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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2010年11月29日

フェスティバル/トーキョー10・黒田育世『あかりのともるかがみのくず』11/09-15にしすがも創造舎

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チラシ

 フェスティバル/トーキョー10の主催演目です(⇒記者発表)。インタビューをさせていただいた黒田育世さんが構成・演出・振付・出演されるダンス公演。 ⇒Choice!WEB ⇒web DICE

 初日を鑑賞しました。最初の20分で涙ボロボロ。舞台の端から端まで歩くだけで、人の一生をさらりと描いてしまいます。テーマは“お母さん”とのことでしたが、性別や時代を超えた生命そのものを、むさぼるように、ダークに描いた作品でした。上演時間は約2時間15分。

 ロビーに厳選シアター情報誌Choice!が置いてありました。終演後に手にとって帰られる方が多くて嬉しかったです。
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 ⇒CoRich舞台芸術!『あかりのともるかがみのくず

 前回のF/T09秋に上演された『花は流れて時は固まる』とは打って変わって何もない黒い空間。スズランテープのような素材の黒いひも状のすだれが、三方を囲みます。その裏に色んな道具が準備されていました。

 結合、共食い、圧縮、繰り返し・・・強烈でした。何か起こるごとに感動しますから、目を離せないんです。でも凝視しつづけるには過激すぎる内容で、観てる私の方がフラフラになっちゃって、終盤はほとんど朦朧としていました。
 翌日は両目が腫れてました。たぶん涙を流し過ぎたんだと思います。

 ここからネタバレします。

 開場時間から舞台上には1人の女性が立っていました。赤いビキニ姿。脚の長さ、手の長さ、体のふくよかさ、表情の柔らかさから母の象徴である土偶を想像。後でわかったのですが、他のダンサーよりも背が低い目の女性でした。

 薔薇とピストルは女性と男性。ピストルの上に茶色い粘土をドカっと乗っけて、その上に薔薇を刺します。粘土は排泄物と受け取ったので、そのオブジェだけで人類を示してるように思いました。こんな風に一瞬でいとも簡単に生、性、世界を表してしまうので、気が気じゃないというか、全然気を抜けない状態でした(笑)。

 人の頭(首から上)が数珠繋ぎになったオブジェ(?)が黒いすだれの向こうに吊り下げられています。黒田さんがその首たちをいとおしく抱きしめて立っていました。グロテスクだけれども、私を含む人間全員を温めてくれているようにも感じます。

 「私を見て!」という叫び。人間は、いや、動物も植物も生命のあるものはみんな、そう叫んでいるのかもしれません。命が輝くのは、誰か(何か)との関係があるからだと思います。誰かに見られないと自分では輝いているかどうかわかりませんし。でも「見て!」と叫ぶばかりで、他人を見ようとしないのも事実。自分の欲望を満たすために貪欲に周囲をむさぼりつくす、命の傲慢さ。その美しさ。

 黒田さんが1人で舞台中央にいる場面で終幕かと予想したのですが、そうはならず。金色の吹雪が降り注ぐ中、1人ずつ全員がトランポリンでジャンプするシーンは、もう、疲れ切ってしまい、眺めているのがやっとでした。

Ray of light, shards of mirror
出演:大江麻美子 大迫英明 梶本はるか 烏山茜 菊沢将憲 末長真 寺西理恵 西田弥生 黒田育世
構成・演出・振付:黒田育世 音楽:松本じろ 照明:森島都絵(インプレッション) ムーヴィング:PCライツ 音響:山田恭子 舞台監督:寅川英司+鴉屋、大友圭―郎 舞台監督アシスタント:佐藤恵 可野千鶴 美術コーディネート:大津英輔+鴉屋 美術コーディネートアシスタント:福島奈央花、坂本遼 小道具:栗山佳代子 小道具アシスタント:横川奈保子、今村智美 小道具協力:山下昇平、木村春子、満木夢奈 演出部:北村泰助、松澤紀昭 衣装:坂本千代 衣装アシスタント:生野舞穂、菊谷彩、山口茜、小野澤彩夏 フロント統括:竹岸実夏 協力:公益財団法人セソン文化財団 制作協力:ハイウッド
【F/Tスタッフ】プログラム・ディレクター:相馬千秋 制作:植松侑子、三五さやか 【F/Tクルー】制作クルー:今井彩乃、大和田沙織、川村美幸、塩澤亜美子、鈴木奈緒、谷口綾美、谷ロ舞、谷山友惟、細井麻沙子、藤井孟、藤原顕太、山田千尋、横山由衣 舞合技術クルー:尾越有紗、小嶋裕太、榊原杏奈、胥森、竹澤ひさみ、谷山友惟、生江裕美子、野島結、長谷川真緒、日色ともみ、藤下彩 主催・製作:フェスティバル/トーキョー
【休演日】11/12【発売日】2010/09/05 自由席 一般 前売 4,000円(当日 +500円)、学生 3,000円、高校生以下 1,000円(前売・当日共通、要学生証提示)
http://www.festival-tokyo.jp/program/kuroda/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2010年11月29日 22:04 | TrackBack (0)