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2012年04月29日

ナイロン100℃『百年の秘密』04/22-05/20本多劇場

 ケラリーノ・サンドロヴィッチさんが作・演出される劇団ナイロン100℃の新作です。2人の女性を主軸にした物語、という前情報だけを頭に入れて鑑賞。まず最初の映像でノックアウトされました…凄すぎる!上演時間は約3時間25分(途中休憩15分を含む)

 ケラさんって本当にすごいストーリーテラーだと思いました(何を今さら、ですが)。そしてナイロン100℃の舞台はナイロン100℃公演でしか観られないのだと、当たり前のことですが、強く感じました。

 チケットはゴールデンウィークが狙い目とのことです。どうぞ本多劇場へ!東京の後は大阪、神奈川、福岡、新潟のツアーあり!

 悲劇喜劇2012年6月号(5/7発売)↓に戯曲が掲載されます。

 ⇒中野成樹さんの感想ツイート(4/29)
 ⇒ぴあ今週のこの人!ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 ⇒CoRich舞台芸術!『百年の秘密
 レビューは後日加筆予定。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:犬山イヌコ×山西惇×ケラリーノ・サンドロヴィッチ 司会:徳永京子(演劇ジャーナリスト)


ナイロン100℃ 38th SESSION
≪東京、大阪、神奈川、福岡、新潟≫
出演:犬山イヌコ 峯村リエ みのすけ 大倉孝二 松永玲子 村岡希美 長田奈麻 廣川三憲 安澤千草 藤田秀世 水野小論 猪俣三四郎 小園茉奈 木乃江祐希 伊与勢我無 萩原聖人 近藤フク 田島ゆみか 山西惇
脚本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 音楽:朝比奈尚行 鈴木光介 美術:BOKETA 照明:関口裕二(balance,inc.DESIGN) 音響:水越佳一(モックサウンド) 映像:上田大樹(&FICTION!) 衣裳:宮本宣子 ヘアメイク:武井優子 ステージング:長田奈麻 演出助手:相田剛志 舞台監督:菅野將機 福澤諭志(StageDoctor Co. Ltd.) 演出部:小野綾香 小見山実侑 照明操作:瀬戸あずさ(balance,inc.LIGHTING) 音響操作:照山未奈子 映像操作:玉木将人 衣裳進行:畑久美子 殺陣指導:明樂哲典 台本進行:北川大輔 記録スチール:引地信彦 レコーディングミュージシャン:會田純那(macoghari) 黒木麻未 鈴木光介 林亨(macoghari) レコーディング協力: サウンドスタジオ アフタービート 大道具製作:C-COM舞台装置 櫻井俊郎 唐崎修 小道具:高津装飾美術 天野雄太 小道具協力:アトリエカオス 田中康平 特殊効果:特効 糸田正志 演出部協力:福澤久美子 白石廿日 映像助手:大鹿奈穂 横山翼   衣裳助手:横田裕二 衣裳製作:宮本宣子ワークショップ 衣裳協力:松竹衣裳 東宝舞台株式会社衣裳部 ウィッグ:FONTAINE<犬山イヌコ1幕2場・2幕4場、大倉孝二1幕2場・2幕4場、松永玲子1幕3場・2幕6場、廣川三憲1幕2場・1幕3場・2幕5場・2幕6場> 運搬:マイド 宣伝美術:坂村建次 積孝司(C2design) 宣伝写真:江隈麗志 宣伝衣裳:牧野iwao純子(ダダグラム) 宣伝ヘアメイク:山本絵里子 浅沼靖 プリンティングディレクター:青山功(リトルウイング) CG・RETOUCH:佐野貴子(TRIGON GRAPHICS SERVICE) 小道具協力:PROPS NOW プロデューサー:高橋典子 制作:佐々木悠 青野華生子 北里美織子 川上雄一郎 仲谷正資 永田聖子 広報宣伝:米田律子 太齋志保 製作:北牧裕幸 企画・製作:シリーウォーク キューブ 主催・お問い合わせ:キューブ
【休演日】4/26,29 5/3,7,14【発売日】2012/02/25 6,900円(前売・当日共/全席指定/税込) 学生割引券:4,300円(前売りのみ/税込/チケットぴあのみ)
http://www.cubeinc.co.jp/stage/info/nylon38th.html
http://www.sillywalk.com/nylon/


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:50 | TrackBack

TPT『プライド』12/15-25 d-倉庫

 TPTがアレクシ・ケイ・キャンベル作『プライド』を日本初演しました。2008年初演の同戯曲で、キャンベルさんはイギリス演劇批評家協会賞の新人劇作家賞を受賞し、作品はローレンス・オリヴィエ賞を受賞されたそうです。演出は小川絵梨子さん(過去レビュー⇒)。
 
 1958年と2008年を行ったり来たりする四人芝居で、各場面の会話劇の密度が高く、ずっしりとした上品な味わいでした。ストレートプレイを堪能。
 
 ⇒TPT公式ブログ「『プライド』について
 ⇒CoRich舞台芸術!『プライド

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 教えてよ。あれってデモンストレーション、セレブレーション、それともファッションショー?
 1958年、フィリップはシルヴィアと結婚していたが、オリヴァーと恋に落ちた。2008年、オリヴァーは男漁りをやめられず、パートナーのフィリップは家を出た。2人の親友シルヴィアは彼らをゲイ・プライドに誘った。
 社会の大きな変化をはさんだ2つの時代の2つのラブストーリー。セクシュアル・アイデンティティと資本主義の危険な関係。ありのままの自分とはなにか? 幸せとはなにか? 愛するとはどういうことか? 欲望、消費、セックス、裏切り、孤独、愛する勇気。眠れぬ過去から、目覚めた未来から届く声。
 ≪ここまで≫

 馬渕英俚可さんの1958年とシルヴィアと2008年のシルヴィアの演じ分けが鮮やかでした。くるりと変身するかのごとく。
 谷田歩さんが雇われてコスチュームプレイをする役者や、編集者、医師など、メイン3人の外側にいる人物らを演じ、他者、異物、世間といったものを象徴する役割を果たされていたように思いました。

 ここからネタバレします。

 フィリップ(須賀貴匡)はシルヴィア(馬渕英俚可)という妻がいるけれど、彼女の仕事仲間の男性オリヴァー(山口馬木也)と恋に落ち肉体関係を持ちます。フィリップとオリヴァーのラブシーンは、じりじりと距離が狭まっていく緊張感にときめきも感じられましたが、最終的にはレイプという最悪の結果を迎えます。その落差が劇的で、苦々しかった。須賀さんの演技がちょっと堅かったですね。怒りの表現が多すぎる気がしました。

 1958年という時代にゲイであることは罪、もしくは病気とみなされ、フィリップは病院で過酷な治療を受けてゲイであることをやめようとします。テネシー・ウィリアムズの姉のロボトミー手術を思い出しました。自分で自分の本当の心を殺すことを選ぶなんて、なんというむごい悲劇。
 オリヴァーはギリシャに訪れた時の話をよくしていました。たとえばデルフォイの神託についてなど。彼は古代の人々に思いを馳せ、未来へも想像力を広げ、「50年後、500年後には今の自分の気持ちは理解されるだろう」と語ります。 

 一幕と二幕で装置がガラリと変化したのが素敵。家具を片付けると石造りの空間になり、ギリシャの神殿を思わせます。

 2008年ではオリヴァー(山口馬木也)とフィリップ(須賀貴匡)は同棲しているカップルでしたが、オリヴァーの浮気癖に嫌気がさしたフィリップは出て行ってしまいます。2人の共通の友人シルヴィア(馬渕英俚可)が2人を仲直りさせようと、ゲイ・プライド(ゲイのパレード)に誘って引き合わせたところ、2人は徐々に言葉を交わして距離を縮めて行きます。大盛り上がりのゲイ・パレードで、90歳ぐらいと思われる老人カップルが嬉々として踊っていました。それを見つけた2人はほほ笑み合います。
 その老人は1958年のオリヴァーだったかもしれません。50年前のあるゲイの思いが、現代に通じたのだと思いました。やがてシルヴィアが女神のような白いロングドレスで登場します。空間がギリシャ時代になり、古代と現在、そして未来が同時に存在するマジカルで感動的なエンディングでした。

TPT81 "PRIDE" by Alexi Kaye Campbell
出演:馬渕英俚可 須賀貴匡 山口馬木也 谷田歩
脚本:アレクシ・ケイ・キャンベル 訳:広田敦郎 演出:小川絵梨子 美術:松岡泉 照明:松本大介 衣裳:桜井麗 音響:藤平美保子 舞台監督:八須賀俊恵
【休演日】2011年12月19日【発売日】2011/10/17 全席指定4,500円 25歳以下&65歳以上(tpt電話予約のみ取扱):3,000円
http://www.tpt.co.jp/aboutus/archive/081.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 16:40 | TrackBack

2012年04月27日

【写真記事】Studio Life「『天守物語』公演記念イベント」04/23山の上ホテル

 男優集団Studio Life(スタジオライフ)の次回新作公演は泉鏡花作『天守物語』。倉田淳さんが上演台本・演出を手掛け、美術・衣装をイラストレーターの宇野亞喜良さんが、音楽をロックバンドBUCK-TICKのギタリストである今井寿さんが担当されます。

 上演を記念し、山の上ホテルでイベントが開催されました。残念ながら私は伺えなかったのですが、劇団からイベントレポートを頂戴しましたので転載します。Studio Lifeの過去の制作発表など⇒

 ●Studio Life『天守物語』 ⇒公式サイト
  作:泉鏡花 上演台本・演出:倉田淳
  2012年6月9日~6月24日@紀伊國屋ホール
  2012年6月30日~7月1日@梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
  ⇒CoRich舞台芸術!『天守物語

 ■スタジオライフ『天守物語』イベントレポート

 2012年4月23日(月)、山の上ホテルにて新作舞台『天守物語』の記念イベントが開催されました。
 当日は、美術・衣装を担当するイラストレーターの宇野亞喜良氏、急きょ来場が決定した音楽担当のロックバンドBUCK-TICKのギタリスト 今井寿氏、そして、演出 倉田淳の3名によるトークショー、及び、姫川図書之助、富姫を演じるメインキャスト4名による挨拶、全員登壇してのフォトセッションが行われました。

 トークショーでは、宇野氏から「2010年に発売したBUCK-TICKのアルバム『RAZZLE DAZZLE』で、ジャケットイラストを担当した縁で、今回の舞台に誘いました。BUCK-TICKの魅力は、お客さんを巻き込むアクチュアルでエネルギッシュなステージ。その音楽が異形の人がたくさん登場する『天守物語』に合う」と、秘話も飛び出しました。

【写真左から(敬称略):倉田淳、宇野亞喜良、今井寿】
Tenshu_3.JPG

 今井氏は、2月に新宿シアターサンモールで上演された『OZ』を観劇し、スタジオライフを初体験したそう。「見る前は全員男性の舞台がどういうものになるのか、想像できなかったのですが、実際に見てみるとすごく良かった」とのこと。そんな今井さんは、演出の倉田から「誰が聞いてもわかるけど、誰も今まで聞いたことがない曲を作ってほしい」という難しい依頼をされているとか。今井さんは「すでにいくつかメロディーができていて、3曲ぐらいは譜面にしてある」そうです。宇野氏や倉田からは「ミック・ジャガーのように“かっこいいのにかわいい”今井さんを、役者として引っ張り出したい」という仰天プランも飛び出しました。劇中には日本を代表するわらべうた『通りゃんせ』も登場しますが、どんな今井流アレンジが施されるのか楽しみです。

【写真左下から:河内喜一朗、倉田淳、宇野亞喜良、今井寿。左上から:松本慎也、荒木健太朗、及川健、岩﨑大】
Tenshu_8.JPG

 続いてのキャスト挨拶では、姫川図書之助役の荒木健太朗、松本慎也、そして富姫役の及川健、岩﨑大というメインキャストが登場。意気込みを語りました。

 2年ぶりに劇団スタジオライフの作品に出演する荒木健太朗(Quartzチーム)は「劇団も僕もこの2年でたくさん成長したはず、それが楽しみでも不安でもあります。同じチームで演じる及川さんからはいつも教わることばかりですが、僕も入団して9年目なので『一緒に作っていく』ことができたらと思っています。『天守物語』は、出会いと出発までの過程を描く物語。人間も妖怪も大事にしていることを貫く様を表現したいと思います」とコメント。

 一方の及川は「役作りのため、妖怪について勉強をしています。宇野先生の衣装がどれだけ素晴らしものになるのか楽しみです」。

 Jadeチームの松本慎也は「宇野さんと今井さんのコラボがどのように昇華するのかまったく想像がつきません。とても楽しみです。泉鏡花の美しい世界を表現したいです」。

 岩﨑大は「『天守物語』に出てくる妖怪には、狂気の中で自分の正義を貫く芯がある。人間と妖怪に違いはあるのだろうかと最近ずっと考えています」と、それぞれ作品への想いを語った。

 泉鏡花が描いた究極な美の世界。スタジオライフによる新たな解釈と、刺激的なクリエイターとのコラボレーションで、今までにない輝きを放つ舞台に仕上げます。(ライター:石川香苗子)


スタジオライフ『天守物語』 作:泉鏡花 上演台本・演出:倉田淳 美術・衣装:宇野亞喜良 テーマ曲:今井寿(BUCK-TICK)
2012年6月9日~6月24日 紀伊國屋ホール 2012年6月30日~7月1日 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公式:http://www.studio-life.com/stage/tenshu2012/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 11:14 | TrackBack

2012年04月26日

NODA・MAP『THE BEE Japanese Version』04/25-05/20水天宮ピット・大スタジオ

 2007年の数々の演劇賞を総なめにした野田秀樹さんの『THE BEE』の再演です(⇒初演レビュー)。English Versionが3月に終了し、Japanese Version(日本人キャスト・日本語上演)が昨日開幕しました。東京、大阪、福岡、長野、静岡を回るツアーです。⇒静岡公演に向けての野田秀樹さんのビデオメッセージ(書き起こし)

 野田さんがカッコよすぎて見とれてしまいました…!初演より演技の精度がさらに増しているように思います。上演時間は約1時間15分。上演時間が短いのも良かったです。刺激が強いので…。

 前売り完売ですが、当日券は毎回発売されます。当日券の劇場での販売はありません。当日券の入手方法は、各公演日前日のチケットぴあ当日券専用ダイヤルでの電話予約のみ。⇒当日券詳細

 ⇒CoRich舞台芸術!『THE BEE Japanese Version

 紙、ゴムなどを使った演出および舞台美術は初演と同じスタイルです。シンプルだけれど動きがあって、先の予想がつかないのが刺激的です。

 静かに、そして急に凶暴化する井戸を、野田さんは全身を使った激しい動きで表現されますが、常に冷静さを保っているのがわかります。セリフも動作もとても細やかに作ってらして、その緻密さが積み重なって、どうにも目が離せない高密度の存在感になるのではないでしょうか。あまりにかっこ良くて…(自粛)。初演同様、『2001人芝居』を思い出しました。

 野田さん演じるサラリーマン井戸は、あるタイミングで被害者から加害者になってしまうのですが、その変化が私にも起こったように感じました。井戸に向かって「殺っちまえ!」とけしかけたくなるような暴力的な感情が、むくむくと自分の中から湧きあがってくるんです。しかも快感なんですよね…恐ろしいことです。

 宮沢りえさんの細くて長い生足が、ちょっとどうかと思うぐらい露出してて、目のやり場に困りました(笑)。「そんなに見たいならここぞとばかりに凝視すればいいじゃん私!」「いやいや、これは見ちゃダメ!ダメダメ!」と脳内で自問するぐらいキレイでした…♪(←馬鹿)

 池田成志さんのコミカルな演技が、抜群のタイミングで場面を引き締めているように思いました。貪欲な演技、というのでしょうか。シェフが一番好きでしたね。

 ここからネタバレします。

 巨大な蜂(BEE)が飛び回る映像の時は、照明が青白くなり、俳優の顔色も姿もガラリと変わります。出しゃばり過ぎない映像演出と照明の効果で、俳優の演技をひきたてているように思いました。紙の裏側からシルエットで浮かび上がる像も非常に効果的でした。
 三面鏡を開いた井戸を、小古呂の妻(宮沢りえ)が銃で狙う場面は、鏡に反射する光が移動するのがかっこ良かった!

 最後は無数の蜂の群れが舞台全体を覆います。照明が消えて暗くなり、井戸と小古呂の妻とその息子(近藤良平)は紙の下敷きになります。というより、男(池田成志)が3人の上に紙をかぶせて行くんです。大きな紙の塊に大量の小さな蜂がたかって、やがて暗転。池田さんは警部やリポーターを演じてらっしゃいましたので、この事件が警察やマスコミによって隠蔽され、大衆から忘れられていくというイメージが浮かびました。

 初演でも使われていた「剣の舞」(by 尾藤イサオ)という曲は、やはりすごいインパクト。こちら↓に収録されています。

伊集院光選曲 おバ歌謡
オムニバス ハニーナイツ 草刈正雄 九重佑三子 神谷勝也 白木みのる ローレン中野 尾藤イサオ 由美かおる GAL タンポポ
EMIミュージック・ジャパン (2004-06-16)
売り上げランキング: 20379

≪東京、大阪、福岡、長野、静岡≫
出演:宮沢りえ 池田成志 近藤良平 野田秀樹
原作:筒井康隆~「毟りあい」(新潮社)より~/共同脚本:野田秀樹&Colin Teevan/演出:野田秀樹/美術:堀尾幸男/照明:小川幾雄/音響・効果:高都幸男/映像:奥秀太郎/舞台監督:谷澤拓巳/プロデューサー:鈴木弘之/企画・製作:NODA・MAP 主催:NODA・MAP/東京芸術劇場(公益財団法人 東京都歴史文化財団)
【発売日】2011/02/25 一般 7,500円 / サイドシート 4,000円※ ※25歳以下の方は、東京芸術劇場でのみ、サイドシート2,000円でご購入いただけます。(入場時要身分証) 高校生割引 1,000円
http://www.nodamap.com/productions/thebee/index.html
http://www.geigeki.jp/saiji/036/index1.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:16 | TrackBack

2012年04月24日

【ワークショップ】燐光群「梅ヶ丘BOXウィークエンドワークショップ・柚木佑美」05/26-27梅ヶ丘BOX※参加3日前までに費用振込(申込はメールのみ)

 柚木佑美さんによる週末2日間の「サンフォード・マイズナーテクニック」体験ワークショップの情報です。ご興味ある方は公式サイトで詳細をご確認ください。

 ■燐光群「梅ヶ丘BOXウィークエンドワークショップ・柚木佑美
  『サンフォード・マイズナーテクニック体験ワークショップ』」
  05/26-27梅ヶ丘BOX
  講師:柚木佑美(女優)
   ⇒ワークショップのレポート(2006年) ⇒柚木さんインタビュー(2007年)
  対象=18才以上の心身ともに健康な、プロの俳優、もしくはプロを目指す方 
  募集人員=15名程度 参加費用=9,000円
   ※参加3日前までに費用振込

Posted by shinobu at 23:56 | TrackBack

【ワークショップ】燐光群「梅ヶ丘BOXウィークエンドワークショップ・関美能留」05/05-06梅ヶ丘BOX※参加3日前までに費用振込(申込はメールのみ)

 三条会の関美能留さんのワークショップ情報です。週末の2日間で作品を作ってみるとのこと。ご興味ある方は公式サイトで詳細をご確認ください。

 ■燐光群「梅ヶ丘BOXウィークエンドワークショップ・関美能留」
  05/05-06梅ヶ丘BOX
  講師:関美能留(演出家 「三条会」主宰)
  対象=どなたでも 募集人員=15名程度 参加費=8,000円
  ※参加3日前までに費用振込

Posted by shinobu at 23:49 | TrackBack

猫の会『12匹の由緒ある猫たち』04/24-29 SPACE雑遊

 猫の会は“劇作家の北村耕治が製作する演劇の企画”とのことですが、今回は番外公演として、相馬杜宇(あいば・もりたか)さんの新作戯曲を関根信一さんが演出されます。

 あらすじのとおり、描かれたのは12匹の猫による会議でした。猫好きの方は、少なくとも特に猫好きではない私よりは楽しめるのかもしれません(わかりませんが)。上演時間は約1時間30分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『12匹の由緒ある猫たち』※こりっちでカンタン予約!

