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2011年04月30日

【俳優養成】映画美学校「アクターズ・コース初等科」2011年5/10開講(申込は郵送もしくは持参)

 東京都渋谷区の映画美学校が「アクターズ・コース」を新設しました。主任講師は劇作家の平田オリザさんと映画監督の塩田明彦さん。他の講師陣も豪華です。詳細は公式サイトでどうぞ。⇒募集要項

 夜2時間半の授業を週2回、実習授業は土日に実施。働きながらでも出来そうですね。期間は5月から来年3月までの約11カ月で、授講料は42万円。もうすぐ開講します。ご興味のある方はお早めに決断を!

 ●映画美学校「アクターズ・コース初等科」
  受講資格:18才以上であり、プロの俳優を目指す人であれば学歴、経験の有無は問わず。
  定員:30名
  受講期間:2011年5月10日から2012年3月。
  授業日程:原則として火曜日、金曜日の19:00-21:30、実習の授業は土曜日もしくは日曜日。
  費用:授業料、登録料、保険料の合計金額42万円
  受付期間:2011年4月2日からから順次審査をはじめ、定員になり次第締め切り。

Posted by shinobu at 21:06 | TrackBack

2011年04月27日

新国立劇場演劇『ゴドーを待ちながら』04/15-05/01新国立劇場小劇場

 『ゴドーを待ちながら』はサミュエル・ベケットのとても有名な戯曲です。岩切正一郎さんによる新訳を演劇集団円の森新太郎さんが演出。主役の2人は橋爪功さんと石倉三郎さんです。

 平日マチネはやはり年配のお客さまが多かったですね。この装置だったらB席やZ席で観るのもいいかも!上演時間は約2時間50分(途中15分の休憩を含む)。

 劇場ロビーで戯曲全掲載された雑誌が販売されていました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ゴドーを待ちながら
 レビューはほぼ記録のみ。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
 田舎道、一本の木がある。
 夕方。
 エストラゴンが道端に座っている。靴を脱ごうとするのだが、なかなか脱げない。そこへヴラジミールがやってきて他愛のない会話が始まる。やがて、エストラゴンが立ち去ろうとするのをヴラジミールが留める。
 エストラゴン     どうして。
 ヴラジミール     ゴドーを待ってる。
 エストラゴン     そうだね。
 二人はゴドーに会ったことはなく、いつまでも待ち続ける。そこにポッゾとラッキーがやってくる。やがてラッキーは哲学的な演説を始める。
 二人が去った後、少年が現れゴドーの伝言を伝える。今夜は来られないが、明日は必ず来ると。

 そして翌日、同じ時刻、同じ場所。
 エストラゴンとヴラジミールはまたゴドーを待ち続ける。

 世界演劇史に燦然と輝く傑作。満を持して登場です。
 ≪ここまで≫

 長細い舞台の長い2辺を客席が挟む抽象美術。2階席は四方全てにありました。舞台上にはほぼ何もありません(戯曲通り)。小劇場のこの使い方は『ムーン・パレス』で観た記憶あり。

 ここからネタバレします。

 エストラゴンの“靴を脱ごうとしても脱げない演技”が、脱げなさそうに見えなかったんですよね~。私は冒頭でつまづいちゃったかも。震災以降、俳優さんを見る目が厳しくなってるかもしれません。

 舞台中央天井にあらわれた月が美しかったです。

Waiting for Godot JAPAN MEETS・・・ ─現代劇の系譜をひもとく─ Ⅳ
出演:橋爪功(ヴラジミール) 石倉三郎(エストラゴン) 石井愃一(ラッキー) 柄本時生(少年) 山野史人(ポッゾ)
脚本:サミュエル・ベケット 翻訳:岩切正一郎 演出:森新太郎 美術:礒沼陽子 照明:笠原俊幸 音響:藤田赤目 衣裳:koco ヘアメイク:佐藤裕子 演出助手:内藤裕子 舞台監督:田中伸幸 芸術監督:宮田慶子 制作担当:三崎力 主催:新国立劇場
【休演日】4/18,25【発売日】2011/02/19 A席5,250円/B席 3,150円
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000326_play.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 18:31 | TrackBack

2011年04月25日

【ワークショップ】「Voice Taster by 池内美奈子・2日間体験ワークショップ」05/23-24森下スタジオ※5/17〆切(先着順・メールのみ)

Voice_Tester_ikeuchi.JPG
チラシ

 新国立劇場演劇研修所のヘッドコーチである俳優指導者の池内美奈子さんが、2日間の“お味見”ワークショップを開講されます。池内さんのワークショップのレポートは当サイトに複数掲載していますので、よかったら「池内美奈子」で過去ログを検索してみてください。
 池内さんはほがらかで優しくて、ご自身の無邪気さ、貪欲さも臆せずありのままにあらわす、素晴らしい俳優指導者だと私は思っています。

 「働く俳優さん対象に、日ごろの声や表現に関するトラブルや悩みを解消することを目的とし、クリエイターとしての思考や表現の幅を広げるワークショップ」だそうです。“先生に教えを請う”のではなく、自立した職業俳優として主体的に参加する方にお勧めします。以下、主催者からいただいた情報です。ご興味のある役者さんはぜひ。

 ●Voice Taster by 池内美奈子 *2日間体験ワークショップ*
  期間:5月23日(月)&24日(火)11:00~17:00(昼休み含む)
  参加費:¥12,000
  会場:森下スタジオ
  申し込みは先着順。ただし定員14名に満たない場合は5月17日(火)まで受付。

■Voice Taster by 池内美奈子 *2日間体験ワークショップ*

待望の池内美奈子による「声と言葉のトレーニング」の味見の機会到来!

期間:5月23日(月)&24日(火)11:00~17:00(昼休み含む)
協力:(財)セゾン文化財団

自分の声がよく分からない、発声は出来ても演技につなげられない、などの不安を解消して身体全体から出てくる声の幅を広げ、表現を楽しむ時間にしましょう!

参加費* ¥12,000
会場* 森下スタジオ(江東区森下)
対象* 仕事をしている俳優
定員* 14名(定員になり次第締め切ります)

お問い合わせ、お申し込み:
アトラス 後藤
メールアドレス:goto(アットッマーク)g-atlas.jp
tel: 090-4919-0456

お申し込みは上記のメールアドレスへ、件名「ワークショップ申し込み」と記入し、1.お名前、2.性別、3.年齢、4.所属、5.電話番号、6.簡単な実技経験を書いて、送信してください。申し込み受理後、こちらからご連絡します。

【池内美奈子プロフィール】
俳優指導者、ヴォイス・コーチ
英国ヨークシャーにあるARTTSInternatioal校にて演出ディプロマを取得。2000年度文化庁派遣芸術家在外研修員として日本人としては初めてロンドンのセントラル校 (Central School of Speech and Drama) のヴォイス・コースで学び、ヴォイス&スピーチ講師術を修得。ヴォイス学修士取得。桐朋学園芸術短期大学や演劇集団円附属演劇研究所で教える。2005年より新国立劇場演劇研修所の専任講師。現在同研修所のヘッドコーチ。


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:23 | TrackBack

2011年04月23日

わらび座『ミュージカル「おもひでぽろぽろ」』04/16-29天王洲銀河劇場

 わらび座の新作ミュージカルはスタジオ・ジブリのアニメ映画の初の舞台化作品です(⇒製作発表 ⇒初日メインキャスト・インタビュー)。原作映画を見てから拝見しました。上演時間は約2時間20分(途中休憩20分を含む)。

おもひでぽろぽろ [DVD]
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント (2003-03-07)
売り上げランキング: 2340

 東京で生まれ育った20代の会社員タエ子が、田舎にあこがれて山形県の農家で短い夏休みを過ごします。原作に沿っていますがオリジナルのエピソードも多数あり、タイトルの“おもひで”がタエ子の思い出だけでなく人類と自然(地球)の歴史としても描かれ、より広く深い意味合いを感じました。
 ゲネプロの舞台写真を掲載しています。写真だけでも覗いていただけたら。

20110415_omohide_all_s.JPG

  ⇒CoRich舞台芸術!『ミュージカル「おもひでぽろぽろ」

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 1982年の夏。 今日も都内の銀行で膨大な書類に奮闘している27歳のOL・タエ子。
 ある日、彼女の前に、小学5年生の自分が現れた。 何かの病気になったかと家族が心 配するなか、タエ子の心には幼い頃に憧れた一つの思いがよぎる。
 「夏休みには、田舎へ行ってみたい!」
 タエ子は思い切って休暇をとり、憧れの田舎、姉の夫の実家がある山形の高瀬へと、一人でかける。
 小学5年生のワタシを連れて。
 自然の営みや農家の人々との出会いの中で、都会にはない魅力を発見していくタエ子。
 村中に響き渡る祭囃子、エネルギッシュな獅子舞― 東京に帰る前夜。
 村の祭りに出かけようとするタエ子に、ばっちゃ(おばあちゃん)は思いがけない申し出をする。 困惑するタエ子に、またも甦る小学校の“おもひで”・・・
 小学5年生のワタシが教えてくれたこととは?
 時空を超える“おもひで”の旅が、タエ子を変えていく――
 ≪ここまで≫

20110415_omohide3.jpg

 一見シンプルな八百屋舞台が、都会のオフィスや人間に侵されていない森林、農家の田畑などにすみやかに場面転換していきます。床や壁がスライドしたり大きな装置の出はけもあり、動的で見どころの多い美術です。
 舞台上で素直に喜び、驚き、迷うさまをそのままにあらわして、のびやかに全身を動かし歌う人たちを見て、涙がほろほろと流れました。自然の美しさだけでなく恐ろしさにも焦点を当てた迫力の演出に、のどもとまで熱いものが込みあげました。

 原作アニメは主人公タエ子の現在と幼いころの回想が、重なりつつ入れ替わる構成でしたが、今作ではトシオ(三重野葵)のバックグラウンドがより具体的になり、ばっちゃ(杜けあき)の青春時代のエピソードも追加されています。個人の思い出だけでなく、土地に根付き人間にしみついた日本の歴史にも踏み込んで、より深く、重みのある世界観があらわされました。思い出は甘美なだけでなく、今の自分を変えてしまう大きな力を持っています。そこから目をそむけていたタエ子の怖れ、葛藤、そして一歩前へと踏み出す変化が描かれました。

