チェーホフの『かもめ』をラップにして上演するという演劇公演です。誤意訳・演出は中野成樹さん(中野成樹+フランケンズ)、音楽は大谷能生さん、ドラマトゥルクは長島確さん(⇒別公演の記者発表)という、クリエイターの名前を見るだけでも超豪華な座組み。でも有名戯曲をただラップにしただけではありません。詳しい説明はこちらでどうぞ。
私はライブに参加する「身近め席」ではなく、ライブおよびその外側で上演されるお芝居も観られる「眺め席」で鑑賞。
『かもめ』を知らないと楽しめないと思います。でも知ってたらたまらない!トレープレフの歌で恥ずかくなって微笑み、トリゴーリンの歌で爆笑!ライブと並行して演じられる現代劇が『かもめ』と重なり、終盤は涙なしには見つめていられませんでした。
公式サウンドトラックCDをロビーで購入(2000円)。これは買いでしょ、再演決まったら聴きこんで「身近め席」に行くでしょ!
⇒岡田利規さんが絶賛されています。
⇒中野成樹+フランケンズ主宰ShigekiNakanoさんの2010年振り返り(2010年末加筆)
⇒CoRich舞台芸術!『長短調(または眺(なが)め身近(みぢか)め)』
高密度、高品質、知的、ハイセンス。それでいて遊びごころが優雅に炸裂。数年に1度あるかないかの、小劇場演劇(fringe theatre)の傑作を観たという気持ちです。
私は音楽には詳しくないし、ラップの知識もゼロと言っていいぐらいですが、ラップユニット“みずうみ”のライブは(ちゃんと観られなくても)すごく楽しかった!歌詞が『かもめ』の登場人物の心情を見事に表し、『かもめ』という戯曲自体の核心もついていたと思います。KENTARO!!さんの振付もかっこ良かった!(⇒ソロダンス公演がもうすぐ開幕します) 観客参加型のイベントが苦手な私ですが、ぜひ「身近め席」に行ってみたいと思いました。
たった4ステージしかなかったので、ぜひ再演を希望します。
ここからネタバレします。
「山中湖 HIP HOP FESTIVAL 2010」が開催されているという設定。“みずうみ”のライブが舞台奥で上演される中、舞台手前側では若い男性(村上聡一)が好きな女の子(沢木夏菜子)が来るのを待っています。でも女の子は年上の男性(日替わりゲスト:KONTA)に惹かれていて・・・と、「かもめ」の三角関係にそっくりな現代劇が始まります。
“みずうみ”のライブはテレビのライブ中継を観られますが、壁にさえぎられて生の状態では観られません。たまにテレビの前に男性(村上聡一)が立って、映像さえ見られなくなる演出もあります。中野さんらしい。
着ぐるみのかもめがジェイソン(映画「13日の金曜日」より)に殺され、かもめの死骸(着ぐるみの本体)が舞台上に転がります。湖畔でトレープレフがニーナに見せた死骸と同じ。
“みずうみ”のニーナ(端田新菜)の歌(=朗読)が着ぐるみのかもめの声になり、ゆる~く踊る着ぐるみが“人やヒルの魂が1つになったもの”に見えました。着ぐるみから出てきた女の子(沢木夏菜子)とニーナとが重なり、後方のライブと前方の演劇が融合。
あうるすぽっとチェーホフフェスティバル2010
出演:ラップユニット“みずうみ”(大本卓[英語ペラペラ]、岡田誠[オペラ]、木下侑哲、駒木根隆介[サイタマノラッパー]、溝口善也、稲継美保[ダンスかっこいい]、宇都宮萠[可愛い声、長髪]、斎藤淳子、端田新菜[ニーナ]) DJ/サックス:大谷能生 シャムラーエフ/トリゴーリン:やまがたひろとも ポリーナ/アルカージナ:山縣恵子 トレープレフ/メドヴェージェンコ:村上聡一 ニーナ/マーシャ:沢木夏菜子 トリゴーリン/トレープレフ:豪華日替わりゲスト) かもめ:石橋志保 ジェイソン:福田毅
豪華日替わりゲスト 9/30:永井秀樹(青年団)10/1:松井周(サンプル)10/2:鈴木ユキオ(金魚)10/3:KONTA
誤意訳・演出:中野成樹 音楽:大谷能生 振付:KENTARO!! ドラマトゥルク:長島確 美術:二村周作 照明:佐藤啓 音響:竹下亮 映像:須藤崇規 衣裳:今村あずさ 小道具:福田秋生 舞台監督:後藤恭徳 照明オペレーター:溝口由利子 音響オペレーター:上妻圭志 中継カメラ:聞谷洋子 舞台監督助手:奥田隆仁 美術助手:谷口綾 大道具製作:伊藤清次(C-COM) 舞台写真:青木司 宣伝美術:早田二郎 イラストレーション:花下和美 票券・制作:藤野和美(オフィス・REN) 荘司雅子(オフィス・REN) 制作:青野華生子 岩瀬恵美 岡島裕紀 嶋田敬介 寺村千絵 福本悠美(以上、あうるすぽっとインターン) プロデューサー:ヲザキ浩実(あうるすぽっと) 助成:芸術文化振興基金 主催:(財)としま未来文化財団 豊島区 企画製作:あうるすぽっと
【あうるすぽっとスタッフ】支配人:松島規 副支配人・管理統括:稲垣聖一 管理:門田恭子 管理:坂本舞子 チーフプロデューサー・制作統括:崎山敦彦 制作:笠井秀敏 広報:小沼知子
【公式サウンドトラック (『みずうみのかもめ』大谷能生×中野成樹)スタッフ】CDデザイン:佐々木暁 CDプロダクトディレクター:荻原孝文 CDレーペルプロデューサー:佐々木敦 レコーディング :中村公輔 ミディプログラミング(M3,M5,M13):安川一志 楽曲提供(M1):竹下亮
座種:「眺め席」か「身近め席」のどちらかを選択。「眺め席」は劇場の通常の客席。「身近め席」は舞台上にあるライブハウスのフロア・スタンディング。※演出の都合上、全ての出演者はご覧いただけません。
全席自由・税込 ○眺め席(劇場客席)3,800円 身近め席(舞台上・スタンディング)3,500円 学生券(眺め・身近め席とも)3,000円 としま未来友の会3,000円
http://www.owlspot.jp/performance/100930.html
http://frankens.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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