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 それはそれは、特別な会議。
 一年間でもっとも猫社会に貢献した猫を選ぶ会議の日。
 ある家のダイニングルームで、ダンボールのテーブルを囲む12匹。
 餌をもらう時のマナーや縄張りのこと。
 猫を取り巻くさまざまな問題について語り合ううち、ある告白をきっかけに事態は思わぬ方向へ…。
 この春、猫の会が送る社会派会話劇。
 ≪ここまで≫

 登場した役者さんが「猫である」ことを、観客がスムーズに受け入れるための導入部分の演出がなかったですね。また、「いかにも演技をしています」というスタイルの演技をされていたので、私は冒頭からつまづいてしまいました。お芝居(戯曲)が始まる前の演出に工夫が必要なんじゃないかな~と思いました。
 ※開演10分前に舞台上で何かある予定だったようです。私は開演5分前に劇場に到着したので見ていません。
 
 “12匹”の会議モノですので『12人の怒れる男』が下地になっているのだろうと予想して拝見。その予想ははずれてはいませんでしたが、もっと大枠の仕掛けが用意されていました。でも私にはよくわからなかったですね。演出も演技も全般的に私の好みではなかったのもあり、集中して観られませんでした。

 ここからネタバレします。固有名詞やセリフなどは正確ではありません。

 劇場に入ってすぐにダンボール箱が並んだ舞台が目に入って、がっかり。戯曲どおりのようですが、どうにも貧相なのは否めません。衣裳も華がなかったな~…スタッフワークが手抜きに見えたのが残念。

 “最も猫社会に貢献した猫(?)”を選ぶ選考委員会が開かれます。12人の選考委員の中に立候補者5名が含まれている時点で、ずっと疑問が頭から離れませんでした。選考委員の中に候補者がいるなんてこと、あり得ないんじゃないかしら、と。
 実は“野良猫のための自立支援セミナー”だった、という結末でした。「野良猫を差別する飼い猫たちの模擬会議」を演じてみることで、野良猫たちの自立を促す、というのが目的のセミナーなんですね。

 同じ猫同士なのに線引きをして、例外を作って、はみ出してしまった猫を見捨てる社会。それは人間社会と同じです。愛玩動物の立場・視点から現実を映し出す手法として成立していたと思いますが、説明調のセリフで説教くさく感じる場面があり、私の好みではなかったです。

出演:綾田將一 有吉朝子 浦壁詔一 小杉美香(劇団チャリT企画) 佐瀬弘幸(SASENCOMMUN) 澤唯(サマカト) 鈴木陽介(燐光群) 高園陽子 たなかうじすけ(円盤ライダー) 中嶌聡(劇団クレイジーパワーロマンチスト) 牧野達哉(銀鯱マスカラス) 宮本奈津美(味わい堂々)
脚本:相馬杜宇 演出:関根信一(劇団フライングステージ) 舞台監督:橋本慶之 照明:古川睦子 音響:工藤ケンタ(STUDIO ELEPHANT) 小道具:木家下一裕 宣伝美術:土谷朋子(citron works)  制作:北村耕治 制作助手:はじり孝奈(おぶりが~と) 企画製作:猫の会
【発売日】2011/02/25 前売2500円 予約2800円 当日3000円
http://www.neconokai.org/


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:08 | TrackBack

2012年04月23日

華のん企画『チェーホフ短編集「賭け」』04/18-22あうるすぽっと

 稽古場レポートを書かせていただいた『チェーホフ短編集「賭け」』を拝見。上演時間は約1時間45分。

 オムニバス形式の独特の構成ではっきりとした主張もあり、チェーホフの短編小説を演劇で楽しむだけではない、創造的な体験になりました。

 ⇒華のん企画公式ツイッター
 ⇒チェーホフの「賭け」の結末に関して(幻の第三章について)
 ⇒CoRich舞台芸術!『チェーホフ短編集「賭け」

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 「死刑と終身禁錮刑、どちらが人道的か」という問いをめぐって始まった賭け。銀行家(佐藤誓)が出した条件は、15年間の幽閉生活に耐えられれば一生遊んで暮らせるだけの大金をやろう、というものだった。それに乗った法律家(戸谷昌弘)は一体どうなるのか―。
 『賭け』の物語の中に『物騒な客』『忘れた!!』『彼と彼女』『カメレオン』『魔女』の5つの短編小説が編みこまれています。2010年度紀伊國屋演劇賞団体賞を受賞した作品の待望の再演!
 ≪ここまで≫

 『賭け』の中に他の5つの短編を編み込み、山崎清介さんのオリジナルと言っていい1つの作品になっていたと思います。小説を上演台本にするだけでなく、全体をリンクさせる構成・演出が素晴らしいですね。役者さんが色んな役を演じ分ける際、特に目立った区切りになるような場面転換がなく、あるセリフとセリフの間でいきなり違う人物(または動物など)に変身します。照明の色が変わったり、効果音があったりはしますが、役者さんの演技だけで切り替えるのが気持ち良かったです。

 パンフレットによると初演は満足のいく出来ではなかったようで、今回の再演でかなりブラッシュアップされたのだろうと思います。でも舞台が常に遠くに感じたのはなぜだったのかな~。スタンダードな額縁形式の劇場で、舞台上にさらに額縁がある美術になっています。そのせいで遠近法の絵画のように対象が遠く、小さく見えたのかしら。照明が全体的に暗かったようにも感じました。あの舞台装置はチェーホフ・シリーズの定番なんですよね。『チェーホフ短編集』2008年初演が私に合わなかったのは、そのせいもあるのかしらと考えたり…。

 挟まれる短編の中では『彼と彼女』が面白かった!稽古場取材時はまだまだ模索中でしたが、本番ではメインの2人以外の出演者も活躍し(セリフはありませんが)、大々的に進化していました。互いをひどく罵倒しあう夫婦の倒錯した恋愛関係を、知的興味を刺激しつつエロティックにも表してくださいました。イスから乗り出しそうに前のめりになって鑑賞。

 ここからネタバレします。

●『賭け』 銀行家:佐藤誓 法律家:戸谷昌弘

 「15年間の幽閉生活に耐えられたら200万ルーブル(約20億円)をやる」という賭けを実践した銀行家と法律家。結末は最初に語られます。法律家は期間満了の数時間前に自分から部屋を出て行き、賭けを放棄しました。外界との関係を断たれた15年におよぶ囚人生活が、法律家をどう変えたのか。


●『物騒な客』 森番:伊沢磨紀 狩人:戸谷昌弘

 貯めた大金を守るために“森番”としての本分を忘れた男(伊沢磨紀)。『賭け』のテーマと重なりました。奥のテーブルに座っている役者さん3人が、犬と猫の演技をするのがいいですね。後の短編でも動物が登場し、リンクしました。


●『忘れた!!』 男:山口雅義 女:山田ひとみ

 法律家が残した15年分の書き付けを記録したスクラップブックを、皆で開く場面で『忘れた!!』が始まります。山口さんのとぼけた演技が愛らしくて何度も笑わせていただきました。パンフレットによると初演から一番セリフが変わったのがこの短編のようですね。


●『彼と彼女』 彼:佐藤誓 彼女:三咲順子
 
 ある夫婦の職業は女優とそのマネージャー。妻の私生活の乱れを徹底的に罵倒する夫。負けずに言い返す妻。犬も食わない激しい夫婦喧嘩ですが、徐々に様相が変わっていきます。
 夫は妻の「舞台上で誰よりも輝く女優」である部分を愛しており、妻は自分に怒号を浴びせかける夫の「臆病じゃない」部分を愛しています。夫が怒鳴れば怒鳴るほど妻の目がギラギラと輝き、官能的なムードが立ち現われてきます。お互いのツボを知り尽くした共犯的SM関係というか、したたかさにしびれますね。「このインチキ野郎!」と怒鳴る夫の目が好きだという妻の言葉を聞いて、夫がにやりと笑みを浮かべたところで、会場から大きな笑いが起こりました。


●『カメレオン』 フリューキン:山口雅義 署長:伊沢磨紀 エルドゥイリン:戸谷昌弘

 あるボリゾイ犬(佐藤誓)が男に噛みついた。その犬は権威ある人物の飼い犬なのか、そうでないのか。犬の身分によって、署長はカメレオンのように態度をころころと変えます。嫌な奴のはずなのに、どうしても署長を憎めないのは、伊沢さんの演技と魅力のおかげでしょうね。犬役の佐藤さんが頭にカーラーを3つ付けて“サザエさん”…(笑)。すごく可笑しかったんですが、役者さんって何でもやる(できる)んだなと思って、ちょっと怖くなりました。銀行家からの落差が激しいんですよね。カーラーを自分ではずす動作も切なくて可笑しかった。


●『魔女』 夫:戸谷昌弘 妻:山田ひとみ 郵便配達:山口雅義

 妻は魔女だと決めつける夫。「この悪天候も妻のせいだ」と騒ぐが…。妻は本当に魔女なのかもしれない、と匂わせる演技が面白いです。もっと魔女っぽいしぐさやネタがあっても良かったかな。


 5つの短編が終わると『賭け』のクライマックスへ。法律家が銀行家に宛てた最後の手紙を読み上げます。多言語を習得し、世界中の書籍を読み漁り、イスに座ったまま過去の偉人たちと出会える書物の喜びを知った法律家は、知識という宝石を手に入れて、大金にしばられなくなります。
 最後は役者さんがそれまでに演じた役を再び演じ、各短編が交ざり合っていきました。

華のん企画あうるすぽっとタイアップシリーズ『チェーホフ短編集「賭け」(再演)』
出演:伊沢磨紀、佐藤誓、山口雅義、戸谷昌弘、三咲順子、山田ひとみ
作:アントン・チェーホフ 翻訳:松下裕 脚本・演出:山崎清介 照明:山口暁 音響:角張正雄 美術:松岡泉 衣裳:三大寺志保美 演出補:小笠原響 舞台監督:井上卓 企画協力:内藤陽子 プロデューサー:峰岸直子 企画・製作・主催:華のん企画 共催:あうるすぽっと(公益財団法人としま未来文化財団)
★4月19日終演後、アフターパフォーマンストークあり。本公演のチケット(半券可)提示で入場可。
全席指定 一般(前売・当日とも)5,000円 当日学生割引(当日のみ)4,500円 ※未就学児童の入場はお断りさせていただきます。
http://www.canonkikaku.com/information/chekhov.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 15:42 | TrackBack

空想組曲『深海のカンパネルラ』04/15-22赤坂RED/THEATER

 空想組曲はほさかようさんが作・演出を手掛ける個人ユニットです。作品ごとに役者さんを集めるプロデュース形式の公演を継続されています。上演時間は約2時間15分(休憩なし)。

 「CoRich舞台芸術まつり!2012春」審査員として拝見しました(⇒110本中の10本に選出 ⇒応募内容)。※レビューはCoRich舞台芸術!に書きます。下記にも転載しました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『深海のカンパネルラ

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 僕たちは誰も、あの頃には戻れない
 「絶対に引き返さない」
 決意と闇を胸に少年はカンパネルラとともに銀河鉄道に乗り込んだ。
 だけど誰も教えてくれなかった。
 幸せの難しさも、永遠のおそろしさもーー。
 ≪ここまで≫

 ■統一感のある純なファンタジー

 東京の小劇場界で知名度のある、個性的な役者さんがそろっています。知る人ぞ知る、かなり豪華なキャスティングですね。残念ながら私が観た回は、息が合っていないせいなのか心地よいリズムが生まれず、“いつも通りにいっていない”印象でした。魔女的ポジションの2人(小玉久仁子&牛水里美)が登場したところで面白くなったのですが、会心の一撃が出なかったですね。

 シンプルだけど細部へのこだわりが見て取れる抽象美術に、統一感のあるロマンティックな衣裳。照明で切り替えて場面転換するのは、絵として美しく、メリハリもはっきりしています。音楽および音響効果については、オペレーションのタイミングが合っていない気がしました。開場時間に流れていた曲は憂いを含んだメロディアスな曲が多く、「メランコリックなファンタジー」であることをアピールし過ぎているように感じました。美術、照明、衣裳、選曲などのスタッフワークがきれいにまとまった作品で、見た目は確かに美しいのですが、予想の範囲内に収まってしまったのは残念。

 宮沢賢治作「銀河鉄道の夜」を下地にした創作ファンタジーであることは、タイトルからもチラシのビジュアルからも明らかです。私としては、そのイメージをもうちょっと裏切って欲しかったですね。繰り返しになりますが、たまたま調子の悪いステージに当たったのだと思います。

 ここからネタバレします。

 プラネタリウムが好きなけんじ(篤海)と水族館が好きなりく(多田直人)。サンシャインシティで偶然会った2人の男子高校生が、心通わせて友達になりますが、間もなくけんじは沖縄の海で溺死。たった一人の大切な友人を失ったりくは、受かった大学にも行かず引きこもり、「銀河鉄道の夜」の物語の中に没入してしまいます。銀河鉄道の中では必ずけんじ(=カンパネルラ)に会えるから。そんなりくを救出するために、実の姉(川田希)や高校時代の友人らが、りくの部屋を訪れて説得しようとしますが…。

 親友を失ったティーンネイジャーの傷心というテーマだけで、2時間以上は持たせられないんじゃないでしょうか。無論、他にもテーマはあったのでしょうが、私にはそれほど重要なものとしては伝わってこず。
 宮沢賢治(中田顕史郎)が登場したのには驚きました。そういえば『ドロシーの帰還』でも作家が登場しましたね。入れ子構造をさらに強固にする演劇的効果はあったと思います。でも賢治に実の妹のことを語らせたのは、やりすぎだったんじゃないかな~。

 最初はお葬式の場面でした。当たった対象物が白黒になる黄色いライトが、あの時間だけのために(たぶん)使われているのは贅沢ですね。回想シーンが冒頭に来ていて、終演後に「あぁ、最初はあの場面だったんだ」と思い出し、味わい深くて良かったです。


「CoRich舞台芸術まつり!2012春」最終選考作品
出演:多田直人(演劇集団キャラメルボックス) 篤海  古川悦史 川田希 二瓶拓也(花組芝居) 石黒圭一郎(ゲキバカ) 小玉久仁子(ホチキス) 渡邉とかげ(クロムモリブデン) 牛水里美(黒色綺譚カナリア派) 鶴町憲 内山正則 上田理絵(A-LIGHT)  中田顕史郎
【作・演出】 ほさかよう 【舞台監督】 藤本志穂(うなぎ計画) 【舞台美術】 松本わかこ 【音響効果】 天野高志 【照明】 榊美香(有限会社アイズ) 【衣装】 広川文 【イラスト】 東京幻想 【宣伝写真】 守谷美峰 【宣伝美術】 岩根ナイル 【演出補佐】 渡辺望(天幕旅団)/海野広雄(オフィス櫻華) 【制作】 塩田友克 【制作協力】 岩間麻衣子 【企画・製作】空想組曲 【提携】赤坂RED/THEATER
【発売日】2012/03/12 前売 3500円 当日 3800円 平日昼割 3300円
http://www.k-kumikyoku.com

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 11:59 | TrackBack

2012年04月22日

サンプル『自慢の息子』04/20-05/06こまばアゴラ劇場

 松井周さんが作・演出されるサンプルの全国ツアーです。『自慢の息子』は第55回岸田國士戯曲賞受賞作。上演時間は約1時間40分。

  初演よりも冷静に観ていられました。物語に入り込まなかったおかげで色んなテーマについて考えられましたね。特に“依存”と日常的に私たちがしている“演技(コスプレ)”について。面白かったです。

 ロビーにて書籍『自慢の息子』や雑誌サンプルなど販売中。雑誌サンプルには戯曲『地下室』が掲載されています。『地下室』は来年1月に再演されるそうです!う~興奮♪
 その前に、松井さんが劇団、本谷有希子『遭難、』に出演されるのも見逃せないですね。

 ⇒CoRich舞台芸術!『自慢の息子

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 ある男がアパートの一室に独立国を作る。
 アパートの隣の部屋には、騒音に近い音楽を聴きながら洗濯物を干す女。
 ガイドに連れ添った母親が男の作った国を訪ねる。
 日本からの亡命を試みる兄妹を連れながら…
 そこから、彼らの奇妙な同居生活が始まる。
 誰かの物語に組み込まれたり、忘れ去られたりと、
 自分の物語すらかすめ取られていく登場人物たちの点滅劇。
 ≪ここまで≫

 シーツで覆われた物体が舞台上のところどころに置かれていて、散らかった部屋のような空間。照明は蛍光灯らしきものや、台所に使いそうな吊るタイプのランプなど。消える・点くタイミングが読めないのが刺激的です。
 国境、自室と隣室とを隔てる壁、親子や兄妹の人間関係の境目など、あるはずのものが溶けて、曖昧であり続けます。ギュっと集まって個体になり、やがてパっと離散してばらばらになる。それを繰り返す、生命の運動のよう。

 松井周さんらしいエロティックな、というより卑猥、変態的と言ってもいいシーンがあります。人間らしい複雑な心情や、それとは反対の動物的な側面などを、肌をひっぱがして丸見えにするかのごとく、生々しく表しているように思います。

 ここからネタバレします。

 近親相姦の関係にある兄妹(奥田洋平と野津あおい)は笑わずにいられません。「決して触らない」と誓って、ギリギリの距離で体に手を近づける場面では、奥田さんのもだえる姿が、もう…(笑)。卑猥な影絵のシーンはもちろん爆笑です。あれはオノマトペなのかな。

 正(古舘寛治)の“国”(と称する彼の部屋)に、正の母(羽場睦子)と、逃亡中の兄妹が集まり、配達屋(古屋隆太)が荷物を運んでくるという生活がしばらく続きます。やがて母は配達屋と恋仲になり、兄は隣りの部屋の住人(兵藤公美)の養子になって、“国”を出て行きます。残された妹は兄に捨てられた傷心に沈み、正と嫌々ながら結婚。

 現実から逃げるために“国”に頼り、今度は他の誰かに頼って“国”を出て行くのは、常に何かに依存し続ける姿を描いているように思いました。また、依存を正当化するために演技(妻の演技、子供が居る振りなど)をしているとも受け取れました。私の現実世界もそうかもしれません。家族らしい演技をして、今の生活を正当化し、誰かに頼って、安心しようとしている。でもそれは悪いことじゃない。むしろ人間はそうやってしか生きられないのではないか…などと考えました。

 最後には登場人物が人形のような動きをして、博物館の展示物のようになります。古舘さんが持っていた布(服?)がパラっと落ちた、その直後に暗転して終演。このタイミングが渋い!常に未完成、未成熟な人間、および世界を連想しました。


