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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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2012年05月26日

バナナ学園純情乙女組『翔べ翔べ翔べ!!!!!バナ学シェイクスピア輪姦学校(仮仮仮)』05/24-27王子小劇場

 二階堂瞳子さん率いるバナナ学園純情乙女組は、おはぎライブという独特の大人数のパフォーマンスが人気の若手集団です。今年もF/T公募プログラムへの参加が決まっています(⇒昨年のレビュー)。上演時間は約45分。21時開演のところ15分遅れたので終演は22時ごろでした。

 「CoRich舞台芸術まつり!2012春」審査員として拝見しました(⇒110本中の10本に選出 ⇒応募内容)。※レビューはCoRich舞台芸術!に書きます。下記にも転載しました。

 ⇒ぴあ今週のこの人!「二階堂瞳子」(土佐有明)
 ⇒エキサイトレビュー「噂のバナナ学園純情乙女組にヤラレタ!」(米光一成)
 ⇒CoRich舞台芸術!『翔べ翔べ翔べ!!!!!バナ学シェイクスピア輪姦学校(仮仮仮)』※こりっちでカンタン予約!

 ≪あらすじ? 作品紹介?≫ 公式サイトより
 To be or not to be!! 生きるべきか死ぬべきか!!
 To be to be to be!! 私たちは生きている!!
 To-morrow, and to-morrow, and to-morrow!!
 最後の一瞬まで全力全開全身全霊!!
 Out, out, brief candle!! 完全燃焼する人生の影法師だ!!!!!

 Blow! winds! rage! blow!
 呼吸よ風になれ! 鼓動よ大地を揺らせ!
 生きとし生けるもの総ての心臓よ!
 宇宙の総ての時空間を生命の鼓動で溢れさせろ!

 BANAGAKU the Shakespeare fucker!!!!!
 バナ学ノ雷鎚(イカヅチ)ガ闇ヲ切リ裂ク!!!!!
 全世界地球人民ニ闘魂ヲ注入スル!!!!!

 ★★全世界地球人民に告ぐ!!★★
 ★★これは現象だ!!生きている現象だ!!現象そのものだ!!★★
 ≪ここまで≫

 ■緻密に組み立てられたカオスを体験できる過激なアトラクション

 チケットを受け取って階段を下り劇場入り口に着くと、壁にビニールが貼られていました。早くもロビーから養生されているんですね。客席のパイプ椅子を含む劇場全体にビニールが張り巡らされています。バナナ学園純情乙女組(以下、バナ学)の客席は安全地帯ではありません。水だけでなく他にも色んなものが飛んでくるのです(観客全員に1つずつレインコートが配布されます)。これを1日3ステージ上演することに、まず驚愕します。凄い!

 諸事情により最前列で拝見し、始まるやいなや出演者数人に着替え用の服やタオルを預けられたり、七味まゆ味さんに何やら頼まれたりして、観客というより作り手の一部(演出部お手伝い?)になった気分で拝見することになりました。これまでにバナ学は4作品観たことがありますが、作り手側にぐっと寄りそった(参加した)視点になったのは初めてでした。

 開演前はマイクで複数人がアナウンスをし続けています。ツイッターの感想を読みあげたり、鑑賞中の注意事項をノリノリで説明してあおったり、否応なしに恐怖混じりの期待が高まります(笑)。制作さんがバナ学の舞台を「ディズニーランドの“スプラッシュ・マウンテン”みたいなもの」とおっしゃったのには納得でした。アトラクションだと思うとそれなりの覚悟ができますよね。ただし内容はかなり大人向けで過激ですが(笑)。

 今回は“おはぎライブ”ד演劇”ということで、シェイクスピア作品など有名戯曲からの引用が多数ありました。でも、セリフが聴き取れることを重視していないし、複数の作品が重なっていたり、全く関係ない(と思われる)要素が次々と加わって来たりして、一度で詳細をつかみ取ることはできない構造になっています。大量の情報を洪水のように暴力的に浴びせ続ける熱いパフォーマンスは、これまでの作品と同様、現代日本を鮮やかに表していると思いました。ただ、私が観客らしい受け身の視点でなかったせいもあってか、限界に挑戦する出演者の雄姿に心打たれ、ちょっとした恍惚状態になるまでに、時間がかかりました。

