査進行中! 】
◎5月は最終審査対象10団体中、5団体の上演があります。
http://stage.corich.jp/festival2010/result.php
◆5【編集後記】
◎今秋のフェスティバル・トーキョーの最新情報がWEBにアップ!
◎おすすめ舞台中継 on TV
◆6【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】
◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪
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◆1 【今月のお薦め8本+α】
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▽★印がいちおし公演です(3本)。
▽初日の早い順に並べています。
▽掲載内容:主催/冠名・『題名』・日程・会場・価格・URL
▽座種の記述がない公演は全席指定。
★1.新国立劇演劇『夢の泪』
05/06-23新国立劇場小劇場
☆出演:辻萬長/小林隆/福本伸一/石田圭祐/木場勝己/
三田和代/大和田美帆/土居裕子/春風ひとみ
脚本:井上ひさし 演出:栗山民也
A席:5,250円 B席:3,150円 Z席:1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000212_play.html
井上ひさしさんの東京裁判三部作の待望の一挙再演です。
当メルマガ1月、2月号のお薦め前売り情報に掲載していました。
『夢の裂け目』『夢の泪』『夢の痂(ゆめのかさぶた)』の3作品は
それぞれ独立していますので、どれか1つだけ観るのでも大丈夫。
●お薦めポイント●
4月の『夢の裂け目』でメルマガ号外↓を発行しました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0411231056.html
『夢の泪』、『夢の痂(ゆめのかさぶた)』の初演レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0103135751.html
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0702211236.html
『夢の裂け目』再演初日の翌日に、井上ひさしさんが亡くなられました。
今月は『ムサシ』も上演され、遺作『組曲虐殺』もテレビ放送あり。
2.劇団青年座『赤シャツ』
05/06-09本多劇場
≪東京、ほか≫
☆出演:今井和子、宇宙、高義治、横堀悦夫、小豆畑雅一、安藤瞳、
大家仁志、野々村のん、堀部隆一、田中耕二、チャールズ・レント
脚本:マキノノゾミ 演出:宮田慶子
一般5,000円 ネット予約4,800円
ゴールデンシート(65歳以上)4,500円 学生券3,500円
http://seinenza.com/performance/public/198.html
何度も再演されている青年座の財産演目です。夏目漱石作「坊ちゃん」の
悪役“赤シャツ”が主人公。私は2001年に拝見してとても好きでした。
東京公演はこれで最後とのこと。うらなり役の宇宙さんが気になります。
3.パルコ・プロデュース『裏切りの街』
05/07-30パルコ劇場
≪東京、大阪、福岡≫
☆出演:秋山菜津子 松尾スズキ 田中圭 安藤サクラ 古澤裕介
米村亮太朗 江口のりこ
脚本・演出:三浦大輔(ポツドール)
一般¥7,350 学生券¥5,000 ※未就学児の入場不可
http://www.parco-play.com/web/page/information/uragiri/
性や暴力をリアルに描写する三浦大輔さんが、パルコ劇場に初登場。
松尾スズキさんをはじめ好きな役者さんばかりなのでドッキドキ。
4.イキウメ『プランクトンの踊り場』
05/08-23赤坂RED/THEATER
≪東京、大阪≫
☆出演:浜田信也、盛隆二、岩本幸子、伊勢佳世、森下創、窪田道聡、
緒方健児、安井順平、大窪人衛、加茂杏子
脚本・演出:前川知大
前売り3,800円 当日4,000円
http://www.ikiume.jp/plankton.html
前川知大さんの新作です。赤坂レッドシアターという大人の小劇場で
イキウメの不思議世界を味わえるのは贅沢。追加公演あり。
5.燐光群『ザ・パワー・オブ・イエス』
05/10-23ザ・スズナリ
≪東京、大阪、愛知≫
☆出演:藤井びん 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋
田中茂弘 中山マリ 南谷朝子 松岡洋子 ほか
脚本:デイヴィッド・ヘアー 演出:坂手洋二
一般前売3,600円 ペア6,600円 当日4,000円
大学・専門学校生3,000円 高校生以下2,000円 ※未就学児の入場不可
http://www.alles.or.jp/~rinkogun/Next.html
英国で活躍する劇作家デイヴィッド・ヘアーの最新作、日本初演。
「世界経済危機」の深層に迫るドキュメンタリー・ドラマだそうです。