 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演(下手から):古舘寛治 松井周 古屋隆太

 サンプル所属の役者さんと松井さんとのトークによって、稽古場での役者さんと演出家との関係がうっすら見えたのが楽しかったです。やはりこのような脚本・演出は、最初からすんなりとは受け入れづらいんですね(笑)。

 最後に展示物になるのは『ハコブネ』、『聖地』と同じ流れとのこと。松井さんは「神話」ともおっしゃってました。


第55回岸田國士戯曲賞受賞作 サンプル「自慢の息子」全国ツアー
≪愛知、三重、京都、福岡、東京、北海道≫
出演:古舘寛治(サンプル・青年団) 古屋隆太(サンプル・青年団) 奥田洋平(サンプル・青年団) 野津あおい(サンプル) 兵藤公美(青年団) 羽場睦子
脚本・演出:松井周 舞台監督:熊谷祐子  舞台美術:杉山至+鴉屋  照明:木藤歩  音響:中村嘉宏  衣裳:小松陽佳留(une chrysantheme)  ドラマターグ:野村政之  映像・WEB:マッキー 英語字幕:小畑克典・門田美和  宣伝写真:momoko matsumoto(BEAM×10inc.)  フライヤーデザイン:京(kyo.designworks) 票券:中山静子(quinada)  制作:三好佐智子(quinada)・坂田厚子(quinada)・冨永直子 主催:サンプル quinada
【休演日】4/23、4/30【発売日】2012/03/02 前売り3,000円  ※全席自由(整理番号付) 当日3,300円  学生2,500円(WEB予約・各劇場のみ取扱い/要学生証提示) 半券割引き 特別企画 『歓待』『東京人間喜劇』の半券提示で200円引き (東京公演のみ)
http://www.samplenet.org/yotei.htm

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 21:53 | TrackBack

岡崎藝術座『アンティゴネ/寝盗られ宗介』04/19-24 STスポット

 岡崎藝術座は神里雄大さんが作・演出されるプロデュース形式のユニットです。今回とりあげる戯曲はソポクレース作『アンティゴネー』とつかこうへい作『寝盗られ宗介』。

 舞台奥の壁一面に大きな絵画。その他には何もない空間で、4人の俳優が言葉、体を使って見せてくれました。上演時間は約1時間10分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『アンティゴネ/寝盗られ宗介

 『アンティゴネー』は戯曲を読んだことがあります。音読されるセリフを聞いて、あらためて主役のアンティゴネーが何を望み、何をしたのかをじっくり味わうことができました。『寝盗られ宗介』は会話の展開が面白いですね~。さすがはつか戯曲。役者さんの演技が上手いおかげで楽しめました。
 独特の緻密な身体表現によって空気や意味を立ち上げていたと思いますが、私は少々うとうとしてしまいました。

 ツイート↓をそのまま転載。
 台詞多いし声も大きいお芝居だけど、インスタレーション(展示物など)のように鑑賞。壁一面の絵画の影響かも。法律や掟より大切なもの、非常識でもやり抜きたいことを、命がけで実行する人々。それを演じる俳優は、自らの心身を使って独特の表現を突き詰める人々だった。

 ここからネタバレします。

 舞台奥の壁以外は床も白色の空間です。床中央に四角くて赤い布が敷かれていました。白地に赤なので日の丸をイメージしました。

 王に禁じられても兄を手厚く葬った妹アンティゴネー。妻を寝盗った男ジローに金をやる宗介。国家の方針や世間のムードがどうであれ、自分がやりたいことを、必要だと信じることをやると決意し、実際に行動することは、尊いと思います。2011年3月の震災以降、身にしみます。

岡崎藝術座演劇公演
出演:武谷公雄 鷲尾英彰 稲継美保 山縣太一(チェルフィッチュ) 
原作:ソフォクレスの『アンティゴネ』と、1978年に『雪之丞変化』として初演され1980年に改題された、つかこうへいの『寝盗られ宗介』。
作:「アンティゴネー」ソポクレース 「寝盗られ宗介」つかこうへい 演出・美術:神里雄大 照明:黒尾芳昭 音響:高橋真衣 映像撮影:ワタナベカズキ 写真撮影:富貴塚悠太 演出助手:小野正彦 制作:急な坂スタジオ 主催:岡崎藝術座・STスポット
【発売日】2012/03/19 一般/予約3,000円 当日3,300円 | ペア/予約のみ 5,400円 学生/2,000円(要学生証)| 高校生以下無料(枚数限定)
http://okazaki.nobody.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 17:51 | TrackBack

2012年04月21日

【写真レポート】TACT/FESTプログラムディレクターの中立公平さんのお話を伺いました@カフェOval(オーヴァル)

oval1.JPG
劇場看板

 TACT/FESTのプログラムディレクターである中立公平さん(⇒Wikipedia、⇒ツイッター)が経営するカフェ“Oval(オーヴァル)”にお邪魔しました。

 Ovalは、中立さんが運営されている大阪は阿倍野の小劇場“ロクソドンタブラック”が入っているビルの2階にあり、オープンは2011年です。劇場併設の喫茶店というより、一般に開かれた隠れ家風おしゃれカフェでした。土曜日の午後は女性客でにぎわっていました。開店から1年経ち、女性に支持されるカフェへと成長されてきたんですね。

 ●Oval(art cafe dining) ⇒公式サイト
  電話:080-3119-7654 ※店内禁煙
  大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋2-4-45
  地下鉄谷町線阿倍野駅1番出口 南へ徒歩1分
  JR・地下鉄御堂筋線天王寺駅より徒歩6分

 ※来たるゴールデンウィークに、庭劇団ペニノがロクソドンタブラックで『誰も知らない貴方の部屋』を上演します。大阪であの空間を味わえるのは今回が初めてです。ご興味持たれた方はぜひ!そして階段を上ってOvalにも行ってみてください♪

 中立さんとは国際児童青少年芸術フェスティバルTACT/FEST(今年も開催されます!⇒昨年レビュー)からのご縁で、これまでに東京と大阪で計2回ほどお会いしていました。中立さんは劇団KIOの芸術監督で、演劇の作・演出を手掛け、出演もされるアーティストです(⇒過去レビュー)。ツイッターで偶然、劇場併設カフェについて意見が交わされていた時期に(⇒)、ちょうど大阪観劇の予定があったので、中立さんを訪ねてOvalに伺いました。


 【写真↓Oval入口】
oval4.JPG

 阿倍野筋を数分歩くと、曲がり角に劇場ロクソドンタブラックの看板が。その角を曲がって細い道をまっすぐ進むと、ほぼつきあたり左側にOvalがありました。メニューが大きく描かれた黒板が目立ちます。劇場の看板はその奥にあって、電飾がぴかぴか光っていました。そろそろ受付開始時刻で、制作さんたちが準備中でした。
 

 【写真↓店内】
oval9.JPG

 現代的でナチュラル、シャープ、そして少し懐かしいムードの店内。たとえば家具は、木製の天板に金属製の足がついたテーブル、そしてイームズチェアという組み合わせです。でも窓には障子の木枠がかぶさっていたり、木製のついたてがあったり、ところどころ和風の要素が目に付きます。そして飲み物には抹茶のメニューも。

 しのぶ:じっくり見て気づいたのですが和洋折衷のデザインですね。お食事にも日本料理風のものがあります。
 中立:父親をはじめ親戚に茶道をやっている人がいたので、抹茶は取り入れようと思っていました。もっと日常的に抹茶をいただく機会があっていいと思います。
 しのぶ:女性のお客様が多いですね。※土曜日夕方は席が8割ほど埋まってました。
 中立:そうなんです。“女子会”のご利用も多いですね。道路を挟んで向かい側に大きなショッピングセンター(キューズモール)がありまして、そこからいらっしゃる方も多いかもしれません。


 【写真↓すべて手づくりのケーキだそうです】
oval7.JPG

 しのぶ:なぜカフェをやろうと思われたんでしょうか?
 中立:このビルは1階が劇場、2階が劇団KIOの事務所、3階が楽屋だったんですが、劇団事務所を別の場所に移したので、空いた2階にカフェでも作ろうかと。
 しのぶ:いきなりカフェ?それもこんな本格的な?
 中立:バンドをやってた時、ライブハウスで厨房をまかされて100人分の料理を作っていました。大学時代には建築に興味があったのでログハウスを作ったり。Ovalのデザインはヨーロッパのデザイナーにお願いしました。でも水周り以外は全部自前です。演劇をやってると何かと作れますから。人生、何をやっても無駄にはならないですね(笑)。


 【写真:階段踊り場に「只今、公演中につき、なるべくお静かにお願いいたします。」のメッセージ】
oval5.JPG

 中立:階段は1つだけだから、劇場から3階の楽屋に着替えに行く役者と、カフェから帰るお客さんがすれ違ったりします(笑)。そうやってお客さんは“あれ、こんなところに劇場があるの?”と不意に出会うんです。逆もまたしかりです。
 垣根をなくしたい。なくすのが難しいなら、せめて低くしたい。私がTACT/FEST(国際児童青少年芸術フェスティバル)をやっている動機の1つです。子供も大人も、演劇ファンも普段劇場には来ない人も、ふらりと訪れた場所で、ばったりと演劇に出会う。またその逆も起こる。そういった場を作りたい。」


 【写真:階段の踊り場の傘立て】
oval6.JPG

 階段の壁には海外の児童演劇作品のポスターやパンフレットなどが貼られています。外国語だからすぐには読み取れないし、ただ通り過ぎるだけかもしれません。でも、楽屋と劇場を行き来する舞台関係者の目には何度も入っているでしょう。外国の写真やデザインのビジュアルが、知らぬ間に脳裏に刻まれているかもしれません。カフェのお客様の中には、もしかしたら「あれは何なのかな?」とひっかかって、あるいは立ち止まって読む人もいるかもしれない。言葉による説明はせずに、あくまでも出会いを提供するという、建物全体のコンセプトが明確です。中立さんは有言実行の人だと思いました。今年の夏もTACT/FESTがとっても楽しみです。

 最後にお料理についてひとこと。中立さんは「Ovalで出す料理の食材は無添加で、冷凍食品も使いません。私は添加物を食べると必ず胸やけするんです」とおっしゃっていました。なるほど~、その優しいお味が女性に人気なのかもしれませんね。今度大阪に行く時は、女性のお友達を誘ってお邪魔しようと思います。


Oval:http://www.thekio.co.jp/cafe/index.html
劇団KIO:http://www.thekio.co.jp/
TACT/FEST:http://www.tact-japan.net/


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 16:15 | TrackBack

2012年04月20日

【オーディション】アトリエ春風舎プロデュース・Q『虫』出演者募集(女性のみ)※6/20〆切(メールのみ)

 第11回AAF戯曲賞を受賞した市原佐都子作『虫』が、アトリエ春風舎プロデュース公演として再演されます。市原作品レビュー⇒

 出演者オーディションが実施されますので、ご興味のある女優さんはぜひご応募を。詳細は公式サイトでご確認ください。

 初演はすごく面白かったです。身体能力が高い、というか、存在自体の魅力を出せる出演者がそろっていました。

 ■アトリエ春風舎プロデュース・Q『虫』出演者募集(女性のみ)
 作・演出:市原佐都子
 【小屋入り期間】2012年12月17日(月)~25日(火)
 【本番】2012年12月20日(木)~24日(月)
 【会場】アトリエ春風舎
  応募〆切:2012年6月20日24時(メールのみ)

Posted by shinobu at 16:58 | TrackBack

2012年04月18日

柿喰う客『女体シェイクスピア002「絶頂マクベス」』04/14-23吉祥寺シアター

 中屋敷法仁さんが作・演出される劇団柿喰う客の「女体シェイクスピア」シリーズ第2弾(⇒第1弾)。シェイクスピア作『マクベス』を女優だけで上演します。

 面白かった!女優さんがカッコいい!セクシー!第1弾より演出に主張があるのも好き!上演時間は約1時間30分。『マクベス』が凝縮されていますので、この短さが心地よいです。

 ★本日と明日、なんと本編が丸ごとUST配信されます。全国で無料で観られますので、ご都合よろしければぜひ! ⇒UST配はこちらから。
 ・「絶頂マクベス=本痴気=」Ust配信
  2012年4月18日(水)22:30~(予定)
 ・「絶頂マクベス=乱痴気公演=」Ust配信
  2012年4月19日(木)22:30~(予定)

 女体シェイクスピア第3弾は2013年2月の『発情ジュリアス・シーザー』とのこと。日本ではマイナーな演目ですね。楽しみです。 ⇒4/17夜の終演後のトークの内容:

 ⇒CoRich舞台芸術!『絶頂マクベス』※CoRichでカンタン予約!

 ≪あらすじ≫ CoRich舞台芸術!より
 スコットランド最強の武勇を誇る将軍マクベス!
 邪悪な魔女たちが予言したのは光輝く王位の座!?
 欲深い妻に駆り立てられ、
 現国王ダンカンの殺害を夢想する―
 「ヤっちまおう…それで何もかも終わりだ…!!」
 女優によるシェイクスピア上演プロジェクト第2弾!!
 “絶頂”を目指す泥沼の下剋上、ここに解禁!!
 ≪ここまで≫

 ノリノリのダンス、ポージングで見せる身体表現、現代の若者らしい口語で、ポップに、リズミカルに、過激に立体化する若い女優だけの『マクベス』。大いに脚色されているものの、名セリフはきちんと届くように演出されていて素晴らしいですね。

 装置は床に四角い模様が描かれているのみの、ほぼ何もないブラックボックスです。ごくシンプルな空間を、派手な衣装・ヘアメイクの女優たちが闊歩します。舞台奥の暗闇からの登場には胸躍りましたね。LEDを含む照明が明かりとしてだけでなく、舞台美術としてカラフルかつ鮮やかな存在感を示したのも良かったです。アガるわ~。

 女優さんはそれぞれの個性を生かした熱演でした。他の公演では観たことのないような演技をしてる方もいらっしゃって、変貌っぷりが楽しいです。振付をしっかりこなすよう自分をコントロールされているのがかっこいいですね。
 岡田あがささんはこのシリーズでは笑い担当なんでしょうか(笑)、医者もヘカテも○○○○の妻も強烈でした♪

 作品全体のコンセプトもクオリティーも素晴らしいと思うのですが、最後まで観て感じたのは、もっと違うスタイルの演技を加えてもいいんじゃないかということ。たとえばチェルフィッチュのような現代口語劇を挟むと、さらに強弱のアクセントが付いて面白い気がします。踊ったりキメポーズしたりしている女優さんが、ぐだぐだダラダラするのも観たい(笑)。

 ここからネタバレします。

 マクベスが執事、マクベス夫人がメイドという衣裳がとてもいいと思います。中屋敷さんによるとテーマは社畜(パンフレットより)。丁寧語で自信なさげにしゃべる男が、魔女たちにそそのかされて、身の丈に合わない地位についてしまった悲劇、ととらえやすいですね。

 マクベスが短剣(の幻)を追う場面で3人の魔女が登場し、彼女らが短剣を操っていると見せたのも面白かった。魔女の登場回数が多かったのは全般的に良かったと思います。

 他にも面白かった場面、アイデアはたくさんあるのですが、特に書いておきたいのはほぼラストの「おめでとう、マクベス」と歌うシーン。あれはシビれましたね~。オリジナル音楽もいいですね。

女優によるシェイクスピア上演企画第2弾!
出演:七味まゆ味、深谷由梨香、葉丸あすか、内田亜希子、岡田あがさ、荻野友里、小野ゆり子、きたまり、葛木英、斎藤淳子、佃井皆美、新良エツ子、藤沢玲花、我妻三輪子、渡邊安理
【原作】W.シェイクスピア 【作・演出】中屋敷法仁 【舞台美術】原田愛 【照明】松本大介【音楽】佐藤こうじ 【音響】上野雅 【衣裳】高木阿友子 【メイク】田中順子 【演出助手】入倉麻美 【舞台監督】棚瀬巧 【宣伝美術】山下浩介 【宣伝写真】引地信彦 【映像撮影】竹崎博人 【票券】北澤芙未子 【制作助手】加藤恵梨花/亀田英愛/時澤香保里/丸山立 【制作】斎藤努 【制作協力】righteye/PAMC 【提携】アイホール 【共催】(公財)武蔵野文化事業団 【企画】柿喰う客 【主催】柿喰う客/ゴーチ・ブラザーズ
一般料金:3,500円 【初】初日割引(割引料金2,500円) 【女】ガールズナイト(女性は割引料金2,500円/男性は割増料金5,000円) 【昼】平日昼間割引公演(割引料金3,000円) 【乱】乱痴気公演(全キャストシャッフルにて上演3,500円) ≪各ステージ≫ 敬老(60歳以上):3,000円 学生:2,000円/高校生以下:1,000円(※前売引換券にて当日会場にて座席指定)
http://kaki-kuu-kyaku.com/macbeth/


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年04月17日

シス・カンパニー『ガラスの動物園』03/10-04/03 Bunkamuraシアターコクーン

 長塚圭史さんがテネシー・ウィリアムズ作『ガラスの動物園』を演出されます(過去レビュー⇒)。上演時間は約3時間(途中休憩1回を含む)。当日パンフレットが700円とお手軽価格なのはありがたいです。

 ダンサーを起用した場面転換の演出や、大道具の配置変えがすっごく面白かった!舞台装置(二村周作)が素晴らしかったですね。でもあの小さな家に集まる4人の人物像が、私の期待していた感じと違っていたのはちょっと残念。4人の俳優さんの相性の問題なのかな~などと想像しました。

 ⇒「どらく Do楽 ~ひとインタビュー 長塚圭史
 ⇒CoRich舞台芸術!『ガラスの動物園

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 大恐慌の嵐が吹き荒れた1930年代のセントルイス。その路地裏のアパートにつましく暮らす3人家族がいた。
 母アマンダ(立石凉子)は、過去の華やかりし思い出に生き、子供たちの将来にも現実離れした期待を抱いている。
 姉ローラ(深津絵里)は極度に内気で、ガラス細工の動物たちと父が残した擦り切れたレコードが心の拠り所だ。
 父親不在の生活を支える文学青年の息子トム(瑛太)は、そんな母親と姉への愛憎と、やりきれない現実への閉塞感の 狭間で、いずれ外の世界に飛び出すことを夢見ている。
 ある日、母の言いつけで、トムが会社の同僚ジム(鈴木浩介)をローラに会わせるために夕食に招待する。
 この別世界からの訪問者によって、惨めだった家族にも、つかの間の華やぎがもたらされたかのようだったが……。
 ≪ここまで≫

 公演終了していますので、ちょっとネタバレします

 舞台は白くて高い壁と天井に囲まれた、だだっぴろい空間。左右に並ぶいくつかのドアがぴたりと閉じられていて、広いけれど閉塞感があります。一番奥の壁には比較的大きな窓があり、その窓に向かって古びたデスクとイスが置かれています。

 「追憶の芝居」であることをあらわす演出がすごく面白かったです。たとえばアマンダとローラの会話を、そこに居るはずのないトムが見つめてたり、家具類を動かすダンサーとトムがアイコンタクトを取ったり、原作には書かれていない(であろう)ことが次々と起こりました。

