2012年03月31日
THE SHAMPOO HAT『一丁目ぞめき』03/21-31ザ・スズナリ
赤堀雅秋さんが作・演出・出演される劇団THE SHAMPOO HATの新作です。
初日を予約するつもりができず、おとといの予約を入れたらトラブルがあって行けず、やっと千秋楽に観ることができました。素晴らしかったです!あきらめなくて良かった・・・!
終演後にロビーで上演台本(1,000円)を購入しました。この作品が2012年3月に上演されたことを憶えておくために、台本にはチラシを挟んでおこうと思います。
上演時間はカーテンコール2回を含む約1時間55分・・・かなり曖昧です。
⇒CoRich舞台芸術!『一丁目ぞめき』
≪あらすじ≫
永らくがんを患っていた父親が死んだ。母親は3日3晩、何も食べず風呂にも入らず、無言のまま身動きせず寝込んでいる。家業のスーパーマーケットを継いだ次男(日比大介)が通夜の準備に右往左往している時、20年間音信不通だった長男(赤堀雅秋)が帰ってきた。
≪ここまで≫
昭和臭が立ちこめる小さなダイニング。開場中(開演前)はまつり囃子が流れ、アンバラスさがいいなと思いました。
ワンシチュエーションのリアルな日常を見せる会話劇で、震災以降のまさに今を描いていました。関東のはしっこ(たぶん千葉県船橋市)で、閉塞感でギシギシするような小さなコミュニティーで生活する人々の、ある雨の日の出来事。この戯曲がこの時期に、今の関東地域を描いた作品として書かれたことは、ずっと将来に渡って記録されていて欲しいと思いました。
カーテンコールで6人の俳優さんが挨拶された時、「こんなに少人数だったなんて!」と驚きました。これが私にとってのカーテンコールの一番のお楽しみ。もっともっと大勢の人があの家とその周辺に居ると、ずっと信じて観ていましたから。すっかりお芝居の魔法にかかっていたということです。
ここからネタバレします。セリフなどは正確ではありません。
感じたことを思うままに、気持ちの流れのままに書いています。ご容赦ください。
長男は出刃包丁片手に自転車を蹴り倒して歩くような、町で有名な問題児でした。家(当時は酒屋)のレジのお金を盗んで逃走し、そのまま愛知県の自動車工場のラインで働いて20年間が過ぎました。次男は実家を継ぎ、妻と2人の小さな子供とともに両親と同居中。いつ潰れてもおかしくない町のスーパーマーケットの店主です。
お通夜当日は従兄夫婦(児玉貴志、滝沢恵)と近所の電器屋(野中隆光)が手伝いに来てくれていますが、みな長男のことは色眼鏡で見ています。犬が死んだら長男に「お前が殺したんだろ」と言い、財布がなくなったら「盗んだのはお前だ!」と言って長男に殴りかかります。
次男は葬儀屋(黒田大輔)と打ち合わせをしたいのに、次々と邪魔が入ってあたふたするばかり。「もうガキじゃないんだから」「波風立てないで」「大人しくしていて」などと言い、とにかく問題が起きないように、丸く収まることを切に望んでいます。彼は震災以降の日本人そのものではないかと思いました。もう、疲れきってるんです。これ以上疲れたくないんです。毎日地震におびえ、食べ物、飲み物、空気の放射線量を疑い、その真偽をめぐって議論・非難し合い、みんな基本的にダウナーな気分です。そして世の中は不況。
次男はその上、妻が電器屋と毎週浮気していて2歳の子供はインフルエンザ、店の経営もうまくいっておらず、父親は2度もがんで入院して病に伏せっていて(しかも自殺してしまったし)、母は突然の廃人状態。そこに長男がひょっこりやってきて無作法づくし。通夜振る舞いの寿司の出前も届く気配がない・・・八方ふさがりでストレスがたまり、もう爆発寸前です。でも、「このままで治まるのなら治まって欲しい」「今までどおり笑い合っていたいから、気づかない振りをしていたい」と、必死で場を取り繕います。・・・弱くて心優しい日本人だと思いました。
次男は父親の死因が自殺だったことを秘密にするよう葬儀屋に言っていたのですが、葬儀屋は長男、従兄、電器屋にばらしてしまいました。そこで長男は「お前(葬儀屋)の正しさなんていらない」と葬儀屋に面と向かって言います。「次男が秘密にしたかったんだから、俺たちは聞かなかったことにする」と。この「正しさの暴力」に対する態度は立派だと思いました。私たちは今、その暴力にさらされ過ぎている気がするからです。
昔のカセットテープを見つけた長男は、カセットデッキを持ちだして母親の部屋に入り、昔好きだった曲を流します。流れたのは松田聖子の「白いパラソル」。昔を思い出したのか、長男は若いころの父親の話を始めました。町に汲み取り式の便所しかなかった時代、どんなに役所に申請しても誰も動いてくれなかったから、父親たちは市民の手で下水道をひいて、全戸水洗便所にするという偉業を達成しました。父親は酒を飲むとその自慢をしていたのです。
長男は、今の自分より若かった30代のころに、町に新しい生活をもたらした父親を「凄い」と本気で褒めます。これは息子から父親への感謝と弔いの言葉でもありますが、先行世代へのリスペクトとも受け取りました。私が便利な生活を送れているのは親の世代の仕事のおかげです。過度な資本主義と経済成長が原発事故という惨事につながったとも言えるかもしれませんが、だからと言って全てを否定するのはナンセンスで、その時、その時代に全力で世の中を良くしてくれたことは事実です。この戯曲は震災と原発事故後という危機を生きる、異世代の日本人の心をつないでくれていると思います。
「白いパラソル」を合唱する場面では、肩を震わせて泣いてしまいました。あのころ私は小学校低学年ぐらいで、未来はただただ明るいばかり。これから日本という国も良い方向に行くとしか思っていませんでした。実際どんどん経済成長して“日本製品は世界一”になり、別に自分は何もしてないのに「日本人イケテル」みたいな気分で青春時代を生きてきました。あの時は、たしかに楽しかった。漠然とした不安など皆無で、家族と友達と一緒に人生を謳歌していました。いま振り返るとみっともない気がしますし、恥ずかしいです。そして大きな穴のような喪失感もあります。懐かしさと寂しさと、後悔も含んだ苦々しさがぎゅるぎゅると混ざったような状態で、過ぎ去った夢のような時代を思いおこしました。
あのダイニングに集まっていた男性たちは、その頃の思い出の歌を合唱することで気持ちを共有して、一緒に幸せを味わったんじゃないかしら。声の力、歌の力、合唱の力が、人間の心を変える時間だったんだと思います。
最後にやっと長男は、バスの運転手に転職することを次男に伝えます。次男は「まあ…いい話じゃない(良かったね)」という返事。長男はそれを伝えるために来たのでしょう。他人と触れ合う仕事に就くこと、すなわち新しい人生を始めたことを宣言して、家族に認めて欲しかったんじゃないかしら。でも父親は亡くなったし母親は倒れていて、次男はずっと耳を傾けてくれなかった。最後の最後に次男に告白できて、その後でやっと、父親に線香を上げに行く(父親に20年振りに会いに行く)ことができたのだと思います。
母親が寝込んでいたのは、父親が倉庫で首を吊って自殺したせいだったのでしょう。でも彼女は、「白いパラソル」の合唱で生きる気力を取り戻し、お椀のご飯を自分で食べて、ふすまを開けて出て来ようとします(実際には登場しません)。死の淵から復活するのです。そして再びまつり囃しが流れ始め、終幕。
お祭りというと、生者と死者が一緒にいるイメージが私にはあります。例えばお盆は戻ってきた死者を生者が迎える儀式で、盆踊りもありますよね。父親は死者となり、母親は生者になった。お囃子がこの2人を祝福する音楽に聞こえました。また、今までの日本にさようならをして、これから新しく生まれる日本にこんにちはと言っている気もしました。
出演:野中隆光 日比大介 児玉貴志 黒田大輔 滝沢恵 赤堀雅秋
作・演出:赤堀雅秋 舞台監督:伊東龍彦 照明:杉本公亮 音響:田上篤志(at Sound) 舞台美術:袴田長武(ハカマ団) 宣伝美術:斉藤いづみ(rhyme inc) 宣伝PD:野中隆光 WEB製作:野澤智久 舞台写真:引地信彦 衣裳協力:平野里子(イーピン企画) 演出助手:勢古尚行 菊妻亜樹 制作助手:谷慎 制作:武田亜樹 企画製作:HOT LIPS
チケット一般発売日2012年2月12日(日) 先行発売3,500円 指定 前売 3,800円 / 当日 4,000円 自由 前売 3,500円 / 当日 3,800円
http://www.shampoohat.com/zomeki/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年03月30日
【稽古場レポート】華のん企画『チェーホフ短編集「賭け」』03/26都内某所
1995年から“子供のためのシェイクスピア”シリーズ(参考レビュー⇒1、2)を継続上演しているカンパニーの稽古場にお邪魔しました。演目は『チェーホフ短編集「賭け」(再演)』。脚本・演出を手掛けるのは山崎清介さんです。
2008年からチェーホフ作品にも取り組まれており、『チェーホフ短編集(再演)』と『チェーホフ短編集「賭け」(初演)』を交互上演した2010年には、第45回紀伊國屋演劇賞団体賞を受賞されました。
『チェーホフ短編集「賭け」』はチェーホフの短編小説6つが組み込まれた独特の構成です。初演メンバー3人、新参加3人の計6人の役者さんが、演出の山崎さんとともに丁寧に、地道に、作品の空気を積み上げていらっしゃいました。
●華のん企画『チェーホフ短編集「賭け」』
04/18-22あうるすぽっと
作:チェーホフ 翻訳:松下裕 脚本・演出:山崎清介
全席指定 一般(前売・当日とも)5,000円 当日学生割引(当日のみ)4,500円
⇒CoRich舞台芸術!『チェーホフ短編集「賭け」』※こりっちでカンタン予約!
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
「死刑と終身禁錮刑、どちらが人道的か」という問いをめぐって始まった賭け。銀行家が出した条件は、15年間の幽閉生活に耐えられれば一生遊んで暮らせるだけの大金をやろう、というものだった。それに乗った法律家は一体どうなるのか―。
『賭け』の物語の中に『物騒な客』『忘れた!!』『彼と彼女』『カメレオン』『魔女』の5つの短編小説が編みこまれています。2010年度紀伊國屋演劇賞団体賞を受賞した作品の待望の再演!
≪ここまで≫
【写真↓左から:佐藤誓、戸谷昌弘】
この作品の軸となる『賭け』は銀行家(佐藤誓)と法律家(戸谷昌弘)のお話です。自由とお金を引き換えにするという極端な“賭け”を題材に、今も昔も変わらないお金に翻弄される人間を描きます。
【写真↓左から:伊沢磨紀、三咲順子、佐藤誓、山田ひとみ、山口雅義 ※左奥:戸谷昌弘】
果たして賭けに勝つのは銀行家と法律家のどちらなのか。結末を知りたい気持ちで物語を追う中、他の短編5つが挟まれていきます。各短編が『賭け』のテーマに紐づけられるため、重層的に味わえる構成になっているんですね。チェーホフの小説を山崎さんが咀嚼し、独自の解釈もふんだんに盛り込まれています。
【写真↓左から:佐藤誓、山崎清介】
山崎さんは役者さん一人ひとりに近づいて、小さな静かな声でダメ出しをされます。時々ご自身で身ぶりもしながら説明するマンツーマンの演出です。佐藤誓さんが演じる銀行家は、金さえあれば人を動かせると信じ切ってる嫌な奴。本当に嫌~な奴過ぎて笑ってしまいました(笑)。でも物事が彼の思う通りに進まなくなると、その慌てようが哀れにも見えてきます。
【写真↓左から:伊沢磨紀、戸谷昌弘】
伊沢磨紀さんの演技には何度も魅せられました。どこを切り取ってもピタっと決まる姿は、緻密に作り上げて動きを細やかにコントロールされているからじゃないかしら。戸谷昌弘さんはアドリブとはわからないほど、自然なアドリブをされていました。起こったことを無視しないで、演技の最中にその場、その時を生きている証拠だと思います。
【写真↓中央:佐藤誓】
お稽古ですから、何度も同じシーンを繰り返します。その度に動かし、散らかした小道具をもとの位置に戻してやり直し。この地味で丁寧な作業が本番の舞台へと昇華するのだと想像すると、稽古場という空間が神聖なものに感じます。
【写真↓左から:三咲順子、山崎清介】
『賭け』の最中、佐藤誓さんと三咲順子さんが不意に夫婦役を演じ始め、『彼と彼女』という短編が始まりました。安易な予想どおりには進まない手ごわい会話劇で、山崎さんは三咲さんにつきっきりで説明。やがてディスカッションも始まりました。
山崎:セリフは正確じゃなくてもいいから、相手にブス!ブス!!ブスッ!!と刺すように言ってください。
山崎:(こんな小説は)お医者さんにしか書けないのかもね。手塚治虫とかチェーホフとかにしか。狙った決め玉が相手にとっては絶好球だったっていう。観客を裏切る決めどころだね。
毎度片付けて、何度もやり直す。コレだと信じられるところまで試し続ける。そんな行為が着実に積み重なって、かけた時間と作業の分だけ空気が密になっていくようでした。同時に作品の不確かさ、曖昧さも増しているように感じたのが意外で、とても面白かったです。緻密なのにどこか不安定という矛盾を体感しに、劇場に伺おうと思います。
■佐藤誓さんインタビュー
『賭け』で銀行家を演じる佐藤誓さん(⇒プロフィール)に少しインタビューさせていただきました。
佐藤誓さん
―2010年の初演から変わったところはありますか?
佐藤:まず台本が多少変わってます。読み合わせの段階で、初演の解釈とは違うと気づいたところも沢山ありました。短編集だし、前回の『三人姉妹』ほど内容的に深くはないだろうと思っていたら、実はそんなこともなくて。短編それぞれに哲学的な要素があるんです。
『チェーホフ短編集1』はおととし再演して流れも良くなって、深くなったなぁと思いました。今の段階で、この作品も良くなりそうな気がしています。
―『賭け』で法律家役だった戸谷さんが、違う短編の狩人役で登場したのにハっとしました。短編自体の上演だけでなく『賭け』とからませる工夫から、山崎さんの独自の批評眼が透けて見えるようでした。
佐藤:もともとは1編ずつの独立した短編小説ですから、それを1つのお話にするにあたって、山崎さんが大幅に構成してますね。『賭け』の中に色んなものを入れ込んで、別の、新しい物語になった。
『賭け』に出る銀行家と法律家は、構造からすると、俳優が役を兼ねない方がわかりやすいと思うんです。でも、あからさまにわかりやすいのはつまらない気がする。僕が演じる銀行家が、ぬるっと他の短編の登場人物になっていくのは、お客さんは戸惑うかもしれないけど、面白いと思います。
―それはこの短編集シリーズの魅力の1つですね。他のチェーホフ作品と比べた時の、この作品の見どころと言えば何でしょうか?
佐藤:チェーホフの舞台は、本場ロシアをお手本にした本当にオーソドックスなものか、でなければ京都の劇団地点のような、すごい前衛とか(笑)、両極端の場合が多いと思うんですよ(地点のチェーホフ作品のレビュー⇒1、2)。このシリーズはちょうど真ん中あたりかな。たとえば『三人姉妹』は、俳優全員が出ずっぱりという少し変わった演出だったんです。そんなにオーソドックスでもなければ、ものすごい実験的でもないから、とっつきやすいんじゃないかと。
短編集はチェーホフ好きの人しか知らないと思うので、初めて出会ってその面白さを味わって欲しい。コアなチェーホフ・ファンの人には「あの短編をこんな風につなげたのか!」と楽しんでもらえると思います。
■しのぶよりひとこと
大きな舞台でも小劇場でもよく拝見していた佐藤誓さんに、直接お会いしてお話を伺えて光栄でした。私は電車でよく流れている“ロゼッタストーン”のCMで、佐藤さんが演じている“魚屋さん”が好きなんです。ロゼッタストーン公式ツイッターが「面白い感じで作ったんですが、CM撮影現場の全員がカッコいいって言ってましたwww」とおっしゃってます(笑)。よかったらCMをご覧いただいて、劇場でもそのカッコよさを確かめてください♪
華のん企画あうるすぽっとタイアップシリーズ『チェーホフ短編集「賭け」(再演)』
出演:伊沢磨紀、佐藤誓、山口雅義、戸谷昌弘、三咲順子、山田ひとみ
作:アントン・チェーホフ 翻訳:松下裕 脚本・演出:山崎清介 照明:山口暁 音響:角張正雄 美術:松岡泉 衣裳:三大寺志保美 演出補:小笠原響 舞台監督:井上卓 企画協力:内藤陽子 プロデューサー:峰岸直子 企画・製作・主催:華のん企画 共催:あうるすぽっと(公益財団法人としま未来文化財団)
★4月19日終演後、アフターパフォーマンストークあり。本公演のチケット(半券可)提示で入場可。
全席指定 一般(前売・当日とも)5,000円 当日学生割引(当日のみ)4,500円 ※未就学児童の入場はお断りさせていただきます。
http://www.canonkikaku.com/information/chekhov.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年03月27日
演劇ユニット僕たち私たち『胎内』03/08-10プロト・シアター
新国立劇場演劇研修所第四期修了生による三好十郎作『胎内』(1949年)です。上演時間は約2時間半(休憩なし)。過去レビュー⇒1、2 青空文庫で全文読めます。
イギリスのシェフィールドで今年6月に開催される演劇祭「International Student Drama Festival」にエントリーしていた公演です。選考の結果、応募数約150団体の中から、通過20団体に選ばれたそうです。
2005年の公演のDVD↓が買えるみたいです。
⇒CoRich舞台芸術!『胎内』
※同年6月22日~30日にイギリスのシェフィールドで行われた‘International Student Drama Festival’に参加。音響賞、cast賞、最優秀演出賞を受賞。
⇒「演劇研修所修了生が‘International Student Drama Festival’に参加しました」 ※2012/8/5加筆。
≪あらすじ≫ 公式サイトより
戦後の混乱期。
山奥の洞窟に、男女がやってくる。
汚職事件に関わった闇のブローカーとおぼしき男・花岡、とその愛人村子。
逃亡生活を続けるうちにこの洞窟を発見したのだ。
ところが、洞窟には先客がいた。復員兵・佐山である。
実はこの洞窟は戦中に日本軍によって掘られた防空壕だったのだ。
しかし、地震がやってきて洞窟の入り口がふさがれてしまう。
明かりも水も食料も尽きていく恐怖の中、徐々に見え始める『にんげんのさが』。
仄暗い闇の中で彼らがみるものとは、そして彼らは無事にこの洞窟から脱出することができるのか?
