2010年12月31日
【稽古場レポート】新国立劇場演劇研修所4期生試演会③『マニラ瑞穂記』12/21新国立劇場Dリハーサル室
マニラ瑞穂記
新国立劇場演劇研修所の4期生試演会③の稽古場に伺いました。試演会②が今月初旬に上演されたばかりで、修了公演が2月に上演されますので、4期生は毎月連続で3公演に出演することになりますね。
『マニラ瑞穂記』は1964年に発表された秋元松代さんの戯曲。俳優養成所の発表会などではよく上演されているそうですが、一般公演はあまりなかったとのこと。入場無料ですので、この機会にぜひ!演出は研修所長の栗山民也さんです。
■新国立劇場演劇研修所4期生試演会③『マニラ瑞穂記』
2011年1月9日~11日@新国立劇場Aリハーサル室
⇒ご予約はこちら。入場無料(要事前申し込み、先着順)。
⇒CoRich舞台芸術!『マニラ瑞穂記』
≪作品・公演紹介≫ チラシより
演劇研修所第4期生の三回目の試演会は、秋元松代作の「マニラ瑞穂記」を上演します。演出は、研修所長でもある栗山民也。
本戯曲は、戦後三好十郎の戯曲研究会に入り、底辺の民衆の魂の救済を民間伝示に仮託して描いた『常陸坊海尊』や『かさぶた式部考』などの代表作で知られる作者が一九六四年に発表した作品です。ここには、重厚な作風、テーマであると同時に、研修生が舞台を通じて学ぶのにふさわしい方言を含めた美しくも説得力を必要とする言葉遣い、台詞が散りばめられています。また、明治三十一年から三十二年、独立革命に揺れるマニラの大日本帝国領事館を舞台に、日本人青年とからゆきさんが悲しい物語を展開、あの時代を生き扶いた人々のエネルギーを、まさに時代を超えて同世代の研修生が正面から向き合い、どう感じ、舞台で表現するのか、試演会ならではの舞台です。
≪ここまで≫
左から吉田さん、栗山さん、坪井さん
私が伺ったのは12/21(火)の14:00から18時10分頃まで。最初に第3幕、次に第1幕(その1)を2度通しました。演技が中断されることはなく、役者さんはシーンの最初から最後までを演じます。演技中に栗山さんが気になったこと、変更すること等を演出助手の坪井彰宏さんに小声で伝え、坪井さんがそれをノートに書き留めておきます。そして演じ終わったところでまとめてダメ出し(フィードバック)をするという流れ。演出助手は2人体制で、もう1人は修了生(2期生)で女優の吉田妙子さん。私が観た日はプロンプターをされていました。研修所の先輩として研修生の演技の相談などにも対応されているそうです。
演出家の言葉を聴いている研修生の皆さんは、つま先から頭のてっぺんまでの全身が耳になったように集中しており、一直線に演出席に向かう何かが目に見えるようでした。
『マニラ…』の舞台は明治31年、1898年のフィリピンの首都マニラにある大日本帝国領事館。スペインの植民地支配に対する独立革命が起こっており、マニラは3年越しの内乱状態にあります。ドイツがスペインを後押しし、アメリカがフィリピン側に付いて、フィリピンがアメリカの属領になることを防ぐために(建前かもしれませんが)、日本もその中に入ろうとしている一触即発の状況です。
四方から客席が囲む正方形のステージで、出演者は360度さらされることになります。衣裳や家具などは具象ですが出はけ口が多数ありますので、おのずと抽象的な世界も開かれていきそうです。
『かもめ』を観たばかりだったので、まず4期生の皆さんの変身っぷりにわくわくしました。カタカナのロシア名で呼びあっていた若者たちが日本人として登場し、着物を着て方言を話します。稽古見学の前に台本を読んで伺ったところ、配役は背格好などの外見と演技の個性から想像していたのとピッタリでした(特に男性)。ダブルキャストも1組だけですから、発表会というよりは本格上演向きのキャスティングになっているのではないでしょうか。
栗山「僕は演技の上手い下手では選ばないんですよ。(配役の判断材料は)見た目や演技の質感、声とかでね。」
役者さんは自由に動いているように見えますが、出はけ口や立ち位置、その他の重要なポイントで、いつ、どのタイミングで立つのか、座るのかなどが決められています。また、栗山さんは台本にはない動作、しぐさを細かく追加されていました。例えばあくびをする、机を叩く、「エイ!」と声に出して蹴りを入れる、袖をつかまれたら、それを力づくで離すなど。登場人物の性格や経験が視覚的にわかりやすくなったり、その場で起こっていることの厚みを増す効果があるように思います。あらかじめ決まっている動きをなぞっているように(振付のように)見えてはいけませんから、微調整にも余念がありません。
栗山「日常生活でも“なんとなく”動くことなんてないでしょう。それじゃ夢遊病だよ(笑)。行動には必ず何か目的がある。」
栗山「入ってから見る、という動作だと(わざとらしい)芝居になっちゃう。入りながら、見て。」
【写真↓左から:今井聡さん、竹田雄大さん、佐藤真希さん】
日本からフィリピンに渡った“からゆきさん”(⇒こちらが詳しいです)が多数登場し、女性のほとんどは娼婦役です。娼婦はま役を演じる斉藤麻理絵さんは、爆発力満点だった『かもめ』のアルカージナ役をさらに上回る迫力!ニーナ役だった佐藤真希さんは、おそらくアルコール中毒なのであろう、少々おつむの弱い娼婦いち役。涙をほろほろと流しながら、罵声を放ち、床を転がる姿に目が釘付けになりました。嘘のない悩みっぷり、取り乱しっぷりにもらい泣きしそうになります。でもそこに栗山さんのダメ出しが。
栗山「彼女は(この場面では)泣かないでしょう。(ここにいる娼婦は)泣こうと思ったも、歯を食いしばるんじゃないかな。すでに涙が枯れるほどに泣いた女たちなんだから。」
む~・・・やはり厳しいですね。その場に生きている人間として存在することと、戯曲の世界を背負った特定の人物であることが、両立されなければなりません。栗山さんは各登場人物についてはっきりとした解釈を持ってらっしゃるようです。
男性が演じる役は、出自や立場が全く異なる、非常に複雑な関係にある男たちです。フィリピン独立軍に加勢をしにやってきた岸本(竹田雄大)と平戸(今井聡)、大勢の女性を娼婦として売りさばいてきた女衒(ぜげん)の秋岡(趙栄昊)、そして領事館に駐在する高崎領事(原一登)や古賀中尉(白川哲司)をはじめとするエリートたち。特に秋岡と高崎は天と地ほどに地位が離れていますが、海外で長年生き伸びてきた者同士、何でも言い合える親友のような間柄です。
栗山「秋岡と高崎の2人の場面は最高の会話だよね。2人ともが豪快で、互いに深いところまで入っていく。男同士の気持ち良さがあるんだな。」
栗山「10倍ぐらい豪快に!声を大きくするんじゃないよ、精神的にだよ。野望の大きさを見せて。」
栗山「その演技はテレビの大河ドラマみたいだよ。相手に伝わってない。現代劇だから、会話がしたいんだ。」
演じるのは同じ日本人ですが、それぞれに明確な使命や目的を持って外国に渡ってきて、人生のがけっぷちで必死に生きています。個性がはっきりしていて強い主張もありますので、きっと今の日本の普段の生活ではあまり見かけないタイプの人々でしょう。役を自分のものにするまでに、内面的に大きな飛躍が必要かもしれません。
栗山「さっきの演技には信念がない。セリフが説明になってるよ。フィリピン独立運動に参加する日本人には『国は自国の力によって立ち上がらなければ。外国が介入することじゃない』という主張がある。オウム真理教だって信者は正しいと思って行動したんだよね。だから(ここで活動している)彼らにも、迷いがないんだよ。」
ただ、100年以上前の外国が舞台とはいえ、強国が弱国を食い物にしようとし、国同士のいさかいに庶民が巻き込まれる構図は今も同じです。
栗山「ここで起こっていることは沖縄の米軍基地問題と同じ。基地の場所を辺野古だ、普天間だなどと、沖縄に住んでない人たちが言ってるでしょう。」
激しくぶつかり合う明治の日本人を、平成の20代の俳優が生き生きと体現してくれたら、100年前のマニラと現在の東京がつながる気がします。またこの戯曲には男と女の根源的な対立も描かれていますから、物語の設定や人物像を超えたところにある闘いも見せてくれることと思います。
【写真↓左から:白川哲司さん、日沼さくらさん】
【出演:新国立劇場演劇研修所(台本順)】秋岡伝次郎:趙栄昊 高崎碌郎:原一登 古賀中尉:白川哲司 岸本繁:竹田雄大 平戸健三:今井聡 梶川弥一:扇田森也 もん:日沼さくら はま:斉藤麻理絵 いち:佐藤真希 タキ:田島真弓 くに:仙崎貴子 シズ:木原梨里子(9日15:00&10日18:00)/土井真波(10日13:00&11日13:00) さく:土井真波(9日15:00&10日18:00)/木原梨里子(10日13:00&11日13:00) 淡路書記官:安藤大悟 斉藤多賀次郎:梶原航(5期生) ウィルソン大尉:片桐レイメイ(5期生) 長七:藤本強(5期生) 米兵ジミー:林田航平(5期生)
脚本:秋元松代 演出:栗山民也 美術:伊藤雅子 照明:田中弘子 音響:吉澤真 衣裳:中村洋一 ヘアメイク:鎌田直樹 方言指導:藤木久美子 演出助手:坪井彰宏 吉田妙子 舞台監督:三上司 製作助手:井上舞子 山田智恵 研修所所長:栗山民也 制作:新国立劇場演劇研修所
入場無料(要・事前申し込み、先着順)
「マニラ瑞穂記」チケットお申し込み:http://www.e-get.jp/enquete/AnswerClt?KID=nntt&KCD=81
http://www.nntt.jac.go.jp/training/drama/
稽古場写真撮影:mao
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年12月29日
【寄稿】wonderland『年末回顧特集「振り返る私の2010-今年の3本」』
“wonderland”の年末回顧特集「振り返る 私の2010-今年の3本」(メルマガ)に参加させていただきました。⇒2009年、2008年、2007年、2006年
■しのぶの小劇場ベスト3(上演順)
1.SePT独舞「ソコバケツノソコ」(構成・振付・出演:黒田育世 構成・演出:飴屋法水)
2.あうるすぽっとチェーホフフェスティバル2010「長短調(または眺め身近め)」(原作:チェーホフ 誤意訳・演出:中野成樹)
3.カンパニーデラシネラ「異邦人」(原作:カミュ 構成・演出:小野寺修二)
つかこうへい作品で観劇に目覚め、井上ひさし作品に触れて初めて“自分の頭で考えること”を知った私にとって、両氏の逝去は自分の根幹を揺さぶる出来事だった。
衝撃を受けた海外招聘作品も多くあったが、ベスト3は日本人の舞台にしぼった。王道ストレート・プレイが選から漏れたのが残念だ。奇抜な演出で演劇とは何かと問い、観客存在に揺さぶりをかける舞台も大歓迎だが、そろそろ日本製の硬質ストレート・プレイの新たな書き手に出会いたい。無論それを演じられる俳優にも。
今後も必見の団体は蜷川幸雄氏率いるさいたまゴールド・シアターとさいたまネクスト・シアター。若者と高齢者、素人と玄人、作り手と観客が、明確な狙いのもとに混在、融合する舞台を生み出している。
(注)今年の3本は客席数300席以下の小劇場公演から選出。3作品の並びは上演順。年間観劇本数は274本の予定(2010/12/25時点)。
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年12月28日
さいたまネクスト・シアター『美しきものの伝説』12/16-26彩の国さいたま芸術劇場インサイド・シアター(大ホール内)
蜷川幸雄さんが芸術監督をつとめる彩の国さいたま芸術劇場には、2つの俳優集団があります。平均年齢71歳(2010年時点)のさいたまゴールド・シアターと、若い俳優の育成を目的としたさいたまネクスト・シアター(⇒旗揚げ公演のレビュー)です。
客席は三方囲みの自由席。私は中央ではなく舞台の下手側の席でしたが、ストレスは皆無でした。上演時間は約3時間15分(途中15分の休憩を含む)。登場人物紹介や用語解説など、公演公式サイトが充実しています。
『美しきものの伝説』を観るのはたぶん3度目で、今回が一番面白かったです。オープニングで感涙、エンディングで鳥肌。
初日を観たのに公演中にレビューが間に合いませんでした・・・。終演後すぐに簡単な感想をツイッターに書いたりしていますので、ご興味あればフォローしていただけると嬉しいです。
⇒CoRich舞台芸術!『美しきものの伝説』
≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
明治43年、大逆事件が起こり、社会主義運動は「冬の時代」に入り、大正の幕が開く。
いつか行動を起こそうと、大逆事件の残党・四分六<堺利彦>(飯田邦博)は、クロポトキン<大杉栄>(松田慎也)、暖村<荒畑寒村>(小久保寿人)とともに売文社を創設。そこへ女優志望の伊藤野枝(深谷美歩)が『青鞜』編集長モナリザ<平塚らいてう>(江間みずき)に会うために訪れる。
演劇界では、ルパシカ<小山内薫>(横田栄司)、早稲田<沢田正二郎>(鈴木彰紀)、新聞記者サロメ<神近市子>(土井睦月子)らが先生<島村抱月>(原康義)と日夜議論を重ねていた。先生率いる芸術座が松井須磨子(周本えりか)主演の『復活』で大成功を収めるが、「娯楽劇と芸術劇の二元論」に自由劇場のルパシカは「自然の演技こそ真実」と真っ向から対立する。
またフリーラブを提唱するクロポトキンはサロメと恋愛関係に。一方、野枝は夫の幽然坊<辻潤>(堀源起)との子を身ごもりながらクロポトキンと生きる決意をする。それぞれに自らの理想のために奔走し、また人間的な自由な恋愛を謳歌する彼らだが、やがて厳しい現実が目の前に現れる――。
≪ここまで≫
芸術性を強く追求すると観客はそっぽを向くし、観客にこびた娯楽を作るのは本意ではない。芸術と娯楽の間で七転八倒してきた、そして今も同じことを繰り返している私達が、そこにいました。芸術家が警察権力と闘う姿も描かれます。東京都青少年健全育成条例改正案が可決されたばかりでもあり、まさに今の私たちのことであると思わざるを得ませんでした。
対話劇、劇中劇、そして観客に話しかける独白など、演劇ならでは構造をふんだんに持つ戯曲です。独白で、何度も不思議な錯覚を味わいました。若い役者さんが物語の登場人物、つまり実在した歴代上の人物として存在し、死者の生の声を届けてくれたように感じたのです。何度となく背筋がぞくっとして、涙が流れました。数年前に観た『溺れる男』を思い出しました。
美術および演出、そしてキャスティングが素晴らしくって!!これはネタバレになるので後ほど。
ネクストシアターの役者さんの中で強く印象に残ったのは野枝役の深谷美歩さん、先生(原康義)に物申す学生役の川口覚さん、三味線を演奏する演歌師役の佐々木美奈さん。 ※三味線を演奏されてたのは浅場万矢さんだそうです。失礼しました(2010/12/30訂正)。
原康義さんの独白は見事でした。内容もよく理解できましたし、先生(=島村抱月)の性格にも魅力を感じました。ユーモラスな面も見せてくださって、独白場面で顔がほころびました。
ここからネタバレします。
大ホールの舞台上に三方囲みの客席が設置され、舞台は黒い床のみで何もありません。いつも客席がある方が舞台奥になります。舞台奥の黒い幕が開くと、大きな四角い箱を1人1個ずつ前へと押し進めながら、大勢の人々が歩いて登場。箱は透明で枠だけが黒色。中には蛍光灯が仕込まれていて、等身大の人間の人形が1体、足をたたんで丸まった形で、横たわって入っている・・・?と思ったのですが、じーっと見てみると、人形ではなく本物の人間でした。さいたまゴールドシアターの老俳優の方々だったんです!生死が一体となったあの世とこの世の境目の世界(?)がドドーン!と向かってきて、ここで早くも涙ボロボロ。
舞台上にほぼ均等な間隔で多くの箱が並び、中に入っていた俳優が外に出てきます(箱には蓋がありません)。最後に中央の箱から着物姿の若い女性が立ち上がりました。この物語の主要人物の野枝(深谷美歩)でした。大正時代の実在の人物が、今によみがえりました。物語が始まる前に(開場時間から歌と生演奏はありましたが)すっかり観客も劇中の人となりました。蜷川さん、凄い。
机やイスなどの家具類が次々と運び込まれ、場面転換時にもどんどん入れ替えられますが、透明の箱はほぼ最初に出てきた時のまま、舞台上に置かれ続けます。着物も小道具もリアルなのに20個ぐらいの透明の箱がずっとあって、使われるんです。アグレッシブな演出!!
最後の場面。閉じていた舞台奥の幕が再び上がると、長く長く広がった舞台にも透明の箱がずらりと並んでいます。中には花が咲いています。延々と続く墓標でもあり、これから生まれる命のゆりかごのようでもありました。
ゴールドシアターの高齢の方々、ゲストのベテラン俳優の方々がネクスト・シアターの若者と一緒にいて、年齢や人生経験の違いがそのまま舞台に表されたことも、作品の大きな特徴になったと思います。たとえば普段の生活でも世代間交流が少なくなってきていますよね(核家族化とか)。色んな世代の人がいるというだけでも、場のパワーが増していたように思います。ゴールドシアターの方々の存在の大きいこと!心身に刻まれた経験が体から放射されていました。
若い俳優はベテランの方々と仕事をして成長されたのではないでしょうか。ベテランの方々も大勢の若手から刺激を受けて、普段よりも熱く、フレッシュな演技をされていたように思います。
さいたまネクスト・シアター第2回公演
出演:さいたまネクスト・シアター(浅場万矢 浦野真介 江間みずき 大橋一輝 川口覚 熊澤さえか 小久保寿人 佐々木美奈 周本えりか 鈴木彰紀 手打隆盛 土井睦月子 中村朕紗友 西村篤 隼太 深谷美歩 堀源起 松田慎也 茂手木桜子 本山里夢 横山大地 露敏 出演志願:鋤柄聖一)
ゲスト:原康義 横田栄司 飯田邦博
さいたまゴールド・シアター(大串三和子 小渕光世 葛西弘 加藤素子 上村正子 小林允子 小林博 佐藤禮子 重本惠津子 田内一子 高橋清 滝澤多江 谷川美枝 田村律子 寺村耀子 遠山陽一 西尾嘉十 林田惠子 宮田道代 渡邉杏奴)
脚本:宮川研 演出:蜷川幸雄 演出補:井上尊晶 音楽:朝比奈尚行 美術:中西紀恵 照明:岩品武顕 音響:高橋克司 ヘアメイク:佐藤裕子 所作指導:藤間貴雅 演出助手:大河内直子、藤田俊太郎 舞台監督:山田潤一 主催・企画・製作:財団法人埼玉県芸術文化振興財団
【休演日】12/20【発売日】2010/10/16【一般】3,800円【メンバーズ】3,500円
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2010/p1216.html
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2010/densetsu/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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G-up『サンタクロースの作り方』12/23-29 OFF OFFシアター
今年の年末はあまりお芝居が観られない状態になってまして、最後に何が観られるかしら~・・・と平日マチネの中から選んだのがこの1本。出演者の浅野雅博さん目当てです。あと、日本劇作家協会の第16回新人戯曲賞の最終選考に選ばれた秋之桜子さんの脚本にも興味がありました。
クリスマスが終わった後にサンタの話っていうのは、なかなか良かったです(笑)。上演時間は約1時間15分。
⇒CoRich舞台芸術!『サンタクロースの作り方』
レビューは記録程度。
≪あらすじ≫
ダンボール箱が積み上げられた倉庫に、挙動不審な男が一人。一人、また一人と男たちが現れる。やがて彼らにサンタクロースの衣裳を着ろと勧める男が現れて…。
≪ここまで≫
成り行きにちょっと無理があるなと気づいても、役者さんが堂々としてくだされば、観客もその嘘にノって行けるんですよね。可愛いお話でした。
ここからネタバレします。
元ひきこもり(山口森広)とAD(西原誠吾)が、戦国無双というゲーム(?)に出てくる言葉でやりとりをするのが面白かったです。西原さんはパラドックス定数でしか拝見したことがなかったので新鮮でした。カーテンコールの挨拶も良かった。
ホスト(浅野雅博)の不幸な生い立ちをサンタ(有川マコト)が明かしていく場面。お涙ちょうだいな展開がさらに進むかと思いきや、バッチリ笑いに落としてくださいました。
≪出演≫ヤクザ:有馬自由(扉座)、看護師:細見大輔、ホームレス:瓜生和成(東京タンバリン)、医師:工藤潤矢、証券マン:恩田隆一(ONEOR8)、ひきこもり:山口森広、撮影するAD:西原誠吾(パラドックス定数)、サンタ:有川マコト(絶対王様)、ホスト:浅野雅博(文学座)
脚本:秋之桜子(羽衣1011) 演出:Peter.F.Pumpkinhead 照明:正村さなみ(RISE)/音響:葵能人/岡村崇梓/音響操作:芳賀明子/舞台協力:佐々木智史/美術協力:小林奈月 稽古場協力:行木祥明/辰巳智秋(ブラジル)/衣装協力:上岡紘子/制作補:たけいけいこ/制作協力:今井由紀/制作:G-up/プロデューサー:赤沼かかみ/企画製作:G-up
【発売日】2010/11/20 前売・当日共 3,500円(全席指定) ★12/23の19:30の回のみ、初日割 3,000円 ※未就学児童のご入場はお断りさせて頂きます。※指定席のお客様であっても、開演に遅れられますと指定のお席にご案内できない場合がございます。
http://www.g-up.info/2/next.shtml
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【情報】水天宮ピット「スタジオ無料貸出しのお知らせ」※2011年1/4〆切(郵送又は持込)
東京芸術劇場が運営する稽古場施設“水天宮ピット”が、中スタジオ2を無料貸し出しします。ご興味のある芸術団体の方々は、公式サイトをよく読んでお申し込みください。
中スタジオ2は広さ約88平米(9.8m×9.0m )、高さ約3m。3階角部屋で見晴らしも良さそう。スタジオ隣りの制作室も一緒に借りられます。
無料貸し出しの目的は「連続した稽古場使用による作品のクオリティ向上を実際に体験して頂くため」とのこと。観客にとっても朗報です!