 ミュージカルの音楽については私はあまり詳しくないのですが、農家の女性が悲しいエピソードほど明るく歌うのが良かったです。タエ子が思い出を本気で振り返ろうとする一幕最後の場面は、不安や恐怖を連想させるよな曲でサスペンス・タッチに演出されているのが面白いと思いました。

20110415_omohide5.jpg

 タエ子役の朝海ひかるさんは、きゃしゃな体に宝塚の元男役らしい凛々しさを備えながら、変化に素直な演技がとても、とても可愛らしかったです。自然に触れた時のはちきれんばかりの喜びの表情とか!自分の中の揺れる感情を探っていくピュアさも光りました。自ら封印して考えないようにしてきた過去と対峙した時の、タエ子のじりじりと思いつめたような演技が特に良かったです。作業着姿でバレエのように優雅に踊るのもキュート♪

 ここからネタバレします。

 タエ子は銀行に勤めていて同遼に「ヘンな人」と思われています。彼女にだけ小学校5年生のタエ子の姿が見えるので、勤務中のひとりごとが多いんですよね。これは映画にはなかった設定です。制服姿の会社員たちがせくせくと働くオフィスに、元気な小学生たちがドっと押し寄せてきた場面で涙が流れました。夢と現実が混在して、過去と現在が重なって、でも舞台上の役者さんは生き生きと目を輝かせて、今に存在しています。演劇的に特に珍しいわけではないですが、ポイントは役者さんの存在の仕方だと思います。あぁ、私は舞台のこんな瞬間が好きなんだと思いました。

 タエ子のオフィスから自宅、夜行列車を経て山形に到着した時、舞台奥の壁が破れるように左右に開き、うっそうと茂る木々や葉が現れました。木、花、水(川)、魚、鳥などの精霊たち(?)が静かに登場し、ダンス(身体表現)で自然を表現します。澄んでいて適度に湿った森林の空気が頬に触れたように感じました。かぐわしい緑の香りも漂ってくるようで(実際はあり得ませんが)、深呼吸したくなるような解放された気持ちになりました。

20110415_omohide1.jpg

 完璧な有機農業を目指すトシオの田んぼに、隣人が無理やり農薬を撒いてしまう場面がありました。現実の苦々しい描写はアニメよりずっと生々しいです。
 ばっちゃの初恋の人は陸軍学校に行き、戦死しています。実の姉(碓井涼子)は年頃になって売られてしまい、そのお金で自分は学校に行くことができたとばっちゃは語ります。これはほんの数十年前の日本の出来事なんですよね。田んぼに、森林に、オフィスビルの地面に、消えない歴史が積み重なっているのだと思います。

 タエ子が都会の日常生活の中で渇望していた、自然との共生が農家にはありました。ばっちゃからトシオとの縁談話を持ちかけられ、タエ子は悩みます。呑気に田舎が好きと言ったものの、農業の現実は甘くないことにも、自分に農家の嫁になる覚悟がないことにも気づきはじめていたからです。そこで、タエ子が小学生の頃に“いじめられっ子の阿部くん”に握手を断られたエピソードがつながっていきます。貧しかった彼の手を、誰よりも一番汚いと思っていたのは自分だった、「考える」ということをしてこなかったのだと自分を責めます。これはまさに私たちのことですよね。面倒だから汚いことに蓋をして、考えるのを止めて楽しいことだけに没頭してきた、私たちのこと。

 タエ子は本家から飛び出して夏祭りの真っただ中に飛び込みます。和太鼓と民族舞踊はわらび座ならではです。若者たちの力強い踊りと太鼓の大きな振動は、竜神様(だったかな)の自然の恵みと驚異の両方を渾然とあらわしているように思いました。先日、宮城聰さんがおっしゃったように、お祭りは神様を地上に降ろして来る意味もあるんですよね。

20110415_omohide2.jpg

 終盤で小さいタエ子(石丸椎菜)は阿部君が被っていた獅子舞の面を被って登場します。彼女はコタエちゃんと呼ばれており、つまり小さいタエコ=小タエ=答えなんですね。小タエは「過去」を象徴するものでもあるのでしょう。小タエが祭りの踊り子たちにまぎれて森の中へと消えていく場面にはゾクっとしました。小タエが恐ろしい神様のように見えたのだと思います。
 トシオに励まされ、過去の心の傷が癒えて、変化していく自分を受け入れることができたタエ子は、小タエ(=阿部君)と握手します。変化は痛みを伴うものだけれど、目をそむけ続けることはできない、そして過去は決して消滅しないのだということが、無言の場面から感じとれました。

 うーん、こうやって考えるとトシオの影響力がタエ子に対して小さすぎたかなと思います。20代後半のOLが大きく人生の舵を切る決断をするのですから、発火するような恋愛が見たかったですね。私が拝見したのはゲネプロでしたので、今はもう進化しているかもしれません。

20110415_omohide8.jpg

【出演】タエ子:朝海ひかる タエ子の母/山形のばっちゃ (2役):杜けあき トシオ:三重野葵 タエ子の父:渡辺哲 ナナ子:高橋磨美 ヤエ子:碓井涼子 カズオ:平野進一 キヨ子:丸山有子 ナオ:鈴木潤子 トノムラ:椿康寛 シロー:北村嘉基 あべ君:森下彰夫 小タエ [こたえ](小5のタエ子):石丸椎菜 アイコ:中里裕美 トコ:志賀ひかる リエ:奥泉まきは アンサンブル:権田いなほ 神谷あすみ 小林すず 伊藤幸世 ※キャストは変更になることがあります。あらかじめご了承ください。
原作:アニメーション映画「おもひでぽろぽろ」 (脚本・監督/高畑勲 原作/岡本螢・刀根夕子) 台本・作詞:齋藤雅文 演出: 栗山民也 作曲:甲斐正人 振付:田井中智子 美術:松井るみ 照明:勝柴次朗 音響:小寺仁 衣裳:樋口藍 ヘアメイク:鎌田直樹 小道具:平野忍 歌唱指導:山口正義 演出助手:小沢瞳 音楽助手:紫竹ゆうこ 振付助手:高田聖子 舞台監督:佐久間勝徳 企画制作:わらび座 協力:スタジオジブリ 東京公演主催:日本テレビ・わらび座・銀河劇場
12月4日(土)発売  全席指定 8,500円(税込)
http://www.warabi.jp/omoide/
ゲネプロ舞台写真撮影:mao

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 15:04 | TrackBack

2011年04月21日

【公募情報】NPO法人FPAP「“劇作家・演出家のための観劇ディスカッションツアー”(6月)参加者募集」※4/30〆切(メールのみ)

 NPO法人FPAP(エフパップ)が「劇作家・演出家のための観劇ディスカッションツアー」を実施します。去る3月に続き6月もアドバイザーを務めさせていただくことになりました(⇒2008年2011年3月)。

 観劇&討論みっちりの2泊3日です。九州以外の地域で活動している劇作家・演出家も対象に入っています。公式ブログで参加者のレポートが読めます。ご興味のある方はぜひ。推薦も募集中

 開催地:東京都内
 日程:2011年6月3日(金)~5日(日)
 参加費用:5,000円
 申込〆切(メールのみ):2011年4月30日(日)
 ※申し込みが定数を超えて組み合わせ的にもいいかんじな場合、締切日前に募集を締め切ることがあります。
 ※抽選・選考の場合、早めに申し込みされた方が優先気味となるように抽選・選考します。

Posted by shinobu at 14:18 | TrackBack

クロムモリブデン『裸の女を持つ男』04/16-24シアタートラム

 青木秀樹さんが作・演出される劇団クロムモリブデンはもともと大阪の劇団でしたが、2006年に東京に本拠地を移転されました。刺激的なビジュアルのチラシに目を奪われる新作。上演時間は約1時間30分。

 「CoRich舞台芸術まつり!2011春」審査員として拝見しました(⇒94本中の10本に選出 ⇒応募内容)。※レビューはCoRich舞台芸術!に書きます。

 ⇒CoRich舞台芸術!『裸の女を持つ男

 ≪あらすじ≫ CoRich舞台芸術!より
 元アイドルがドラッグ事件で逃亡した時、ヒッチコック監督の映画「サイコ」の主人公が車で逃亡するシーンと重ね合わせてしまった私の妄想はドンドン膨らみ、逃走車が辿り着くモーテルでは、ドラッグを使用して倒れた女性を巡って、アタフタする男が謎の電話を掛けているのでした。 
 やがてその一本の電話が世界を破滅に導く!
 ≪ここまで≫

出演:森下亮、金沢涼恵、板倉チヒロ、奥田ワレタ、木村美月、久保貫太郎、渡邉とかげ、幸田尚子、小林義典、武子太郎、花戸祐介、辰巳智秋(ブラジル)
作・演出:青木秀樹 音響効果:笠木健司(とんかつ音房) 照明:床田光世 美術:ステファニー(劇光族) 舞台監督:塚本修(CQ) 美粧:増田加奈 衣装:浅利ねこ(劇団銀石) 演出部:入倉麻美 伊豫田一成 宣伝写真:安藤青太 辰巳千恵 宣伝美術・Web:小林タクシー(ZOKKY) チラシモデル:若林美保 制作:床田光世 安井和恵 野崎恵 藁谷真理絵 新谷純 新井佳奈 企画・製作:office crome
【発売日】2011/03/06 全席指定 <一般> 前売3500円、当日3800円 <学生> 前売2500円、当日2800円 <劇場友の会割引> 3300円(劇場チケットセンターにて前売のみ) <世田谷区民割引> 3400円(劇場チケットセンターにて前売のみ) <リピーター割引あり> 詳細は公演中、劇場にてご確認ください。
http://crome.jp/
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2011/04/post_228.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 10:49 | TrackBack

2011年04月20日

メルマガ号外 ままごと『わが星(再演)』

 ままごと『わが星(再演)』
 04/15-05/01三鷹市芸術文化センター 星のホール
 ≪東京、三重、名古屋、北九州、伊丹、いわき≫
 ※いわき公演については主催者にお問い合わせください。
 ※公演詳細はこちら

 ★メルマガへの ご登録はこちら へ!