同時代の社会問題を扱った燐光群の翻訳劇のレビュー↓
『ワールド・トレード・センター』(2007年)
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/1021151811.html
『スタッフ・ハプンズ』(2006年)
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0117234551.html
『CVR チャーリー・ビクター・ロミオ』(2003年)
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/1106162706.html
6.劇団、本谷有希子『甘え』
05/10-06/06青山円形劇場
☆出演:小池栄子 水橋研二 安藤玉恵 広岡由里子 大河内浩
脚本・演出:本谷有希子
6,000円 ※未就学児の入場不可
http://www.motoyayukiko.com/performance/amae/
小説家としても大活躍の本谷有希子さんの新作です。
題材は「不道徳」と「夜這い」!円形劇場で濃い闘いを味わえそう。
7.グループる・ばる『高橋さんの作り方』
05/14-23あうるすぽっと
☆出演:グループる・ばる(松金よね子、岡本麗、田岡美也子)
中村まこと 児玉貴志 高尾祥子 伊藤毅
脚本:土屋理敬 演出:鐘下辰男
一般前売り4,500円 当日4,700円 学生3,000円
劇場会員割引などあり。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~lebal/2010nennkouenn.htm
女優3人ユニットの新作です。過去レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/1118114015.html
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0121222444.html
脚本の土屋理敬さんはアニメ脚本等でも活躍中。
8.彩の国さいたま芸術劇場『「ムサシ」ロンドン・NYバージョン』
05/15-06/10彩の国さいたま芸術劇場大ホール
☆出演:藤原竜也 勝地涼 鈴木杏 吉田鋼太郎 六平直政 白石加代子 ほか
脚本:井上ひさし 演出:蜷川幸雄
S席:10,500円 A席8,500円
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2010/p0515.html
初演レビュー
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0313204728.html
亡くなったばかりの井上ひさしさんの戯曲の再演です。「不戦」をつらぬく
井上さんの意志が込められているのだと思います。ロンドン、NY公演の
評判も気になりますね。小栗旬さんに代わって勝地涼さんが小次郎役。
9.アル☆カンパニー『家の内臓』
05/21-30 SPACE雑遊
≪新宿、川崎≫
☆出演:平田満、小林美江、西園泰博、橋本和加子、井上加奈子
脚本・演出:前田司郎(五反田団)
3,800円
http://www.aru-c.com/stage07.html
平田満さんと井上加奈子さんがご夫婦で企画・出演される劇団の新作。
五反田団の前田司郎さんの作・演出です。前回『罪』レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0427150947.html
『罪』は5/7深夜にNHKで放送されます。
http://www.nhk.or.jp/bs/mdstage/
10.文学座『麦の穂の揺れる穂先に』
05/31-06/09紀伊國屋サザンシアター
≪東京、兵庫、新潟、鎌倉、他?≫
☆出演:江守徹、金内喜久夫、坂口芳貞、高橋耕次郎、大場泰正 倉野章子、
藤堂陽子、山本道子、栗田桃子、永川友里、千田美智
作:平田オリザ 演出:戌井市郎
一般6000円 中・高校生2500円
父娘ペアチケット10000円(パンフレット付き)
ユースチケット3800円(25歳以下)
http://www.bungakuza.com/mugi/index.html
平田オリザさんが、小津安二郎の世界を題材に現代の父と娘を描く
新作を、文学座に書き下ろされました。演出は93歳の戌井市郎さん。
平田&戌井コンビの『風のつめたき櫻かな』レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0526222941.html
☆☆☆──────────────────────────────
前売3000円~3500円の気になる作品を5本ご紹介します。
──────────────────────────────☆☆☆
【1】渡辺源四郎商店『ヤナギダアキラ最期の日』
05/02-05ザ・スズナリ
≪青森、東京≫
☆出演:工藤由佳子 工藤静香 三上晴佳 工藤貴樹 宮越昭司
吉田唯 牧野慶一 山田百次 畑澤聖悟
脚本・演出:畑澤聖悟
前売一般3,000円、学生2,000円、高校生以下1,000円
当日一般3,300円、学生2,300円、高校生以下1,300円
