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2010年11月12日

フェスティバル/トーキョー10・五反田団『迷子になるわ』11/05-14東京芸術劇場小ホール1

20101106_maigoninaruwa.JPG
「迷子になるわ」チラシ

 前田司郎さんが作・演出・出演される五反田団の新作。フェスティバル/トーキョー10の主催演目です。『迷子になるわ』というタイトルに惹かれました。⇒記者発表

 上演時間は約1時間45分だったかな・・・かなり曖昧です。すみません。舞台下手の上部に英語字幕あり。

 ⇒CoRich舞台芸術!『迷子になるわ

 ≪あらすじ≫
 私は女性と2人で喫茶店にいる。偶然、店員さんが話しかけてきた。知らない人だ。ううん、彼は別れた男。目の前の女性は私のお姉さん。ううん違う、彼女は本当はここにはいない。
 ≪ここまで≫

 舞台中央つら側にベッド。周囲はずらりと等間隔にイスが並んでいます。 

 ある女性(伊東沙保)の現実と夢、今と昔がぐるぐると入れ替わります。とぼけた会話を楽しんで聴いていると、あるセリフでギュルンっと違う世界へと変わります。
 その女性の人生の中で迷子にはなっていたものの、私は迷子にはなれなかったな~。ちょっと残念。

 出ずっぱりの伊東沙保さん。チェルフィッチュなどでもご活躍で、何でもできる女優さんだなと思います。
 前田司郎さんの色男ップリ、ダメ男っぷりが可愛くって可笑しくって。

 ここからネタバレします。

 舞台左奥の天井からつり下がった綱は東京タワー。

 医者の父(前田司郎)と看護婦の母(後藤飛鳥)の間に生まれた女性(伊東沙保)。年齢は30歳ぐらい。既婚者(前田司郎)と不倫していたけれど別れて、次はかつての同級生(大山雄史)とつきあうことに。でも彼とも別れてしまった。
 冒頭のシーンで女性が一緒に話している相手はお姉さん(宮部純子)。でもその存在は不確か。宮部さんは不動産屋として登場したりもします。

 愛人(前田司郎)の左胸に「OFF」と黒い文字が書かれていて、乳首がそのスイッチだというのに爆笑。彼氏の胸にもそれがあって・・・。

迷子になるわ/Going on The Way To Get Lost
出演:伊東沙保 大山雄史 後藤飛鳥 前田司郎 宮部純子
作・演出:前田司郎 技術監瞥:松本謙―郎 照明:山口久隆(S-B-S) 衣裳:正金彩 舞台監督:榎戸源胤 字幕:門田美和 協力:田口曽博 Age Global Networks(株) 制作:尾原綾 清水建志
【F/Tスタッフ】プログラム・ディレクター:相馬千秋 制作:武田知也、板橋園恵 制作進行:井神拓也 インターン:富田翔、土屋絢子【F/Tクルー】新井朱夏、石井雅美、上田勝也、大泉尚子、小田崎裕太、亀山未央、川島仁美、立花実咲 
製作:五反田団 共同製作:フェスティバル/トーキョー 助成:芸術文化振興基金 主催:フェスティバル/トーキョー、五反田団
【発売日】2010/09/05自由席 一般 前売 3,500円(当日 +500円)、学生 3,000円、高校生以下 1,000円(前売・当日共通、要学生証提示)
http://www.festival-tokyo.jp/program/gotandadan/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 13:23 | TrackBack

エクス・マキナ『The Blue Dragon - ブルードラゴン』11/11-14東京芸術劇場 中ホール

 シルク・ド・ソレイユやメトロポリタン・オペラの演出も手がける、世界的に有名な演出家ロベール・ルパージュさんの4年ぶりの来日公演(過去レビュー⇒)。野田秀樹さんが芸術監督をつとめる東京芸術劇場による招聘です(⇒関連記事)。
 
 俳優の演技と映像、照明、音響、装置などの高度なスタッフワークを融合させ、現代の中国を舞台にした大人の恋愛ドラマを、しっとり、スタイリッシュに見せてくださいました。

 三人芝居ですが、カーテンコールでは舞台裏のスタッフが11人も出てこられたんです。大勢の技術者がカナダのケベックから来日されたんですね。贅沢です。上演時間はカーテンコールを含め約2時間弱。3カ国語上演・日本語字幕付き。