 ⇒CoRich舞台芸術!『わが星(再演)

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 “しのぶの演劇レビュー” 号外 Vol.47  2011.04.20 1,730部 発行

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ http://www.shinobu-review.jp


   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪


★★ 号 外 ★★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 ◎ままごと『わが星(再演)』
  04/15-05/01三鷹市芸術文化センター 星のホール
  ≪東京、三重、名古屋、北九州、伊丹、いわき≫
   ※いわき公演については主催者にお問い合わせください。
  ☆出演:青木宏幸 大柿友哉 黒岩三佳 中島佳子 永井秀樹
      斎藤淳子 端田新菜 三浦俊輔
   脚本・演出:柴幸男
   音楽:三浦康嗣(□□□ http://www.10do.jp/kuchiroro
    http://www.wagahoshi.com/
    http://mitaka.jpn.org/ticket/1104150/
   劇団「ままごと」公式ツイッター
    http://twitter.com/mama_goto


 ◎観劇後のコメント◎

  第54回岸田國士戯曲賞受賞作が早くも再演されました。
  一昨年の初演は5日間の短期間で、終盤は超満員でした。レビュー↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/1012225406.html

  登場するのは父母と姉妹と祖母というごく普通の家族ですが、
  彼らは太陽系の星々でもあります。人間と星の生涯を重ねて描き、
  身近な生活と何万光年も離れた銀河とを行ったり来たりします。
  それは時間、空間が瞬時に伸縮する、奇跡のような演劇体験です。

  架空の親子や擬人化された星同士の会話は、幼い子供たちが遊ぶ
  “ままごと”のように優しく、温かく、時に切なさを誘います。
  “つくりごと”の懐かしい物語と、誰にも必ず訪れる生死という現実が、
  並行して目の前に提示され続けます。私は無限の時空の中にある 
  私たち一人ひとりの命を見つめ、そのはかなくて美しい輝きを
  いとおしんで、かみしめて、震えながら涙しました。

  『わが星』は緻密な設計図であることも高く評価された戯曲です。
  オリジナルの音楽とともにセリフがラップ調に発せられ、
  言葉、リズム、音楽、動き(ダンス)が決して切り離せない、
  残新な演出になっています。演劇であることに間違いはないのですが、
  新しいジャンルのライブ・パフォーマンスとして、
  先入観なしに観るといいかもしれません。約90分のお芝居ですが、
  私にはまるで1曲の歌のように感じられました。

  再演『わが星』は、敢えて初演に変更を加えずに上演されています。
  精度も密度も上がっており、俳優の妙技にも圧倒されました。
  私たちの日常は去る3月11日を境にすっかり変わってしまいましたが、  
  悠久の時間と命の瞬きをあらわしたこの作品の言葉と音楽の力は、
  2009年と変わらないどころか、さらに強く、瑞々しく、しなやかでした。
  大人も子供も、あらゆる世代の方にご覧いただきたい舞台です。

  ※上演時間は約1時間30分弱だったと思います。

  トゥギャッター『宮沢章夫氏(@aki_u_ench)による「わが星」について』
   http://togetter.com/li/125857

  「しのぶの演劇レビュー」内の関連エントリー
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/1111222746.html
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0412204843.html

  「爽やかな劇薬」というご感想↓に共感します。
   http://twitter.com/toyama0116/status/60323278987870208


 【チケット情報】
  東京公演
  全席自由/日時指定/整理番号付 ※未就学児童は入場不可
  一般前売3,000円 一般当日3,500円
  高校生以下:前売/当日1,000円 [要学生証]
   http://mitaka-art.jp/ticket/
  ※4/19夜の時点では平日夜公演に若干残席ありでしたが、前売完売かも。
  ※4/19夜は雨だったせいもあるのか、当日券は20枚ほど出たそうです。

  ・公演期間中に特別ライブあり(チケットは完売)
  『LIVE □□□05|わが星』
   日時:4月23日(土)18:00 開演
   会場:三鷹市芸術文化センター 星のホール
   作・演出:柴幸男(ままごと)+三浦康嗣(□□□)
   演奏:□□□
    http://www.wagahoshi.com/live/

  ★東京公演後に5つの地域を巡演します。ワークショップや講義などの
   特別な企画がある劇場もありますので、ぜひチェックしてください。
  ※いわき公演の開催有無については主催者にお問い合わせください。
   http://www.wagahoshi.com/schedule/

 【東京公演お問い合わせ】
  三鷹市芸術文化振興財団 TEL 0422-47-5122
   http://mitaka.jpn.org/access.php

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 ◆ 【編集後記】
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 ◎2011年3度目のメルマガ号外です。前回はこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0218104310.html


 ◎劇場に出かけづらい環境にある方も大勢いらっしゃることと思います。
  無理をせず、自分のペースで観劇していただけたら幸いです。


 ◎ツイッター↓やってます! ※フォロアー2400人超え感謝♪
  ⇒ @shinorev : http://twitter.com/shinorev
  メルマガ号外は読者の方々に直接届ける手段として今後も続けますが、
  速報としてはツイッターが最速です。


 ◎「CoRich(こりっち)舞台芸術!」で
  いつ、どこで、何が上演されているのかを簡単検索!
  感想も書き込めますよ♪
   http://stage.corich.jp/
  メンバー登録はこちら↓
   http://www.corich.jp/stage/user_register.php
  携帯サイトもあります⇒ http://corich.jp/m/s


 ◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています。
  2009年のお仕事のまとめはこちら↓ 2010年分はアップできるか不明。
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0207224341.html
  お仕事のご依頼はこちらへ↓お気軽にどうぞ♪
   http://www.shinobu-review.jp/contact/


 ◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
  それが私の望みです。
  これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
  皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪

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Posted by shinobu at 22:53 | TrackBack

2011年04月17日

ホチキス『湯煙の頃に君を想う』04/13-19テアトルBONBON

 米山和仁さんが作・演出される劇団ホチキスの新作です。上演時間は約1時間45分。遅ればせながら中野のテアトルBONBONにはじめて伺いました。新しい劇場はやっぱりきれいですね。

 「CoRich舞台芸術まつり!2011春」審査員として拝見しました(⇒94本中の10本に選出 ⇒応募内容)。※レビューはCoRich舞台芸術!に書きます。

 ⇒CoRich舞台芸術!『湯煙の頃に君を想う』※CoRichでカンタン予約!

 ≪あらすじ≫ CoRich舞台芸術!より
 原作のミステリー小説が盗作だった・・・。
 火曜サスペンス劇場の2時間ドラマを制作すべく、しなびた温泉宿でロケ撮影をしようとしていた撮影クルーにその一報が入ったのは、明日の撮影に備え、宿のスタッフを交えてのリハーサルが行われた直後だった・・・。
 脚本の変更を余儀なくされる制作スタッフ。しかし、明日宿でのロケを撮影しなければ、オンエアに間に合わない。撮影クルー達は、一晩で、ゼロから脚本を作らなければならなくなった・・・。
 ≪ここまで≫

【出演】巡査:加藤敦 ライバル女将:小玉久仁子 ドラマ制作会社AD:山本洋輔 板前:山崎雅志 プロントマンに好かれる旅館の女中:齊藤美和子 寿退社する旅館の女中:村上直子 ドラマのプロデューサー:船戸健太郎 女将:渡邊安理(演劇集団キャラメルボックス) プロントマン:村上誠基(柿喰う客) 宿泊客:松本理史(ぷろだくしょんバオバブ)
脚本・演出:米山和仁 舞台監督:中西隆雄 演出助手:棚瀬巧 (至福団) 照明:工藤雅弘(Fantasista?ish) 音響: 田島誠治(Sound Gimmick) 美術:伊東龍彦 映像:上條大輔 衣装:谷野留美子 有藤加奈子 カバーイラスト:小玉久仁子 宣伝美術:辻井宏之(CPU) 制作:藤田真以・山崎雅志 制作協力:林みく(Karte) 企画・製作:ホチキス
【発売日】2011/03/12 一般前売 3,500円 学生前売 2,800円 (要学生証)  一般当日 4,000円 学生当日 3,000円(要学生証)
http://www.hotchkiss.jp/top.html


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 17:59 | TrackBack

KAKUTA『グラデーションの夜《群青の夜》《黒の夜》《桃色の夜》』04/13-05/01アトリエヘリコプター

 桑原裕子さんが作・演出・出演される劇団KAKUTAの朗読シリーズ第6弾。劇団の15周年記念パンフレット(1500円)がロビーで販売されていました。

 「CoRich舞台芸術まつり!2011春」審査員として拝見しました(⇒94本中の10本に選出 ⇒応募内容)。※レビューはCoRich舞台芸術!に書きます。

 《群青の夜》の上演時間は約2時間弱。《黒の夜》はホラーだそうです。《桃色の夜》は生演奏があるようですね。できれば3つとも拝見したいと思っています。

 ⇒CoRich舞台芸術!『グラデーションの夜』※CoRichでカンタン予約!

