市原佐都子さんが作・演出されるQ(キュー)の第3三回公演です。ご縁があって旗揚げ前の公演から拝見しています(過去レビュー⇒1、2、3)。上演時間は約1時間15分。
今年12月にアトリエ春風舎プロデュース公演第3弾として、第11回AAF戯曲賞受賞作『虫』が再演されます。出演者(女優のみ)募集中です。応募〆切:2012年6月20日24時(メールのみ)。演じるには度胸も技術も必要だと思いますが、とても面白い作品なのでご興味ある方はぜひ。
⇒BricolaQ「Q『地下鉄』市原佐都子×吉田聡子インタビュー」
⇒CoRich舞台芸術!『地下鉄』
劇場の舞台側の白い壁沿いに、横一列に裸電球がずらりと並んでいます。上下と奥の3面全部に、腰ぐらいの高さ(たぶん)の位置に、ほぼびっしり、一球々々が糸で天井から吊り下がっている状態です。役者さんはすでに舞台上に待機中。この空間がまず可愛らしかった。アトリエ・センティオの魅力を上手に生かしていると思います。
内容は地下鉄で出会う見知らぬ若者たちの日常、独り言、妄想、具体的接触など。下ネタの過激さは前回ほどではないけれど健在。ちょっと内向き過ぎて、私には興味が持続しなかったかな~。吉田聡子さん(赤ベレー帽着用)の演技がパワフルでとても面白った。「~~やん!」という語尾は癖になりますね(笑)。
市原さんおよびQ公演参加メンバーは、スタッフも含め20代前半ごろの若い方々ばかりです。ピンからキリまで、地の底からテッペンまで、何にでも挑戦している最中なんでしょうね。作風にこだわらずに実験を続けていかれるといいなと思います。
ここからネタバレします。
今までと同様、独白で構成される部分が多いです。壁に映像や写真が映写されるのも継続してますね。役者さんは一人で空間をしょって立つしかない状況に。大変だなぁ。
リカちゃん人形を持って話す赤いベレー帽の女の子(吉田聡子)と、駅で詩人と間違えられる大柄の女の子(木村愛子)が、2人で同時にセリフを話しつつ、踊る(?)場面が面白かったです。木村さんがものすごい下ネタを言いながら、転びつつ踊り続けます。吉田さんの大きすぎる(笑)声とのバランスがいびつで良いですね。
役柄としてではなく共演者として「愛子ちゃんが~」などと語るセリフも出てきました。役者さんの名前も知って観ている観客ならわかったかもしれませんが、何も知らない人からすると意味がわからなかったんじゃないかな。まあわからなくても予想はできるかもしれませんが、私には楽しめず。
役者さんがぐるぐるとステージを走る度に、電球が揺れてぶつかって、「カチ、コチン」と小さな音が鳴ります。これがとても可愛くて、無知と臆病ゆえの若者の頑固さ、それゆえのひ弱さも象徴しているように感じました。
Q第三回公演 SEVTIVAL!2012参加作品
出演:相原洋平(アパートとおばあちゃん家の行き来の人生) 飯塚ゆかり(自分が可愛いと思ってる) 木村愛子(詩人と間違えられる) 吉田聡子(リカちゃん人形所持)
【脚本・演出】市原佐都子 【舞台監督】小川陽子【舞台美術】中村友美【照明】塚原佑梨【音響】柴田未来【宣伝美術】吉田聡子【制作】御代川光香 小倉優貴子
【発売日】2012/03/20【前売り一般】2000円【前売り学生】1800円【初日割り】1500円(予約のみ・対象3日)【当日】+200円
http://ameblo.jp/blo9-q/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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