MU、ミナモザ、鵺的という3団体による30分間の短編オムニバス公演です。CoRich舞台芸術!の「観てきた!」クチコミが多数投稿され、好評なので伺いました。
公式サイトによると鴻上尚史さんの代表作『トランス』(過去レビュー⇒1、2)のように“「少人数・どこでも上演が可能」をルールとして、 新しいスタンダードの形を目指す、短編のコンペティション”とのこと。
アンケートが投票用紙になっていて、座席の位置まで記載するこだわりよう。公演後には結果が公式サイトにアップされるようです。
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観客に積極的な参加を促す姿勢を面白く拝見しました(芝居に出演するなどの参加型ではありません)。MUのハセガワアユムさんは前説でも途中休憩時でも、アンケートへの記入を熱心に呼びかけてらっしゃいました。参加団体の公演DVDや脚本販売についても、照れたり媚びたりせず、「お薦めです」と堂々と告知されていて、客席でとても居心地が良かったです。各団体が継続的に活動していること、広く深く知られるために物販を充実させていることなどが、しっかり伝わってきました。
ここからネタバレします。上演順です。
■ミナモザ『スプリー』
作・演出:瀬戸山美咲(ミナモザ)
出演:宮川珈琲 木村キリコ(ミナモザ) 実近順次
交通事故で大けがして入院している男の、ろっ骨を折ろうとする女医。実は同じ病院で働く愛人の医師へのあてつけだった。
医者のセリフが現実味に欠けて入り込めず(医者は自分から進んでドツボに入るようなことは言わない)。交通事故の詳細がわかる終盤から少し面白くなりました。何にでも理由を見つけたがる、我ら人間の話でもあり。
■鵺的『クィアK』
作・演出:高木登(鵺的)
出演:今里真 宮嶋美子 平山寛人(鵺的)
ゲイと男娼、そして奴隷の女。20年ゲイをやってきたのにファム・ファタールに出会ってしまい、その女(とのセックス)なしでは生きていけなくなった。でもそんな自分を受け入れられない、など。
奴隷の女が主人に対等に話しかける場面から、空気がぐるりと動き出して面白くなりました。会話の裏側が表側に回ってくるのは芝居のだいご味ですよね~。3つ巴の闘いがスリリング。宮嶋美子さんの演技が良かったです。
ただ、話の焦点がセックスばかりに絞られているのは残念。セリフに説明が多すぎるようにも感じました。あと、同じ単語を連呼するのもあんまり。
■MU『無い光』
作・演出:ハセガワアユム(MU)
出演:杉木隆幸 秋澤弥里 武田諭(バジリコFバジオ) 金沢涼恵(クロムモリブデン)
人気イラストレーターが交通事故で九死に一生を得る。しかし右手が動かなくなり、絵はかろうじて左手で描いている。幼なじみのライターが彼女の体験談を記事にしようとする。ライターは死後の世界を目撃した人々の体験談を連載しているのだ。
わざとらしくドタバタしすぎな感はいなめず。でもキャッチーな言葉を混ぜて軽快に話を進め、前のめりで観客を楽しませようとする姿勢は良いなと思います。自殺を止めさせようと必死に説得する、非常にストレートなメッセージに素直に納得。
ある"視点"を集めた、短編のコンペティション MU × ミナモザ × 鵺的
出演:秋澤弥里 木村キリコ(ミナモザ) 平山寛人(鵺的) 杉木隆幸 宮川珈琲 金沢涼恵(クロムモリブデン) 実近順次 宮嶋美子 武田諭(バジリコFバジオ) 今里真 (順不同・各短編に3人、また4人ずつ出演)
脚本:ハセガワアユム(MU)、瀬戸山美咲(ミナモザ)、高木登(鵺的) 演出:ハセガワアユム(MU)、瀬戸山美咲(ミナモザ)、高木登(鵺的) 宣伝美術:イシイマコト [united.] 照明デザイン:元吉庸泰(エムキチビート) 演出助手:古屋敷悠 DJ:福原冠(国道五十八号戦線) 制作協力・当日運営:林みく(karte) 伊藤静香(karte) 企画・主催:“視点”制作部
審査員:カトリヒデトシ 手塚宏二 水牛健太郎
【発売日】2010/08/01 前売2800円/当日3300円
http://mu-web.net/shiten2010.html
http://www.webdice.jp/event/detail/3193/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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