■水天宮ピット「中スタジオ2無料貸出し」
貸出期間:2011年1月31日(月)~2月27日(日)
〆切:2011年1月4日 ※郵送又は持込
結果通知:2011年1月17日(月)
2010年12月19日
国道五十八号戦線『国道五十八号戦線異状ナシ』12/08-13サンモールスタジオ
国道五十八号戦線という劇団の解散公演です。私は劇団初見。旗揚げ公演『国道五十八号戦線異状ナシ』と、短編集の『国道五十八号戦線異状アリ』との2本立てで、脚本は座付き作家の友寄総市浪さん。演出にはDULL-COLOREDPOPの谷賢一さんを迎えました。
『異状ナシ』初日を拝見したのですが、谷さんの演出作品をよく観ている者としては、全体的に間に合っていないな~という印象を受けました。やはり2本立てだからでしょうか。音の鳴るタイミングや選曲、装置も含めて明確な演出意図が見えていたので、ちょっと残念でしたね。
⇒CoRich舞台芸術!『国道五十八号戦線異状ナシ』『国道五十八号戦線異状アリ』
レビューは記録のみ。
アジトを訪れるネクタイを着用した男ガモウを演じた浅倉洋介さん。長いセリフを緻密につくってらっしゃるように思いました。
頭の弱いセイテツを演じた山本卓卓さん。舞台上で余裕の感じられる存在感が良かったです。
ここからネタバレします。
三方から客席が囲む舞台。最後に舞台奥の壁の裏から照明があたり、壁が透けて国旗が見えました。短編集の方は装置も全然違ったそうです。
国道五十八号戦線解散公演
[出演]伊神忠聡 ハマカワフミエ(以上、国道五十八号戦線) 浅倉洋介(風琴工房) 東谷英人 さいとう篤史 佐野功 詩森ろば(風琴工房) 田中美希恵(贅沢な妥協策) 中村梨那 西尾友樹 野田裕貴(バナナ学園純情乙女組) 山本卓卓(範宙遊泳)
脚本:友寄総市浪(国道五十八号戦線) 演出:谷賢一(DULL-COLOREDPOP) 舞台監督/大地洋一 演出助手/冨坂友(Aga-risk Entertainment) 古田仁美(クロカミショウネン18) 照明/朝日一真・吉田麻美 音響/岡田悠(One-space) 舞台美術/鳥養友美 制作/松島靖江・山田杏 制作協力/池田智哉(feblabo) 宣伝美術/羽尾万里子(Mujina:art) 舞台撮影/石澤知絵子 親切/塚越健一 不親切/福原冠 金丸慎太郎 沖縄方言指導/佐喜眞淳 映像撮影/頃安祐良
【発売日】2010/11/08 前売り:2500円 平日昼割:2200円(※要予約) 当日:2800円
http://www.58thfrontier.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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はえぎわ『ガラパコスパコス』12/17-29こまばアゴラ劇場
ノゾエ征爾さんが作・演出・出演される劇団はえぎわの新作です。ノゾエさんのことは舞台や映画に出演されているのをよく拝見していますが、劇団公演は初見。副題は「進化してんのかしてないのか」です。※タイトルが『ガラパコス』から『ガラパコスパコス』に変わったそうです(当日パンフレットより)。
面白かった~!!役者さんに魅せられて声を出して笑って、壮大なテーマに引きこまれて。私的にはメルマガ号外発行まであと1歩、でした!
The Japan Timesの記事を読んで感じたんですが、『ガラパコスパコス』は海外でも通用する作品だと思います。上演時間は約1時間50分。
⇒CoRich舞台芸術!『ガラパコスパコス』
≪あらすじ≫
遊園地などで派遣ピエロの仕事をしている太郎(坂口辰平)は、ものすごく冴えない若者。ある日、太郎は腰のまがった老婆(井内ミワク)と出会った。2人は太郎が一人暮らしをしているアパートで共同生活を始めるが、老婆は老人ホームから勝手に抜け出してきており、家族やホームの職員が捜索中だった。
≪ここまで≫
おそらく開演後10分ぐらいで、ホロリと涙が出そうになったんです(早すぎやろ私)。演出にしてやられた、というか・・・どうぞ劇場でお確かめ下さい。
こまばアゴラ劇場には珍しい大人数の群像劇で、狭い空間に次々と個性的な人物が登場します。職場の上司の横暴、老人介護の実態、夫婦の不仲など、登場する市井の人々の日常はシビアですが、ちょっとしたコンテンポラリー・ダンスのような身体表現や自立した役者さんの知的な演技で、わははと笑える悲喜劇になっています。ノゾエさんの笑いのセンスはすごいな~。
本筋には関係のない(関係させる必要はない)、無駄と言ってしまってもいい人物やエピソードがけっこうあるのですが、その無駄さがむしろ人間らしくて、愛らしくて。最後には作品全体が人類の進化、生命の循環を表すような、壮大な世界になりました。
ここからネタバレします。
緑色の板に囲まれた何もない舞台。上手には下から上に引き上げて開くタイプの、倉庫にあるような扉。壁、柱、床が黒板になっていて、役者さんがチョークで絵や文字を描き、描かれたものから意味や空気、風景が立ち上がります。最初はメルヘンチックなオルゴールの音楽が流れる無言劇でした。太郎がチョークで書いた線を少しだけ消して、線の内側(=家)にまちこを入れた時、涙が出そうになりました。すっかり演出の術中にはまって、すさんだ現代のおとぎ話に入り込みました。
太郎は周囲の反対を押しきって、認知症が進行していくまちこを介護しますが、まちこは徐々に太郎のこともわからなくなり、結局ホームに引き取られます。2人だけの隔離されたユートピアは崩壊。
「ボレロ」が流れる中、太郎はまちこにピエロのメイクを拭ってもらいます。やがてピエロの衣裳も脱ぎ、背広を着て、外の世界へと出ていきます。彼の背後ではそれまでに登場した人々が、人間の一生や人類の進化をあらわす無言劇(マイム?)やダンスをしていました。人間の誕生、老い、そして死。グルグルと回り、繰り返す命。太郎もまちこも、なぜか決してバスに乗れない女も、“無駄な登場人物”も、全員がこの世界の参加者です。
「ボレロ」で十分にメッセージは受け取れたので、「We are the world」はなくても良かったな~。面白かったですけど(笑)、説明過多に感じました。「ボレロ」(全員がバスに乗ったところ)で終わっていたら、メルマガ号外を出していたと思います。
“無駄な登場人物”の代表格は英語しか話せない隣人(竹口龍茶)でしょう。ネットオークションで買ったドライヤーをすごく気に入ってたんだけど、そのコンセントから感電して死んで(?)しまいます。あんなに「誰かの役に立ちたい!」と言ってたのに、結局なんの役にも立たずに。てかそもそも英語しか話せないようには絶対に見えないし!(笑)
英会話だけで字幕もマイムもないシーン、最近よく遭遇します。演じる側も観客も英語能力が上がってきたのかしら。初日もかなりウケてました。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
出演:ノゾエ征爾(作・演出・出演) 斎藤拓(ドラマターグ) 徳永京子(演劇ジャーナリスト)
けっこう辛口の徳永京子さんが、感動のあまり息が上がっているようなご様子!
徳永「ノゾエさん、凄いものを作っちゃったなと。」
脚本が完成したのが本番2週間前ぐらいだったようで、ノゾエさんもドラマターグの齋藤拓さんも初日はまだ完成作品ではないという認識だったようです。でも私は十分満足でしたね。部分的にはおぼつかなさもあったと思いますが、役者さんがしっかり舞台上で自立して、劇の世界を立ち上げて見せてくれました。
出演:町田水城(派遣会社の上司) 鈴真紀史(太郎の同級生の柱谷緑) 滝寛式(特別養護老人ホームスタッフ) 竹口龍茶(英語しか話せない隣人) 踊り子あり(まちこの孫) 川上友里(まちこの娘/バスにいつも乗れない女) 鳥島明(特別養護老人ホームスタッフ) 井内ミワク(“まっちゃん”こと徳盛まちこ) ノゾエ征爾(太郎の兄) 富川一人(太郎の兄についてまわる耕介) 山口航太(緑の夫、柱谷先生) 星野美穂(太郎の兄の嫁) 金珠代(バスの運転手) 笠木泉(新入社員・渡) 坂口辰平(ハイバイ)(木村太郎) *チラシ掲載キャストの鈴木雄大は諸事情により降板。
作・演出:ノゾエ征爾 舞台監督:田中翼 舞台美術:袴田長武(+鴉屋) 音響:井上直裕(at Sound) 照明プラン:関塚千鶴(ライオンパーマ) 照明オペ:田畑智 衣裳:セオキョウコ(bodyscape theatre) 小道具:田中県 宣伝美術:康舜香 WEB:いのくちあきこ ドラマターグ:斎藤拓(青年団制作部) 演出助手:磯崎珠奈 制作:Little giants 企画・製作:蝿極 提携:(有)アゴラ企画/こまばアゴラ劇場
一般発売開始:2010年11月13日(土)AM10:00 全席自由 前売3,000円/当日3,300円 高校生以下:1,500円 学生・65歳以上:2,000円
24日、25日は、番外公演「ガラパコス~退化してんのか?~」を上演
終演後のトークのゲスト:17日19時:徳永京子さん(演劇ジャーナリスト)/18日19時:宮城聡さん(演出家、ク・ナウカ シアターカンパニー理事長、静岡県舞台芸術センター芸術総監督、アジア舞台芸術祭プロデューサー)/19日14時:吉田恵輔さん(映画監督。「机のなかみ」「純喫茶磯辺」「さんかく」)
http://haegiwa.net/next/22/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年12月18日
Bunkamura『黴菌(ばいきん)』12/04-26シアターコクーン
ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの新作『黴菌(ばいきん)』を拝見。昨年末に上演された『東京月光魔曲』に続く昭和三部作の第二弾です。上演時間は約3時間30分弱(途中休憩15分を含む)。⇒製作発表
大きなお屋敷に暮らす裕福な家族と彼らを取り巻く人々の群象劇。じわじわと外堀を埋めていくようにゆっくり、しっとりと進み、最後に核心をグサリ。術中にはまって笑い泣きしました。帰りにチラシとパンフレットのビジュアルの意味がやっとわかりました。
ロビーの売店のメニューに写真入りで“ミネストロン300円”とあったので、嬉しくなって「ミネストロンください」と言ったら、「ミネストローネ・スープをおひとつ」と言い直されて、ちょっと恥ずかしかったッス(笑)。ムード盛り上げのためにも、できれば給仕の方も“ミネストロン”でお願いしますっ!
⇒CoRich舞台芸術!『黴菌(ばいきん)』
≪設定と登場人物紹介≫
昭和20年の終戦間際の東京。脳病院や工場などを多角経営する五斜池家の邸宅。長男(山崎一)は脳病院の医師で、美しい妻(高橋惠子)と反抗的な息子(長谷川博己)がいる。自称小説家の次男(生瀬勝久)は国の要人の替え玉で、家でおとなしく暮らしている。末っ子(北村一輝)は金遣いが荒く、着飾って放蕩の限りを尽くしているようだ。
一家の長である父親は何十年も2階にある自室から出てこない。父のことをかいがいしく世話する若い愛人(緒川たまき)は、片足が不自由な兄(仲村トオル)を大事に思っている。彼は五斜池家が経営する工場の元工員で、偶然出会った教師(ともさかりえ)と結婚するらしい。
五斜池家の使用人は体格のいい女中(池谷のぶえ)と以前は脳病院の患者だった男(小松和重)。長男が空襲で自宅を失った夫婦(岡田義徳&犬山イヌコ)を逗留させるところから物語が始まる。
≪ここまで≫
舞台は上品な木製家具が並ぶ豪華な洋館。柱はあるものの壁がほぼない状態なので、抜け感が気持ちいいです。空間のど真ん中には立派な石造り(に見える)の渡り廊下が舞台を横切ります。舞台奥には桜の咲く広い庭。下手奥に脳病院があり、下手手前には地下室への階段。上手手前には廊下が伸びて、その先に玄関がある設定です。
敗戦の色が濃くなってきた日本には不似合いな、贅沢ずくしの日常生活。五斜池家の人々の豪華で美しい衣裳に、使用人の粗末な日常着、兵隊の軍服、警察官の制服、脳病患者の寝巻き(?)などが混在します。人間の悲しさ、恐ろしさ、滑稽さを静かに笑うような6/8拍子の音楽が、荘厳さもあってすごくいい。
役人物としての面白みと、演じる役者さんのパーソナリティーゆえの面白みが交互に、小刻みに繰り出され、舞台上にいる一人ひとりを個別に注目して鑑賞するような感覚でした。大がかりな事件が目に見えて次々と起こるスペクタクルではないので、ストーリー展開の吸引力はそれほど強くなく、人物のあり方、関係などをしっとり楽しみました。それが最後の最後にくるりと丸くまとまって、1つの家族の話として私の胸の奥にストンと落ちたのです。
さりげない言葉のやりとりの中に散らばっていた重要なパーツを頭の中でかき集め、ああ、あの人は本当はこんな人だったのか・・・・など、劇場からの帰り道で一つの筋の通ったお話として、しみじみ反芻しました。
レビューの続きを書こうとすると、「あの場面のあの役者さんの、あのセリフと動きが面白かった!」など、具体的なことばかり思い浮かんでくるので、なぜなのかを考えてみました。
演劇ジャーナリストの徳永京子さんが当日パンフレットに既に書かれていることで、私が新たに発見したわけではないのですが、ケラさんは役者さんがもともと持っている個性や魅力を、観客が存分に味わえるように、座組みに合わせた作・演出をされる方なのだと思います。
たとえば北村一輝さんのハンサムでセクシーで危険な香りがするルックス、しゃべる言葉がミステリアスに響く(嘘っぽいとも言える)ことを、北村さんが演じる役柄に反映させ、同時に北村さんご自身を面白く見えるようにもするのです。観客は物語の登場人物と俳優個人の両方と出会い、その2人(以上)が混ざったキャラクターを楽しむことになります。
役者さんが厳密な意味で役人物になりきっていない(そんなことは演出家が最初から求めていない)とも言えますが、その役者さんにしか演じられない書き下ろし脚本だからこその贅沢さがあり、その二重構造を解き明かしていく頭脳戦のような楽しみもあります(どこからどこまでが役者さんの素で、役柄のフィクションなのか)。
ナイロン100℃やオリガト・プラスティコ、その他のプロデュース公演や映画、音楽創作など、ケラさんの活動は多岐にわたります。今作は大スターの豪華な競演に期待する観客がシアターコクーンいっぱいに集まっているのですから、サービス精神の大盤振る舞いとも言えますよね。その場、その時に最適な作品をその都度新たに生み出していく、プロ意識の高いアーティストだと思いました。
稽古場で役者さんを観察しながら台本を加筆、修正していくのですから、どうしても遅筆になってしまうのでしょうね(想像にすぎませんが)。出演者全員について心を配っている脚本でした。だから必要不可欠とは言い切れない場面や、セリフのやりとり、間(ま)などはあったと思います。長時間の観劇を覚悟していたので不快感は全くなかったですが、休憩込みで3時間半という長さを、短く凝縮することはできるだろうと思います。
ケラさんがチェーホフ作品を本格的に引用して、独自の味わいを付加されていること(もしくはケラさんの作風にチェーホフ的な要素を取り込んだこと)がすごく面白かったです。また、この舞台に出ている役者さん全員について、好き度(もともと好きだった気持ち)が少しずつアップしました。例えば今後、映画で仲村トオルさんを見たら、必ず今回のキュートで乱暴な兄役を思い出すだろうと思います。
ケラさんのバンド“ケラ&ザ・シンセサイザーズ”の新譜「Body and Song」がロビーで販売されています。やばい、歌詞が沁みるー!!
