ポツドールの三浦大輔さんがパルコ劇場に初登場。しかも主演が松尾スズキさん、秋山菜津子さんという超豪華キャストなので、いさんで初日を拝見しました。
怠惰な人たちの怠惰すぎる生活と裏切りの連鎖。ポツドール未見の方へ⇒性描写がありますので、そのおつもりで観に行かれた方がいいです。
上演時間は前半110分、休憩15分をはさんで後半70分という3時間超えの大作ですが、長さは感じませんでした。
⇒CoRich舞台芸術!『裏切りの街』
≪あらすじ≫
平日昼間からだらだら何もせず過ごす若者(田中圭)が、2ショットダイヤルで年上の女(秋山菜津子)と出会う。若者は彼女(安藤サクラ)と同棲中だし、女には夫(松尾スズキ)があった。
≪ここまで≫
いつものポツドールらしいギラギラ感、ざらざら感が少なめだったのは個人的に残念でしたが、前半は私ったら恥ずかしげもなく、爆笑・失笑の連続(笑)。端から見るとてんでどうでもいい会話や、生産性ゼロのぐだぐだの時間がものすごく丁寧に描かれていて、その瑣末な瞬間の連続が豊かに蓄積していきました。
具象にこだわる美術には具象ならではの味わいがありましたが、回り舞台やスライドして出てくる装置の転換に時間がかかり、暗転が長くなるのはもったいない気がしましたね。でもダイナミックなのは大きな劇場ならではの贅沢。
音楽の選曲は、敢えて過剰さを狙ったんじゃないかと思えるメランコリックなメロディーが面白くて、流れる度にちょっと笑えます。でも全体的にざーーーーーっとノイズが入っているのが気になりました。演出意図なのかもしれませんが、せっかくのパルコ劇場なので個人的にはきれいな音質で聴きたかったです。あと、いきなりの大音量は耳を押さえることで難を逃れました。すみません。
秋山菜津子さんは“化け物”のような役もやりこなすとても魅力的な舞台女優さんですが、今回はいわばごく普通の主婦の役。ボソっとつぶやくような短いセリフが超色っぽい!電話口から聴こえるため息まじりの「・・・はい」とか特に!!
松尾スズキさん。すみません、出てくる度に笑ってしまいました(笑)。ぬるっと存在したかと思うとグサっと刺すような瞬間もあって、目が離せないですね。
映画「TAJOMARU」でも素敵だな~と思っていた田中圭さんが、ポルドール作品によく登場する“ダメな若者”を好演されていて、驚きつつ嬉しく拝見。『音楽劇「死ぬまでの短い時間」』でもざわざわしたような不確かさが良かったんですよねー。いい俳優さんだなーこれからも追いかけたいです。
米村亮太朗さんはポツドールの世界を体現されていて素晴らしかった。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
若者(田中圭)が40代の人妻(秋山菜津子)に初めてキスするシーンは、あまりの情けなさに失笑。田中さんが「ちょっと、いいスか?」とおそるおそる近づくのが男としてみっともない!(笑) ちゃっかり秋山さんにキスしちゃった後に「まあ大人なんで、今後はこういうこともアリで」みたいな、聞き苦しいことこの上ない言い訳をするのが、たまらなく可笑しかった!
2人が初めてベッドインした西荻窪のラブホテルで、エッチの後にカラオケしちゃうシーンが最高に面白かったです。曲目が「夢の中へ」だったのも(笑)。こういう“イケてなさそうな娯楽”が実は心底楽しめてしまうんですよね。
後半というか結末は物足りなかったです。私が勝手にもっと殺伐としたり、どうしようもない悲劇が訪れたりするのを期待していたせいでしょう。妊娠してもまだズルズル怠惰・・・という感覚が私にはリアルじゃなかったからかも。別にリアルである必要はないんですけど。
カーテンコールが終わって幕が下りた後に、主題歌が大音量で流れます。本編と同様にノイズが気になりましたが、いい歌でしたね。でも私はノレなかったなー。主題歌を終演後に流すのって映画みたい。
結局、秋山さんと田中さんが役の名前で呼び合うシーンはあったのかしら?「ラブホで会うだけの男女に名前なんていらない」というのは『三月の5日間』と同じなんだけど、あの2人とは全然違う(笑)。
≪東京、大阪、福岡≫
出演:秋山菜津子/田中圭/安藤サクラ/古澤裕介/米村亮太朗/江口のりこ/松尾スズキ 声の出演:山本裕子 林田惠子
脚本・演出:三浦大輔 音楽:銀杏BOYZ 美術:田中敏恵 照明:伊藤孝(ART CORE design) 音響:中村嘉宏 衣裳:小泉身和子 ヘアメイク:河村陽子 映像:冨田中理 演出助手:山田美紀 舞台監督:小笠原幹夫 宣伝:吉田プロモーション プロデューサー:山田希世子 製作:山崎浩一 制作協力:(有)マッシュ ポツドール 企画・製作:(株)パルコ
【休演日】5/11,18,25【発売日】2010/03/13 一般¥7,350(全席指定・税込) 学生券¥5,000(当日指定席引換・要学生証提示・イープラスのみ取扱。限定枚数販売)
http://www.parco-play.com/web/page/information/uragiri/
http://www.parco-play.com/web/play/uragiri/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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