http://www.nabegen.com/
青森を拠点に活動する劇団の新作。作・演出・出演の畑澤聖悟さんは
現役高校教師で、大注目されている劇作家です。
【2】青年団『革命日記』
05/02-16こまばアゴラ劇場
☆出演:能島瑞穂 能島瑞穂 福士史麻 河村竜也 小林亮子 長野海
佐藤誠 宇田川千珠子 海津忠 木引優子 近藤強 齋藤晴香
佐山和泉 鄭亜美 中村真生 畑中友仁
脚本・演出:平田オリザ
前売・予約・当日共(日時指定・全席自由席・整理番号付)
一般:3,500円/学生・シニア(65歳以上):2,500円/高校生以下:1,500円
http://www.seinendan.org/jpn/info/info100310.html
若手公演から劇団本公演に昇格した『革命日記』。レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0130234608.html
静かじゃない“静かな演劇”だった覚えあり(笑)。追加公演決定。
★【3】チェルフィッチュ『ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶』
05/07-19ラフォーレミュージアム原宿
≪東京、海外数か所≫
☆出演:山縣太一、安藤真理、伊東沙保、南波圭、武田力、横尾文恵
脚本・演出:岡田利規
前売3500円/学生3000円/当日4000円(日時指定、入場整理番号付き自由席)
http://chelfitsch.net/
岡田利規さん率いるチェルフィッチュのベルリン初演作の日本初公演。
今回はダンスの要素が強くなるのかしら?原宿でおしゃれに笑いたい。
『ホットペッパー』レビュー(2009年)
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0915170144.html
『クーラー』レビュー(2004年)
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0825013135.html
★【4】ハイバイ『「ヒッキー・カンクーントルネード」の旅2010』
05/16-23アトリエヘリコプター
≪東京、神奈川、福岡≫
☆出演:[経験者組]岩井秀人 成田亜佑美 坂口辰平 平原テツ チャン・リーメイ
[初めて組]篠崎大悟 浅野千鶴 近藤フク 吉田亮 チャン・リーメイ
脚本・演出:岩井秀人
自由席(整理番号付) 前売:3,000円 当日:3,300円
http://hi-bye.net/
ハイバイは、俳優としても大活躍の岩井秀人さんの劇団。再演を重ねる
「ヒッキー・・・」のキャスト違いの2本立て公演です。レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/1021100812.html
チラシの裏面には著名人からのお薦めコメント多数。要チェック!
【5】KAKUTA『めぐるめく』
05/21-30シアタートラム
☆出演:原扶貴子 成清正紀 高山奈央子 若狭勝也 馬場恒行 佐賀野雅和
桑原裕子 今奈良孝行 川隅美慎 辰巳智秋 ヨウラマキ 勝平ともこ
脚本・演出:桑原裕子
前売3,800円 当日4,000円 学生3,300円 サービスデー3,500円
http://www.kakuta.tv/megurumeku/
『甘い丘』で文化庁芸術祭新人賞を受賞された桑原裕子さんの新作。
桑原さんは同作で岸田國士戯曲賞の最終候補にも選ばれました。
KAKUTA(カクタ)も実力のある人気劇団です。
★★★──────────────────────────────
前売2000円台以下の気になる作品を3本ご紹介します。
──────────────────────────────★★★
[1]モジョ ミキボー上演委員会『モジョ ミキボー』
05/04-30 OFF OFFシアター
☆出演:浅野雅博 石橋徹郎
脚本:オーウェン・マカファーティ 翻訳:平川大作 演出:鵜山仁
5月4日(祝)~ 7日(金)2,000円(全席自由・前売当日共)
5月8日(金)~30日(日)3,500円(全席指定・前売当日共)
※小学生未満のお子様のご入場はご遠慮ください。
http://ameblo.jp/mojo-mickybo/
文学座の俳優、浅野雅博さんと石橋徹郎さんが、演出に鵜山仁さんを迎えて
行う2人芝居の1ヶ月ロングラン公演。2人で17役を演じ分けるそうです。
多数の賞を受賞した新国立劇場『ヘンリー六世』を演出された鵜山さんが、
100席に満たない小劇場で2人芝居を演出されるのは楽しみですね。
早めに観て面白かったらリピートしたい!マカファーティー作品のレビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0411205917.html
[2]三条会のアトリエ公演2010
『失われた時を求めて 第1のコース「スワン家の方へ」』
05/14-17三条会アトリエ
☆出演:大川潤子 榊原毅 立崎真紀子 橋口久男 中村岳人 渡部友一郎 近藤佑子
原作:プルースト 脚本・演出:関美能留
料金(各コース共通) 2,000円
