三条会は関美能留さんが構成、演出を手掛ける千葉県の劇団です。シェイクスピアの『冬物語』をいつもながらの豪快で鮮やかな演出で1時間40分に。
『冬物語』はこれまでに舞台で2度観たことがありますが、新たな切り口で再発見できました。示唆に富んだ、成熟した大人の演劇人による娯楽演劇でした。役者さんの身体能力や演技の技術も高く、何度も笑ったり涙ぐんだりして、心が満たされる観劇になりました。
⇒CoRich舞台芸術!『冬物語』
『冬物語』のあらすじなどはこちらでどうぞ。
いつもながら選曲が奇抜で面白すぎです(笑)。失笑しながらも「あ、意外にいい曲♪」なんて思いなおしたり。自分の中で解釈が二転三転します。曲終わりに合わせて演技もキリのいいところで止まるのも三条会ならでは。聴いたことのある名曲が次々と流れ、それに役者さんのセリフと動きが合わさっているのは、オペラのようだと感じました。この気づきでかなりすっきりしました。
ここからネタバレします。
教室のイスと机に学生服の人々。最初はリオンティーズ(榊原毅)とその息子(中島愛子)だけがボーダーシャツに短いズボンというカジュアルルック。これは彼らが“子供(ガキんちょ)”だってことなんでしょうね。チェッカーズ「ギザギザハートの子守唄」、アンジェラ・アキ「手紙」などから“15歳”ということがわかります。
誰の言葉にも耳をかさず一方的に持論をわめき続けるリオンティーズは、某知事に重なりました。舞台が教室なので、学校内で苦しむ教師と生徒というイメージも。子供がわがままの限りを尽くして悪態をつき、暴言を吐き、やがて大罪に見あった厳しい罰を受け、とうとう改心するという流れから、先日観た『時計じかけのオレンジ』を思い出しました。
冒頭のカミロー(永栄正顕)、ポーリーナ(大川潤子)、アンティゴナス(佐々木透)の3人組は、最後の三角関係を表していたんですね!アンティゴナス(佐々木透)とマミリアス(中島愛子)が死者同士で話すのも良かった。犬(関美能留)に爆笑。死神(?)だったり、俯瞰する視点だったり。
"The Winter's Tale" by W. Shakespeare
出演:大川潤子 榊原毅 立崎真紀子 橋口久男 渡部友一郎 近藤佑子 中島愛子 永栄正顕 佐々木透(リクウズルーム
原作:W・シェイクスピア 構成・演出:関美能留 美術:石原敬 照明:岩城保
◇一般:3,500円 ※年内割引:一般3,000円(12/31まで)◇学生:2,000円
http://homepage2.nifty.com/sanjokai/02.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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