タカハ劇団は高羽彩さんが作・演出する作品を上演するプロデュース集団です。第6回公演ということで、いつもながら出演者が個性派ぞろい。
ネット上の情報やクチコミなどから、私が得意ではない“お葬式の話”だと聞いていましたが、苦手な方向性ではなかったので心配無用でした。上演時間は約2時間弱。
⇒CoRich舞台芸術!『パラデソ』
≪あらすじ≫
静岡の小さな居酒屋。深夜に葬式帰りの一行がやってきた。彼らはかつて、ある新興宗教団体に所属していたのだが、当時の仲間の1人が死んだらしい。
≪ここまで≫
装置はリアルな居酒屋。劇場も客席も巻き込んでくれてウキウキしました。
“お葬式もの”というと、お通夜に久しぶりに集まった人々が死んだ人の思い出話をする内に、徐々にその人の生前のことがわかってくる、過去の謎が解けてくる・・・というパターンが多い気がします。
でもこの作品では再会した人たちに焦点が当てられ、居酒屋にいる時間(=今)が大切に描かれているように感じました。いなくなった誰か及びその人を知っていた人たちの過去の話を聴かされるのではなく、目の前に居る身近な人々のすったもんだを、前のめりに見ていることができました。
終演後は一般客に飲み物を販売して、キャスト・スタッフとの語らいの場を設けてくれていました。観客も舞台に上がれるのは楽しいですね。
ここからネタバレします。
みんなが喪服の中、今も教団に残っている四方田(古木知彦)だけが白い衣裳(教団の制服?)で、言動も突飛なのでとても目立ちます。“彼だけが変わった人”という状態から、“彼もまた私たちと同じ人間”という段階に進んだところが観たいなと思いました。個人的に、彼にもっと近しい気持ちをいだきたかったですね。
小さい店での激しい乱闘や、突然始まる空気を読まない選曲のカラオケなど、盛り上がる仕掛けがたくさんあるコメディーでした。でも私が観た回については、少々わざとらしさが気になりました。
教団をやめた仲間が、それぞれにスプーン曲げや透視、霊写などの超能力を持っていたのが可笑しかったです。
第6回公演
出演:瓜生和成(東京タンバリン) 町田水城(はえぎわ) 大佐藤崇 古木知彦 内田亜希子 石澤美和 異儀田夏葉(ヨシロォの夏は夢叶え冒険団) 高野ゆらこ(毛皮族) 笹野鈴々音
脚本・演出:高羽彩 舞台監督:藤田有紀彦 照明:吉村愛子 照明操作:保坂真矢 音響:角張正雄 衣裳:車杏里 衣裳協カ:よちこ フライヤーデザイン:サノアヤコ 運営:安田裕美・たけいけいこ 制作統括:赤沼かがみ(G-up) 企画・製作:タカハ劇団
前売り/当日共 3300円(全席指定) ペアチケット 6000円(タカハ劇団でのみ取扱)
http://www.takaha-gekidan.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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