http://homepage2.nifty.com/sanjokai/02.html
小説「失われた時を求めて」を来年3月まで7回に分けて上演。
千葉の劇団アトリエで演劇の魔法を体験できると思います。
[3]ポかリン記憶舎『cafe公演「humming 4」』
05/27-06/02 GALLERY藍染
☆出演:中島美紀 日下部そう 青山麻紀子 東谷英人 岩澤侑生子 バビィ
脚本・演出:明神慈
チケット(要予約:25席) 一般:2500円
学割・和服割引・平日マチネ割引:2000円 当日:2800円(若干有り)
http://www.pocarine.org/mt/archives/2010/04/5cafe.html
“地上3cmに浮かぶ楽園”をつくるポかリン記憶舎のカフェ公演。
会場は根津にある日本家屋です。稽古場ブログ↓の写真が充実。
http://pocarine.blog17.fc2.com/
≪リーディング・子供向けなど≫
◎世田谷パブリックシアター
「日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~」
05/05-09シアタートラム
☆『熱帯樹』『ポンコツ車と五人の紳士』『老花夜想』のランダム上演。
『熱帯樹』脚本:三島由紀夫 演出:谷賢一(DULL-COLOREDPOP)
『ポンコツ車…』脚本:別役実 演出:柴幸男(ままごと)
『老花夜想』脚本:太田省吾 演出:中屋敷法仁(柿喰う客)
一般 各作品1,000円 TSSS 500円 U24 500円 高校生以下500円
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/05/3_1.html
毎年、出演者がかなり豪華です!
劇場公式ブログ:History of 「日本語を読む」↓
http://setagaya-ac.or.jp/theatre/archives/2010/04/20211542.php
※『熱帯樹』は同時期にTheatre Company Ort-d.dでも上演。
Theatre Company Ort-d.d『熱帯樹』
05/05-09 atelier SENTIO
☆脚本:三島由紀夫 演出:倉迫康史
http://www16.plala.or.jp/ort/
◎世田谷パブリックシアターこどもの劇場2010『にんぎょひめ』
05/29-30世田谷パブリックシアター
☆出演:大方斐紗子/松橋登/豊島理恵/楠原竜也/萩窓子
脚本・演出:テレーサ・ルドヴィコ
一般:3,000円 4歳~高校生:1,500円 TSSS:1,500円 U24:1,500円
区民、劇場会員割引などあり。
※未就学児童は保護者の同伴必要。席に座る場合は4歳未満もチケット必要。
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/05/post_186.html
テレーサ・ルドヴィコ演出『旅とあいつとお姫さま』レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/1001174052.html
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◆2 【先月のベスト3】
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1.新国立劇場演劇『夢の裂け目』
04/08-28新国立劇場小劇場
☆メルマガ号外を発行しました。今月は『夢の泪』が上演されます!
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0411231056.html
2.ペンギンプルペイルパイルズ『謝罪の罪』
03/19-04/04ザ・スズナリ
☆劇団員のみによる十周年記念公演。笑いも謎も主張もある戯曲と
演劇ならではの演出を、小空間で贅沢に楽しみました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0401230405.html
3.劇団☆新感線『薔薇とサムライ~GoemonRock OverDrive』
3/16-04/18赤坂ACTシアター
≪東京、大阪≫
☆映像、美術、照明、音響、生演奏などのスタッフワークと
役者さんの演技との融合。その革新的進歩に笑いながら落涙。
http://www.bara-samu.com/
その他はキラリ☆ふじみ『L0VE the World 2010』、
パルコ『スプーンフェイス・スタインバーグ』、
CATプロデュース『BLUE/ORANGE』。
歌舞伎座さよなら公演『御名残四月大歌舞伎 第一部』では
中村吉右衛門さんにシビれました。
◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
http://archive.mag2.com/0000134861/index.html
メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
2010年4月(観劇数20作品)は『夢の裂け目』で発行!