 ここからネタバレします。2011年5月6日加筆。

●《群青の夜》
 祖父の古本屋を継いだ女性。車しか財産がない男性が本を万引きをしたと告白し、弁償するためにアルバイトをはじめる。そこに世界中を旅する女性の友人がたずねてくる。

「ネオン」ヤクザ志望の若者の酔狂。
「ピエロ男」公園に無為に立つピエロの格好をした男。彼に惹かれる女。
「正直袋の神経衰弱」池袋を擬人化。池袋を愛するホームレスに救われる
「夜のドライブ」年老いた母親と独身の娘の一泊温泉旅行。


●《黒の夜》
 古書店の店主は、人気漫画の連載を急に終わらせた旧友と会う。漫画家の目にはいつも、その漫画の主人公の姿があった。

「デッドガール」売春をしているOLが客と入ったラブホテルに、不気味な女がやってきた。
「ささやく鏡」祖母が遺した鏡に、将来の自分が映ることを知った女性の悲劇。
「迷路」家の庭にある井戸に死体を放り込むと、数日後に消えていた。


●《桃色の夜》
 残念ながら観られませんでした・・・。

Sound Play Series「朗読の夜」♯6「グラデーションの夜」 多彩なカラーの3つのプログラムを三週間連続上演
●《群青の夜》桐野夏生「ネオン」(文春文庫刊『錆びる心』所収) /いしいしんじ「正直袋の神経衰弱」(新潮文庫刊『東京夜話』所収) /田口ランディ「ピエロ男」(文春文庫刊『ドリームタイム』所収) /川上弘美「夜のドライブ」(文春文庫刊『あなたと、どこかへ。』所収)
【出演】[KAKUTA]成清正紀 若狭勝也 原扶貴子 高山奈央子 横山真二 馬場恒行 佐賀野雅和 桑原裕子 [Guest]磯西真喜(演劇集団円) 西田薫  坪内悟  上瀧征宏 尾﨑宇内(てがみ座)  原田麻由 渡辺昇(北区つかこうへい劇団)
【コラボレーション】相川博昭(写真家)
●《黒の夜》阿刀田高 「迷路」(新潮文庫刊『七つの怖い扉』所収)/桐野夏生 「デッドガール」 (新潮文庫刊『ジオラマ』所収) /今邑彩 「ささやく鏡」 (集英社文庫刊『よもつひらさか』所収)
【出演】[KAKUTA]成清正紀  若狭勝也  原扶貴子 野澤爽子  高山奈央子  佐賀野雅和 ヨウラマキ [Guest]磯西真喜(演劇集団円)実近順次  尾﨑宇内(てがみ座) 原田麻由  植木祥平(渋谷ハチ公前) 柴田さやか 澁谷佳世
【コラボレーション】柊ゆたか(イラストレーター)
●《桃色の夜》田辺聖子 「いま何時?」(新潮文庫刊『三十すぎのぼたん雪』所収) /角田光代 「わか葉の恋」(ハルキ文庫刊『オトナの片思い』所収) /三浦しをん 「春太の毎日」(新潮文庫刊『きみはポラリス』所収)
【出演】[KAKUTA]若狭勝也  原扶貴子  野澤爽子 高山奈央子   ヨウラマキ  桑原裕子 [Guest]西田薫  実近順次  坪内悟 植木祥平(渋谷ハチ公前)  柴田さやか 渡辺昇(北区つかこうへい劇団) 澁谷佳世
【コラボレーション】花れん(うた)&扇谷研人(ピアノ)
脚本・演出:桑原裕子 舞台監督:安田美知子  照明:西本彩(青年団) 音響:島貫聡  舞台美術:袴田長武(ハカマ団) 演出助手:田村友佳  選曲:真生 衣裳:山崎留里子 宣伝写真:相川博昭  宣伝美術:川本裕之 イメージイラスト:柊ゆたか  映像:メリケンサック 制作:前川裕作 堀口剛  制作助手:たけいけいこ 当日運営:四柳ナンシー 企画・製作  K.K.T.  The other members:大枝佳織 松田昌樹
【発売日】2011/03/12 全席自由(整理番号付き) 当日 3,500円 前売り 3,300円 先行予約 3,000円 サービスデー 3,000円 学生割引 3,000円 3プログラム通し券 8,500円 ☆先行予約3月4日(金)・5日(土)・6日(日)の三日間 詳しくはKAKUTAのWebサイトをご覧ください。
http://www.kakuta.tv/
http://www.kakuta.tv/gradation/


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 17:53 | TrackBack

テノヒラサイズ『テノヒラサイズの致命的誤謬』04/01-03 HEPホール

 テノヒラサイズは大阪の劇団です。下北沢の駅前劇場に3/11(金)14時開演の回を観に行ったのですが、14:46の地震で公演は中止。そのまま東京公演も中止になったため、大阪公演に伺いました。

 「CoRich舞台芸術まつり!2011春」審査員として拝見しました(⇒94本中の10本に選出 ⇒応募内容)。※レビューはCoRich舞台芸術!に書きます。

 公式サイトで募金報告をされています(2011/06/07加筆)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『テノヒラサイズの致命的誤謬』※CoRichでカンタン予約!

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 レタス・愛・裏切り…。
 こんなにせつない喜劇はきっとまちがっている!

 レタス工場レクリエーション部。
 彼らには同じ働く仲間でありながら、同じく工場で働く高齢者の皆さんの福祉を充実させる重要な使命がある。
 本日の議題は勤続42年の最長老マスゾーさんの退職に向けての
 お別れ会の企画である。
 むやみにハートウォーミングに進むミーティング。笑顔。
 しかし彼らにはそれぞれ暗く哀しい裏の顔があった。
 非情さと、せつなさと、暖かさが交錯する『お別れ会の日』がやってくる――――。
 ≪ここまで≫


テノヒラサイズ第6回公演 ≪東京、大阪≫
出演:あだち理絵子、★井之上チャル、川添浩二、木内義一、田所草子、湯浅崇、●中岡優介(エンズプロモーション)、★と●はダブルキャスト。私が観た回は2回とも中岡優介さんでした。
作・演出:オカモト國ヒコ 舞台監督:hige(BS-||) 舞台監督補佐:中嶋さおり(BS-||) 音響:とんかつ 照明:奥村誠志郎(M.C.S) 制作:鉾木章浩 宣伝美術:ツボイヒロム(GR2) 宣伝写真:kutsans studio 宣伝ヘアメイク:kentaro katsu・立石祐希美 Human beat Box 指導:MAX 東 WEB DESIGN: grawords
【発売日】2012/02/05 前売3000円 / 当日3500円 (日時指定・全席自由) / 学生1500円(受付にて学生証提示)(◎)初回割1500円(4月1日(金)15:00~の回のみ)
劇団WEBでの取り扱いとなります。
http://tenohira-size.gonna.jp/html/job.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 17:46 | TrackBack

2011年04月16日

【写真レポート】わらび座『ミュージカル「おもひでぽろぽろ」』初日前日メインキャスト・インタビュー

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ポスター

 スタジオジブリのアニメーションが初めて舞台化されました(⇒製作発表)。『ミュージカル おもひでぽろぽろ』は山形県の農家を舞台にした純和製ミュージカルです。

 初日前日の記者向けのゲネプロ(本番同様に行うリハーサル)に合わせて、主演の朝海ひかるさんと三重野葵さんが、この震災のもとでの稽古の様子や公演への意気込みを語られました。

 ●わらび座ミュージカル『おもひでぽろぽろ』公式サイト
  期間:2011年4月16日(土)~29日(金・祝)
  会場:天王洲銀河劇場
  チケット:全席指定8,500円(税込)
  上演時間は約2時間20分(途中休憩20分を含む)。
  ※秋田わらび劇場公演など全国ツアーあり。
  ⇒CoRich舞台芸術!『ミュージカル「おもひでぽろぽろ」

 【写真左から:朝海ひかるさん&三重野葵さん】
omohide_asami_mieno_tate.jpg

 ●名作アニメの舞台化への意気込み

 朝海「ジブリ作品はとても大好きな世界で、『風の谷のナウシカ』からの大ファンなので(笑)、出演が決まった時は信じられないぐらい嬉しかったです。光栄だとも思いました。その世界を表現するために、さらに自分を解放していきたい。今までなかなか行きつくことができなかったことなので、今回はそれを目指してがんばりたいです。」

 三重野「僕もジブリの作品が大好きなので、この舞台に立てることを幸せに感じています。映像をどう舞台にするかについても楽しみが多い作品で、稽古も毎日が楽しかったです。自然と一緒に生きていく人物を描くということは、舞台に立つ自分も自然でいなければいけません。人間の豊かな感情や、ひとつひとつの言葉の力とか、自然からもらった人間のエネルギーを出せたら。稽古の中で初めての体験がたくさんあったので、それを少しずつでも見せられたらと思います。」

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朝海ひかるさん

 ●大地震の直後からの稽古開始

 朝海「3月15日から稽古が始まりましたので、14日から秋田に入りました。震災に遭われた方よりもずっと恵まれた環境でした。東京にいるよりも落ち着いて稽古ができました。秋田で、東京では会えないようなすごく地に根付いた人たちと稽古をさせていただいて、あらためて人間の強さを感じたんですね。周りの環境も違うので、いつもどおりとは違うんですが、とにかく集中して稽古に臨むことができました。自分も地に足をつけて生きていきたいなと思いました。」

 三重野「頻繁な余震で稽古を中断することはありましたが、そんなことにはまどわされずに。僕らにできることは舞台を誠実に作ることです。その思いが美術や衣裳、舞台に立ってる人間一人ひとりの中に垣間見みえたらと思って、毎日稽古をしていました。」

 朝海「わらび座は秋田の劇団で、私も杜けあきさんも仙台出身ということで、座組みには東北出身者が多いんです。東北を舞台にした公演が、くしくもこの時期になってしまったということで。でも特にメッセージ性が強い作品というわけではないので、自然に感じていただけたら。観終わった後に、皆さん個人個人で気持ちを感じ取っていただけたらいいなと思います。」

 ●原作との違い・みどころ

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三重野葵さん

 朝海「原作では、主人公のタエ子と小学5年生のタエ子ちゃんは別々に出てくるんですが、舞台では一緒に会話をする場面があります。」

 三重野「映像では自然を絵画であらわしますが、舞台では人間が木になり水になり、花になり小鳥になり。自然を人間が表現することによって、人間が感じる空気感、世界観を出して行く作品になっています。舞台ならではだと思います。」

 朝海「人間の本質というほど堅苦しいものじゃないですけど、『私たち、昔こんなだったな・・・』と感じていただけたら嬉しいです。演じてみてわかるんですけれども、今ではなくなってしまったものがこの作品にはいっぱいあるんです。たとえば家族や兄弟のけんか、家族団らんとか。人間が土とともに人間として生きてきた頃の、普通のことを思い起こさせてくれると思います。」