 意外で鮮烈だったのは、やはりダンサーの衣裳ですね。ひとことで言うと宇宙人みたいな(笑)。色は壁と同化するように汚しが入った白色(灰色?)で、手足は覆わず、お尻の形がブルマみたいに丸くぴったりとしています。首から目の下までを覆う立体的な襟のデザインが独特です。手足を除いた衣裳全体の形は、陶器のお醤油さしのような…。私の想像の範ちゅうに収まらない姿をした奇妙な生き物が、コミカルかつ不気味な動きで、切なさも匂わせながら、上手に家具を動かしていました。

 4人の役者さんは、残念ながら皆さんそれぞれが独自の演技方法でバラバラに存在しており、ぶつかって離れることはあっても、触れたり刺さったり、混じり合ったりしてくれなかったように感じました。一定の距離を保って、離れた関係のままで終わってしまったような。『ガラスの動物園』という作品では、ねっとり、ぐっさりと刺さって交ざって、うねって飛び散って、でも再びもとのさやに戻ったり…といった複雑怪奇な家族間のコミュニケーションを観たいと私は思うので、そういう意味では不満でしたね。

 “ダンサー”という演出は奇抜で面白いですが、『ガラスの動物園』という戯曲に必要だったかというと…どうなんでしょうか、私は迷いなく「YES」とは言えないかな~。でも3時間という長さを感じさせなかったのは、ダンサーによる場面転換のおかげだと思います。長塚圭史さんは、何かしらのチャレンジというか、思いもよらないようなアイデアを実行されるところが、目の離せない演出家だと思います。

 ここからネタバレします。

 トム役の瑛太さんが登場してから最初のセリフまでの時間が長く取られていて、ダンサーが壁からぬるりと出てきた時は戦慄しました。気持ち悪~い、怖~い、でも面白い!
 場面ごとに(もしくは演技中に)イスや机、ソファの位置を変え、部屋の形を敢えて定めないことで、“夢”、“思い出”といった不確かな印象で作品をパッケージしていくようでした。トムと母アマンダが2人で話す場面で(たしか場所はベランダ?)、家具が舞台面側に一列に並んだのがとても美しかったです。長塚さんの演出作品はやはり見逃したくないと思いますね。

 役者さんの演技については、私の期待していたものと違いました。『ガラス~』なのに非常に軽いタッチと言うか、さらりと表面をすくったような印象を受けました。長塚さんは「今の日本で、今の日本の観客に向けてアメリカの古典を上演すること」を重要視されたのかもしれません。

 深津絵理さんは第一声でギョっとしました。なぜこんなに作為的な発語方法を選んだのかしら…とずっと疑問に感じたまま最後まで。ローラは片足が少し不自由で過剰な引っ込み思案ではありますが、あんなにあからさまに醜くゆっくり話し続けなくてもいいんじゃないかと思いました。瑛太さんは柔軟で瞬発力があり、華もあり、目に耳に麗しい存在でした。でも家族に見えなかったんですよね。ぶつかるけど交わらないで、ふらりふらりとかわしてしまう(それが現代日本なのかもしれません)。
 鈴木浩介さん演じるジムはまるで「自己啓発セミナーに通って新しい自分を発見した!」みたいな、ちょっと痛いキャラでした。ローラとジムの2人の場面では意外なタイミングで笑いが起こり、私としては「戯曲の流れからすると、そこは笑うところじゃないのに」とがっかりすることも。立石凉子さんは自由に、色んな振れ幅で恐ろしい母親アマンダを演じてらして、その奔放な存在感がアマンダに重なって見えるのも良かったです。ただ、家族を捨てた夫のことを何度も語るわりには、その男性の姿があまり浮かばなかったんですよね。もしかすると本当は夫は存在しないんじゃないか、アマンダの夢想なのではないかと思うほどでした。

 アマンダは何年経っても夫を恨んで、その呪縛から逃れられていないし、ローラは父親の残したレコードをかけるのが日課だし、最後にジムは父親と同じように家族を捨て、「父と同じになってしまった」という意味のセリフを語ります。この戯曲は登場しない父親が、全編を覆うように存在していると解釈してもいいぐらいだと思うんですよね。なのに父親の影が感じ取れず物足りなかったです。
 でも、もしかしたらそれが演出意図なのかもしれません。人間が家族というシステムに縛られてるのは昔から変わりませんが、家族内の関係性、距離感などは変わっています。長塚さんは『ガラス~』の登場人物を現代日本人にしたのかな、とも思いました。

 ローラの一番のお気に入りだったガラスのユニコーン人形は、ジムとローラがダンスをしていた時に机から落ちて割れてしまいます。角の部分が取れて、普通の馬になってしまったユニコーン。そこで私ははっきりと、作者ウィリアムズの姉のロボトミー手術を思い出しました。折れた角は切除された脳の一部というわけです。とてもロマンティックな場面なのに、こんなに冷静に分析できてしまって少し残念だったのですが、今まで気づいていなかった重要な要素を発見できて良かったです。

SIS Company "The Glass Menagerie" by Tennessee Williams
【出演】アマンダ・ウィングフィールド:立石凉子 ローラ・ウィングフィールド:深津絵里 トム・ウィングフィールド:瑛太 ジム・オコーナー:鈴木浩介 【ダンサー(プロジェクト大山)】境真理恵 長谷川風立子 松岡綾葉 三浦舞子 三輪亜希子 菅彩夏 政岡出衣子 松井萌香
作:テネシー・ウィリアムズ 演出:長塚圭史 翻訳:徐賀世子 美術:二村周作 照明:小川幾雄 衣裳デザイン:伊藤佐智子 音響:加藤温 ヘアメイクデザイン:勇見勝彦 振付:古家優里 舞台監督:瀧原寿子 演出助手:坂本聖子 プロデューサー:北村明子 提携:Bunkamura 企画・製作:シス・カンパニー
【休演日】3/14,21,28【発売日】2012/01/14 S席9,000円、A席7,000円、コクーンシート5,000円
http://www.siscompany.com/03produce/37glass/index.htm


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年04月16日

子供鉅人『キッチンドライブ』03/30-04/02、04/13-16ポコペン

 子供鉅人は、益山貴司さんが作・演出・出演される大阪の劇団です。劇団の拠点であるポコペンという名前の長屋に伺いました。

 「CoRich舞台芸術まつり!2012春」審査員として拝見しました(⇒110本中の10本に選出 ⇒応募内容)。※レビューはCoRich舞台芸術!に書きます。下記にも転載しました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『キッチンドライブ

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 愛にかまけて愛をなまけてしまった二人の住む小さな家。
 男と女は幸せだった頃があまりにも昔のように思えて、
 茫然とした生活を送っていた。
 男が仕事をクビになり、女が花を活けるのをやめた時、
 キッチンからパーティを始める見知らぬ人々の声が響き渡る...。

 他人の家々のキッチンを渡り歩いて生きる「キッチン・ドライバー」たちが
 巻き起こす不条理な出来事にひきずられながら、
 愛の行方を追う男と女の物語。
 ≪ここまで≫

■古屋の空間を知り尽くした、欲深でやんちゃな演出

 会場は築100年以上の長屋でした。作・演出の益山貴司さんのお住まいでもあり、普段はカフェ・バーとしての営業もされています。益山さんが使い慣れた、知り尽くした空間なんですね。
 『キッチンドライブ』では、台所と、玄関に面した踊り場の2つを舞台として使用していました。描かれるのは倦怠期の若い男女と、見知らぬ客人たちとの不思議などんちゃん騒ぎ。限定20人の観客は、壁で仕切られた2つの部屋を至近距離から覗くように鑑賞します。

 2階へと続く今にも壊れそうな木造の階段を、男性が全力疾走で駆け上がると、階段が大きく音を立てて軋み、本当の意味で生々しくスリリングでした(笑)。台所で所狭しと激しく踊る場面で、陶器の割れた音が響いた時もドキッとしました。破片を踏んで役者さんが怪我をしないかと心配になったのですが、舞台からドバドバと溢れて、飛び出てしまいそうなほど勢いのある演技に引き込まれ、ハラハラしながらも目が離せませんでした。

 ずっと台所にいる聡里役のキキ花香さんがとてもエロティックで、関西の女性ならではの大らかでしっとりした色気を感じました。シャツの首周りがよれっとしてるのもセクシー。無論、○○○エプロンは私にもツボでした(笑)。

 ここからネタバレします。

 33歳無職の雄介とその恋人で21歳のフリーターの聡里が暮らす古い、古い日本家屋。同棲して3年になる2人の貧しい生活は曲がり角を迎えていた。言い訳ばかりして働こうとしない雄介に、聡里は愛想を尽かしかけていたのだ。そこに突然4人の招かれざる客が訪れる。2人だけの狭い世界が乱暴に、でも広く明るく開かれて、未来に希望が持てなくなっていた2人に、ある変化が訪れる…。

 おかまのリリーと芸術家のサリーは留守宅の台所を狙って食べ物を盗む“キッチン・ドライバー”。2人が初めて登場する時にしばらく完全暗転し、本当の真っ暗闇になったのは特別な体験でした。路地の奥にある長屋で電気を全て消すと、あんなに何も見えない、静かな暗闇になるんですね。その闇と静寂を破るようにカメラのフラッシュが光るのはお見事。
 他人の家の押し入れに勝手に入って高校受験の勉強をする30代のケンゴと、ケンゴを追いかけまわす恋人の大河内もまた、存分に暴れまわって聡里と雄介を翻弄します。2人ともが強烈なキャラクターで、特に1人で勝手にまくしたてるようにしゃべり続け、延々と自己完結する大河内の強引さ、滑稽さには圧倒されました。

 壁を隔てた2つの部屋での同時多発会話や、騒然とした台所と静かな踊り場の対比など、舞台空間の絵づくりが巧妙です。リリー役の益山寛司さんが、台所を破壊することも厭わないほどの勢いで、大いに踊って暴れる様は痛快でした。俳優の身体のみで生み出すスリリングで迫力のあるライブ・パフォーマンスとして十分に魅力的でした。

 リリーたちが嵐のように去った後、聡里はふらりと冷蔵庫の裏側に行き、そのまま消えてしまいます。聡里はリリーたちを追って家を出て行ったのか、この物語自体が雄介の幻想だったのか(最初から聡里は居なかった)、さまざまな解釈が可能です。玄関の戸が開く音がしなかったので、私は「家を出て行った」という可能性は低いと思います。「人間が消えた」という現実では起こり得ない、不可思議な怪奇現象ともいえる事件を起こすことで、観客に時空の広がり、深まりを体感させる効果があったと思います。

 蛇足ですが、物語の外枠が深田晃司監督の映画「歓待」と似ていると思いました。でも聡里が消えてしまうのは、「歓待」とは随分と異なる結末ですね。

「CoRich舞台芸術まつり!2012春」最終選考作品
【出演】聡里(雄介と同居):キキ花香、雄介(聡里と同居):影山徹、リリー(背が高いオカマ):益山寛司、サリー(カメラ所持の芸術家):BAB、大河内(ケンゴの彼女):小中太、ケンゴ(高校受験):益山貴司
脚本・演出:益山貴司 制作:佐々木瑞穂 鳥井由美子 中西由佳 こどちゃ:ミネユキ 写真・web・宣伝美術:橋本大和 デザイン:河村真由美 さくらの
前半:2,000円(1D付) 後半:2,500円(1D付) リピーター割:半券提示で500円引き W割:2作品ご覧いただくと1000円引き(予約時にお伝えください)
http://www.kodomokyojin.com/
http://kodomokyojin.com/stage201203/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 00:41 | TrackBack

2012年04月15日

【俳優養成】映画美学校「第2期アクターズ・コース初等科」4/24開講(申込は郵送もしくは持参)

 渋谷の映画美学校が昨年開講したアクターズ・コース初等科の第2期募集情報です。⇒昨年の告知 ⇒募集要項 ※昨年は当サイトで情報を得て入学された方がいらっしゃいました!

 映画監督、劇作・演出家、俳優、批評家の方々から1年間指導を受けます。基本的に(火)と(金)の夜と、(土)の午後に授業があるので(⇒カリキュラム)、サラリーマンでも受講できそうですね。第1期には大学生がいらしたし、普段から演劇をやってる方も受講していたそうです。

 今年3月の第1期修了公演は、平田オリザ作『カガクするココロ』を松井周さんが演出されました。第2期も演出は松井さんで、会場はアトリエ春風舎と決まっています。
 ⇒佐々木敦「一年でここまでになれるのか!と驚嘆しました。

 講師の方々からのアクターズ・コースへのメッセージ()、()は一読の価値ありかと思います。
 ⇒第2期アクターズ・コース初等科ガイダンス(塩田明彦、深田晃司、近藤強、山内健司)

 ●映画美学校「第2期アクターズ・コース初等科」 ⇒公式サイト
  受講資格:18才以上であり、プロの俳優を目指す人であれば学歴、経験の有無は問わず。
  定員:24名(定員になり次第締め切り。最少開講人数は20名)
  受講期間:2012年4月24日から2013年3月24日。
  授業日程:原則として火曜日、金曜日の19:00-21:30、実習の授業は土曜日もしくは日曜日。
   ※講師の都合により授業日程や講師に変更の可能性あり。
  費用:授業料、登録料、保険料の合計金額38万7千円(税込)※分割支払い可能
  受付期間:2012年4月24日まで。申込は郵送もしくは持参。
   ※4/24開講なのでお早めに!
  教室:映画美学校(渋谷)渋谷区円山町1-5

Posted by shinobu at 17:32 | TrackBack

2012年04月14日

ワタナベエンターテインメントD-BOYS STAGE 10th『淋しいマグネット』04/08-28 Bunkamuraシアターコクーン

 ワタナベエンターテインメント所属のD-BOYSによるお芝居です。昨年のシェイクスピア作品がとても良かったので、ちょっと期待して伺いました。キャストはReds、Blues、Whites、Purplesの4バージョンあり、私はRedsを拝見。

 『淋しいマグネット』は2000年初演のスコットランド戯曲で、韓国では3年ものロングランを果たしたそうです。予想以上に面白い戯曲でした。演出の茅野イサムさんのアイデアが素晴らしかった~!豪華なエンターテインメントでありながら、戯曲の核の部分をしっかり伝えて、ビジュアルで独自の解釈を示されていました。上演時間は約2時間10分(途中休憩1回を含む)。

 D-BOYSファンの女性客が圧倒的多数なのでしょうけど、演劇ファンが観てもずっしり重たい観劇体験になる思います。残席ありますのでご興味持たれた方はぜひ。

 ⇒俳優集団D-BOYS の舞台『淋しいマグネット』開幕「コクーンでの公演は心から嬉しい」※舞台写真あり!
 ⇒CoRich舞台芸術!『淋しいマグネット

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 “特殊な磁石”リューベン(瀬戸康史)は転校生だった。
 幼なじみのゴンゾ(遠藤雄弥)、シオン(柳下大)、トオル(荒木宏文)と出会い、9才の4つの磁石は海沿いの田舎町で共に育ち、無邪気な正直さで魅かれあった。
 10年が経ち4つの磁石たちは自我に目覚めていく。そこには地元の町と互いへの反発もあった。
 ーーーーーーーー突然消息を絶った磁石、リューベン。
 さらに10年ぶりの地元での再会。しかし3つの磁石は最早、くっつくことはない。
 心の中ではひとつになりたいのに反発し合うことしかできない。
 激しくぶつかり合う彼らが、ラストに目にしたものは…?!
 ≪ここまで≫

 戯曲の舞台を日本に変えて親しみやすく脚色された上演台本でした。なぜか私はずっと舞台はスコットランドだと思い込んでいて(汗)、「あら、これ日本なのね」と気づくまでに時間がかかりました。岩のセットが異国に見えちゃったのかな~。

 幼なじみの4人の少年の9歳、19歳、29歳の時期を描く4人芝居ですが、アンサンブルのダンサー8人が加わる劇中劇があり、衣裳を贅沢に着替えて華やかなダンスでも魅せてくれます。シリアスな会話劇は俳優の演技だけでストイックに勝負して、大人数のエンタメ場面は存分に豪華に盛り上げる、メリハリの効いた演出でした。
 
 贅沢な美術、衣裳、照明に彩られた空間で、面白いストーリーを追いかけながら、4人の役者さんの10年の時を隔てた演じ分けのみずみずしさを味わいつつ、“楽しんで”観劇してきたところ、終盤のあるシーンでガツン!とやられました。苦味や痛み、歪みをセリフではなくダンスや衣裳、小道具で表し、独自の解釈を加えて、戯曲をさらに重層的に見せてくださいました。

 4人のメインキャストは役人物をちゃんと作られていて、年齢ごとの演じ分けもはっきりしていて良かったです。テニミュ出身の方も多いんですね。やっぱり、自分ではない誰かになる(自分をあるキャラに似せる)ことを尽きつめるのは、役者さんにとって大切な経験になるのかなと思いました。
 転校生リューベン役の瀬戸康史さんの、前半の目玉とも言える場面の無言の演技には、ぐっと引き込まれました。⇒舞台写真
 
 ここからネタバレします。 

 特殊学級にいたこともあるリューベンは、腹話術師だった父親に暴力を振るわれている孤独な少年で、一人で物語を書いてばかりいました。彼は9歳の時、クラスメートのゴンゾとともに夜の学校にしのびこんで、そこで父親が大切にしていた腹話術人形のヒューゴを壊してしまいます。
 リューベンは19歳の時に崖から飛び降りて自殺してしまい、彼が遺した物語が劇中劇で表されます。「淋しいマグネット」の舞台は人間がいなくなった後の世界。家具や道具などの“物”がその生を謳歌しており、磁石が仲間外れになるお話です。そこになんとヒューゴの姿が!驚きの演出でした。

 ダンサーが持っている家具や靴などにヒューゴの顔や手がくっついていて、とてもグロテスク。よく見るとダンサーの衣裳がヒューゴの服と同じ色使いで、実は物語の語り部として登場するリューベンも、ヒューゴと同じ服を着ていました。無数のヒューゴとヒューゴの部分が一斉に踊る、恐ろしい場面でした。リューベンの屈折した少年時代の表象とも受け取れると思います。
 ヒューゴの姿をした磁石(=ダンサー)が演じる悲恋の物語は、すれ違い、ぶつかり合う振付と熱の入った踊りがドラマティック。最後は磁石が「壊れる」ことを選んだため、自分で自分をぐちゃぐちゃに傷つけた磁石と、夜の学校でばらばらになったヒューゴ、崖から飛び降りたリューベンが重なります。

 人間と磁石と人形という3つの存在が一体化したように見えてくると、それまでに描かれた様々なことがつながっていきました。不器用ゆえに穏やかな人付き合いができなかったリューベンは、自分の意志に反して誰かに無理やりくっつけられたり、引き離されたりする磁石そのものです。人形のヒューゴもリューベンなのだとすると、あの夜、学校でリューベンが壊した人形はリューベン自身なんですね。そういえばリューベンは、父親がヒューゴばかり大切にすると恨み事を言っていました。リューベンはヒューゴになりたかったんだろうな・・・などなど、深く想像をめぐらせることができました。

 9歳のリューベンがゴンゾ、シオン、トオルの前で暗記して語った「空の庭」は悲しいお話でしたが、空から花びらが大量に降ってくる美しい場面がありました。29歳になって集まったリューベン以外の3人は、それぞれに違う世界に生きていて、心もすっかりバラバラになっています。でもリューベンが語ったあの場面の美しさだけは、今も共有できていた。それを示す場面で終幕しました。いい戯曲だなぁとしみじみ感じ入りました。
 「死人に口無し」ということわざは、残酷だけれどもその通りだなと思います。死者はどうしても美化されるし、時には利用されてしまう。亡くなったその人を知る人々の心の中に、それぞれに違った像が残っているんですね。だからこそ、花びらが大量に舞うラストシーンは美しかったと思います。3人だけでなく観客も、リューベンの美しさを知る証人にしてくださいました。


