REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2010年11月24日

バナナ学園純情乙女組『~あの素晴らしい闘争(まつり)をもう一度~≪バナナ全学連≫【劇場版:バナナ学園の闘争】」』11/22王子小劇場

 小劇場界隈で噂のバナナ学園純情乙女組を初見。作・演出(出演も)は二階堂瞳子さんです。
 普段はお芝居もやっている若い劇団で、“おはぎライブ”と呼ばれる音楽ライブが面白いと聞いていました。YouTubeに上がっている学園祭の映像を見て、観に行く決心しました。

 平日昼の王子小劇場は、比喩ではなく本当の“カオス”でした(笑)。とっても面白かったです!大人が観て唖然とするのもいいですが、中高生にも観て欲しいなと思いました。アホで元気な先輩がいるよ!って(笑) 上演時間は約1時間15分。

 ⇒湯山玲子さんのブログに詳しい感想あり(2010/11/25加筆)
 ⇒CoRich舞台芸術!『あの素晴らしい闘争(まつり)をもう一度

 公演終了していますので、ここからネタバレします。

 20年強の人生で経験したこと全てをごちゃまぜに、てんこ盛りに乗せたような舞台。彼らにとっては縦のりライブのガッツポーズも学生運動のシュプレヒコールも同列なんでしょうね。インターネットが普及した今、あらゆる情報は誰でも無料ですぐに入手できるようになり、世界の歴史はいい意味でも悪い意味でも平板になりました。ものすごい勢いで散らかって、汚れていく舞台はこの世界そのもの。まさに玉石混交。デジタル・ネイティブと呼ばれる世代の特徴がよく表れていると思います。
 生(ライブ)であることの面白さ、有無を言わせない生々しさを、体を張って見せてくれたことに感銘を受けました。快快ロロなどのように、20代の作り手の現状肯定力の強さを、バナナ学園からも受け取りました。新しい時代はやはり若者が作っていくものなのだとしみじみ思います。

 スタンディング形式の公演でした。客席とステージはいつもの王子小劇場の逆方向に設置。劇場入り口の方がステージになっていて、観客はステージを横切って客席方向に行きます。ステージは平台一枚分ぐらい上がってるだけの平たいもので、出演者は観客の方に積極的に関わってきます。

 既成の楽曲をスピーカーから流し、それに合わせて激しく踊って歌って演技して。ギターの弾き語りもありましたね。音楽は色んな曲のメドレーになっています。次の準備のための数分間をはさんで、メドレーは3回ありました。その後も数曲あり。
 言葉は基本的に聞きとれません(笑)。セリフも歌詞も何を言ってるのかわからないし、とりあえず早口で叫んでるなーという感じ。でも表情や動きで雰囲気はわかりますし、何しろ激しく動きまくりつつ、さまざまな演出がそこら中で実演され、どんどん起こって流れていくので、飽きる暇がない(笑)。そしてあっという間に消えてなくなってしまいます。のこったのは汗とごみ(のような小道具、消えものたち)。

 白いシャツにチェックのベスト、チェックのミニ・プリーツスカートという制服のような衣装。男女ともに(!)その格好です。パっと見は男女混合のAKB48みたい。性差が曖昧になってるのも今っぽい。でもディープキスは男女間でしてました(笑)。舞台に、客席に飛ぶ衣装、花束、紙、髪、塩、生理用ナプキン、水スプレー、エイトフォー(みたいなスプレー)・・・食べたバナナの皮も。

 映像も流し続けます。劇場の黒い壁に映すので、大きな文字以外は何なのかはっきりとはわからず。これもまた雰囲気は伝わるので不満はなし。とにかく全ての要素が過剰にあふれている状態。俳優の技術や映像などのスタッフワークのクオリティーは高くはないです。でもそれが売りなのでしょうし、こういったスタイルでの上演ならそれでいいと思います。※怪我には気をつけて欲しいですが。

