詩森ろばさんが作・演出される風琴工房の新作は、日航機墜落事故を題材にしたフィクション。
約1時間40分、ずっと集中したまま見つめ続けました。“被害者遺族と加害者企業”という対立だけに終わらない、密度の高い会話劇でした。
★ポスト・パフォーマンス・トーク
10/10(日)19時の回:小平尚典さん(写真集「4/524」)
10/11(月)15時の回:飯塚訓さん(墜落遺体-御巣鷹山の日航機123便-)
⇒CoRich舞台芸術!『葬送の教室』
人生に起こった大事件を心を開いて味わうことと、あくまでもデータとして扱うこととを、一人の人間の中で両立させるのは困難です。でも悲しみや怒り、恨みなどを肯定し、客観した上で、未来のために、やれることはあるのではないか。登場人物それぞれの克己が描かれていたと思います。
初日のせいもあると思いますが、役者さんの演技がところどころ、ぎくしゃくしていた感は否めません。でもこの作品が書かれて、上演されて、それを観た観客がいたことに、大きな価値があると思える公演でした。
事故で妻を亡くした岩沼役の岡森諦さんの、明るくて柔らかい(ように装う)雰囲気が優しくて良かったです。
事故があった夏、私の父はよく東京・大阪間を往復していたので(新幹線ででしたが)、テレビのニュースを見た時の心のざわめきはよく覚えています。映画「沈まぬ太陽」も最近見ました。
ここからネタバレします。
事故から5年後の、ある会議のみにしぼった1時間40分。ギュっと凝縮された一幕劇だったことが良かったように思います。あれ以上見るのはつらかったし、大河ドラマのように時期を分けて描かれても、遠くの物語になってしまう気がするし。
「4人の生存は奇跡」だったのかどうか。「奇跡」という美談で覆われたせいで、詳細にわたる調査を怠ったのではないか、という疑問。自分の頭で考えるがゆえに、すべてを疑ってかかる心。
出演:佐藤誓、山口雅義、岡森諦(扉座)、多門勝(THE SHAMPOO HAT)、根津茂尚(あひるなんちゃら)、岡本篤(劇団チョコレートケーキ)、清水穂奈美、浅倉洋介、津田湘子、松木美路子
【作・演出・宣伝美術】詩森ろば【美術】杉山至+鴉屋【音響】青木タクヘイ(STAGE OFFICE)【音響操作】鈴木三枝子(STAGE OFFICE)【照明】榊美香(有限会社アイズ)【舞台監督】小野八着(JET STREAM)・大地洋一【制作】池田智哉(feblabo)【企画製作】ウィンディ・ハープ・オフィス
【発売日】2010/08/29 前売 3300円 当日 3500円 学生 2300円 学生当日 1000円 障碍 1500円 ペア 6000円 平日はじめて割 2人一組 3300(10組限定) ありがとう割 2800円 9月20日までに入金の方適用
【トークゲスト】10月10日19時の回終了後:小平尚典(写真家) 10月11日15時の回終了後:飯塚訓
http://windyharp.org/sousou/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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