バウンディ (2010-12-08)
売り上げランキング: 6323
ミネストロンは温かくて美味しかったです。300円はお買い得♪テーブルに集まった見知らぬ観客4人が全員ミネストロンをいただいてました。休憩時間はミネストロン人口高し。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
オープニングはおなじみのKeralino Sandrovich Theatricalの映像(上田大樹)。白い線が立体的な建物を描いていくのが、シンプルながらかっこいい!出演者の名前も動画に組み込まれていて、たとえば「池谷のぶえ」が屋根に押されて小さくなるのが可愛かった♪
桜の下に埋められた白骨は幼くして亡くなった三男のもの。長男が重症の脳病患者の病室の鍵を盗み、次男がその鍵で開けてはいけない部屋のドアを開け、巻き込まれた三男が部屋から出てきた患者に殺されてしまいました。それ以来、父親は家族と会うことをやめてしまい、次男は自責の念に駆られずっと苦しんできました。長男は精神面の弱さゆえか、「役に立つ人間になりたい」との思いから、新薬開発のために患者を使った人体実験を繰り返しています。四男はというと、「三男は優しくていい奴だった」という思い出だけが残っていました。
でも、三男が病院に入ったのは、四男が大好きだった野良犬を追いかけて行ったためだったことがわかります(犬は四男と一緒に遊んでいる最中に行方不明になっていた)。三男が死んだ本当の原因は自分だったと知った四男は、人生で2度目の涙を流します(1度めは三男が死んだ時)。ぼろぼろに泣き崩れる四男を見るだけで胸にジンと来るものがあるのですが、さらにダメ押しだったのは、四男が犬猿の仲だった次男に向かって「もっと早く言って欲しかった。そうすればにいちゃん(次男)はこんなに苦しまなくて良かったのに」と言ったこと。もーなんてイイ奴なんだ四男!見かけは完全な放蕩ダメ男なのに!!女中(実は大金持ちの令嬢)の「世界は広いんです」というセリフがここでもまたリフレイン。人は見かけじゃないし、誰も他人の心を理解することなんてできないんですよね。それでも一緒に生きていくんだけど。
チェーホフの戯曲がもとになっているのであろうエピソードがいっぱい。たとえば夭逝した息子の影がちらつき、一家が破産して邸宅が競売にかかるのは『桜の園』、一方通行の恋がいくつも生まれ、「本の102(?)ページを見て」と告白するのは『かもめ』、三人の兄弟がそろって「これからどうやって生きていけばいいんだろう」と惑うラストは『三人姉妹』。
仲村トオルさんはトボけた善人キャラ炸裂。笑いすぎました。あわててぐるりと一周した場面、忘れません。
女中役の池谷のぶえさんはおさげ髪に着物姿。おどおどしたキャラは面白いだけでなく、めっちゃくちゃ可愛かったです。
高橋惠子さんは複数のキスシーンあり(北村一輝さんと山崎一さん)。“ザ・女優”。美しいです。
父親(山崎一)に反発する息子役の長谷川博己さん。あんなに尖がってて童貞て(笑)。ギャップ萌えです。
[出演]北村一輝 / 仲村トオル / ともさかりえ / 岡田義徳 / 犬山イヌコ / みのすけ / 小松和重 / 池谷のぶえ / 長谷川博己 / 緒川たまき / 山崎一 / 高橋惠子 / 生瀬勝久
脚本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 音楽:齋藤ネコ 美術:伊藤雅子 照明:関口裕二 映像:上田大樹 音響:水越佳一 衣裳:小峰リリー ヘアメイク:宮内宏明 演出助手:坂本聖子 石内詠子 舞台監督:福沢諭志 主催・企画・製作:Bunkamura
一般発売2010/10/2(土) 特設S¥9,500 S¥9,500 A¥7,500 コクーンシート¥5,000 (税込) 小学生未満は入場不可。舞台に近い前方のエリアを通し番号で販売します。お席は当日劇場にてご確認ください。連番でご購入なさってもお席が離れる場合がございます。椅子が通常の形状と異なります。
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_10_baikin.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年12月17日
【オーディション】北京蝶々「『パラリンピックレコード(仮)』出演者募集」※1/25〆切(メールのみ)
北京蝶々が2011年4月公演の出演者を募集しています。劇団主宰の大塩哲史さんの脚本を、柿喰う客の中屋敷法仁さんが演出されます。ただいま上演中の公演でも外部から演出家を招いていますね。以下、折り込みチラシからの情報です。
■北京蝶々『パラリンピックレコード(仮)』出演者募集
作:大塩哲史 演出:中屋敷法仁(柿喰う客)
日時:2011年4月7日(木)~10日(日)
場所:シアタートラム
締め切り:2011年1月25日(火)24:00(メールのみ)
■募集概要
・開催日時
2011年1月29日(土)①13:00~14:30②15:00~16:30③18:00~19:30④20:00~21:30
2011年1月30目(目)①13:00~14:30②15:00~16:30③18:00~19:30④20:00~21:30
各時間帯の内容は同じです。
両日参加を原則とし、一日のみの参加は不可とさせていただきます。
希望の時間帯をお選びください。(例:29日①、30日③)
・会場 都内某所
・参加費 2000円
・参加資格 下記公演および、公演の約一ヵ月半前から開催される稽古に参加できる方
※応募者多数の場合は選考させていただきます。
※公演参加にあたりチケットノルマを設定する場合がございます。
・対象公演
北京蝶々第16回公演「パラリンピックレコード(仮)」
期間/2011年4月7日(木)~10日(日)
会場/シアタートラム
作/大塩哲史
演出/中屋敷法仁(柿喰う客)
・応募方法
info(アットマーク)pekinchocho.comまで、タイトルに「オーディション参加希望」と記入し、本文に
①氏名(ふりがな)
②年齢
③電話番号
④メールアドレス
⑤演劇活動の有無と活動歴
⑥29日の希望時間帯、30日の希望時間帯(それぞれ第三希望まで)
以上の項目を記入し送信して下さい。
・募集締め切り
2011年1月25日(火)24 : 00
http://pekinchocho.com
●北京蝶々
2003年、早稲田大学演劇研究会を母体に旗揚げした劇団。
電子マネーや介護ロボットなど、現代の日常に浸透しつつあるテクノロジーをモチーフに近未来の日常を描く。舞台作品のみならず、公演の趣旨と関連したイベントの開催にも積極的に取り組んでいる。
若手演出家コンクール2007(日本演出者協会主催)にて審査員特別賞・観客賞を受賞。
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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北京蝶々『あなたの部品リライト』12/14-19ギャラリーLE DECO 4F
北京蝶々は大塩哲史さんが作・演出・主宰される早稲田大学出身の劇団です。今回は若手演出家コンクール2007審査員特別賞・観客賞受賞を受賞した『あなたの部品』を大幅に改稿し、ほぼ新作として上演。演出には時間堂の黒澤世莉さんを迎えました。面白かったです。上演時間は約1時間30分。
公演初日前に全席完売。キャパが小さい劇場とはいえ大人気ですね~。当日券あり。
ポストパフォーマンストークにゲスト出演した徳永京子さん(演劇ジャーナリスト)の感想ツイート⇒1、2、3、4
⇒CoRich舞台芸術!『あなたの部品リライト』
≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
二度目の東京オリンピックを半年後に控えた冬の日。
片足の無いランナー(菅野貴夫)や、上半身の爛れた歌手(金子久美)が通うリハビリ施設に
両手両足を失った自衛官(横道毅)がやって来る。
彼は、自分をもう一度戦場で戦えるようにしてくれと
義肢装具士(酒巻誉洋)に依頼する―――。
≪ここまで≫
舞台は近未来の日本。腕利きの義肢装具士・西村のもとに新しい体を求める患者たちが集まってきます。
自分の体を再生できるだけでなく、好きなようにグレードアップできることで、人間とは、自分とは何なのかと問わざるを得ない状況になります。登場人物がそれぞれに自分勝手で思い込みが激しく、そのせいで心に病いを抱えています。
ベットリ人情劇にならず、社会問題摘発劇に終わらず、装置や演技に敢えて抽象的な余白を与えることによって、演劇ならではの世界の広がりを感じられました。ストーリーが平板にならず立体化したというか。
黒澤さんは過去に何度もこの会場で演出されていますので、演劇演出の“ルデコ職人”と呼んでもいいのではないかと思うほどに、空間の特徴を生かしていました。ただ、もう少し大きな劇場で観たかったとも思います。そうすれば照明や音響などの効果でもっと大きな作品になれたんじゃないでしょうか。
ここからネタバレします。
登場しない時、役者さんは舞台奥のスペースに立って待機。マネキンのようにポーズをとって静止しています。でも徐々に動き始め、隣の人に寄りかかったり、複数人で1個の生命体のようにとろけ合ったり。
事務所の出入り口を無視した登場が面白いですね。新たな思考への扉が開きました。
両脚が不自由な若い女性(熊川ふみ)と彼女を介護する恋人(森田祐吏)。女性は自立と、おそらく新しい出会いも視野に入れて脚を手に入れます。恋人は常に自分を頼ってくれる“障碍者”としての伴侶を欲しているため、彼女の足に細工をします。
上半身を元通りに改造した歌手(金子久美)はストーカーに追われていると言いますが、ストーカー(木村キリコ)はその歌手の方が偽者だ、彼女が自分の顔を奪ったのだと主張。でも実は両方とも偽者でした。
西村自身がもともと女性で、性転換手術を経て男性になっていたことがわかります。西村を演じる酒巻さんがにわかに女性めいて見えることにワクワク。恋人の女医(岡安慶子)の偏執的な愛情に納得。
片足が不自由な助手(田渕彰展)が去り、“(いろんな意味で)雑”な西村が一人になって事務所を片付ける場面で終幕。「変化した」ということなんだろうと思いました。
「膣」の扱いは面白かったけど、目のやり場に困ったなー(笑)。ダッチワイフのそれですよね、たぶん。着脱可能な部品。
「人間離れした義肢の装着が許可されたので、パラリンピックは障碍者のスポーツの祭典ではなくなり、怪物ばかりが出てくるようになる」という設定。次回作「パラリンピックレコード(仮)」(2011年4月@シアタートラム)と関係あるのかな~。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫ メモ程度の記録です。
出演:大塩哲史 黒澤世莉 徳永京子
徳永さんの冴え渡る分析に目からうろこ落ちまくり。舞台奥にいた人々の動きは、義肢装具士の気持ちの変化を表していたとのこと。
脚本の大塩さんと演出の黒澤さんの間では色んなバトルがあったようで、それがお互いの新しい世界を拓いたのだから、有意義でハッピーなコラボレーションですよね。
「セックスは前戯、挿入、射精ですから」とスッパリ言い切った大塩さんは、理系頭だからというだけではすまされない面白さ(笑)。
出演:森田祐吏 岡安慶子 田渕彰展 帯金ゆかり(以上北京蝶々) 酒巻誉洋 菅野貴夫(時間堂) 横道毅(花組芝居) 木村キリコ(ミナモザ) 熊川ふみ(範宙遊泳) 金子久美
脚本/大塩哲史 演出/黒澤世莉(時間堂) 照明・音響/北京蝶々 舞台美術/大塩哲史 舞台監督/桜井健太郎 宣伝美術/満冨優子 制作/吉田千尋 製作/北京蝶々
【発売日】2010/11/15 前売り・当日共に2,500円
「サプライズポストパフォーマンストーク」15日 徳永京子/16日昼 吉田小夏(青☆組)/16日夜 詩森ろば(風琴工房)/17日昼 中屋敷法仁(柿喰う客)
http://pekinchocho.com/
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MONO『トナカイを数えたら眠れない』11/27-05座・高円寺1
土田英生さんが作・演出・出演される京都の劇団MONO(モノ)の公演。1995年の『Holy Night』を全面的に書き換えたそうです。男性ばかりの劇団ですが、今回は2人の女優さんが客演しています。
MONOの方々のいつもながらの微笑ましいコミュニケーションが味わえることが嬉しい。「劇団が好きでお芝居を観に行く」という幸せが、今回も味わえました。ファンからの質問に劇団員が答えるコーナーなど、公演パンフレットも毎回充実。
⇒CoRich舞台芸術!『トナカイを数えたら眠れない』
≪あらすじ≫
クリスマス・イヴ。みゆき(亀井妙子)が経営するペンションに学生時代の仲間が集まる。クリスマス反対派の彼らの毎年の恒例行事なのだ。しかし、みゆきの妹あづさ(山本麻貴)が帰省し、彼女に好意を寄せる男(奥村泰彦)が突然やってきて、想定外のハプニングが・・・。
≪ここまで≫
劇場に入るなり豪華な装置にウキウキ。クリスマスを祝いたくない人たちが集まるはずなのに、上手窓の奥に大きなクリスマス・ツリーが見えるのが面白いです。ツリーを飾る電球と照明のコンビネーションが丁寧で、気分が盛り上がりました。
ただただトランプで遊ぶ人々の、たわいないやりとりが可笑しいです。長年の友人同士ですが、徐々にそれぞれの性格や家族構成、現在の経済状況などがわかってきて、距離感が変化し、胸が痛むような対立も生まれてきます。でも、もうちょっと登場人物の背景が詳しく描かれ、関係が入り組んでくる方が、私好みかも。姉妹の確執の理由などが感じとりづらかったですね。脚本、演出のせいなのか、演技のせいなのかはわかりませんが。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
ボート部って体育会系ですよね。やっぱり男の嫉妬は怖いし、シビアだな。
一番ゾクっと来たシーンは、妻の妹との不倫が妻にばれてしまった男(土田英生)が、あつかましく「俺、あづさちゃんだけが頼りだから」と言いよるところ。彼は無職で妻が経営するペンションで働かせてもらってるのです。無防備な状況で、ぬるっと悪意が飛び出てくるのが好き。
MONO第38回公演 ≪北九州、東京、大阪、愛知≫
出演:水沼健 奥村泰彦 尾方宣久 金替康博 土田英生 亀井妙子 山本麻貴
脚本・演出:土田英生 舞台美術 柴田隆弘 照明:葛西健一 音響:堂岡俊弘 衣裳:大野知英 [iroNic ediHt DESIGN ORCHESTRA] 大道具製作:アーティステックポイント 演出助手:磯村令子 舞台監督:松下城支 消しゴム版画とケーキ写真:ハタノワタル 宣伝写真:東直子 宣伝美術:西山英和[PROPELLER.] 制作補佐:谷井佳輔 制作:垣脇純子・本郷麻衣・田平有佳 協力: 兵庫県立ピッコロ劇団 WANDERING PARTY radio mono 企画・製作:キューカンバー 平成22年度文化芸術振興費補助金(芸術創造活動特別推進事業) 京都芸術センター制作支援事業
【休演日】11月30日(火)【発売日】2010/10/09 一般 4,000円 U-25 3,000円(MONOのみ取扱) 高校生以下 1,500円(MONOのみ取扱) ※初日割引・平日昼割 3,500円(MONOのみ取扱)
http://www.c-mono.com
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年12月16日
渡辺源四郎商店×東京デスロック合同公演『月と牛の耳』12/03-05富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ
青森を拠点に活動する渡辺源四郎商店と、埼玉を拠点に活動する東京デスロックの合同公演です。畑澤聖悟さん(渡辺源四郎商店)の戯曲を多田淳之介さん(東京デスロック)が演出されます。東京デスロックのメンバーが青森に滞在して創作したそうです。
多田さんならではの派手で大胆な演出で、戯曲の大事なところをギュギュッ!と力強く伝えてくれました。
⇒CoRich舞台芸術!『月と牛の耳』
レビューは記録程度です。
≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を一部追加。
東北の地方都市にある精神病院。
入居者のひとり、加賀谷敏(51)(牧野慶一)。「鳳凰院赤心拳」館長を務める格闘家である。
彼は7年前、日本で猛威を震った「プリオンウイルス脳炎」に感染して入院。
快方に向かうも入院中に脳出血に見舞われ、その後遺症により順行性健忘症となった。
知能はそのまま、障害を受ける以前の記憶もそのままだが、新しい物事を記憶することが全く出来ない。
「ホーム」の職員たち(佐山和泉 工藤静香 畑澤聖悟)は、彼の前では毎日が7年前、即ち1994年の4月25日であるかのように振る舞っている。
その日は、加賀谷の長女(工藤由佳子)が婚約者(夏目慎也)を連れて父を見舞いに来る筈の日なのだった……。
≪ここまで≫
家族の濃い会話劇でありながら、格闘技へのリスペクトと男のロマンも、笑いの裏に表に大切にしたためてられていました。入院中の加賀谷(牧野慶一)が格闘家であったこと、家族が格闘技でつながっていたことが、公演全体であらわされていたように思います。畑澤さんも多田さんもプロレスの大ファンなんですよね(チラシより)。
無数のタイル(パズルのピース)を並べたような大きな壁に、じわじわと変化するカラフルな照明。日常会話がかわされる病室から抽象世界へと、観客の思考を瞬時に飛躍させてくれました。
ここからネタバレします。
オープニングの出演者紹介は東京公演で追加されたそうです。工藤由佳子さんがプロレスラーのように登場しただけで感涙。肩と首の曲がり具合、静かながらもグラグラと闘争心に煮え立ったような目。
兄弟(工藤由佳子、佐藤誠、工藤良平、柿崎彩香)が舞台奥に一列に並んだ時、「家族」が見えました。
≪キラリ☆ふじみアトリエシリーズ12月≫ 参加費無料・申込不要
出演者:畑澤聖悟 多田淳之介 松井憲太郎(キラリ☆ふじみ館長)
トークまで聞いて感じたことです。
東京デスロックは2008年からキラリ☆ふじみのキラリンクカンパニーになり、2010年から多田さんが同劇場の芸術監督になられました。何度もキラリ☆ふじみに伺う内に、多田さんがその劇場の人であることが板についたというか、私個人にとってしっくり来たというか。やっと全身で受け入れられるようになりました。おかしな言い方ですが、なぜかホっとしたような嬉しい気持ちです。
多田さんおよび東京デスロックは、東京で暮らす私の近くにはもういなくて、違うステージへと進まれたのだなと感じています。少しさびしい気もしますが、時は過ぎるし人は成長しますものね。今後も1ファンとして見つめていきたいと思いました。むしろ東京デスロックおよび多田さんのことを鏡にして、自分のことを見つめ直した方がいいのかもしれません。
≪青森、埼玉≫
渡辺源四郎商店旗揚げ五周年記念事業/東京デスロック演劇LOVE2010~愛の共同作業~
出演:工藤由佳子、工藤静香、三上晴佳、工藤良平、柿崎彩香、宮越昭司、牧野慶一、畑澤聖悟(以上 渡辺源四郎商店) 夏目慎也、佐山和泉、佐藤誠、間野律子(以上 東京デスロック) 石橋亜希子(青年団)
脚本:畑澤聖悟 演出:多田淳之介 照明:岩城保 音響:泉田雄太 美術アドバイザー:山下昇平 演出助手:橋本清 ドラマターグ:工藤千夏 宣伝美術:宇野モンド 制作:服部悦子、西後知春 プロデュース:佐藤誠 主催:渡辺源四郎商店 東京デスロック 財団法人富士見市施設管理公社(埼玉公演)
【発売日】2010/10/02 一般前売 3,000円 当日 3,500円 学生・シニア(65歳以上)前売・当日ともに2,500円 ◯未就学児のご入場はお断りしております。
http://www.nabegen.com/
http://deathlock.specters.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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市原佐都子卒業研究公演『虫虫Q』12/09-12桜美林大学徳望館小劇場
桜美林大学4年生の卒業研究公演です。マームとジプシー、バナナ学園純情乙女組、範宙遊泳、乞局などに出演経験のある若い女優さん5人が出演。面白かった!
桜美林大学の学生の作品はダンスと芝居の境界線がないんですよね。演劇界の次世代が着々と育っているのを実感。上演時間は約1時間10分。
⇒CoRich舞台芸術!『虫虫Q』
何もないブラックボックスがビビッドに動く身体のみで劇空間に。セリフも演技も動作もダンスも、身体表現という意味で彼女らにとっては同じものなのでしょうね
20代前半日本人女子の等身大の生態を、少人数の会話と痛い独白でシニカル&コミカルに表現。女優5人全員が堂々として、それぞれに魅力的です。弱くてダサい自分を嗤いながら、感情も肉体も丸ごと自愛する強さも備えています。しっかり客観した上でデフォルメしているのが素晴らしい。
タイトルの『虫虫Q』はNHKの子供向け番組『むしむしQ』(むしまるQ?)から来ているようです。アニメのキャラはコミカルなのですが、超リアルな実写映像で、グロテスクさも剥き出しのまま、虫の生態をクイズ形式で紹介します。この作品は女子大生が自分たちを紹介していました。
ここからネタバレします。
一人暮らしの女子大生。夜中に知らない男にレイプされるがまま。立ったまま寝る。:吉田聡子
伊勢丹が好き。美味しいものに目がない。外見や他人が気になってばかり。語尾がウフフ。:竹中香子
16歳の時から弁当屋とアパートの往復人生。ニノが好き。息声しか出ない。:岡崎菜穂子
覗き見する耳年寄りの処女。誰にでも「がんばって!」と無責任に、でも本気で叫ぶ。:大森美里
性交渉の体験数多し。バンドマンの彼の子を妊娠するがウザがられる。語尾が歌声。:市原佐都子
出演:竹中香子、大森美里、岡崎菜穂子、吉田聡子、市原佐都子
脚本・演出:市原佐都子 舞台監督・舞台美術:加藤唯/照明:塚原佑梨/音響:吉村紳平/映像:御園涼平/衣裳:飯塚ゆかり 橋本ゆりか/宣伝美術:吉田聡子/演出助手:舘巴絵/制作:市川公美子/制作協力:萩谷早枝子/監修:今井朋彦
【発売日】2010/11/03【通常】前売り:800円/当日:1000円【土夜割】前売り:500円/当日:700円※割引Q…11日(土)19:30の回対象
http://musimusikeiko.blog94.fc2.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年12月15日
【写真レポート】公益財団法人セゾン文化財団「森下スタジオ新館オープニングレセプション」12/14森下スタジオ新館
盛況のSスタジオ
公益財団法人セゾン文化財団が運営・管理する森下スタジオの、新館オープンを記念したレセプションにお邪魔しました。新館内のお披露目も兼ねた豪華なパーティーでした。
新館は森下スタジオ正面玄関から見て、ちょうど右隣りに建った3階建て(4階は屋上?)のビルです。居住可能なゲストルームやロッカー、広いラウンジなども完備された、うっとりするほと贅沢な施設。セゾン文化財団の助成対象者が利用できます。新館の本格稼動は2011年春からです。
■内覧を希望される方はお問い合わせください。
受付開始:2010年12月20日(月)~
メールアドレス:nairan(アットマーク)saison.or.jp
電話:03-5624-5961(森下スタジオ) 受付時間:10時~21時
※希望日時、氏名、人数、連絡先などをお知らせください。
理事長の堤清二さんのご挨拶、文化庁長官からの祝辞代読、舞台美術家の朝倉摂さんによる乾杯のご発声などの後、助成対象者の藤田康城さん(ARICA)、小野寺修二さん(カンパニーデラシネラ)もご挨拶されました。
新館の内部は写真撮影可でした。各部屋にはキッチンも冷蔵庫もありますし、共用の洗濯乾燥機もあります。2人部屋は長期滞在も快適そうです。会場で会った知人が「ここに住みたい!」と言ってました(笑)。
一人部屋はワンルームです↓
一人部屋のキッチンと冷蔵庫↓
一人部屋のユニットバス↓
二人部屋のリビング↓
二人部屋のベッドルーム↓
19:30から小野寺さんの新作短編が披露されました。『異邦人』に出演されていた片桐はいりさん、森川弘和さん、藤田桃子さん、そして小野寺さんによる出来立てほやほやのパフォーマンスは、コミカルでちょっと怖い、ある男の夢の中の(?)出来事。舞台にあるのは机とイス2脚、そして海苔巻きの材料が載ったワゴン。イスに座り机につっぷしてまどろんでいた男(森川弘和)は、「海苔巻きを作れ!」という大きな声(片桐はいり)を聞きます。それに戸惑いながら抵抗していると、見知らぬ女(藤田桃子)が部屋に入ってきて何かと彼の邪魔をするのです。藤田さんが机から飛び降りる演技をされた時、床に片足を付いて立っている姿が、高層ビルからすごいスピードで下降しているように見えて、感動。森川さんはこのために京都からお越しになったそうです。ありがたいですね。
使用された机とイス
レセプションには過去および現在の助成対象者の方々が多数いらしていました。何もないところから時間を忘れるほど面白い何かを生み出して、私たちを楽しませ、考えさせてくれるアーティストの方々です。セゾン文化財団による支援によって、彼らは創作に適した空間を得て、より長い時間を作品のために使えるのですから、助成は観客のためでもあります。小野寺さんの最新パフォーマンスを新しいスタジオで見せていただき、私自身がセゾン文化財団による助成の恩恵を受けてきたのだなと、あらためて実感しました。
公益財団法人セゾン文化財団:http://www.saison.or.jp/
森下スタジオ:http://www.saison.or.jp/studio/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年12月14日
【お知らせ】青年団リンク本広企画『演劇入門』公式ブログにて当サイトとメルマガをご紹介いただきました!