≪ここまで≫
三方からステージを囲む客席。天井の低い、狭い劇場で、観客も登場人物と同じく穴に閉じ込められたような感覚になりました。タバコを吸う場面が多く物理的に苦しかったのですが、誠実な熱演だったので、観客の私も最後まで気を抜かず拝見。
松森望宏さんは、しばしば宮田慶子さんの演出助手もされている若い演出家です。丁寧にセリフを解釈して、とても真面目に演出されていると思いました。ただ『胎内』は、危機的状況にある男女3人の膨大なセリフ劇なので、息を抜ける間(ま)や笑いなどがあってもいいのではないかと思いました。照明も、もっと色んな色を使ってもいいんじゃないかしら。
『胎内』は、やはり、すごい作品です。自分にも世界にも絶望した人間が、自分が人間であること、命が今あることを発見し、それをつかむ瞬間が描かれているのだと思います。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
地震が起きて出口がふさがれ、3人は穴から出られなくなります。花岡(雄大)と村子(田嶋真弓)が「警察が来た。穴を掘る音が聴こえる。ここから出してくれる」と言いだす場面で、本当に2人がそう信じているように見えなかったのが残念。ひどく疲弊しつつ有頂天に喜んでいる演技をしなければならないわけで、きっととても難しいですよね。
最初は穴の中で死ぬつもりだった佐山(今井聡)ですが、閉じ込められてもはや死を待つしかない状況になった時に、「助かりたい」「生きたい」という気持ちが湧いてきて、前向きに生きることをし始めます。佐山のそんな、覚醒とも言える急激な変化を信じられて、彼の言葉に説得力を感じられたのは、それまでに積み重ねてきた3人の会話劇に嘘がなかったからだと思います。
以下、青空文庫より引用。
佐山「そうだよ、戦争は、ロクなことあない。イヤだった。ふるふる、イヤだった。……それを、世間で、侵略戦争だの、ドロボウ戦争だ、戦争犯罪だ……サンザンいわれて……いや、そりゃいいさ、実際そうだったんだから。そりゃ、それでいい。ただ、それを聞いていて、俺あ骨抜きになった。腐っちゃった。……てめえが、あんだけイヤがっていた戦争を――しかも、ただ引っぱり出されただけの戦争を、まるで俺が自分でおっぱじめたような気になった。責任は全部自分にあるような気になった。そいで、チャンとして生きて行く資格は自分にゃないように思った。……妄想だ。強迫観念だ。クソインテリの観念過剰だ。まったく、なってねえ! なんてえこった! ハハ、ハハハ!……そうなんだ。戦争を否定するために、てめえのイノチまで否定していたんだ俺あ。」
佐山「どっか、あんな戦争、まちがっているような気がしながら、ハッキリどこが、まちがっているか、よくわからなかった。だから、ヘンだと思いながらも、戦争に反対はできなかった。ズルズルと、かえって引っぱりこまれた。……バカだったんだ。(中略)……まちがっていたのは、てめえの考えを、ハッキリ、そうだといえなかったことだ。全体のやりかたに、自分の考えを持って行って、そいつを生かして行けるようなやりかたを、作りあげきれないで、ただボヤーッとして、オカミのいうことにゾロゾロくっついて歩いて行ったことだ。弱さだ。俺もみんなも、それほど弱かったてえことだ。悪いのは、それだ。……弱さは、悪だ。そういった弱さは、悪!……」
佐山「(略)俺あ、自分が、クソでもなんでもいいから、インテリだったことをよかったと思う。人間は、どんな人間でもだんだんバカになるわけにゃ行かん。だんだん、インテリになるよりほかに、行く道はないよ。いつまでも――第三の世界戦争が起きようと、第四の戦争が起きようと、原子バクダンの千倍の兵器が発明されようと、そのために地球が破壊されようと、それをこらえて、しのいで、どこまでも生き抜いて行けるのはインテリだけだ。生きて行きたいと思ったら、インテリになるほかに道はないんだ。かしこくなる以外に道はない。悪いのは、中途半端だからだ。中途半端だった――つまり、クソだったからだ。しかし、クソでもいい、とにかくインテリだった。途中までしきゃ行けなかったけど、とにかく前を向いて歩いたんだ。そうなんだ。……三十五年、――おれの三十五年は、ミジメな、コッケイな、ヨタヨタなもんだった。しかし、今、そう思うんだ。良い生活だった。……まるもうけだった。生きた、それを、俺あ、ハッキリいえるんだ、今。うん。生きた、俺あ。」
International Student Drama Festivalエントリー公演
出演:今井聡(佐山) 雄大(花岡) 田嶋真弓(村子)
脚本:三好十郎 演出:松森望宏 美術:西村有加 照明:山口明子 音響:樋口亜弓 舞台監督:長沼仁 宣伝美術:野田友香里 写真撮影:bozzo 制作:砂川史織 主催・企画・製作:僕たち私たち
【発売日】2012/01/19 前売り2950円、当日3500円 ※未就学児童の入場不可。
http://boku-wata.jimdo.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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彩の国さいたま芸術劇場『ピーター・ブルックの魔笛』03/22-25彩の国さいたま芸術劇場大ホール
世界的に有名な演出家ピーター・ブルックさんの新作が日本にやってきました(⇒過去レビュー)。追加公演も含めて開幕前に全席完売した人気公演でしたが、知人から運よくチケットを入手し、S席8,000円で鑑賞。上演時間は約1時間30分。
オペラと思うと貧弱で、演劇と思うと退屈で・・・何を目指した作品だったのか、私にはわかりませんでした。カーテンコールは大盛り上がりで何度もあったみたいです。
⇒CoRich舞台芸術!『ピーター・ブルックの魔笛』
≪あらすじ≫ 公式サイトより。
大蛇に追われ森に迷い込んだ若き王子タミーノ。すんでのところで助かったタミーノは、夜の女王より一人娘パミーナが悪者にさらわれ捕らえられていると聞く。パミーナの肖像画を一目見て恋に落ちた王子は女王より魔法の笛を授かり、鳥刺しの青年パパゲーノと共にパミーナ救出の旅に出る。パミーナを捕らえているザラストロとは何者か。タミーノは恋する相手を救うことができるのか──。
≪ここまで≫
細い竹の棒が数十本、ステージに対して垂直に建てられている、ほぼ“何もない”と言える空間。上手にピアノ。
オペラ『魔笛』の歌を歌うので、どうしてもオペラ全般の歌唱レベルと比べてしまいました。『魔笛』自体は何年も前に新国立劇場で拝見しています。歌が聴き惚れるほど上手いわけじゃないんですよね・・・。ブルックさんがオペラ『魔笛』を演劇に翻案したのだろうと、勝手に予想していた(ほぼ決めつけて期待していた)私が悪いんでしょうけど。歌や音楽よりむしろ、豊潤な沈黙が欲しかったです。
歌は原作どおりドイツ語、セリフはフランス語だったような。
役者さんは、うーん、役者さんというよりオペラ歌手なんですよね・・・。パパゲーノ役のヴィルジル・フラネさん(Virgile Frannais)の演技は可愛いらしかったです。
王子タミーノ役のロジェ・パデュレさん(Roger Padulles)の純朴な存在感も好きでした。私の席の真横の通路に登場した時もきれいだったな~。
≪埼玉、福岡、滋賀≫
【私が見た回の出演者】タミーノ:ロジェ・パデュレ パミーナ:ランカ・トゥルカノバ 夜の女王:レイラ・ベンハムザ パパゲーナ:ベツァベー・ハース パパゲーノ:ヴィルジル・フラネ ザラストロ:ヤン・クセラ モノスタトス:ジャン=クリストフ・ボルン 俳優:アブド・ウオロゲム/ステファン・スー・モンゴ
演出:ピーター・ブルック 原曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 翻案:ピーター・ブルック、フランク・クラウチック、マリー=エレーヌ・エティエンヌ ピアノ演奏:レミ・アタゼイ 主催:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団/朝日新聞社 協力:東京・横浜・日仏学院 後援:在日フランス大使館
【発売日】2011/12/03 S席8,000円(メンバーズ 7,200円) A席5,000円(メンバーズ 4,500円) 学生A席3,000円
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2012/p0322.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年03月24日
社団法人日本劇団協議会『にわか雨、ときたま雨宿り』03/23-27恵比寿・エコー劇場
「日本の劇」戯曲賞2011最優秀賞受賞作の初上演です⇒選評(PDF)。製作は社団法人日本劇団協議会で、文化庁が主催しています。今年の応募締め切りは6/29必着(郵送or宅急便)。
受賞戯曲の上演が決まっている賞は多くなく、昨年の『オトカ』を見逃したので今年は初日に伺いました。上演時間は約1時間50分。石原慎太郎都知事が客席にいらしてて、ちょっと驚きました。最初から最後まで鑑賞されていました。
⇒CoRich舞台芸術!『にわか雨、ときたま雨宿り』※CoRichでは完売
≪あらすじ≫ 公式サイトより
9月の終わり・・・近郊のとある町。
世間に名をはせた画家上谷大吾は病に倒れ
まさに往生のときを住みなれた我が家で迎えようとしていた。
報せを受けた彼の血をひくそれぞれに母の異なる子供たちは
それぞれの思いを抱え集まってくる。
--そして始まる、いびつで可笑しな家族もどきの数日間。
≪ここまで≫
末期がんで死期が近い老齢の著名画家は3度結婚し、その度に子供が生まれたので、異母兄弟が集まってきます。役者さんの演技のタイプがそれぞれに違い、それがいい意味の混濁、化学変化といった効果を生んでいなかったため、プロデュース公演らしい、いわゆる寄せ集め感が否めない仕上がりでした。
舞台美術の張りぼて感はわざとなのかしら・・・。立体的に建てこまれた家屋ですが、存在感としては書き割り (平面に描かれた絵画)でした。あの演出、演技だと、たぶんわざとじゃないと思うんですよね~・・・
演技のタイプとしては、絵描きの弟子(古河耕史)、中学3年生の娘(鈴木ひかり)が私好み。
柿丸美智恵さんはいつもながら自由で奔放、かつ包容力のある存在感が魅力的でしたが、エロスを封印した役も観てみたいと思いました。
この戯曲の作者である鈴木穣さんは、テアトル・エコーに新作を書き下ろすそうです。折り込みの仮チラシより。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
3人目の妻(海外で活躍する画廊経営者・登場しない)との間に生まれた中学3年生の娘(鈴木ひかり)が、住みこみの絵描きの弟子(古河耕史)と肉体関係を持っているなど、市井の人々の日常を描く戯曲とはいえ、けっこう刺激的です。スパっと核心に迫る短くて強いセリフがあり、言葉としても展開としても面白いと思いました。でも、演出と演技のせいだと思うのですが、シチュエーションの信ぴょう性に欠けていて、頭に疑問符が浮かぶこと多数。また、性にまつわるテーマばかりなのは、私にはちょっとつまらないというか、30~40代の夫婦間、それより広い年齢層の家族間には他の問題も山積みだと思うので、性以外も描いてほしかったです。
2人目の妻との間に生まれた主婦(弓場沙織)と、絵描きの弟子(古河耕史)とのキスを含むラブシーンは、もっと危険でドラマティックになるんじゃないかな。消えた弟子のゆくえが明らかにされないラストが良かったです。二兎社『兄帰る』を思い出しました。
1人目の妻との間に生まれた長男(押切英希)が終盤で、「小さい頃にこの家で~」と昔話を語ります。となると、舞台美術の家屋には数十年の年輪を感じさせる必要があると思うんですが、その香りはなく、「家の形に似せた板の集合体」のように見えました。最初は何らかの演出意図なのかと考えたんですけど・・・物語の設定を疑ってかからざるを得なくするのは、作品にとって邪魔だと思います。やっつけ仕事みたいに感じたのが悲しいです。
中学3年生の娘(鈴木ひかり)の金髪はウィッグにしか見えなかったです。黒髪もはみ出てて・・・。「染めた」のなら、そう見えるように改善しないと意味が伝わらないと思います。ウィッグを普段着として使う若者も今は多いですから。
日本の演劇人を育てるプロジェクト 「日本の劇」戯曲賞2011
出演:押切英希(文学座) 有馬自由(扉座) 星智也(文学座) 古河耕史 古川龍太 弓場沙織 鈴木ひかり 柿丸美智恵(毛皮族)
脚本:鈴木穣 演出:西川信廣(文学座) 美術:石井強司(文学座)、照明:賀澤礼子(文学座)、音響:中島直勝、衣装:山田靖子、舞台監督:道場禎一、宣伝美術:早田二郎、宣伝:ユータス プロデューサー:菅野重郎 制作:日本劇団協議会 松村久美子
【発売日】2012/02/03 前売 3,000円/当日 3,500円 学生 2,500円(日本劇団協議会のみ取扱)
http://gekidankyo.blog59.fc2.com/blog-entry-33.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年03月21日
【告知】再演舞台を観て語らう夕べ「新国立劇場演劇『まほろば(再演)』鑑賞&夕食会」2012年4月6日(金)19時開演の回@新国立劇場小劇場
病気療養中にふと思ったんです・・・。
「確実に面白い舞台を大勢で一緒に観て、終わった後にお酒を飲みつつ愉しく語らいたいっ!!」・・・と。
なので勝手に【再演舞台を観て語らう夕べ】を開催します!
★再演舞台を観て語らう夕べ
「新国立劇場演劇『まほろば(再演)』鑑賞&夕食会」⇒facebookイベントページ
・日程:2012年4月6日(金)19時開演の回
・定員:約10名。最低決行人数4名(高野しのぶを含む)。
・申込〆切:2012年4月1日(日) 但し定員に達し次第〆切の可能性あり。
⇒公演公式サイト(動画あり)
⇒演劇「まほろば」、初演時の劇評をご紹介します
⇒演劇「まほろば」、井上ひさし氏が岸田國士戯曲賞選評で絶賛!(2012年2月27日)
⇒ぴあ稽古場取材「秋山菜津子らが、蓬莱竜太作『まほろば』であけすけな女4世代トークをふたたび」
⇒新国立劇場「まほろば」通信
⇒「まほろばー歴史を続かせているもの」(徳永京子)※PDFです。
割引も特典もありません。ただ一緒に舞台を観て、お食事&お酒をいただきつつ、感想を語らう愉しい時間を過ごせたらと思っています。ご興味ある方は下記のお申込み方法をご覧ください。ご連絡をお待ちしておりま~す。
【『まほろば』初演とのご縁】
『まほろば』は2008年7月に初演されました。ご縁があって稽古場レポートを執筆し、パンフレットの座談会にも参加させていただきました。さらに作者である蓬莱竜太さんが第53回岸田國士戯曲賞を受賞され、個人的にとても思い入れのある公演だったんです。
選考委員の永井愛さんが選評で示された“苦言”が非常に興味深く、もう一度観直したいと思っていたところの再演です。選評を読んでから観るとさらに面白いかもしれません。※選評はネタバレしていますのでご留意ください。
★再演舞台を観て語らう夕べ「新国立劇場演劇『まほろば(再演)』鑑賞&夕食会」
・日程:2012年4月6日(金)19時開演の回
・定員:約10名。最低決行人数4名(高野しのぶを含む)。
・ご予算:A席5,250円とお夕食代で計1万円弱ぐらい
・申込〆切:2012年4月1日(日) 但し定員に達し次第〆切の可能性あり。
※未成年の方はご参加いただけません。
※チケット代は銀行振込みでお支払いいただきます。恐れ入りますが振込手数料もご負担ください。
※『まほろば』の上演時間は約1時間45分。21時過ぎから食事をして23時解散という流れになるかと思います(未定)。
【お申込み方法】
下記必要事項をお問い合わせフォームより送信してください。●は必須です。
※お申込み後2日経ってもメールが来なかった場合、再度お問い合わせください。twitterもしくはfacebookから直接ご連絡いただいても結構です。
●氏名(匿名不可)
●氏名カタカナ
●ご利用中のtwitterもしくはfacebookのURL(氏名と合致するもの)
例:しのぶのtwitterページ、facebookページ
・CoRichメンバーの方はMyページのURL
例:しのぶのMyページ
・その他、意気込み、ご希望などをつれづれなるままに。
例:「ビールの美味しいお店希望」「家族同伴でもいいですか?」など。
ご期待にお応えできるかどうかわかりませんが、よかったら是非。
【企画意図・動機】
・面白いお芝居を観て、同じ芝居を観た人と飲みに行きたい(という、ごく個人的な動機)。
・再演される演目はほぼ確実に面白い(はず)なので、劇場や舞台鑑賞になじみのない方を誘って、舞台ファンを増やしたい。
≪東京、長野、兵庫、山形≫
出演:秋山菜津子 中村たつ 魏涼子 魏涼子 前田亜季 大西風香 三田和代
脚本:蓬莱竜太 演出:栗山民也 美術:松井るみ 照明:服部基 音響:秦大介 衣裳:宇野善子 ヘアメイク:佐藤裕子 方言指導:柄沢りつ子 演出助手:保科耕一 舞台監督:米倉幸雄 制作担当:茂木令子
A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000440_play.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年03月20日
【映画】ドキュメンタリー映画「はじまりの記憶 杉本博司」
現代美術家の杉本博司さんを1年間にわたり取材したドキュメンタリー映画です。仕事の関係で一般公開前に拝見させていただきました。とても、いい、映画でした。
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靖国神社の骨董市で杉本さんが、沈みゆく潜水艦の中で書かれたのであろう、ある日本人兵士の遺書を手に、語られました。
杉本「ついこないだの戦争のことを私たちは知らないわけです。その時代の人がどう思っていたのか、なぜこんな遺書を書いたのかが、物から直かに伝わる。実際にその時に作られたものを(骨董品を買って)所有して、触りながら実感すること。その物と一緒に暮らすことで、その時代がどんどん(自分の中で)咀嚼されていく。そうすると、歴史が一回、自分の中で蓄えられて、もう一度咀嚼するうちに、自分なりの形というものが出てくる。だから何かを真似するのではなく、一回、先人が通ってきた道を追体験することを(私は)常にやっているんです。」
恥ずかしながら杉本さんのことは全く知らなかったのですが、昨年、杉本さんが演出された文楽を拝見し、興味を持ちました。あの公演に誘ってくれた友人に感謝します。
杉本「アートとは、目には見えない精神を物質化することである。」
【オーディション】バストリオ「新作映画と舞台のためのワークショップオーディション」04/06-07※04/04〆切(メールのみ)
今野裕一郎さんが作・演出されるバストリオのワークショップ・オーディション情報です(⇒過去の告知エントリー)。映画と舞台を製作されるそうで、その両方の出演者募集となっています。
バストリオはF/T12公募プログラムの第一次選考通過者です。下記情報は主催者からご提供いただきました。ご興味ある役者さんはどうぞ。
■バストリオ「新作映画と舞台のためのワークショップオーディション」
映画『リンダは嘘つかない(仮)』映画撮影|5月を予定
舞台『Very Story, Very Hungry(仮)』公演期間|8月を予定
作・演出・監督:今野裕一郎
日時:2012年4月6日(金)、7日(土)17:00~21:00
参加費:二日間で1,500円
応募〆切:4月4日(水)
■バストリオ「新作映画と舞台のためのワークショップオーディション」
●日時
2012年4月6日(金)、7日(土)17:00~21:00
※基本的に二日間通しての参加をお願いしますが、どちらか一日だけでも大丈夫です。
●参加費
二日間で1,500円
●募集対象
年齢・性別・演技経験不問。映画や演劇に興味がある方。[舞台に関しては、2012年6月末からの稽古から2012年8月の公演終了まで参加出来る方]
●備考
公演に際しチケットノルマはありません。
●選考方法
※二日間のワークショップオーディションの後、作品に出演して頂きたい方には後日ご連絡します。
●応募方法
1、履歴書(書式自由) 2、応募動機 3、顔写真
を添付の上件名を「ワークショップ応募」と記してinfo(アットマーク)busstrio.comにメール下さい。
追って詳細を連絡します。
※応募者数が多数の場合は書類審査を行いますのであらかじめご了承くださいませ。
また、映画制作スタッフや、舞台公演での演出助手、制作スタッフなども募集いたします。ご興味のある方はinfo(アットマーク)busstrio.comへお問い合わせください。
●応募〆切 4月4日(水)
●作品概要
映画『リンダは嘘つかない(仮)』
舞台『Very Story,Very Hungry(仮)』
作・演出・監督|今野裕一郎
映画撮影|5月を予定
公演期間|8月を予定
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年03月19日
【写真レポート】SPAC「ふじのくに⇔せかい演劇祭2012」記者発表03/16東京日仏学院エスパス・イマージュ
演劇祭チラシ
今年もSPAC・静岡舞台芸術センター(⇒公式ツイッター)で「ふじのくに⇔せかい演劇祭」が開催されます。今年は10カ国による12演目を上演。⇒Web静新 ⇒SPAC公式ブログでこのレポートが採り上げられました(2012/03/27)。 ⇒地方発・世界へ。『ふじのくに→(←)せかい演劇祭』で黒田育世が新作を上演(2012/03/29追加)
昨年は震災の影響でプログラムが次々と変更になりましたが、とても刺激的で決して忘れられない、人生観を揺り動かしてくれるほどの作品に出会えました。2011年の私的観劇ベストテン中の2作品(レビュー⇒1、2)が、昨年の「ふじのくに⇔せかい演劇祭2011」で観たものです。
静岡生まれの絵本作家スズキコージさんによるポスター原画は、富士山の周りに奇妙な動物(?)が集まって遊んでいるみたい。今年も静岡で未知の世界と邂逅し、初めて味わう感覚、感情に心身を浸してみたいとワクワクしています。
●SPAC「ふじのくに⇔せかい演劇祭2012」
2012年6/2(土)~7/1(日)@静岡芸術劇場、舞台芸術公園など
・前売りチケット:4月15日(日) 10:00から発売!
