大池容子さんが作・演出される青年団若手自主企画vol.54を拝見しました。大池さんはうさぎストライプという集団でも主宰として活動されています。上演時間は約1時間弱。
今年3月に上演された『いないかもしれない静ver.』との2部作で、「静ver.」は“静かな演劇”仕様だったそうです。「動ver.」は文字の通り、動いている役者さんの身体で見せる演出でした。
上演時間が1時間なら19時半か20時開演で良かったんじゃないかな~。小竹向原で19時開演は、ちょっと私には早すぎた感あり。
⇒CoRich舞台芸術!『いないかもしれない 動ver.』
≪あらすじ≫ 公式サイトより。
誰でも1つは消し去りたいと思ってる過去があって、
でも消せないから忘れたふりをして生きていて、
たまに思い出して自分は全然変わってないって思ったりする。
それを繰り返して生きていく人たちの話です。
≪ここまで≫
子供のころよく小学校で使っていた教材などが散らばっている、いつものアトリエ春風舎の木製の床。劇場では役者さんが既に床に座ってスタンバイしていました。
最初は“リアルに動いているそぶり”を見せられても面白くないなぁと思っていたんですが、半分を過ぎた頃に、バシっと、動き自体に面白みを感じられる演技があって、そこから集中して見られました。
今月は静岡のSPACで3作品観たせいもあると思うんですが、鍛えられていない役者さんの肉体労働的な運動や演技は、私にとってあまり見どころにならなかったかもしれません。
20代の若い方々が演劇の色んな手法や方向性を試されていて、頼もしいなと思いました。
ここからネタバレします。
京都の美大に通っている女子大生(かな?)が久しぶりに里帰り。小学校時代の同級生たちと会って話す内に、知らない女性(緑川史絵)も参加してきた。誰も名前を思い出せないんだけど、彼女はみんなの名前も、学校での出来事も詳しく知っていて…。
ヒンズースクワット、ハンカチ落とし、キャッチボールなど、セリフとは直接関係のない動きがほとんどでしたね。壁を押す動作は今までの公演でもやっていたようですが、この作品では私は効果がよくわからず。
いじめられっ子だった主人公の女性が、当時のいじめっ子を窓から(?)突き落としたことがわかってきます。そのいじめっ子は九死に一生を得て今は結婚して元気な様子。彼女はなぜ自分が落下事故に遭ったのかを憶えておらず、しかも主人公をいじめていた自覚もなく。最後はその2人が長年の空白を経て仲直りをする、かも…というちょっとしたハッピーエンドでした。
実在するのかどうか曖昧な女性(緑川史絵)が、ランドセルを思いっきり投げた(ように信じられた)時にグっと来ました。
青年団若手自主企画vol.54
出演:亀山浩史、小瀧万梨子(青年団)、森岡望(青年団)、緑川史絵(青年団)、由かほる(青年団)、安倍健太郎(青年団)
脚本・演出:大池容子 照明&舞台監督:黒太剛亮(黒猿) 音響:植木麻衣子 制作&ドラマターグ:金澤昭(青年団制作部・うさぎストライプ) 宣伝美術&ブランディング:西泰宏(うさぎストライプ) 企画制作:青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 総合プロデューサー:平田オリザ
【休演日】6月19日【発売日】2012/03/26 予約 1,500円 当日 2,000円 未就学児童入場不可
http://www.usagistripe.com/2011/12/blog-post_26.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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