青年団リンク・本広企画『演劇入門』のドラマターグをされていた野村政之さん(青年団制作部)が、『演劇入門』を鑑賞して小劇場演劇に“入門”された方々に向けた記事を書かれています。⇒「ターグン日記」演劇入門された方へ!その1、その2、その3
“次の1本”を決める時に役に立つウェブサイトとして「しのぶの演劇レビュー」をご紹介くださいました!毎月1日発行のメルマガ「今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台」についてもお薦めいただいて、すごく嬉しいです。メルマガを登録されていない方は、よかったらこちらからぜひ。無料です。
2010年12月12日
まつもと市民芸術館『罪と罰』12/11-16まつもと市民芸術館・小ホール
以下は2016/11/16に公開しました。12/12のマチネを鑑賞。
週末はまつもと市民芸術館『罪と罰』を観に行くナリ!初松本!!
— 高野しのぶ (@shinorev) 2010年12月9日
本広監督も!ご一緒したかった~。RT @kmotohiro 僕は15日に行きます!! 一緒に行ければ良かったですね~RT @r_suz1005 おお。今、絶賛迷い中です。 RT @shinorev: 週末はまつもと市民芸術館『罪と罰』を観に行くナリ
— 高野しのぶ (@shinorev) 2010年12月10日
まつもと市民芸術館はきれいで広い劇場だった〜。昼も夜もご飯処は当たりで(地元の人に教えてもらったり)、店員さんがことごとく優しい!パルコがあるような繁華街から、山が見えるのも嬉しい! http://yfrog.com/gy4fanj
— 高野しのぶ (@shinorev) 2010年12月12日
⇒CoRich舞台芸術!『罪と罰』
≪作品紹介≫ CoRich舞台芸術!より
2007年7月にトライアウト公演として上演されたこの作品が、3年にわたるワークショップを経て再び上演されます。魅力的なゲストとレジデントメンバーがともにつくりあげ、現代に通じる『罪と罰』の世界を展開します。
1866年、ロシアの作家ドストエフスキーは『罪と罰』を記した。150年以上の月日が流れて尚、ドストエフスキーは世界中で読み継がれている。ドストエフスキーは衰えない。老婆殺しのラスコリーニコフは、何故今も生きつづけているのか?
≪ここまで≫
花王おさむさんと内田亜希子さんが見つめ合う場面がとても美しくて、時間が止まったようだった。
白い床の中央から放射線状に、黒いギザギザの線や模様が描かれたステージ。パっと見の印象は亀裂が入ったガラス、引き裂かれる布など。その上を半透明のビニールのカーテンが縦横に行き来して、空間を区切っていく。中央から周囲に広がる黒い線と、縦と横方向に設置されたカーテンは、敢えて調和しない(できない)ことを暗示していたのか…。美術(堀尾幸男)は難物だったと思う。
※ビニールのカーテンは後にNODA・MAP『エッグ』でも使われていた。
出演:占部房子、内田亜希子、花王おさむ、田岡美也子、藤井びん、大方斐紗子、近藤隼、佐藤卓、内藤栄一、細川貴司、佐藤友、丸山結加、丸山港都、堀田康平
【原作】ドストエフスキー
【構成・演出】 田中麻衣子
【美術】 堀尾幸男
【音楽】 国広和毅
【照明】 横原由祐
【衣装】 川上羽衣
【音響】 那須野幸太郎
【演出部】 神野真理亜
【舞台監督】 関沢和也
【技術監督】 馬場道雄
【宣伝美術】 江野耕治
【監修】 串田和美
【発売日】2010/10/01
一般 3,500円/高校生以下 2,500円*要学生証提示 (全席指定・税込)
*未就学児のご入場はご遠慮ください。
http://www.mpac.jp/play/2010/12/11/post_21.html
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年12月11日
【写真レポート】俳優指導者アソシエーション「シリーズ“俳優のすべて”第3回プロジェクト『シーンスタディをとらえ直す』」12/10-23森下スタジオ
Aスタジオ
参加者募集情報を掲載しておりました、俳優指導者アソシエーションによる俳優のためのワークショップ初日を見学させていただきました。正式名称は「シリーズ“俳優のすべて”第3回プロジェクト『シーンスタディをとらえ直す』」です。
今回のテーマはサム・シェパードの戯曲『フール・フォア・ラブ』の場面を創作する、いわゆるシーン・スタディー。12/22(水)は発表会と討論会がセットになった「ワーク・イン・プログレス公開」があります。ご興味のある方はぜひご参加ください。見学料は1000円。申込〆切は前日の12/21(火)。
朝11時から開始。参加者は合計11名で男女の比率は半々ぐらい。演劇の現場から「最近の若い俳優は本(戯曲)が読めていない」という声がいくつか上がっていることが、今回の企画を立ちあげる契機だったとのこと。本当に“最近”なのか、“若い”俳優だけなのか、“本を読める”とは一体どういうことなのかなど、問題提起自体にさまざまな解釈があることも踏まえた上で、“戯曲から場面を立ち上げる”ワークショップを実施することなったそうです。
簡単なオリエンテーションの後、午前の部はムーヴメント教師の鍬田かおるさんのエクササイズでした。参加者の自己紹介はせず(指導者は自己紹介あり)、お互いにニックネームをつけたり憶えたりすることもなく、いきなり体をほぐす時間に。演劇のワークショップでよくあるゲームのようなものをやらなかったんですね。応募者多数で選考があったそうですので、今回の参加者はキャリアがあって意識も高い方が多かったのかもしれません。皆さん、指導者の意図を1度の説明で理解して、スムーズに体を動かしてらっしゃいました。
鍬田さんは俳優という職業がどうあるべきかについて、はっきりとご自身の考えを持っていらっしゃいます。いつお会いしても背筋がピンと伸びていて、凛とした、引き締まった立ち姿から知性が感じられる女性です。ご自身の身体、感情のすみずみまで意識をめぐらせ、常に客観的にコントロールされているご様子。体の使い手としてもプロフェッショナルなのだと思います。参加者が職業俳優であることを前提にした指導は厳密で明快。ご自身の行動がともなっているので、すごい説得力です。
鍬田「いつも本番に近い状態でトレーニングしてください。自分のことを想像しながら、相手のことも考えて欲しい。芝居と一緒です。」
鍬田「行動の意図をはっきりさせること。意図がはっきりしない体から発せられるエネルギーは(当然ながら)はっきりしない。」
鍬田「私たち俳優の仕事はまわりに影響を与えること。だから体はなるべく大きく使いたい。色んな方向に体を活発に使いたい。私たちはいつも(エネルギーを)放出していたい。全方向に注意を行き届かせ、演じたい。体の全てで表現してください。五感をすべて使う。丸ごと使う。」
内容は「空間を歩く」「横1列に複数人が並び、打ち合わせも合図もなく、同じ瞬間に走り出し、同じ距離を走ったら止まる(チームごとの相談時間あり)」、「エアなわとび」、「ペアになって1人が目を閉じて立ち、もう1人が与える刺激に反応する(アクション・リアクション)」など。
「パートナーからの刺激を受け、それに翻弄されるように動いている時、悲しい気持ちになった」とおっしゃった方がいらっしゃいました。役柄を演じる時はまず感情が先にあって、その後に体がついてくると考えがちですが、逆に、体が動くことで新たな感情が生まれることがあるんですよね。重要なことだと思います。
午後は池内美奈子さんのクラスです。池内さんは俳優指導者アソシエーションの代表者で、新国立劇場演劇研修所のヘッドコーチでもあります。いつもながら温かい、柔らかな存在感で空間をほぐしてくださいます。親しみやすい語り口で、なるべく平易でわかりやすい単語を選びつつ、ユーモアも忘れない。でも言葉の芯は太くて重みがあります。池内さんの体と一体となって発せられる言葉に、聞いている側も全身で吸収するように応えたくなります。
いつかやってみたいと思っていた「腰の遊び時間」(⇒過去記事)を、私も参加者の中に混ざってやってみました!床と壁をパートナーにして、自分の腰から肩、そして全身をくまなく気持ちよく、幸せにしていくのです。やってみてわかったのは・・・私の意志(欲望)がいかにひ弱かということ。基本的に逃げ腰であきらめが早く、目的達成できなくてもグニャリと開き直って妥協してしまう。そんながっかりな性質を自覚できました(汗)。不要な羞恥心のせいもあるかも・・・む~自宅でもやってみよ!
エクササイズの後には必ずと言っていいほどフィードバック(振り返り)の時間があります。自分が感じたことを言語化することで認識を確かなものにし、参加者全員と共有するのです。講師からのさらなる助言を引き出し、新たな視点や問題意識が生まれることもあります。ワークショップのいいところですよね。学校教育の現場でもやって欲しいと常々思うのですが、ただやればいいというわけではないのでしょう。池内さんに限らず、俳優指導者の方々の人との接し方は、とても柔軟で穏やかです。分け隔てなく1人ひとりと誠実に向き合い、お互いに自立して尊重し合う関係を、初対面の時からつくってくださいます。俳優指導者という職能の奥深さは、俳優のそれと同様、計り知れません。
最後は課題戯曲『フール・フォア・ラブ』を全編読みました。エクササイズの時の印象とガラリと変わる方が多くて面白いです。それにしても手ごわい脚本だ・・・。このスタート地点からどのようにお芝居が立ち上がっていくのか。ワークインプログレス公開の前にもう一度、シーン・スタディーの稽古を見学する予定です。
日程:2010年12月10日(金)~23日(木・祝)*12日(日)、19日(日)は休み 時間:11時~17時
対象:俳優で全日参加のできる方/20歳~40歳位 経験:2年以上俳優としての実技経験のある人
受講料:30,000円
主催:俳優指導者アソシエーション(本日の出席者:池内美奈子 川南恵 石本興司 鍬田かおる 小森創介 齊藤裕加 藤野節子)
http://asatp.org/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Conclave『ラスコーリニコフとスヴィドリガイロフ~「罪と罰」より~』12/08-19ワーサルシアター
ドストエフスキーの小説「罪と罰」を1時間半強で見せる舞台。企画・演出・出演は俳優の中嶋しゅうさん。新国立劇場演劇研修所の修了生が多数出演しているので観に行きました。
シンプルな空間での俳優の演技対決。表情の奥の奥を覗き込んで集中できました。小さな劇場の客席に有名な俳優さんがいっぱい!中嶋さんの企画ですものね。
⇒CoRich舞台芸術!『ラスコーリニコフとスヴィドリガイロフ~ドストエフスキー「罪と罰」より~』
基本的に何もないブラックボックス。イスやテーブルになる黒くて四角い箱が数個と、ドアやパーテーションになる枠、木などを動かして場面転換します。衣裳は黒で統一。役によって模様と色の違うマフラー(ショール)がポイントです。特に派手な仕掛けがあるわけではなく、とにかく俳優の演技を丁寧に見せていくお芝居でした。
2時間半以上はあるだろうと勝手に覚悟していたのですが、すっきりと短くて少々驚きました。以前にも「罪と罰」を2時間未満にした舞台を観たのですが、どこをカットして、どこを重点的に描くのかで全然違うものになりますね。
タイトルの『ラスコーリニコフとスヴィドリガイロフ』は「罪と罰」に登場する男性の名前です。ラスコーリニコフ(斉藤直樹)は強盗殺人をしてしまう貧乏学生、スヴィドリガイロフ(前田一世)もまた重大な罪を犯してしまうお金持ち。2人を主軸に、特に内面(感情)の変化に焦点を当てていたと思います。
1対1の会話をする時の、役者さんの目の力が強いです。その場で起こる感情に正直に演技をされていると思います。真剣勝負ですね。
メインキャストは皆さん好演。中嶋しゅうさんと北川響さんの警察コンビが微笑ましかったです。テレビや映画でよく見るデコボコでほんわかな感じ。
ただ、これは好みの問題だと思いますが、照明が全体的に暗くて表情が見えづらかったのは残念でした。ろうそくをたくさん使ってらしたので演出意図だと思います。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
貧乏学生のラスコーリニコフは高利貸しの老婆を殺して金を奪い、偶然それを目撃した若い娘リザベータも殺してしまいます。警察に追い込まれてハラハラするエピソードがごっそりカットされていました。斉藤直樹さんは大げさに深刻ぶらない主人公で、彼の行動(罪)を通して色んな事を考えられたのが良かったです。
ラスコーリニコフの妹ドゥーニャ(根岸絵美)は家庭教師をしていた家の主人であるスヴィドリガイロフに見染められますが、スヴィドリガイロフの妻マルファ(根岸絵美)にそれがばれて、ある弁護士と婚約することになります。ドゥーニャとスヴィドリガイロフの駆け引きがぎらぎらしていて、エッチで良かったな~!スヴィドリガイロフがドゥーニャのことをひどく愛している、そのことがセクシー。前田一世さんは観る度にセクシー度が増していきます。
娼婦ソフィー(髙島玲)の歌声がとてもきれい。ソフィーがラスコーリニコフを説得する場面で、「遠くにいる、神様が見ている」というセリフの“神様”という言葉に、打たれました。目には見えないけど確かに存在する大きな何かであること、そしてソフィーがそれを本当に信じていることが、しっかり伝わってきました。こういう言葉を聞くために私はお芝居を観ているんだと思います。
最後にラスコーリニコフが警察に出頭したかどうかは、私には読みとれなかったな~。
開演前の余興として和太鼓、トランペットの演奏、そしてダンスが披露されました。楽器を演奏したお2人は上演中も音楽を演奏されていたと思うのですが、それも見せて欲しかったですね~。生演奏であることが目に見えた方が贅沢気分になれたと思います。空間の都合かもしれません。
出演:斉藤直樹(ラスコーリニコフ)、 野口俊丞(ラズミーヒン) 、前田一世(スヴィドリガイロフ)、北川響(ザメートフ)、中嶋しゅう(ポルフィーリ)、根岸絵美(マルファ/ドゥーニャ)、大沼美和子(プリヘーリャ)、佐伯花恵(アリョーナ/ハナーエフ)、髙島玲(ソフィー)、木村菜穂子(リザベータ)、保可南(ナスターシャ/タモッツァ) 原田みのる(ミノルスキー)※ダンサー、金刺敬太(楽隊/ケイタスキー)、木坂麻美(楽隊/アサミャ)
「罪と罰」原作/フョードル・ドストエフスキー 企画・演出:中嶋しゅう 振付:原田みのる 音楽(生演奏):金刺敬太(和太鼓)、木坂麻美(トランペット)脚本:北川響 舞台監督:村田明(クロスオーバー) 照明:吉川ひろ子(CAT) 衣裳:木村菜穂子 衣裳協力:キャピタル 票券管理:堀内淳 制作:横内里穂 協力:新国立劇場演劇研修所 企画製作:Conclave(コンクラーベ) 制作協力:田中浩補 宣伝美術:冨田中理(Selfimage Produkts) 宣伝写真:引地信彦
【発売日】2010/10/30 全席指定 前売4000円/当日4200円(税込)
http://www.rideout-inc.com/tsumitobatsu.html
http://members.jcom.home.ne.jp/conclave/
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2010年12月09日
Bunkamura『タンゴ-TANGO-』11/05-24 Bunkamuraシアターコクーン(2回目)
初日に拝見して「もう一度観たい!」と思っておりました。ラッキーなことにお友達と一緒に行く機会ができて、満席の月曜日夜の公演を拝見。2度目ならではの楽しみ方ができました。稽古場レポート(⇒レポート、長塚圭史インタビュー)
月曜日の夜は他の公演の休演日が多いせいじゃないかと思うのですが、有名な役者さんや演出家の方々がいらっしゃって客席が豪華でした。
⇒CoRich舞台芸術!『タンゴ-TANGO-』
2度目なので登場人物の気持ちの流れが受け入れやすかったです。初日とは全然違うハラハラどきどき感でした。段取りや立ち居地は、やはり決まっていないようでしたから・・・! 装置や照明のオペレート(転換?)の精度が上がっていて、役者さんの演技とのコンビネーションも息が合っているように感じました。
なんといっても吉田鋼太郎さんが素晴らしかった!実験演劇をふくむ前半でアルトゥルと父親のコミカルな対立関係を分厚くつくってくださっていたので、それがしっかり引き継がれて、後半の展開がより深みのあるものになっていました。
ただ、森山未來さんはあせりと勢いで少々セリフが流れちゃってた印象。でも吉田さんと森山さん、アラ役の奥村佳恵さんと森山さんの場面は、スリリングで熱くてすごく良かったです。相手がいてこそ生まれるコミュニケーションが贅沢。
長塚圭史さんは初日よりもリラックスされていて、目の前で起こっていくお芝居に対してよそよそしかったり馴れ馴れしかったり、色んな距離感を取られていたように思います。それが刺激になって、「いつ何が起こるかわからない」感覚が持続しました。
ここからネタバレします。
最後のエーデック(橋本さとし)と叔父(辻萬長)とのタンゴは、やはり2度目も奇妙な居心地で拝見。皮肉が利いてるし滑稽だし。最後の最後、照明が落ちる直前の橋本さんの笑顔が凄い。
カーテンコールがないことを知っている観客が増えたからなのか、曲が鳴っている間に退出する方が初日よりも大勢いらっしゃいました。また、曲が鳴り終わった後にはすぐに拍手が起こりました。
≪東京、大阪≫
出演:森山未來、奥村佳恵、吉田鋼太郎、秋山菜津子、片桐はいり、辻萬長、橋本さとし
作:S.ムロジェック 翻訳:米川和夫/工藤幸雄 演出:長塚圭史 美術:串田和美 照明:小川幾雄 音響:加藤温 衣裳:黒須はな子 ヘアメイク:河村陽子 振付:広崎うらん 音楽:朝比奈尚行 演出助手:菅野將機 舞台監督:福沢諭志 ポスター・チラシ表面デザイン:横尾忠則 宣伝美術:榎本太郎(7X_NANABAI.inc) 劇場舞台技術:野中昭二 営業:加藤雅拡 中川未来 神田興浩 票券:佐久間友規子 岡野昌恵 制作助手:三浦瞳 今井信人 制作:佐貫こしの 宇津木信之介 プロデューサー:加藤真規 松井珠美 主催・企画・製作:Bunkamura
一般発売2010/8/21(土) 特設S¥9,000 S¥9,000 A¥7,000 コクーンシート¥5,000 (税込)
〈特設S席に関して〉舞台に近い前方のエリアを通し番号で販売します。お席は当日劇場にてご確認ください。連番でご購入なさってもお席が離れる場合がございます。椅子が通常の形状と異なります。
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_10_tango.html
http://www.festival-tokyo.jp/program/tango/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
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2010年12月08日
大人計画『母を逃がす』11/15-12/19本多劇場
松尾スズキさん率いる大人計画の本公演です。『母を逃がす』はおよそ10年振りの再演とのこと。私は初見です。
出てくる役者さんは強烈な個性のある方々ばかり。あまりに豪華キャストなので、劇団公演であることをしばらく忘れてました。松尾さんってやっぱり凄い人だな・・・と思った帰り道でした。上演時間はスペシャルな(?)カーテンコールを含めて約2時間30分弱。当日券は毎ステージ発売されます。
⇒CoRich舞台芸術!『母を逃がす』
ある隔離された集落内のお話。「そんなのありえないっしょ!?」という事件がどんどこ起こり、驚いたり笑ったりしてる内に、物語の設定をいつの間にか受け入れて、感情移入していました。ぶっ飛んだフィクションの中にぐっと入り込み、起こるはずのないことが本当に起きているように感じられてくるんです。物語を外から眺める冷めた目線や、設定から完全にはみ出したギャグなどを観客に提供しつつ、フィクションを本物のように成立させるって凄いと思います。戯曲本は読んでないのですが、説明的なセリフもすごく少ないんじゃないでしょうか。
ただ、役者さんご自身のキャラクターを前面に出した演技は、私はあまり得意ではなく、中盤までは遠くから成り行きを眺めている状態でした。コミュニティーが崩壊し始めた頃から入り込めました。
保険手続代行人役の近藤公園さんの、シラっとした存在感がとても良かったです。
ここからネタバレします。
上手の小屋がぐるぐる回転してびっくり。阿部サダヲさんと宮藤官九郎さんが白いタオルとグラスでよくわからない乾杯をしていたのに爆笑。
神様(?・松尾スズキ)が妙な踊りをすると、見えないパワーで人が倒れます。笑っていいやら怖がっていいやら。舞台が白い点(映像?)で埋まっていった時は、背筋がぞくぞくしました。
次男(阿部サダヲ)は母をクマギリから逃がそうとしたけれど、結局逃げられず。死んだはずのトビラ(田村たがめ)が生んだ赤ん坊もそこで育つことに。
≪東京、大阪≫
出演:阿部サダヲ 宮藤官九郎 池津祥子 顔田顔彦 宍戸美和公 宮崎吐夢 猫背椿 皆川猿時 村杉蝉之介 田村たがめ 荒川良々 近藤公園 平岩紙 少路勇介 松尾スズキ
脚本・演出:松尾スズキ 舞台監督/榎太郎 照明/佐藤啓 音響/藤田赤目 舞台美術/島次郎 音楽/伊藤ヨタロウ 衣裳/戸田京子 ヘアメイク/大和田一美 映像/上田大樹(&FICTION!) 演出助手/大堀光威 佐藤涼子 演出部/星野真紀 井上卓 井本洋平 照明オペレーター/石井宏之 永井笑莉子 音響オペレーター/水谷雄治 美術助手/角浜有香 衣裳助手/伊澤潤子 現場ヘアメイク/吉田真妃(APREA) チラシ写真/滝本淳助 宣伝写真/田中亜紀 宣伝美術/吉澤正美 スタイリスト/中井綾子 衣裳製作/金子通代 河村景子 特殊小道具/アトリエカオス 大道具製作/C-COM 小道具/高津装飾美術 制作助手/河端ナツキ 北條智子 赤堀あづさ 制作/長坂まき子 大阪公演主催/関西テレビ放送 サンライズプロモーション大阪 企画・製作/大人計画 (有)モチロン
【発売日】2010/09/26 全席指定/前売¥6,200/当日¥6,500 未就学児童のご入場はご遠慮下さい。
http://www9.big.or.jp/~otona/nexthahawo.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【インタビュー】栗山民也ロングインタビュー『ミュージカル「マリー・アントワネット」』ドイツ・ブレーメ ン公演③

「MA」劇場ロビー
栗山民也さんのロングインタビューの続きです。遅れに遅れてしまい誠に申し訳ございません。
できるだけ多くのご発言をお伝えしたいという気持ちばかりが熱く、自分の編集能力の未熟さゆえに挫折を繰り返しておりました。今の自分が納得できるところまでまとめられましたので掲載いたします。④はしばらくお待ちください(2010/12/08)。
②ではドイツのミュージカル創作現場における、劇場環境やスタッフとのかかわり方などを重点的にお話しいただいています。③はドイツの俳優についてです。
⇒〔1〕〔2〕〔このページ〕〔4〕
⇒劇場公式サイト(音が鳴ります)
■オーディションには選り抜きの俳優が集まった
―出演者はオーディションで選ばれたのですか?
