土田英生さんが作・演出・出演される京都の劇団MONO(モノ)の公演。1995年の『Holy Night』を全面的に書き換えたそうです。男性ばかりの劇団ですが、今回は2人の女優さんが客演しています。
MONOの方々のいつもながらの微笑ましいコミュニケーションが味わえることが嬉しい。「劇団が好きでお芝居を観に行く」という幸せが、今回も味わえました。ファンからの質問に劇団員が答えるコーナーなど、公演パンフレットも毎回充実。
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≪あらすじ≫
クリスマス・イヴ。みゆき(亀井妙子)が経営するペンションに学生時代の仲間が集まる。クリスマス反対派の彼らの毎年の恒例行事なのだ。しかし、みゆきの妹あづさ(山本麻貴)が帰省し、彼女に好意を寄せる男(奥村泰彦)が突然やってきて、想定外のハプニングが・・・。
≪ここまで≫
劇場に入るなり豪華な装置にウキウキ。クリスマスを祝いたくない人たちが集まるはずなのに、上手窓の奥に大きなクリスマス・ツリーが見えるのが面白いです。ツリーを飾る電球と照明のコンビネーションが丁寧で、気分が盛り上がりました。
ただただトランプで遊ぶ人々の、たわいないやりとりが可笑しいです。長年の友人同士ですが、徐々にそれぞれの性格や家族構成、現在の経済状況などがわかってきて、距離感が変化し、胸が痛むような対立も生まれてきます。でも、もうちょっと登場人物の背景が詳しく描かれ、関係が入り組んでくる方が、私好みかも。姉妹の確執の理由などが感じとりづらかったですね。脚本、演出のせいなのか、演技のせいなのかはわかりませんが。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
ボート部って体育会系ですよね。やっぱり男の嫉妬は怖いし、シビアだな。
一番ゾクっと来たシーンは、妻の妹との不倫が妻にばれてしまった男(土田英生)が、あつかましく「俺、あづさちゃんだけが頼りだから」と言いよるところ。彼は無職で妻が経営するペンションで働かせてもらってるのです。無防備な状況で、ぬるっと悪意が飛び出てくるのが好き。
MONO第38回公演 ≪北九州、東京、大阪、愛知≫
出演:水沼健 奥村泰彦 尾方宣久 金替康博 土田英生 亀井妙子 山本麻貴
脚本・演出:土田英生 舞台美術 柴田隆弘 照明:葛西健一 音響:堂岡俊弘 衣裳:大野知英 [iroNic ediHt DESIGN ORCHESTRA] 大道具製作:アーティステックポイント 演出助手:磯村令子 舞台監督:松下城支 消しゴム版画とケーキ写真:ハタノワタル 宣伝写真:東直子 宣伝美術:西山英和[PROPELLER.] 制作補佐:谷井佳輔 制作:垣脇純子・本郷麻衣・田平有佳 協力: 兵庫県立ピッコロ劇団 WANDERING PARTY radio mono 企画・製作:キューカンバー 平成22年度文化芸術振興費補助金(芸術創造活動特別推進事業) 京都芸術センター制作支援事業
【休演日】11月30日(火)【発売日】2010/10/09 一般 4,000円 U-25 3,000円(MONOのみ取扱) 高校生以下 1,500円(MONOのみ取扱) ※初日割引・平日昼割 3,500円(MONOのみ取扱)
http://www.c-mono.com
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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