MONOの土田英生さんが作・演出される『-初恋』を豪華キャストで。『-初恋』は色んなカンパニーで上演され続けている人気戯曲です。私はこれが4度めになると思います。2度公演を観て、1度はMONOでの上演をビデオで観ました。過去レビュー⇒1、2
脚本が一部改訂されて新しい視点が加わり、私的にはざわざわした複雑な気持ちになる回数が増えました。上演時間は約2時間弱。千葉雅子さんが可愛いかった~!
⇒土田英生、田中美里、片桐仁インタビュー
⇒CoRich舞台芸術!『-初恋』
≪あらすじ≫
閉鎖的な島にある古いアパート“ハイツ結城”。暮らすのは住人の男4人と若い女性管理人(田中美里)。亡くなった家主の意志により、○○限定のアパートなのだ。
≪ここまで≫
まるでヴォードビルのように笑いがたくさん起こる中に、恐怖や諦念がずずいと入り込んできます。あからさまに楽しげなコメディーなのに、ひたひたと着実に崩壊が近づいてくる。それを仰々しくせず進行させる演出がいいなと思います。
役者さんの演技は少々わざとらしさが気になって、中盤までは物語に入って行きづらかったです。でも色んな事件が起こってからは、舞台の裏側にある、もやもや、ぎとぎとした何かを感じることができて、面白く拝見しました。
劇場に入るなり、建てこまれた美術にうっとり。つたがからまる煉瓦の壁がいいですね。
ここからネタバレします。
島の住人の坂口(根本大介)という若い男性が、新たに登場人物に加えられていました。坂口は小百合(田中美里)のことを好きになり、ハイツ結城側に味方しようとするのですが、住民側へと取り込まれていってしまいます。どうしても抗えない見えない力とか、どんなにがんばってもあきらめざるを得ない状況とか・・・苦い思いで見つめました。
「ー初恋」というタイトルは、初めて女(毛利:干葉雅子)を好きになった泰夫(川原一馬)の恋から来ているのだろうと思っていたのですが、真田(奥村泰彦)の源田(犬飼若博)への思いや、小百合の笹川(今井朋彦)への思いもそうなんでしょうね。笹川の結城(小百合の父)への思いもそうだったのかな~なんて想像しました。痛い初恋たちだな~。あ、毛利ももしかしたら泰夫に初恋?
笹川は難しい役ですね。今井朋彦さん演じる笹川は美しいし、キリっとしていてかっこいいですが、もっと可愛げがあってもいいんじゃないかな~と思いました。私はMONOの水沼健さんが演じた笹川の、エラそうなこと言う割に自分の行動が伴わないのが最初からバレているような、ダメダメな雰囲気をまとっていたのが好きでした。色気があったんですよね。
※○○=ゲイ
≪東京、愛知、福岡、大阪≫
出演:田中美里《結城小百合》 今井朋彦《笹川周二郎》 犬飼若博《源田哲治》 奥村泰彦《真田徹》 根本大介《坂口剛》 川原一馬《久野泰夫》 干葉雅子《毛利翔子》 片桐仁《吉村邦男》
脚本・演出:土田英生 舞台美術:奥村泰彦 照明:葛西健一 音響:高塩顕 照明操作:加藤泉(東京公演) 大道具製作:C-COM舞台装置・くれよん 運搬:帯瀬運送・植松ライン 衣裳:今村あずさ(SING KEN KEN) 演出助手:根本大介 演出部:根岸みさき 舞台監督:藤田有紀彦 宣伝美術・宣伝写真:西山英和(PROPELLER.) 宣伝衣裳:堀口健一 宣伝ヘアメイク:根津しずえ パンフレット取材・編集:大堀久美子 舞台写真撮影:谷古宇正彦 制作助手:林弥生・斉藤友紀子 制作:森川健太(三鷹市芸術文化振興財団) 本郷麻衣(キューカンバー) プロデューサー:森元隆樹(三鷹市芸術文化振興財団) 垣脇純子(キューカンバー) 企画・製作:(財)三鷹市芸術文化振興財団・キューカンバー
【休演日】6/7【発売日】2010/04/16 前売:一般4,500円/三鷹市芸術文化振興財団友の会会員4,000円 当日:一般5,000円/三鷹市芸術文化振興財団友の会会員4,500円 高校生以下:前売り・当日とも2,500円(当日学生証拝見) [全席指定]
http://cucumber-m.com/hatsukoi/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
便利な無料メルマガも発行しております。