栗山「はい。オーディションには僕も居ました。総芸術監督のフライさん、脚本・作詞のクンツェさん、作曲のリーバイさんももちろん。2日間で150人ぐらいの俳優を見ましたね。」
―集まった俳優は何らかの専門教育を受けた方々なのでしょうか?
栗山「いわゆるドイツ語圏の俳優で、公立のミュージカル・アカデミー出身者もいるようです。今までにクンツェ&リーバイ作品に関わった人や、最近頭角を現してきた人など、色んな国と地域から選り抜きの俳優を呼んだみたい。
例えばマリー役のロレッタという女優は『ウィキッド』の主役だったんです。12月は週の半分ぐらい『ウィキッド』の本番に出て、あとの半分はブレーメンで『マリー・アントワネット』の稽古をしていました。ルイを演じたティムは『レベッカ』の主役をやっていて週末しか稽古に来られないので、彼が出る場面は土日にやりました。」
―それって・・・めちゃくちゃ凄い俳優なんじゃないんですか!?
栗山「うん、たぶん(笑)。本当に色んな俳優が集まったんだよね。稽古が始まると、皆が作品に向かっていく力が凄かった。」
■極度の疲労が喜びに変わっていく
―スタッフも出演者も全員ヨーロッパの方々ですから(※演出補2名は日本人)、栗山さんは日本人演出家として、いわば単身で乗り込んだわけですよね。そういった環境でのご苦労はなかったですか?
栗山「大変とか、つらいとか感じるのは、日本の稽古場でも同じです。何もないところから少しずつ、作品という世界の積み木を積み上げていくわけですから。俳優やスタッフに対して『なぜ、出来ないんだ!』と不満に思うのは、日本だってドイツだって同じことで。
でも、ドイツで色んな重圧があったのも事実です。まず、すべて通訳を介さなければならないので、言葉の問題がありました。どうしても伝わらない時は、僕が日本語で直接しゃべったり、実際に演技(動作)をしてみせたりして。次第に『あぁ、伝わるんだ』と実感できるようになりました。
そして日本と違うのは彼らのエネルギーですね。食べ物で言うと、そうめんが大好きな僕が、肉を何百グラムも食べる人たちと対峙するわけですから(笑)、稽古場の空気圧が違う。正面から押し寄せてくるエネルギーに立ち向かわないとだめだから、ものすごい疲労感が積み重なっていくのがわかりました。でも稽古場で彼らが輝く瞬間に出あう度に、その疲労がどんどんと飛んでいく(解消されていく)のが目に見えるんです。くたくたなんだけれど、楽しい。疲労が喜びに、快感に変わっていくのを感じました。」
■最初の立ち稽古に3週間かかった
―同じ『マリー・アントワネット』に出演した日本のミュージカル俳優と、ドイツの俳優とは、具体的にどのような違いがありましたか?
栗山「ひとことで言うのは難しいんですが・・・まずドイツ人というと一般的によく言われるのは、理論武装をしていて、ある意味で理屈が優先する民族ですよね。とにかく理屈を消化しない限り、肉体は動かさないよというタイプ。まさにそうでした。例えば皆で18世紀末のパリについて話し合ったら、3時間、討論ばかりになりました。質問が多いんですよ。
僕の場合、1つの作品の最初の立ち稽古(あら立ち)は、4日か5日で全部やっちゃうんです。それから細部にわたって時間をかけて作るわけですね。『マリー・アントワネット』は26場もあるから4~5日では無理かな、でも1週間あればできるかな・・・と見積もっていたのが、なんと3週間かかりました。振付が遅れたせいもあるんだけどね。
歴史的なことや役柄について、そしてその人物がどういう形で革命に向かっていくかなどを全部説明してから、『じゃあ動いてみよう』と立ち稽古を始める。そして演出として僕が『そこは、こう動いて』と言うと、何人かが必ずフっと手を挙げる。『なぜ?』って。『自分が持っているモチベーションと違う。だから説明して欲しい』と。」
―何かの指示をする度に必ず質問が出るんですか?
栗山「出はけのタイミングや場所(上手や下手)などの指定にはすぐに従いますけどね。彼らから聞いた言葉で一番多かったのは『なぜ』『どうして?』でした。稽古時間が長くなるのはつまり、俳優が消化するのに時間がかかるから。彼らが自分の中で『あぁ、自分(の役)はこうなって、こうなって、こうなるのか』と理解するためなんです。だから1つの質問について30分ぐらい話しましたよ。
話し終わるとまた動き始めて、『じゃあ、その階段をタタターっと早く駆け上がって』って言うと、またぱーーーっと手が上がるの。『なぜ?』って(笑)。4、5人が『ここはこうじゃないか?』と意見を言ったり、その場面に出てない役者も議論に参加したりしてね。みんなが考えるんですよ、稽古場で。ダメ出しの時の、彼らの食いつくような視線を忘れないです。」
■繰り返す度に豊かになり、まるで違う芝居が生まれる
栗山「3週間ぐらいかけてやっと最後の場面までのあら立ちが終わったところで、もう一度最初から通したら、これが驚くほどスムーズに通るんですよ。しかも3週間前にやった時よりも数段優れた場面になってるの。舞台が豊かになってるんです。またダメ出しをして、議論をして、もう一回やってみると、必ずや階段を上っている(=進歩している)んですよね。『もう次の場面に行こうよ』って言っても『ごめん、もう一回やらせてくれ!』って言うから(笑)、もう一回やると、また、まるで違う芝居が生まれるんです。
彼らは基本的に、自分をつかむためにシーンを繰り返しやりたくてしょうがない。休憩もしないからね。自分のために稽古をやるんですよね。だから何度も『やらせてくれ』って言う。こっちは『もういいよ、そのくらいで。また時間をおいてからやったらいいんじゃないの?』って言うんだけど(笑)『今、(役を)つかまえられそうだから!』っていう感覚なんだよね。」
―繰り返す度に必ずレベルアップしていくなんて、刺激的ですね。
栗山「もう3回目になると、舞台装置なんか全然目に入らなくなっちゃう。俳優が今、何を思って、誰に何を言おうとしているのか、そのベクトルしか見えてこない。人物から人物への思いがベクトルになって相手に運ばれ、また戻って来て。その繰り返しがあらゆる人物の全ての瞬間に起きていく。本番じゃなく稽古場で既にそんなことが起こるんですよ。
理屈で言うと、俳優自身の立ち居地、環境、関係性の3つが、いつの間にか俳優の肉体に見えてくるということ。役柄を理解し、自分の中に染み込ませていくことに時間はかかるんだけど、自分とその役柄が一体となった瞬間に、彼らは自由になる。自由に動きはじめるんだね。」
―その役柄として居ることに、自由になるという意味ですか?
栗山「そうです。役柄がその場に“立つ”、舞台に“立つ”っていうことに責任を持ってね。やっぱり自分を知っているということかな。俳優はどうあるべきか、舞台の上で何をしなければいけないかを、彼らは知っている。それが俳優の責任だし、現場で完全に順守されていることでしょう。」
■まぎれもなく、舞台で生きるということ
―ドイツ人俳優が持つ意識も技術力も、日本人のそれとは違うようですね。
栗山「表現のするどさや、せりふが持っている温度の燃焼の仕方。ひとつの言葉の中で、その燃焼が一気に冷却していくスピード。彼らは自分の肉体と言葉を気持ちいいぐらいに操りますよ。
舞台とは、『今、何が起きているのか』。これが一番大事でしょう。彼らが舞台で表現するってことは、まぎれもなく、“そこで生きる”ということ。この役はどんな役柄なのか、などとは問わないです。役柄とはつまり自分自身だから。前の段取りを忘れたとか、うっかりセリフが出て来ないなんてことは有り得ない。実際、セリフが飛ぶなんてことは皆無でしたね。
20人ぐらい出てる場面でも、どこを見ても人間が確かに舞台に立っている。あぁ、こういうことか、と思いました。だから、もう一回やったら前よりすごいものが生まれるんです。日本の舞台では俳優が大勢いても『あそこに隙間があるなー』と思うことがよくあるんだけれどね。」
―『みんなと一緒にやっていく内に、なんとなくできるようになるだろう』というような、おっとりした感じじゃないんですね。
栗山「全然違いますね。ダンスが踊れてない俳優がいたんだけど、1週間後にちゃんとマスターしてました。彼がどこで、どう努力したのかはわからないけど、必ずやるんです。プロだから。それも早いうちに解答を見せてくれる。『初日には間に合わせます・・・』みたいな、そんなアンラッキーな人は誰もいない。すごいですよ。」
■マルグリットの歌
栗山「マルグリット役を演じたのはサブリナという若い女優でした。マルグリットがスミレの花を持って初めて舞台に出てきて、『なぜあの人なの?私じゃなくて』って歌うでしょ。その場面を一番初めにやったんです。『あそこから出てきて、自由に歌って踊ってみて』って言ったら、サブリナは『オッケー!』なんて軽く返事して。僕は『ちゃんと歌えるのかなー』と(少し心配に)思ってたんだけどね。奥に乞食たちがずらりと並んでいる中、ピアノ演奏がしのび寄るように入ってきて、歌い始めたらそれが・・・もう、もう、凄いのよ、ほんっとに!そこに居るのはマルグリットその人。マルグリット本人が訴えている、生きた姿だった。“歌を歌ってます”とか“表現してます”といった態度なんてかけらもない。その場面が一番最初の稽古だったんだけど、僕は涙が止まらなかった。
1人の演出家と俳優という関係で彼らと同じ地平に立った時、“俳優がそこに居る”ということが、もの凄いベクトルでこっちに迫ってくるんだよね。強烈なカウンターパンチをくらったみたいな、すごい体験でした。」
栗山民也ロングインタビュー④につづく!
※舞台写真は公演公式サイトに掲載されていたものです。
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年12月06日
【オーディション】わらび座『ミュージカル「おもひでぽろぽろ」出演者オーディション』※12/14〆切(メール or 郵送)
チラシ裏面
わらび座が今年の春開幕するオリジナルミュージカル『おもひでぽろぽろ』(⇒製作発表)の出演者オーディションを開催します。
オーディション開催日が迫っています。応募資格に該当する役者さんでご興味のある方は、ぜひお早めにご確認ください!⇒公式サイト
●わらび座『ミュージカル「おもひでぽろぽろ」出演者オーディション』
日時:12月16日(木)18:00~20:30
会場:新宿村スタジオ
応募締切:12/14(メール or 郵送)
応募条件:16歳~35歳の女優。身長155㎝以下。稽古に参加できること。
ギャランティーあり。
■わらび座ミュージカル「おもひでぽろぽろ」出演者オーディション開催■ ※劇団からいただいた情報です。
来春初日を迎える本作品の、キャストを募集いたします。
■オーディション
【日時】 12月16日(木) 18:00~20:30
・18:00~ 集合・説明。説明後に、歌と台詞のレッスンあり。
・19:00~ オーディション
【会場】 新宿村(新宿区北新宿2-1-1) オーディション/3スタジオ、控室/12スタジオ
■募集キャスト
子タエ[主人公タエ子の子ども時代]・・・女性1名
アンサンブル・・・女性2名 ※子ども時代を演じます
■応募条件
次の1~3の条件を満たす方。
1. 年齢・・・16歳~35歳
2. 身長・・・155㎝以下
3. 稽古に参加できる
■出演期間
以下公演期間より、最低3カ月程度の出演が可能な方。
・ 天王洲 銀河劇場公演(東京都) 4月16日(土)~4月29日(金)
・ わらび劇場公演(秋田県) 5月8日(日)~7月22日(金)、8月21日(日)~2012年1月3日(火)
・ 坊っちゃん劇場公演(愛媛県) 7月29日(金)~8月15日(月)
■稽古期間
いずれの日程も参加可能な方。
・1月11日(火)~13日(木) ・3月15日(火)~4月15日(金)
■選考方法
書類審査後、12月16日(木)に実技オーディションと面接。
【実技オーディション内容】 ※音源は各自で持参ください。
・音楽・・・課題曲(ミュージカル「おもひでぽろぽろ」より)・自由曲 各1曲
・ダンス・・・自由曲 1曲
・演劇・・・当日配布
■審査員
栗山民也(演出)、甲斐正人(作曲)、わらび座制作部
■応募方法
以下の書類を用意し、郵送またはメールにて下記へお送りください。
1. プロフィール 1枚 (市販のプロフィール用紙可)
2. 顔写真・全身写真
わらび座制作部 おもひでぽろぽろオーディション係
〒014-1192 秋田県仙北市田沢湖卒田字早稲田430
TEL/0187-44-3975 E-mail/omohide2011(アットマーク)warabi.or.jp
■募集締切
2010年12月14日(火)※必着
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【オーディション】新国立劇場演劇研修所「第7期生(2011年度4月開講)募集」※1/25~31〆切(郵送のみ)
新国立劇場演劇研修所の第7期生の募集要項が公示されました(過去の募集時の記事⇒1、2、3、4、5、6)。当サイトを「新国立劇場演劇研修所」で過去ログ検索していただければ、関連エントリーは多数あります。
新国立劇場演劇研修所は日本唯一の国立の俳優学校。年齢制限は18才以上・30才以下。研修期間は3年間で、研修は“原則的に”(月)~(金)の週5日間フルタイム(午前10時から午後6時)です。授業料(予定)は年額18万9千円で毎月奨学金あり(月額6万円支給 ※ただし3年次はなし)。⇒講師陣のプロフィール
★今年から募集概要が若干変わっているようです。たとえば募集人数が15名から12名程度に減っています。公式サイトをよく読んでご確認ください。
★募集要項と願書をパソコンからダウンロードできるようになりました。郵送での取り寄せも可。
■新国立劇場演劇研修所・第7期生募集 →公式サイト
受験申請の受付期間:2011年1/25(火)~31(月) ※1/31消印有効
受験料5000円も同期間に振込むこと。
⇒演劇研修所「授業見学会」での質問にお答えします(2010/12/29追加)
※4期生の試演会②『かもめ』が先日終わったばかりですが、来月初めに試演会③『マニラ瑞穂記』があります。これを観てから検討するのも良いと思います。
■演劇研修所 第7期研修生の募集について ※公式サイトより
演劇研修所では、2011年4月に入所する第7期研修生の募集を、下記の通り行います。
※昨年までと応募方法が異なりますので、お気を付け下さい。
<募集概要>
1.募集人数 12名程度
2.応募資格
1)プロフェッショナルな俳優としての舞台活動を目指していること。
2)高等学校卒業もしくは同等の資格を有すること
3)平成23年4月1日現在で満18才以上、満30才以下
4)心身共に健康であること
5)外国籍の人の場合、日本語が理解できること、および、研修期間中の日本国滞在許可が取得できること。
3.試験日程
第1次試験:平成23年2月19日(土)・20日(日)のいずれか1日
第2次試験:平成23年2月22日(火)
第3次試験:平成23年2月24日(木)
※試験は芸能花伝舎(新宿区西新宿)、及び新国立劇場リハーサル室(渋谷区本町)でおこないます。
4.受験料 5,000円 *振込手数料はご負担下さい。
5.応募方法
(1)下記のホームページにアクセスし、必要事項を入力した上で、募集要項・願書をダウンロードしてください。(PDFファイルを印刷できる環境をお持ちでない方は、郵送の申し込みもできます。)
募集要項・願書申込み専用ホームページはこちら。
(2)入手した願書に、必要事項を記入の上平成23年1月25日(火)~31日(月)までの期間中に『演劇研修所 第7期研修生 選考試験係』に郵送して、受験の申し込みをして下さい。(1月31日消印有効)。また、この期間内に受験料を指定の口座にお振込みください。e-mailおよびfaxでの申込は受付いたしません。
<研修概要>
1.研修期間 3年間
※第7期生は平成23年(2011年)4月から平成26年(2014年)3月まで
2.研修日・時間 原則として(月)~(金) 10:00~18:00
3.主な研修内容
3年間の研修で、これからの日本の舞台芸術を支え、リードする俳優を養成することを主な目的とします。原則として午前10時から午後6時まで行い、1年次は、ヴォイス、ムーブメント、歌唱、ボディコンディショニングなど基礎的な俳優訓練に力を入れ、国内外から俳優指導の専門家を招きレッスンを行います。また年次を追って、第一線で活躍する演出家や芸術家による、日本の伝統芸能などを含む声と身体の基礎トレーニング、即興やメソッドなどの演技テクニック、戯曲の分析と解釈、シーンスタディなどを加え、演技実習につなげていきます。3年次は、それまでの研修に基づいた研修発表公演を中心に行います。また、演劇とは、俳優とは、人間とはといった演劇の本質を絶えず自ら考えられる俳優を育てるために、演劇史や芸術理論、劇作家や舞台技術者のレクチャーなど座学も盛り込んだ授業を行います。
4.主な研修場所
新国立劇場演劇研修所(芸能花伝舎内)、新国立劇場リハーサル室 など
<授業料・奨学金>(予定)
1.授業料 年額18万9千円(消費税込み)
2.奨学金 月額6万円支給
ただし、三年次は奨学金の支給はありません。
お問い合わせ、願書送付先
財団法人 新国立劇場運営財団
演劇研修所 第7期研修生 選考試験係
〒151-0071 東京都渋谷区本町1−1−1
TEL:03-5351-3011(代)(月~金10:00~17:00/土日祝を除く)
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年12月05日
新国立劇場演劇研修所第4期生試演会②『かもめ』12/03-05新国立劇場小劇場
新国立劇場演劇研修所第4期生の試演会②はチェーホフの『かもめ』を西川信廣さんが演出されます。上演時間は約2時間45分(途中休憩15分を含む)。4期生関連エントリー⇒1、2、3、4、5、6
『かもめ』は色んな演出で拝見してきましたので、いつもそれらと比較して観ることになりますが、大好きな戯曲だし、何度観ても発見があります。ダブルキャストですので初日(Aバージョン)と千秋楽(Bバージョン)を拝見。
俳優学校の生徒の発表会ですが、スタッフワークが豪華で、演技も真摯で正直で好感が持てるものでした。新国立劇場小劇場での『かもめ』がA席2,500円 B席1,500円ならお得だと言える公演だったと思います。
【4期生の出演予定】
試演会③:『マニラ瑞穂記』作:秋元松代 演出:栗山民也
2011年1月9日(日)~11日(火)
修了公演:『美しい日々』作:松田正隆 演出:宮田慶子
2011年2月25日(金)~27日(日)
⇒CoRich舞台芸術!『かもめ』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
ロシアの静かな湖のほとり。裕福な地主の娘で女優志願のニーナ(佐藤真希)は、芸術の革新を夢見て作家を志す恋人トレープレフ(扇田森也)の舞台に立つ。そこには彼の母親であるアルカージナたちが集っている。そのなかのひとり、アルカージナ(斉藤麻理絵or田島真弓)の愛人トリゴーリン(趙栄昊)と出会うニーナ。やがて人気作家の彼を慕い始めたニーナは、その後を追ってモスクワへと旅立つのだった。そして2年の時間が流れる-。
≪ここまで≫
灰色を基調とした抽象美術。色調は灰色、白、銀色、ところどころ薄い蛍光の黄色。部屋の壁やドアに見立てられる四角い木枠(板状ではない)を移動させて場面転換します。舞台上部には銀色の棒で数枚の紙を突き刺した形状のオブジェ(?)が、天井から何本もつり下がっています。紙にはアルファベットのような文字が書かれていて、どれもクシャクシャッと折り目がついています。
開場時間からビートルズなどの有名ポップスのロシア語版などが元気に流れて、ものすごく意外というか、奇抜な選曲。若い俳優と等身大の『かもめ』を目指すという演出意図でしょうか。音楽は私の好みではありませんでしたが、全体的には戯曲に忠実で、会話を大切にし、正統派のストレート・プレイの演技を重要視した演出だったと思います。
初日はさすがに演技がこわばったような場面も多かったですが、千秋楽は作品として全体が充実。カーテンコールでは拍手がなかなか鳴りやまず。第4幕では(感情移入して)涙している観客も多数いらしたようです。