 ≪終演後のトークイベント≫
 出演:遠藤雄弥、荒木宏文、もう1人(失念。今回の舞台には出ていないD-BOYSのメンバー)

 こういうイベントがあると「ああやっぱりスターさんなんだな~」と思いますね。D-BOYSの方々はバラエティー番組にもよく出てらっしゃるんでしょうか(知らなくってすみません)。当然、俳優だけをやってるわけんじゃないんですね。お笑い芸人のようなサービス精神のある方々で、堂々とファンの視線を受けとめる姿勢が立派だなと思いました。

"Our Bad Magnet" by Douglas Maxwell
出演:柳下大、遠藤雄弥、荒木宏文、瀬戸康史、陳内将、碓井将大、橋本汰斗、阿久津愼太郎
Reds:柳下大、遠藤雄弥、荒木宏文、瀬戸康史
Blues:陳内将、碓井将大、橋本汰斗、阿久津愼太郎
Whites:柳下大、碓井将大、橋本汰斗、瀬戸康史
Purples:陳内将、遠藤雄弥、荒木宏文、阿久津愼太郎
アンサンブル:秋月淳司 中村清一郎 星野伊織 小島和幸 平井琴望 松島蘭 都築保野梨 東まり
作:ダグラス・マックスウェル 上演台本:御笠ノ忠次、田中誠 演出:茅野イサム 音楽:笠松泰洋 美術:金井勇一郎 照明:林順之 音響:山本浩一 音響効果:青木タクヘイ 振付:本山新之助 衣裳:小原敏博 ヘアメイク:糸川智文 演出助手:則岡正昭 舞台監督:元木たけし 日本語訳:深井裕美子(ネスト) 劇中歌歌唱:広瀬奈緒 大道具:金井大道具(矢田英孝) 小道具製作協力:村上舞台機構 腹話術人形制作協力:川口新、Puppet House 特殊効果:特効 運搬:KUトランスポート ヘアメイク協力:BRIlLLIAGE、PINZORO スーパーバイザー:吉田正樹 票券:山口由佳子 宣伝:大澤剛 清水陽子 制作:永島智代 行元綾紗美 プロデューサー:渡部隆 主催・企画・製作:ワタナベエンターテインメント 総合プロデューサー:渡辺ミキ 
【休演日】4/16,23 プレミアム席:9500円/レギュラー席:7500円/ジーンズ席:3500円(全席指定/税込) ※未就学児入場不可 ※プレミアム席は、ステージ上に特設するステージサイド席、および最前列から5列目までのエリアのお席です。 ※ジーンズ席は、演出上、ステージの一部が見えづらい場合のあるお席です。
http://www.d-boys.com/d-boysstage10/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年04月11日

【ご報告】再演舞台を観て語らう夕べ「新国立劇場演劇『まほろば(再演)』鑑賞&夕食会」2012年4月6日(金)19時開演の回@新国立劇場小劇場

 私が企画・実施いたしました【再演舞台を観て語らう夕べ】は、おかげ様で想像していた以上に楽しい会となりました。“楽しかった”というより“楽し過ぎ”ました(笑)。あの夜は帰宅してからも興奮してしまってしばらく寝つけず、翌日は「ああ、もっと話していたかった・・・!」と、数時間前の出来事を懐かしく、口惜しく、何度も思い返しました。

 まず『まほろば』という作品が非常に面白かった!翌日にメルマガ号外を発行しました。東京公演は4/15までで、その後、長野、兵庫、山形公演があります。どうぞお見逃しなく!
 ⇒おけぴ管理人の観劇レポ「12/03/19 まほろば稽古場レポ

 ※メルマガ号外は特にお薦めしたい舞台に出会った時に発行します。年間5本を目安にしてします。メルマガのご登録はこちらでどうぞ。

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ワインをおともに歓談

 『まほろば』は現代日本が舞台の親しみやすいコメディーですが、女性の生理・妊娠・出産について赤裸々に語られるので、内容は実は過激なんです。身近な話題である上に過激なので、どうしても鑑賞後に誰かと話をしたくなるんですよね。「あれどう思った?」「私はこうなんだけど、あなたはどう?」とか。今回の参加者9人は全員女性で、『まほろば』に負けず劣らずの赤裸々な発言が続出し(笑)、目からウロコな発見づくしでした。まあ女性が普段レストランで話す内容じゃないですね、絶対(笑)。

 参加者の年齢層が30代~60代と幅広く、それぞれに受け取ったこと、気づいたこと、考えたことが違っていたのが新鮮で刺激的でした。一人が語る度に「ほぉ~」という小さな驚きを含んだ納得の声が上がったり、「私も!」と意外なところから共感の声が聞こえたり。ディナーのテーブルで予想不可能な言葉のキャッチボールが広く展開されて、まるで何かのスポーツの試合に参加しているような臨場感と興奮がありました。

 『まほろば』には10代~70代の女性が登場します。参加者の中には、秋山菜津子さん演じる東京で働く独身女性ミドリと同じ立場だとおっしゃる方が数名いらっしゃいました。かたや、大西風香さん演じる11歳のマオと同じぐらいの年齢の娘さんのある方もいらっしゃったり。それぞれに注目する登場人物やテーマが違ってくるので、お話を伺うごとに、作品を多面的に味わうことができたように思います。
 また、私は「こんなにお芝居で笑ったのは一体何年振りかしら~」と思うぐらい笑わせてもらったのですが、「身に詰まされる内容ばかりで全く笑えなかった」という方もいらっしゃいました。初演から4年経過し、今回の再演では受け取り方が変わったとおっしゃる方も。『まほろば』は観る時の年齢によって感じ方がかなり変わる作品とも言えそうです。

 以下、参加者の方々からツイッターやメールでいただいたご感想です。

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お食事も美味しかったです

 Aさん「『まほろば』面白かった。本当良かった。じんとした。訓練された役者が熱を持ち、綿密に練られた演出で、気をてらわずきちんと届ける作品が、やっぱりわたしは好きみたい。妊娠・出産・生理を扱った男性が書いた脚本で、好きになれるものなんて今までひとつもなかった(だいたい幻想入ってる)。でも『まほろば』はリアルだったな。リアルで悔しい感じもある。」(※ツイートより句読点など追加して転載)

 Bさん「今日は楽しかった。楽し過ぎた。あんなに楽しいとは。同じ舞台を見たことであんなに話がはずむなんて。あのまま一晩中、話し続けられたかもと思ってしまうくらい。素晴らしい企画をありがとうございます。またこういう企画があれば嬉しいです。またみんなで会えるといいな~と思います。」

 Cさん「昨日は楽しかった。すごい!時間でしたね。あれからずっと考えています。最後の場面で、なぜ涙が出てきたのか。私は高野さんや○○さんとは違う気持だったと思うのです。」
 Cさん「昨日は本当に楽しかったし、まだまだずっと話し続けたかった感じですね。自分の今までのことなども振り返ったりできるいい機会になりました。」

 Dさん「今日はありがとうございました!とても楽しかったです。時間が経つのを忘れるくらい…。また是非こういう企画やって下さい!」


 他者の意見をそのままに、素直に受け止め、自分の意見を決して押しつけることなく、誰も対しても開かれた状態で話す、円滑で活発なコミュニケーションが成り立ったのは、参加者の皆さまのおかげです。本当にありがとうございました。
 皆さんに喜んでいただけたことも含め、私自身も大満足の会だったのですが、1点、私の不手際がありました。すっかり時間を忘れて終了予定時刻をオーバーしてしまったんです・・・申し訳ございませんでした。次回はiPhoneの目覚まし用のアラームをセットするようにします!


再演舞台を観て語らう夕べ「新国立劇場演劇『まほろば(再演)』鑑賞&夕食会」
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0321143212.html
≪東京、長野、兵庫、山形≫
出演:秋山菜津子 中村たつ 魏涼子 魏涼子 前田亜季 大西風香 三田和代
脚本:蓬莱竜太 演出:栗山民也 美術:松井るみ 照明:服部基 音響:秦大介 衣裳:宇野善子 ヘアメイク:佐藤裕子 方言指導:柄沢りつ子 演出助手:保科耕一 舞台監督:米倉幸雄 制作担当:茂木令子
A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000440_play.html

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Posted by shinobu at 20:47 | TrackBack

【情報】俳優指導者アソシエーション「『シリーズ 俳優指導者のすべて』受講者募集」4月~6月 開催@芸能花伝舎(申込手段:メール、電話、FAX)

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俳優指導者のすべて

 先日、説明会が開催された俳優指導者アソシエーション『シリーズ 俳優指導者のすべて』の受講者募集情報です。

 俳優指導者アソシエーション代表の池内美奈子さんは、新国立劇場演劇研修所のヘッドコーチでもあります。ご興味のある俳優指導者の方はぜひお申込みください。以下、公式サイトからの情報です。

 ■俳優指導者アソシエーション『シリーズ 俳優指導者のすべて』
  開講日:4/21(土)、5/19(土)、6/23(土)
  受講料:19,000円(3回通し) 個別受講:7,000円/回

 ■俳優指導者アソシエーション『シリーズ 俳優指導者のすべて』

【実施概要】
第1回 「俳優指導者のことば ~俳優指導者の役割~」
日時:2012年4月21日(土)11時~17時

第2回 「からだと声 ~俳優トレーニングの実際~」
日時:2012年5月19日(土)11時~17時

第3回 「カリキュラム ~俳優養成の現状と未来~」
日時:2012年6月23日(土)11時~17時

対象者:職業として俳優指導などを名乗っていて、その職能にさらなる磨きをかけたい方

受講料:19,000円(3回通し) 個別受講もできます。7,000円/回

場所:芸能花伝舎1-3(東京都新宿区西新宿6-12-30)
・東京メトロ丸ノ内線「西新宿」駅 出口2より徒歩約6分
・都営大江戸線「都庁前」駅 A5より徒歩約7分
・都営大江戸線「中野坂上駅」「西新宿五丁目」より徒歩約10分
・「新宿」駅 西口より 徒歩約15分
地図:http://www.geidankyo.or.jp/12kaden/08access/index.html

【申し込み方法】

ご希望の受講の回(3回通しか、個別か)、氏名、ふりがな、住所、連絡先(電話番号、fax、携帯電話、e-mail)、所属、申し込みの動機、経歴(俳優指導、および関連する活動)を記入の上、以下の申し込み先にお送りください。

【申し込み先・お問い合わせ先】

アトラス
メール:asatp(アットマーク)g-atlas.jp
電話:080-4294-0502
fax:020-4623-8486


“俳優指導者とは何?”

日本中の演劇学校、大学の演劇実技コース、俳優の育成施設では、日々、何らかの俳優指導が行われてきました。それにもかかわらず、「俳優指導者」という存在はあまり知られていません。その理由は、指導する側に「俳優指導者である」というのとは別の意識があるからかもしれません。例えば、「俳優であるから後輩の俳優の卵にアドバイスしているのだ」とか、「演出家として俳優に演技の指導をしているのだ」というような。
では、「俳優指導者である」という意識はどのようなものなのでしょうか? それを理解するには、「俳優指導者の仕事」が本来何であるかを明らかにする必要があります。

俳優の技術は多岐に渡ります。自分の身体や声を自信を持って的確に使い、観客に正確に物語を伝えることが出来ること。共同作業が出来る一方で、独りでの探求も出来ること。他にも、社会や歴史に対する知識と洞察力、言葉に対する感性、人間に対する共感、創作していく時に必要不可欠な想像力など、挙げていけばきりがありませんが、この複雑で、要求度の高い、密度の濃い「世界」に俳優を導いていくことこそが「俳優指導者の仕事」なのです。そして、そのような「世界」へ俳優を導くために、どのような「方法」をとるかに俳優指導者の個性があります。私の場合は、探求欲を持たせ、失敗することも奨励しながら、自身の道を切り開き、逞しさを蓄えながら前進していけるような方法を日々探究し、試行しています。

演出家であれ、俳優であれ、俳優指導者として仕事をする時間は、他の仕事をしている時とどう違うのでしょうか?何を大切にすればいいのでしょうか?

今回のコースでは、この仕事にはどのような要素が含まれているのかを皆さんと共有し、その上で皆さんがそれぞれどのような方法で導くのかを明らかにする場にしたいと思っています。

俳優指導者アソシエーション代表 池内美奈子


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 13:42 | TrackBack

2012年04月10日

新国立劇場演劇・マンスリープロジェクト4月『トークセッション 戯曲を書くということ』04/09新国立劇場小劇場

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戯曲を書くということ

 新国立劇場は無料イベント「マンスリープロジェクト」を毎月開催しています。4月は倉持裕さん、蓬莱竜太さん、前川知大さんという、今の演劇界をけん引する若いアーティスト3名のトークでした。聞き手は演劇ライターの鈴木理映子さん。小劇場が8割は埋まってたんじゃないでしょうか。
 ⇒4月のマンスリー・プロジェクト トークセッション「戯曲を書くということ」が開催されました

 3人の共通点は大人気の劇作家、演出家であり、劇団に所属されていること。そして「物語をつむぐ劇作家」であることも。以下、私がメモしたことのまとめです。テープ起こしではありませんので語られた全てではありません。間違ってるかもしれませんのでお許しを。

 ※ただいま上演中の『まほろば』の舞台上での約1時間半のトークでした(途中休憩なし)。『まほろば』は4/15まで上演中。長野、兵庫、山形公演あり。⇒メルマガ号外を発行しました!

 ※来月のマンスリー・プロジェクト:5/12(土)「リーディング公演 エリ・プレスマン作『ドン!』」(演出:宮田慶子)

 ■執筆場所/執筆中の相談相手

 ―どこで執筆されるんですか?
 倉持:喫茶店で構想して、書くのは自分の部屋です。
 前川:僕も同じです。
 蓬莱:ずっとファミレスで書いていたんだけど、あまりにずっと居続けるので、ある時、少し店から出てまた戻ったら、店員さんに「おかえりなさい」と言われて(笑)。これはやばいと思って、家で書くようになりました。

 ―執筆中の相談相手はいらっしゃいますか?
 倉持:岩松了さんが読んでくださって、いろいろ厳しく言っていただいたり。
 前川:ずっと構想を相談してきた年下の友達がいて、彼の場所を作るためにイキウメ文芸部をつくりました。
 蓬莱:相談相手はいないです。


 ■厳しい〆切催促

 倉持:どうしても明日までにとか言われても。そりゃ自分もそうしたいけど・・・もうちょっと余裕を持って(待って)もらえないのか。なぜ「明日」じゃないとダメなのか考えてしまう。その人(=催促する人)が誰かに謝りたくないだけだよね、とか。
 蓬莱:5分置きに電話がかかってきたこともある。「1枚でもいいから送ってください」とか言うんだよね。
 前川:それ、邪魔してるよね!

 蓬莱:僕は劇団ではノーギャラなんです。(だからというわけではないが)劇団ではいつも稽古初日に台本は半分ぐらいある状態。でも前回公演では稽古初日に間に合わせてみたんです。そしたら、稽古ができるんですよー(笑)。いいですよ、(劇団でも)全部出来あがってる方が。
 倉持:そうかー(なるほどー)。
 前川:僕は脚本が完成してないと演出ができないです(頭が演出に切り替わらない)。


 ■登場人物の名前を決める方法

 ―倉持さんは登場人物に個性的な名前をつけられてますよね。どうやって決めているんですか?
 倉持:インターネットに名前のサイトがあるんです。人数が多い順に1番から並んでいて、たとえば1番は佐藤ですよね、そして鈴木とか。そこで5000番台ぐらいのを選ぶ。
 前川:僕は2000番台ぐらいですね。
 蓬莱:何それ!そんなのあるの?

 前川:役にしっくりくる、フィットする名前を選ぶ。字面と意味と音で決めます。「君」とか「さん」とか名前のあとにつくものも重要。※前川さんは自分の戯曲を音読して確認されるそうです。
 倉持:似たような名前だと役者が間違えたりするから、バラける(似たものを選ばない)ようにするとか。


 ■得意な空間に執着して自分をカテゴライズしない

 ―皆さんより若い世代で、小劇場ばかりを使っていて大劇場に興味のない作り手が増えているように思います。小さな空間で自分の表現をつきつめたいという若い作り手についてどう思われますか?

 蓬莱:自分の得意な空間だけでずっと創作をして、自分の世界を、作家性を決めてしまうのが(僕は)怖い。たとえば日生劇場なら日生劇場でどう自分の作風を合わせるか(を考える)。自分の劇団の作品は日生劇場でかかるものじゃないけれど、チャレンジしない手はないと思う。作家がいつまでもクリエイティブでいられることが大事。この数年、ミュージカルや大きな劇場での芝居をやってきた。自分がいずれどんな作家になるかは決めていない。最後に「蓬莱は~~~だった」となればいいこと。小劇場もクリエイティブだし、(自分を)カテゴライズしないように意識している。

 倉持:(劇団公演だと、大劇場で)動員を増やすという考え方もありだよね。
 前川:僕の劇団には役者が8人いて、彼らにギャラを出すためには動員をのばしたい。小さい空間だけで自分の表現をつきつめていく気にはならない。
 倉持:小さい空間ばかりで上演してて、「役者、大丈夫?」って思う。同じような、記号化されたような役者ばかり増えていて、役者のことが心配になる。
 蓬莱:プロデュース公演のいいところは、役者との出会いの場でもあること。人と出会っていくことは大事。嫌な人もいますけど(笑)、それも刺激。同じ肉体とばかり作品創作をするのは不健全だと思う。もっと(色んな人と)出会えばいいのにと思います。


 ■プロデュース公演と劇団公演それぞれの魅力

 蓬莱:劇団だと自分の作品を好きな人ばかり。でもプロデュース公演だと(互いを)疑うところから始まる。そこからスタートするのが面白い。
 倉持:自分のことを買ってくれてない時は緊張感があるよね。劇団だと何も言わなくてもいいことを、プロデュース公演だと説明しなきゃいけない。そしてその緊張感は本番に出る。
 蓬莱:その方が芝居の隙がなくなるかもしれない。

 前川:セゾン文化財団のニュースレター(viewpoint第54号「演劇の地平を均せ」)に、倉持さんがすごくいいことを書かれていた。⇒ニュースレターバックナンバー ⇒第54号PDF
 倉持:プロデュース公演と劇団公演をやってきて、劇団公演がプロデュース公演の型落ちと思われたらまずい。プロデュース公演は劇団公演で試してみて成功したことをやる。だから新たな試みを最初に観られるのは劇団公演。それを観に来てほしい。


 ■なぜ「物語」を書くのか

 前川:詩人は的の真ん中を射るような言葉を使う。物語はそうじゃなくて、蚊取り線香のようにぐるぐると回っているような感じ。そっちの方が共感できると思う。シンプルなメッセージより共感した形で受け取れる。プロセスそのものを共有する。詩や歌詞も凄いと思うけど、僕が面白いと思うことを伝えるためには物語が必要。

 倉持:物語はサービスだと思う。物語がないのって、わりと不親切。最低でも3つから4つの展開があるのが物語。1つだけだと退屈。
 蓬莱:僕は起承転結が好きなんだと思う。この4つは言い得て妙なんです。書きながら意識してると思う。お客さんとのシンクロ率は高い方がいいわけで、核心に迫れるから起承転結は有効だし、悪くない。演劇はエンターテインメントのひとつだし。演劇らしく立体的に立ちあげる方法は演出にもある(戯曲でなくとも演出でできる)。1時間半から2時間の間、観客に考えさせて、考えてもらうこと(のために物語は有効)。

 倉持:広く伝えるために物語は必要。幅広い客層に伝えたいならサービスしないと。戦略として。観客に最後まで見せて、引き込むために。
 蓬莱:王道を成立させるには努力がいる。王道で観客に旅をさせるのは高度なこと。それに挑んでいたい。エッジを効かせるのは作家のダークサイドだと思うんです。自分の感性に沿って書くのは楽だから。時々、劇団では(ダークサイドに行くのを)許されてもいいのかな、と思うけど、基本的にはそこに落ち込まないようにしたい。


 ■「世界を見直すために物語は無効ではない」

 ―倉持さん作・演出の舞台『鎌塚氏、放り投げる』はとても面白いコメディーでした。不穏な人間模様等を描いてきた倉持さんにとっては、チャレンジだったのではないでしょうか。
 倉持:制約を設けることで緊張感を得ようとした。「コメディーです」と謳えば、笑わせなきゃいけない。そうやって自分にプレッシャーをかけていく。スタンダードの物語の魅力というのは、重いものです。

 ―震災後の5月の上演でした。「フィクションは現実を超えられない」と言われた時に、「世界を見直すために物語は無効ではない」と示してくれたように感じ、心強かったです。
 倉持:ちょうど震災の時に書いていたので、こんな“コメディー”をやってもいいのかと迷ったんですが、しばらく考えて、むしろ使命感を感じて、「笑えるものをやった方がいい!」と思った。実際反応もとても良くて。それはあの時期だったからじゃないかと思う。


 ■脚本から全てが始まる

 宮田慶子芸術監督:皆さん、今日はありがとうございました。劇作家の方々の執筆中のお話を伺えて非常に興味深かったです。でも、やはり演出の立場としては「脚本は早い方がありがたい!」です(笑)。脚本から全てが始まりますから。どうか早くあげてくださいますようお願いいたします!