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◆2 【2010年はソーントン・ワイルダー祭り?5月の注目は2公演】
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◎米国の劇作家ソーントン・ワイルダーの作品が多数上演される2010年。
1938年のピュリッツァー賞受賞戯曲『わが町』がとても有名ですね。
新国立劇場は『わが町』主役オーディションを行い話題になりました。
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000324_play.html
静岡舞台芸術センター(SPAC)も今秋に『わが町』を上演予定です。
http://www.spac.or.jp/
ワイルダー作品を4人の若手演出家が上演する企画
「Wi!Wi!Wilder(ワイ・ワイ・ワイルダー)2010」も開催。
http://ameblo.jp/wiwiwilder/
5月は2作品が上演されますので、ぜひチェックしてください。
●中野成樹+フランケンズ
『寝台特急”君のいるところ”号~どこにもいけない人はいない~』
05/20-30こまばアゴラ劇場
☆ソーントン・ワイルダー作『寝台特急ハヤワサ号』より
誤意訳・演出:中野成樹
全席自由 前売り2800円、当日3000円、高校生 以下1800円
http://www.frankens.net/
●JAM SESSION『わが町』
05/25-30赤坂RED/THEATER
☆原作:ソーントン・ワイルダー 脚本:鳴海四郎 演出:西沢栄治
前売・当日3500円 学生 2000円 初日・平日昼割引 3000円
リピーター割引 2000円
http://www.jam-session.info/ ↓CoRichでカンタン予約!
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=18856
※「Wi!Wi!Wilder2010」は5月以降も続きます。
今年7月にtoi『ロングクリスマスディナー(仮)』(作・演出:柴幸男)。
来年2月は中野成樹+フランケンズが再び登場。
CASTAYA Projectも参加。5公演共通チケット(10,000円)あり。
公式ツイッター:http://twitter.com/WiWiWilder2010
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◆4 【「CoRich舞台芸術まつり!2010春」最終審査進行中!】
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◎日本全国対象のインターネット上の舞台芸術フェスティバル
「CoRich舞台芸術まつり!2010春」の審査員をさせて頂いております。
http://stage.corich.jp/festival2010/
グランプリ受賞団体には次回公演資金として100万円が支援されます。
第一次(ネット)審査にて91作品の中から10作品が選ばれました!
http://stage.corich.jp/festival2010/result.php
上演順⇒文月堂(東京都)、快快(東京都)、時間堂(東京都)
三角フラスコ(宮城県)、elePHANTMoon(東京都)、ゴジゲン(東京都)、
ブルドッキングヘッドロック(東京都)、柿喰う客(東京都)
THEATRE MOMENTS(東京都)、サスペンデッズ(東京都)
3ヶ月間で審査員が10作品を鑑賞し、6月中旬にグランプリを発表します。
よかったら対象作品をご覧になって感想をクチコミしてくださいね!
CoRich舞台芸術!:http://stage.corich.jp/
メンバー登録:http://www.corich.jp/stage/user_register.php
携帯サイト:http://corich.jp/m/s
≪5月の「CoRich舞台芸術まつり!2010春」最終選考作品≫
○ゴジゲン『アメリカン家族』
04/29-05/02吉祥寺シアター
☆脚本・演出:松居大悟
前売り3,000円、当日3,500円、学割2,000円
http://www.5-jigen.com/index.html
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=13819
○ブルドッキングヘッドロック『Do!太宰』
05/14-23三鷹市芸術文化センター 星のホール
☆脚本・演出:喜安浩平(ナイロン100℃)
前売3,200円 当日3,500円 大学生2,500円
高校生以下1,000円(前売・当日共)
初日割引(前売・当日共)2,800円 劇場会員割引などあり。
http://www.bull-japan.com/
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=18761
○柿喰う客『露出狂』
05/19-31王子小劇場
☆脚本・演出:中屋敷法仁
一般3000円 学生2000円 団体2500円(※3名様以上)
高校生以下1000円 平日昼割引2800円
ガールズナイト 女性2500円/男性3500円 プレビュー公演2500円
http://kaki-kuu-kyaku.com/main/?p=524 ↓こりっちでカンタン予約!
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=18865
○THEATRE MOMENTS『マクベス-シアワセのレシピ-』
05/20-23シアターX(カイ)
☆原作:W・シェイクスピア 演出:佐川大輔
全席自由席 大人 早割3,000円 前売3,500円 / 当日3,800円
高校生以下 早割2,000円 / 前売2,500円 / 当日2,800円
リピーター割引 自由席:1,500円
http://www.moments.jp/play14/
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=19165
○サスペンデッズ『2010億光年』
05/22-30東京芸術劇場 小ホール2
☆脚本・演出:早船聡
前売3,000円、当日3,500円 学生(高校生以下)前売2,000円
学生当日2,500円 平日マチネ前売2,500円 当日3,000円
http://www.suspendeds.net/
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=19317
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◆5 【編集後記】
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◎記者発表の写真レポートや稽古場レポートのご依頼が増えて参りました。
ありがとうございます!