ステージ数が少ないですのでご予約はどうぞお早めに!
・『THE BEE』は完売。学生席は4月15日より発売。
記者発表の写真↓(左から敬称略:黒田育世、宮城聰、アナ・スティースゴー)
※長いレポートですので、写真を目印にして、気になる演目からご覧になってみてください。
■静岡から直接、世界の芸術文化に寄与したい
宮城「SPAC(スパック)は日本で初めての劇団と専用の劇場を持っている公立劇場として、1997年に実質的にスタートし、今年で15周年になります。早いもので僕が静岡に引っ越して5年が経ちました。最初の10年は初代芸術総監督の鈴木忠志さん、その後に僕が5年やってきたことになります。日本のさまざまな分野での東京一極集中を打破しなければならないというのが、鈴木さんの大きなテーマだったと思います。ひいては日本全体を衰弱させてしまうことだから、脱却しなければならない。世界の芸術文化について日本から貢献したい、それも地方自治体が、東京を通過するのではなく直接世界に対して寄与できないかという、高邁ともいうべき理想をかかげてらっしゃいました。
昨年から「Shizuoka春の芸術祭」を「ふじのくに⇔せかい演劇祭」という名称に変えました。これもSPAC設立の理念のひとつである、世界の人々に対して一地方が、静岡が、直接世界に寄与できたらいいなという願いをかかげております。東京だけが祖国を背負って、他国の国旗を背負った地域とカウンターパートとして交流するのではなく、日本の中のひとつの地域である静岡が、他国のひとつの地域と交流していく。場合によってはパリやベルリンという大都市だったりするかもしれませんけれども、地域間の、または人と人との交流を活発にしていきたいという願いを込めています。ささやかながら世界の芸術文化に静岡から寄与できればいいなと、そんな夢を抱いております。」
芸術総監督の宮城聰さん
■国旗と国旗ではなく、人と人とが交流するのが国際交流
宮城「昨年3月11日の震災、そして原発事故があって、6月のわれわれの演劇祭でも他国から訪れてくださる方々が非常に心配されまして、プログラムのさまざまな変更などもありました。しかしその時に痛感いたしましたのは、アーティスト同士の友情で結びついた関係というのは、おいそれと壊れるものではないということ。むしろこういう状況だからこそ日本に居て、静岡で上演したいのだという熱い気持ちをたくさん感じることができました。その時、先ほど申し上げましたように国旗と国旗が交流するのではなく、人と人とが交流するのが国際交流なのだとつくづく思ったわけなんです。
今年も世界から、そして日本から色んな友人たちが静岡にやってきてくれる。それが今年の演劇祭のおおまかなテーマのようなものです。日本そして世界の友人が静岡に集まってくれることについて、昨年の震災以降つくづく考えたことなんですけれども、演劇や劇場とは、日常に対しての非日常だとされたり、イベントっぽさや事件性があって、演劇は日常の裂け目のようなものとして上演するのだというイメージが、それまでの僕の中に強くあったんです。ところが実際に日常の裂け目のようなものが、自然災害あるいは原発事故という形で目の前に立ち現われてくると、逆に劇場という、アーティストが居る家みたいなものが、静岡という地域コミュニティーの中にずーっとあるということ、みんなが普段忘れている時でも、ずっと劇場というものがあり続けていることに、劇場の本質があるのかなと、ちょうど反対のようなことを感じるようになりました。」
■変わり者が地域に居続けることが、その地域の人々の心を支える
宮城「演劇をやっている人というのは、単純に言っていまえば、今のシステムになじめない人たちです。今の日本なり、世界なりのシステムにどこか齟齬を感じて、うまく自分にフィットしないな、生きづらいなと感じてる人たちが、演劇人になっていると思います。そういう人たちがいる場所、つまり劇場が、コミュニティーの中にずーっと存在しているということ。このコミュニティーに違和感を抱いている人も、このコミュニティーの中にずーっと居るんだということが、むしろ地域の人々にとって、(生活の)根底をなす安心感を形成する役に立っているのではないかと考えるようになりました。僕は昔から、劇場はかつてのお寺のようなものではないかと申し上げてきました。それと同じことです。
一般の人たちは今日と同じ明日があるという前提の中で働き、家庭を営んでらっしゃいます。でも演劇というのは一回一回終わってしまう、一回一回滅んでしまう、決して同じことが起こらない芸術です。だから劇場にいる人は、今日と同じ明日があるとは限らない、今日と同じ明日はないんだという前提で生きています。そんな人間がこの地域コミュニティーに、少数だけど常にいるということが、他の人々の心の文鎮(ぶんちん)になっているんじゃないかと、震災後、強く感じました。そんなわけで、SPACという変わり者が住んでいる家に(笑)、友達が遊びに来てくれる。そういうイメージの演劇祭にしたいと思っています。」
【1】SPAC15周年記念作品『マハーバーラタ~ナラ王の冒険~』 ⇒2003年レビュー ↓舞台写真:内田琢麻
宮城「2006年にパリのケ・ブランリー国立博物館内クロード・レヴィ=ストロース劇場のこけら落とし公演として、かつての僕の劇団ク・ナウカが上演したものです。『マハーバーラタ』は古代インドの叙事詩で、インド人にとっては教科書のようなもの。いわば聖書のようなものと言っていいのかもしれません。さまざまな知恵や、言語そのものを勉強する教材だと思うんですが、その中のごく一部分に『ナラ王物語』があって、それ自体が『マハーバーラタ』の要約にもなっているという、非常に面白い作りなのです。『マハーバーラタ』を短く要約したものが『ナラ王物語』なんですね。
平安時代の日本に『マハーバーラタ』がもし伝播していたら、当時の日本人はどのような絵巻物を描いただろうか、という発想で演出いたしました。文化・芸術というのは相互の交流と、お互いが出会うことによる変容によって進歩するものだと、僕は考えます。例えば日本という小さなフラスコの中で純粋に培養されたのが日本の芸術なのではなく、他国のいいものと日本の気候、風土や日本語が出会って、いいとこどりのようにして洗練されていくのが芸術である、世界中の芸術がそういうものだと僕は考えています。インドのジャータカ神話という仏教説話集が平安時代に日本に入って来て、今昔物語の天竺編になりました。それと同じようなことがもし『マハーバーラタ』で起こっていたら、当時の日本人がどうイメージしただろうか、というのがコンセプトです。」
【2】SPAC『ペール・ギュント』 ⇒2010年レビュー ↓舞台写真:橋本武彦
宮城「『ペール・ギュント』は僕がSPACに来てから作った比較的新しい作品です。『マハーバーラタ』も『ペール・ギュント』も、自分の出番じゃない時に俳優たちが演奏エリアに行って生演奏をするのが共通するところです。『マハーバーラタ』は僕がク・ナウカでやっておりました、語りと動きを分けるというスタイル。二人一役(ふたりひとやく)と呼んでました。『ペール・ギュント』は言動一致体、すなわち語りと動きを一人でやるスタイルです。まあスタイルというか、つまり普通です(笑)、言動一致の芝居です。
日本の明治維新、ちょうど近代が始まった頃に、イプセンによって『ペール・ギュント』は書かれました。面白いことに戦前の日本人は同時代の芸術や演劇に、とてもアンテナを貼っていたんですね。だから『ペール・ギュント』も書かれてさほど遅れていない時期に日本で翻訳されています。ところで今は、国会図書館のデータベースがインターネットでダウンロードできるんですね、僕は本当に驚きました!
『ペール・ギュント』は一人の田舎の青年が一種、“成り上がっていく”お話です。それを日本という近代国家が生まれて、世界というフィールドの中で徐々に“成り上がっていく”、明治から昭和前半までの歴史に重ねてみたのが、僕の演出した『ペール・ギュント』です。」
※記者発表後に個人的に質問をしました。
しのぶ「『マハーバーラタ』と『ペール・ギュント』の出演者オーディションはどうなりましたか?」
制作「予想よりかなり多くのご応募があり、オーディションの日程を1日間から2日間に増やしました。2作品で約50人の俳優に出演していただくことになりました。」
【3】プレイベント『旅』 ⇒詳細 ↓演目写真:ROBERTO PALERMO
解説「自転車に乗った謎の演劇集団がイタリアからやってくる!劇場で行われない屋外ストリート・パフォーマンス。歌、楽器演奏で詩情豊かな世界を繰り広げます。演劇祭プレイベントとしてゴールデンウィークに静岡県内で無料上演。」
アナ・スティースゴーさん
演出・脚本のアナ・スティースゴー「来日してまだたった3日間ですが、すでに5か所の上演予定地を見て回りました。掛川の道はとても小さいんです。でも静岡文化芸術大学構内は掛川とは全く違っていて、同じ県内だとは思えないぐらい個性豊か。作品を場所に合わせて作り替えていく作業を楽しんでいるところです。」
宮城「作品を観た時、イタリア語なので僕には言葉が理解できませんでしたが、ポエジーにあふれていました。若い俳優たちの、観客に直接投げかける訴えというか、自分の気持ちをわかって欲しいという直接的なエネルギーが伝わってきて、しかもそれが暑苦しくならず、風景の中に詩として抽象化されて、残像のように残っていくんです。お客さんも俳優と一緒に移動していくんですが、ひとつひとつの場面が、一枚一枚の絵が、美しいイメージのように目の裏に残っていく作品でした。」
質問「風景を取り入れる意味を教えてください。場所が変わることで何をしたいのか。」
スティースゴー「路上で上演することには多くの意図が込められています。3つご説明いたします。
路上では観客に出会うことができます。それは劇場ではできないことです。イタリアの路上で上演した時、普段は絶対に劇場には行かない方々が私たちのパフォーマンスを観に来てくれました。普段劇場に来ない人を引き込む意図があります。
また、観客とだけでなく、個人のお宅の庭や家、駐車場といった固有の場所で、そこにゆかりのある方々と出会えます。そのような人との出会いが重要な側面としてあります。
個人的なことですが、現代社会に生きる人間の傾向として、盲目になっているということがあります。道に出て近所を散歩する時でさえ、視野が狭まっているのではないか。こういった路上パフォーマンスを体験することで、“環境で遊ぶ”、“環境を遊ぶ”、あるいは“自分の目を開く”という体験ができます。
パフォーマンスの中でジャケットが風船に飛ばされていく幻想的な場面があります。普段見慣れている風景を、普段通っている道をちょっと別の角度から見ることになり、非常に興味深いと思います。そんな風に日常を異化する視点を提供できれば、私たちの試みが成功したことになりますね。」
【4】『おたるどりを呼ぶ準備』 ⇒「黒田育世ロングインタビュー&ルーツ」(2010年)
↓過去作品『あかりのともるかがみのくず』舞台写真:石川純
解説「昨年のF/T11『何もない空間からの朗読会』でワーク・イン・プログレスの形で発表された作品です。伊丹アイホール、愛知芸術文化センターとの共同制作として静岡で世界初演を迎え、10月末から伊丹、愛知、東京でも上演されます。
黒田育世さんは2003年に、ダンスカンパニーBATIK(バティック)としてSPACのダンスフェスティバルに参加して、優秀賞を受賞。今回はその時以来となる静岡公演で、BATIKの10周年記念作品でもあります。」
黒田育世さん
黒田「タイトルについてご説明します。“おたるどり”は造語です。“踊る”の語源が“おたる”だと聞きました。喜びでも悲しみでも憎しみでも、体が満ち足りた時に自然に体が動き出す。それを昔“おたる”と呼び、時を経て“踊る”になったのだと。それはきっと本当に違いないと信じました。その“おたる”が鳥になって“おたるどり”。
私は強烈な閉所恐怖症でして、死んだらお棺に入るのも土葬も無理だと思うんです。だから風葬か鳥葬にして欲しい。でも海でおぼれた経験もあるので(風葬ではなく)、鳥葬が合ってると思います。“踊る”の根本の部分である“おたる”が一番あどけなかった時の“鳥”(=おたるどり)が、私の肉をついばんで世界各国に、先ほど宮城さんがおっしゃったように、国旗や国境線も関係なく飛んで行って、色んなところで排泄をして、私の肉が花になったりお野菜になったりして、また皆さんに食べていただけたら。そういう思いで“おたるどり”という造語をつくりました。
“呼ぶ準備”というのは、先ほど申し上げましたようにお棺に入ったり、体が鳥に食べられてなくなったりして、私は“死”を、体がなくなる時を、いずれ迎えると思うんですけれども、その時まで“おたるどり”という一番あどけない時を呼び続けているような、そんな生き方をするのだと思うんです。私が踊りを始めて体がなくなるまでを、そのまま舞台に作品としてのせさせていただくこと。それがタイトルに込めた意味です。」
宮城「鳥葬はチベットに行った時に一度見たことがあります。最後は空に、世界に戻っていくんですね。ダンスって重力との付き合いというか、闘いですよね。黒田さんは最後の最後まで重力との付き合いをされていくんだなと思って聞いていました(笑)。
僕が舞台芸術をやっている根本のエレメントのひとつは舞踏で、舞踏の考え方に非常に影響を受けておりまして。面白いことに、黒田さんの踊りは僕が舞踏と呼んでいるものに、どこか似てるんです。デビューされて間もないころからとっても注目していたので、今回も楽しみです。」
質問「4か所ツアーの内、静岡だけが野外です。野外劇場『有度』でやってみたい試みなどはありますか?」
黒田「公演日程が6月30日、7月1日なので、(梅雨だから)絶対に雨が降ると予想をしておりまして。『花は流れて時は固まる』という作品では舞台面側に流した川にざぶざぶと入る振付で、床がつるつるになってしまって、恐怖の中で踊るような感じだったんです。それをやる覚悟でつくらなければならない。逆手に取れないかと考え、人工芝を使おうかと思っています。すごくきれいな森の中に、人工芝がある。非日常の中のリアル・・・って私が語れることではないかもしれませんが、嘘臭いものに、すごくしびれるんです。・・・好き!って感じになって(笑)。本当の森の中に人工芝を敷いて、嘘くさい何か、リアリティーを訴えるより、もっと無反省な、あどけないことが、できるといいなと思っています。劇場の下見に行ったのですが、口笛を吹いたら鳥がさえずるような、素敵な場所でした。」
質問「昨年3月11日に起こった東日本大震災を題材にされていますか?」
黒田「一昨年の12月から考え始めた作品ですので、3月11日から着想を得たわけではありません。3月11日は建物の2階にある喫茶店で構想を練っていました。そしたらすごく揺れて、他のお客さんは一斉に走って1階へ逃げて行きました。あるおばあさんが一人だけ座っていたのに誰もケアしないので、私が『大丈夫ですか?』と駆け寄ったら、おばあさんはカフェオレをずっとスプーンで混ぜてらっしゃって・・・(地震に)気づいていらっしゃらなかった(笑)。『ああ、私もこうありたいな』と思いました。人間にとっては毎日がクライシス、毎日が死ぬ準備のようなものだと思うのですが、それをいかにあどけなく、いかに否定だけに飲みこまれず、踊っていけるか。3月11日は、おばあさまが教えてくだったことがありましたので、制作の途上での素敵な出会いはありました。」
【5】『THE BEE』 過去レビュー1、2 ↓(2007年 日本版初演 舞台写真)撮影:谷古宇正彦
解説「マスターピースと呼ぶにふさわしい野田秀樹さんの作品です。2006年の英語版に続き、翌2007年に日本版も上演され、その年の演劇賞を総なめ。SPAC芸術総監督の宮城と野田さんとの対談にもあった“公立劇場の横のつながりを広げていく”という試みが今回実現します。ワールドツアーを経て静岡でツアーファイナルを迎えます。」
※前売り完売。当日券のみ。学生券は4月15日から発売。
中央は野田秀樹さん
野田秀樹ビデオメッセージ「作・演出と、井戸役を演じます野田です。英語版がおととい終わったばかりで疲れた顔をしています(笑)。日本語版は東京、大阪、松本、北九州をまわり、そして静岡がトリになります。海外版の評判が良くて、上演を重ねる内にどんどんクオリティーが上がったので、日本版はハードルが高くて心配ですが(笑)、静岡に行く頃には大丈夫だと思います。
30年以上芝居をやってきて、自分の作品の中に嫌いなものはないんですが、やはり後から振り返ってみて大切な作品だったとわかるのは数作品あって、『THE BEE』はその内のひとつです。自画自賛ですが、世界に通用する質を持った芝居だと思っています。
日本の役者さんだけでなく海外の役者さんやスタッフたちがかかわってきた時間が、すべて積み重なって、最後に静岡に到達する。長い、巨大な時間が着陸するイメージです。演劇というのはその翌日にはなくなっている空しい行為ではありますが、前日までは人間のものすごい活力で、精力込めてつくられたものなので、ぜひ観に来てほしいです。」
宮城「僕が中高一貫の学校の中学1年の時に野田秀樹さんが高校1年で、演劇部の公演をされていて、生まれて初めて観たのが野田さんの演じる舞台なわけですから、野田さんがいなければ今ごろ演劇はやっていなかったので・・・コメントはありません(笑)。」
【6】オリヴィエ・ピィの『<完全版>ロミオとジュリエット』 ↓舞台写真:Alain Fonteray
解説「パリのオデオン座芸術監督のオリヴィエ・ピィ演出による、シェイクスピア作『ロミオとジュリエット』です。ピィ自身が原作の韻文をひとつの詩として、可能なかぎり忠実に翻訳した新作で、原作にあふれる奔放なユーモアや猥談を<完全>に上演。“演劇は世界を変える”というコンセプトを宮城と同じくするピィのオデオン座は、SPACに3度目の登場となります。」
宮城「オリヴィエ・ピィは僕より少し若いんですが、僕にとっては現存するアーティストの中で、非常に影響を受けている演劇人です。彼はたぶん今の世界の演劇の潮流の中では、異色の演劇人だと思います。反時代的な、あるいは時代錯誤的なアーティストだとご自身もおっしゃっていました。
言葉は俳優の武器ではない。演技とは言葉を聞く行為である。言葉は上から降りてきて人間を変えてしまう神の手のようなもので、俳優が舞台上でしゃべる行為とは、神の業(わざ)を自分自身に受肉する、受けとめるものである。俳優がしゃべるということは、俳優が誰かに影響を与えたくてやることではなく、しゃべることによって俳優自身が変わって行ってしまうことである。彼はそういう演劇観なんです。僕は非常に共感するというか、自分と同じようなことを考えている人がいることに励まされました。
彼は演出だけじゃなくて本も書くので、既に僕は彼の本を3本も演出しております。今作もオデオン座で観て非常に素晴らしかったので、皆さんに観ていただけることがとても楽しみです。」
【7】『ライフ・アンド・タイムズ―エピソード1』 ↓舞台写真:Reinhard Werner-Burgtheater
解説「“あなたのライフストーリーを教えて”と言われて、16時間しゃべり続けた女性の語りを、一語一句残さず歌詞にして舞台化。全エピソードが完成すると24時間におよぶ大作になるそうです。『ライフ・アンド・タイムズ―エピソード1』は、語り手の幼少期を再現したお話で、誰もが幼いころに経験したおぼえのある些細な大事件を、ありのままの日常を、歌い上げます。それだけで感動を呼ぶユニークな作品が、日本初上陸します。」