 三重野「この作品が公開された時代と今とでは意味合いが変わるでしょうし、ご覧になる方も違います。とらえ方は人それぞれですが、人間が自然と切っても切れない関係にあることは、これからも人間が大事にしていきたいテーマだと思います。それを僕たちが受け継いで、次につないでいけたら。」

 ■インタビューの後にゲネプロ(↓舞台写真)を拝見いたしました。原作に沿いつつ舞台ならではの表現がふんだんにあり、特に人間が自然を表現する場面の美しさは格別で、木々の香りや森の湿度を肌で感じるほどでした。タイトルにある“おもひで”が、個々人の記憶としてだけでなく人類の歴史として描かれ、重層的に広がる世界は圧巻です。

omohide_butai_all.JPG

 杜けあきさんは体調が万全ではないということで、インタビューには出席されませんでした。でもゲネプロでは元気な姿で登場されました!杜さんからのメッセージを頂戴しましたので、掲載させていただきます。

 『稽古開始の3日前に私の出身である仙台を含めた広範囲の地域で大震災が起きました。実際に実家の家族は当日の夜遅くに運良くメールが繋がりました。短く「無事」と。それと親戚は三陸海岸に多く、最終的に全員無事と分かったのは秋田の稽古に来て4日たってからでした。
 秋田に入るまでは「こんなことをしていていいのか。稽古をしていいのか。ボランティアとか行って助けるとか…」という気持ちにすごくなりました。ただこのミュージカルにもある東北という大地、自然の尊さに改めて触れ、被災地に何かを届けることが出来ればという思いで、集中できたのかもしれません。
 もちろんスタジオジブリ作品初のミュージカル化に参加できたことは光栄です。東北が舞台の作品で、今回は東京に住む主人公の「お母さん」、山形に住む「ばっちゃ」という二役を演じます。原作よりも深く描かれている「ばっちゃ」もそうですが、東北人の持つ明るさと強さとエネルギーあふれる部分も伝えていければと思います。
 そしてこの度の東日本大震災に被災された方々に、心からお見舞い申し上げます。』(杜けあき)

 【写真左から:朝海ひかるさん&三重野葵さん】
omohide_asami_mieno_yoko.jpg

 朝海さんが幼いころを過ごされた故郷が、この度の震災で大きな被害を受けたそうです。「(故郷の)友達とはあえて連絡をまだとっていません」という朝海さんの言葉に、プロの俳優の覚悟を見たように思いました。どんな時も初日の幕は開く。それを死守しようとする舞台関係者の方々の覚悟に触れ、いま上演されている公演、これから幕を開ける予定にある公演の貴重さに、あらためて気づかされました。皆さん、本当にありがとうございます。

【出演】タエ子:朝海ひかる タエ子の母/山形のばっちゃ (2役):杜けあき トシオ:三重野葵 タエ子の父:渡辺哲 ナナ子:高橋磨美 ヤエ子:碓井涼子 カズオ:平野進一 キヨ子:丸山有子 ナオ:鈴木潤子 トノムラ:椿康寛 シロー:北村嘉基 あべ君:森下彰夫 小タエ [こたえ](小5のタエ子):石丸椎菜 アイコ:中里裕美 トコ:志賀ひかる リエ:奥泉まきは アンサンブル:権田いなほ 神谷あすみ 小林すず 伊藤幸世 ※キャストは変更になることがあります。あらかじめご了承ください。
原作:アニメーション映画「おもひでぽろぽろ」 (脚本・監督/高畑勲 原作/岡本螢・刀根夕子) 台本・作詞:齋藤雅文 演出: 栗山民也 作曲:甲斐正人 振付:田井中智子 美術:松井るみ 照明:勝柴次朗 音響:小寺仁 衣裳:樋口藍 ヘアメイク:鎌田直樹 小道具:平野忍 歌唱指導:山口正義 舞台監督:佐久間勝徳 企画制作:わらび座 協力:スタジオジブリ 東京公演主催:日本テレビ・わらび座・銀河劇場
12月4日(土)発売  全席指定 8,500円(税込)
http://www.warabi.jp/omoide/
インタビュー、ゲネプロ舞台写真:mao

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2011年04月14日

【写真レポート】SPAC「ふじのくに⇔せかい演劇祭2011」記者発表04/05東京日仏学院エスパス・イマージュ

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演劇祭チラシ

 静岡県舞台芸術センター(SPAC、⇒公式ツイッター)は芸術総監督の宮城聰さんのもと、2007年から毎年「Shizuoka春の芸術祭」を開催してきました(⇒昨年の記者発表)。今年から名称を「ふじのくに⇔せかい演劇祭」と一新。約1ヶ月間に世界9ケ国からの11演目が上演されます。⇒Web静新 ⇒SPAC公式ブログ

 作品紹介をはじめ、宮城さんとゲストの野田秀樹さん、タニノクロウさんが語られたことを、なるべくカットせずにまとめたレポートです。長大ですので、気になる情報をお時間のある時にチェックしていただけたらと思います。

 ●SPAC「ふじのくに⇔せかい演劇祭2011」公式サイト
  2010年6/4(土)~7/3(日)    
  ※前売りチケット:4月10日(日) 10:00より発売中!
   ステージ数が少ないですので、ご予約はどうぞお早めに!
  ⇒観劇ツアー無料バスfrom東京(無料・要予約)
  ⇒ダウンロードできる公式パンフレット(PDF)は記事も充実!
   静岡の人気スポットも多数紹介。1泊2日の静岡観劇旅行のおともにぜひ。

■国にとらわれない、固有の文化を持つ地域間交流の時代

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宮城聰さん

 宮城「『Shizuoka春の芸術祭』から名称を変更し、『ふじのくに⇔せかい演劇祭2011』を開催します。“国際(インターナショナル)”という概念はもう過去のもので、“インター”はともかく“ナショナル”、つまり“ネイション(国家)”は19世紀的概念かもしれない。これからは固有の文化を持つ地域間交流の時代です。つまり日本がイギリスと交流するのではなく、日本の中の一つの文化的アイデンティティーを持った地域(=静岡)が、世界中の色んな小さな地域と交流していくのだという気持ちをこめてネーミングしました。
 おおげさな言い方かもしれませんが、“せかい演劇(ワールド・シアター)”という言葉を広げたいと思ったんです。例えば“ワールド・ミュージック”という言葉は、文化的アイデンティティーを持つひとつひとつの音楽を、それぞれに同じ価値を持つものと認めて、上下をつけずに評価するという考え方に基づいています。演劇についてもそういう考え方ができたらいいと思うんです。日本の中の小さなエリアにある色んな固有の演劇表現が、等価値に、世界のさまざまな演劇と交流する。観客はそれら全てを、どっちがメジャーかマイナーかという考え方なしに楽しむ。そんな思いがこめられています。」

 宮城「この3月、まさに震災という驚くべき事態と直面しまして、公立の劇場としていったいどうすべきかと自問いたしました。私のとぼしい経験ですが、パニック的な状況に陥る時ほど、劇場はむしろ日常どおりに公演を行うことが、市民の無用な動揺を避ける役割を果たせる、そんな機能を持てるという例をいくつか見てまいりました。
 2003年4月頭に当時の自分の劇団ク・ナウカはアメリカ・ツアーを予定していたのですが、同年3月20日にアメリカがイラクに侵攻し、いわゆるイラク戦争が開戦しました。その時、公演先のある都市の大学の先生から「戦争をしている時こそ芸術が必要だから来てくれ」と言われて、それが僕にとって決定的な言葉になりました。実際に公演に行くと、戦争している時こそ芸術が必要だという意味がつくづくわかりました。そういう時こそ芸術や劇場の真価が問われるのだなと痛感したのです。」

 宮城「まわりの空気にすべてが左右されるような状況下では、人々の思考が規定されてしまいます。「こういうことやれる空気じゃない」「こんなことすると空気を読めない奴だと思われる」という風に、思考の幅がどんどん狭まります。主体的判断ではなく、周囲の空気に合わせるようにして、みんなで行動するようになる。戦争とは違いますが、いまの日本では多くの方が空気を、周囲を見ているような状況になっています。そんな中で、演劇を観る時間は久しぶりに自分の心で感じたり、静かに自分の頭で考えて物事に向き合う時間になる。このような営みを普段と同じように坦々と進めることが、劇場の使命ではないかと考えました。今回の演劇祭のキャッチコピーは『上を向いて歩こう せかいを感じながら。』です。世界を感じることで、自分の狭まってくる思考を柔軟にできます。今“せかい演劇祭”は必要だと思い、開催を決めました。」


【1】SPAC『真夏の夜の夢』公式ページ↓撮影:日置真光(Hioki masami)
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 ●“詩の復権”とシェイクスピア
 宮城「演劇祭のオープニング演目です。1992年に日生劇場で上演された『野田秀樹の真夏の夜の夢』を、あらたにSPACで『真夏の夜の夢』として上演します。僕は中高一貫の学校に通ってまして、中学1年の秋の文化祭で高校演劇部の芝居を観に行ったんです。別役実さんの作品で、野田秀樹さんは靴磨きの役で出演していました。本当に鮮烈と言うか、僕の場合それでほとんど人生が決まってしまって(笑)。(野田さんの)劇団夢の遊眠社の芝居もすべて観ています。野田さんの戯曲を演出するなんて100年早い。触ってはいけないもののように思っていたんですが、今回、野田作品を初めて演出します。」

