Project Natterr(プロジェクト・ナッター)は“ドイツ人演出家ぺーター・ゲスナーとプロデューサー綿貫凜による演劇ユニット”。第3回目の公演です。
三島由紀夫作『わが友ヒットラー』は『サド侯爵夫人』(女6人芝居)と対になる男4人芝居だそうです。上演時間は約2時間30分(途中休憩10分を含む)。
ロビーで原作戯曲と漫画が販売されていました。私は戯曲を購入。ありがたいですね。
⇒オフィス・コットーネTOPページに舞台写真あり
⇒若松武史、ペーター・ゲスナーが語るプロジェクト ナッター『わが友ヒットラー』(Stageweb)
⇒CoRich舞台芸術!『わが友ヒットラー』
作品紹介・あらすじは公式サイトでどうぞ。
ヒットラーに粛清される運命にある犬猿の仲の2人、レーム(浅野雅博)とシュトラッサー(下総源太朗)が語り合う第2幕がすごく良かったです(史実ではなく作家の創作だそうです)。他のシーンは私にはちょっと集中しづらかったですが、演技の方法について好みが違うからだろうと思います。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
パンフレットによると作者の三島由紀夫が「一番感情移入した」というレームは、日本人そのものだと思いました。軍人である自分の信念に忠実で、バカ正直で真面目で、友(=ヒットラー)のためなら死もいとわない、素直で友情に厚い男です。信頼、愛情などと理想を語り、少年のように無垢な純粋さを持って「アドルフと俺は古い友達だ」と言い切ります。ちょっぴり呆れもしましたが、ピーンとまっすぐで美しい心意気に触れ、懐かしいような、嬉しいような気持ちになって泣けてきました。でも・・・彼は絶望的なぐらい自立していないんです。
2人の話し合いは決裂し、とうとうシュトラッサーは「ヒットラーに殺されるぐらいなら、今君に殺される方がましだ」と言ってレームの前に無防備に体を投げ出します。でもレームの返答は「ヒットラーの命令を受けていないから殺せない」でした。あきれ笑いと涙がこぼれました。何をするにも誰かの許可がいる。その誰かを心酔し、いつも言いなりになって安心して、その関係を美徳だと信じている・・・。
プログラムより部分抜粋します↓
三島由紀夫「レームに私はもっとも感情移入をして、日本的心情主義で彼の性格を塗り込めた。センチメンタルな一面を持つドイツ人と、日本人との一種の共通点をレームに感じた。アラン・ブロックも、死にいたるまでヒットラーを疑わなかったレームのお人好しぶりに呆れている。」(劇団浪漫劇場プログラムより・昭和44年1月)。
ヒットラー役の笠木誠さんは口元に髭がありますが、七三に分けた髪型はそんなにペッタリとしておらず、ヒットラーよりもむしろ昭和天皇に似ているように見えるのがミソですね。
出演:笠木誠・浅野雅博(文学座)・下総源太朗・若松武史
脚本:三島由紀夫 演出:ペーター・ゲスナー プロデューサー:綿貫凛 美術:石原敬 照明:桜井真澄(東京舞台照明) 音響:原島正治(噺組) 衣裳:花田絵美 舞台監督:村田明(クロスオーバー) 通訳:黒田容子 ドラマトゥルグ:宮島志乃ぶ 照明操作:松本由美(東京舞台照明) 音響操作:大塚重之 舞台監督助手:中山裕康 宣伝美術:宇野奈津子 パンフデザイン:小早川真澄 舞台撮影:青木司 受付:井上恵子 制作助手:江□敦子・太田美乃里 小道具:高津映画装飾 衣装:松竹衣裳/アトリエK 主催:Project Natter
【発売日】2010/06/10 全指定席 前売・当日共に:4,500円 MEN's DAY 前売・当日共: 男性2名様=8,000円 ※(コットーネEメール予約のみ取扱い) シードチケット(学生割引) : 前売・当日共 2,500円 ※ 受付で学生証提示。大学生以下の学生・専門学校生・演劇養成所の学生に有効。当日受付にて学生証提示 (オフィス コットーネEメール予約のみ取り扱い・最前列のベンチシート・枚数制限あり)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~cottone/wagatomo/top.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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