猫の会は“劇作家の北村耕治が製作する演劇の企画”とのことですが、今回は番外公演として、相馬杜宇(あいば・もりたか)さんの新作戯曲を関根信一さんが演出されます。
あらすじのとおり、描かれたのは12匹の猫による会議でした。猫好きの方は、少なくとも特に猫好きではない私よりは楽しめるのかもしれません(わかりませんが)。上演時間は約1時間30分。
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≪あらすじ≫ 公式サイトより
それはそれは、特別な会議。
一年間でもっとも猫社会に貢献した猫を選ぶ会議の日。
ある家のダイニングルームで、ダンボールのテーブルを囲む12匹。
餌をもらう時のマナーや縄張りのこと。
猫を取り巻くさまざまな問題について語り合ううち、ある告白をきっかけに事態は思わぬ方向へ…。
この春、猫の会が送る社会派会話劇。
≪ここまで≫
登場した役者さんが「猫である」ことを、観客がスムーズに受け入れるための導入部分の演出がなかったですね。また、「いかにも演技をしています」というスタイルの演技をされていたので、私は冒頭からつまづいてしまいました。お芝居(戯曲)が始まる前の演出に工夫が必要なんじゃないかな~と思いました。
※開演10分前に舞台上で何かある予定だったようです。私は開演5分前に劇場に到着したので見ていません。
“12匹”の会議モノですので『12人の怒れる男』が下地になっているのだろうと予想して拝見。その予想ははずれてはいませんでしたが、もっと大枠の仕掛けが用意されていました。でも私にはよくわからなかったですね。演出も演技も全般的に私の好みではなかったのもあり、集中して観られませんでした。
ここからネタバレします。固有名詞やセリフなどは正確ではありません。
劇場に入ってすぐにダンボール箱が並んだ舞台が目に入って、がっかり。戯曲どおりのようですが、どうにも貧相なのは否めません。衣裳も華がなかったな~…スタッフワークが手抜きに見えたのが残念。
“最も猫社会に貢献した猫(?)”を選ぶ選考委員会が開かれます。12人の選考委員の中に立候補者5名が含まれている時点で、ずっと疑問が頭から離れませんでした。選考委員の中に候補者がいるなんてこと、あり得ないんじゃないかしら、と。
実は“野良猫のための自立支援セミナー”だった、という結末でした。「野良猫を差別する飼い猫たちの模擬会議」を演じてみることで、野良猫たちの自立を促す、というのが目的のセミナーなんですね。
同じ猫同士なのに線引きをして、例外を作って、はみ出してしまった猫を見捨てる社会。それは人間社会と同じです。愛玩動物の立場・視点から現実を映し出す手法として成立していたと思いますが、説明調のセリフで説教くさく感じる場面があり、私の好みではなかったです。
出演:綾田將一 有吉朝子 浦壁詔一 小杉美香(劇団チャリT企画) 佐瀬弘幸(SASENCOMMUN) 澤唯(サマカト) 鈴木陽介(燐光群) 高園陽子 たなかうじすけ(円盤ライダー) 中嶌聡(劇団クレイジーパワーロマンチスト) 牧野達哉(銀鯱マスカラス) 宮本奈津美(味わい堂々)
脚本:相馬杜宇 演出:関根信一(劇団フライングステージ) 舞台監督:橋本慶之 照明:古川睦子 音響:工藤ケンタ(STUDIO ELEPHANT) 小道具:木家下一裕 宣伝美術:土谷朋子(citron works) 制作:北村耕治 制作助手:はじり孝奈(おぶりが~と) 企画製作:猫の会
【発売日】2011/02/25 前売2500円 予約2800円 当日3000円
http://www.neconokai.org/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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