 宮城「最近は日常の言葉を使う芝居が多いですが、僕は、舞台上で交わされる言葉は詩であるべきである、つまり“詩の復権”を演出家としてテーマにするようになったんです。フランスのオリビエ・ピィさんの戯曲が僕にとってはそういう戯曲です。日本では唐十郎さんだと思い、2年前に演出させていただきました。唐さんの次の世代で、舞台上の言葉を日常の次元とは違う言葉だと考えて戯曲を書かれているのは、野田さんだと思ったんです。
 また、静岡では演劇専用に作られた劇場はSPACにしかありません。静岡の観客に、演劇とはこういうことだと学んでもらうのが僕らの仕事なので、当然シェイクスピアの作品は1年に1本は上演したいと考えたんですね。年間プログラムの1本としてのシェイクスピア作品、そして日本の劇作家なら野田さんだという僕の思い、この2つの交差点が『真夏の夜の夢』となりました。」

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野田秀樹さん

 野田「私は(宮城さんの)高校の先輩なんですが、芸術監督としては後輩です。芸術監督になった時、宮城さんの(SPACの)ホームページを見て芸術監督の仕事を勉強したんです(笑)。宮城さんは静岡に毎日いらっしゃって、ちゃんと芸術監督をやってる人だと思ってるんで、このお話をいただいた時も是非やってくださいとなりました。
 『野田秀樹の真夏の夜の夢』は19年前の作品で、今とは全然違う作劇をしています。シェイクスピア作品にある“階級”“クラス”といったものは、現代の日本人が瞬間的には理解できないものなので、板前さんの話にしてパっとわかるものに変えました。年齢的なものもあるかもしれませんが、自分が今、祝祭劇を再演する気持ちはなかなかなくて。それをやってくれるのは非常にありがたいです。」

 ●“祝祭音楽劇”の演出プラン
 宮城「演出プランは詩の復権と、もうひとつ。俳優がプレイヤーとして、演技も音楽も同じ比率でやるということです。大げさに聴こえるかもしれませんが、そうすることで世界全体を描くことが可能になる気がするんです。理屈っぽ言い方になりますが、人間は言葉を獲得する前の半分と、言葉を獲得した後の半分とで形成されています。言葉は決して繰り返さないものです。たとえ同じ言葉でも、2回目は1回目に発した言葉と全く違うものになってしまいます。それに対して、言葉を獲得する以前からある呼吸や心臓の鼓動は、必ず繰り返すことを本質に持っている。気持ちいいと感じることは常に繰り返すものなんですよね。たとえばダンスや音楽がそうです。だから繰り返さずに単線で進んでいく言葉と、繰り返す本質を持つ音楽とを両方をやることによって、世界全部を描けるんじゃないかと考えました(笑)。
 また、『夏の夜の夢』は貴族階級、職人階級そして妖精界という、世界の三要素とも呼べる3つを全部いっしょにお盆の上に載せた作品です。シェイクスピア作品の中でもここまで壮大に、世界全体をいきなり描いている作品は珍しいんじゃないでしょうか。きっと言葉と音楽が半々になる演出がぴったりなんじゃないかと思います。」

 ●地上で一番弱い生き物として詩を読んでほしい
 宮城「僕は今、舞台で俳優が詩を発するとはどういことなのかに取り組んでまして、それができるのは、地上で最も弱い者として舞台に立てる俳優じゃないかと思っているんです。詩の言葉は天から降ってきた隕石のようなものであり、俳優の身の丈に合ったものとして出てくるわけではない。隕石のようなすごい言葉と出会ってしまった時、きっと人間の体は穴ぼこになって、赤くなったり、傷ついたり、血が噴き出したり色々するはず。そのような詩が自分の体にぶつかった時にできた、クレーターを見せてほしいと言ってます。そのためには俳優が、言葉の影響を受けられるほどに、自分の中の力を棄てていなければいけない。地上で一番弱い生き物であったなら、降って来た言葉にものすごい影響を受けると思うんです。そのような立ち方をしてくれと俳優に求めているので、通常の意味で演技の技術が上手い俳優は、いないかもしれません。今回は出演者の約4割がオープン・オーディションで選ばれました。」

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 ●世界全体を舞台に表そうという途方もない試み=祝祭劇
 宮城「震災以前から日本は空気を読むことにきゅうきゅうとする社会になっていて、まるで普通の人生が、平均台のように狭くなっています。ちょっと逸脱するだけで、人間という範ちゅうから落伍するのではないかというぐらいに。そういう状況になると人は自分の心で感じず、自分の頭で考えなくなります。世界に対する想像力を失って、自分という瓶の中に入ってしまうことで、日本全体が衰弱していくんじゃないかと危惧していました。
 でも本当に自分にとって貴重なものはこれだと感じられれば、日常こそ貴重な奇跡の瞬間だ、いま生きていること、普段通りの生活こそが素晴らしいと感じられれば、今、日常を失ってしまった人へのシンパシーが生まれて、何かしらの行動も生まれるかもしれない。そのためには、閉じこもるのではなく逆に、なるべく世界に対して感覚を開こうとする方が有効だと思うんです。
 感覚を開くこと自体が、演劇の表現としては祝祭に近いものになると思います。ハッピーエンドのお芝居を祝祭劇と呼ぶわけではなく、自分をとりまくものすべてを、世界全体を舞台上に表現してしまおうという馬鹿げたほど途方もない営みが、結果的に祝祭になるんです。野田さんの「ストーンヘンジ三部作」もそのようなものだったと思います。人々に世界を感じてもらうような劇にしたいです。」


【2】SPAC『天守物語』公式ページ↓撮影:六渡達郎(Rokudo tatsuo)
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 宮城「『天守物語』は先ほどお話しした2003年のアメリカ・ツアーでも上演しました。僕がこれまでに作った芝居の中で、『王女メデイア』と同じぐらい色んな国で上演させていただいています。2006年にある演劇鑑賞会で上演したきりですので、日本での一般公演はずいぶん久しぶりです(⇒2001年レビュー)。今回は野外劇場向けの新たな演出でご覧いただきます。
 1人の役を、語る俳優と動く俳優の2人で演じるという“2人1役”の手法は、僕のかつてのアイデンティティーでした。人間はロゴスとパトスに、すなわち言葉と肉体に、引き裂かれた存在だなとつくづく思っていたんですね。その手法の意味が初めてよくあらわれた作品です。」


【3】SPAC『タカセの夢』公式ページ↓撮影:日置真光(Hioki masami)
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 宮城「カメルーン出身で今は主にパリで活躍している振付家・ダンサーのメルラン・ニヤカムさんを迎えて、昨年の夏に新作ダンス『ユメミルチカラ』を上演しました。出演者はオーディションで選ばれた静岡県内の中高生です。1度で終わらせるのはもったいないと思い、継続的なプロジェクトにしました。今回の『タカセの夢』も出演者10人のうち8人は同じメンバーです(2人は受験勉強のため不参加)。
 ニヤカムさんは現代文明に対して極めて批評的な視点があって、今日の先進国の文明が失ってしまったものが何なのかを、非常に鋭く感じていらっしゃる。ニアカムさんは子供たちが禁じられていることや、本当は持っているはずなのに今日の生活で奪われて、失われつつあるものを、鋭い嗅覚で嗅ぎつけます。そして子供が自ら排除しかかっている本来持っているべきものを指摘し、再び獲得していくことが、作品創作のプロセスになっています。
 カメルーンとパリの二重生活を送る彼の中に蓄積されてきた、現代文明への批判と、本来あるべき人間の美しさを丸ごと込めることができた、希有な作品だと思います。ニアカムさんの創作歴の中でも代表的な作品になったのではないでしょうか。『タカセの夢』の稽古はもう始まってまして、さらに錬度を上げていっています。」


【4】『エクスターズ』公式ページ↓撮影:Pierre Borasci(舞台『苛々する大人の絵本』より)
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 タニノ「宮城さんから『何ヶ月間でもいいから静岡にこもって作品を作る』というお話をいただいた時、僕はそうやって作品を作ることにあこがれていたので、是非にとお受けしました。“どういうことをやるか”ももちろん考えたんですが、“どういう風に作品を作ることになるか”を最初に想像しました。つまり宮城さんからいただいた言葉で言うと、静岡の山の中で、野外劇場で、思う存分、我を忘れるほどに、作品を創作するということ。作品の内容というより、作品づくりに没頭する自分を想像して、我々のチームでやる態度自体が、この『エクスターズ』という題名につながったんです。3月後半から静岡に行ってまして、今も構想の段階です。」
 ※「エクスターズ(Extase)」はフランス語。 英語で言うところの「エクスタシー(忘我、恍惚、法悦)」←公式ブログより

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タニノクロウさん

 宮城「タニノさんにはかねてから、ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバルに出場された時から注目していました。特に僕が驚いたのは『黒いOL』という作品でした。新宿に“ほったてテント”のような巨大な不思議なものを作っていて、今の彼の世代の演劇人の中では例外的に身の丈に合わない、途方もないことをやろうとしていた。たとえば野田秀樹さん、唐十郎さん、かつての鈴木忠志さんもそうですけど、等身大を超えたものを観られるのが、僕が一番最初に演劇に惹かれた理由だったんですね。僕にとっては化け物たちが跳梁跋扈している、バカでかい世界そのものを舞台上に持ち込んでしまうことが祝祭である、神を降ろして来る祭りであると思っているんです。
 祭りとしての演劇があまりに少なくなると、演劇の力を世の中の人が見誤るんじゃないかという一種の危惧もありました。だからタニノさんの作品を観て、こういうバカげたことをやっている人がいたんだと、とっても安心したんです(笑)。ご自分のマンションを改造し、『黒いOL』とは正反対の、ミクロのプレパラートの中をそのまま見せる方向の作品も観て(⇒レビュー ⇒関連記事)、世界で活躍する若手演劇人はこの人だという感覚を持ちました。
 タニノさんにとって一番いい創作の場を用意するとしたら、どういう場なのか。とにかく長期間この人が好き勝手できるように、劇場をそのままポーンと預けてしまうことが一番いいだろう、それが彼にとって一番力が出せる場じゃないかと考えました。野外劇場を3月末から6月頭までずっと自由にお使いいただき、数ヶ月かけて作ったものをお客さんに見せてもらう。僕が一番楽しみにできるシチュエーションを用意させていただきました。」

