REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2011年06月24日

オフィスコットーネプロデュース『12人~奇跡の物語~』06/19-26 Space早稲田

 レジナルド・ローズ作『12人の怒れる男』(⇒Wikipedia)の設定を現代日本に置き換えて上演。脚色・翻訳・演出は小川絵梨子さんです。小川さんはこの作品で第三回小田島雄志・翻訳戯曲賞を受賞されました。

 とても有名な法廷劇ですので私も数回観たことがあるのですが、ストーリーを知っていても引き込まれました。手堅い演出と演技で、「面白かった」と満足できたストレート・プレイでした。演劇初心者にも、戯曲初見の人にもお薦めです。

 上演時間は約1時間55分。前売りは完売。当日券は回によってキャンセル待ちのみだったりも。

 ⇒CoRich舞台芸術!『12人~奇跡の物語~

 12人の人物が会議机をぐるりと囲んで激論します。対面客席ですが「人物の顔が見えない」などのストレスは全くなし。おそらく役者さんがうまい具合に動き回って、どの席からも全員の顔、体が見えるように演出されているのだと思います。

 ここからネタバレします。

 時間の経過をあらわす照明の変化も良かったですね。夕方になってから机の上の電灯が点くとか。稲光も、これみよがしでないのがいいなと思いました。

 当日パンフレットでプロデューサーの綿貫凜さんが引用されているセリフです。
 11番「わたしたちは当たり前ですが、やっぱりお互い違う人間で、違う人生があって、違う意見がある。でも、私は、『違う』ということを、恐れるのだけは辞めようと思います。みなさんの意見を聞いて、話し合いをして、出来る限りの公正な判断を下したいと思います。」

 日下部そうさん演じるサラリーマン風の若者は、恐ろしいほど一方的に被告の青年を殺人犯扱い。「ああいう人間はダメだ」と断じるキレっぷりが激しくて、いい意味で可笑しかったです。

Space早稲田演劇フェスティバル2011
「12人 ~奇跡の物語~」 TWELVE ANGRY MEN by Reginald Rose    
出演:寺十吾(8番・最初から被告の無実を主張) 絹川友梨(1番・陪審員長) 末次美沙緒(4番・冷静沈着・眼鏡) 中原和宏(3番・息子がひきこもり) 日下部そう(10番・レイシスト) 小林麻子(12番・気が弱い・移り気) 伊藤弘子(2番・優しい息子が家で待ってる主婦) 福井利之(7番・同窓会に行きたい) 高橋卓爾(9番・足が不自由な若者) 加地竜也(5番・父親を憎んでいたことがある) 柳内佑介(11番・「違うということを恐れることを辞めようと思う」) 小出奈央(6番・9番に優しく接する)
原作:レジナルド・ローズ作『12人の怒れる男』 脚色・翻訳・演出:小川絵梨子 プロデューサー:綿貫凜 美術:長田佳代子 照明:原田保(CAT) 音響:齋藤州一(nanoline) 舞台監督:深瀬元喜 青木規雄 演出助手:今和泉恵美子 ドラマトゥルグ:宮島志乃ぶ・武村祥成 宣伝美術:宇野奈津子 パンフデザイン:小早川真澄 企画・製作:(有)オフィス・コットーネ 舞台協力:クリエイティブ・アート・スィンク
【発売日】2011/05/12 全席自由(整理番号付き) 前売・当日共:3.500円
http://www5d.biglobe.ne.jp/~cottone/12/top.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガも発行しております。

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ
Posted by shinobu at 2011年06月24日 00:10 | TrackBack (0)