長い、長いセリフを1人でずっとしゃべり続ける時は、一つ一つの言葉の意味をしっかり伝えずに上滑りしながら流れてしまいがち。でも研修生はそうはならず、言葉を大事に、細やかに、意味と気持ちを伝えてくださいました。初日は小さいことを大事にしすぎて、大きな流れがプツプツと止まっているように感じたところもありましたが、千秋楽では気にならなかったです。
ダブルキャストなので仕方がないことですが、やはり1つの役をずっと続けて演じられた方々の演技が、ずいぶんと良くなっていたように思います。4ステージみっちり出られると変わるものですね。男性は2役(シャムラーエフとヤーコフ)を交互に演じる2人(白川哲司さんと原一登さん)だけがダブルキャストで、女性は1人(ニーナ役の佐藤真希さん)を除いて全員がダブルキャストでした。
ここからネタバレします。セリフは不正確です。
致し方ないことではありますが、年配の男性役(ソーリンとドールン)は無理をしてるように見えてしまいました。ソーリンはリューマチなので杖を突いており、たまに車椅子が必要になるお年寄で、ドールンは女性にモテまくりの人生を送ってきた50代の産婦人科医です。体の動き、立ち姿、居住まいなどにもう一工夫欲しかったですね。初日に比べると千秋楽では改善が見られました。
第3幕の終わり、アルカージナがトレープレフと再び決裂、そしてトリゴーリンを尻に敷いた後、ニーナとトリゴーリンが最後に会う場面で、情緒的なK-popっぽい曲がけっこうな大音量で流れました。トリゴーリンが思いっきり恰好をつけて髪を右手でかきあげ、笑いを誘います。千秋楽では爆笑でした。ここは音楽と演技がバッチリ合っていました。東京デスロックの演出みたい。トリゴーリン役の趙栄昊さんは無駄にゆらゆらと動いたりせず、堂々としていて安定感抜群。相手の言葉を聞いて、受け取って、考えてから自分の言葉を発するのが自然で説得力があります。
アルカージナを演じたのは斉藤麻理絵さん(A) と田島真弓さん(B)。斉藤さんはロビーでの一人芝居や朗読劇での“花江さん”役の印象も強く残っています。試演会①も今回も、ユーモアのセンスが光りました。観客と大らかにコミュニケーションできる方ですね。田島真弓さんは斉藤さんほどパワフルではなかったですが、“国立劇場の舞台に立ったことのある女優”の気品が感じられました。
ニーナが実家を出てから2年後を描いた第4幕が両日とも素晴らしかったです。第3幕までに嘘のない細やかな感情をコツコツと積み上げてきたから、様変わりした2年後の場面に重みがあるんですよね。特にトレープレフ(扇田森也)とニーナ(佐藤真希)の再会と別れの場面は出色でした。ニーナに「鍵を閉めて!」と言われて全速力で鍵を閉めてまわるトレープレフが可愛らしくて、可笑しくって仕方なかったです。真っ正直な行動が滑稽に見えるのが、お芝居のだいご味だと思います。
改めて戯曲から発見できたこともありました。トリゴーリンは自分が「情景描写しか書けない」ことをわかっていたし、トレープレフは「大事なのは形式じゃない」と気づきながら「自分は何がしたいのかわかっていない」ことも自覚していました。2人の作家の対比をじっくり味わえました。
ニーナがすがすがしい顔つきで「あの人(トリゴーリン)を愛してるの」「私は女優。やりたいこともわかってる」と言います。千秋楽では佐藤真希さん演じるニーナの将来が明るいものに見えて、“佐藤さんのニーナ”が誕生したように思いました。
トレープレフはニーナの愛を勝ち取れなかったから自殺したのだろうと思っていたのですが、何をやるべきかわかっていない自分にも絶望したんでしょうね。というか、何もかも彼女のためだったのでしょう。みすぼらしい姿になったニーナが既に自分を追い越してしまっていることも、ショックだったんだろうと思いました。第1幕から4幕まで、さまざまに変化し続けるトレープレフを演じたのは扇田森也さん。特に作家になった後(第4幕)の落ち着きと静かな闇を感じさせる演技に引きつけられました。
【出演:演劇研修所第4期生 Aキャスト:3日6時半&4日1時 Bキャスト:4日6時&5日1時】アルカージナ:斉藤麻理絵(A) 田島真弓(B) トレープレフ:扇田森也 ソーリン:竹田雄大 ニーナ:佐藤真希 シャムラーエフ:白川哲司(A) 原一登(B) ポリーナ: 仙崎貴子(A) 土井真波(B) マーシャ:木原梨里子(A) 日沼さくら (B) トリゴーリン:趙栄昊 ドールン:今井聡 メドヴェヂェンコ:安藤大悟 ヤーコフ:原一登(A) 白川哲司(B) 料理人:土井真波(A) 仙崎貴子(B) 小間使:田島真弓(A) 木原梨里子(B) 小間使:日沼さくら(A) 斉藤麻理絵(B) 歌:山田大智(オペラ研修所第12期生)
【作】A.チェーホフ【翻訳】池田健太郎【演出】西川信廣【美術】長谷川未和【照明】立田雄士【衣裳】中村洋一【音響】福澤裕之【舞台監督】梅山茂【研修所長】栗山民也 演出部:野口岳大 制作助手:井上舞子 大道具:俳優座劇場舞台美術部(安藤宣弘) 小道具:高津映画装飾美術(中村エリト) 衣裳:東京衣裳(阿久津真与) 制作:新国立劇場
A席2,500円 B席1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000407_play.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【ワークショップ】急な坂ワークショップVol.21・神里雄大WS『足とイメージの俳優』(定員になり次第締め切り)
岡崎藝術座の作・演出家である神里雄大さんのワークショップ情報です。
神里さんの作品に出演される役者さんは舞台で過酷な状況に置かれているので、きっとお稽古も大変なんだろうなぁと思いつつ拝見するのですが、どんな役者さんもいつもとても魅力的です。『足とイメージの俳優』というワークショップのタイトルも明快。ご興味ある方は下記をどうぞ。
■神里雄大WS『足とイメージの俳優』 ※CoRich舞台芸術!の掲示板より。
【期間】2012年12月~2011年1月 A/Bクラスともに各5回
【会場】急な坂スタジオ
【定員】A/Bクラスともに各10名(先着順/要予約)
【料金】5,000円(1クラス・全5回)
【応募資格】 俳優、または俳優に興味のある方。原則すべての回に出席できる方。
■急な坂ワークショップVol.21 神里雄大WS『足とイメージの俳優』(定員になり次第締め切り) ※CoRich舞台芸術!の掲示板より。
坂あがりスカラシップ2010対象者、神里雄大(岡崎藝術座主宰・演出家)が、2011年2月に行われる演劇公演『街などない』に先がけて、ワークショップを開催します。
実際に岡崎藝術座でも行われている本プログラムは、経験は不問ですが、俳優を目指す人、俳優である人のすべてが対象のワークショップです。稽古場を体験することで、舞台をより身近に感じて頂けるワークショップ、ぜひご参加ください。
《開催概要》
【会場】 急な坂スタジオ
【定員】 A/Bクラスともに各10名(先着順/要予約)
【料金】 5,000円(1クラス・全5回)
【応募資格】 俳優、または俳優に興味のある方。原則すべての回に出席できる方。
【日程・内容】Aクラス:土曜18:30-21:30/Bクラス:日曜14:30-17:30
第一回 「歩行訓練して、全身の意識をする。」
Aクラス 12月11日(土)/Bクラス 12月12日(日)
第二回 「前回+体のさまざまな部位を意識する。」
Aクラス 12月18日(土)/Bクラス 12月19日(日)
第三回 「前回まで+イメージ豊富にテキストをしゃべる。」
Aクラス 12月25日(土)/Bクラス 12月26日(日)
第四回 「前回まで+言葉そのものの音楽性を意識する。」
Aクラス 1月8日(土)/Bクラス 1月9日(日)
第五回 「まとめ+反復練習」
Aクラス 1月15日(土)/Bクラス 1月16日(日)
【応募方法】
メールにて件名を「ワークショップ応募」とし、下記項目を明記の上ご連絡下さい。
1.お名前(フリガナ) 2.性別 3.年齢 4.ご所属 5.参加希望クラス(A/B)
6.日中に通じる連絡先(携帯電話・E-mail等) 7.備考(ご意見・ご要望あればご記入ください)
【お申込み・お問合せ先】 okazaki.info(アットマーク)gmail.com
※定員になり次第締め切りとさせていただきます。
《講師プロフィール》
神里雄大(かみさと ゆうだい)
演出家・作家/岡崎藝術座主宰・鰰[hatahata]第二主宰
1982年 ペルー共和国リマ市生まれ
2003年 岡崎藝術座結成
2006年 『しっぽをつかまれた欲望』(作:パブロ=ピカソ)が
利賀演出家コンクール最優秀演出家賞受賞
2009年 『ヘアカットさん』が第54回岸田國士戯曲賞最終候補ノミネート
俳優の存在をことさらに強調する演出に定評がある。
岡崎藝術座 http://okazaki.nobody.jp/
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【「坂あがりスカラシップ」とは…】
坂あがりスカラシップとは、横浜の劇場・稽古場である急な坂スタジオ・のげシャーレ・STスポットが各館連携のもと、稽古から劇場上演までトータルサポートする舞台芸術の創作支援プログラムです。
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次回公演『街などない』予約受付中!!
こちらもあせわてご検討ください。
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年12月03日
【写真レポート】Studio Life「舞台『11人いる!』『萩尾望都原画展』合同制作発表」11/26博品館劇場
男優集団Studio Lifeが萩尾望都さんのSF漫画の名作『11人いる!』を舞台化します。『萩尾望都原画展』との合同制作発表に伺いました。Studio Lifeの制作発表⇒1、2、3、4、5、6、7
Studio Lifeは1996年の『トーマの心臓』初演から、これまでに4つの萩尾作品を舞台化した実績があります(レビュー⇒1、2、3、4)。
『11人いる!』は私も大好きな漫画で、何度か繰り返し読みました。今公演が初の舞台化ではないですが、作・演出の倉田淳さんはじめ劇団員の皆さんの言葉に、Studio Lifeならではの新しい『11人いる!』を生み出そうという意欲が満ちているのを感じました。
倉田さんと萩尾さんの対談では貴重な創作秘話だけでなく、今求められる人間関係などについても率直に語ってくださいました。
萩尾望都原画展
●デビュー40周年記念・萩尾望都原画展 ⇒公式サイト
【名古屋】 名古屋栄三越 7階催物会場
2010年12月22日(水)~2011年1月3日(月)
一般700円、高大生500円、中学生以下は無料
【福岡】福岡アジア美術館
2011年1/24(月)~3月13日(日)
一般1200円(前売1000円)、高大生1000円(800円)、小中学生600円(400円)
※東京会場で未公開だった原画も出品されます。⇒昨年の制作発表
●Studio Life『11人いる!』⇒公式サイト
≪東京、名古屋、大阪≫
2011年02/05-28あうるすぽっと
一般発売開始:2010年12月26日(日)
東京公演:全席指定 一般(前売・当日)¥5500
未就学児童の入場不可。
⇒CoRich舞台芸術!『11人いる!』
※ポスター↓のグラフィックデザインを手掛けたのは萩尾さん。photoshopで作成されたそうです。
≪『11人いる!』あらすじ≫ プレスリリースより。
宇宙大学の入学試験の最終テスト。外部との接触を断たれた宇宙船で、10人1組が53日間の宇宙飛行を成し遂げるというものだった。非常信号の発信ボタンを押して外部と接触を取れば、生命は保障されるが、連帯責任で全員が不合格となる。
しかし、宇宙船・白号(ハクゴウ)には10人のはずが、なぜか11人いた。スタートから謎を抱え、閉塞された宇宙船で次々起こる不可解な出来事。それぞれに生まれる不安、疑い、対立、反目、友情・・・受験生たちの試される時が始まった。
≪ここまで≫
■萩尾望都×倉田淳 記念対談 (写真左から:倉田淳さん、萩尾望都さん)
倉田「『11人いる!』は1975年に描かれたSF作品です。誕生秘話をぜひ教えてください。」
萩尾「中学校の頃からSFに夢中でした。宮沢賢治の『ざしき童子(ぼっこ)のはなし』(⇒青空文庫)という短編を読んだら、“お座敷で10人で遊んでいたら、いつの間にか11人になっていた”という、可愛いけど、ぞくっとするお話で。『いつの間にか、居ちゃいけないところに、10人じゃなくて11人居た』という話が書きたいと、高校生の頃から考えていました。でもキャラクターが11人分思いつかなくて(笑)。デビュー後に編集者の方から長編を書かないかと言われた時、今なら描けるかなと思って描きました。」
倉田「11人全員が個性的なキャラクターで、楽しくて仕方がないです。続編『東の地平・西の永遠』はいつ描かれたんですか?」
萩尾「続編は本編を描いている最中に出来ました。『11人いる!』を描くのに3ヶ月かかったので、その間、『この人はこの後どうするんだろう』『どういうところで育ったんだろう』などという妄想が起こって(笑)、描き終わった頃には11人全員の惑星の話が、ある程度できていたんです。」
倉田「フロルというキャラクターは性が未分化で、男女が定まっていませんね。」
萩尾「私のSFの発想はすべて自分が読んだSFから得てまして。60年~70年代のSFは宇宙を開拓する設定のものが多くて、そこで色んな宇宙人が出てくるんです。アーシュラ・K・ル・グィンの小説『闇の左手』では、その惑星の人間は全て性が定まってなくて、繁殖期になってから男と女に分化するんです。その本がすごく面白くて。
生物学の易しい本などを読んでみたら、生まれつき性別が決定してるのは哺乳類と鳥類だけなんですって。貝や魚などは生育の過程や環境によって、たとえば生まれる時の温度で性が決まったりする。じゃあフロルみたいなのがいてもいいかなって(笑)。」
早川書房
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倉田「『11人いる!』の舞台となる宇宙では、星が小競り合いを繰り返しながら、最終的には統合されて宇宙大学ができたという設定です。この全宇宙の大きさから考えると、起こっていることは“小競り合い”なんですよね。現在の地球の、日本の中の小競り合いやトラブルについてはどう思われますか?」
萩尾「ずーっと人間は小競り合いを続けていくのかなと思います。どちらも自分が正しいと思ってるんですよね。本当にそう信じてるからどうしても争いは起こってしまう。でもひたすらコミュニケーション、コミュニケーション、コミュニケーションで、なんとか打開するしかないなと思います 一方を壊滅させて、もう一方が生き残る時代じゃない。もうそんな時代は続かないんじゃないかと思います。」
倉田「コミュニケーション、重要ですよね。『11人いる!』では隔離された宇宙船で色んなアクシデントが起こる中、受験生たちは他者と対峙することによって、自分の立場や負の部分を受け入れていきます。自分が負だと思っている部分を受け入れながら生きていくための、アドバイスをお伺いしたいです。」
萩尾「倉田さんのおっしゃるとおりで、自分の負の部分というのは克服したり闘ったりするものではなく、受け入れるものなんじゃないかと思うんです。コンプレックスを無くそうと思って努力すると、どうしても自分に厳しい人間になってしまう。自分に厳しいと、他人にも厳しくなってしまうから、むしろ負を受け入れて、自分のことを許してあげる。そして他人のことも許す。その方が生きやすいんじゃないかなって思います。そのあたりの兼ね合いは一人じゃできないから、やっぱり他人を介して、お互いにコミュニケーションを取りながら、距離感を測りながら、自分で発見し、理解していく。そんな風にして許し合っていくのが一番いいのではないかと思います。」
倉田「それは『トーマの心臓』にも通じることですよね。先生の作品には、人が生きていくための道が非常に深く刻まれている。そこにいつも感動しているんです。」
※舞台版『トーマの心臓』はStudio Lifeの代表作で、15年間で合計7回上演されています。
倉田「中学生の頃からSFにハマってらっしゃるとのことですが、今、面白いと思う作品はありますか?」
萩尾「SFには今もハマってます。最近のSFはインターネットやハイパースペースなど、記号で形成されていくものが多いので、コンピューターがよくわからない私には大変なんですが、ロイス・マクマスター・ビジョルド(⇒Wikipedia)のSFは古き良き時代のスペース・オペラの名残りがあって、読めば、わかるんです。舞台は宇宙なんだけど人間的な生活をみんなが営んでいる。そこに未来感がどんどん入ってきて、すごく面白いですね。」
【写真(敬称略)上段左から:青木隆敏 曽世海司 山﨑康一
下段左から:及川健 山本芳樹 萩尾望都 松本慎也 三上俊】
●『11人いる!』への意気込み、期待をひとこと!
【劇団代表・河内喜一朗さん】
河内「『11人いる!』は舞台が無現の宇宙空間でありながら、密室劇の要素がある芝居的な題材で、昔から倉田もやりたがっていた作品です。代々木アニメーション学院のご協力を得まして、宇宙空間を表現するための舞台いっぱいのスクリーンに映写するコンピューター・グラフィックや、ハリウッド映画並みの特殊メイクにも挑戦したいと思っております。」
【作/演出・倉田淳さん】
倉田「『11人いる!』を舞台化させていただけることになり、本当に幸せです。稽古を一番待ち望んでるのは私だと思います。
『11人いる!』は宇宙が舞台のSFで、非常にユニークなキャラクターがたくさん登場します。舞台という限られた空間でイメージをどう広げるか、身を引き締めてトライアルをしていきたいと思っています。芝居の面白さは、お客様がいかに想像力を広げてくださるかにかかっています。代々木アニメーション学院の方々のお力をお借りして、その入り口をとにかく丁寧に作り上げていきたい。白号は男性ばかりが乗る船なので、スタジオライフにぴったりではないかと思います。がんばります。」
【原作・萩尾望都さん】
萩尾「今までスタジオライフでは割とリリカルな話を上演して頂くことが多かったので、結構ハードな要素がある『11人いる!』が、どんな風になるのか非常に興味があります。演出家の倉田さんが女性ですからリリックな面は出せるでしょうし、それに対して役者さんが全員男性ですので、相反する別の魅力がうまく出せるんじゃないかなと思っています。特殊メイクについても今から期待感がますます高まっています。」
【山本芳樹さん(Alcorチームのタダトス・レーン役)】
山本「この作品が舞台でどうなるのか今のところわかりませんが、リハーサルで徐々に積み上げていくんだと思います。楽しみです。萩尾先生の素晴らしい作品とスタジオライフの持っている世界が、いい化学反応を起こして新たな舞台を作って行けたらいいなと思っています。うまく融合して、いいコラボレーションができるように、これからの稽古で精進していきたいと思います。」
※質問:役作りはどのようにされますか?
山本「宇宙船のみんなとの会話や関係をどれだけ作っていけるかですね。あとは、若い役なので若さを保って行きたいなと思います(笑)。」
【松本慎也さん(Mizarチームのタダトス・レーン役)】
松本「『トーマの心臓』『訪問者』『メッシュ』『マージナル』に続いて、また大好きな萩尾先生の作品に出演できることをすごく幸せに思います。『11人いる!』は閉鎖された密室空間における集団試験という、演じる側にとってこれほど面白い遊び場はないというぐらい、燃えるシチュエーションです。僕たちスタジオライフの魅力は関係性と心情を繊細に、丁寧に表現することだと思いますので、観に来てくださったお客様にはドキドキはらはらしながら、目の前で繰り広げられる、生の極限状態の人間の感情のぶつかり合いを楽しんでいただきたいです。演出家、キャストそしてスタッフの皆さまとともに、真摯に芝居に取り組んでいきたいと思います。」
※質問:役作りはどのようにされますか?