 【3人の新作戯曲公演】

 倉持さん:M&O Plays produce『鎌塚氏、すくい上げる
 蓬莱さん:パルコ・プロデュース『ハンドダウンキッチン
 前川さん:イキウメ『MISSION


 【トークを聴き終えて】

 セゾン文化財団のニュースレターviewpoint第54号(⇒PDF)に掲載された「演劇の地平を均せ」(倉持裕)は、震災直前に読んでとても共感したんです。だから前川さんが言及してくださって嬉しかったですね。⇒セゾン文化財団公式ツイッターが2011年3月10日にツイートしています。
 戯曲についてのトークとはいえ、劇作家、演出家、そして劇団員(蓬莱さん以外のお2人は主宰)だから考えてらっしゃることを聞けて面白かったです。

 『鎌塚氏、放り投げる』は私もすごく面白かったので、次回作があるのが嬉しいです。倉持さんが出演者の名前を挙げて「満島ひかりちゃん」とおっしゃった時、客席から歓声が上がりました。私も満島さん大好き!でもチケット取れるかどうか心配になっちゃったな~!

 ※以前のマンスリー・プロジェクトでは予約完了時のWebページを印刷して持参するようにとあったのですが(そして当日持参したのに必要なかった)、今回はそれがなくスムーズに入場できて気持ち良かったです。

4月9日(月)19:00~
出席者:倉持裕(劇作家・脚本家・演出家)/蓬莱竜太(劇作家・演出家)/前川知大(劇作家・演出家)
聞き手:鈴木理映子(演劇ライター)
無料・要申込
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000400_play.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:12 | TrackBack

2012年04月09日

かもめマシーン『パブリックイメージリミテッド』04/04-08小劇場 楽園

 かもめマシーンは脚本・演出を手掛ける萩原雄太さんお1人のユニットです。私は初見。

 「CoRich舞台芸術まつり!2012春」の応募内容を読んで興味を持ち、F/T12公募プログラムでも一次選考を通過されていたので、観に行くことにしました。あと、チラシのビジュアルも好きです。上演時間は約1時間15分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『パブリックイメージリミテッド

 ≪あらすじ≫
 2011年2月の平日。東京、新宿駅東南口。待ち合わせをすっぽかされた女性と、募金活動を行う男性。若い2人のありきたりな午後。
 ≪ここまで≫
 
 装置がない素舞台で、色をそろえたカジュアルな普段着姿の役者さん5人が、手足の動きを日常よりも多い目に加えながら、現代口語で観客に向かって話しかけ、次々と演じる人物を変えていきます。照明もほぼ素明かりのままですので、言葉と演技だけで見せるタイプのお芝居です。

 途中で休憩のような時間が挟まれたことも含め、チェルフィッチュの手法を模倣しているように見えて、どうしてもチェルフィッチュ作品と比べてしまいました。『パブリックイメージリミテッド』に出ている役者さんは、チェルフィッチュに出ている役者さんほど上手くないんですよね。それに尽きました。

 演出は、観客の想像を促そうとする意図が見え過ぎな気がしました。「観客を啓蒙しようとしている」印象を受けてしまいました。
 当日パンフレットに挟まれた“開演前の諸注意”に「当公演は2011年2月10日の新宿を舞台にしております。開演まで、2011年2月の記憶を思い出しながらお過ごしください」と書かれていたので、そのように努力したのですが、最後まで観てみたところ、この作品を3月の東日本震災と関連づける必要性を私は感じませんでした。

 役者さんの中では、清水穂奈美さんがヴィヴィッドな存在感でした。

 ここからネタバレします。

 私は一緒に暮らしていた家族が亡くなるのを何度か経験しています。それだけが理由ではないですが、今生きている空間、空気には死者が存在している、死者の思いが充満していると思って生活しています。だから萩原さんが当日パンフレットに書かれている「もう一度、死者たちの声に耳を澄ませてみよう」という主張は、私にはごく当然のことなのでピンと来ませんでした。

出演:清水穂奈美 井黒英明 横手慎太郎(シンクロ少女) 林弥生(海ガメのゴサン)、松原一郎
脚本・演出:萩原雄太 照明:千田実(CHIDA OFFICE)、舞台監督:西村耕之 宣伝写真:内堀義之、宣伝美術:藤井隆史
【発売日】2012/02/04 前売=2,000円、当日=2,200円、各種割引=1,800円
https://sites.google.com/site/kamomemachine/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 15:00 | TrackBack

2012年04月07日

メルマガ号外 新国立劇場演劇『まほろば(再演)』

 新国立劇場演劇『まほろば(再演)』
 04/02-15新国立劇場小劇場
 ≪東京、長野、兵庫、山形≫
 ※公演詳細はこちら

 ★メルマガへの ご登録はこちら へ!

 ⇒ぴあ・今週のこの人!「蓬莱竜太」インタビュー
 ⇒CoRich舞台芸術!『まほろば(再演)

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 “しのぶの演劇レビュー” 号外 Vol.49  2012.04.07 1,821部 発行

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ http://www.shinobu-review.jp


   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪


★★ 号 外 ★★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 ◎新国立劇場演劇『まほろば(再演)』
  04/02-15新国立劇場小劇場
  ≪東京、長野、兵庫、山形≫
  ☆出演:秋山菜津子 中村たつ 魏涼子 前田亜季 大西風香 三田和代
   脚本:蓬莱竜太 演出:栗山民也
    http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000440_play.html
   2008年の初演のレビュー(記録程度)↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0718144304.html
   2008年初演稽古場レポート↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0709163043.html
   第53回岸田國士戯曲賞作『まほろば』書籍紹介↓
    http://www.hakusuisha.co.jp/detail/index.php?pro_id=09405
   第53回岸田國士戯曲賞選考委員7人の選評↓※ネタバレあり
    http://www.hakusuisha.co.jp/kishida/review53.php
   ぴあ稽古場レポート「秋山菜津子らが、蓬莱竜太作『まほろば』で
   あけすけな女4世代トークをふたたび」↓
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120321-00000001-pia-ent


 ◎観劇後のコメント◎

  蓬莱竜太さんが岸田國士戯曲賞を受賞された『まほろば』の再演です。

  長崎の旧家に集まった四世代にわたる女性たちが、自らの妊娠・出産を
  赤裸々に語り、喧々諤々のガールズトークを繰り広げます。
  リラックスした普段着姿の、ごく普通の女性たちの会話劇ですが、
  語られる内容が過激なのでグイグイと引き込まれます。
  さらには休む間がないほど笑いが盛り込まれており、
  一気にクライマックスへと突き進むのが快感!

  子役1人を除き初演と同じキャストという、貴重で贅沢な再演で、
  期待していた以上にブラッシュアップされていました。
  私は幕開けから笑いどおしで、同時に涙もホロホロと流れ、
  ただの大団円におさまらないラストシーンでは、
  初演時には気づかなかった残酷さと苦味を味わいました。

  パンフレットで演出の栗山民也さんは、「再演っていうのは、
  初演でやったいろんなことを削る作業かなとも思います」と
  述べられています。俳優が親子、姉妹として舞台上に存在するだけで
  密な関係性が生まれ、無駄な動きや間(ま)が削ぎ落されたのでしょう。
  緻密に組み立てられているのに、決して硬くはならず、
  言葉と感情のキャッチボールが円滑に、リズミカルに決まります。
  再演だからこそ、ここまでの完成度に達したのだろうと思います。

  妊娠・出産は男女を問わず、人間なら誰しも関係があるテーマです。
  “できちゃった婚”“生まない選択”など、現代日本ならではの
  選択肢について、世代の異なる女性たちが意見を戦わせます。
  再演用に蓬莱さんが脚本を加筆された部分もあり、
  それぞれの言い分の根拠が明快になって、対立がより鮮明になりました。

  昨晩の夜の回を一緒に観た女性の感想↓をご紹介します。
  Aさん「身につまされて全く笑えなかった。10年後にまた観たい。」
  Bさん「最後の場面で涙が流れた。なぜなのかをずっと考えている。」

  観客は鑑賞後に、どうしても議論をしたくなると思います。
  考えて、語り合いたくなるお芝居なのです。
  よかったらお友達、恋人、ご家族と一緒に観に行って、
  感想を語り合ってみてください!


  ※上演時間は約1時間45分。休憩なしで一気に観られます。
   たとえば平日夜公演は19時開演で、21時には夕食を始められます。
  ※男性のお客様が、普段の新国立劇場の演劇公演より比較的多いそうです。
   昨日の夜の客席は、4割ほどが男性だったように思います。
  ※東京公演の後は松本、神戸、山形の3地域ツアーがあります。
   ツアーがあるのも再演ならでは。各地の皆さま、お見逃しなく!


 【チケット情報】 残席あります!

   全席指定 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
   ※Z席は公演当日の朝10時よりボックスオフィス窓口にて一般販売。
    いずれもお1人さま1枚、電話予約は不可。
   (昨日の夜の回は、開演10分前の時点で当日券窓口のZ席は残席あり。)
   プレイガイド情報↓
    http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000440_4_play.html
   チケットの購入方法↓
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/boffice/index.html
   新国立劇場Webボックスオフィス↓
    http://nntt.pia.jp/

   チケットぴあ  http://pia.jp/t(PC&携帯)【Pコード:416-999】
   イープラス http://eplus.jp/(PC&携帯)
   ローソンチケット http://l-tike.com/(PC&携帯)【Lコード:37454】
   CNプレイガイド http://www.cnplayguide.com/(PC&携帯)


 【お問い合わせ】
   新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999
    (10:00~18:00/オペレーター受付)


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 ◆ 【編集後記】
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 ◎この『まほろば』公演で「再演舞台を観て語らう夕べ」↓を開催しました。
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0321143212.html
  女性ばかり10人弱でお話したら、楽しすぎて時間をすっかり忘れるほど!
  またいい再演があったら企画したいと思います。


 ◎2011年1度目のメルマガ号外です。前回はこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/1014234434.html


 ◎ツイッター↓やってます! ※フォロアー3400人超え感謝♪
  ⇒ @shinorev : http://twitter.com/shinorev
  メルマガ号外は読者の方々に直接届ける手段として今後も続けますが、
  速報としてはツイッターが最速です。


 ◎「CoRich(こりっち)舞台芸術!」で
  いつ、どこで、何が上演されているのかを簡単検索!
  感想も書き込めますよ♪
   http://stage.corich.jp/
  メンバー登録はこちら↓
   http://www.corich.jp/stage/user_register.php
  携帯サイトもあります⇒ http://corich.jp/m/s


 ◎稽古場レポートや演劇人へのインタビュー記事などを書いています。
  2012年のお仕事のまとめはこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0110211719.html
  お仕事のご依頼はこちらへ↓お気軽にどうぞ♪
   http://www.shinobu-review.jp/contact/


 ◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
  それが私の望みです。
  これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
  皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪

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 ◆ 【このメルマガについての注意事項(毎号同じ内容です)】
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 今回の配信は“号外”です。
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≪東京、長野、兵庫、山形≫
出演:秋山菜津子 中村たつ 魏涼子 魏涼子 前田亜季 大西風香 三田和代
脚本:蓬莱竜太 演出:栗山民也 美術:松井るみ 照明:服部基 音響:秦大介 衣裳:宇野善子 ヘアメイク:佐藤裕子 方言指導:柄沢りつ子 演出助手:保科耕一 舞台監督:米倉幸雄 制作担当:茂木令子
A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000440_play.html

Posted by shinobu at 23:15 | TrackBack

2012年04月06日

【情報】Next Producers Camp「Next Producers Camp 2012 in 松本」05/03-05長野県松本市※4/15〆切(メールのみ)

 演劇制作、プロデューサー、アートマネージメントを志す20代の方向けの、2泊3日の合宿情報です。ナビゲーターが凄い。本気の方、どうぞお申込みを。

 ●「Next Producers Camp 2012 in 松本」
  2012年5月3日(木)~5日(土) 2泊3日/長野県松本市にて
  《ナビゲーター》
   ・仲村和生 (株式会社ネビュラプロジェクト・キャラメルボックス チーフプロデューサー/株式会社ナッポスユナイテッド代表取締役)
   ・伊藤達哉 (有限会社ゴーチ・ブラザーズ代表取締役/阿佐ヶ谷スパイダース制作代表)
   ・野村政之 (青年団、こまばアゴラ劇場制作)
  《対象》 演劇制作、プロデューサー、アートマネージメントのいずれかに興味かがあり、不安を抱えながらも本気で続けて行きたいと思っている30才以下の方。(経験の有無は問わないが、本気の人)
  《日程/場所》5月3日(木)~5日(土) 2泊3日/長野県松本市にて
  《参加費》12,000 円(宿泊費、会議室費、資料費の実費) ※現地集合、現地解散。
  《募集人数》15名 ※定員を上回る場合は、書類選考にて決定
  《応募締切》4 月 15 日(日) 24:00 必着
   ⇒Next Producers Camp公式ブログ

Posted by shinobu at 13:11 | TrackBack

2012年04月05日

tsumazuki no ishi『ストレンジャー彼女』03/28-04/01 SPACE雑遊

 tsumazuki no ishi(ツマヅキノイシ)は、スエヒロケイスケさんの戯曲を寺十吾さんの演出で上演されている劇団です(過去レビュー⇒)。

 「CoRich舞台芸術まつり!2012春」審査員として拝見しました(⇒110本中の10本に選出 ⇒応募内容)。※レビューはCoRich舞台芸術!に書きます。下記にも転載しました。上演時間は約2時間5分(休憩なし)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ストレンジャー彼女

■猥雑と滑稽のバランスの妙。誰も真似できない家族劇。

 実在した殺人事件を多数とりあげ、B級スプラッター・ホラーの要素も盛り込んだSF仕立ての家族劇という、誰も真似できない物語でした。込み入った複雑な設定を、しれっと当然のように説明して成立させてしまうのは、演技、演出、スタッフワークの賜物だと思います。

 息の詰まるような緊張感に支配された、うすら恐ろしい時間が静かに流れています。そのムードを敢えて破るように間の抜けた皮肉なギャグが挟まれ、空気が一瞬なごむのが快感!
 ただ、私が鑑賞した初日のステージについては、密室感覚や恐怖、猥雑さなどが期待していた完成度には届いていなかったように思いました。

 ここからネタバレします。

 舞台は廃屋化しているビルの搬入用(と思われる大きな)エレベーターの中。降霊術を行う家族がアジトにしています。母親(大高洋子)は人を洗脳して触媒(霊魂が入る器)にするのに長けており、4人の息子たちは触媒で、娘のワカナ(亜矢乃)には降霊の能力があります。とはいえ息子たちもワカナも母親に殺された幽霊で、檻のようなエレベーターは生者と死者が混在する空間でした。エレベーターがガタガタと上下するのを照明と音響でうまく表現していて、客席に座りながら自分も揺れているように感じるほどでした。

 地底人ポール(寺十吾)が、問題を抱えた依頼人たちにぴったりの霊を呼び出します。死霊、生霊が次々と湧いて出て、さらには触媒である息子たちも霊に乗り移られて別人となり、人間の輪郭や、あの世とこの世の境界が曖昧になっていきます。いかがわしくて気持ちの悪い空気が充満する中、地底人ポールのとぼけた演技がいいスパイスになり、独特の滑稽さでバランスが取れていました。刺激的で小気味良かったです。

 降りてきた霊には凶悪犯罪の加害者と被害者の両方がいて、依頼人たちとの議論は人間とは、命とはという根源的な問いへと発展していきます。
 好きな人を殺す代わりに猫を殺す少女は、憧れの存在であるサカキバラの生霊(福原冠)と出会い、虐待を受けていた女性は、かつて自分が殺してしまった友達の幽霊と出会います。2人ともがそれぞれの救い、もしくは現時点での答えを見つけたようでしたが、特にサカキバラの件についてはスッキリ腑に落ちる顛末ではなかったです。彼が実在の有名人(の生霊)だからかもしれません。

 共感して一緒に考えたくなったテーマもありました。セックスも暴力も人間の愛の形だけれど、肌を重ねても、相手を切りつけても、人間と人間は一体には成り得ない。愛(=暴力)を求めても、絶対的な孤独を身を持って知ることになるだけなのに、それでも人間は、他者を求めずにいられない。そんな致命的なジレンマから逃れる方法はあるのだろうか・・・。スエヒロさんいわくの「凶悪犯罪とオカルト」を材料にした「ディスカッション劇」に私も参加できました。

 最後はワカナが、母親を背後から抱き締めるという意外な行動を起こしました。ワカナは自分を絞殺した母親を憎んでおり、死ぬまでとりつくと決めてそばに居るのですが、その恨みと執着は、愛情と紙一重であることがよく伝わるシーンでした。家族だんらんの食事シーンもそういう効果があったのだと思います。ただ、背筋がゾクっとしたり、何かがぐっと喉もとまで込み上げてくるほどの味わいにならなかったのが残念。きっとステージを重ねるごとに密度が増していったのだろうと思います。

 何度も笑わせていただきましたが、躊躇なく爆笑したのは母親が「(飲酒は)未成年はダメ!」と言い切ったところ。子殺し犯なのに妙なところで厳しい!(笑)


「CoRich舞台芸術まつり!2012春」最終選考作品
出演:亜矢乃 伊藤麻実子(A.L.C. Atlantis) 川辺純子(T1project) とみやまあゆみ 仁後亜由美 野々山貴之(劇団俳優座) 福原冠(プリッシマ) 若松絵里 寺十吾 宇鉄菊三 日暮玩具 松原正隆 鈴木雄一郎 岡野正一 中野麻衣 佐藤健 大高洋子
脚本:スエヒロケイスケ 演出:寺十吾 照明:Jimmy((株)フリーウェイ) 音響:岩野直人(ステージオフィス) 舞台監督:佐藤健 舞台美術:ツマヅキノ石 美術協力:小林奈月 スタンドイン:中山朋文(theater 045 syndicate) 宣伝写真:久家靖秀 宣伝美術:飯塚文子 撮影:サカイユウゴ 演出助手:岡野正一 松本ゆい 企画・製作:tsumazuki no ishi
【発売日】2012/01/17 前売/当日共に3500円 全席自由席
http://tsumazuki.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 15:49 | TrackBack

2012年04月04日

モナカ興業『ファウスト』04/04-08 SPACE雑遊

 モナカ興業はフジノサツコさんの戯曲を森新太郎さんが演出される劇団です。今回はゲーテの「ファウスト」が原作なんですね。私は劇団初見です。

 SPACE雑遊をそのまま使った何もない空間をシャープな照明で染めて、怒涛のセリフ量で攻めまくる、シンプルで力強いお芝居でした。ファウスト役が意外にも・・・ネタバレなので自粛します(笑)。上演時間は約1時間35分。

 次回公演は10月、三鷹市芸術文化センターのMITAKA "NEXT" SELECTIONに参加されます。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ファウスト』※こりっちでカンタン予約!