※記者発表後に個人的に質問をしました。
しのぶ「ごく普通の生活をミュージカルにした作品のようですが、どんな魅力があるのですか?」
宮城「半径1.5m以内の極狭い、狭い世界の、本当にたわいのない話なんです。日本だと『ちびまる子ちゃん』が近いかも(笑)。アメリカのブルックリンでつくられた作品で、特に美男美女が出てるわけではないけれど、配役が絶妙なんですね。
首都圏のゼロ年代の若い演劇人は“観客はきっとわかってくれるだろう”と思って、いわゆる狭い世界を描く作品を作っている。実際、首都圏の観客はそういう作品に共感する人も多いでしょう。でもこの作品の作り手たちは“誰にも伝わらないだろう”と思って作っている。“もしかしたら外国にはわかる人もいるんじゃないか・・・”ぐらいの気持ちで。それをパワフルに歌いあげて、実際に世界に通用するレベルの作品になっているんです。だから日本の若い演劇人にぜひ観てもらいたいです。」
【8】『春のめざめ』 ↓舞台写真:Marc Vanappelghem
解説「コロンビア出身でスイスで活動するオマール・ポラスは、SPACと縁の深いアーティストの1人で、今回で9度目のSPAC登場となります。昨年は震災の影響で来日予定メンバーが渡航を断念する中、1人で来日を敢行。SPACとともに16日間で作品を再構成して上演し、体ひとつで演劇ができることを証明しました。
ポラスの『春のめざめ』は昨年11月に初演された新作で、ヨーロッパツアーを経て日本に初上陸します。ブロードウェイや劇団四季でのミュージカル版も有名なドイツ戯曲を、魔術的な演出でお楽しみください。」
【9】『キリング・フィールドを越えて』 ↓(C)TheatreWorks (Singapore)
解説「カンボジアの伝統的影絵や映像を使って不条理な時代の真実を描く、重たい内容の作品です。宮廷舞踊の踊り手を主人公に、苦難の記憶を舞台化。キリング・フィールドとはポル・ポト政権下の刑場跡の俗称で、出演者はみんなポル・ポト政権の弾圧から生き残った人たちです。アジアの注目演出家オン・ケンセンが構成・演出を手掛け、ドキュ・パフォーマンスと呼ばれる独自の手法で重要なテーマを描きます。古典表現と映像表現の融合も見どころです。」
※記者発表後に個人的に質問をしました。
しのぶ「ポル・ポト政権の圧政の事実を描く演劇を、なぜ今、日本で上演するのですか?」
宮城「僕はまず、日本人に観てもらいたい作品を招聘したいと考えています。いい作品だとわかっていても、他のフェスティバルではタイミングや話題、時期など色んな理由で呼ばれないことがある。そういう時にSPACで呼べたらと思っています。」
【10】『アルヴィン・スプートニクの深海探検』 ↓舞台写真:Marc Vanappelghem
解説「オーストラリア注目の鬼才、ティム・ワッツによる驚異のソロ・パフォーマンス!温暖化のため滅亡寸前となった地球で、再愛の妻の魂を追って旅に出たアルヴィン・スプートニク。やがて深海探検の大冒険が始まります。手書きアニメーションと指人形、歌唱、ウクレレの演奏に生身の演技など、すべて1人でこなすファンタジックなパフォーマンスです。“高予算のブロードウェイ大作を凌ぐ興奮!”と評された作品が、静岡で日本初演を迎えます。」
【11】映像『スカラ=ニスカラ ―バリの音と陶酔の共鳴―』
解説「55分間の映像作品です。バリ島のトランス祭祀や儀礼は、アルトナン・アルトーをはじめ様々な芸術家に影響を与えており、現代演劇を理解する上で不可欠な存在と言っても過言ではありません。」
【12】音楽演奏『ソウル・オブ・ソウル・ミュージック』
解説「古くて新しい韓国伝統文化を伝えてくれる2人の演奏家が、ソウルから来日します。古典楽曲に加えて現代的な要素を加えた新曲も披露。多くのアーティストを魅了してきた神秘的な空間・楕円堂で、悠久の音楽を体で感じてください。」
■質疑応答:5年間の活動の成果について
質問「宮城さんが静岡で5年間活動されてきて、具体的に世界とつながったことで、結果として地域にどんな影響を作りだすことが出来たのか教えてください。」
宮城「5年間の具体的な成果というと口はばったい感じがしますが、たぶん以前は静岡でアーティストになりたいと思った若者は、ほぼ全員東京に行ったと思うんですね。でもその必要はないんじゃないかというのが僕の考えです。静岡ではサッカーのたとえをするとわかりやすいんですが、世界で活躍するサッカー選手になりたいと望む静岡在住の少年は、静岡のチームに入って次に進むことを考えるんです。でも芸術では、若くて芸術的な野心があふれてくると、若者は東京へ行っちゃうと思うんですね。でもこの5年間で少しずつ、静岡に居たままアーティストになれると考える子供は増えていると思っています。高校生ぐらいの子どもが、何も東京に行かなくていいじゃないかって思ってる。」
宮城聰さん
質問「高校ごとの鑑賞会も実施されていますね。」
宮城「SPACがなければ一生劇場に来なかったような子供たちが、SPACの芝居を観に来てくれています。今SPACでは、学校に演目のメニューを提示して『入場無料でご招待します、バス代も補助します』と言って、県内のいろんな地域から学校単位で観に来てもらってるんです。
芝居はテレビに比べるとはるかに複雑ですから、子供たちは面白かった、泣いた、笑ったという単純な言葉ではなく、『なんだかよくわからなかった』という感想を持つ。でも帰りの彼らの顔をみると、間違いなく興奮しているんです。来た時は劇場に全く興味がなさそうで、やる気もなく、パンフレットは必ず丸めて棒状にして頭を叩く道具にするし(笑)。本当に、毎回必ずするんです、人間の本能なんでしょうかね(笑)。でも劇場を出る時には、興奮して顔を紅潮させて帰っていく。そういう様子を見てると、面白かった、泣いた、笑ったという言葉の引き出しに入れられないからこそ、言葉にできないからこそ、その体験は薄いあざのように体の中に残って、きっと心の奥底で、何がしかを考えるんじゃないか。一生に一回ぐらいは。彼らの帰りの様子を見ると僕はそれを信じられる。形になるのは20年後だと思います。でも着実に何がしかの種が蒔かれているという感じがします。」
■しのぶよりひとこと
SPACの演劇祭の記者発表に伺うのは4度目です(過去エントリー⇒1、2、3)。毎年同じ時期に、同じ東京日仏学院でSPACの演劇祭の取材ができることが、私にとって、とても、とても大切なことだったのだと、やっと気づきました。昨年の震災と原発事故、そして個人的なことですが2月の体調不良と、自分の人生と生活を再設計せざるを得ないことが起こり、心の底から「これからどうなるかわからない」と思ったからなのでしょう。
宮城さんはじめSPACのスタッフ、俳優の方々、そして壇上のアーティストの皆さんが、いつもどおりの“変わり者”で居続けてくださっていることを、嬉しく、ありがたく思いました。この記者発表も私にとってはお寺へのお参りのようなもので、SPACを観劇することは教会での礼拝と同じなのかもしれません。でも堅苦しい気持ちは抜きにして、わくわくドキドキを求めて静岡に行きたいと思います。
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年03月18日
CARE-WAVE『ノンフィクションミュージカルCARE-WAVE AID Vol.4 被災地の子ども達による【平和宣言3・11】』3/17(土)日本青年館・大ホール
先日、福島県のあさか開成高校の作品を拝見してレビューを書いたところ、顧問の先生から直接お誘いをいただき(→ツイート)、観に行きました。『この青空は、ほんとの空ってことでいいですか?』に出ていた方々にまたお会いしたい、そして彼らの伝えたいことをまた聴きたいと思ったからです。
「東日本大震災および福島第一原発事故の被害に遭っている子ども達の声を届ける」ことをメインテーマとしつつ、貧困ゆえの人身売買やアフリカの少年兵の問題など、海外における子どもの虐待についても描かれていました。「CARE-WAVE AID」はVol.4ということなので、そういう慈善活動を継続されているんですね。
休憩15分を含む約3時間という長丁場で、私が最も心動かされたのは、福島県で音楽活動をされている浪江町出身バンド「涼風」の歌でした。⇒twitter上にお写真がありました。
ロビーでは、Youth United (高校生ボランティア)が、福島県の子供の絵を缶バッチにして1個100円で販売していました。⇒facebookページ 宮城・岩手には1295人の震災遺児がいて、福島では1000人以上の子供の甲状腺から放射性ヨウ素が検出され、約10人に甲状腺機能の変化が見られるほど子供たちの健康が脅かされているとのこと。
⇒CoRich舞台芸術!『被災地の子ども達による平和宣言3.11』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
「怒りの巨人」が練り歩くその足音は、連日のように日本全土に鳴り響いた。
しかし、その足音に怯える大人たちの中にいて、子ども達は
「巨人」の目に一滴の「涙」を見た・・・・
子ども達はその「涙」をそっとすくい上げ、「涙」の「真理」を読み取った。
そして・・・・今・・・・子ども達は静かにそして力強く立ち上がった!!
『日本よ、目を覚ませ!』
『僕らの声に、心の扉を開け!!』
ミュージカルや演劇を愛する、被災地3県の子ども達と徳島の子ども達が心を一つにし
『使命』を持って集まりました。「日本の未来」「世界の平和」のため、
東日本大震災が私達に投げかけたメッセージとは何か。大人たちは何を学ぶべきか。
をプロの俳優やミュージシャンと共に、子ども達の目線で鋭く訴えます。
≪ここまで≫
チャリティー公演なので奮発してS席5000円を購入。開場中、受付にはチケット予約者の長蛇の列ができており、さまざまな不手際もあって、当日券受付に並び直しました。すぐに差し出された前売券と同額の当日券を買ったところ、舞台にごく近い前方とはいえスピーカーの目の前の下手端の席・・・(涙)。他にも空席はあるのに、なぜこんな席を先に売るのかなぁ等々、開演前に気持ちが萎えてしまったのですが、なんとか気を取り直して観劇しました。
被災地の子供たちの言葉は実体験そのものなので、あらがいようのない説得力がありました。あさか開成高校演劇部の生徒は6人出演されていて、先日の小劇場での公演に引けと取らない堂々とした演技をされていました。出番も多くてびっくり。高校演劇経験者は大きなステージに慣れているのかなぁ~などと考えつつ、感心しました。
第二部のアフリカの医療、少年兵問題を採り上げる場面は本格ミュージカルらしい完成度があって、作品としてじっくり鑑賞できました。
まあ、予想はしていましたが“啓蒙目的のミュージカル”は苦手なので、入って行けない時は気持ちをそらすようにしました。「なぜ気づかないの?!」と叫ばれても・・・。少なくともこの会に集まった観客は、気づいてる方の人が多いんじゃないのかしら。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
【第一部】
劇場が暗くなるなり、ゴゴゴ・・・という低い音と爆発音で開幕。この時点で私とはセンスが合わないと思いました。チェルノブイリ原発事故の被害者たちが、歌と演技で「放射能は何年も先に私たちを襲う」と激しく訴えます。そして福島の子供たちが出て来る演出でした。
あさか開成高校の今野健太さんが長袖長ズボンに、N95マスク、ゴーグル、ニット帽をかぶって登場し、「これが僕の通学スタイルです。笑われても、やめない。だって目に見えなくても、におわなくても、放射能はここにあるから」と述べました。「学校の風景も空の色も変わらないけれど、設置された線量計はいつも振り切れている」「私たちの体は時限爆弾を抱えてしまったのかもしれない。でもその時限爆弾の時間を遅らせることはできるんです」など、10代の子供たちが語りかけます。死が予想よりも早く訪れるかもしれないと覚悟した、いえ、無理やりその覚悟を強いられた子供たちの堂々とした姿、言葉は、硬い岩のような重量感を持って、ずしりと届きました。首都圏に放射性物質が到着した昨年3月15日、私は外にいましたから、他人事ではありません。
映画「アレクセイと泉」についても語られました。ベラルーシのある村に、チェルノブイリの放射能に汚染されない湧水があり、今もそこに人が住み続けているそうです。
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「私は福島で生まれ、育ち、福島で子供を生み、育て、福島で眠りにつく」と憂いを含んだ知的な笑顔で、ゆるがない存在感でもって語られたのは香西佳奈子さん。凛として美しくて目が釘付けになりました。先日のお芝居での、今野さんとの2人の場面も素晴らしかったんです。
宮城県の気仙沼の子供たちと四国の徳島県の子供たちが、昨年夏に合同ミュージカルを発表したそうで、その紹介がありました。作品は苦手なタイプでしたが、遠く離れた地域に暮らす子供たちが一緒に舞台をつくって、交流したことには大きな意味があったのだろうと思いました。
岩手県の大船渡の少年が「なぜ今、首相を交代してるんだ!政府は何もしてくれなかった!」と怒りの声を上げました。私もそのように感じてはいましたが、実際に津波の被害に遭われた方の、生の、本気の言葉を受け取って、怒りの核の部分を体で感じることができました。私にできることは何か。まずは正しいと信じられる情報を入手し、声を上げることだと思います。
【第二部】
100ウォンで自分の娘(幼女)を売ろうとする父親の話。そしてタイで起きた水害のこと。「同じ肌の色なのに、こんなに近くの国なのに、同じアジア人なのに、なぜ無視するの?!」と、子供たちに言わせるのはおかしいと思いました。肌の色や国の地理的近さ、人種などは関係ありません。
続いてアフリカの難民、医療、少年兵について、わかりやすくドラマティックに伝えるミュージカルが上演されました。非道な反政府軍を演じる大人の男性の演技が生半可なものではなく、本当に恐ろしいと思わせてくれたので、彼らに襲われ虐待される子供たちにも感情移入できました。
一部の人間が富を搾取し、全てを奪われた人々が難民になり、赤ん坊は飢餓と病気で長くは生きられず、少年・少女は反政府軍に拉致・誘拐され、洗脳されて前線の兵士にされます。強姦されて子供が生まれ、2人の子育てをしながらも人殺しをさせられ続けた少女マリア(三宅文子)、両親と妹を自らの手で銃殺させられた少年ポール(今野健太)のエピソードなど、実話であることをにわかには信じられないほど悲惨なものでした。
アフリカのミュージカルの後はソロ・コンサートのように1曲ずつ聴かせて、やがてフィナーレ。「希望の種をまこう」「夢をあきらめずに」的な、おおざっぱなセリフや歌詞には閉口せざるを得ませんでした。ジョン・レノンの「イマジン」は名曲ですが、安易に使わない方がいいと思います。偏見かもしれませんが、ミュージカルによくある、観客を無理やり引き込む祝祭ムードも苦手でした。
フィナーレ直前に男性デュオ“涼風”の演奏がありました。いわば犬猿の仲だったミュージシャンのお2人が「自分たちが対立していても仕方がない、むしろ協力しよう」とデュオを結成し、避難所ツアーを経て現在は仮設住宅ツアーなども行っているそうです。舞台に向かって左側の門馬よし彦さんが、「負けていられない、とみんな思ってる」とおっしゃいました。2人の男性によるギターの弾き語りで、曲目は「願い」。最初の歌詞が(正確かどうかわかりませんが)「夢だったらいいのにと思って、毎晩目を閉じるよ」でした。私が泣いても仕方がないのですが、どうしても涙がこらえられませんでした。
門馬さんご自身も市営の仮設住宅にお住まいです。門馬さんは原発で働いた経験があり、お父様はもともとの職場だった福島第二原発で今も働いてらっしゃいます。
門馬「一番注目して欲しいのは、現場の人たちだと思います、僕は。」
CARE WAVE AID Vol.4
出演(子供):福島県あさか開成高校演劇部(香西佳奈子、富永直樹、今野健太、鹿又由菜、坂路心、成山絵里香)、岩手県大船渡高校演劇部(佐藤夢乃、泉田あずさ、三浦昴)、宮城県気仙沼演劇塾『うを座』(白幡真菜加、千葉杏奈、阿部絵梨香、畠山沙樹、畠山光穂、畠山芽依、畠山友依、鈴木沙耶、鈴木隆斗、斎藤芽衣、鈴木麻優、鈴木菜々)、徳島県阿南市民劇団『夢創』(仁木萠々香、伊藤心、伊藤碧、久保脇真子、三村拓海、田中風花、豊栖麻鈴、神崎麻衣、松﨑瑞貴、三村悠莉、片山怜菜)
出演(大人):KAZZ(三ツ星キッチン)、高橋和久、惠須川ひろし、岡田雄一、山本悠生、森雄基、佐藤靖朗、木村雅彦、篠原辰也、山本真嗣、村松直浩、小島久人、阿川雄輔、西村壮悟、馬場礼可、五東由衣、井科瑠美、美咲歩、磯貝麗奈、三宅文子、富田裕子、二木咲子、中山理沙、吉井宇希、佐藤志穂、星かおる、妹尾里映子、三原理佐、矢吹周子、中井奈々子、清水由希、町島智子、二本松広子、関根佐和子、窪田春加、竹崎梢、高井渚沙、小林あい子、小松真美、田川光希、小野寺詩織、杉原由梨乃、吉田・ファティマ・愛樹
ゲスト:相川七瀬、涼風(浪江町出身バンド)、
ミュージシャン:JEYSKE(キーボード)、ウスマン・ジェジュ(パーカッション)、辺見康孝(バイオリン) 三間早苗(チェロ)、入吉玲羽(キーボード)
演出:鎌田眞由美 舞台美術:朝倉摂 照明:服部基 作曲:玉麻尚一 衣装:西原梨恵 音響:秀島正一 舞台監督:佐藤卓三 チラシデザイン:本田雅也 Webデザイン:福田圭介 プログラムデザイン:片山毅 撮影:井島健至
【発売日】2012/02/17 S席 5,000円 A席 4,000円 B席 3,000円 学生チケット2,500円(高校生以下全席共通) 特別寄付チケット 10,000円【特典】S席でお席をご用意しています。終演後キャストとの懇親会。パンフレット贈呈
http://cgi.geocities.jp/carewavejapan/stage/cwa4/cwa4.php
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年03月15日
FUKAIPRODUCE羽衣『耳のトンネル』03/09-19こまばアゴラ劇場
FUKAIPRODUCE羽衣は糸井幸之介さんが脚本・演出・美術・作詞・作曲などをトータルに手掛ける劇団で、プロデューサーは女優の深井順子さんです。
「CoRich舞台芸術まつり!2012春」審査員として拝見しました(⇒110本中の10本に選出 ⇒応募内容)。※レビューはCoRich舞台芸術!に書きます。下記にも転載しました。
⇒CoRich舞台芸術!『耳のトンネル』
■全人類ひっくるめて愛してくれる、劇薬のような音楽劇
純で甘酸っぱい初恋から清濁合わせ持つ大人のアバンチュールまで、全人類ひっくるめて何が何でも愛してくれる妙ージカル。幕開けの場面から感動で涙が出てしまいました。劇団おなじみのあからさまな性描写は全体的にいつもより少なめで、私には見やすかったです。お友達も誘いやすいかも。
「観てきた!」を書くために歌詞カードを読みなおすと、原始的で熱くてロマンティックな小空間へと、心身が一瞬のうちに戻りました。FUKAIPRODUCE羽衣を観る度にいつも思うのですが、糸井幸之介さんにはぜひアイドル歌手のための歌を作詞・作曲してもらいたいです。ジャニーズ事務所の若い男の子とか、AKB48の若い女の子とかにきっとフィットすると思うんですっ!
