静岡県舞台芸術センター・SPACが文学座の俳優・今井朋彦さんを演出に迎え、ソーントン・ワイルダーの名作『わが町』を上演。新国立劇場でも1月に上演されるので(⇒制作発表)、見比べたい気持ちもあって静岡まで伺いました。
異なる演技の技術を持つ役者さんたちが、それぞれに独自の技を見せているような印象を受けました。生き生きしていて楽しそうではありましたが、私がSPACのお芝居に求めているものではなかったですね。
⇒CoRich舞台芸術!『わが町』
素の舞台を見せた状態。白い衣裳で統一。登場していない間、役者さんは舞台上で待機。
鈴木忠志さんの鈴木メソッドを体得している方や、宮城聰さん率いるク・ナウカ出身の方、即興演劇を得意とする方、新国立劇場演劇研修所の修了生など、出演者の出自、特技がいろいろなんですよね。演技方法の品評会を見ているような気持ちにもなりました。「ココであんな演技をするのか~」と今までに観た『わが町』と比較したり。
写真は出演者で、新国立劇場演劇研修所の修了生のお二人です。遠征先でお会いできたのが嬉しくて記念撮影させてもらっちゃいました。
左はレベッカを演じた二期生の保可南さん(⇒公演ブログ)。右はジョージを演じた一期生の野口俊丞さん(⇒公演ブログ)。野口さんは『ハムレット』に続いて2度目のSPAC出演でしょうか。他にも岡野真那美さん(一期生)が『ドン・ファン』に、米川貴久さん(三期生)が『令嬢ジュリー』(⇒レビュー)に出演するなど、SPACは修了生を積極的にキャスティングされているようです。
ここからネタバレします。
牛をひく演技(マイム)がすごくうまい人がいる!と思ったら、すがぽんさんでした。さすが!
第1幕の終わりごろ、休憩の前にジョージとレベッカが窓の外を見てる場面。レベッカ(保可南)が手紙の宛て先を読みあげます。アメリカから地球、宇宙へと意識が広がるのを、喜びとともに感じとれました。
第2幕の結婚式と、ジョージとエミリーがお互いに恋していることを確認する場面。ジョージ役の野口俊丞さんの純粋さ、ひたむきさに惹きつけられました。『わが町』の見せ場の1つですよね。
色んな演技方法が混ざった状態だったので、私は自分が好きなタイプの演技をする人に目が行っちゃったんでしょうね。野口さんがジョージなら、保さんにエミリーをやって欲しかったな~。もちろんそのカップルをSPACの役者さん同士で演じてもらえたら、それもまた良かっただろうと思います。
第3幕が始まる時、劇場の天井からつり下がっていた照明器具が、いっせいに上へ上へと上がっていき、天井がものすごく広くなりました。天国や虚空を想像できました。
■終演後に朗読と音楽のパフォーマンスあり
「演出家と演奏家 ~朗読 vs. Sax 演奏~」
出演:今井朋彦、松本泰幸(Sax)、松本侑大(Piano)
仲原中也「サーカス」、谷川俊太郎の詩を2編、ジョン・レノン「イマジン」。
出演:石井萠水、いとうめぐみ、大内智美、大高浩一、奥野晃士、木内琴子、貴島豪、すがぽん、武石守正、舘野百代、保可南、野口俊丞、本多麻紀、牧山祐大、三島景太、吉植荘一郎、吉見亮
脚本:ソーントン・ワイルダー 演出:今井朋彦 訳:森本薫 音楽:松本案幸 舞台監督:浜村修司 舞台美術:深沢襟 舞台美術助手:鈴木里恵 照明:樋口正幸 武石進衛 衣裳:竹田徹 音響:西沢理恵子 機構操作:村松厚志 舞台:市川一弥 松村亜紀子 演出助手:竹内舞 ヘアメイク:梶田キョウコ 古城雅美 石橋芳子 許田雪恵 ヘアメイク・アシスタント:長島由美 制作:丹治陽 鶴野喬子 協力:文学座
【休演日】平日 チケット:4,000円/ペアチケット(2枚)7,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円
http://www.spac.or.jp/10_autumn/ourtown
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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