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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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2011年01月15日

新国立劇場演劇『わが町』01/13-29新国立劇場中劇場

 新国立劇場「JAPAN MEETS…」シリーズの三作目(⇒)は昨年から今年にかけて多数上演されている『わが町』です。⇒制作発表
 演劇公演のカーテンコールでブラボーの声が!拍手もすごかったです。『わが町』をご覧になったことがない方はこの機会にぜひ。ずっしり、バッチリの本格上演です。

 私はというと、小堺一機さんの幕明けの、まさに一番最初のセリフからうるうるっと来てしまい、しばらくボロボロ泣いてました(←迷惑なヲタク客)。『わが町』の世界が中劇場の舞台全体に満ちていて、これまでの色んな『わが町』が次々とフラッシュバックしてきたからだと思います。

 ハンカチ必携。そして遅刻厳禁です。お早めに劇場へ!上演時間は約3時間10分(途中休憩20分を含む)。

 ※台本は水谷八也さんによる新翻訳です。掲載誌がロビーで販売されていたので購入。

 ⇒CoRich舞台芸術!『わが町

 あらすじはこちらでどうぞ。

 客席方向に丸く張り出した、だだっ広くて何もない舞台。最前列の席と同じ床の高さでステージが広がりますので、観客との距離が近いです。照明がパーテーションの役割を果たし、あの大きな中劇場が内容にピッタリの大きさだと感じられました。
 装置は台本通り、最小限。音楽(稲本響さんのピアノ)が空間を豊かに満たします。肌のぬくもりとうねる感情が感じられるピアノの音色。稲本さんは舞台監督(小堺一機)はじめキャストの方々と密にコミュニケーションをとるので、出演者の1人と数えられます。こまつ座公演の朴勝哲さんや小曽根真さんみたい。

 ひとつひとつを丁寧に、大切に、時間をかけて見せる演出でした。夫婦の会話、妻同士の会話、学者と舞台監督の会話などなど、細かいところでもしっかり間(ま)をとって、人とその関係の厚みが感じられました。
 さいたまゴールドシアターの老俳優の方々、そしてオーディションで選ばれたBOYS and GIRLSの若い男女が「町のひとびと」を演じます。キャストが多いのはそれだけで贅沢ですし、大人数で町の様子が生き生きと描写されていたと思います。特に小道具を使って効果音を出すのが素敵!あと、讃美歌の美しいハーモニーにも感動しました。世界には人間が生み出した美しいものがある、と信じられる瞬間です。

 舞台監督が小堺さんであることも重要なポイントですね。観客に対して話しかける演技に余裕があるし(毎日のように観客参加型の生放送に出てらっしゃいますものね!)、テレビでおなじみの方なので、小堺さんが舞台にいることで常に観客は現実を忘れずに『わが町』という芝居を観ていることができます。

 メインキャストはそれぞれに、これ見よがしにならない程度に気持ち良く個性を発揮されていて、ジョージ役の中村倫也さんが特に素晴らしかったです。若くてかっこいいだけではなく、セリフがはっきりと聞こえるし、体と声と感情とのズレが見えない演技で、ある一人の男性の人生を鮮やかにあらわしてくださいました。

 ここからネタバレします。

 舞台監督が「このお芝居のタイトルはOur Town、『わが町』。書いたのはアメリカの劇作家ソーントン・ワイルダー、制作は新国立劇場、演出は宮田慶子、出演は相島一之・・・」と言いはじめた時、今までに観た『わが町』とそれを観た時の感動、そして戦前から『わが町』が世界中で上演されてきたこと、今、目の前の日本人のキャストとスタッフが『わが町』の世界を作り上げていることが、一気に頭の中にわき出て来て、嬉しさと感謝で頭のてっぺんまでいっぱいになってしまったんです。そのまましばらく泣きっぱなし(汗)。まんまと戯曲の術中にはまったということでしょう。

