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2011年09月19日

演劇ユニットてがみ座『空のハモニカ―わたしがみすゞだった頃のこと―』09/14-19「劇」小劇場

 長田育恵さんの戯曲を上演する演劇ユニットてがみ座。私は初見です。来年1月にシアタートラム・ネクストジェネレーションへの参加が決まっています。

 大正から昭和にかけて活躍した女流詩人金子みすゞの半生、特に若くして亡くなる前の数年間を描いていました。上演時間は約2時間強。

 ⇒CoRich舞台芸術!『空のハモニカ

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
 空のハモニカ
 言葉にならない最後の詩、綴るように生きた日々。
 1930年春、下関。愛する娘を残して26歳で命を絶ったテル。
 亡くなる前日にはひとり肖像写真を撮った。まるで生きた証を刻み付けるかのように。大正後期に黄金期を迎えた童謡詩の世界で、星のようにひときわ輝いた名がある――「みすゞ」。
 テルが金子みすゞとして生きたのは、ほんの三年ほどの僅かな時間だった。
 路地裏の狭い家に移り住み、「みすゞ」としての筆を絶つテル。夏越まつりのお囃子が、ふるさとの遠い海を連れてくる。漁で栄える小さな町。どんなに胸に描いても、あそこに帰ることは、もうできない。空一杯にこだまする「みすゞ」の残響を掻き消すかのように、ぬかるみを歩き出すテル。  大きな空は喪ったけれど、足下に、水に映る小さな空を見つけた――。
 テルが「みすゞ」という名を捨てて自身を綴るように生きた最後の日々。それは言葉にならない、けれどきっと光への詩。
 ≪ここまで≫

 “童謡詩人金子みすゞ”のことは十数年前に知り、若くして亡くなられたことだけでなく、時代のせいもあって不幸な半生を送られた方なのだと思っていました。彼女の詩には植物や動物、お天気などの自然に対する純朴で、無邪気で、温かいまなざしが感じられます。でもこのお芝居では、そういう詩を作った人だということが、私には感じ取りづらかったですね。詩作や学問を求める真摯な気持ちゆえに悲壮感が強まったり、子供を大事に思うあまり恐ろしい形相をするなど、“暗い”“怖い”“可哀そう”なことの方が強調されすぎているように思いました。
 演出のせいかもしれませんが、セリフや場面の意味を大事にするあまり全体のリズムが軽視され、お芝居がとぎれとぎれになっているように見えたのが残念。

 言葉を丹念に選んだ脚本だと思いました。詩の引用もありますし、大正から昭和の時代背景も丁寧に、慎重に扱う心遣いが伝わってきました。来年1月の『乱歩の恋文』(再演)にも伺いたいと思います。

 ここからネタバレします。

 テルとみすゞを別人として(別の女優さんで)描いているのが面白かったです。
 声を出して笑う必要はないのですが、心の中でクスっと笑ったり、微笑ましく思えるような要素が欲しかったですね。テル(石村みか)の夫(大場泰正)がとんでもなく情けない男性なので、彼のことを笑いたかったな~。もちろん彼の妻だったテルのことも可笑しいな、可愛いなと思いたかったです。

 テルの弟である上山正祐さんは劇団若草の創設者で、上山さんの娘で長らく劇団若草社長だった八重垣緑さんは2006年に亡くなったばかりです。金子みすゞのことは遠い昔の話ではないんですよね。

第5回公演
【出演(役柄はわかる範囲)】テルの弟:尾崎宇内 福田温子(以上てがみ座) テル:石村みか テルの夫:大場泰正(文学座) テルの娘:新井結香(劇団桟敷童子) 宮本翔太(椿組) テルの夫の昔の恋人:美舟ノア みすゞ:今泉舞 阿部伸勝 中田春介 
演出:扇田拓也(ヒンドゥー五千回) 脚本:長田育恵(てがみ座) 舞台監督:杣谷昌洋 舞台美術:杉山至+鴉屋 照明:千田実(CHIDA OFFICE) 音響:余田崇徳 衣裳:吉田健太郎(yu-GEN CRaFTS) 宣伝美術:杉江あき 宣伝写真:田中亜紀 舞台写真:伊藤雅章 撮影:関肇伸 WEB:高橋典子(RICO STYLE) 手紙:右近金魚 制作:MAICO.、小池芽生
早割:3,000円 前売:3,500円 当日:3800円
http://tegamiza.net/take6/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2011年09月19日 22:12 | TrackBack (0)