工藤千夏さんが作・演出されるうさぎ庵の新作です。工藤さんは青年団演出部に所属している劇作家・演出家で、渡辺源四郎商店のドラマターグでもあります。最近こちらの公演(レビュー⇒1、2)でいたく感動しました。
乃木坂の地下にある小さなバーで、大人の女たちの静かに、したたかに闘っていました。にやにや、ぞくぞくしながら拝見しました。ショパンのピアノの音色が華やかで切ない。工藤さんの脚本、大好きです。上演時間は約1時間5分。
⇒CoRich舞台芸術!『女と女と棺と女』
≪あらすじ≫ 当日パンフレットより。(役者名)を追加。
母の二十三回忌。長女(羽場睦子)、次女(多田慶子)、植物状態の父、そして彼を介護する愛人(天明留理子)の暮らす家に不思議な客が訪れる……。
≪ここまで≫
わがままで要領のいい長女。不器用でずっと未婚の次女。奔放だが実は男に尽くすタイプの三女。
父親に限らず、子供って本当に親を愛してしまっていますよね。何歳になっても無償の、盲目の愛を注いでしまいます。それが痛々しいし、可愛らしい。
初日は予想以上の満員状態で、会場が暑くなってしまったそうです。ちょっとつらかったですね。翌日からは改善されたことと思います。それにしても3日間だけの公演ってもったいない!
ここからネタバレします。
35年前、長女が高校生、次女が小学生のころに出て行った父親は、有名なピアニスト。愛人も多数いたプレイボーイ。植物状態になって実家に戻ってきて、今は若い愛人が介護している。
描かれるのは母の23回忌(だったかな)の日。長女、次女、愛人がいるところに、以前の愛人が現れ、さらに三女もフランスから帰国する。
すべて次女の見た幻だったかもしれない。でもどこからどこまでが現実で夢なのかがわかりづらいのがとても良かったです。
数役演じる天明留理子さん。突然訪れる赤い服の愛人と、ニースから帰国する三女を演じる時に、ゴージャスなスリッパを履いてるのがいいわ~♪介護をする麗子役の時は黒いスリッパなんですよね。そしてピアノを弾く若い父親(増崎陽介)は肌足です。足元できちっと演出。
シェイクスピア『リア王』の三姉妹、『マクベス』の三人の魔女、チェーホフ『三人姉妹』のラストシーン。
Vol.8
出演:羽場睦子 多田慶子 天明留理子(青年団) ピアノ:増崎陽介
脚本・演出:工藤千夏 音響:藤平美保子 音響オペレーター:目黒愛美 照明プラン:伊藤馨 照明オペレーター:斎藤真 制作:山藤貴子 宣伝美術:Griffe inc.(工藤規雄・橋本麻由実) 宣伝写真:工藤規雄 舞台写真:田中流 総合プロデューサー:平田オリザ 企画制作:(有)アゴラ企画・こまぱアゴラ劇場 主催:青年団、うさぎ庵
【発売日】2010/09/11 予約3500円 当日3800円 マチネ予約3000円 マチネ当日3300円
http://usagi-an.com
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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