 舞台奥の壁を青く(?)照らして、人々のシルエットが見える場面が良かったです。舞台監督が客席からその壁を見つめて言うセリフ(何だったか忘れましたが)で、私も人類の歴史に遠く思いを馳せることができました。
 墓地のシーンでの満天の星空は嬉しかったですし、死者が床の四角い穴に埋まっているのもいいですね。傘をさした葬列にちゃんと雨が降っているのも良かったな~。灰色の中に霧の白がきれいでした。

 ジョージ役の中村さんは「宿題のヒントを教えて」とエミリーに頼む幼いころと、その3年後の野球部で活躍する頃とをはっきりと演じ分けてらっしゃいました。ジョージとエミリーが相思相愛だと気づくデートの場面も良かったですが、満足まではいかず・・・2人がかみ合ってなかったように思います。

 第3幕(墓地)はちょっと長く感じましたね。死者たちの声が小さすぎてセリフが聞こえづらかったのもありますが、エミリーが過去を振り返るシーンで感動できなかったんですよねぇ・・・それで迷った末にメルマガ号外の発行は控えました。初日でしたので、これから良くなっていくことと思います。1500人から選ばれたヒロインの佃井皆美さん。プレッシャーもあることと思いますが、頑張ってほしいです!

出演:小堺一機:舞台監督 相島一之:ドクター・ギブズ 佐藤正宏:ウェブ氏 斉藤由貴:ギブズ夫人 鷲尾真知子:ウェブ夫人 中村倫也:ジョージ・ギブズ 佃井皆美:エミリー・ウェブ 青木和宣:ウォレン巡査 増子倭文江:ソームズ夫人 山本亨:サイモン・スティムソン 中村元紀:ハウイー・ニューサム 稲本響:音楽/ピアノ演奏 朝倉みかん 宇髙海渡 内山ちひろ 大村沙亜子:レベッカ・ギブズ 菅野隼人:ウォリー・ウェブ 斉藤悠 佐々木友里 下村マヒロ 高橋智也 高橋宙無 内藤大希:サム・クレイグ 橋本淳:ジョー・クローウェル 橋本咲キアーラ 水野駿太朗 横山央:サイ・クローウェル 神尾冨美子 北澤雅章:ウィラード教授 竹居正武 都村敏子 德納敬子 中野富吉:ジョー・ストッダード 森下竜一 吉久智恵子
【脚本】ソーントン・ワイルダー 【翻訳】水谷八也【演出】宮田慶子【音楽/ピアノ演奏】稲本響【美術】長田佳代子【照明】沢田祐二【音響】渡邉邦男【衣裳】加納豊美【歌唱指導】伊藤和美【演出助手】高野玲【舞台監督】澁谷壽久【芸術監督】宮田慶子【主催】新国立劇場【共催】TBS 【後援】TBSラジオ
【休演日】1/17,24【発売日】2010/10/16 S席7,350円 A席5,250円 B席3,150円
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000324_play.html
http://www.atre.jp/wagamachi/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 17:43 | TrackBack

【公募情報】世田谷パブリックシアター「シアタートラム ネクスト・ジェネレーション vol.4』参加団体募集」2/14-28面接あり

 若手劇団の登竜門として名実ともに認知度が高まっている、世田谷パブリックシアターの「シアタートラム ネクスト・ジェネレーション」(過去レビュー⇒10)。来週開幕するvol.3の参加団体はミナモザ、文月堂、インパラプレパラートです。我こそはと思う団体の皆さん、ぜひ2012年1月に実施されるvol.4に応募してください!

 応募資格に活動拠点の制限があり、上演予定台本の提出が条件に入っています。資料を郵送するのではなく、期間内に面接する形式です。募集概要をよく読んでお申し込みください。

 応募期間:2011年2月14日(月)~2月28日(月)午後5時
 ※担当者に電話し、面接時間のアポイントを取ること。

Posted by shinobu at 13:51 | TrackBack

【オーディション】PARCO×本谷有希子公演ワークショップ・オーディション※2/28〆切(郵送のみ)

 今年8~9月にPARCO劇場その他で上演される、本谷有希子さんの新作のアンサンブルキャスト(若干名)のオーディションが開催されます。主演は長澤まさみさん。

【募集役柄】アンサンブルキャスト 若干名
【応募資格】18歳以上の男女・公演概要に記載の稽古・本番期間に、すべて参加できる方。
【公演概要】
 稽古:2011年6月末より稽古開始予定
 公演:2011年8月~9月まで予定(地方公演含む)