 悪魔に死後の魂を売った男ファウスト(時にはハインリヒ)と、彼が愛した女性マルガレーテ(劇中ではグレートヘン)のエピソードです。セリフと演技だけで何もかも表現すると言っていい、ザ・演劇な作品でした。相良守峯さんの訳はかなり古いものらしく、言葉は難しい目です。最初につまづくとつらいかも。私は「このまま(の演出で)最後まで続くのかしら・・・?」という興味が最初からずっと持続させられたので、退屈せずに観続けられました。

 最後の最後に「ファウスト」という古典作品や、ある男女の悲恋という具体的なストーリーなどから離れた、演劇の魔法が見られた気がして、終演後しばらくの間、席に座ったまま余韻にひたりました。

 ここからネタバレします。

 ガランとした空間に、肩に届く長さの茶髪の女性(渡辺樹里)が登場。手にはコンビニでもらうタイプの白いビニール袋。灰色タイツにがっしりした黒いショートブーツ、紫色の綿のパーカーにふんわり素材ミニスカート、その上にちょっとかしこまったデザインの黒いジャケットを着ています。なんと彼女がファウスト役でした。メフィストフェレスやマルガレーテなど他の役は、他の役者さんが代わる代わる演じますが、ファウストは渡辺さんだけが演じ続けました。

 なぜ女性が男性役を演じるのか理由が分からなかったのですが、最後に渡辺さんがマルガレーテ役を演じた時に、ハっとしたんです。演出意図からははずれていると思いますが、私は、悲劇的結末を迎えたファウストとマルガレーテの恋が、渡辺さんの体の中で成就したように感じました。人間は肉体がある限り、愛する人とひとつになることはできません。人間は絶対的に孤独な存在です。でも演劇なら、ひとりの俳優の中に愛し合う2人を共存させることができる。演劇が生み出す奇跡のような瞬間を味わえました。

 ※「この作品は獄中のマルガレーテの回想だった」という解釈もあるようです。そういえばSPACE雑遊のコンクリート壁も、劇場入り口のドアも牢獄っぽいですね。ドアの取っ手のデザインがかっこいいです。

モナカ興業#11
出演:遠藤祐生 木津誠之 佐治静 澁谷佳世 杉森裕樹 吉原真理 渡辺樹里 長瀬知子
作/ゲーテ 翻訳/相良守峯 構成・脚本/フジノサツコ 演出/森新太郎 照明/佐々木真喜子(ファクター) 音響/中村光彩 衣裳/koco 舞台監督/鈴木沙織 グラフィックデザイン/やまねまい 宣伝写真/STUDIO DE VUE 舞台撮影(写真)/小尾幸春 制作/長瀬知子・蒲生みずき 企画制作・主催:モナカ興業
【発売日】2012/03/06 日時指定・全席自由 前売・当日共 2800円 金曜昼割り☆ 2500円
http://www.k4.dion.ne.jp/~monaka/sub11.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:43 | TrackBack

2012年04月03日

男肉 du Soleil『大長編 男肉 du Soleil「Kの結婚前夜~ねえ団長、僕は明日結婚するよ~」』04/02-03駅前劇場

 京都のダンス・カンパニー“男肉 du Soleil(オニク・ド・ソレイユ)”を初体験。[男肉飛び散る席][一般席][絶対安全席]の3択だったので、まずは絶対安全席で。上演時間は約2時間。終演後にトークあり。

 団長の池浦さだ夢さんが前説で「写真撮影OK、なんならツイートしてください。UstもOK。」とおっしゃったので、調子にのってやっちゃいました(笑)⇒。 観客に手拍子や掛け声の稽古もさせて、素晴らしいオープニングだったな~。

 結果、熱いあっつい、暑苦しい(笑)、2時間でした・・・楽しかった♪ でも1時間半だったら尚良しですね。

 ⇒CoRich舞台芸術!『Kの結婚前夜~ねえ団長、僕は明日結婚するよ~

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 「いつの間にか、僕は夜中に一人でクラブに行けるようになった。一人でMIC握ってRAPするようになった。でも僕は変わったのかな?ねぇ団長……僕は明日、結婚するよ!」
 ある日、なつきちゃんが吉田みるくとイチャついているところを目撃してしまうK(高阪)。
 まさか、こんな、馬鹿な……なつきちゃんは僕と結婚するはずだ。ホルモンバランスを崩してしまうKは大学の同期である小石に相談する。
 不安なら未来へ行って確かめよう。どうにかして未来へ行く小石とK。
 果たしてKはなつきちゃんと結婚することができるのだろうか!?
 全然違う未来へ飛んじゃう男肉初のタイムトラベルダンス&ラップ&ストーリー!最終的に宇宙へ行って地球を救うお話に、君は地球(ほし)の涙を見る……!!
 ≪ここまで≫

 なぜか男性は上半身裸。下半身はジーンズなんですが、ベルトとのバランスがダサイ!ヘアスタイルも含め、狙ってるとしか思えないほど、ダサイんです。女の子も、わざとおしゃれじゃない服を着てるとしか思えない。見かけがイケてない若い男女が、得に美しいというわけではない体を、はち切れんばかりのパワーで動かしてダンス、ダンス、ダンス!そしてコント!!
 ここまでやり切られると、かっこいいとか悪いとかじゃない境地に行けるんですよね。紅潮した顔と汗だくの身体が光って見えてきます。いや、汗で本当にビカビカに光ってるんですけど(笑)。

20120402_oniku0.jpg

 最初から最後まで筋の通ったストーリーはありますが、ほぼ短編コント集のような構成です。笑いのセンスは力技の強引直球系かと思いきや、実はかなりナンセンス寄り、かつ、したたかで私好み。大いに笑わせていただきました。そういえばステージングでも、全体で1つのことをやるのではなく、必ずそれを俯瞰する視点を入れているのが良かったです(外から眺める人がいる、または関係ないことをやってる人が1人いる等)。

 全力で跳ねて、踊り続ける姿には、やはり心打たれます。ダンサーがどれだけ疲れようが、非情にも何度も曲が流れ始めるのは東京デスロック(⇒参考レビュー)みたい。

 ここからネタバレします。

 なつきちゃん(福井菜月)がBL(=ボーイズラブ)を求める旅の夢の中で、流氷(=男性の背中)の上に乗り、「ハーケンクロイツ!」と声に出して、その形のポーズを取ったのに苦笑。あとひく笑いになって、しばらく肩を震わせてました(隣の席の人、ごめんなさい)。なぜハーケン・・・脈絡がなさ過ぎてハマりました。

 タイムスリップをし過ぎて時空に消えてしまった高阪を、「ダンスでいぶりだす」場面はとにかく踊ります。踊ったら何かが解決してる、踊れば何かが始まるという、論理的にはあり得ない展開をスっと受け入れてしまえるのは、彼らのダンスに力があるからなんですよね。
 観客を舞台に引っ張り込んで一緒に踊らせるところは、誘い方もうまいし(絶対安全席から見えた限りですが)、すごく盛り上がりました。、

20120402_oniku_YahYahYah.JPG


 ≪おまけトークショー≫
 出演:池浦さだ夢 石田剛太 ゲスト:酒井善史・土佐和成・永野宗典・本多力(ヨーロッパ企画)

 団長の池浦さだ夢さんは照れ屋さんとのこと。やはり舞台上とプライベートは全然違うんですね。


≪京都、大阪、東京≫
出演:陰核 江坂一平 高阪勝之 小石直輝 城之内コゴロー すみだ チェン 吉田みるく/ 栗本彩 平野泰子 福井菜月(ウミ下着) / 石田剛太(ヨーロッパ企画)
団長:池浦さだ夢 舞台監督:稲垣宏 照明:川北唯 音響:中野千弘(BS-Ⅱ) 映像:角田行平 宣伝美術:堀口努(underson) 制作:高阪勝之 主催・企画・製作:男肉 du Soleil 制作協力:オポス [京都・大阪]サウンドクリエーター [東京]サンライズプロモーション東京
【発売日】2011/01/29 (全席指定・未就学児入場不可) [一般]前売2,500円 当日2,900円 [学生]前売2,000円 当日2,500円※入場時要学生証提示 [男肉飛び散る席]前売2,000円 当日2,500円 (最前列・最も間近で出演者と触れ合えます) [絶対安全席]前売・当日3,000円 (最後列・このエリアには出演者は立ち入りません)
※4/3(火) 15:30「男肉フェスティバル~no more war~」は、ゲストをお招きして歌ありダンスありラップあり何でもありの60分間。
http://oniku-du-soleil.boy.jp/stage/ods_new_stage002/

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2012年04月01日

メルマガ 2012年04月のお薦め舞台

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お薦めお芝居をご紹介しています

 2012年4月のお薦め舞台9本+αをご紹介します。
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 “しのぶの演劇レビュー” Vol. 94     2012.04.01  1,817部 発行

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ http://www.shinobu-review.jp/

   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
                   
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 ◎“4月”という響きがまだ信じられない・・・すっかり取り残され、
  いまだに冬を生きている気分の私です。早く暖かくなぁれ~!!

    舞台には、あなたの心を揺さぶり、
      人生の輝きを増してくれる奇跡があります。

  “今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
  お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪

 ◎メルマガのバックナンバー↓は全て公開しています。
    http://archive.mag2.com/0000134861/index.html


○○ 今回のもくじ
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 ◆1【今月のお薦め9本+α】
   
   ◎No.1→こまつ座『闇に咲く花』
       04/19-29紀伊國屋サザンシアター
       ≪静岡、東京など各地巡演≫
    http://www.kinokuniya.co.jp/label/20120119100500.html

 ◆2【先月のベスト3】

   ◎No.1→THE SHAMPOO HAT『一丁目ぞめき』
       03/21-31ザ・スズナリ
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0331214251.html

 ◆3【友達、恋人、家族を誘って、ハズレなしの“再演”を観よう!】

   ◎好評だった作品の再演は、安心して観に行けます♪

 ◆4【「CoRich舞台芸術まつり!2012春」最終選考が進行中! 】

   ◎4月は、最終審査対象作品が6作品も上演されます!
    http://stage.corich.jp/festival2012/result.php

 ◆5【編集後記】

   ◎第56回岸田國士戯曲賞の授賞式は4月26日(木)18時~
    http://www.hakusuisha.co.jp/kishida/award.php

 ◆6【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】

   ◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪


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 ◆1 【今月のお薦め9本+α】
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 ▽★印がいちおし公演です(3本)。
 ▽初日の早い順に並べています。
 ▽掲載内容:主催/企画製作・『題名』・日程・会場・価格・URL
 ▽座種の記述がない公演は全席指定。
 ※おすすめ再演コーナーを特別に設けたので、10本から9本に減っています。


1.彩の国さいたま芸術劇場
  彩の国シェイクスピア・シリーズ第25弾『シンベリン』
  04/02-21彩の国さいたま芸術劇場大ホール
  ≪埼玉、福岡、大阪、イギリス≫
  ☆出演:阿部寛 大竹しのぶ 窪塚洋介 勝村政信 浦井健治 瑳川哲朗
    吉田鋼太郎 鳳蘭 大石継太 丸山智己 川口覚 井口恭子 手塚秀彰
    塾一久 大川ヒロキ 岡田正 二反田雅澄 清家栄一 飯田邦博
    塚本幸男 井面猛志 篠原正志 松田慎也 他
   脚本:W.シェイクスピア 演出:蜷川幸雄
   S席9,500円(8,600円)A席7,500円(6,800円)B席5,500円(5,000円)
   学生B席2,000円 ※( )内は劇場会員価格。
    http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2012/p0402.html
   蜷川幸雄さんが演出されるシェイクスピア戯曲のシリーズも25作目。
   ロンドンでの上演が決まっています。大竹しのぶさんは昨年、
   秋の紫綬褒章、読売演劇大賞・最優秀女優賞を受賞されました。


2.ワタナベエンターテインメント
  D-BOYS STAGE 10th『淋しいマグネット』
  04/08-28 Bunkamuraシアターコクーン
  ≪東京、大阪≫
  ☆出演:柳下大 遠藤雄弥 荒木宏文 瀬戸康史 陳内将 碓井将大
      橋本汰斗 阿久津愼太郎
   脚本:御笠ノ忠次、田中誠 演出:茅野イサム 作:ダグラス・マックスウェル
   プレミアム席:9500円/レギュラー席:7500円/ジーンズ席:3500円 
   ※Reds、Blues、Whites、Purplesのキャスト違い4バージョン公演。
   ※未就学児入場不可。
   ※プレミアム席は舞台上特設ステージサイド席および最前列から5列目まで。
   ※ジーンズ席はステージの一部が見えづらい場合あり。 
    http://www.d-boys.com/d-boysstage10/
   人気イケメン集団がスコットランド戯曲に挑戦。「女性ファン向け」と
   あなどれないストレート・プレイになる予感。D-BOYS STAGEの過去レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0508000515.html


2.幹の会+リリック『王女メディア』
  04/11-15世田谷パブリックシアター
  ≪東京、他地域巡演≫
  ☆出演:平幹二朗 若松武史 三浦浩一 廣田高志 城全能成 斉藤祐一
      南拓哉 有馬眞胤 石橋正次
   原作:エウリーピデース 修辞:高橋睦郎 演出:高瀬久男
   一般S席10,000円/A席7,000円  劇場会員割引などあり。
    http://setagaya-pt.jp/theater_info/2012/04/post_269.html
   平幹二朗さんの伝説の当たり役“王女メディア”。圧倒されたい!


3.ホリプロ『エンロン』
  04/13-29天王洲 銀河劇場
  ≪東京、大阪、愛知≫
  ☆出演:市村正親 豊原功補 秋山真太郎 伊礼彼方 植原卓也 末次美沙緒
      ちすん 長谷川寧 林勇輔 古川雄輝 松原剛志 満島真之介
      宮下今日子 香寿たつき たかお鷹
   脚本:ルーシー・プレブル 翻訳:常田景子 演出:デヴィッド・グリンドレー
   S席:9,000円 A席:5,500円 ※未就学児童入場不可
    http://hi-sekoshin.com/enron/
    http://www.horipro.co.jp/usr/ticket/kouen.cgi?Detail=177
   アメリカの総合エネルギー企業・エンロン社が2001年に
   大型破たんした、実際の事件を題材にした社会派作品。
   稽古場映像↓によると群舞で場面を組み立てる演出のようです。
    http://www.youtube.com/watch?v=SV6aP7BFtBI


4.演劇集団円『胸の谷間に蟻』
  04/20-05/02ステージ円
   ☆出演:平栗あつみ 谷川清美 朴ろ美(※「ろ」は王へんに路)
       山崎健二 佐藤銀平 渡辺穣 吉田久美 池亀未紘 馬渡亜樹
   脚本:土田英生 演出:内藤裕子 
   4500円
    http://www.en21.co.jp/munenotanimaniari.html
   MONOの土田英生さんが約3年振りに演劇集団円に書き下ろしをされました
   女性のおっぱいを題材に選んだところ、下着メーカーのお話になったとか。
   プライドとコンプレックスがうずまく滑稽な群像劇になるのではと予想。


5.青年座『青年座・セレクションVol.4「国境のある家」』
  04/21-29青年座劇場
  ☆出演:津嘉山正種 山本与志恵 大家仁志 渕野陽子 三枝玲奈 須田祐介
      高橋ひろ子 黒崎照 香椎凜
   作:八木柊一郎 演出:黒岩亮
   一般4,000円 ネット予約4,000円 学生2,800円
    http://www.seinenza.com/performance/selection/4.html
   米軍基地問題を扱う1987年初演作を再演。約25年前の創作劇を通じて、
   今も続く深刻な問題にあらためて触れ直すことができるかも。


★6.ナイロン100℃ 38th SESSION『百年の秘密』
  04/22-05/20本多劇場
  ≪東京、大阪、神奈川、福岡、新潟≫
  ☆出演:犬山イヌコ 峯村リエ みのすけ 大倉孝二 松永玲子 村岡希美
    長田奈麻 廣川三憲 安澤千草 藤田秀世 水野小論 猪俣三四郎 小園茉奈
    木乃江祐希 伊与勢我無 萩原聖人 近藤フク 田島ゆみか 山西惇
   脚本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
   前売・当日共6,900円 学生割引券:4,300円
    http://www.cubeinc.co.jp/stage/info/nylon38th.html
   ケラさんの新作は二人の女性の半生を描く物語になるとか。
   劇団公演の新作は約1年半ぶりです。過去レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0710215127.html
   ケラさんのツイッターをフォローして創作過程をウォッチするのも良し!
    https://twitter.com/kerasand


★7.新国立劇場演劇『負傷者16人 -SIXTEEN WOUNDED-』
  04/23-05/20新国立劇場小劇場
  ≪東京、兵庫≫
  ☆出演:井上芳雄 東風万智子 粟野史浩 あめくみちこ 益岡徹
   脚本:エリアム・クライエム 翻訳:常田景子 演出:宮田慶子
   A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
    http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000441_play.html
   2004年にアメリカで上演され、高い評価を得た作品の日本初演です。
   ユダヤ人のパン職人とパレスチナ人青年との交流を描く物語で、
   ミュージカル界のスター、井上芳雄さんが主演。井上さんは
   ストレート・プレイの演技もできる素晴らしい俳優だと思います。


8.NODA・MAP『THE BEE Japanese Version』
  04/25-05/20水天宮ピット・大スタジオ
  ≪東京、大阪、福岡、長野、静岡≫
  ☆出演:宮沢りえ 池田成志 近藤良平 野田秀樹
   脚本・演出:野田秀樹
   一般 7,500円 サイドシート 4,000円 (日本人キャスト・日本語上演)
    http://www.nodamap.com/productions/thebee/ticket_j.html
   2007年にさまざまな演劇賞を総なめにした野田秀樹さんの『THE BEE』。
   宮沢りえさん、池田成志さんを新キャストに迎えた再演です。過去レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0702130956.html
   静岡公演に向けての野田秀樹さんのビデオメッセージあり↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0319223924.html


