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2010年11月26日

フェスティバル/トーキョー10『DRAMATHOLOGY/ドラマソロジー』11/26-28東京芸術劇場小ホール1

20101126_DRAMATHOLOGY.JPG
チラシ

 伊丹市立の劇場アイホールがプロデュースし、2009年7月に同劇場で上演された作品です。演出家の相模友士郎さんが70歳以上の一般市民の方々と創作されました。フェスティバル/トーキョー10主催演目です(⇒記者発表)。

 上演時間は約1時間35分。会場は開演の10分前より。遅れない方がいいと思います。残席わずかです。

 ⇒CoRich舞台芸術!『DRAMATHOLOGY/ドラマソロジー

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより。
 27歳の演出家と70歳以上の地域住民との共同作業による、09年初演作(兵庫・アイホール)。抜け殻のような身体で舞台上をさまよう若者の傍ら、より確実に死を身近にする高齢者たちが、自らを語る。「わたしは○○で生まれた」「わたしは○○が好きだ」......箇条書き調の「わたし」の集積はやがて、単なる個人史を超えた「わたしたち」の生と死を鮮やかに照らし出す。
 ≪ここまで≫

 出演者は7人の老齢の一般人の皆さんと、若い女性が1人。インタビュー映像をまじえながら「私は~~です」といった独白を順番にマイクごしに語ってくれます。おそらく語り手本人の正直な告白がもとになっているのでしょう。言葉に血の通った説得力があります。でも次第に“与えられたテキスト”を読むことも増えてきます。

 1人の人間の人生おける具体的な思い出や、その人が今感じてること、欲してることを本人の口から聞くことで、その人自身のことを知ることができたような気持ちになります。そんな親しみや楽しさ、嬉しさが確かな踏み台になるから、フィクションの世界へとスムーズに飛んで行けるんだと思います。また、70年以上生きてきた体が持つ強さは当然ながらフィクションではないですから、リアルとフィクションが混在している状態になります。それがとても刺激的で、自分を、人生を、世界を、問い続ける時間にもなりました。

 若い女性はダンサーのようで、動きがとてもきれい。人形のように動かない彼女を老人たちが誘導していくのを見ている内に、彼女は人間ではなく「人生」「魂」「命」などを象徴するものなのではないかと思われてきました。
 セリフにもあるように、人は同じことを繰り返しています。命に輪廻があるとしたら、それも“繰り返し”ですよね。私自身が目の前を歩いていた人々とともに、輪廻の輪の中に入ったように感じました。

 ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。

 おじいさん、おばあさんたちは開場中から客席に座ってらっしゃいました。顔を白塗りにして手にはポータブルラジカセ(?)を持って。ラジカセからは録音された声が小さく鳴っています。

 最後は出演者が先頭のダンサーに導かれて、1列に並んでゆーっくりと舞台を2周歩きました。黄泉の国への葬列(つまり天国への道程)、人類の進化の過程などを想像。その間、舞台中央につり下がっていた縦に長細い棒状の照明が、赤色から黄色に変わります。当たると白黒に見える照明です。
 その後、誰もいなくなった舞台にダンサーだけが再度登場。彼女の体で映像を遮って舞台が真っ暗になった時、またラジカセから声が鳴り始めました。「私はミカエルです」「私は天使です」・・・。自分も死後の闇の一部になったように感じ、その感覚を全身でじっくり味わいました。

引用テキスト:映画『ベルリン・天使の詩』原案・脚本:ヴィム・ヴェンダース、ペーター・ハントケ、リヒアルト・ライティンガー
初演:2009年7月 伊丹市立演劇ホール(アイホール)「地域とつくる舞台」シリーズ
出演:足立一子、足立みち子、飯田茂昭、相馬佐紀子、中川美代子、藤井君子、三木幸子 増田美佳(ダンサー)
構成・演出:相模友士郎 夏目雅也 音響:齋藤学 照明:高原文江 映像:遠藤幹大 演出助手・映像操作:田中章義 制作:香井亜希子(アイホール) アイホールディレクター:小倉由佳子 製作:伊丹市立演劇ホール(アイホール)・公益財団法人伊丹市文化振興財団 助成:財団法人アサヒビール芸術文化財団 主催:フェスティバル/トーキョー
【発売日】2010/09/05 自由席 一般 前売 3,000円(当日 +500円)、学生 3,000円、高校生以下 1,000円(前売・当日共通、要学生証提示)
http://www.festival-tokyo.jp/program/sagami/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2010年11月26日 23:37 | TrackBack (0)