ここからネタバレします。
上手奥のロフトに西田夏奈子さんが登場し、長い髪をブルン!と下から上へと振り上げるのが開幕の合図。それだけで心奪われました。そして下手のベッドの中から次々と成人男子が抜け出てきて、お乳をねだる歌「おはようからおやすみまですみからすみまで」を絶唱。母から生まれ、脈々とおっぱいを欲しがり続ける人類の歴史があらわされて、早くも涙腺決壊。
幼児から少年になった息子(日髙啓介)はギターを手にしてミュージシャンを気どりますが、楽器入手もマイクのコードの処理も、全部お母さん(西田夏奈子)がお手伝い。子供はいつも母の無償の愛で支えられ、守られていると解釈しました。
そして中学生になった息子とそのクラスメートたちはいわゆる思春期を迎えます。金子岳憲さんと鯉和鮎美さんの初体験シーンは、甘酸っぱくて照れくさくて、強烈に不格好で愛らしいです。キャラメルをほうばるとその美味しさに夢中になって他のことはすっかり忘れ、女の子に触れると泣きそうになるほどドギマギしちゃう金子君。おしとやかそうな素ぶりを見せておきながら、いざとなると好奇心の塊となってどんどん男の子をリードする鯉和さん。
いきなりプロデューサーの深井順子さんが登場し、これまでの物語は自分の恋人(日髙啓介)の過去のエピソードだったとわかります。『耳のトンネル』という舞台自体が彼の人生のコンセプト・アルバムだという構成になり、劇中劇として妙ージカルが展開していきます。いわば“お約束”の深井順子ご本人登場シーンですが、今までにない艶っぽさというか、大人の落ちついた色気を感じて、深井さんにすっかり見とれてしまいました。かっこええわ~。
成長して大学を中退してしまった息子(高橋義和)は、アルバイトで稼いだお金で海外へと一人旅に出かけます。“高橋名人(懐かしのファミコン名人)”の大冒険は青春時代の無鉄砲な情熱、知識と経験がないからこその闇雲な前向きさ、若さゆえの体力、弱さなどをそのままに肯定したパワフルなシーンで、やや内向きの回想から、外向きのファンタジーへと転換するのがダイナミック。
帰国して成人になると、息子(たち)は異性を性行為の対象とした、恋の駆け引きをするようになります。男性はシルクハット型の大きな帽子にジャケットをはおり、「青年」から「男」になりました。ぱっと見はパジャマのような男性の衣裳ですが、首もとがレースだったりきれいな白い襟になっていたのは、上からジャケットを着た時に紳士に見える仕掛けなんですね。女性のふんわりとしたロングドレスからはお母さんの温かみが伝わり、紳士の隣りにぴったり合う淑女のイメージも兼ね備えています。
道端で出会った美男美女(澤田慎司&幸田尚子)および他のカップルのラブホでの熱々のアバンチュールを、ノリノリの激しい歌と踊りで見せていく場面では、私も音楽にノって体を動かしたくなりました。あからさまな性描写は相変わらず苦手な私ですが、美男美女がカッコよすぎてしびれた!
ラブホカップルはすぐに結婚し、次々と生まれる赤ん坊の誕生を喜んだのもつかの間、子育てに忙殺されて、お互いに浮気を繰り広げる新婚夫婦たち。相手を変えていくことで、無数の男女による肉体関係の無限ループの闇が深まっていきました。
やがて人間たちは記憶の中の旋律を求め、劇団の過去作品で使われた楽曲がメドレー形式で歌われていきます。深井さんの恋人(日髙啓介)の過去の回想でありながら、同時に、劇団員が積み重ねてきた過去公演を振り返ることにもなり、演劇ならではの多重構造が刺激的。そして名曲ぞろいです。俳優が上手奥に置かれた巨大な耳の穴から出入りすることで、脳の中の深層意識への旅、身体の神秘の探究など、奥深い想像をふくらますことができました。
自分のコンセプト・アルバムを演奏してきた自称ミュージシャン(日髙啓介)は、恋人(深井順子)を置いて一人旅に出ます。大学時代の一人旅と同じく、無邪気な子供みたいに心がはしゃいでいる様子。ところが宿屋の女将さん(伊藤昌子)との熱い一夜を経た翌日、山中で足をすべらせて転落してしまいます。誰にも見つけてもらえないであろう暗闇で一人、「おっぱい好きを卒業し、今はお尻の方が好き」というたわいない歌を作って歌う日髙さん。幼少期から全然成長していないことが露呈し(笑)、彼はそのまま死んでしまった・・・と匂わせて終幕。
あっけない、みっともない最期でした。人生はほんのひとときの夢で、人間は誰でも死ぬまで子供のままなのでしょう。それを自分にも他人にも認めて、赦した時に、人間は大人になっているのではないかしら。糸井さんは立派な大人の男性だと思いました。
「CoRich舞台芸術まつり!2012春」最終選考作品
第14回公演 みんなで一人旅 ~新作妙―ジカル 2012年唯一の本公演~
出演:深井順子 日髙啓介 鯉和鮎美 高橋義和 寺門敦子 澤田慎司 伊藤昌子 西田夏奈子 加藤律 幸田尚子(クロムモリブデン) 並木秀介(大人の麦茶) 金子岳憲
プロデュース:深井順子 作・演出・音楽:糸井幸之介 舞台監督:西廣奏 照明:松本永(Fantasista?ish.) 音響:佐藤こうじ(SugarSounds) 衣装:吉田健太郎(yu-GEN CRaFTS) 振付:木皮成 糸井幸之介 制作:坂田厚子 大石丈太郎 林弥生 企画・製作:FUKAIPRODUCE羽衣 主催:(有)アゴラ企画/こまばアゴラ劇場
【休演日】3月13日(火)【発売日】2012/01/21 前売 2800円 当日 3300円 プレビュー2300円 さいふにやさシート2000円(各回枚数限定):やや見づらい、お尻が痛い・・・など観劇環境に難ありのリーズナブルなお席です。ウルトラマニアチケット10000円(各回枚数限定):羽衣マニア向けスペシャルチケット。チケット二枚+お土産付。お土産詳細は後日発表!☆特典☆羽衣公式サイトからチケットをお求めいただき、事前入金すると、糸井幸之介舞台美術絵ポストカードプレゼント!!
http://www.fukaiproduce-hagoromo.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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ひょっとこ乱舞『うれしい悲鳴』03/03-11吉祥寺シアター
広田淳一さんが作・演出・主宰されるひょっとこ乱舞の最終公演です。劇団は改名してアマヤドリとなります。上演時間は約2時間。
「CoRich舞台芸術まつり!2012春」審査員として拝見しました(⇒110本中の10本に選出 ⇒応募内容)。※レビューはCoRich舞台芸術!に書きます。下記にも転載します(2012/05/27)。
元劇団員の成河(ソンハ)さんからお花が届いていました。劇団所属当時のお名前が心にしみます。
⇒CoRich舞台芸術!『うれしい悲鳴』
≪ごあいさつ(あらすじ)≫ 公式サイトより
『旅の終わりに行き着く果ては』
今回は『感度』を巡る舞台です。
痛がりとか、くすぐったがりとか、鼻が利くとか、耳がいいとか、あるいは、敏感肌とか、アレルギー体質とか、他人の痛みが「わかる」とか「わかんない」とか、無感動とか、不感症とか、「イッちゃうイッちゃう」とか、「マジ痛ってえ」とか、そういう、皮膚の内側と外側をつなぐ火花の「感度」に着目した舞台を作ります。
物語は「痛覚のない男= 無鉄砲野郎」と「感度の良すぎる女=イキ過ぎ女」を中心に進みます。
二人は「感度」について常識から大きく外れてしまっていて、他人との間に埋められない溝を感じています。
お互いを「発見」してしまった二人は、世界に全く新しい何かを見出して、周囲の人間を大量に巻き込んでどこまでも突き進みます。
若気の至りの猪突猛進の果てに、うれしい悲鳴のこだまする狂喜と乱舞と絶叫の場所を目指して、進みます。
もう集大成みたいな作品は去年作ったので、ひょっとこ乱舞としての最後、行き止まりまで行ってみます。
主宰・作・演出 広田淳一
≪ここまで≫
■架空の日本の物語が詩と踊りとともに沁み込んで来る
いつもながら群舞が素晴らしかったです。選曲が個性的で飽きさせません。劇場のロフトを使い、奈落まで続く階段でシャープな空間をさらに広く見せた舞台美術でした。衣裳は一人ずつデザインが異なる現代服ですが、赤、青、緑、灰色と色を合わせることでスタイリッシュに見せていました。ただ、初日(プレビュー翌日)の仕上がりは一体感、緊張感、柔軟性などで今一歩。まだまだこれから成長する舞台だと思いました。
不感症(痛みを感じない)の男と過敏症(何もかもにアレルギー反応)の女を軸に物語は進みますが、彼らを演じる役者さんはあくまでも“代役”で、男のセリフを複数の男優が語ったり、女は2人の女優さんが演じ続けるなど、特定のヒーロー&ヒロインの物語に固定させず、誰にでもあてはまる普遍性を保っていました。
震災以降の空気も含め、日本という国を冷静に見つめる視点を持った社会派戯曲でもあり、演劇が持つ豊かな可能性を堂々と引き出す詩的なセリフも美しかったです。ひょっとこ乱舞の作品はそれほど多くは拝見していないのですが、戯曲は広田淳一さんの最高傑作ではないかと思いました。
ここからネタバレします。
お父様がくも膜下出血で倒れたために降板した、劇団員の女性の録音の挨拶から開幕(なぜかお風呂に入ってしゃべってました)。極々プライベートな内容なので驚きました。「ひょっとこ乱舞、大爆破」というセリフで始まるオープニングもいきなり過ぎて戸惑いましたが、ダンスが始まるとわくわくして、スムーズにお芝居の中に入って行けました。
舞台は近未来の日本。テキトーに作った法案“アンカ”を例外なく絶対実行させるための暴力組織“オヨグサカナ”が編成され、「これが本当に日本なのか?」と疑うほどひどい政策が次々と実行される、信じがたい世の中になっています。アンカのせいで人生をめちゃくちゃにされた人もいるのですが、人々はそれが当たり前だと受け入れ、慣れてしまっています。その法案を誰が作ったのかは問われず、誰も責任を追求せず、誰も責任を取らず、ただ「そう決まっているから」となし崩し的に実行されるのは、お役所仕事や昨年の原発事故を連想させます。
オヨグサカナのメンバーである男は、「強制お引越し法」なるアンカが適用された地域にたまたま住んでいた女と出会い、2人は恋に落ちます。男はエレベーターに閉じ込められ1週間後に奇跡の生還を果たして以来、不感症。女は幼いころに発症して以来、部屋から一歩も出られない過敏症でした。
正反対の2人は徐々に変化して恋の奇跡を謳歌しますが、幸せは長く続きませんでした。「植物人間の臓器を入手する」というアンカが施行された時、女の母親がくも膜下出血で倒れ、植物人間になってしまったのです。男はオヨグサカナのメンバーとして女の母親の臓器を奪う使命を帯び、女は母が死ぬ時は自分も死ぬと固く決心しているので、2人は敵同士になってしまいます。
ロミオとジュリエットのように引き裂かれた男女のエピソードと並行して、意識不明の重体である(と噂される)天皇にも例外なくアンカを実行すべきかどうかをめぐり、オヨグサカナ内で闘争が始まります。やがて政府が転覆させられ、オヨグサカナは解散。「植物人間の臓器を入手する」アンカが実行されてすぐのことでした。
女を殺した男は不感症から過敏症になってしまいます。女を殺したことについて考え過ぎて過敏症になったのか、愛した女との同化を強く望んでそれが叶えられたのか、理由はわかりませんが、愛ゆえだと私は思いたいです。
物語の顛末があらわされた後は、詩でした。「月と海がケンカしてる。その仲裁に入ろう。」
そしてオープニングと同じ(と思われる)群舞がリプライズされました。踊るのは市井の人々、つまり私たちです。まるで細胞の運動のように見えました。収縮と弛緩、集合と離散を繰り返す生命の営みであり、宇宙と星々の関係のようでした。
終演後、誰もいなくなった舞台を観て開演前のアナウンスを思い出しました。降板した劇団員の女性のお父様は、登場人物の母親と同じくも膜下出血で倒れられたのです。これは2012年2月の日本の話なのだと感じ、オヨグサカナも、過敏症の女も、詩も、踊りも、一気に沁み込むように体に入ってきました。
「CoRich舞台芸術まつり!2012春」最終選考作品
ひょっとこ乱舞、最終公演!! 大爆破!!