記録の充実したサイトになるよう継続したいと思っております。
◎6月はSPAC観劇のため静岡旅行を予定♪
http://www.spac.or.jp/10_spring/ 記者発表写真レポート↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0424193631.html
◎今秋のフェスティバル/トーキョー(F/T10)の情報が更新されました!
http://www.festival-tokyo.jp/
◎【情報】白水社が第54回岸田國士戯曲賞授賞式をUSTREAMで生中継!
口ロロ(クチロロ)と柴幸男さんのライブも視聴可能!
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0412204843.html
◎ツイッターやってます!
⇒ shinorev : http://twitter.com/shinorev
今までは目に、耳にしなかった情報が絶えず届いて超刺激的!
そしてとても勉強になります。本をよく買うようになったかも。
◎おすすめ舞台中継 on TV
【NHK BShi】5月1日(土)午後10:45~午前2:00
【NHK BS2】5月10日(月)午前0時40分~4時40分(9日深夜)
ホリプロ&こまつ座『組曲虐殺』
作:井上ひさし 演出:栗山民也 音楽:小曽根真
http://www.nhk.or.jp/bs/premium/ ↓記録
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/1003235119.html
【NHK BS2】5月8日(土) 午前0:50~2:30 (7日深夜)
アル☆カンパニー『罪~ある温泉旅館の一夜~』
作・演出:蓬莱竜太
http://www.nhk.or.jp/bs/mdstage/ ↓レビュー
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0427150947.html
【WOWOW】5/14(金)よる11:40~
東京芸術劇場『農業少女』
作:野田秀樹 演出:松尾スズキ
http://www.wowow.co.jp/pg/detail/075458001/index.php ↓レビュー
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0301225717.html
【NHK BS2】5月15日(土) 午前0:45~1:12 (14日深夜)
白石加代子『百物語』シリーズ
「江島屋騒動」作:三遊亭円朝
「五郎八航空」作:筒井康隆
構成・演出:鴨下信一 出演:白石加代子
http://www.nhk.or.jp/bs/mdstage/
【NHK BS2】5月22日(土) 午前0:45~3:02 (21日深夜)
Bunkamura『恋する妊婦』
作・演出:岩松了
http://www.nhk.or.jp/bs/mdstage/ ↓レビュー
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0209155422.html
【NHK BS2】 5月29日(土) 午前0:00~2:29 (28日深夜)
文学座『殿様と私~殿、踊りましょうぞ~』
作:マキノノゾミ 演出:西川信廣
http://www.nhk.or.jp/bs/mdstage/ ↓レビュー
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/1108001812.html
◎今月&来月に上演される作品の記者発表の写真レポートです。
・わらび座『ミュージカル「アトム」』記者発表
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0326165507.html
秋田公演初日レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0426133113.html
東京公演は来月6/19-27@新宿文化センター大ホール
・SPAC「Shizuoka春の芸術祭2010」記者発表
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0424193631.html
2010年6/5(土)~7/4(日)はぜひ静岡で観劇を♪
http://www.spac.or.jp/10_spring/
◎FM西東京・演劇情報番組「たけがき2」
http://takegaki.k-free.net/
毎週放送される『演劇ハニーフラッシュ!』に
「しのぶセレクション」というコーナーがあります。
私がお薦めする舞台の公演情報を発信してくださっています。
ラジオだけでなくネットでも聴けるので↓、よかったらぜひ♪
http://www.voiceblog.jp/takegaki842/
◎地方新聞に掲載される新作邦画DVDの紹介記事を書いています。
2010年4月は下記の5作品を拝見しました(順不同)。
・「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」←松たか子さんモテすぎ。
http://www.villon.jp/
・「風が強く吹いている」←舞台化もされました。
http://www.kaze-movie.com/index_pc.html
・「そうかもしれない」←老老介護。
http://jjpooljj.hp.infoseek.co.jp/hosaka/hosaka.html
・「今度の日曜日に」←市川染五郎さんが冴えないオジさん役で◎。
http://www.nichiyoubini.com/
・「つぶより花舞台」←かんじゅく座のドキュメンタリーです。
http://kujira-enter.sakura.ne.jp/kanjukuthemovie/index.html
◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています。
お仕事のご依頼はこちらへ↓お気軽にどうぞ♪
http://www.shinobu-review.jp/contact/
◎「CoRich(こりっち)舞台芸術!」で
いつ、どこで、何が上演されているのかを簡単検索!
感想も書き込めますよ♪
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それが私の望みです。
これからもこつこつ、地道に続けて行きたいと思っております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪
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