キリンバズウカは登米裕一さんが作・演出・主宰されるプロデュース・ユニットです。年に1回の演劇公演を行っています。東京での第1回公演から、小劇場界で注目の役者さんが多数出演することにも注目が集まっていましたが、今では“小劇場”の枠に収まらなくなったようです。
第1回、第2回は私は苦手なタイプの作風だったのですが、演劇ジャーナリストの徳永京子さんのツイート(⇒1、2、3、4)も後押しになり、急遽伺いました。スタッフワークも含め質の高い群像劇で、とても面白かったです。
アルテリオ小劇場は奥行きも高さもあっていい劇場ですね~。観に行く度に快適で嬉しくなります。
⇒CoRich舞台芸術!『マッチ・アップ・ポンプ』
≪あらすじ≫ 少しネタバレあり。
田舎の夏。父(深貝大輔)と2人暮らしのミズキ(田中こなつ)は2浪中でさえない毎日。母は10年前に男を作って出て行った。兄(平田裕一郎)は父と大げんかして数年前に消えた。あの日に山火事があって以来、町では毎年、避難訓練が行われている。
≪ここまで≫
悪意満面なのにのどかなムード。際どいストーリーだけどちゃんとエンタメになっていて、質の高い群像劇だと思いました。語り過ぎないセリフがとても良いですね。演技と演出でしっかりその間(ま)を埋めてくれるので、会話の根拠となる感情がちゃんと伝わってきます。でも説明しすぎないから余白が多く、引き込まれるし想像を広げられます。
劇場の高さを生かしたどっしりとした美術は、具象と抽象のバランスが演劇的で、色んな効果がありました。身体表現でも見せるすばやい転換も良かったですね。照明は派手すぎず地味すぎず。上手に抑える感覚(センス)で、広く一般に受け入れられそうな品質を達成してるんじゃないかしら。登米さんの作品はもっと大きな劇場でも上演できるのかも。
商工会(だっけ?)につとめる2人(日栄洋祐と渡邉とかげ)が面白かったな~。
ここからネタバレします。
父親と仲が良すぎる家庭教師(根岸絵美)に対して、ミズキが返す言葉と態度が意地悪すぎ!(笑) 始まってすぐに入り込めました。登米さんは悪意をよくわかっている作家さんだと思いました。
『マッチ・アップ・ポンプ』ダイジェスト映像↓ 多少のネタバレあり。
キリンバズウカ vol.8
出演:日栄洋祐 渡邉とかげ(クロムモリブデン) 根岸絵美(ひょっとこ乱舞) 平田裕一郎 田中こなつ 金丸慎太郎(贅沢な妥協策) 小笠原結(劇団兄貴の子供) 内田周作 深貝大輔 牧野エミ(愛情出演)
脚本・演出:登米裕一 舞台監督:佐藤恵 舞台美術:青木拓也 照明:吉村愛子 (Fantasista?ish) 音響:星野大輔 音楽製作:碇英記 宣伝美術:OnP 宣伝写真撮影:石澤知絵子 宣伝用メイク:earch 西村裕司 安藤徹哉 衣装:飯田裕幸 演出助手:小林義典(クロムモリブデン)、山口千晴 制作:安井和恵(クロムモリブデン) プロデューサー:福岡佑美子 主催:キリンバズウカ、川崎市アートセンター 後援:「しんゆり・芸術のまちづくり」フォーラム
【休演日】8月8日(月)【発売日】2011/07/01
[前売]一般3,200円、シニア(60歳以上)2,700円、高校生以下 2,000円 [当日]一般3,500円、シニア(60歳以上)3,000円、高校生以下 2,300円
※シルバー・高校生以下チケットは川崎市アートセンターのみで取り扱い。ご来場の際、学生証、年齢確認のできるものをご提示ください。
※未就学のお子様のご入場はご遠慮ください。
http://kirinba.seesaa.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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