出演:中村早香、笠井里美、松下仁、根岸絵美、渡邉圭介、糸山和則、田中美甫、広田淳一、稲垣干城、伊藤今人(ゲキバカ)、西川康太郎(ゲキバカ)、倉田大輔、荒井志郎(青☆組)、永島敬三、小角まや、熊谷有芳、榊菜津美、杉亜由子、鈴木由里、山森信太郎(髭亀鶴)、荒木昌代、片山敦郎、ひょい、太田旭紀
作・演出…広田淳一 ドラマトゥルク…稲垣干城 舞台監督…橋本慶之 舞台美術…大泉七奈子 音響…角張正雄 照明…三浦あさ子(賽【sai】) 宣伝美術…山代政一 Web…堀田弘明 衣装…矢野裕子(RBGene) 上野智(RBGene) ヘアメイク…増田加奈 演出助手…しもとりゆう/竹川絵美夏/岩城泰斗(屋根裏展望台) 制作…伊藤彩/吉田千尋(√ac /ゲキバカ)/木村若菜/砂田麻里子/青柳偉知子(青学劇研)
3/11リーディング:福島の劇団・郡山演劇研究会「ほのお」
http://hyottoko.sub.jp/ureshii_himei/
http://hyottokoranbu.blog.fc2.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年03月11日
日本演出者協会プロデュース『フェニックスプロジェクトvol.4』03/10-11笹塚ファクトリー
日本演出者協会が昨年の震災以降、笹塚ファクトリーで継続的に開催されているチャリティーイベントです(⇒過去レビュー)。第4回目はちょうど昨年3月11日から1年になる土日の2日間で、私は11日(日)に伺いました。「若い人の声を届けたい」との思いから、現役高校生によるお芝居4本の上演となったようです。
12時から16時半まで約4時間半の大きなイベントでした。リーディングの途中で観客もともに黙とうをささげる時間を設けてくださったことに感謝します。
都立新宿高校の『ひたすら、国道6号戦。』は昨年11月に都大会で鑑賞しました(⇒レビュー)。戯曲は東京都高等学校演劇連盟の公式サイトのデータベースに登録されています。無料ダウンロード(PDF)可。関連ツイート⇒1、2
⇒togetterまとめ「フェニックスプロジェクトVol.4」(2012/03/29)
⇒CoRich舞台芸術!『フェニックスプロジェクトvol.4』
恥ずかしながら私は、知識として既に知っているはずのことを、お芝居で観て初めて本当に知った気持ちになることが多いです。だからお芝居をとても頼りにしています。知り直す、学び直す、そして変わるために、劇場に通うのだと思います。
パンフレットがなく(見つけられず)、出演者やスタッフの名前がわかりませんでした。残念・・・。
ここからネタバレします。セリフはうろ憶えですので正確ではありません。
■FTVスーパーニュース あさか開成演劇部(2012/03/28追加)
【プログラム3】高校2作品上演(福島)
●B「この青空は、ほんとの空ってことでいいですか?」あさか開成高校(郡山市)
作:佐藤茂紀&あさか開成演劇部 演出:今野健太 出演:香西佳奈子、富永直樹、今野健太、鹿又由菜、坂路心、成山絵里香、ほか
≪作品紹介≫ 公式サイトより
原発事故以来、福島に暮らす高校生として考えたことや感じたことを声に出したいという想いから即興劇を作り始めました。言いづらいことも劇中ならば「言えた」。そうして出来上がった物は数時間にも及ぶ物になりました。そしてその中から大切な大切な瞬間を切り取り、それを一つの芝居へと成長させたものがこの作品です。彼らにもたらされた生活の変化、ふるさと福島への思いを込め、翻弄されながらも強く生きようとする姿がそこにあります。
≪ここまで≫
詩集「智恵子抄」(の“あどけない話”)を題材にした芝居を上演するはずだった郡山市の高校演劇部。でも今はウルトラマンと怪獣が登場する格闘モノの稽古をしています。今となっては智恵子の言う「本当の空」にリアリティーがないと主張する副部長と、それに反発する部員。間に入ろうとしてそわそわしている部長、そして転校してきた新入部員。夏なのに窓を閉め、長袖・長ズボンを着てマスクをしなければならない日常生活の中で、震災以前なら生まれなかったかもしれない、高校生の悲しみ、葛藤、闘いが描かれました。
ひまわり畑の場面でピーーーーピーーと、どこかで聞いたことのある音が小さく鳴り続け、何だろうと思っていたら線量計の警告音でした。4μSvから5μSvとは、高いです。高校生が「そこ線量高いからこっち来い」と声を掛け合う、この現実の恐ろしさ。
副部長イソジンを演じた今野健太さんの演技に見入りました。福島第一原発の10キロ圏内から転校してきた女子新入部員(香西佳菜子)との2人だけの場面では涙が流れっぱなし。なぜ避難なのに線量の高い郡山に来たのか。なぜマスクをしないのか。どうして自分を守らないのか。強く問いかけ、正直な気持ちを答える対話の形で問題を明確にし、今の意志を伝えてくれました。
「(多数のバルタン星人が登場する芝居の稽古で)今はウルトラマンが嘘をついている。」
「自分の思いを伝えないと、また繰り返される。チェルノブイリも第五福竜丸もそうだった。」
「芝居は人の心を動かす。」
終演後に偶然お会いした知人が今野さんのお知り合いで、直接お話することができました。今野さんはこのまま東京に滞在し、3月17日に日本青年館大ホールで上演される『CARE-WAVE AID Vol.4 被災地の子ども達による【平和宣言3・11】』に出演されるそうです。
ザ・ブルーハーツの「シャララ」が何度も流れて、悲しくて、苦しかった。私が中学生の頃によく聴いていた歌を今の高校生が聴いていて、そしてこの歌詞が突き刺さるように響く世界になってしまうなんて。
●A「今伝えたいこと(仮)」相馬高校(相馬市)
出演:3人の女子高生
≪作品紹介≫ 公式サイトより
東京電力福島第一原子力発電所から45キロ、死者行方不明者あわせて459名の激甚被災地である相馬に立地する相馬高校です。会場が警戒区域の中にあるため、昨年の春の大会は実施されませんでした。今私達が置かれたこの状況について考え、それを芝居にしてみました。
≪ここまで≫
ぐだぐだと楽しそうにおしゃべりする帰宅部の女子3人。その夜、突然1人が自殺してしまい、残された2人は胸の内を明かし始める。
「未来なんか、希望なんか持てるわけがない」と投げやりに言い放つのを決して非難できない現状。そして死者となっても「助けて!」と叫ぶラストシーン。直接「助けて」って言われたのは、初めてかもしれません。
【プログラム4】3.11リーディング企画
●「3.11から未来へ 高校生、100文字のメッセージ」 ⇒公式ブログ
構成:森さんという方(?) 演出:東京都立世田谷総合高等学校のどなたか 出演:約25名の現役高校生(都立戸山高校 駒込高校 世田谷総合高校 東京農大一高 開成高校 都立足立高校、ほか)
≪作品紹介≫ 公式サイトより
高校生の目に東日本大震災はどう映ったのか。そして1年経った現在、それぞれの思いは―。全国の高校生から集められた3.11をめぐる「100文字のメッセージ」。東京の高校演劇部員たちが14時46分に合わせて読み上げます。
≪ここまで≫
3月11日という日を擬人化するところから始まり、海や家、そして放射性物質までも。日本人らしいと思いました。子供たちの「地震が怖い」という言葉が、鮮明に昨年3月のことを思い出させてくれました。
劇中で観客も一緒に黙祷ができました。特別な時間をありがとうございました。「これからどうしよう?」と迷う気持ちをそのまま発して終幕したのも、私は良かったと思います。
【プログラム5】高校1作品上演(東京)
●C「ひたすら、国道6号線。」新宿高校(東京都) ⇒公式ブログ ⇒過去レビュー ⇒戯曲アーカイブ
関係者:高木優希(作・演出) 石井純哉 太田歩 北口美萌 佐藤友架 ほか
≪作品紹介≫ 公式サイトより
福島県いわき市の国道6号線沿いを僕が見てきた後僕の頭の中を文字に起こした芝居です。どんな芝居か、未だに作者の僕も分かりません。とりあえず、上演後観客の皆様に何か考えて頂ける作品でありたいと思ってます。
≪ここまで≫
笹塚ファクトリーは昨年11月の都大会の会場よりも小さな空間で、客席も舞台に近く、表情や絵などがよく見えて臨場感が増しました。やはり小劇場は贅沢です。
役者さん一人ひとりが敢えて長い間を取るようにしていたのか、会話にこまごまと無言の間(ま)が挟まれていました。それでも(それゆえ?)空気の密度が高かったのは稽古の成果なのだろうと思いました。観客が舞台をじっと見つめて、何が起こっているのかを考えられる、充実した時間を作ってくれていました。ただ、間(ま)を長く取りすぎてスピード感や切迫感が薄まったようにも感じました。想像と現実の切り替え(場面転換)はもっと素早くてもいいと思います。
ケーキを演じた女性は堂々たる存在感で、しばしば明るい笑いを誘っていました。登場を心待ちにする観客も多かったと思います。
主人公が最初に恋に落ちる女生徒役は、キャストが変わったのかしら。色っぽくて可愛い上に、生足がなまめかしくてドキドキでした。
高木優希さんがもし高校3年生になっても部活動を続けるならば、次回作もできれば観たいと思います。柿喰う客の玉置玲央さんのことをお好きなのだろうと思われる身体表現。がんばって!
2012/02/24 にアップロードされていた動画です↓(2012/03/29)
福島の高校生×東京の高校生 コラボレーション企画
主催:日本演出者協会、笹塚ファクトリー 日本演出者協会理事長:和田喜夫 企画運営委員:宮田慶子、松本祐子、林英樹、青木淑子、町聡子、深寅芥、森陽平、斎藤美明、舞香、長谷川直輝、菅野直子他【順不同】 実行委員:青井陽治、瓜生正美、木村繁、ふじたあさや、森井睦、深津篤史、流山児祥、貝山武久、坂手洋二、ペーター・ゲスナー 【順不同】 制作:斎藤由夏、伊藤愛、松尾容子 舞台監督:斎藤美明 照明:千田実 協力:社団法人日本劇団協議会 社団法人国際演劇協会(ITI/UNESCO) Algiid、 福島県高校演劇連盟、 日本演劇教育連盟、 岡崎恵介 鴇田くにビヨンドXプロジェクト
【発売日】2012/02/11 高校生以下1,500円 一般2,000円
※このチャリティーイベントの収益金は被災地の舞台芸術家団体に送ります。なお、収益金の一部を福島の高校生作品上演の諸経費として使わせて頂きます。
http://phoenixpro.jimdo.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【オーディション】KAAT神奈川芸術劇場「宮本亜門演出ミュージカル『ピノキオ ~または白雪姫の悲劇~』出演者オーディション」※3/30〆切(郵送のみ)
神奈川芸術劇場が、同劇場芸術監督である宮本亜門さんが演出を手掛けるミュージカルの、出演者オーディションを実施します。2013年の本公演を目指した募集です。ご興味のある方は公式サイトで詳細をよくご確認ください。
■KAAT神奈川芸術劇場 製作
親と子のためのファミリー・ミュージカル『ピノキオ ~または白雪姫の悲劇~ 』
原作:カルロ・コローディ 演出・脚色:宮本亜門 作曲:深沢桂子
・ワークショップ:2012年6月4日(月)~16日(土)11:00~19:00予定
・稽古:2013年7月上旬より本稽古開始予定
・本公演:2013年8月上旬予定
▼応募資格
・演劇経験は不問。将来も俳優活動を志している方。歌唱力がある方。
・公演概要に記載の稽古・本番期間にすべて参加できる方(2年間にわたります)
・応募締切:2012年3月30日(金)必着 ※郵送のみ
2012年03月10日
KATO企画『あの日、あの雨』03/10-11パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』
さいたまゴールド・シアター所属の女優、加藤素子さんの朗読企画です。今月のメルマガでご紹介したところ、公演公式ブログで引用してくださいました。
『あの日、あの雨』の作者である村井志摩子さん(⇒Wikipedia)が初日最初の公演を鑑賞されて、「これまでに上演された中で一番良かった」とおっしゃったそうです。⇒加藤さんのツイート
上演時間は約1時間45分・・・だと思います。途中休憩10分あり。ワンドリンク制。
⇒CoRich舞台芸術!『あの日、あの雨』
ここからネタバレします。
【第一部】『あの日、あの雨』(核の廃絶と世界平和を祈念し1990年に書かれた作品とのこと)
出演:石井舞(娘、春子) 加藤素子(母、夏子) 芝原弘(父、コペツキー記者)
1945年8月に広島に降った黒い雨と1986年4月にミンスクに降った人工的な雨。時を越え国境を越えヒバクシャをつなぐ。
役者さんは本を持たず、セリフはすべて憶えてらっしゃいました。
地球の絵が描かれた(地球儀のような)ビーチボールを投げてキャッチボールをします。地図で日本とヨーロッパの位置関係がわかりやすいだけでなく、気持ちのキャッチボールも見えました。
ピアニストになった娘は(たしか21歳の時に)母がヒバクシャだったことを知ります。自分と日本の歴史がつながり、やがて命が世界とつながる、まさに覚醒する瞬間を描いている戯曲なんですね。
アメリカ人による精神養子、15年経って発症する原爆症などは、何度でも繰り返し耳にして、知り直す必要があると思いました。白血病になってしまったミンスクの少女のエピソードも。
チェコの記者とファッションデザイナーの日本人男性(父)を演じた芝原弘さんは、俳優同士だけでなく、観客ともコミュニケーションを取ってくださいました。コミカルなサービスも自立した存在感もとても良かったです。第二部での朗読も。
石井舞さんはピアノが大変そう。ファイト!
【第二部】
・「Amazing Grace」ギター:横山大地
・「朗読 つなみ」(被災地のこども80人の作文集より)
文藝春秋 (2011-06-28)
・詩「黙礼」(和合亮一)
・歌と演奏「満月の夕(ゆうべ)」(SOUL FLOWER UNION)
ギター:横山大地 ピアノ:石井舞 三線:加藤素子 パーカッション(?):芝原弘
出演:石井舞 加藤素子(さいたまゴールド・シアター) 芝原弘(黒色綺譚カナリア派) 横山大地[ギター](虹艶Bunny)
演出:黒澤世莉(時間堂) 『あの日、あの雨』脚本:村井志摩子 舞台監督:田中圭介 照明:南香織 イラスト:石井舞 制作:KATO企画
【発売日】2012/02/01 2,500円 全席自由・ワンドリンク付き 開場は開演の40分前です。チケット売り上げの一部を、チェルノブイリ子ども基金・未来の福島子ども基金に寄付いたします。
http://ameblo.jp/kato-kikaku/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年03月09日
【ワークショップ】tpt「『デカロ―グ』ワークショップ(台本・演出:小川絵梨子)」3月実施※3/15〆切(郵送・FAX・メール)
第19回読売演劇大賞・杉村春子賞を受賞された演出家、小川絵梨子さんのワークショップが開催されます。小川さん関連エントリー⇒1、2、3
『デカロ―グ』は2013年2月にTPTの新作として、BankART Studio NYKで公演が行われる予定です。 詳細は公式サイトでご確認ください。
■tpt『デカローグ』プロダクションWS
台本・演出:小川絵梨子
Aクラス:3/17~19(14:00-20:00)10名 @tptスタジオ
Bクラス:3/20~22(14:00-20:00)10名 @tptスタジオ
参加費:30,000円 ※書類審査あり。
申込用紙(PDF)は公式サイトでダウンロード
締め切り:3月15日(郵送・FAX・メール) ⇒CoRich舞台芸術!掲示板より
2012年03月07日
【お知らせ】「アクチュール・ステージvol.3」(キネマ旬報社)記事掲載
2012年3月2日に発行された「アクチュール・ステージvol.3」(キネマ旬報社)に記事が掲載されています。「劇作家をめぐるTalk」という欄で木俣冬さん、森元隆樹さんと、いま注目している劇作家についてお話しさせていただきました。
キネマ旬報社 (2012-03-02)
売り上げランキング: 1804
私が言及し掲載されたのはこちらの方々です(敬称略・掲載順。劇作家以外も含む):谷賢一、マームとジプシー(藤田貴大)、ノゾエ征爾、岡田利規、中屋敷法仁、鵜山仁、三浦大輔、三浦直之、黒川陽子、ほさかよう、古川貴義、田尾下哲、野木萌葱、詩森ろば、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、相馬杜宇
『特集 戯曲の力~これからの作家を求めて』という特集(企画・構成:木俣冬、構成協力:堤麻希子)がすごく充実しています。インタビューは蜷川幸雄、長塚圭史、佃典彦、岡田利規。「岸田國士戯曲賞と劇作家協会新人戯曲賞」の紹介や、「必読!戯曲選集」という日本・海外の有名戯曲を採り上げる欄もあります(日本担当:鈴木理映子 海外担当:岩城京子)。1作ずつの解説が簡潔で渋い!
