現代美術作家の杉本博司さんが構成・演出・美術・映像を手がける、斬新な文楽公演。東日本大震災の影響で中止になった3月公演が8月に復活しました。3月公演はまたたく間に完売だったのですが、お盆ということもあってか、ぎりぎりまで空席はあったようです。
文楽は全くの門外漢ですが、詳しい方からお勧めいただいたので初日に拝見しました。上演時間は約2時間半だったかと(途中休憩20分を含む)。
セレブな客層!ロビーでお客様のお洋服を眺めるだけでも楽しかったです。杉本さんについて知ることができたのも良かった。写真が億単位の価格で売れるアーティストなんですね。
かっこいいチラシ↓
⇒CoRich舞台芸術!『杉本文楽 曾根崎心中』
真っ暗闇に人形が浮かび上がるスタイリッシュな演出。人形浄瑠璃「曾根崎心中」をすでにご存知の方向けな気がしました。まず字幕がないです。終始「死」に焦点が当たり続けるのはどうなのかな~。
義太夫の声がとても良かったです。特に「天満屋の段」が素晴らしかった!
私は1階席後方だったのもあり、人形の表情や衣装の詳細が見えなかったのは残念。見えた人と見えなかった人とでは感想に大きな差が出ると思います。
劇場内が真っ暗なので、遅れ客の方々はなかなか客席まで誘導してもらえなかったようです。そういった点でもチャレンジングな公演ですね。古典芸能に新しい風が吹き込むことは大切なことだとも思います。
ここからネタバレします。
映像もCGも使ってて驚きました。やっぱり文楽の人形は美しいですね。
「最後の道行が普段なら20分ぐらいのところ、40分ぐらいになっていた」と詳しい方がおっしゃっていました。たしかに長過ぎの感あり。
心中ものなので、最初から主役が死ぬことはわかっていますよね。だから「死にそうにない2人が死ぬ」という展開の方が引き込まれたんじゃないかと。素人考えですが、一演劇ファンの感想ということで。
人形浄瑠璃文楽『杉本文楽 木偶坊 入情(でくのぼういりなさけ)曾根崎心中付り(つけたり)観音廻り』 略称:『杉本文楽 曾根崎心中』
【出演】※「丈」は右上に「、」あり。
プロローグ:鶴澤清治 鶴沢清志郎(胡弓)
観音廻り(山村若振付):豊竹咲甫大夫 鶴澤藤蔵 鶴澤清馗 鶴澤清丈 【人形役割】天満屋お初:桐竹勘十郎
生玉社の段:竹本津駒大夫 鶴沢清志郎 【人形役割】平野屋徳兵衛:吉田蓑助 長蔵:桐竹紋臣 天満屋お初:桐竹勘十郎 油屋九平次:吉田幸助
天満屋の段:切 豊竹嶋大夫 鶴澤清治 【人形役割】田舎の客:吉田蓑紫郎 遊女:吉田清五郎 遊女:吉田勘一 亭主:吉田蓑一郎 下女:吉田蓑二郎 町の衆:大ぜい 見物人:大ぜい
徳兵衛おはつ道行:竹本文字久大夫 豊竹呂勢大夫 豊竹咲甫大夫 豊竹靖大夫 鶴澤清介 鶴澤藤蔵 鶴澤清志郎 鶴澤清馗 鶴澤清丈
望月太明蔵社中
原作:近松門左衛門『曾根崎心中付り観音廻り』(岩波書店『新日本古典文學大系』より改訂) 構成・演出・美術・映像:杉本博司 作曲・演出:鶴澤清治 振付:山村若 映像:岸本康 宣伝美術:下田理恵 宣伝美術画:山口晃 サウンドクリエイト:尾形真一郎 上演台本監修:神津武男 特別協力:福本潮子
SS席 12,000円 S席 9,000円 A席 6,000円 B席 3,000円 イス付立見席 2,000円
http://www.kaat.jp/pf/sonezaki2.html
http://sugimoto-bunraku.com
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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