「ぽんプラザホール10周年記念 福岡・九州地域演劇祭」参加作品です。⇒内覧会レポート ⇒CoRich舞台芸術!内特設サイト 1日で3本ハシゴのスケジュールで、劇団きらら公演の次に観に行きました。
劇団こふく劇場は永山智行さんが作・演出される宮崎の劇団です。『水をめぐる』『水をめぐる2』の2本連続上演ですが、残念ながら私は2しか観られず。
会場入り口にあった演劇祭ポスター↓
⇒CoRich舞台芸術!『「水をめぐる」「水をめぐる2」』
≪あらすじ≫ CoRich舞台芸術!より
まだ見たことのない「うみ」を探し求め、歩きつづける女。いつか女は、「うみ」にたどり着くのだろうか…
≪ここまで≫
板でできたシンプルな抽象舞台。四角いステージの中央には、同じく四角い透明の水槽がはめ込まれていて、水が入っています。
死んだ夫の骨壷を首から掛け、散骨するために海を目指す女(あべゆう)。彼女以外の3人の役者さんは何役も演じます。打楽器の生演奏は全員が交代でされていました。
パっと見は抽象的でとっつきにくそうな印象もありますが、語られる言葉や規則的な動きをそのまま素直に受け取る内に、おっとりしたムードやとぼけた会話に、自然と笑みがこぼれました。
腰を低くして、床に脚を叩きつけるように、どんどんと音を立てて歩くのは、お神楽、お能、狂言などをもとにした独自の身体表現(演出家の前説より)。コミカルな雰囲気もあって、足踏みのリズムに乗って鑑賞するのは楽しくもありました。ただ、終盤になるとその動きに少々退屈したりも。舞台の周囲を歩くのがルールになっていることに、私が飽きてしまったせいかもしれません。動きは様式美にまで至っているようには見えなかったので、ギリギリのラインを狙っているのかなぁと思ったり。
あべゆうさんの優しいたたずまいがとても良かったです。おおげさにならず、こびず、のびのびと“確かにそこに居る”感覚。大人の女性の成熟も感じました。
そうだ、この時も空調が寒かったんです・・・福岡の空調は東京より低い目なのかしら。
ここからネタバレします。
女は海を目指す道すがら、色んな人々と出会います。幽霊に出会うのも良かったけど、最後に夫の愛人と会ってしまうのが面白かったですね。きれいごとではいかない人生。
夫の骨は歩いてる途中に箱からこぼれ落ちて無くなっていました。「だったらここが、もう海だ」と気づく(決める)のがいいですね。女と愛人が2人で地面に伏して、床に耳をつけて回想します。道中で出会った人の声に混ざって、亡くなった夫の声が聴こえてきました。客席では泣いている人も多かったですね。
夫の遺言の真意に気づいた時の、女の涙が温かいです。遺言は「海に散骨すれば来世で邂逅(カイコウ)できる」でした。女はなぜか「蚕(カイコ)が安く買える」(だったかな?)と聞き間違えていました。あべゆうさんが演じる“働き者で真面目だけど、ぽっかり抜けているところのある女”は魅力的でした。
≪福岡、東京、宮崎、大阪、広島≫
ぽんプラザホール10周年記念 福岡・九州地域演劇祭
【出演】清:あべゆう 漠/沌/洪:濱砂崇浩 浮/沫:大浦愛漣:かみもと千春
脚本・演出:永山智行 美術:濱砂崇浩、照明:工藤真一(ユニーク・ブレーン)、音響:日高充美、衣裳:阿部由、音楽:かみもと千春、チラシ写真:長峰由佳 制作:上田政子 大浦愛 工藤治彦
【発売日】2010/06/21 前売: 1,800円 / 当日: 2,000円 日時指定・全席自由
http://www.cofuku.com
http://10kinen.info/stage/kohuku.php
http://stage.corich.jp/special/fukuoka-kyushu.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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