妻夫木聡さん、蒼井優さんら豪華キャストが競演する野田秀樹さんの新作です。⇒制作発表。上演時間は約2時間強(カーテンコール3回込み)。
パンフレット(1000円)に掲載された本谷有希子さんの稽古場レポートがとても面白かったです。セゾン文化財団が発行する「viewpoint」No.54に掲載されている倉持裕さんの寄稿もお勧めです。1970年代生まれの売れっ子劇作・演出家の問題意識に触れられると思います。
⇒CoRich舞台芸術!『南へ』
≪あらすじ≫
地震のような揺れが頻繁にある火山観測所に、自殺未遂をした女(蒼井優)がかつぎ込まれた。やがて新任の観測員(妻夫木聡)がやってくる。彼は自らをミナミノリヘイと名乗るが・・・。
≪ここまで≫
役者さんを通じて舞台から熱は伝わってくるんですが、観客(私)は“ただ観てる人”だったとといいますか、私個人としては舞台と双方向の気持ちのやり取りができず、遠くから「眺める」状態でほとんど最後まで。
大勢のアンサンブルが息を合わせてシステマチックに動いて場面転換します。特に舞台を斜めに横切るのが美しかった。
過去を忘れて、自分が何者なのかも忘れたまま生きている“日本人”のお話だったように思います。
ここからネタバレします。
無数のパイプイスと大勢のアンサンブルのコラボレーション。300年前の集落と、大勢のマスコミが集まる現代が交錯するのが面白かったです。マスコミは『ザ・キャラクター』でも描かれていましたね。
“天皇”の“お墨付き”を得てうまく生きようとしても、それは自分本位の思考から生まれた幻で、役には立たない。それどころか利用され命を落とすことにも。「日本人なら腹を切れ」という流れから、行幸の列は日本兵の行進へと変容。
「南」と「北」は朝鮮半島のことだったのかな・・・わかりません。
第16回公演
出演:妻夫木聡、蒼井優、渡辺いっけい、高田聖子、チョウソンハ、黒木華、太田緑ロランス、銀粉蝶、山崎清介、藤木孝、野田秀樹、玉井夕海
アンサンブル出演:大石貴也 大西智子 小野ゆり子 川原田樹 菊沢将憲 木村悟 草野千裕 黒瀧保土 近藤彩香 佐々木香与子 佐々木富貴子 佐藤悠玄 下司尚美 白倉裕二 武田靖 手打隆盛 冨永竜 長尾純子 永田恵美 根本大介 野口卓磨 橋本ゆりか 益山寛司 益山貴司 三明真実
作・演出:野田秀樹 美術:堀尾幸男 照明:小川幾雄 衣裳:ひびのこづえ 選曲・効果:高都幸男 作調・演奏監修:田中傳左衛門 振付:黒田育世 映像:奥秀太郎 ヘアメイク:宮森隆行 舞台監督:瀬崎将孝 プロデューサー:鈴木弘之 主催・企画・製作:NODA・MAP 提携:東京芸術劇場(公益だ財団法人東京都歴史文化財団)
【休演日】2/14,21,28 3/7,14,22,28【発売日】2011/01/08一般発売日:1月8日(土)10:00~ S席9500円 A席7500円 サイドシート5500円(25歳以下3000円)※高校生割引チケット1,000円は抽選受付:1/11(火)~16(日)※未就学児童の入場不可。
http://www.geigeki.jp/saiji/030/index.html
http://www.nodamap.com/productions/toSouth/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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