9.アミューズ・TBS・ネルケプランニング・キューブ『ロミオ&ジュリエット』
  04/29-05/27赤坂ACTシアター
  ≪東京、大阪≫
  ☆出演:佐藤健 石原さとみ 賀来賢人 菅田将暉 尾上寛之 姜暢雄 
    コング桑田 楠見薫 石野真子 長谷川初範 キムラ緑子 橋本さとし
    原康義 玉置玲央 平間壮一 平埜生成 石倉良信 大村学 他
   原作:シェイクスピア 翻訳:松岡和子 上演台本:青木豪 
   演出:ジョナサン・マンビィ 美術・衣裳:マイク・ブリットン
   S席¥11,000/A席¥9,000 プレビュー公演:S席¥9,000/A席¥7,000
   ※未就学児童入場不可
    http://www.rj-2012.com/
   シェイクスピア作『ロミジュリ』に人気スターらが競演。
   個人的には青木豪さんの上演台本が一番気になります。
   青木さんは『オセロー』↓を翻案されたこともありますし、
    http://www.junjo-othello.jp/ ※音が鳴ります
   『ヴェニスの商人』の斬新な演出も素晴らしかったです。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0508000515.html


 ★★★────────────────────────────── 
  前売3000円台の気になる作品を5本ご紹介します。
 ──────────────────────────────★★★

【1】MCR『俺以上の無駄はない』
  04/12-17駅前劇場
  ☆出演:櫻井智也 おがわじゅんや 北島広貴 上田楓子 福井喜朗
      伊達香苗 ザネリ 小西耕一 はやし大輔 佐賀野雅和 石澤美和
   脚本・演出:櫻井智也
   前売 3000円・当日 3300円 初日割引 2500円
    http://www.mc-r.com/ ↓こりっちでカンタン予約!
    http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=32847
   櫻井智也さん率いるMCRの新作。ハイペースかつコンスタントに
   公演を続けている劇団です。MCRはデート向き!と私は思っています。


【2】パラドックス定数『HIDE AND SEEK(再演)』
  04/13-22三鷹市芸術文化センター 星のホール
  ☆出演:植村宏司 西原誠吾 井内勇希 今里真 酒巻誉洋 小野ゆたか
      加藤敦 生津徹 大柿友哉 平岩久資
   脚本・演出:野木萌葱
   前売り3000円 当日3200円 高校生以下は前売り当日とも1000円
    http://www.pdx-c.com/
   江戸川乱歩、横溝正史、夢野久作という昭和の文豪、そして
   彼らの小説の主人公も登場する創作劇の再演。過去レビュー↓
    http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=20930


【3】柿喰う客『女体シェイクスピア002「絶頂マクベス」』
  04/14-23吉祥寺シアター
  ☆出演:七味まゆ味 深谷由梨香 葉丸あすか 内田亜希子 岡田あがさ
      荻野友里 小野ゆり子 きたまり 葛木英 斎藤淳子 佃井皆美
      新良エツ子 藤沢玲花 我妻三輪子 渡邊安理
   原作:W.シェイクスピア 演出:中屋敷法仁
   一般料金:3,500円 【初】初日割引(割引料金2,500円) 
   【女】ガールズナイト(女性は割引料金2,500円/男性は割増料金5,000円)
   【昼】平日昼間割引公演(割引料金3,000円)
   【乱】乱痴気公演(全キャストシャッフルにて上演3,500円)
    ≪各ステージ≫ 敬老(60歳以上):3,000円 学生:2,000円/
    高校生以下:1,000円(※前売引換券にて当日会場にて座席指定)
     http://kaki-kuu-kyaku.com/macbeth/ ↓こりっちでカンタン予約!
     http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=33714
    人気劇団“柿喰う客”が女優だけでシェイクスピア戯曲を上演する
    シリーズの第2弾。第1弾↓では今どきの若者言葉を話す、
     http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0918224820.html
    若いホスト&ホステス風の演技で『ハムレット』を上演。
    今回もスタイリッシュな演出だそうです。


【4】岡崎藝術座『アンティゴネ/寝盗られ宗介』
  04/19-24 STスポット
  ☆出演:武谷公雄 鷲尾英彰 稲継美保 山縣太一
   原作:ソフォクレス作『アンティゴネ』、つかこうへい作『寝盗られ宗介』
   演出:神里雄大
   一般:予約3,000円 当日3,300円 ペア5,400円
   学生2,000円(要学生証) 高校生以下無料(枚数限定)
    http://okazaki.nobody.jp/#next
   神里雄大さんが作・演出される岡崎藝術座の新作4人芝居。
   神里さんはF/T11主催演目に参加された、気鋭のアーティストです。
   ギリシア古典戯曲とつかこうへい戯曲を併せるアイデアがまず面白そう。


【5】チェルフィッチュ『現在地』
  04/20-30神奈川芸術劇場・大スタジオ
  ≪神奈川、福岡≫
  ☆出演:山崎ルキノ 佐々木幸子 伊東沙保 南波圭 安藤真理
      青柳いづみ 上村梓
   脚本・演出:岡田利規
   前売一般3,500円 当日一般4,000円 ※ほか各種割引有り
    http://chelfitsch.net/
    http://www.facebook.com/chelfitschgenzaichi
   新作を発表すれば世界ツアーになる、チェルフィッチュの新作。
   岡田利規さんの「今」を知りたいです。キャストが女性だけなのも新鮮。


 ☆☆☆────────────────────────────── 
  前売2000円台以下の気になる作品を2本ご紹介します。
 ──────────────────────────────☆☆☆

《1》青年団『平田オリザ・演劇展vol.2』
  04/05-16こまばアゴラ劇場
  ☆脚本:平田オリザ 演出:平田オリザ/木崎友紀子
   《前売・予約・当日共》 
   ・アンドロイド演劇『さようなら Ver.2』:一般1,000円
   ・『銀河鉄道の夜』:一般2,000円 高校生以下1,000円 
   ・『隣にいても一人 関西編』、『隣にいても一人 広島編』、
    『隣にいても一人 三重編』、『阿房列車』、
    『思い出せない夢のいくつか』:各演目一般2,500円
    http://www.komaba-agora.com/line_up/2012/04/engekiten/
   平田オリザさんの中短編を連続上演する企画の第2弾。
   『隣にいても一人』は好きな作品です。↓過去レビュー
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0122173102.html


《2》毛皮族軽演劇公演『演劇の耐えられない軽さだネッ』
  04/12-29スタジオイワト
  ☆出演:江本純子 町田マリー 柿丸美智恵 羽鳥名美子 高野ゆらこ
      延増静美 高田郁恵 金子清文 ほか
   脚本・演出:江本純子
   前売り 2,500円 当日 2,800円 ※整理番号付自由席
    http://www.kegawazoku.com/stage/index.html
   江本純子さん率いる毛皮族の軽演劇公演も最終章へ。
   小さな空間で3演目を日替り上演。


≪その他≫

 ○新国立劇場演劇「マンスリープロジェクト4月
  『トークセッション 戯曲を書くということ』」
  4月9日(月)19:00新国立劇場小劇場
  ☆出席者:倉持裕/蓬莱竜太/前川知大
   聞き手:鈴木理映子(演劇ライター)
   大きな興業でも活躍している注目の劇作・演出家3人を招いたトーク企画。
    http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000400_play.html
   無料。応募期間は3/13(火)~4/2(月)。詳細は公式サイト↑でどうぞ。
   トークは約1時間半を予定(途中休憩なし)。


 ○PLAY PARK 事務局『PLAY PARK2012 ~日本短編舞台フェス~』
  04/20-29 CBGKシブゲキ!!
  ☆ダンサーや劇団などが短編を上演するフェスティバル。
   前売4900円/当日5300円 ※未就学児童の入場不可。
   毎日、15:30開演、19:30開演の2ステージあります。
    http://playpark.info/
   回によって出演者が異なりますので、タイムテーブル↓は要チェック。
    http://playpark.info/artist_timetable.php
  お目当てのアーティストを観に行って、新しい出会いもあるといいですね。
  4月23日夜は身体表現にこだわりのある出演者が揃っていて気になります。


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 ◆2 【先月のベスト3】
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1.THE SHAMPOO HAT『一丁目ぞめき』
  03/21-31ザ・スズナリ
  ☆千秋楽を鑑賞。もっと早く観に行けてたらメルマガ号外出したかも!
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0331214251.html

2.FUKAIPRODUCE羽衣『耳のトンネル』
  03/09-19こまばアゴラ劇場
  ☆全人類ひっくるめて愛してくれる音楽劇。ライブにも行きたいですね。
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0315131317.html

3.該当作なし

  その他は新国立劇場演劇『パーマ屋スミレ』、
  日本演出者協会『フェニックスプロジェクトvol.4』、
  ひょっとこ乱舞『うれしい悲鳴』など(順不同)。

 ◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
   http://archive.mag2.com/0000134861/index.html
  メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
  2012年4月(観劇数13作品)は残念ながら発行せず。

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 ◆3 【友達、恋人、家族を誘って、ハズレなしの“再演”を観よう!】
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 ◎4月は、初演時に好評だった名作・話題作の“再演”が目白押し!
  再演は、舞台鑑賞初心者のお友達や、ご家族を誘っても安心です♪
  特にお勧めしたい5本をご紹介いたします。


 ○新国立劇場演劇『まほろば』
  04/02-15新国立劇場小劇場
  ≪東京、長野、兵庫、山形≫
  ☆出演:秋山菜津子 中村たつ 魏涼子 魏涼子 前田亜季 大西風香 三田和代
   脚本:蓬莱竜太 演出:栗山民也
   A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
    http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000440_play.html
   第53回岸田國士戯曲賞受賞作の再演ツアーです。選評↓
    http://www.hakusuisha.co.jp/kishida/review53.php
   初演の稽古場レポート↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0709163043.html
   ぴあによる再演の稽古場レポート↓
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120321-00000001-pia-ent
   まさに「10代から70代までのあけすけなガールズトーク」です! 

  ●しのぶの演劇レビューにて【再演舞台を観て語らう夕べ】を開催!
   4月6日(金)19時の回を一緒に観て、夕食をいただきつつ語らいませんか?
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0321143212.html
   ※本日〆切。お申込みをお待ちしています♪


 ○華のん企画『チェーホフ短編集「賭け」』
  04/18-22あうるすぽっと
  ☆出演:伊沢磨紀 佐藤誓 山口雅義 戸谷昌弘 三咲順子 山田ひとみ
   原作:チェーホフ 脚本・演出:山崎清介
   前売・当日とも5,000円 当日学生割引4,500円
    http://www.canonkikaku.com/information/chekhov.html
    ↓こりっちでカンタン予約!
    http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=32918
   昨年の紀伊國屋演劇賞団体賞受賞作品です。丁寧に、地道に、
   作品の空気を積み上げて行く稽古場に伺いました。稽古場レポート↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0330145044.html


★○こまつ座『闇に咲く花』
  04/19-29紀伊國屋サザンシアター
  井上ひさし生誕77フェスティバル2012 第三弾
  ≪静岡、東京など各地巡演≫
  ☆出演:辻萬長 石母田史朗 浅野雅博 小林隆 石田圭祐 北川響
      増子倭文江 山本道子 藤本喜久子 井上薫 高島玲 大樹桜
   ギター:水村直也
   脚本:井上ひさし 演出:栗山民也
   一般 6,300円 学生 4,200円
    http://www.komatsuza.co.jp/contents/performance/index.html
    http://www.kinokuniya.co.jp/label/20120119100500.html

  ●お薦めポイント●
   1987年の初演以来、何度も再演されている井上ひさしさんの名作。
   多くの地域での上演を経た後の東京公演です。
   メルマガ号外(2008年)↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0816163809.html
   過去レビュー(2001年)↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2001/0819134804.html


 ○サンプル『自慢の息子』
  04/20-05/06こまばアゴラ劇場
  ≪愛知、三重、京都、福岡、東京、北海道≫
  ☆出演:古舘寛治 古屋隆太 奥田洋平 野津あおい 兵藤公美 羽場睦子
   脚本・演出:松井周
   全席自由(整理番号付) 前売り3,000円 当日3,300円
   学生2,500円(WEB予約・各劇場のみ取扱い/要学生証提示)
   半券割引き(東京公演のみ):『歓待』『東京人間喜劇』の半券で200円引き
    http://www.samplenet.org/yotei.htm
   第55回岸田國士戯曲賞受賞作の6地域ツアー。初演レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0918114254.html
   ぴあ「今週のこの人!」松井周さんインタビュー↓
    http://www.pia.co.jp/konohito/matsuishu/index.php
   ※私の個人的感覚ではR15(鑑賞は15歳以上推奨)の内容です。


 ○アル☆カンパニー『家の内臓』
  04/25-30ザ・スズナリ
  ☆出演:平田満 小林美江 西園泰博 橋本和加子 井上加奈子
   脚本・演出:前田司郎(五反田団)
   椅子指定席3,800円 ベンチ自由席3,500円
   学生3,000円(ベンチ席のみ・入場時学生証提示)
    http://www.aru-c.com/stage11.html
   アル☆カンパニーは俳優の平田満さんと井上加奈子さんご夫婦の劇団。
   前田司郎さん作・演出の初演と同じ出演者による再演です。初演レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0522171956.html


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 ◆4 【「CoRich舞台芸術まつり!2012春」最終選考が進行中!】
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 ◎日本全国対象のインターネット上の舞台芸術フェスティバル
  「CoRich舞台芸術まつり!2012春」の審査員をさせて頂いております。
   http://stage.corich.jp/festival2012/
  グランプリ受賞団体には次回公演資金として100万円が支援されます。

  第一次(ネット)審査にて110作品の中から10作品が選ばれました!
   http://stage.corich.jp/festival2012/result.php
  初日順⇒ひょっとこ乱舞(東京都)、FUKAIPRODUCE羽衣(東京都)、
   DULL-COLORED POP(東京都)、tsumazuki no ishi(東京都)、
   子供鉅人(大阪)、空想組曲(東京都)、北京蝶々(東京都)、
   範宙遊泳(東京都)、バナナ学園純情乙女組(東京都)、intro(北海道)、

  3ヶ月間で審査員が10作品を鑑賞し、6月中旬にグランプリを発表します。
  よかったら対象作品をご覧になって感想をクチコミしてくださいね!

   CoRich舞台芸術!:http://stage.corich.jp/
   メンバー登録:http://www.corich.jp/stage/user_register.php
   携帯サイト:http://www.corich.jp/m/s


 ≪4月の「CoRich舞台芸術まつり!2012春」最終選考作品≫

 ○tsumazuki no ishi『ストレンジャー彼女』
  03/28-04/01 SPACE雑遊(東京)
  ☆脚本:スエヒロケイスケ 演出:寺十吾
   http://tsumazuki.com/
   http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=34422
   http://stage.corich.jp/festival2012/detail.php?stage_main_id=26566

 ○DULL-COLORED POP『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』
  03/14-18、04/03-08アトリエ春風舎(東京)
  ≪東京、新潟、宮城、京都、大阪、広島、東京≫
  ☆脚本・演出:谷賢一
   http://www.dcpop.org ↓こりっちでカンタン予約!
   http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=33830
   http://stage.corich.jp/festival2012/detail.php?stage_main_id=26109

 ○子供鉅人『キッチンドライブ』
  03/30-04/02、04/13-16ポコペン(大阪)
  ☆脚本・演出:益山貴司
   http://www.kodomokyojin.com/
   http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=33853
   http://stage.corich.jp/festival2012/detail.php?stage_main_id=26126

 ○空想組曲『深海のカンパネルラ』
  04/15-22赤坂RED/THEATER(東京)
  ☆脚本・演出:ほさかよう
   前売 3500円 当日 3800円 平日昼割 3300円
   http://www.k-kumikyoku.com
   http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=32973
   http://stage.corich.jp/festival2012/detail.php?stage_main_id=25390

 ○北京蝶々『オーシャンズ・カジノ』
  04/18-30王子小劇場(東京)
  ☆脚本:大塩哲史(北京蝶々) 演出:池亀三太(ぬいぐるみハンター)
   http://pekinchocho.com/ ↓こりっちでカンタン予約!
   http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=32904
   http://stage.corich.jp/festival2012/detail.php?stage_main_id=25324

 ○範宙遊泳『夢!サイケデリック!!』
  04/25-29アトリエ春風舎(東京)
  ☆脚本・演出:山本卓卓
   http://hanchu-yuei.com ↓こりっちでカンタン予約!
   http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=34508
   http://stage.corich.jp/festival2012/detail.php?stage_main_id=26637


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 ◆5 【編集後記】
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 ◎まだピロリ菌が退治できておらず“療養中”継続です。ふぅ・・・。
  いつ治るのか・・・気が遠くなっちゃいます。禁酒3ヵ月目に突入!(涙)


 ◎SPAC「ふじのくに⇔せかい演劇祭2012」記者発表・写真レポート↓
  http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0319223924.html
  4月15日(日)一般発売開始!ステージ数が少ないのでお早めのご決断を!
  自転車演劇『旅』↓はプレイベントとして4/28~5/6に静岡県各地で開催。
   http://spac.or.jp/news/?p=5178


 ◎第56回岸田國士戯曲賞の受賞作は、なんと3作品!
   http://www.hakusuisha.co.jp/kishida/award.php
  授賞式は4月26日(木)18時より。今年もUstream生中継あるかしら♪


 ◎togetterでまとめた『橋下徹氏の文楽批判ツイートに対して、
  劇団「木ノ下歌舞伎」主宰の木ノ下裕一さんが物申す。』が、
  56000viewを突破しました。⇒ http://togetter.com/li/263907


 ◎おすすめ舞台中継 on TV(おすすめがある時だけ掲載)

  【意見】NHK「芸術劇場」「ミッドナイトステージ館」
  「プレミアムシアター」での演劇舞台中継の継続を嘆願します
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0202151800.html

  【WOWOW ライブ】4/7(土)よる9:00~
   Bunkamura『下谷万年町物語』
    http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/100740/index.php
   作:唐十郎 演出:蜷川幸雄
   出演:宮沢りえ 藤原竜也 西島隆弘 ほか

  【WOWOW ライブ】4/8(日)午後1:30~、4/14(土)午後4:00~
   『オペラ座の怪人』25周年記念公演 in ロンドン
    http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/100320/index.php
   ※先月初放送。

  【WOWOW ライブ】4/21(土)よる9:00~
   シス・カンパニー『寿歌』
    http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/100760/index.php
   作:北村想 演出:千葉哲也
   出演:堤真一 戸田恵梨香 橋本じゅん

  【NHKプレミアムシアター】
   4月9日(月)【8日(日)深夜】午前0時~午前4時

   アーサー・ミラー『みんな我が子』
    http://www.nhk.or.jp/bs/premium/
   作:アーサー・ミラー 演出:ダニエル・カトナー
   出演:長塚京三 麻実れい 田島優成 朝海ひかる 柄本佑 他

   ルイジ・ピランデルロ『山の巨人たち』
    http://www.nhk.or.jp/bs/premium/
   作:ルイジ・ピランデルロ 演出:ジョルジュ・ラヴォーダン
   出演:平幹二朗 麻実れい 手塚とおる 他  過去レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/1024102240.html


 ◎地方新聞に掲載される新作邦画DVDの紹介記事を書いています。
  2012年3月は下記の5作品を拝見しました(順不同)。
  ・「指輪をはめたい」←山田孝之さん目当てで。
    http://www.yubiwa-movie.com/
  ・「はじまりの記憶 杉本博司」←尊敬できる芸術家に会えました。
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