近々幕を開ける公演の宣伝を兼ねた、イケメン俳優のグラビア雑誌かな~と思っていたのですが、認識を改めました。上演された(上演中の)作品の美しい舞台写真と評も多数掲載されており、保存版にしたい本です。
よかったらぜひ書店でお手にとってご覧ください。上記のamazonのリンクからもご購入いただけると嬉しいです。
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年03月06日
【オーディション】サスペンデッズ「6月公演出演者オーディション」※3/17〆切(郵送必着)
早船聡さんが作・演出される劇団サスペンデッズが6月公演の出演者オーディションを実施します。 ⇒メルマガ号外(2009年) ⇒稽古場レポート(2008年) 関連エントリー⇒1、2
詳細は公式サイトでご確認ください。CoRich舞台芸術!の掲示板にも情報あり。
●サスペンデッズ第12回公演・出演者オーディション
公演日程2012年6月15日(金)~6月24日(日)
会場:吉祥寺シアター
募集人数:男女若干名 *チケットノルマ・出演料はありません
応募締切:2012年3月17日(土)必着※郵送のみ)
選考過程:
・第一次選考:書類審査
・第二次選考:実技審査(書類選考を通過した方のみ)
3月24日(土)水天宮ピットにて *オーディション料:無料
・第三次審査:実技審査(第二次選考を通過した方のみ)
3月28日(水)水天宮ピットにて
【オーディション】ベッド&メイキングス「第2回公演『未遂の犯罪王』出演者オーディション」※3/23〆切(郵送のみ)
福原充則さんと富岡晃一郎さんの演劇ユニット“ベッド&メイキングス”が、第2回公演『未遂の犯罪王』の出演者オーディションを実施します。詳細は公式サイトでご確認ください。⇒第1回公演
●ベッド&メイキングス第2回公演『未遂の犯罪王』
脚本・演出:福原充則 出演:富岡晃一郎 ほか 2012年11月上演予定
【応募条件】
・2012年9月下旬~11月までの稽古および本番に全日ご参加いただける方
・25歳以上の方
・性別不問 ※ただし男性役を中心に募集。
【参加費】
・1,000円※二次審査ご参加の方のみ
【応募〆切】
・2012年3月23日(金)消印有効
新国立劇場演劇『パーマ屋スミレ』03/05-25新国立劇場小劇場
新国立劇場での鄭義信さんの作品というと、1950年代を描いた『たとえば野に咲く花のように』、1970年前後が舞台の『焼肉ドラゴン』。新作『パーマ屋スミレ』はその間に当たる1965年ごろの九州の炭鉱町での物語なんですね。
ラストシーンは客席で鼻をすする音が次々と・・・私ももれなく、そのお仲間でした。
上演時間は約2時間45分(途中休憩15分を含む)だったような・・・うろ覚えです。ごめんなさい。全部込みで3時間より短いです。
戯曲が掲載された悲劇喜劇 2012年 04月号↓をロビーで購入。鄭さんのサイン入りです。
⇒CoRich舞台芸術!『パーマ屋スミレ』
レビューを最後までアップしました(2012/03/12)。
≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
1965年、九州。「アリラン峠」と呼ばれた小さな町があった。そこからは有明海を一望することができた。アリラン峠のはずれにある「高山厚生理容所」には、元美容師の須美(南果歩)とその家族たちが住んでいる。須美の夫(松重豊)の成勲は炭鉱の爆発事故に巻きこまれ、CO患者(一酸化炭素中毒患者)になってしまう。
須美の妹・春美(星野園美)の夫(森下能幸)もまたCO患者となり、須美たちは自分たちの生活を守るために、生きるために必死の戦いを始めた。
しかし、石炭産業は衰退の一途をたどり・・・。
≪ここまで≫
『焼肉ドラゴン』と相似させる意図が見て取れる脚本、演出でした。でも『焼肉~』を観てなくても全く問題ありません。『パーマ屋~』を観ながら『焼肉~』とシンクロする度に、愚かな、残酷な棄民の歴史が繰り返されきたこと、そして今、まさに同じことが日本で起こっているのだと、思い知ることになりました。
細部へのこだわりが伝わる具象美術ですが、あるはずの壁が「ない」という演劇ならではの嘘を、大胆に、存分に遊んでいる演出にプロの余裕を感じます。
音楽がちょっと、私には説明っぽすぎて合わなかったところがありました。同じ曲があまり間を空けずに流れると覚めてしまったり。生演奏のお2人(朴勝哲&長本批呂士)はとっても良かったです。すぐ手拍子したくなっちゃいました。
鄭さんは映画「信さん・炭坑町のセレナーデ」↓の脚本も書かれています。『パーマ屋~』と同じ炭鉱町のお話で、切ない、いい映画でした。
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ここからネタバレします。続きを書きました(2012/03/12)。
語り部として酒向芳さんが登場して、観客に向かって昔話を始めたとたんに、じわじわと込み上げるものがありました。散髪屋の理容椅子に腰掛けると目の前(=舞台から見ると客席側)に見える景色が、私にも見えるようでした。酒向さん素敵だな~。
“CO患者”のことは情報としては知っていましたが、舞台で時間を追って見ていくことで、やっと具体的に想像できたように思います。痛ましいことに、症状がみるみる悪化していくのです。須美の夫(松重豊)は、ふらっとしていたのがヨロヨロになり、杖をつくようになって、最後は車いす生活。顔にも麻痺が出てきていました。
左手がどうやら麻痺しはじめたらしい兄(松重豊)と、片足が不自由な弟(石橋徹郎)の取っ組み合いは、ハードな暴力シーンだけどいびつな体勢になるのが、ちょっとコミカルで、とても悲しいです。映画『LIVE FLESH』を思い出しました。大人向けの名画だと思いますので気になった方はぜひ。
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廃坑になって仕事を失った誰もが、他の土地、国へと去っていき、最後は『焼肉~』と同様に、全員がバラバラになってしまいます。須美の姉の一家(根岸季衣、久保酎吉、森田甘路)が大阪へと旅立つので『焼肉~』につながり、「ああ、大阪に移っても、また彼らは強制的に立ち退きさせられるのか・・・!」と、胸がぎゅるぎゅると締めつけられました。
大吉(酒向芳)「ひとつの事故が、さまざまな人たちの人生を大きく狂わせてしまいました……人生を無茶苦茶にしてしまいました……たったひとつの救いは、今も須美おばさんが生きていることです……」
人生を無茶苦茶にしたひとつの事故とは、福島第一原発事故のことでもあります。私たちは同じことを繰り返してしまっているのです。自分の愚かさ、弱さにいかんともしがたい無力感をおぼえるのですが、それでも私に何ができるのかを考え、少しでも行動を起こしたいと思います。
須美の妹・春美は「痛うてたまらん、殺してくれ」という夫の訴えに応え、彼を殺害し、自首しました。爆発事故後、須美の家族と春美との間には言い争いが絶えず、春美の方から絶縁した状態でしたが、須美はいつでも春美に優しく接し、時にはお金を貸してあげて、服役中には面会にも行っていました。また須美は、夫が「別れよう」と何度提案しても拒否し、彼が重度の障がい者となってからも「炭鉱を離れたくない」という彼の願いどおりに、炭鉱がなくなったアリラン峠で暮らし続けました。彼女のその生き方が、町を去った大吉の心の支えになっています。
「なにがあっても(なくても)絶対に私はあなたの味方でいつづける」と決意し、一生涯にわたってそれを実行することは、おそらく困難です。何が起こるか分からない世の中ですから、物理的に不可能になるかもしれません。論理思考をする賢い人なら「どうなるかわからないから約束はできない」と言うでしょう。
でも、何の保障も形もなくて極めて不確かだとしても、「あなたのそばにいて、ずっと愛し続ける」という、まるでプロポーズのような決意を、私たちは進んでしていいのだと思います。それが意志であり希望であり、人間だからこそできる祈りであり、かつ、人間に必要なのものだと思いました。大切な人を一生大切にすると決意して、頑固に実行し続けることなら、私にもできる気がします。
須美が果たして幸せだったかどうかは彼女以外の誰にもわからないことで、幸せになるかどうかも彼女が決めることです。そしてその個人の決意を、誰も不当に邪魔してはいけないのだと思います。
出演:南果歩 根岸季衣 久保酎吉 森下能幸 青山達三 松重豊 酒向芳 星野園美 森田甘路 長本批呂士 朴勝哲 石橋徹郎
脚本・演出:鄭義信 美術:伊藤雅子 照明:小笠原純 音楽:久米大作 音響:福澤裕之 衣裳:前田文子 ヘアメイウ:川端富生 方言指導:藤木久美子 韓国語・所作指導:李知映 擬闘:栗原直樹 振付:吉野記代子 演出助手:城田美樹 舞台監督:北条孝 主催:新国立劇場 制作:伊澤雅子
【発売日】2011/12/17 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000439_play.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年03月05日
【ワークショップ】アクターズワークス「プロのためのマイズナーテクニックWS~エクササイズクラス募集~2012年5月」※4/16〆切(メールのみ)
女優・俳優指導者の柚木佑美さんのワークショップのご案内です。⇒ワークショップのレポート(2006年) ⇒柚木さんインタビュー(2007年)
応募者多数の場合は書類選考を行うそうです。ゴールデンウィークの休暇の期間に演技のブラッシュアップをしたい俳優さん、ぜひどうぞ。詳細は公式サイトでご確認ください。
■アクターズワークズ「プロのためのマイズナーテクニックWS~エクササイズクラス募集~」
【日程】2012年4月25日(水)~5月6日(日)…計10回(いずれも時間は18:00~21:00)
※予備日程などもありますので詳細をご確認ください。
【定員】最多10人(応募者多数の場合、書類審査をさせていただきます)
【申込締切】2012年4月16日(月)
【受講料】受講料 35,000円
【受講条件】18歳以上の、プロの俳優もしくはプロを目指す新人の方で心身ともに健康な方
【ワークショップ】相模原市民文化財団「チェルフィッチュ岡田利規 演劇ワークショップ参加者・無料聴講生募集」04/07-08グリーンホール相模大野・リハーサル室※3/20〆切(ハガキ又はメール)
相模原市民文化財団が開催する岡田利規さんの経験者向け演劇ワークショップの情報です。参加者と無料聴講生を募集しています。詳細は公式サイトでどうぞ。
●(公財)相模原市民文化財団「チェルフィッチュ岡田利規 演劇ワークショップ」
期間:2012年4月7日(土)、8日(日) 13:30開始・18:30終了
会場:グリーンホール相模大野・リハーサル室
参加資格:2日間通して参加できる方。高校生以上。演劇経験のある方。
参加費:3,000円(2日分)
参加人数:15名
応募期間:3/1(木)~20(火・祝)まで
※応募多数の場合は抽選。抽選結果は3/24(土)までに応募者全員に郵送。
※無料聴講生の募集人数は40名程度
【関連企画】 ⇒公式サイト
チェルフィッチュ2012年新作公開リハーサル「現在地」
4/13(金)19:00~ 入場無料(全席自由・要整理券)
@グリーンホール相模大野・多目的ホール
2012年03月03日
【情報】俳優指導者アソシエーション「『シリーズ 俳優指導者のすべて』説明会」3/20芸能花伝舎1-2(メールのみ)
俳優指導者アソシエーション(関連エントリー⇒1、2、3)が今年の4月、5月、6月の3回にわたり、“俳優指導者”に対象を絞った『シリーズ 俳優指導者のすべて』を開催します。
このシリーズの説明会が3月20日に行われますので、ご興味ある方はぜひお申し込みください。体調がよくなれば私も出席したいと思っています。下記は公式サイトからの情報です。
■「シリーズ 俳優指導者のすべて」説明会
2012年3月20日(火・祝)14時~16時 ※受付は13時45分より
会場:芸能花伝舎1-2
参加費:500円
参加対象者:職業として俳優指導などを名乗っていて、その職能にさらなる磨きをかけたい方。また「シリーズ 俳優指導者のすべて」にご興味のある方。
■「シリーズ 俳優指導者のすべて」説明会 ※公式サイトより
俳優指導者を対象に、スキルアップと交流促進を目的としたワークショップを企画いたしました。2012年4月より開催の本企画「シリーズ 俳優指導者のすべて」の趣旨をご理解いただくために、事前に「説明会」を開催します。どうかお気軽にご参加いただき、交流の場としてもお役立てください。
「シリーズ 俳優指導者のすべて」説明会
2012年3月20日(火・祝)14時~16時 ※受付は13時45分より
会場:芸能花伝舎1-2
参加費:500円
参加対象者:職業として俳優指導などを名乗っていて、その職能にさらなる磨きをかけたい方。また「シリーズ 俳優指導者のすべて」にご興味のある方。
説明会及び本企画に関するお申込/お問い合わせ先:
俳優指導者アソシエーション asatp(アットマーク)g-atlas.jp
※お申し込み時には、必ず(1)お名前(2)ご連絡先(3)俳優指導者としての経歴をご記入くださいませ。
「シリーズ 俳優指導者のすべて」【企画概要】
俳優指導者アソシエーションは、日本の演劇、俳優、それらにまつわる教育環境をより豊かなものにしていくために、今こそ、俳優指導者の“文化”を確立し広めていく必要を感じています。しかし、残念ながら、「俳優指導者」についての立場や職能はいまだ不明瞭であり、研修の機会もほとんどありません。
そこで、俳優指導者を対象に、そのスキルアップと交流促進を目的に「シリーズ 俳優指導者のすべて」を企画しました。2012年度の第1弾は3回シリーズ、 1回6時間程度にての開催を予定しております。
第1回「俳優指導者のことば」(4月開催予定)
第2回「からだと声」(5月開催予定)
第3回「カリキュラム」(6月開催予定)
【俳優指導者アソシエーションメンバー】
池内美奈子/俳優指導者。ヴォイス・コーチ。
2000年文化庁在外派遣研修員として渡英、
セントラル演劇学校ヴォイス学修士課程修了。
現在、新国立劇場演劇研修所ヘッドコーチ。
2011年秋にはウェールズ王立音楽演劇学校にて教える。
石本興司/俳優、演出家、俳優指導者。
元兵庫県立ピッコロ劇団所属。02年文化庁在外派遣研修員 。
現在、大阪芸術大学、都立総合芸術高校、新国立劇場演劇研修所などで講師。
川南恵/元新国立劇場演劇研修所カリキュラムコーディネーター。
現在、大学にて教育学、心理学を学び、
俳優教育の意義と適切な指導方法を言葉によって解き明かす研究を進めている。
黒澤世莉/演出家、俳優指導者。時間堂主宰。
スタニスラフスキーとサンフォード・マイズナーを学ぶ。
ENBUゼミ、円演劇研究所、新国立劇場演劇研修所などで講師。
鍬田かおる/俳優指導者、英国アレクサンダー・テクニーク教師協会認定教師。
セントラル演劇学校修士課程卒。
現在、新国立劇場演劇研修所、青年座研究所、桐朋学園芸術短期大学講師。
小森創介/俳優、声優、俳優指導者。演劇集団円所属。
04年文化庁在外派遣研修員として一年間ロンドンに学ぶ。
現在、玉川大学芸術学部パフォーミングアーツ学科非常勤講師。
鈴美明/俳優、ワークショップファシリテーター。06年文化庁国内派遣員。
現在、一般や子育て中の母親達の会、子供達を対象に、
演劇を使って自分自身を知る体験ワークショップを行っている。
藤野節子/俳優、俳優指導者。
03年文化庁在外派遣研修員として一年間ロンドンに学ぶ。
現在、都内にてマイズナー・テクニックのワークショップを主催。
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年03月01日
メルマガ 2012年03月のお薦め舞台

お薦めお芝居をご紹介しています
2012年3月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
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“しのぶの演劇レビュー” Vol. 93 2012.03.01 1,809部 発行
┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ http://www.shinobu-review.jp/
今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
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◎暦の上ではすっかり春のはずですが、まだまだ寒いですね。
今月、東日本大震災発生からちょうど1年を迎えます。
来たる3月11日、私は劇場で過ごすことにしました。
舞台には、あなたの心を揺さぶり、
人生の輝きを増してくれる奇跡があります。
“今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪
◎メルマガのバックナンバー↓は全て公開しています。
http://archive.mag2.com/0000134861/index.html
○
○○ 今回のもくじ
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◆1【今月のお薦め10本+α】
◎No.1→彩の国さいたま芸術劇場『ピーター・ブルックの魔笛』
03/22-25彩の国さいたま芸術劇場大ホール
≪埼玉、福岡、滋賀≫
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2012/p0322.html
◆2【先月のベスト3】
◎2月は体調不良で5作品しか観られず。ベスト3の発表はお休みです。
◆3【東日本大震災から1年。劇場で思いを分かち合えたら。】
◎3月10日から11日にかけて開催される企画をご紹介します。
◆4【「CoRich舞台芸術まつり!2012春」第一次審査結果発表! 】
◎最終審査対象となる10団体が決定しました!
http://stage.corich.jp/festival2012/result.php
◆5【編集後記】
◎十二指腸潰瘍で数日入院しました・・・ぼちぼち復帰します。
◆6【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】
◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪
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◆1 【今月のお薦め10本+α】
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▽★印がいちおし公演です(3本)。
▽初日の早い順に並べています。
▽掲載内容:主催/企画製作・『題名』・日程・会場・価格・URL
▽座種の記述がない公演は全席指定。
1.加藤健一事務所『「ザ・シェルター」「寿歌」2本立て公演』
03/02-11本多劇場
☆出演:加藤健一 小松和重 日下由美 占部房子
脚本:北村想 演出:大杉祐
前売:5000円 当日:5500円 高校生割引:2500円
http://homepage2.nifty.com/katoken/81-index.html
※下記はメルマガ2012年2月号の再掲です。
『寿歌(ほぎうた)』は北村想さんの1979年初演戯曲↓です。
http://www.performingarts.jp/j/data_drama/theater/d-00042.html
核戦争後の関西の廃墟を舞台にした近未来フィクションが、
私たちの現実にフィットすることとなってしまいました。
上演が相次ぐこの機会に、観ておきたい3人芝居です。
2.新国立劇場演劇『パーマ屋スミレ』
03/05-25新国立劇場小劇場
☆出演:南果歩 根岸季衣 久保酎吉 森下能幸 青山達三 松重豊 酒向芳
星野園美 森田甘路 長本批呂士 朴勝哲 石橋徹郎
脚本・演出:鄭義信
A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000439_play.html
1960年中頃の九州の炭鉱町を舞台に、30年に渡る炭鉱事故の訴訟を描く
鄭義信(チョン・ウィシン)さんの新作。鄭さんと新国立劇場の製作だと、
日本と韓国の両国で数々の賞を受賞した『焼肉ドラゴン』↓が有名です。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0208002938.html
鄭さんは映画「信さん・炭坑町のセレナーデ」↓の脚本も書かれています。
http://cinema.pia.co.jp/title/154125/ 切ない、いい映画でした。
ぴあの記事↓「“アジアで一番しつこい演出家”鄭義信の新作稽古場~~」
http://ticket-news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=201202220008&afid=700
★3.世田谷パブリックシアター『サド侯爵夫人』
03/06-20世田谷パブリックシアター
≪東京、大阪≫
☆出演:蒼井優 美波 神野三鈴 町田マリー 麻実れい 白石加代子
脚本:三島由紀夫 演出:野村萬斎
一般 S席7,500円 A席5,000円 プレビュー公演:S席6,500円/A席4,000円
高校生以下:一般料金の半額 U24:一般料金の半額
劇場会員、区民割引などあり
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2012/03/post_268.html
三島由紀夫作の怒涛のセリフ劇を、野村萬斎さんが演出。
6人の女優さんの顔触れが豪華過ぎ!まだ舞台を見てないのに、
心拍数が上がっちゃう♪ 過去レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0213172426.html(2011年)
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0902112246.html(2006年)
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1107143442.html(2005年)
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/0616231116.html(2003年)
★4.シス・カンパニー『ガラスの動物園』
03/10-04/03 Bunkamuraシアターコクーン
☆出演:立石凉子 深津絵里 瑛太 鈴木浩介
脚本:テネシー・ウィリアムズ 演出:長塚圭史
S席9,000円、A席7,000円、コクーンシート5,000円
http://www.siscompany.com/03produce/37glass/index.htm
ぴあで割引チケットあり↓
http://t.pia.jp/feature/stage/glass/index.html
ぴあ記事↓瑛太、初共演の深津絵里の印象は「武士みたいな人」
http://ticket-news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=201202070003
1944年初演の『ガラスの動物園』はT・ウィリアムズの代表作の1つ。
テレビや映画などで活躍する大スターが舞台で競演されます。何より、
長塚圭史さんが『ガラス…』を演出するんだから、必見! 過去レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/1107114333.html(2011年)
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0210114437.html(2006年)
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2001/0930013947.html(2001年)
5.東宝『幻蝶』
03/12-04/04シアタークリエ
≪東京、広島、兵庫、新潟、福岡、宮城、長野≫
☆出演:内野聖陽 田中圭 七瀬なつみ 中別府葵 細見大輔 大谷亮介
脚本:古沢良太 演出:白井晃
8800円
http://www.tohostage.com/genchou/index.html
『キサラギ』↓等で有名な脚本家、古沢良太さんの書き下ろし戯曲を
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0410221109.html
白井晃さんが演出。『キサラギ』は映画も面白かったです。
内野聖陽さんと田中圭さんが共演されるのは純粋に楽しみですね。
幻の蝶を追う物語で、振付に康本雅子さんのお名前があるのも気になります。
6.オフィス・コットーネ『黄色い月』
03/14-18ザ・スズナリ
☆出演:柄本時生 門脇麦 中川安奈 下総源太朗
作:デイヴィッド・グレッグ 翻訳・ドラマトゥルク:谷岡健彦
演出:高田恵篤 プロデューサー:綿貫凜
前売・当日共 4200円
シードチケット(学生割引):前売・当日共2500円
※未就学児童の入場不可。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~cottone/yellowMoon/yellowMoon.html
2006年スコットランド初演戯曲の日本初演です。この4人の出演者による
海外ストレート・プレイなら、ハズレはないだろうと踏みました。
演出の高田恵篤さんは俳優としても活躍されています。
『旅とあいつとお姫さま』↓では数役を見事に演じてらっしゃいました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/1001174052.html
7.大人計画『ウェルカム・ニッポン』
03/16-04/15本多劇場
≪東京、大阪≫
☆出演:阿部サダヲ 宮藤官九郎 池津祥子 伊勢志摩 顔田顔彦
宍戸美和公 宮崎吐夢 皆川猿時 村杉蝉之介 田村たがめ 荒川良々
近藤公園 平岩紙 アナンダ・ジェイコブズ 松尾スズキ
青山祥子 井上尚 菅井菜穂 矢本悠馬
脚本・演出:松尾スズキ
前売6,500 円/ヤング券 3,800 円(対象22歳以下の方)
※未就学児童のご入場はご遠慮ください。
http://otonakeikaku.jp/welcome/welcome.html
大スター集団となった大人計画の本公演は、松尾スズキさんの新作。
劇団員が大集合する公演はなんと8年振りだそうです。
東日本大震災と原発事故を経て(現在も甚大な被害が出ていますが)、
松尾さんが何を描くのか。体当たりするぐらいの気合いで観に行きたい。
8.パルコ・プロデュース『テキサス』
03/17-04/08 PARCO劇場
≪東京、大阪、愛知≫
☆出演:星野源 木南晴夏 野波麻帆 岡田義徳 福田転球 政岡泰志 伊達暁
吉本菜穂子 山岸門人 湯澤幸一郎 河原雅彦 高橋和也 松澤一之
脚本:長塚圭史 演出:河原雅彦
7,350円 U-25チケット 5,000円(25歳以下対象・当日指定席券引換)
http://www.parco-play.com/web/page/information/texas/
約11年前に、長塚圭史さんが作・演出された『テキサス』↓が
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2001/0705160707.html
豪華キャストを迎えて再演されます。演出は河原雅彦さん。
片田舎が舞台のバイオレンス娯楽劇を、震災後の日本でどう描くのか。
また、散りばめられた笑いがどう響くのかにも興味があります。
★9.彩の国さいたま芸術劇場『ピーター・ブルックの魔笛』
03/22-25彩の国さいたま芸術劇場大ホール
≪埼玉、福岡、滋賀≫
☆出演:ロジェ・パデュレ エイドリアン・ストゥルーパー 他
演出:ピーター・ブルック
S席8,000円 A席5,000円 学生A席3,000円 劇場会員割引などあり。
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2012/p0322.html
●お薦めポイント●
ピーター・ブルックさんは、世界的に有名な80代の現役演出家です。
現在24ヵ国を巡演中の最新作を見逃す手はないでしょう。追加公演あり。
この作品は2010年11月初演で、フランス最高の演劇賞モリエール賞の
最優秀作品賞(ミュージカル部門)を受賞したそうです。
ピーター・ブルック演出『ハムレットの悲劇』(2001年)レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2001/0626213442.html
10.博品館劇場『TEA AT FIVE キャサリン・ヘプバーン~五時のお茶~』
03/28-04/01博品館劇場
≪東京、ほか≫
☆出演:十朱幸代
脚本:マシュー・ロウンバート 翻訳:まごいずみ 演出:鵜山仁
7,000円
http://theater.hakuhinkan.co.jp/pr_2012_03_28.html
十朱幸代さんが大女優キャサリン・ヘプバーンを演じる一人芝居。
70代に近いとは信じられない、超キュートな十朱さんの出演作レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0217211523.html
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0926174724.html
★★★──────────────────────────────
前売3000円台以下の気になる作品を5本ご紹介します。
──────────────────────────────★★★
【1】北九州芸術劇場プロデュース『テトラポット』
03/02-04あうるすぽっと
≪福岡、東京≫
☆出演:大石将弘 寺田剛史 荒巻百合 折元沙亜那 古賀菜々絵 高野由紀子
多田香織 谷村純一 原岡梨絵子 ヒガシユキコ 藤井俊輔 米津知実
脚本・演出:柴幸男
一般3,000円、学生2,500円 ※当日各500円増
※未就学児童の入場不可。
http://www.kitakyushu-performingartscenter.or.jp/event/2011/0221tetrapod.html
http://www.owlspot.jp/performance/120302.html
『あゆみ』『わが星』などの独創性ゆたかな舞台で高く評価されている
柴幸男さんが、北九州の劇場で、地元の俳優と新作を創作。
【2】演劇ユニット「僕たち私たち」『胎内』
03/08-10プロト・シアター
International Student Drama Festivalエントリー公演
☆出演:今井聡 雄大 田嶋真弓
脚本:三好十郎 演出:松森望宏
日時指定・自由席 前売り2950円 当日3500円 ※未就学児童の入場不可。
http://boku-wata.jimdo.com/ ↓こりっちでカンタン予約!
