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Shinobu's theatre review
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REVIEW

2012年06月18日

劇団☆新感線2012年春興行・いのうえ歌舞伎『シレンとラギ』05/24-07/02青山劇場

 劇団☆新感線の公演を観に行くのはほとんどお祭り気分。必ず楽しませてくれると信じ切って劇場に伺います。そして今回、期待は裏切られず♪
 前半はあまりの展開の早さ(どんでん返し等)に「ええーッ!?」「そんなー!!」と振り回されっ放し。面白かったです。上演時間は約3時間10分(途中休憩20分を含む)。

 朝日新聞に掲載された徳永京子さんの劇評で、震災以降初の劇団☆新感線の新作であり、その影響が濃く表れているといった意味のご指摘がありました。いつもながら充実の内容で、「おおお、なるほどーーー!」と何度も頷きながら拝読しました。新聞劇評、もっとネットで読めるようにならないかな~。有料でももちろんいいので(ただし安ければ助かります…)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『シレンとラギ

 実は、こんな幸運はもう一生めぐってこないんじゃないかと思うんですが…席が最前列でした!床置き照明の太い光が目の前を通って大興奮っ!!イナバウワーをやらなきゃ体に当たるんじゃないかとビビったり(んなわけないんだけどっ)、オープニングの照明で萌えまくってボルテージは最高潮だゼっ、状態でした(アホか・笑)。
 まあ最前列を幸運と思うかどうかは人それぞれでしょうけれど、間近で観ることであらためてわかることなどがあって良かったです。たとえば衣裳がめっちゃ豪華だとか。メイクが凄く凝ってるとか。いずれゲキ×シネにもなるのだろうと考えると、こだわりにこだわり尽くした仕上がりなんでしょうね。ほんと、贅沢です。

 今回は映像はごく少なく、回り舞台で、絵が描かれた大きな幕(?)やさまざまな扉で場面転換する、生の演劇ならではのダイナミックな演出でした。“南の国”の国民の群舞なども良かったです。期待通りのスタッフワーク、サービス精神旺盛な役者さんに、心行くまで楽しませていただきました。

 毒使いの美女シレン(永作博美)と彼女を慕う武士ラギ(藤原竜也)を演じるのはスターのお2人。とても色っぽかったです。
 南の国の怖い国王ゴダイ(高橋克実)の正妻モンレイ(高田聖子)の娘を演じた中谷さとみさんが凄かった!いい意味でスタンド・プレイと言える独壇場の場面がいくつかあり、登場を楽しみに待ってました。私が観た回は猛突進して○○さんにぶつかって、キスしちゃってましたね(笑)。

 ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。

 キョウゴク(古田新太)が息子のラギをかなり早い段階で裏切ったのには、ものすごく驚きました。さらには、北の国を裏切って南の国へと下ったはずが、仲間のダイナン(橋本じゅん)も刺殺してまた北へ舞い戻るという急展開。ラギの(血のつながらない)妹である娘ミサギ(石橋杏奈)を愛していたから…という理由は、ちょっと弱かったかな~。

 キョウゴクに横恋慕するダイナン役の橋本じゅんさんが登場した時、なぜか嬉しくなって泣けてきてしまいました。全身で観客に対して開いている温かいエンターティナー精神にグっと来たんだと思います。古田さんと橋本さんが舞台上でかけ合っているのを生で観られるのって、「いつもの新感線」であり続けてくださっているおかげなんですよね。

 最後はキョウゴクの命令で南の国に毒の矢が次々と放たれて、大規模な無差別殺戮が始まってしまいます。これは…放射能汚染を暗喩しているのは明らかですよね。知らなかったとはいえ近親相姦の関係に陥ったシレンとラギは、自分たち自身もその関係も呪いますが、毒消しの効能がある自らの血を倒れた人々に飲ませて、1人でも多くの人命を救おうと手を取り合います。「女として」でもなく「母として」でもなく、「人として」というセリフで終幕。今特に強く私たち日本人に問われていることだと思います。


≪大阪、東京≫
出演:藤原竜也、永作博美、高橋克実、三宅弘城、北村有起哉、石橋杏奈、橋本じゅん、高田聖子、粟根まこと、古田新太、右近健一、逆木圭一郎、河野まさと、村木よし子、インディ高橋、山本カナコ、礒野慎吾、吉田メタル、中谷さとみ、保坂エマ、村木仁、川原正嗣 上田亜希子 須水裕子 中野真那 西田奈津美 松尾杏音 吉野有美 蝦名孝一 小林賢治 桜田航成 二宮敦 武田浩二 藤家剛 加藤学 川島弘之 安田桃太郎 伊藤教人 菊池雄人 南誉士広
脚本:中島かずき 演出:いのうえひでのり 美術:堀尾幸男 照明:原田保(FAT OFFICE) 衣裳:小峰リリー 振付:川崎悦子(BEATNIK STUDIO) 音楽:岡崎司 音響:井上哲司(FORCE) 音効:末谷あずさ(日本音効機器産業) 大木裕介(Sound Busters) 殺陣指導:田尻茂一・川原正嗣(アクションクラブ) アクション監督:川原正嗣(アクションクラブ) ヘア&メイク:宮内宏明(M's factory) 小道具:高橋岳蔵 特殊効果:南義明(ギミック) 映像:上田大樹(&FICTION!) 大道具:俳優座劇場舞台美術部 音楽部:右近健一 舞台監督:芳谷研 宣伝・公式サイト制作運営:ディップス・プラネット 票券・広報:脇本好美(ヴィレッヂ) 制作助手:山岡まゆみ 中山裕康 大森祐子 制作補:辻未央(ヴィレッヂ) 制作デスク:小池映子 制作:柴原智子(ヴィレッヂ) エグゼクティブプロデューサー:細川展裕(ヴィレッヂ) 企画・製作:劇団☆新感線・ヴィレッヂ
【休演日】5/25,31 6/7,14,21,28【発売日】2012/03/11 S席12,500円/A席10,500円(全席指定・税込)
http://www.shiren-to-ragi.com/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2012年06月18日 13:34 | TrackBack (0)