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2011年09月04日

神奈川芸術劇場『ブロードウェイ・ミュージカル 亜門版「太平洋序曲」』06/17-07/03神奈川芸術劇場ホール

 トニー賞にもノミネートされた宮本亜門さん演出のブロードウェイ・ミュージカル『太平洋序曲』(オリジナルは1976年ブロードウェイ初演)。日本版の初演も再演も見逃していたので、神奈川芸術劇場で上演されてとてもありがたかったです。

 日本人キャスト・スタッフによる上演にこれほど意味があるとは。最後の曲「NEXT」には鳥肌が立ちました。

 ⇒「ミュージカル『太平洋序曲』が力強く歌いあげる明日(「NEXT」)への決意」(PJ: 石川 雅之)
 ⇒シネマトゥデイ『山本太郎「事務所、辞めました!これ以上迷惑かけられない」福島の子どもたちのため覚悟の決意表明
 ⇒CoRich舞台芸術!『ブロードウェイ・ミュージカル 亜門版「太平洋序曲」

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
 2004年11月、"ブロードウェイ史上初の東洋人演出家"として、ブロードウェイ・デビューを果たした宮本亜門。そのデビュー作となった『太平洋序曲』が、ここカナガワで、パワフルに上演!

 日本があらたな扉を開いた時・・・・
 舞台は江戸時代末期。 江戸時代という太平の世もその姿を変えようとしていた。ある日、ジョン万次郎という若者が外国から入国した鎖国破りの罪で捕らえられた。 万次郎は、取調べの際、「アメリカが開国を迫りに日本へやってくる」という噂があることを、老中達に伝える。老中達は驚き、浦賀奉行所の与力香山弥左衛門を呼び出す。香山は目付役に昇進するが、それと引き換えに、アメリカがやってきた時の交渉を全て任せられたのだった。万次郎の言っていたとおり、黒船が浦賀にやって来た。浦賀の町は、大混乱となっていた。香山はアメリカ帰りの万次郎の助けを借り、「開国できない」と必死に交渉する。が、将軍がアメリカ大統領からの手紙を受け取る儀式を行うまでに、たった6日間の猶予しかもらえない。儀式を行わなければ、攻撃を受けることとなる。香山と万次郎は、この非常事態を奇策によって解決し、鎖国が守られたかに見えたが・・・。アメリカに続いて、イギリス、オランダ、ロシア、そしてフランスがやってきた。武力をちらつかせながらの交渉に折れ、ついに通商条約を結び、日本は鎖国政策を捨てざるをえなくなった。香山は、浦賀奉行として、外国人との接触が多くなって行った。その中で、否応無しに西洋文化に傾倒して行かなければならなくなっていた。これに対し、アメリカの文化、広くは西洋文化を理解していたはずの万次郎は、開国した日本の中で、日本文化の在り方を見つめなおしていたのである。数年が経ち、香山は思いもかけない場所で、万次郎と再会するが・・・ 事態は思わぬ方向へと向かってしまうのだった。
 ≪ここまで≫ 

 白木の鳥居がある装置。それだけでインパクトがありました。その上、客席中央の最後方から舞台に向かってまっすぐ花道が伸びているとは!また、それが舞台までは届いていないのがかっこいい!

 前半は少々退屈してしまったんですが(役者さんが歌が下手だったりして)、休憩をはさんで後半が始まった途端、グっと入り込めました。

 ここからネタバレします。

 後半に入ってすぐに始まったのが、アメリカ人やイギリス人が日本にやってきて開国を強引に迫る場面。これがすっごく面白かった!外国人役の衣裳・ヘアメイクが化け物のようで、日本人から見た彼らの風貌をよく表していました。これも日本人ならではの演出ですよね。

 江戸時代から明治に入り、日本は西洋諸国を模範とする近代国家となっていきます。そして戦争へと突入。黒船来航時の激震をじっくり描いておきながら、明治から平成まではあっという間。役者さんは着物を脱ぎ捨てて黒いシャツに黒いズボンの現代服になり、装置にはデジタルの数字が映写されます。東日本大震災と福島第一原発事故をセリフに加えたのにもうなづけました。

神奈川芸術劇場オープニングラインナップ 
出演:八嶋智人 山本太郎 佐山陽規 畠中洋 戸井勝海 園岡新太郎 岡田正 石鍋多加史 原田優一  富岡晃一郎 石井一彰 さけもとあきら 岡田誠 麻乃佳世 小此木麻里 森加織 田川可奈美 田山涼成 桂米團治
作詞・作曲:スティーヴン・ソンドハイム 台本:ジョン・ワイドマン 演出・振付:宮本亜門 翻訳・訳詩:橋本邦彦 音楽監督・編曲:山下康介 美術:松井るみ 衣裳:ワダエミ 照明:小川幾雄 音響:松本哲志 振付:麻咲梨乃 歌唱指導:楊淑美 稽古ピアノ:種村久美子 演出助手:河合範子 殺陣指導:井上謙一郎 狂言指導:高澤祐介 和太鼓指導:兒玉文朋 和楽器集団 鳳雛 琴指導:柿木原こう 三味線指導:奥田かんな プロダクションマネージャー:安田武司 舞台監督:山本園子 プロデューサー:福島成人 毛利美咲 主催:KAAT神奈川芸術劇場 朝日新聞社 フジテレビジョン FMヨコハマ 制作:株式会社パルコ 製作:KAAT神奈川芸術劇場
【発売日】2011/04/24 S席:8,500円 A席:7,500円 B席(椅子付立見席):4,500円
http://www.kaat.jp/pf/po.html
http://www.po2011.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2011年09月04日 20:38 | TrackBack (0)