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=32917
新国立劇場演劇研修所4期修了生による自主公演。
三好十郎作『胎内』(過去レビュー↓)は手ごわい戯曲ですが、
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1026231816.html
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/1013015747.html
この3人なら、危機的状況でギラギラと瞬く命をあらわしてくれると期待。
演出の松森望宏さんは、しばしば宮田慶子さんの演出助手もされています。
【3】アートステージ・サン『ダルレの話』
03/17富士見市民文化会館キラリ☆ふじみマルチホール
☆出演:Jo Hyun San、Ru Ji Yun、Kim Tae In、Kim Yang Hee
全席自由 前売・当日共2,000円
団体1,800円(30名以上同時購入の場合/前売りのみ)
http://www.kirari-fujimi.com/program/view/25
韓国の劇団アートステージ・サンによる、韓国の伝統音楽と映像、
人形、そして4人の俳優による無言劇。沖縄の
キジムナーフェスティバルでの上演を観た友人が絶賛していました。
【4】THE SHAMPOO HAT『一丁目ぞめき』
03/21-31ザ・スズナリ
☆出演:野中隆光 日比大介 児玉貴志 黒田大輔 滝沢恵 赤堀雅秋
作・演出:赤堀雅秋
指定:前売 3,800円 当日 4,000円 自由:前売 3,500円 当日 3,800円
http://www.shampoohat.com/zomeki/index.html
赤堀雅秋さんの劇団新作公演を、劇団のホームといえるザ・スズナリで。
2007年の劇団公演『その夜の侍』↓の映画化が決定しています。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/1003174738.html
赤堀さんご自身が脚本・監督を手掛け、堺雅人さんと山田孝之さんが出演!
【5】社団法人日本劇団協議会『にわか雨、ときたま雨宿り』
03/23-27恵比寿・エコー劇場
「日本の劇」戯曲賞2011・日本の演劇人を育てるプロジェクト
☆出演:押切英希 有馬自由 星智也 古河耕史 古川龍太
弓場沙織 鈴木ひかり 柿丸美智恵
脚本:鈴木穣 演出:西川信廣
前売3,000円 当日3,500円 学生2,500円(前売・当日とも)
http://gekidankyo.blog59.fc2.com/blog-entry-33.html
↓こりっちでカンタン予約!
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=34563
日本劇団協議会が主催する「日本の劇」戯曲賞受賞作の上演。
戯曲を手堅い演技で立体化してくれそうな出演者陣にも惹かれます。
≪リーディングなど≫
○CBGK Premium Stage リーディングドラマ『Re:(アールイー)』
03/20-25 CBGKシブゲキ!!
☆出演:藤木直人×ベッキー、竹中直人×中越典子、
古田新太×宮沢りえ、生瀬勝久×仲間由紀恵
脚本・演出:土田英生 主題歌:瓜生明希葉
6,500円(前売・当日共)
http://www.cubeinc.co.jp/stage/info/re.html
男女2人の朗読劇で有名なのはパルコ劇場の『ラヴ・レターズ』↓。
http://www.parco-play.com/loveletters/
『もしもキミが。』や『私の頭の中の消しゴム』などもあります。
土田英生さんが作・演出される『Re:』シリーズが始まるようです。
○東京芸術劇場「芸劇+トーク―異世代劇作家リーディング『自作自演』」
☆<第3回>3月4日(日)17:00~ 出演:別役実×野田秀樹
<第4回>3月20日(火・祝)15:00~ 出演:唐十郎×渡辺えり
会場:水天宮ピット・大スタジオ トーク聞き手:扇田昭彦
前売1,000円/当日1,500円 (全席自由)
http://www.geigeki.jp/saiji/039/index.html
世代の異なる劇作家が自作の“小説”を読み、語り合う企画です。
≪首都圏以外≫
○SPAC・静岡県舞台芸術センター『グリム童話~本物のフィアンセ~』
一般公演:3月3日(土), 4日(日), 10日(土), 11日(日)
会場:静岡芸術劇場
☆脚本:オリヴィエ・ピィ 演出:宮城聰
4,000円[一般大人1公演]
ペア割引:7,000円 [ペアチケット(2枚)]
グループ割引:3名様以上で1名様 3,200円
ゆうゆう割引:3,400円 / 6,400円 [ペアチケット(2枚)]
学割:2,000円[大学生・専門学校生] 1,000円[高校生以下]
障がい者割引[障害者手帳をお持ちの方]:2,800円
http://www.spac.or.jp/12_spring/grimm.html
『グリム童話 少女と悪魔と風車小屋』(2011年)↓に続き、
http://www.spac.or.jp/11_spring/grimm
『オリヴィエ・ピィのグリム童話』↓の1編をSPACが新製作。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0629233641.html
○愛知県文化振興事業団プロデュース『どこか行く舟』
03/22-25愛知県芸術劇場小ホール
☆作:室屋和美 演出:鈴江俊郎
日時指定・全自由席
前売一般2,200円(当日2,500円)
前売学生1,500円(当日1,800円)
http://www.aac.pref.aichi.jp/sinkou/event/dokoka/index.html
第10回AAF戯曲賞受賞作の上演。受賞者は神戸在住の室屋和美さん。
演出は鈴江俊郎さんです。出演者、スタッフはオーディションで選抜。
○マームとジプシー『LEM-on/RE:mum-ON!!』
03/29-31元・立誠小学校(京都)
☆原案:梶井基次郎 脚本・演出:藤田貴大
ご予約2,500円/当日2,700円
http://mum-gypsy.com/next/32011.php
昨年、首都圏小劇場界の話題を独占したと言って過言ではない
マームとジプシーの新作。同時進行する15本の短編を、
観客が選択・移動ながら鑑賞することになるそうです。
1回では全ての作品は観られないとのこと。
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◆2 【先月のベスト3】
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◎2月は体調不良↓でほとんど観劇ができませんでした・・・。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0211115841.html
1月に引き続き、ベスト3の発表は控えます。無念です(涙)。
観られたのは東宝ミュージカル『ハムレット』(←倒れる2日前に鑑賞)、
さいたまネクスト・シアター『2012年・蒼白の少年少女たちによる
「ハムレット」』、Studio Life『オズ -OZ-(再々演)』、
新国立劇場演劇研修所第5期生修了公演『The Art of Success』、
庭劇団ペニノ『誰も知らない貴方の部屋』の計5作品です(順不同)。
◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
http://archive.mag2.com/0000134861/index.html
メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
2012年2月(観劇数5作品)は残念ながら発行せず。
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◆3 【東日本大震災から1年。劇場で思いを分かち合えたら。】
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◎昨年3月11日に起きた東日本大震災から、ちょうど1年を迎えます。
10日(土)から11日(日)にかけて行われる企画を3つご紹介します。
癒えない痛み、募る悲しみ、増え続ける疑問に治められない怒り、
今生きていることへの喜び、そして感謝の気持ちを、
劇場に集まった人たちと少しでも共有できたらと思います。
○KATO企画『あの日、あの雨』
03/10-11パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』
☆脚本:村井志摩子 演出:黒澤世莉(時間堂)
全席自由・ワンドリンク付き 2,500円
※売上の一部をチェルノブイリ子ども基金・未来の福島子ども基金に寄付。
http://ameblo.jp/kato-kikaku/
上演作品:「あの日、あの雨」(作:村井志摩子)
朗読「つなみ」 被災地のこども80人の作文集より
朗読・ギター演奏「黙礼」(詩:和合亮一)より
○日本演出者協会プロデュース『フェニックスプロジェクトvol.4』
福島の高校生×東京の高校生 コラボレーション企画
3月10日(土)15:00~19:00
3月11日(日)12:00~19:30
会場:笹塚ファクトリー
☆福島県の高校による2作品の上演に加え、東京都立新宿高校の
『ひたすら、国道6号線。』↓も再演されます。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/1114191651.html
宮田慶子さん演出の高校生による新作リーディングなどあり。
プログラムの詳細は公式サイトでご確認ください。
一般2,000円 高校生以下1,500円
http://phoenixpro.jimdo.com/
○千賀ゆう子企画公演「S」シリーズ 番外編
『仙台 TheatreGroup "OCT/PASS" 「方丈の海」東京先行リーディング』
3/11ストライプハウスギャラリー
☆脚本:石川裕人(TheatreGroup”OCT/PASS”)
一律2,000円
http://homepage3.nifty.com/senga-unit/
仙台在住の劇作家石川裕人さんが、東日本大震災を黙示録的に描く新作
『方丈の海』の、5月公演に先駆けたリーディング公演。
石川さんは昨年、東京で行われた公開フォーラム↓に出席されていました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0512145257.html
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◆4 【「CoRich舞台芸術まつり!2012春」第一次審査結果発表!】
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◎日本全国対象のインターネット上の舞台芸術フェスティバル
「CoRich舞台芸術まつり!2012春」の審査員をさせて頂いております。
http://stage.corich.jp/festival2012/
グランプリ受賞団体には次回公演資金として100万円が支援されます。
第一次(ネット)審査にて110作品の中から10作品が選ばれました!
http://stage.corich.jp/festival2012/result.php
初日順⇒ひょっとこ乱舞(東京都)、FUKAIPRODUCE羽衣(東京都)、
DULL-COLORED POP(東京都)、tsumazuki no ishi(東京都)、
子供鉅人(大阪)、空想組曲(東京都)、北京蝶々(東京都)、
範宙遊泳(東京都)、バナナ学園純情乙女組(東京都)、intro(北海道)、
3ヶ月間で審査員が10作品を鑑賞し、6月中旬にグランプリを発表します。
よかったら対象作品をご覧になって感想をクチコミしてくださいね!
CoRich舞台芸術!:http://stage.corich.jp/
メンバー登録:http://www.corich.jp/stage/user_register.php
携帯サイト:http://www.corich.jp/m/s
≪3月の「CoRich舞台芸術まつり!2012春」最終選考作品≫
○ひょっとこ乱舞『うれしい悲鳴』
03/03-11吉祥寺シアター(東京)
☆脚本・演出:広田淳一
http://hyottoko.sub.jp/ ↓こりっちでカンタン予約!
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=32131
http://stage.corich.jp/festival2012/detail.php?stage_main_id=24694
○FUKAIPRODUCE羽衣『耳のトンネル』
03/09-19こまばアゴラ劇場(東京)
☆プロデュース:深井順子 脚本・演出・音楽・美術:糸井幸之介
http://www.fukaiproduce-hagoromo.net/
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=33399
http://stage.corich.jp/festival2012/detail.php?stage_main_id=25743
○DULL-COLORED POP『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』
03/14-18、04/03-08アトリエ春風舎(東京)
≪東京、新潟、宮城、京都、大阪、広島、東京≫
☆脚本・演出:谷賢一
http://www.dcpop.org ↓こりっちでカンタン予約!
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=33830
http://stage.corich.jp/festival2012/detail.php?stage_main_id=26109
○tsumazuki no ishi『ストレンジャー彼女』
03/28-04/01 SPACE雑遊(東京)
☆脚本:スエヒロケイスケ 演出:寺十吾
http://tsumazuki.com/
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=34422
http://stage.corich.jp/festival2012/detail.php?stage_main_id=26566
○子供鉅人『キッチンドライブ』
03/30-04/02、04/13-16ポコペン(大阪)
☆脚本・演出:益山貴司
http://www.kodomokyojin.com/
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=33853
http://stage.corich.jp/festival2012/detail.php?stage_main_id=26126
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◆5 【編集後記】
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◎2月は話題作満載だったので、絶対観ようと思ってたのに
観られなかった作品が多すぎて悲しいです・・・。
でも家にこもっている間に、普段なら想像すらしないであろうアイデアが
浮かんだのは怪我の功名!…とポジティブに考えることにします。
完治には2~3ヶ月かかるようで、まだ1人での遠出は難しそうです。
あせらず、ぼちぼち、劇場通いを始めたいと思います。
まあ、年を取ったってことですね・・・。
◎togetterでまとめた『橋下徹氏の文楽批判ツイートに対して、
劇団「木ノ下歌舞伎」主宰の木ノ下裕一さんが物申す。』が、
47000viewを突破しました。⇒ http://togetter.com/li/263907
◎第56回岸田國士戯曲賞の候補作は下記8作品です。
http://www.hakusuisha.co.jp/kishida/selection.php
結果は3月5日に発表。白水社のメールマガジン↓で速報あり!
http://www.hakusuisha.co.jp/magazine/
◎雑誌「アクチュール・ステージvol.3」↓に記事掲載予定。
http://www.kinejun.com/book/detail/tabid/89/pdid/978-4-87376-752-9/Default.aspx
木俣冬さん↓にお声掛けいただきました。
http://blog.livedoor.jp/kamitonami/
http://twitter.com/kamitonami
◎おすすめ舞台中継 on TV(おすすめがある時だけ掲載)
【意見】NHK「芸術劇場」「ミッドナイトステージ館」
「プレミアムシアター」での演劇舞台中継の継続を嘆願します
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0202151800.html
【WOWOW ライブ】3/3(土)よる9:00~
シス・カンパニー『その妹』
http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/100408/
作:武者小路実篤 演出:河原雅彦
出演:市川亀治郎 蒼井優 ほか
【WOWOW ライブ】3/20(火)よる8:00~
『オペラ座の怪人』25周年記念公演 in ロンドン
http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/100320/index.php
【NHKプレミアムシアター】
3/26(月)※3/25深夜 午前1時~午前5時(放送終了時刻未定)
東宝ミュージカル『GOLD ~カミーユとロダン~』
http://www.nhk.or.jp/bs/premium/
作曲:フランク・ワイルドホーン 脚本/作詞:ナン・ナイトン
上演台本/演出:白井晃 訳詞:森雪之丞
出演:新妻聖子 石丸幹二 伊礼彼方 根岸季衣 西岡德馬 ほか
【スペースシャワーTV】3/28(水)23:00~24:00
『七尾旅人 presents 百人組手
日本最高峰即興演芸衝撃的再興乃序曲 special DAX
-Space Shower Digital Archives X-』
http://bluesinter.jp/news/n-media/20120215_1334327652
http://www.spaceshowertv.com/program/special/1203_dax.html
出演:七尾旅人、大友良英、飴屋法水、ほか
◎地方新聞に掲載される新作邦画DVDの紹介記事を書いています。
2012年2月は下記の5作品を拝見しました(順不同)。
・「探偵はBARにいる」←高嶋政伸さん強烈!安藤玉恵さんカッコイイ!
http://www.tantei-bar.com/
・「花子の日記」←予想外に面白かった。日韓合作映画なみに韓国語多い。
http://hanakononikki.com/
・「行け!男子高校演劇部」←池田鉄洋さん脚本&出演のドタバタ青春喜劇。
http://ikedan-movie.com/
・「僕たちは世界を変えることができない。
But,we wanna build a school in Cambodia.」
http://www.boku-seka.com/ ↑長い正式題名。柄本佑さんはやはり素敵。
・「ノラ」←染谷将太さん目当てで。本気が伝わる映画でした。
http://www.toenta.co.jp/dvd/nora/index.html
◎【厳選シアター情報誌Choice!】TOPページ右下の“ちょいナビ”にて、
http://www.next-choice.com/
“しのぶの演劇レビュー”をご紹介いただいています!
◎ツイッターやってます!フォロワー3200人超えに感謝♪
⇒ @shinorev : http://twitter.com/shinorev
情報収集はもっぱらツイッター頼りです。
実名アカウント同士の身のあるやりとりから仕事に直結!
震災・原発事故関連の公式リツイートが多いです。
◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています。
お仕事のご依頼はこちらへ↓お気軽にどうぞ♪
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◎「CoRich(こりっち)舞台芸術!」で
いつ、どこで、何が上演されているのかを簡単検索!
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それが私の望みです。
これからもこつこつ、地道に続けて行きたいと思っております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪
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