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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2010年10月03日

Theatre Polyphonic『悪魔の絵本』10/01-11サンモールスタジオ

 蜷川幸雄さんの演出助手・演出補として長らく活動されている石丸さち子さんが、ご自身のカンパニーを旗揚げされました。脚本はDULL-COLORED POPの谷賢一さんに書き下ろしを依頼し、出演者オーディションも実施されました(⇒告知エントリー)。

 戯曲はもちろん演劇公演そのものに対する熱い、熱い思いが溢れていました。でも私には少々熱すぎたかもしれません。上演時間は約2時間10分(休憩なし)。

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 ≪あらすじ≫ CoRich舞台芸術!より。改行を変更。(役者名)を追加。
 知らなければ、会わなければ、狂わなかった人生。
 でも、知らなければ、会わなければ、生きる意味などなかった。
 作家、瀬田賢二(田村真)は、六万枚の未発表原稿を残し、失踪。
 物語は、編集者川田希(市井紗耶香)が、原稿の整理をするために、「ファクトリー」と呼ばれた彼の部屋を訪ねることから始まります。  
 何度も作風を変えた作家が遺した二千万字の中に立ち上がる、彼の人生、愛、挫折。光となり、影となった女たち。
 彼に与え、彼から奪った男たち。そして、彼が生み出した言葉たち。
 「ファクトリー」には、かつてそこに集った者たちの思いが交錯し、かつてそこで著された物語が、川田を通して現実に立ち現れます。
 ≪ここまで≫

 正面からだけでなく下手側にも客席がつくられ、舞台をL字型に客席が囲む舞台でした。とはいえ劇場を余すところなく、広々と使っている印象。積み上げられた古い原稿やソファなど、具象表現にこだわりを感じられる美術・小道具です。

 約10人の登場人物は皆、複雑な、人間らしい感情を持っており、役者さんは熱演。ただ、声と気持ちが乖離している役者さんがいて、どうしても集中できませんでした。気持ちが上ずって、胸から上だけで演技しているように見える方も散見されました。

 大きな舞台で活躍されている方によくある症状かと私は思うのですが、声を小さくしたり大きくしたり、声色を作り込むことで感情表現しているように見せるのは、小劇場では嘘っぽく見えがちです(本来ならどんな劇場でもですが)。また、サンモールスタジオの空間に対して、全体的に声量が大きすぎるように感じました。

 激しい恋の物語に加え、サスペンスやホラーの要素も盛り込んだ面白い脚本だと思いますし、過去と現在が頻繁に入れ替わる演出には、わかりやすく伝える工夫や見せ場もたくさんありました。私自身が特に、役者さんの演技に左右されるタイプの観客だということです。

 岡田あがささんが素晴らしかったです。彼女がいることで生きていることの生々しさ、舞台上の“今”の今たるリアルが担保されたと思います。

 ここからネタバレします。

 川田のインタビューに応じて瀬田のことを語る人々は、客席後方(劇場入り口方向)から登場します。背後から過去を知るキーパーソンが次々と現れるのは、未来からの使者がやってくるようで、時間の広がりがありました。死者が過去を語るお能のイメージも浮かびました。
 客席側に井佐原茉莉(=マリー)の絵があるのも良かったです。

 参考:DULL-COLORED POP『小部屋の中のマリー

第1回公演
出演:市井紗耶香 岡田あがさ 田中里枝 松田かほり 難波真奈美 佐伯静香(Wキャスト 10/5以外) 羽根桐香(Wキャスト 10/5のみ) 田村真 杉浦大介 針原滋 田中伸一 野口卓磨 広田礼美 (ハーフプライスデイのみ。その日、市井紗耶香は休演。) 西谷国登 (Violinist)
作:谷賢一(DULL-COLORED POP) 企画・演出:石丸さら子 美術:伊藤保恵 照明:山口明子 照明オペレーター:芥川久美子 音響:井川佳代 演出助手:坪井彰宏・野村千絵 舞台監督:山本圭太 宣伝デザイン:細見龍司 撮影:角田勇太 制作:倉重千登世
【発売日】2010/08/06 自由(入場整理番号付) 前売り3800円、当日4300円
■佐伯静香と羽根桐香はダブルキャストとなります。 佐伯静香……10/1・2・3・4・6・7・8・9・10・11 羽根桐香……10/5
■ハーフプライス公演開催!10月7日(木)14:00、9日(土)14:00
より多くのお客様にご覧いただきたいとチケット料金は半額の19,00円!※ただし、市井紗耶香に代わり、広田礼美が主演をつとめます。
■当日券リピーターズ割引
チケットの半券をご持参いただくと、当日券が1,000円引きの3,300円に!※ただし、ハーフプライス公演の半券ならびに、ハーフプライス公演には使用できません。
http://www.s-ishimaru.com/t.p/Top.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2010年10月03日 11:20 | TrackBack (0)