青森の現役高校教師である畑澤聖悟さんが作・演出(出演も)される、劇団渡辺源四郎商店の新作です。
畑澤さんは高校演劇界でも有名ですが、青森以外の地域で中高生向けワークショップを開催したり、劇団昴に新作戯曲を書きおろすなど幅広く活躍されています。受賞歴も多数。
上演時間は約1時間30分弱、だったと思います。
⇒CoRich舞台芸術!『ヤナギダアキラ最期の日』
≪あらすじ≫
湖が見える東北地方のホスピス。末期がん患者らが入院している。
≪ここまで≫
上下に白いカーテン。舞台奥の壁には湖を描いた(と思われる)大きな油絵。客席方向に見えるとされる湖を、奥の壁で表現するのがいいですね。
自分の体調が万全でなかったせいもあると思いますが、人物の出はけや演技の荒さが気になり、あまり集中できませんでした。私は『夜の行進』や『背中から40分』などのプロデュース集団だった時期の秀作や、CoRich舞台芸術まつり!2008春・スポンサード公演『どんとゆけ』などでの、役者さんの演技の完成度の高さを期待していたようです。
日本の戦争について書くこと。想像に過ぎませんが、畑澤さんはそれを劇作家としての使命だと思われているのではないでしょうか。その覚悟に一観客としてついていきたいと思います。
宮越昭司さんが今年も東京まで来てくださって、すごく嬉しいです。また来年のゴールデンウィークも(GWじゃなくても)舞台上の宮越さんにお会いしたいです。今年の夏も青森の劇団アトリエに伺う予定なので、もしかしたらその時にお見かけできるかしら。
ここからネタバレします。
南方戦線で「人魚の肉」を食べた日本人の兵隊と娼婦が、不老不死になってしまい、今もその頃の姿のまま生き延びている。高橋留美子さんの漫画「人魚シリーズ」(Wikipedia)を思い出しました。
入院したばかりのヤクザ(牧野慶一)の若妻(工藤由佳子)も、もしかしたらその肉を食べたかもと匂わせるのはいいですね。
車椅子に座った老人(宮越昭司)を舞台に残し、じわじわと暗転するラストシーンは深い余韻を残してくれました。
渡辺源四郎商店第12回公演 ≪青森、東京≫
出演:工藤由佳子 工藤静香 三上晴佳 工藤貴樹 宮越昭司 吉田唯 牧野慶一(劇団雪の会) 山田百次(劇団野の上) 畑澤聖悟
脚本・演出:畑澤聖悟 照明:浅沼昌弘 音響:藤平美保子 舞台美術:山下昇平 装置:渡辺源四郎商店 舞台監督:田守裕子 プロデュース:佐藤誠 ドラマターグ・演出助手:工藤千夏 宣伝美術:木村正幸 制作:渡辺源四郎商店 制作補:西後知春、おりゅう 主催・企画制作:渡辺源四郎商店
【発売日】2010/04/01 前売一般 3,000円、学生2,000円、高校生以下1,000円 当日一般 3,300円、学生2,300円、高校生以下1,300円
http://www.nabegen.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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