野木萌葱さんが作・演出されるパラドックス定数が、2006年に初演した『38℃』を大幅に改訂して上演。上演時間は約1時間30分。
この劇団はいつも上演終了後に台本販売をしています。観たばかりの作品の台本(1000円)を買って帰るのが習慣になりました。
※2009年の公演ではメルマガ号外を出しました。
⇒CoRich舞台芸術!『蛇と天秤』
≪あらすじ≫
大学病院内の公開講座。結核について助教授が講義する。突然スーツ姿の男が乗り込んできた。製薬会社の社員らしい。
≪ここまで≫
観客はテーブル付きのパイプイスに受講者として座ります。真っ白なギャラリーがいかにも病院内っぽいです。いわゆる観客参加型ではないので座ったままで大丈夫。でも気持ちは前のめり推奨(笑)。
大学病院の医師と製薬会社の営業というと、営業される側とする側としての上下関係がはっきりしていますが、その立場を飛び越えるだけでなく、敵味方の両側ともが内部分裂していくのが面白いです。
助教授役の生津徹さんは前回公演に続いて2度目のパラドックス定数への出演。甘いマスクで余裕しゃくしゃくの医師。何を言われてもどうじないのが、かっこいいやら滑稽やら。自然で良かったです。
なるべく事を大きくしないように務める製薬会社社員、高遠役の小野ゆたかさん。劇団では好戦的な役をよく演じられていますが、今回は基本的に受けの演技をされていて、柔軟さが良かったです。柔軟、といっても狙って作られていると思いますが。
ここからネタバレします。
この病院では8人の患者が同時期に死亡しています。しかも全員18歳以下。原因は新薬の抗生物質の副作用だと、助教授が論文で発表しています。その薬を作った製薬会社の社員が乗り込んできた、という設定です。
人の命を何とも思わなくなってしまった人たちの会話。重く演じると深刻すぎてかえって信ぴょう性がなくなる気がします。野木さんが当日パンフレットに書かれていたように、軽~い会話になっていて良かったです。
第23項
出演:生津徹(大学病院の助教授) 西原誠吾(大学病院の助教授の右腕) 井内勇希(大学病院の若手) 植村宏司(製薬会社の営業) 加藤敦(製薬会社の研究者・新薬を開発した) 小野ゆたか(製薬会社の研究者)
脚本・演出:野木萌葱 照明協力:伊藤泰行 舞台協力:金安凌平 宣伝美術:西原誠吾 舞台写真:渡辺竜太 販促:副島千尋 制作助手:たけいけいこ 今井由紀 制作統括:赤沼かがみ(G-up)
【発売日】2010/10/10 前売2800円、当日3000円 発売初日10月10日(日)
http://www.pdx-c.com/
http://www.pdx-c.com/tokusetu/23/23.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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