松本「困った時は原作に立ち返ること。原作の持つ力に助けていただきます。劇団なのでみんなとイメージを共有して作り込むことができる。稽古がいやというほどできるので、そこを強みに作っていきたいと思います。」
【三上俊さん(Mizarチームのフロルベリチェリ・フロル役)】
三上「僕が演じさせていただくフロルという役は、物語の中でメニールと呼ばれることがあります。それはフロルの星では“ガキ”という意味で、フロルは活発で負けん気が強く、言葉遣いや礼儀を知らないところもあります。でも心の中には優しさと思いやりがある人物なんです。またメニールは、他の星では“天使”という意味も含まれます。思いやりと優しさをしっかり持った上で、元気に明るく演じたい。見た目が男性か女性か分からないということなので、見た目も中身も天使のような存在になれたらと思います。」
【及川健さん(Alcorチームのフロルベリチェリ・フロル役)】
及川「学生時代にアニメーション部に在籍してまして、その時にアニメ化された『11人いる!』を観ました。かつての部員がスタジオライフのファンクラブに入って、今も私を観に来てくれているんです。来年、この作品を上演させていただくことに、不思議なご縁を感じております。隣に座っている(同じAlcorチームの)山本(芳樹)と、白号のみんなと、よくコミュニケーションを取りながら一生懸命つとめてまいりたいと思います。」
【青木隆敏さん(Alcorチームのバセスカ役)】
青木「萩尾先生の作り出された登場人物の1人になれることに、すごくドキドキしています。今回演じるバセスカは王様です。王様を演じるのは初めての挑戦なので、これまたドキドキしているのですが、威厳のある態度と高貴なオーラをまとえるように、そして萩尾先生の登場人物らしい繊細な心理描写も忘れずにきちんと演じたいと思います。」
【山﨑康一さん(グレン・グロフ役)】
山﨑「『11人いる!』は萩尾先生の本の中で『トーマの心臓』の次に読ませていただきました。すごく緊張していますし、嬉しいです。先生の作品は追えば追うほど逃げていくので、どこまで追えるのか挑戦していきたいと思っています。そしてどこまで自分の哲学が芽生えるか、稽古が楽しみです。僕と林勇輔が特殊メイクをやらせていただきます。期待していてください。」
【曽世海司さん(Mizarチームのバセスカ役)】
曽世「自分がもともとSF好きなので『11人いる!』を読んだ時の感動は今でも忘れられません。SFに必要な要素、面白い要素が、すべて作品の中に凝縮されていて、胸をわしづかみにされました。ずっとやりたいと思ってきた作品に出させていただけることになり、嬉しくてわくわくしております。
『11人いる!』では白号という宇宙船の限られた空間の中で、人間同士の感情がぶつかり合います。スタジオライフは男だけの劇団で、非常にコミュニケーションが取りやすい集団です。遠慮会釈なく舞台の上でもケンカできる間柄を普段から培ってきていますので、密室劇をやるには得なカンパニーだと思います。スタジオライフが『11人いる!』をやることが、ひとつの事件になればと思います。
僕自身も青木(隆敏)と同じ王様を演じさせていただくので、威厳とオーラをきちんとまといたい。それがあって初めて、はみ出てくる感情が面白くなるんじゃないかと思います。役者としての挑戦にも身ぶるいしているところです。どうぞご期待ください。」
●Studio Life『11人いる!』は東京、名古屋、大阪公演ともに12月26日(日)より一般発売開始です!
【Alcor(アルコル)チーム】タダトス・レーン:山本芳樹 フロルベリチェリ・フロル:及川健 バセスカ:青木隆敏 ソルダム四世ドリカス:仲原裕之 アマゾン・カーナイス:鈴木智久 チャコ・力カ:冨士亮太 ドルフ・タスタ:篠田仁志 トト・二:松村泰一郎 ヴィドメニール・ヌーム:林勇輔 ガニガス・ガグトス:船戸慎士 グレン・グロフ:山﨑康一 長老ほか:倉本徹
【Mizar(ミザール)チーム】タダトス・レーン:松本慎也 フロルベリチェリ・フロル:三上俊 バセスカ:曽世海司 ソルダム四世ドリカス:関戸博一 アマゾン・カーナイス:堀川剛史 チャコ・力カ:原田洋二郎 ドルフ・タスタ:牧島進一 トト・二:神野明人 ヴィドメニール・ヌーム:林勇輔 ガニガス・ガグトス:船戸慎士 グレン・グロフ:山﨑康一 長老ほか:倉本徹
※出演者は都合により変更となる場合もございます。ご了承ください。※Alcor(アルコル)チーム Mizar(ミザール)チームのダブルキャスト。※山本芳樹は東京公演のみの出演。名古屋、大阪公演のタダトス・レーン役は松本慎也。
原作:萩尾望都((c)萩尾望都/小学館文庫) 脚本・演出:倉田淳 企画・製作:Studio Life
プレイガイド発売開始日 2010年12月26日(日)※東京公演・名古屋公演・大阪公演同時発売
【チケット料金(全席指定・税込)】◆東京公演 一般 5,500円 / club LIFE会員 5,000円 ◆名古屋公演 一般 5,800円 / club LIFE会員 5,400円 ◆大阪公演 一般 5,800円 / club LIFE会員 5,400円 未就学児童の入場不可。
http://www.studio-life.com/stage/11nin2011_new/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2010年12月02日
【情報】俳優指導者アソシエーション「シリーズ“俳優のすべて”第3回プロジェクト『シーンスタディをとらえ直す』ワーク・イン・プログレス公開」12/22森下スタジオAスタジオ
参加者募集情報を掲載しておりました、俳優指導者アソシエーション主催『シーンスタディをとらえ直す』のワーク・イン・プログレス(協働過程)が12/22(水)に公開されます。
サム・シェパード作『フール・フォア・ラブ』のシーンを立ち上げる過程を公開し、受講者と講師が見学者とともに意見交換をするという内容です。私も参加予定。俳優や演出家など作り手の方々にお薦めしたいです。
●俳優指導者アソシエーション「シリーズ“俳優のすべて”第3回プロジェクト
『シーンスタディをとらえ直す』ワーク・イン・プログレス公開」
日程:2010年12月22日(水)
時間:14時~17時15分(開場13時30分)
場所:森下スタジオ Aスタジオ
人数:30名程度
見学料:1000円
〆切:12/21(火)まで(申込フォームorメール)。
お申込方法は下記をご参照ください。以下、主催者からいただいた情報です。
■俳優指導者アソシエーションpresents
第3回プロジェクト「シーンスタディをとらえ直す」ワーク・イン・プログレス公開
シリーズ「俳優のすべて」は俳優に関わる様々の要素をいろいろな角度から検証し、それをもとに勉強会やワークショップ、レクチャー、プロジェクトなどをおこなっていく企画です。
今回の企画では11名の俳優とプロジェクト・リーダー(指導者)1名、3名のサポート・インストラクターとの『協働』によってサム・シェパード作、安井武訳「フール・フォア・ラブ」のシーンを2週間かけて作業し、立ち上げていきます。その協働過程(ワーク・イン・プログレス)の一般公開をおこないます。
【内容】
前半はまずシーンの発表、休憩をはさんで後半には受講者や講師のトーク、また参加者も交えての「俳優の仕事について」「俳優指導者の仕事について」「俳優にとってのシーンスタディとはなにか」「どのように戯曲と取り組むことがよりよい演技に繋がるか」「俳優への演技指導などの方法」についての意見交換会をいたします。
皆様のご参加を心よりお待ちしています。
日程:2010年12月22日(水)
時間:14時~17時15分(開場13時30分)
場所:森下スタジオ Aスタジオ(地下鉄都営新宿線、 都営大江戸線「森下駅」 A6出口徒歩5分)
森下スタジオへの地図:http://www.saison.or.jp/studio/access.html
人数:30名程度
見学料:1000円
申し込み方法:前日までの事前予約が必要になります。
【申込方法】
1.インターネットサイトよりの申込み
http://asatp.org/の「問い合わせ先」よりお申込みください。(コメント欄に『シリーズ「俳優のすべて」一般公開日見学希望』、性別、年齢、所属などを記入)
2.メールでの申込み
info(アットマーク)asatp.orgへ氏名、性別、年齢、住所、職業、所属、電話番号、メールアドレスを明記の上『シリーズ「俳優のすべて」一般公開日見学希望』のタイトルで送信してください。
*俳優指導者アソシエーションとは;
2007年10月、現役の俳優指導者スキルアップと俳優訓練・研修の経験交流を促進し効果的な俳優研修の機会の提供を広げていく目的で結成。現在アソシエイツ・メンバー:池内美奈子、川南恵、石本興司、黒澤世莉、鍬田かおる、小森創介、齊藤裕加、藤野節子の8名、サポーツ・メンバー:山田佳紀、明樹由佳の2名で活動している。今回のプロジェクトでは代表でヴォイス・ティーチャーの池内美奈子(新国立劇場演劇研修所ヘッドコーチ)がプロジェクト・リーダー、他3名がサポート・インストラクターとなる。
主催:俳優指導者アソシエーション http://asatp.org/
助成:公益財団法人セゾン文化財団
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【オーディション】ジェニー・シーレイ演出『ロミオとジュリエット』出演者オーディション※01/11〆切(メールorFAX)
英国人の演出家兼女優のジェニー・シーレイさんが、来年秋に埼玉で『ロミオとジュリエット』を上演されます。その出演者募集情報です。
ジェニーさんは聾者(ろうしゃ・聴力障害者)で、イギリスで障害のある俳優とともに活動されています。2006年に初めて彼女のワークショップを見学させていただいて、目からうろこが落ちる思いをしました。⇒『ジェニー・シーレイ ワークショップ』レポート
障害のある方とない方が一緒に稽古をして、発表をします。障害のある観客も、ない観客も、平等な環境で鑑賞できる作品を創作するのです。演劇の勉強になるのはもちろんのこと、もしかしたら人間観、人生観が変わるかもしれません。少しでもご興味を持たれた方は、ぜひ詳細をご確認ください。来年10月の本番がすごく楽しみです!
●ジェニーシーレイ演出『ロミオとジュリエット』公演情報(予定)
稽古期間:平成23年9月14日~10月8日
公演日程:平成23年10月9日(土曜日)、10日(日曜日)
公演会場:彩の国さいたま芸術劇場 小ホール
※出演者オーディション
応募条件:演技経験や障害の有無、年齢、性別、などすべて不問。どなたでもご応募可。
〆切:2011年1月11日(火曜日)まで
※オーディション時に英語から日本語への通訳及び手話通訳がつきます。出演の際はギャランティあり。
2010年12月01日
【オーディション】柿喰う客「新メンバー(俳優)募集」※01/26〆切(メールor郵送)
東京を拠点に活動する劇団柿喰う客が新メンバー(俳優)を募集しています。詳細は公式ページでご確認ください。
柿喰う客は「CoRich舞台芸術まつり!2010春」のグランプリ受賞団体。2011年1/7(金)から開幕する『愉快犯』はこりっちスポンサード公演です。
●柿喰う客 新メンバー募集
資格:年齢、国籍、演劇経験不問。
応募締切:2011年1月26日(水) 必着(メール or 郵送)
【新メンバーの募集について】 ※公式サイトより。
柿喰う客では、公演事業の拡大に伴い、
初となる「新メンバー」の募集を行います。
柿喰う客は2006年の劇団結成以来、数多くの公演活動を行って参りました。
東京や地方での本公演、海外公演、アーティスト・イン・レジデンス、
さらに2010年度からは国際共同制作事業を開始し、
今後もさらなる飛躍を目指し、活動の幅を広げていく予定です。
そこで、これらの「柿喰う客」の演劇活動に、
継続的に参加して頂けるメンバーを募集します。
メンバーのメリットは、柿喰う客の演劇公演へ出演できることです。
公演は東京だけでなく、国内の様々な地域でも行います。
また、年に1度は海外公演を行う予定です。
出演については強制ではなく、スケジュールを調整しながら決定します。
公演に出演する毎に出演料をお支払いします。
入団費や劇団費等の金銭的な負担はありません。
柿喰う客に参加することで、自身の演劇の世界をさらに広げたい。
そんな演劇を愛する皆様との出会いを心より楽しみにしております。
柿喰う客・代表 中屋敷法仁
■募集人員
メンバー(俳優):若干名
■応募資格
・2010年以降の柿喰う客主催の演劇公演を1本以上、劇場で観ていること。
※『The Heavy User』『いきなりベッドシーン』『八百長デスマッチ』
『露出狂』『Wannabe』『愉快犯』
・年齢、国籍、演劇経験不問。
※18歳未満は、応募用紙とともに保護者の受験同意書を提出すること。
・東京を中心とした柿喰う客の活動に、継続的に参加できること。
■応募方法
応募用紙をダウンロードし、必要事項をご記入の上、
①、②どちらかの方法でお送りください。 ≪応募用紙ダウンロード≫
①メールで送る→
member(アットマーク)kaki-kuu-kyaku.com 柿喰う客「新メンバー募集」係 宛
②郵送で送る→
〒151-0064 渋谷区上原1-47-4-202 柿喰う客「新メンバー募集」係 宛
①、②どちらの場合も、写真(全身・バストアップ各1枚)を添付してください。
■応募締切
2011年1月26日(水) 必着
■選考方法
一次審査(書類選考)
…選考結果は1月29日(土)までに、お電話にてご連絡いたします。
二次審査(実技・面接)
…詳細につきましては、一次審査通過者のみ個別にご連絡いたします。
■申し込み・お問い合わせ
柿喰う客「新メンバー募集」係
member(アットマーク)kaki-kuu-kyaku.com
公式:http://kaki-kuu-kyaku.com/main/?p=1086
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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メルマガ 2010年12月のお薦め舞台

お薦めお芝居をご紹介しています
2010年12月のお薦め舞台11本+αをご紹介します。
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“しのぶの演劇レビュー” Vol. 79 2010.12.01 1,683部 発行
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今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
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◎あっという間に2010年最後の月を迎えてしまいました。
年の瀬の夜は、誰かと劇場で待ち合わせをしたいですね♪
クリスマス・シーズンらしい華やかな公演や、
ハズレなしの名作の再演など、今月も充実のラインナップです!
舞台には、あなたの心を揺さぶり、
人生の輝きを増してくれる奇跡があります。
“今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪
◎メルマガのバックナンバー↓は全て公開しています。
http://archive.mag2.com/0000134861/index.html
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○○ 今回のもくじ
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◆1【今月のお薦め11本+α】
◎No.1→世田谷パブリックシアター『春琴(しゅんきん)
―谷崎潤一郎「春琴抄」「陰翳礼讃」より』
12/02-11世田谷パブリックシアター
≪ロンドン、パリ、東京、台湾≫
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/12/post_206.html
◆2【先月のベスト3】
◎No.1→フェスティバル/トーキョー10・黒田育世
『あかりのともるかがみのくず』
11/09-15にしすがも創造舎
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/1129220435.html
◆3【お薦め芝居の前売情報 新国立劇場演劇『焼肉ドラゴン』】
◎2008年の初演は日韓両国の演劇賞を総なめでした。待望の再演!
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000325_play.html
◆4【お薦め芝居の前売情報 ハイバイ『投げられやすい石』】
◎小劇場ならではの高密度・高品質の四人芝居の再演です。
http://hi-bye.net/
◆5【編集後記】
◎「フェスティバル/トーキョー10」で池袋に通った11月でした。
◎おすすめ舞台中継 on TV
◆6【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】
◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪
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◆1 【今月のお薦め11本+α】
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▽★印がいちおし公演です(3本)。
▽初日の早い順に並べています。
▽掲載内容:主催/企画製作・『題名』・日程・会場・価格・URL
▽座種の記述がない公演は全席指定。
※お薦め10本を11本に増やしました。
1.東宝『プライド』
12/01-19シアタークリエ
☆出演:佐々木喜英 笹本玲奈 鈴木一真 新妻聖子
原作:「プライド」一条ゆかり(集英社刊)
脚本:大石静 演出:寺﨑秀臣
8,800円
http://www.tohostage.com/pride/index.html
一条ゆかりさんの人気漫画を舞台化。2人の歌姫のお話です。
笹本玲奈さんと新妻聖子さんの対決ってすごい!