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 ●静岡で“せかい演劇祭”をやる意味
 宮城「町中にアーティストがうろちょろしていて、歩いてると変わった人とすれ違うような環境を、1ヶ月でも1週間でも作りたい。少なくとも地方においては珍しいことですから。実際、日本の芸術家の大半が地方に住んでいないので、色んな人がいるのは東京だけです。今、特に地方は“普通の人生”の幅が狭くて、束縛が強い。そこからはずれると落伍者になるような感じなので、若い人たちは失敗しないように周りを見ながら生きています。そんな中でアーティストという人生もあるんだという実例を見せて、「こんな人がいるんだ、これでも生きていられるんだ」と実感してもらえたら。コルクで栓をされた瓶の中の人生において、コルクを取るような効果があるのではないか。だからこういう(演劇祭の)時間をつくることが大事だと思っています。」


【5】『椿姫―何日君再来』公式ページ↓撮影:Liu Chen-Hsiang(C)National Chiang Kai-Shek Cultural Center,R.O.C.
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 宮城「鈴木忠志さんが昨年、台湾で創作した最新作です。デュマ・フィス作『椿姫』を“流行音楽悲恋歌劇”という、流行歌をちりばめたミュージカルに作り変えました。日本初演となります。出演するのはオーディションで選ばれた台湾の俳優です。鈴木さんは今、アジアのどこへ行っても“アジアを代表する巨匠”として熱狂的に迎えられています。特に演出依頼が引きも切らないそうです。
 『椿姫』はヴェルディのオペラが原作以上に有名ですが、鈴木さんはそこに現代人の心の病の原点を見つけていきます。鈴木さんはどんな古典をやる時でも『私は世界をこう見る』という視点を演出に組み込まれる方。この物語が今もなお生き伸びているのは、それを必要とする人がいるからだ、では一体どういう精神状態の人が必要としているのか・・・といった分析も含め、世界の中の台湾という場所にある問題点をえぐるような形で上演されます。鈴木さんの現代に対する切り込みが、そのまま演出に表れてくるのが特徴です。
 上演中は台湾のインターネット上で“椿姫事件”と呼ばれるほどに白熱し、大評判を呼んだそうです。台湾の俳優は歌唱力も素晴らしいです。」


【6】『ウェルカム・トゥ・ノーウェア』 ★公演中止 無料上映会あり!⇒公式ページ↓撮影:Jon Weiss
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 宮城「テンポラリー・ディストーションという劇団をひきいるケネス・コリンズさんは、ニューヨークを拠点に活動する最先端の演劇人の一人です。若手演出家ですが、海外で非常に話題になり始めている方です。
 この作品では、俳優たちは直立不動でマイクを持って正面に向かってしゃべります。俳優同士が視線を交わすことはありません。舞台上部ではこの作品のために作られた映画が上映され、その下で登場人物のセリフが語られます。映画の中では役と役がかかわりを持つんですが、生身の俳優は何のコンタクトもせず、ただ棒立ちで観客に向かって、マイクを通してセリフを言い続けるのです。今日の人間の孤立ないしは、人生がひとつの箱の中で始まり、他者と何のかかわりもなく終わっていく感覚を見事に形にしています。孤独を、心の孤立感をこれほど切実に表現できている演劇は他にはない、そういう評価を得ている作品です。」
 ※東日本大震災の影響によるアメリカ合衆国政府からの渡航自粛勧告を受け、カンパニーが来日を断念。チケットの払い戻しについてはこちらをご確認ください。
 ※『ウェルカム・トゥ・ノーウェア』上映会決定!入場無料・要予約。
  日時:6月11日(土)13時30分&6月12日(日)18時


【7】『この凶暴な闇』 ★演目変更し『ヘンリー五世』を上演予定だったが(⇒ニュース)、ピーター・ブルック演出『WHY WHY』をに公演変更。(⇒ニュース、⇒記事
 ⇒『この凶暴な闇』公式ページ↓撮影:Gianluigi Di Napoli
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 宮城「演出のピッポ・デルボーノさんは、海外のどの演劇祭でも必ず出ているようなスターで、ニアカムさんと同じく2007年のShizuoka春の芸術祭で始めて招聘しました。彼はイタリアでエリートコースと言っていいぐらいの演劇人の道を歩んでいたのですが、HIVポジティブなんです。死と直面し打ちひしがれ、創作活動が不可能なほどに痩せて歩くこともできなくなった、そんな時期に、アルコール中毒者や障害をもつ人、自閉症の人たちと演劇のワークショップを行いました。そこでやっと、この先も生きていけるという希望を見い出したそうです。ピッポさんの劇団のメンバーは、その時のワークショップの参加者なんですね。
 劇団はほとんど毎日のように旅をして、世界中の演劇祭をまわっています。劇団の存在そのものが奇跡と言っていい人たちです。この世界で、最も弱い者の場所に立つということを、表現者として本当にやれている数少ない人だと思います。『この凶暴な闇』は、ピッポさんにとって最も近い問題だったと思われるエイズを扱った作品です。」
 ★おとな向け:刺激の強い表現がありますので、若年者の観劇はおすすめしません。


【8】『時の商人』 ★公演中止 無料上映パフォーマンスあり!⇒公式ページ↓撮影:Elisabeth Carecchio
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 宮城「フランスである意味最も注目されているジョエル・ポムラさんの作品で、フランスの新聞ル・モンドの、芸能面や文化面じゃなく一面で論じられた、センセーショナルな衝撃を与えた舞台です。フランスのオデオン座の芸術監督であるオリビエ・ピィさんがポムラさんを非常に高く評価していて、オデオン座のアソシエイト・アーティストになっています。ピィさんによると、ポムラさんは現代で最も重要な詩人だそうです。
 美しい舞台美術の中で俳優たちが無言で演じます。その横で、声だけが一人称のモノローグの形で与えられていく。俳優のセリフとして語られるモノローグと、舞台上でだんまりで上演されている内容は、重なったりずれたりを繰り返します。言葉の意味と、目に見えているものとの重なりやズレが、観客の想像力を刺激していくんですね。
 作品には、仕事を失うというか、仕事に就くことさえできない人たちが出てきます。今日の日本がはからずも直面した危機が、実は世界中で共有されている危機なんだと感じさせるお芝居だと思います。」
 ※東日本大震災およびその影響によりカンパニーの来日が困難となり公演中止。チケットの払い戻しについてはこちらをご確認ください。


【9】『インド古典舞踊劇・ナンギャール・クートゥー』2演目 ⇒公式ページ↓撮影:P.V.Jayan_ 写真提供:Natanakairari
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 宮城「カピラ・ヴェヌさんをまたお呼びすることになりました。2006年に僕の昔の劇団ク・ナウカのパリ公演があり、カピラさんも僕らと同じクロード・レヴィ=ストロース劇場に出演されていたんです。若くて小柄な演者が舞台に立った途端、地面の中に何十メートルも根を生やす木のように見えた。驚くべき力量の持ち主だと思いました。終演後に会って話してみたら、彼女の師匠は彼女自身の父親と、舞踏家の田中泯さんだとおっしゃって、また驚かされました。田中さんのもとで彼女は舞踏をやっています。1000年以上続くインドの古典劇をやりながら、現代の最先端の芸術にもアンテナを張ってらいらっしゃるんですね。
 僕は自分が演出をする時に、カピラさんだったらこの役をどうやるかな、としばしば参照するんです。少々年齢は違いますが、僕は彼女のことを舞台芸術界という同じ土俵の上にいる、一種のライバルだと思っています。」


【10】『シモン・ボリバル、夢の断片』 【公演内容の変更】公式ページ↓撮影:Josep Aznar
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 宮城「オマール・ボラスさんの作品は、1999年の第2回シアター・オリンピックスが静岡で開かれた時に初めて観ました。巨匠たちが居並ぶ中にいた、若いコロンビア生まれの演出家です。事前の期待値は小さかったのですが、見終わった時、「この人には負けたくない」「この先、この人と張り合ってやっていこう」と確信するぐらい、自分にとって大きな出会いでした。
 ボラスさんの家庭は裕福ではなく、コロンビアでは演劇や俳優をやれる環境を得られませんでした。20歳のころ、着の身着のままで密入国さながらにパリに入り、路上で人形劇をやったりして小金を稼ぎながらの生活を始めます。やがて劇場の裏口を出入りする人たちと仲良くなって、天井桟敷で毎日ピナ・バウシュの舞台を観たりしていたんですね。ある日ピナが「あのコ、毎日あそこにいるわね、ちょっと呼んできなさい」ってことになり(笑)、なんとピナのツアーに同行することに・・・本当にあるんですね、こんな話!
 彼は今スイスで活動しています。廃屋に住んでいる浮浪者たちと芝居を作ったことなどが認められて助成金を得たりして、ジュネーブで今日の地位を築きました。演劇が人を変え、街を変えていく。そんなことを地でやっていく人です。演劇が彼の人生そのものと言っていいでしょう。その人が30年振りにコロンビアに帰って、プロになって初めて故国で作った芝居が『シモン・ボリバル、夢の断片』です。シモン・ボリバルとは南米の5カ国を独立させた革命家で、詩人でもありました。非常に大きな影響を与えた歴史的人物ですが、部下や身内の裏切りが相次ぎ、わずか47歳で暗殺されてしまいます。ボラスさんご自身がシモンの役を演じます。」
 ※東日本大震災およびその影響によりコロンビア人ミュージシャンの来日が中止、作品の構成を変更せざるを得ない状況になりました。演出・主演のオマール・ポラスは「俳優一人、椅子一つ、ロウソク一本だけでも芝居は続けうることを示したい。」と上演の意志を表明しています。詳細は決定次第、SPACの本ホームページで発表いたします。
 なお、作品構成の変更により、観劇のキャンセルをご希望される方は、チケットの払い戻しに対応させていただきます。こちらをご確認ください。