 ここからネタバレします。

 劇場ロビーが楽屋になっており、通常の楽屋が観客用の通路になっていました。王子小劇場でこんな体験は初めてです。気分がアガりますね!劇場側の協力体制なしに、この作品は上演できなかっただろうと思います。新進演劇人を支えてくださっている王子小劇場に感謝します。

 シェイクスピアの「ハムレット」、「ロミオとジュリエット」、「マクベス」、「リア王」などの有名戯曲の一部が大改編され、演じられていました。黒人男性が出演されていたので「本物のオセローがいる!」と少し興奮(笑)。リア王役の男性が「秋元康」と書かれたはちまきを頭につけていたのが面白かったです。
 シェイクスピアだけでなくチェーホフ作品からの引用もあり、「三人姉妹」「桜の園」「かもめ」などに登場する女性のセリフをしゃべり続ける七味まゆ味さんの独壇場になっていました。寺山修司さんとマメ山田さんのお面を被った人たちがロフト上で何やら芝居をやっていましたから、海外古典に限らず演劇全般をモチーフにしていたのかもしれません。

 ブルマに体操服の浅川千絵さんが、常に本編を外側から眺める存在で居続けます。softbankのCMを真似したり、網にかかって天井からぶら下げられたり(これはお馴染みですね)。作品自体を批評する発言力も持たせて、熱狂と冷静が共存する空間を維持し続ける知的さがいいですね。

 意図的とはいえ、お芝居にしては役者さんの演技が未熟なのが気になりました。もっとセリフを聴こえないようにするとか、逆に、きちんとドラマを見せるとか、改善の余地があるのではないかと思いました。
 そういう演技のせいなのか、私が最前列でがんばり過ぎたせいなのかはわかりませんが、なかなか気分が盛り上がらなかったです。でもレディー・ガガの“Born This Way”でワワっと楽しくなりました。汗だくで、水びたしで、血のりまみれになって踊って歌う出演者が輝いて見えてきて、私も自然に顔がほころんで、やっといつものバナ学ワールドに浸ることができました。でもそれはほぼ最後の曲だったんです…残念。

 終演後の舞台の床には色んなものが所せましと転がっていました。
20120525_banagaku_floor.JPG

CoRich舞台芸術まつり!2012春最終選考作品
to be to be to be!!!!! BANAGAKU the Shakespeare fucker(a tentative-working-preliminary title)
出演:加藤真砂美 前園あかり 野田裕貴(以上、バナナ学園純情乙女組) 浅川千絵(劇団チェキッ娘の一番右) あに子(荒川チョモランマ) 飯田一期 石黒淳士 石澤希代子 今野雄仁 海田眞佑(劇団ウミダ) 大川大輔(しもっかれ!) 高麗哲也 紺野タイキ(FLIPLIP) 嵯峨ふみか(カミグセ) サノケイコ 七味まゆ味(柿喰う客) aamil Kosoko(THE PHILADICTION MOVEMENT) 高田百合絵(快楽のまばたき) 高村枝里 田中正伸 出来本泰史(Aggressive Death Metal Band Super Star 劇団Seven Stars) 中林舞(快快) 楢原拓(チャリT企画) 橋本和瑚 長谷川雅也(BOX101) 林田遼(劇団活劇工房) 引野早津希 日高愛美 保坂藍(OFFICE冒険物語) 堀越智太郎 三塚瞬 山田伊久磨(エッへ) 山森信太郎(髭亀鶴) 吉原あおい 吉原小百合
構成・演出/総担任:二階堂瞳子 進路指導教師:野村政之 風紀指導統括教師陣:黒子すたいる 銀幕教師:矢口龍汰(ウィルチンソン) 図画工作教師:角田知穂 閃光教師:内山唯美(劇団銀石) 爆音放送教師:高橋真衣 服飾教師:中西瑞美(ひなぎく) 殺陣教師:大川大輔(しもっかれ!) イラスト:NEKO☆mimi 副担任:ブルー玲(blu-01 produce) 飯塚ユウコ(レティクル東京座) 井端萌 伊福覚志(ま夜中散歩) 岡本空(笑う女) 制作実習生:宮北剛己 制作教師:杉尾みゆき 制作統括教師:樺澤良 主催:バナナ学園純情乙女組/劇団制作社
【発売日】2012/04/07 前売/2,800円 当日/3,200円 他
http://banagaku.xxxxxxxx.jp/rinkan/top.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2012年05月26日 12:50 | TrackBack (0)