 【舞台写真 (c)田中亜紀】
bluedragon2.jpg

 ⇒公式サイトでダイジェスト映像が見られます。
 ⇒CoRich舞台芸術!『The Blue Dragon - ブルードラゴン

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 ヨーロッパで絶賛された上演時間9時間にも及ぶ超大作「ドラゴンズトリロジー」の登場人物ピエールが、今、新たな物語を紡ぎ出す。
 ピエールは、かつての工業地帯がアートセンターに変わり、中国のアートシーンの中心になっている上海でギャラリーを開いている。ギャラリーにはピエールの恋人である中国人のアーティスト、シャオ・リンも出品している。 ここで彼は、かつての恋人でモントリオールの広告会社幹部クレアーと再会。この再会をきっかけに、ピエール、クレアー、シャオ・リン3人にとって予想もしなかった変化がーー。
 過去と現在の狭間で揺れ動きながらも希望を失わないピエールの心の軌跡が、グローバリゼーションに移ろいゆく中国の風景と重ね合わせられ、現代人の愛と孤独を静かにあぶり出す。
 ≪ここまで≫
 ※役名について。あらすじではクレアーになってますが、字幕ではクレールでした。

 【舞台写真 (c)田中亜紀】
bluedragon1.jpg

 2階立ての装置がアパート、ギャラリー、バー、船上などに七変化。装置をロールカーテンが覆い、そこに映像が映されます。
 今回は大掛かりなイリュージョンが目玉というわけではないようです。高度な技術と原始的ともいえる演劇的手法とを、さりげなく、上品に駆使しているのがさすがだなと思います。シャープな仕掛けに見入いっていたら、アナログな演出がポコっと顔を出して。にやりとしちゃいますね。

 映像は客席側から映写してると思うのですが(舞台奥からも映写してるでしょうが)、前からだと俳優の体にも映像が映ってしまうはずなんですよね。壁に影はしっかり出てるのに、俳優の体には映像は映らないんです。不思議だ・・・。俳優の動きに映像を合わせるのは『アンデルセン・プロジェクト』でもありましたが、一体どうやって実現してるのか気になって仕方ないです(笑)。

 ラストは演劇ならではの方法で楽しく見せてくれました。私はちょっとジーンと来ちゃいましたね。人が容易に移動できるようになったので世界は狭くなったけれど、やはり距離は存在するし母国というものの根っこは深くて。それでも人は国境を越えて、人種の違いにかかわらず出会ってしまうし、交わってしまう。異文化との出会いが新しい芸術を生み、やっかいな問題も次々と持ち込んでくる。それでも人間が命をつないで生きのびていくことは変わらないんですよね。

 【舞台写真 (c)田中亜紀】
bluedragon4.jpg

 ここからネタバレします。

 列車や船のミニチュアと、自転車に乗る俳優が一緒に動いているのが可愛いです。
 ピエールが抱く漢字への憧憬。タトゥーの激痛と快感。

 シャオ・リンは北京の大物キュレーターのもとへ旅立ちますが、ピエールの子供を生んでシングルマザーに。アーティストは廃業して、名画のコピーを増産する仕事と子育てに追われる日々。クレールは中国人の幼児を養子に迎えたかったけれど叶わず、仕事と平行してアルコール中毒を克服するためのプログラムを受けています。ピエールは上海の土地を失い、ケベックに帰る決心をします。

 最後は3通りのラストシーンを見せてくれます。上海の空港で別れる3人。ベビーバギーには赤ん坊。誰が飛行機に乗り、誰が子供を育てるのか。子供を生んだ母親がその子供を育てるという選択肢がなかったのが、現代的だなと思いました。

 【舞台写真 (c)田中亜紀】
bluedragon3.jpg

※舞台写真は東京芸術劇場よりご提供いただきました。※3カ国語上演・日本語字幕付き
出演:マリー・ミショー Marie Michaud アンリ・シャッセ Henri Chasse タイ・ウェイ・フォー Tai Wei Foo
作:マリー・ミショー/ロベール・ルパージュ Marie Michaud/Robert Lepage 演出:ロベール・ルパージュ Robert Lepage 美術;ミシェル・ゴティエ 小道具:ジャンヌ・ラピエール 音響:ジャン=セバスチャン・コーテ 照明:ルイ=グザヴィエ・ガノン=レブラン フランソワ・サントゥバン ジェシカ・ポワリエ=チャン デビット・ルクレール 振付:タイ・ウェイ・フォー 製作:エクス・マキナ(Ex Machina)
【発売日】2010/07/17 S席 6,500円 A席 4,500円(全席指定・税込) ※65歳以上の方はS席半額、25歳以下の方はA席半額割引あり(枚数限定・前売のみ・劇場チケットサービス窓口のみにて取扱い。チケット受取の際に、身分証をご提示ください) ※高校生割引[席種問わず1,000円] ※障がいをお持ちの方:割引料金にてご観劇いただけます。詳しくは劇場チケットサービスまたは劇場HPまで。
http://www.geigeki.jp/saiji/013/index.html
http://www.geigeki.jp/bd/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 12:08 | TrackBack