【11】『ヒロシマ・モナムール』公式ページ↓撮影:Mario Del Curio
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 宮城「『ヒロシマ・モナムール』は作家のマルグリット・デュラスさんが映画のシナリオとして書いたものです。『24時間の情事』というタイトルで映画化されました。映画のシナリオから舞台に立ちあげた作品です。演出家はクリスティーヌ・ルタイユールさんという女性。デュラスさんも女性。主演もヴァレリー・ラングさんという女性です。この3人のフランス人女性が特別の思い入れを持って作った作品と言えるでしょう。広島でフランス人女優と日本人建築家が出会い、たった24時間しかない中、深く愛し合うお話です。招聘したいと思ったのはもちろん今の状況を知る前ですが、今の我々の状況の中で、格段の深い意味を持つ作品になっていると思います。」
 ★おとな向け:刺激の強い表現がありますので、若年者の観劇はおすすめしません。


 ■大震災のもとで
 宮城「劇場は市民の精神の文鎮みたいなものかなと思っています。極端から極端へと人々の心や判断が動いてしまいがちな時こそ、文鎮として、いつもと同じように重しとしてあることが大事なんじゃないか。ちょうど『グリム童話』のゲネプロの時に地震があったんですが、そんな気持ちで上演を決行しました。」

 野田「地震の時は多摩美の入試でちょうど実技試験をやっていました。『南へ』という作品を上演中だったので、すぐ劇場に向かい18時30分ぐらいには着きましたけど、開演しなくちゃいけないという気持ちしかなかったですね。上演をしないという選択肢は自分の中になかった。でも劇場が都の施設なので、東京都の判断により数日間やらないことになって。
 私はあまり複雑なことは考えてなくて。自分たちは芝居をやる人間なので芝居をやる。それはどんな時代も変わらないんじゃないかと。罹災地の皆さんとは全然違う話だと、単純に考えています。僕は芝居をやる人間なので芝居をやる、と。
 あとは停電の問題が出てきたので、そこは劇場のエゴにならないようにしないと。おそらくこれから日本のお芝居への世間的な風当たりが強くなるんじゃないか。でも“自粛”とかは良くないよね。自粛すべき場所に居ないのに、そういうことをやってしまうことの方が問題かもしれない。」

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野田さん、宮城さん、タニノさん

 宮城「空気で行動してしまうのが良くないと思います。「何か出来ることはないのか」と瞬間的に思うのは確かなんですけど、「何かしないとまずいんじゃないか」となってしまうと主体的な考えじゃない。演劇人や芸術家が直接世の中の役に立とうと思うと、心の底からの表現とは違った、妙に実効性のあるものに手を出してしまう。一人ひとりがもの作りの原点に立ち返れば、周りに合わせたり空気を読んだりするはずがないのに、周囲を見るうちにいつの間にか「なにかしなきゃいけない」「今、これをやれば役に立てるんじゃないか」といった表面的な判断に至り、過ちと言っていいような行動を起こしてしまう。戦前の日本の演劇人がファシズムに大いに加担してしまったのも、そのせいかもしれないと思うんです。
 そういう時に劇場は、普段当たり前だった日常こそが、実は奇跡的な瞬間の集まりだったんだと、もう一度思い出してもらう場所になれればいい。観客が日常って素晴らしいんだと思えれば、被災して劇場に行けない、日常を取り返すことが大変になっている人たちへのシンパシーが生まれてくるのではないでしょうか。」

 野田「『南へ』は数ステージ休演して15日から公演を再開しました。15日からの1週間は、毎日芝居の持っている言葉の意味が違って聞こえた。15日は特に、それまでに上演していた芝居とはおよそ違った音として、観客がひとつずつの単語を違った意味で受け取っているようでした。震災という環境で、言葉はこんなに変わり、我々が作った空想の世界が、現実によってこんなに違って見えてしまうのだなと。
 19日までは空席もありました。たとえは悪いかもしれないけれど、戦時下で芝居をするとしたら、およそこういう緊張感や集中力があり、そして言葉のひとつずつをポジティブに、前向きにとらえようとしてくれるお客さんがいるんだなと。それが舞台上から自分が得た感覚でした。でも20日を過ぎたあたりから、もとのお客さんに少しずつ戻っていった。もちろん日常に戻っていくのはいいことなんだけれど、このお客さんたちはたった1週間前のことを、もうそろそろ忘はじめているのかもしれない。平穏に戻ることを望みながらも、そんな違う気持ちがありました。おそらく表現者としての感覚だと思います。
 自分は少なくとも「がんばろう日本」だけでは済まないと思っているんですね。がんばってなんとかなるんだったら、がんばればいい。でもこういうものは、がんばっただけで立ち直れるものじゃなかったりする。たとえば失ったものに対してとか。そういうところを表現者がどういう風に見て、感じて、どういう風に表現するのか。芸術家にとって、今ほど、作るものが自ずと影響を受けている時期はないような気がします。表現者としてあなたはどういう者ですかと、資質を問われると思う。」

 タニノ「野田さん、宮城さんのお話を聞いていて考えたですが、僕はずいぶんとちっぽけな人間なものですから、割と変わらないんですよ。普段からいつだって世界中で色んな大変なこと起こってますよね。だからあまり大きくはとらえていません。今後どうなるかも全くわからないですし、きっとまた変わっていくと思います。震災の当事者として自分は、現時点で何かを喪失したわけではありません。僕は演劇を作っているんですから、ひとつの出来事として考えなきゃいけないだろうと思っています。」


SPAC「ふじのくに⇔せかい演劇祭2011」
チケット:一般大人4,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円 ※SPACの会特典のほか、ゆうゆう割引、早期購入割引、みるみる割引、ペア/グループ割引などの割引料金があります。
http://www.spac.or.jp/11_fujinokuni/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:05 | TrackBack

2011年04月06日

【情報】4月10日(日)は大切なイベントがたくさんあります

 4月10日(日)に大事な行事が集中しました。まず選挙の投票に行こうと思います。そして午後はデモに参加。おっと午前中は、ままごと「わが星」の特別LIVE「□□□05『わが星』」のチケットを買わなきゃね!

 ●ままごとと□□□(クチロロ)の特別LIVEのチケット発売!公式サイト

 岸田國士戯曲賞受賞作であるままごと『わが星』が再演されます。公演期間中にたった1回だけ上演される□□□05『わが星』[4月23日(土) 18:00開演]。必見です。
 ⇒□□□公式サイト内詳細ページ
 ⇒インターネット予約(事前登録必要)


 以下は私個人の政治的主張を含む情報です。ご興味のある方は続きをどうぞ。
 ※情報追加しました。明日の東京都知事選挙の参考になれば幸いです。高円寺のデモに参加します(2011/04/09加筆)。

 ●東京都知事選挙 ⇒公式サイト
 (朝7時から夜8時まで)

 私は東京都民です。原発に反対します。
 脱原発を公約に掲げ、具体的な政策も発表しているのは小池あきらさん(公式サイトツイッター)だけのようですね。
 ⇒webDICE『東京都知事選候補者に聞きました。「原発」「青少年健全育成条例」「医療用大麻」「家賃の更新料」「築地移転」』※アクセスしづらい場合はコピーでどうぞ。
 ⇒webDICE『さらに「原発」について聞きました あなたの意見にマッチするのは誰』(2011/04/09追加)
 ⇒MIAU『都知事候補者に情報通信政策やネット・アニメ・漫画規制に対するスタンスを問うアンケート
 ⇒DJ HIROKING「クラブの深夜営業に関する、都知事候補者への公開質問状」(2011/04/09追加) ※未回答:石原慎太郎氏、谷山ゆうじろう氏、姫路けんじ氏、雄上統氏、杉田健氏
 ⇒BLOGOS「東京都知事選特集2011」(2011/04/09追加)
 ⇒石原都知事の同性愛者差別発言に抗議する有志の会「性的少数者(性的マイノリティ)の人権に関するアンケート
 ※石原慎太郎氏、小池あきら氏、東国原英夫氏、わたなべ美樹氏への質問。小池あきら氏から回答あり(2011/04/09追加)。

 ⇒石原慎太郎の失言・問題発言集
 ⇒石原慎太郎暴言失言集(twitter)
 ⇒石原慎太郎氏は福島県知事と会談し「私は原発推進論者です、今でも」と報道陣に発言(3/25)。
 ⇒石原慎太郎の原発礼賛発言集(2011/04/09追加)
 ⇒しんぶん赤旗『石原都知事 原発で暴言数々「東京湾につくってもいい」「訳の分からぬ連中が反対」』(2011/04/09追加)
 ⇒朝日新聞『「石原都知事が核武装論」英紙報道 「中国に対抗」』(2011/04/09追加)

 ※石原慎太郎氏優勢との報道がなされているようですが、知事選に関しては「有効投票の総数の四分の一以上の得票」がないと当選にはなりません。再選挙となります。アンチ石原慎太郎氏の有権者は、他の誰かに投票するだけでも意味があります。棄権、白票では効果はありません。

 ●「高円寺・原発やめろデモ!!!!!!」 ⇒公式サイト
 (14・00に高円寺中央公園[駅南口徒歩1分]に集合)

 3月27日にドイツ国内数か所で行われた「原発反対」デモには、20万人以上が参加したそうです。台湾でもタイでも反原発デモがあり、日本では渋谷、銀座、京都でデモが行われました。個人的に“デモ”は苦手なのですが、4月10日の高円寺のデモには参加します。人数で示さなければいけないからです。

 ・4月9・10・11日に愛知県名古屋市久屋大通公園で、アースデイ ジャパン『東日本復興チャリティーマーケット「すべての命の祭り」』があります。高円寺デモと同じ日に、名古屋でもデモが行われるようです。


 ●「仮住まいの輪」説明会 ⇒公式サイト
 (14:00~15:30@ファイナンシャルアカデミー飯田橋C1教室)

 「仮り住まいの輪」とは、震災を乗り越え次の一歩を踏み出したいと願う方と、それを支援したいと思う方の思いの輪がつながる、住まい探し/住まい提供のプラットフォーム(公式サイトより)。阪神・淡路大震災の経験者でもある友人が関わっています。提供物件がどんどん増えています。

 ⇒「仮り住まいの輪」説明会応募フォーム
 ⇒「仮住まいの輪」公式ツイッター


※正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 18:19 | TrackBack