実写映画にもなりました⇒ http://ameblo.jp/pride-movie
★2.世田谷パブリックシアター『春琴(しゅんきん)
―谷崎潤一郎「春琴抄」「陰翳礼讃」より』
≪ロンドン、パリ、東京、台湾≫
12/02-11世田谷パブリックシアター
☆出演:深津絵里/チョウソンハ/笈田ヨシ/立石凉子/内田淳子/
麻生花帆/望月康代/瑞木健太郎/高田恵篤/本條秀太郎(三味線)
演出:サイモン・マクバーニー
一般S席7,500円/A席5,000円 高校生以下:各一般料金の半額
U24:各一般料金の半額 劇場会員、区民割引などあり。
未就学児童の入場不可。
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/12/post_206.html
谷崎潤一郎の小説をサイモン・マクバーニーさんの演出で舞台化。
2008年の初演、2009年の再演を経て、2010年はロンドン、パリから
東京へと凱旋します。その後は台湾公演があるそうです。
●お薦めポイント●
初演時に数々の演劇賞を受賞した舞台です。
映画「悪人」でモントリオール世界映画祭・最優秀女優賞受賞を
受賞したばかりの深津絵里さんが主演。
初演のみ出演されていた笈田ヨシさんが復帰されます。↓初演レビュー
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0222002933.html
3.維新派『台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき』
12/02-05彩の国さいたま芸術劇場大ホール
≪岡山、埼玉≫
☆脚本・演出:松本雄吉(維新派)
S席5,000円 A席3,000円
http://www.ishinha.com/2010index.html
世界で唯一無二の存在と言える維新派。大規模野外劇が有名です。
岡山で初演された新作がさいたまにやって来ます。
4.Quaras『ブロードウェイミュージカル COCO』
12/03-19ル テアトル銀座 by PARCO
≪東京、大阪、兵庫≫
☆出演:鳳蘭 彩吹真央 岡幸二郎 大澄賢也 今陽子 鈴木綜馬 他
作曲:アンドレ・プレヴィン 脚本:アラン・ジェイ・ラーナ 演出:G2
¥11,000 ※未就学児童の入場不可
http://www.coco.mu/
2009年に鳳蘭さんが多くの賞を受賞したミュージカルの再演。
鳳さん観たさに今月こそ行きたいなと思っています。
★5.Bunkamura『黴菌(ばいきん)』
12/04-26 Bunkamuraシアターコクーン
☆出演:北村一輝 仲村トオル ともさかりえ 岡田義徳 犬山イヌコ みのすけ
小松和重 池谷のぶえ 長谷川博己 緒川たまき 山崎一 高橋惠子 生瀬勝久
脚本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
特設S9,500円 S9,500円 A7,500円 コクーンシート5,000円
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_10_baikin.html
ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの新作。ひと癖もふた癖もある豪華出演陣。
『東京月光魔曲』↓に続く昭和三部作の第二弾です。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/1216170949.html
製作発表↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/1001003937.html
6.演劇企画集団THE・ガジラ『さよなら渓谷』
12/05-19 SPACE雑遊
☆出演:千葉哲也 松永玲子 伊達暁 とみやまあゆみ 塩野谷正幸
構成・脚本・演出:鐘下辰男
全席自由 前売り当日ともに一般4200円、学生3000円
http://tuffweb.jp/gazira/sayonara.html
吉田修一さんの長編小説を舞台化。構成・脚本・演出は鐘下辰男さん。
達者でくせのある、ベテランおよび若手の舞台俳優の競演が気になります。
7.プリエールプロデュース『鳥賊(いか)ホテル』
12/10-19座・高円寺1
≪高円寺、亀有≫
☆出演:大谷亮介 井之上隆志 小林正寛 土屋裕一
脚本:岡本螢 演出:西山水木(La Compagnie An)
4,500円
http://priere.jp/stage/1012/
2002年の初演時に面白いとの評判を聞いていた戯曲です。
作者の岡本螢さんはアニメ映画『おもひでぽろぽろ』の原作者の1人。
私は観たことがないのですが、キャストにも期待できそう。
8.Artist Company 響人『Doubt <ダウト>』
12/15-22 APOCシアター
☆出演:末次美紗緒 谷内愛 山崎佳美 吉原光夫
脚本:ジャン・パトリック・シャンリー 演出:小川絵梨子
指定席4500円/自由席4500円
http://hibikibito.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/doubt-b647.html
『ダウト』はハリウッド映画にもなった有名戯曲です。過去レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0423004948.html
演出の小川絵梨子さんは『今は亡きヘンリー・モス』↓がとても良かった。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0825105451.html
9.パルコ・プロデュース/Team申『抜け穴の会議室 ~Room No.0002~』
12/18-31パルコ劇場
≪東京、福岡、長野、新潟、石川、大阪≫
☆出演:大杉漣 佐々木蔵之介
脚本・演出:前川知大
¥7,500 U-25チケット¥5,000 ※未就学児童の入場不可
http://www.parco-play.com/web/page/information/nukeana/
Team申は俳優の佐々木蔵之介さんの演劇ユニットです。
新作は佐々木さんと大杉漣さんの2人芝居。
イキウメの前川知大さんが脚本・演出を手掛けます。過去レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0906183220.html
10.ラッパ屋『YMO ~やっとモテたオヤジ~』
12/18-26紀伊國屋ホール
≪東京、北九州≫
☆出演:俵木藤汰、おかやまはじめ、三鴨絵里子、岩橋道子、大草理乙子、
中野順一朗、岩本淳、宇納佑、熊川隆一、武藤直樹、福本伸一、木村靖司
脚本・演出:鈴木聡
前売・当日4,800円/学生3,800円 ※未就学児童の入場不可
http://homepage3.nifty.com/rappaya/036.htm
毎年新作を上演してくれるラッパ屋。劇団公演があることが嬉しいですね。
★11.世田谷パブリックシアター『まちがいの狂言
W.シェイクスピア原作「まちがいの喜劇」』より
12/23-26世田谷パブリックシアター
☆出演:野村萬斎/三宅右近/石田幸雄/三宅近成/高澤祐介/深田博治/
高野和憲/月崎晴夫/野村遼太/時田光洋/中村修一/宇貫貴雄
脚本:高橋康也 演出:野村萬斎
一般A席6.500円/B席4,000円 高校生以下:一般料金の半額
U24:一般料金の半額 劇場会員、区民割引などあり。
※未就学児童の入場不可。
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/12/post_207.html
シェイクスピア戯曲を狂言に。野村萬斎さんの演出が冴えます。
2001年の初演から大人気の作品で、チケットはいつも早々に完売。
新しいキャストを迎え、演出にも変化がありそう。↓過去レビュー
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0524153120.html
☆☆☆──────────────────────────────
前売3000円以上、4000円未満の気になる作品を6本ご紹介します。
──────────────────────────────☆☆☆
《1》THE SHAMPOO HAT『砂町の王』
12/01-12ザ・スズナリ
☆出演:村岡希美 野中隆光 児玉貴志 多門勝 日比大介 黒田大輔
滝沢恵 吉牟田眞奈 梨木智香 赤堀雅秋 久保酎吉
脚本・演出:赤堀雅秋
自由:前売当日共3,500円
指定:前売3,800円 当日4,200円
http://www.shampoohat.com/sunamachi/index.html
赤堀雅秋さん率いる劇団の新作。
劇評サイトwonderland↓に初日レビューが載る予定です。
http://www.wonderlands.jp/
《2》渡辺源四郎商店×東京デスロック合同公演『月と牛の耳』
12/03-05富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ
≪青森、埼玉≫
☆脚本:畑澤聖悟 演出:多田淳之介
一般前売 3,000円 当日 3,500円
学生・シニア(65歳以上)前売・当日ともに2,500円
http://www.nabegen.com
http://deathlock.specters.net/
青森拠点の渡辺源四郎商店と埼玉拠点の東京デスロックの合同公演。
畑澤聖悟さんの戯曲を多田淳之介さんが演出するなんて、
過激な化学反応が期待できそう。俳優としての畑澤さんにも注目。
《3》毛皮族『小さな恋のエロジー』
12/10-21駅前劇場
☆出演:町田マリー、柿丸美智恵、羽鳥名美子、高野ゆらこ、延増静美、
高田郁恵、江本純子、金子清文、富岡晃一郎
前売¥3,800/当日¥4,200 フレンド特割(前売券3枚以上同時購入)¥3,500
ヤングチケット(25歳以下)/前売・当日共¥3,300
http://www.kegawazoku.com/
ジュンリーこと江本純子さん率いる毛皮族の10周年記念公演。
韓国のガールズ・グループKARAのパロディーを見せてくれるみたい。
《4》さいたまネクスト・シアター『美しきものの伝説』
12/16-26彩の国さいたま芸術劇場インサイド・シアター(大ホール内)
☆出演:さいたまネクスト・シアター 原康義 横田栄司 ほか
脚本:宮川研 演出:蜷川幸雄
一般3,800円 メンバーズ3,500円
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2010/p1216.html
蜷川幸雄さんが演出される若い俳優集団の第2回公演。
旗揚げ公演↓がとても面白かったので、今回も期待しています。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/1018112357.html
《5》猫のホテル『イメチェン~服従するは我にあり~』
12/16-29ザ・スズナリ
☆出演:千葉雅子 中村まこと 森田ガンツ 市川しんぺー 佐藤真弓
池田鉄洋 村上航 いけだしん 岩本靖輝 菅原永二
脚本:千葉雅子 演出:福原充則(ピチチ5)
【指定席】前売4500円/当日4800円
【自由席】前売3700円/当日4000円(整理番号付)
http://www.nekohote.com/next_top.html
劇団員それぞれが外部でも精力的に活動し、人気を博している猫のホテル。
脚色・演出にピチチ5の福原充則さんを迎えた小劇場公演です。
《6》ブルドッキングヘッドロック『嫌な世界』
12/17-31サンモールスタジオ
☆脚本・演出:喜安浩平(ナイロン100℃)
前売3,300円 当日3,800円 初日割引(17日19時の回)2,800円
平日昼割引2,800円 年末学生割引(28~30日の5ステージ)2,500円
※ブルドッキングヘッドロックミュージックアワー(全席自由)1,200円
http://www.bull-japan.com/ ↓CoRichでカンタン予約!
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=22229
ナイロン100℃の喜安浩平さんが作・演出される劇団の新作。
10周年記念公演第3弾です。集団力を感じられる団体だと思います。
★★★──────────────────────────────
前売2000円台以下の気になる作品を3本ご紹介します。
──────────────────────────────★★★
【1】新国立劇場演劇研修所『第4期生試演会②「かもめ」』
12/03-05新国立劇場小劇場
☆出演:新国立劇場演劇研修所第4期生(一部ダブルキャスト)
脚本:チェーホフ 演出:西川信廣
A席2,500円 B席1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000407_play.html
日本唯一の国立俳優学校の試演会です。豪華スタッフに支えられた
上質の舞台を見せてくれます。本格的な『かもめ』を
1,500円~2,500円で観られるのはお得。
【2】DART'S『The Lifemaker ライフメイカー』
12/07-19ギャラリーLE DECO
☆出演:島田雅之 板倉チヒロ 川田希 國重直也 山本佳希 辻修 他
脚本・演出:広瀬格
前売/予約2800円 当日券3000円 学生券2000円 初日2日目割2300円
平日昼割2300円(除金曜日) ペア割5000円(お二人様)
http://dart-s.jp ↓CoRichでカンタン予約!
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=24053
広瀬格さんが作・演出されるプロデュース形式のユニットの新作。
前回↓はトリッキーな脚本が面白かったので、今回も魅せてくれるかと。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/1203235943.html
【3】こまばアゴラ劇場「高校演劇サミット2010」
12/17-19アトリエ春風舎
☆都立飛鳥高校『デイドリーム』作:若林美穂(生徒創作)
山梨県立甲府昭和高校『冒険授業』作:中村勉(顧問創作)
都立世田谷総合『せたそーのあゆみ』作:柴幸男(既成) 潤色:岡崎恵介
一般:700円 高校生以下:無料 一般フリーパス:1000円
*全席自由・日時指定・整理番号付き *未就学児童の入場不可。
http://saladball.org/ksummit/index.html
よりすぐりの高校演劇作品を小劇場で味わえます。『冒険授業』レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/1129231320.html
≪首都圏以外≫
○まつもと市民芸術館『罪と罰』
12/11-16まつもと市民芸術館小ホール
☆出演:占部房子 内田亜希子 花王おさむ 田岡美也子 藤井びん 大方斐紗子
近藤隼 佐藤卓 内藤栄一 細川貴司 佐藤友 丸山結加 丸山港都 堀田康平
作:ドストエフスキー 構成・演出:田中麻衣子
一般3,500円/高校生以下2,500円 *未就学児童の入場不可。
串田和美さんが芸術監督をつとめる長野県まつもと市民芸術館の新作。
約3年にわたるワークショップを経た『罪と罰』の上演。
スタッフ、キャストともに豪華なので松本に行きたくなります。
http://www.mpac.jp/play/2010/12/11/post_21.html
※俳優の中嶋しゅうさんが企画・演出される『罪と罰』も、
同時期に東京で上演されます。
・Conclave『ラスコーリニコフとスヴィドリガイロフ
~ドストエフスキー『罪と罰』より~』
12/08-19ワーサルシアター(東京都)
前売4000円/当日4200円
http://www.rideout-inc.com/tsumitobatsu.html
≪その他≫
○日本劇作家協会『リーディング・フェスタ2010 戯曲に乾杯!』
12/11-12座・高円寺2
☆12月11日(土) ドラマ!ドラマ!ドラマリーディング!
12月12日(日) 第16回劇作家協会新人戯曲賞決定!
日時指定・全席自由/入替制 すべて当日精算
リレー戯曲『嵐が丘』¥1,000
『海待ちノ月』¥500
『ハルメリ』¥1,000
最終候補作ドラマリーディング¥500
公開審査会¥1,000
http://www.jpwa.org/main/content/view/112/
○川崎市アートセンター『忠臣蔵フェア』
12/09-12川崎市アートセンター アルテリオ小劇場
☆出演:乞局 A.C.O.A. 洪雄大Group ロロ 中野成樹(solo)、他
1日券(平日)[12月9日(木)、10日(金)]:3,000円
1日券(土日)[12月11日(土)、12日(日)]:3,500円
4日通し券:8,000円*限定枚数 無声映画の単独券:2,000円
http://chushingura.kawasaki-ac.jp/index.html
○ラフォーレ原宿『HARAJUKU PERFORMANCE + 2010』
12/22-23ラフォーレミュージアム原宿
☆12/22出演:HIFANA×Daito MANABE + Motoi ISHIBASHI/
Open Reel Ensemble × Braun Tube Project/
山川冬樹/AOKI takamasa/野宮真貴
12/23出演:伊瀬聖子 × Steve Jansen/
渋谷慶一郎×池上高志/黒川良一/SHIMURABROS./蓮沼執太
キュレーター:小沢康夫(日本パフォーマンス/アート研究所)
前売3,500円/当日4,000円
日時指定・オールスタンディング・整理番号順入場
http://www.lapnet.jp/event/event_l101222/
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◆2 【先月のベスト3】
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1.黒田育世『あかりのともるかがみのくず』 ※BATIKから黒田育世に改めました(2010/12/01)。
11/09-15にしすがも創造舎
☆フェスティバル/トーキョー10(F/T10)の主催演目です。
初日を鑑賞。涙を流し過ぎて翌日は両目が腫れました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/1129220435.html
2.Bunkamura『タンゴ-TANGO-』
11/05-24 Bunkamuraシアターコクーン
☆初日後の進化を確かめたくて2度鑑賞。舞台で生きる俳優が好きです。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/1109170131.html
3.tpt『この雨 ふりやむとき』
11/08-28東京芸術劇場小ホール2
☆わかりやすさを過剰に追求しない丁寧な演出によって、脚本の面白さを
伝えてくださいました。久しぶりに躊躇なく友人にお薦めできた公演。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/1110152630.html
先月は映像作品を含め、F/T10の演目を16作品鑑賞。
濃い観劇体験の連続で、改めて自分が好きな演劇について
考える機会になりました。20代前半の若者がひたすら弾けまくる
バナナ学園純情乙女組との出会いは鮮烈でした。
◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
http://archive.mag2.com/0000134861/index.html
メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
2010年11月(観劇数37作品)は残念ながら発行せず。
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◆3 【お薦め芝居の前売情報 新国立劇場演劇『焼肉ドラゴン』】
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◎新国立劇場とソウル・芸術の殿堂とのコラボレーション作品として
2008年に初演された、鄭義信さん作・演出の舞台『焼肉ドラゴン』。
両国でその年の演劇賞を総なめにした、傑作悲喜劇の再演です!
●新国立劇場演劇『焼肉ドラゴン』
2011年02/07-20新国立劇場小ホール
☆出演:千葉哲也 粟田麗 占部房子 若松力 笑福亭銀瓶
朱源実 水野あや 山田貴之 朴勝哲
申哲振 朴帥泳 金文植 高秀喜 朱仁英
作・演出:鄭義信 翻訳:川原賢柱
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000325_play.html
初演のレビュー(記録のみ)↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0418003345.html
舞台は昭和40年代の関西の地方都市。
焼肉屋を営む在日コリアンの家族を描いた悲喜劇です。
初演のキャストがほぼそのまま集結した贅沢な座組み。
焼肉店の夫婦を演じた韓国人俳優の申哲振(シン・チョルジン)さん、
高秀喜(コ・スヒ)さんの名演は必見です。
日本初演では当日券に長蛇の列ができ、ソウルでは毎回
スタンディング・オベーションだったと聞いています。
日本の紀伊國屋演劇賞、読売演劇大賞、朝日舞台芸術賞をはじめ
韓国演劇評論家協会の選ぶ2008年「今年の演劇ベスト3」、
韓国演劇協会が選ぶ「今年の演劇ベスト7」にも選ばれています。
NHKでも何度か舞台中継が放送されました。
※今月も放送されます!(2010/12/01加筆)
【NHK BShi】12/18(土)22:00~深夜2:00
日韓合作演劇『焼肉ドラゴン』(2008年初演)
作:鄭義信 翻訳:川原賢柱 演出:梁正雄/鄭義信
http://www.nhk.or.jp/bs/premium/
【チケット情報】
・一般発売日:2010年12月12日(日)10:00~
全席指定 A席5,250円 B席3,150円
・プレイガイド
新国立劇場Webボックスオフィス http://ent-nntt.pia.jp/
チケットぴあ http://t.pia.jp/
イープラス http://eplus.jp/
・お問い合わせ
新国立劇場ボックスオフィス TEL:03-5352-9999
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◆4 【お薦め芝居の前売情報 ハイバイ『投げられやすい石』】
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◎ハイバイの岩井秀人さんご自身が「2008年の自作中でベスト」と
おっしゃる作品が、これ以上のキャスティングはない!と言いたくなる
垂涎ものの座組みで再演されます。国内6地域のツアーあり!
●ハイバイ『投げられやすい石』
2011年01/19-30こまばアゴラ劇場
≪東京、名古屋、三重、京都、広島、福岡≫
☆作・演出:岩井秀人
出演:松井周 内田慈 平原テツ 岩井秀人
http://hi-bye.net/ 初演レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0125010028.html
派手ではないし、わかりやすい物語でもないですが、
芸術家の苦悩、人と人との交わり、さらには命について、
悲しみ、おかしみを込めつつ直球で描き切った作品です。
小劇場演劇ならではの上質の贅沢を味わえると思います。
【東京公演チケット情報】
・発売日:2010年12月12日(日)
・料金:全席自由席(整理番号付)
1月19日~1月23日 前売3,000円 当日3,300円
1月25日~1月30日 前売3,200円 当日3,500円
※未就学児童の入場不可。
・プレイガイド
イープラス http://eplus.jp
チケットぴあ http://t.pia.jp/(Pコード:408-481)
ローソンチケット 0570-084-005(Lコード:33932)
こまばアゴラ劇場支援会員専用オンライン予約
http://www.komaba-agora.com/
・お問い合わせ
ハイバイ http://hi-bye.net/contact
※岩井さんの大人気作品『て』(再演でメルマガ号外↓を発行)が、
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0927103825.html
『その族の名は「家族」』と改題され、豪華キャストを迎えて
2011年4月に青山円形劇場で再演されます。こちらもぜひ!
●青山円劇カウンシル#4
『その族の名は「家族」』~「て」改題~
2011年4月 @青山円形劇場
☆作・演出:岩井秀人
出演:ユースケ・サンタマリア 荒川良々 滝藤賢一
ノゾエ征爾 古澤裕介 浅野千鶴 大鷹明良 他
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆5 【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎11月は「フェスティバル/トーキョー10」に惹かれて
池袋に通いつめた感があります(笑)。毎日東京芸術劇場および
F/Tステーション近辺を歩いていたような。F/Tは来年も開催されます!
http://festival-tokyo.jp/
◎【厳選シアター情報誌Choice!】vol.16に
黒田育世さんのインタビュー記事を書かせていただきました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/1030170327.html
舞台公演への折り込みチラシや、映画館、劇場で配布されています。
お手に取ってごらん下さい。WEBのロングバージョン(前編)↓
http://www.next-choice.com/artist/016/index.html
(後編)は12月1日に同サイトに掲載予定です。
◎【厳選シアター情報誌Choice!】TOPページ右下の“ちょいナビ”にて、
http://www.next-choice.com/
“しのぶの演劇レビュー”をご紹介いただいています!
◎芸団協「もっと文化を!」署名期間終了。50万件を突破!
http://www.motto-bunka.com/
「日本の国家予算に占める文化予算の割合を0.1%から0.5%に増額を!」
公式ツイッター:http://twitter.com/mottobunka
◎劇評サイトwonderlandでもお薦め舞台を紹介しています。
3人で語る「2010年12月はコレがお薦め!」
http://www.wonderlands.jp/archives/16521/
◎おすすめ舞台中継 on TV
【WOWOW】12/4(土)午前5:30~(再放送)
ヨーロッパ企画『サーフィンUSB』
作・演出:上田誠
http://www.wowow.co.jp/pg/detail/075474001/ レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0807002124.html
【WOWOW】12/8(水)20:40~/12/22(水)午後1:00~(再放送)
ノンフィクションW「中村勘三郎×野田秀樹 芝居の遺伝子
~55年生まれの55歳に55日間密着!~」
http://www.wowow.co.jp/documentary/nonfictionw/story0913.html
http://www.wowow.co.jp/pg/detail/075482001/index.php
【WOWOW】12/8(水)21:30~(A)/12/23(木)10:30~(B)
NODA・MAP番外公演『表に出ろいっ!』
出演:中村勘三郎 野田秀樹 黒木華(A)/太田緑ロランス(B)
http://www.wowow.co.jp/pg/detail/075485001/index.php
Aバージョン:12/8(水)21:30~
Bバージョン:12/23(木)10:30~
【NHK BShi】12/18(土)22:00~深夜2:00 ※2010/12/01加筆
日韓合作演劇『焼肉ドラゴン』(2008年初演)
作:鄭義信 翻訳:川原賢柱 演出:梁正雄/鄭義信
http://www.nhk.or.jp/bs/premium/
【WOWOW】12/22(水)午前10:00~(再放送)
コクーン歌舞伎『佐倉義民傳』
主演:中村勘三郎 演出・美術:串田和美
http://www.wowow.co.jp/pg/detail/075478001/ レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0711224513.html
◎FM西東京・演劇情報番組「たけがき2」
http://takegaki.k-free.net/
毎週放送される『演劇ハニーフラッシュ!』に
「しのぶセレクション」というコーナーがあります。
私がお薦めする舞台の公演情報を発信してくださっています。
ラジオだけでなくネットでも聴けるので↓、よかったらぜひ♪
http://www.voiceblog.jp/takegaki842/
◎地方新聞に掲載される新作邦画DVDの紹介記事を書いています。
2010年11月は下記の5作品を拝見しました(順不同)。
・「さんかく」←予想外にハードな内容。主演の3人全員が良かった。
http://www.cinemacafe.net/official/sankaku-movie/pc.html
・「Lost&Found」←ほんわかしてるようで重い映画でした。
http://www.gr-movie.jp/lost/
・「映画クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁」
http://shinchan-movie.com/ ↑しんちゃんは大人も楽しめます!
・「シーサイドモーテル」←脚本が物足りなかった~。
http://seaside-motel.net/
・「蛇のひと」←悪いのは口車に乗った方か、乗せた方か。
http://www.wowow.co.jp/dramaw/hebi/ ※音が鳴ります
◎ツイッターやってます!フォロワー2000人超えに感謝♪
⇒ shinorev : http://twitter.com/shinorev
今までは目に、耳にしなかった情報が絶えず届いて超刺激的!
実名アカウント同士の身のあるやりとりから仕事に直結!
◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています。
お仕事のご依頼はこちらへ↓お気軽にどうぞ♪
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◎「CoRich(こりっち)舞台芸術!」で
いつ、どこで、何が上演されているのかを簡単検索!
感想も書き込めますよ♪
http://stage.corich.jp/
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携帯サイトもあります⇒ http://corich.jp/m/s
◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
それが私の望みです。
これからもこつこつ、地道に続けて行きたいと思っております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪
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