女優の黒川深雪さんが主宰されるtoiでは、柴幸男さんが作・演出を手掛けてこられました。今回は“Wi! Wi! Wilder! 2010”企画中の1本として(他公演のレビュー:1、2)、ソーントン・ワイルダー戯曲を柴さんが誤意訳・演出されます。誤意訳といえば中野成樹さん(中野成樹+フランケンズ)の造語ですよね。
1ステージ限定30席の2バージョン公演で全席前売り完売。当日券もありません。銀行振込後にチケット(招待状)が郵送される形式でしたので、完全な完売なんですね。私はstar versionを拝見しました。上演時間は約1時間15分弱。
⇒CoRich舞台芸術!『華麗なる招待-The Long Christmas Dinner-』
あらすじ等はワークショップの発表会として上演されたリーディング公演のレビューでどうぞ。
仕切りのないSTスポットの四角い空間のど真ん中に、大きなディナー・テーブルとイス数脚。床が赤と緑のクリスマス・カラーになっていました。客席はそのテーブルを囲むように劇場の壁際に1列ぐるりと並んでいるのみ。パっと見たところ30席弱でした。出演者12人に観客30人なんて、すごく贅沢な公演ですね。
誤意訳ということで原作戯曲そのままのセリフではありません。役者さんとエチュードで作ったのかな~と思われるくだけた言葉も多く、ぎくしゃくした会話がそれなりの味になっている感もありましたが、私にはあまり良い印象はなく。star versionのみの感想ですが、リーディング公演の方が私は好きでした。
ここからネタバレします。
役者さんでは登場順に、無言になっていく男(狩野和馬)、嫁に行かなかった姉(後藤飛鳥)、双子を産む母(青柳いづみ)と、最初と最後に1人で残る遠い親戚の男(武谷公雄)がとても良かったです。私が座った席から見やすかった方々だからでもあると思いますが。
若くして兵士になった息子(坂口辰平)が、ダッシュして死の世界へと向かうのに爆笑。
最後に90年間を再び振り返ることになり、これまでの全てのシーンを大幅に省略し、すごいスピードでざーっと通します。アイデアにはなるほどと思いましたが、繰り返しには単純に退屈してしまいました。
最後はオープニング同様に 遠い親戚の男が1人だけテーブルに残されます。彼1人だけの無言の時間をたっぷり見せてパっと暗転して終幕したのが良かったです。また、暗転時間が長めにとられていたおかげで、余韻を豊かに味わえました。
Wi! Wi! Wilder! 2010 toi presents 5th
出演:黒川深雪[InnocentSphere/toi]、青柳いづみ、大石将弘、大重わたる[夜ふかしの会]、後藤飛鳥[五反田団]、坂口辰平[ハイバイ]、狩野和馬[InnocentSphere]、白川のぞみ[てとあし]、高橋ゆうこ、武谷公雄、立蔵葉子[青年団]、召田実子 ※配役・演出を変えた2バージョンでお届けします。(全キャスト、両バージョンとも出演致します。)
作=ソーントン・ワイルダー 誤意訳・演出=柴幸男 舞台監督=佐藤恵 美術=青木拓也 照明=森友樹 音響=星野大輔 衣裳=藤谷香子(快快) ドラマトゥルク=佐藤泰紀(STスポット/急な坂スタジオ) 演出助手=白川のぞみ(てとあし)/杉香苗(劇団虫の息) 宣伝美術=セキコウ 制作=ZuQnZ 製作総指揮=宮永琢生 企画制作=toi / ZuQnZ 主催=toi / ZuQnZ / NPO法人STスポット横浜 特別協力=急な坂スタジオ
【発売日】2010/06/13 【前売】2,500円 各回限定30席 前売のみの販売です。当日券の販売はありません。 受付開始&開場は開演の20分前です。
https://ticket.corich.jp/apply/20394/
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=20394
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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