【応募締切】 2011年2月28日(月)郵送必着
 一次審査:書類選考。書類選考を通過された方には3月15 日(火)までに連絡。
 二次審査:実技選考。2011年3月下旬予定。
 三次審査:ワークショップ・オーディション。2011年4月14日(木)~23日(土)を予定。全日程参加必須。

 下記は劇団、本谷有希子サイトより。

■2011年01月05日(水)PARCO×本谷有希子公演・ワークショップ・オーディション開催!

 パルコ・プロデュース8月の本谷有希子作・演出公演に向けた、ワークショップ・オーディションを開催いたします。

【募集役柄】アンサンブルキャスト 若干名
【応募資格】18歳以上の男女
 下記の公演概要に記載の稽古・本番期間に、すべて参加できる方。
【公演概要】
稽古:2011年6月末より稽古開始予定
公演:2011年8月~9月まで予定(地方公演含む)

【応募方法】
 プロフィール(顔と全身の写真貼付)を下記の宛先までお送りください。

*プロフィールには、連絡のつきやすい電話番号・(有れば)ファックス番号・住所、身長、舞台の経験についても明記してください。
(未成年の方は保護者の同意が必要です。)
*プロフィールは写真貼付も含めてA3またはA4の用紙1枚分に収まるよう作成してください。
*舞台経験がない方はその旨明記してください。
*応募書類はご返却できませんので、予めご了承ください。

【宛先】 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15?1 渋谷パルコ パート1 ・9F パルコ劇場
「本谷有希子」ワークショップ・オーディション係

*応募書類は必ず郵送にてお送りください。お持ち込みの受付はできませんので、ご了承ください。

【応募締切】 2011年2月28日(月)必着

【選考方法】
■一次審査:書類選考。書類選考を通過された方には、2次選考のご案内を3月15 日(火)までに弊社担当よりご連絡いたします。
■二次審査:実技選考。2011年3月下旬予定。二次選考を通過された方に、オーディションを兼ねたワークショップにご参加いただきます。
■三次審査:ワークショップ・オーディション。2011年4月14日(木)~23日(土)を予定しております。ワークショップの全日程にご参加いただけることを選考の条件とさせていただきます。

※オーディション内容・合否に関するお電話でのお問い合わせはご遠慮ください。


※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 10:47 | TrackBack

【オーディション】世田谷シルク「イケメンさん!」オーディション※1/19又は1/21〆切(メールのみ)

 堀川炎さんが作・演出される劇団世田谷シルクが出演者オーディションを開催します。
 世田谷シルクの作品は拝見したことがないのですが、堀川さんの出演作は観たことがあります。世田谷シルクは「第2回世田谷区芸術アワード“飛翔”2010」を受賞し、2012年1月のシアタートラム・ネクストジェネレーションvol.4への参加が決まっています。

 詳細はこちら。「小劇場のイケメン募集」ですが、イケメンは自称、他称、雰囲気可。イケメンだいう1点で採用が決まるわけでもないようなので(笑)、スケジュールが空いていてご興味のある俳優さん(男性のみ)はどうぞ。上演するのはサンモールスタジオがプロデュースする4劇団参加のショーケース作品(30分間の短編)です。
 21日(金)希望の締め切り:1月19日(月)24:00まで
 23日(日)希望の締め切り:1月21日(月)24:00まで

Posted by shinobu at 09:33 | TrackBack

【公募情報】F/T11公募プログラムのオンラインエントリー受付中!※1月23日〆切

 F/Tが若手のカンパニー/アーティストの主催公演をサポートする、「F/T11公募プログラム」のオンライ・エントリーの〆切が迫っています。〆切は1月23日(日)24時。「F/Tアワード(仮称)」の審査員も発表になりました。我こそは!という芸術団体の皆さん、ぜひ応募してください。
 →公募プログラム詳細 →募集要項(PDF)

Posted by shinobu at 09:16 | TrackBack