 選曲で私がわかったのは、覚えている範囲だと椎名林檎、B'z、渡辺真知子「かもめが翔んだ日」、カーペンターズ「Yesterday Once More」、モーニング娘、太郎「男女」、「バラライカ」(月島きらり)ぐらいかな。あ、あとケロロ軍曹も(笑)。タイトルになってる「あの素晴らしい愛をもう一度」もあったような。「翼をください」とか。※間違ってたらごめんなさい。
 あらかじめ準備されていたアンコールでは、劇団おなじみの曲を観客とともに合唱。歌詞が書かれた紙が手渡しされました。思いっきり「二次元ラヴ♪」な歌で、舞台に一番近いところにいた男性客数人が、ノリノリで踊って叫んでました。秋葉原の萌え系アイドルのイベントのような(表現が正確かどうか自信がないですが)。携帯電話やカメラで撮影している方もいらっしゃいました。

 10:30に公開ゲネプロ、その後13時、17時、19時半の3ステージですから、1日で4ステージです。ほぼノンストップといえるハードなライブを4回・・・しかも劇場の方にお聞きしたところ、徹夜で仕込みをされたそうです。私は13時の回を拝見しました。19時の回はどんなことになってたんだろう・・・。

 「若いからできることだよね」といえるものだとも思いますが、王子小劇場の柔軟さが凄いですよね。度量が広いというか。きっと劇場職員の中にも徹夜に近い方がいらっしゃったんじゃないでしょうか。上演内容には危険を伴う演出も多々ありました。ロフトを使って役者さんがぶらさがったり、飛び降りたり。本物のバイクが3台(だと思う)出てきて舞台上を走ったり。客席方向に色んなものを投げまくりだし。不快な思いをされた観客もいたかもしれませんが、それを防ぐために劇団がやりたいことをあきらめさせるのは簡単です。無茶でもチャレンジさせるのは、勇気のある姿勢だと思います。
 まあでも、危険は危険なので(笑)、“無茶”にならないような公演を今後は目指して欲しいですね。劇団がひとときの花火で終わらないためにも。

≪桜美林大学、明治大学、早稲田大学、王子小劇場≫
【闘争者(出演者)】二階堂瞳子 野田裕貴 前園あかり(以上バナナ学園純情乙女組) 浅川千絵(劇団コロボックル)→明治、王子のみ 石井舞→王子のみ 石橋征太郎(ナルペクト)→桜美林、明治のみ 石原麻美 今野雄仁 遠藤貴之(劇団木霊) 大柿友哉(害獣芝居) 大川大輔(しもっかれ!)→王子のみ 大久保嘉洋 大森美里(劇団大森美里)→王子のみ 神岡磨奈 高麗哲也→桜美林、明治のみ 小林由紀 紺野タイキ(FLIPLIP)→王子のみ 斎藤淳子(中野成樹+フランケンズ) 清水久美子 杉田健介→王子のみ 高村枝里 だてあずみ。(TRAPPER/MinamiProduce) 時澤香保里 中田明佳 ばんない美貴子(TheGunzys) 廣瀬正仁(ナルペクト/トランジスタONE) 町山優士→桜美林、明治のみ 松島拓朗 三澤さき 宮嶋美子→学祭のみ 山邉健介(てあとろ50') 吉武奈朋美 吉原あおい 吉原小百合 竜史 高木健(タイタニックゴジラ)→王子のみ 渡邉圭介(ひょっとこ乱舞)→王子のみ 水沢めい(【メイリ】アフィリア・サーガ・イースト)
【舞台監督】喜久田吉蔵 【DJ/音製作】ミ世六メノ道理(体験) 【照明】内山唯美(劇団銀石)【衣裳/制服デザイン】浅利ねこ(劇団銀石【写真】奥山郁【WEB/宣伝美術】金澤舞(しもっかれ!)【制作】松島瑞江(エムキチビート/国道五十八号戦線/イノコリ)丸山立 【演出助手】廣瀬皓太郎、時澤香保里
ご予約が必要なのは王子のみ。前売り:1,800円 当日:2,000円 公開ゲネ:500円(10時半の回のみ)(全席スタンディング&特製缶バッヂチケット付き★)注※全立見席
http://banana.oiran.org/gakusai.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガも発行しております。

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ
Posted by shinobu at 2010年11月24日 13:05 | TrackBack (0)