2012年07月30日
東宝『ミュージカル「ルドルフ ザ・ラスト・キス」』07/05-29帝国劇場
ミュージカルにはそんなに縁のない私ですが、井上芳雄さん主演でデヴィッド・ルヴォーさん演出と聞いた時から、気になってはいました。上演時間は約3時間(途中休憩25分を含む)。
私の周囲のミュージカル・ファンの方々に好評なのと、イープラスでお得なチケットがあるとの情報を得て、思い切って観に行ってみたところ、オープニングの装置の演出だけで「ふぉおお~っ!」と興奮(笑)。あの幕(カーテン)は何だっ!凄いっ!お薦めしてくださった皆様ありがとうございました!
⇒CoRich舞台芸術!『ルドルフ ザ・ラスト・キス』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
19世紀のオーストリア。
自由と平等を求めるハプスブルク家の若き皇太子ルドルフは、
厳格な父・皇帝フランツ・ヨーゼフとの政治思想的対立を深めていた。
妻との関係も冷え切り完全に孤立した日々を送るルドルフは、
美しく純粋な男爵令嬢マリー・ヴェッツェラと出会い、
道ならぬ恋と分かりながらも惹かれ合っていく。
一方、オーストリアは激動の時代を迎えようとしていた。
苦悩が深まるばかりのルドルフの安らぎはマリーだけであった。
しかし2人の関係は周囲の知るところとなり、ますます窮地に立たされる。
追い詰められたルドルフが辿る道とは…
≪ここまで≫
ルヴォー演出…凄いっ!!両そでと天井から迫る壁(パネル?)と、回転しながら上下(じょうげ)するカーテン、そして2重の回り舞台のコンビネーションが場面転換に無数の表情を与え、階段や柱、机、イスなどの道具とともにイリュージョンのような効果も生み出します。楕円形に360度回るカーテンのドレープの揺れにほれぼれ。
人物が動くスピードも計算されていました。たとえば男女のペアが多数で踊る舞踏会の場面などは、振付で高度な技を見せつつ、動きがかなりスピーディー。動と静のコントラストも鮮やかです。照明も含め、素晴らしいスタッフワークでした~♪
主役の井上芳雄さんはいつもながら素敵ですね~。マリー役の和音美桜さんは初めて拝見しました。若さとパワーがみなぎっていて良かったです。
ここからネタバレします。
舞台の大部分を覆っていた紅色(メインビジュアルの赤色)のパネルが開いて行き、大きなカーテンが下手斜め上から、ドレープを揺らしながら孤を描くように斜めに降りてきたんです。そして王侯貴族が劇場のこけら落とし公演を観ているシーンが始まりました。カーテンはしっかりと降りて、劇場の緞帳になったのです。もー…美し過ぎて興奮状態。
アイススケートの場面では、出演者はローラーブレードを履いて舞台上を滑っていました。お稽古されたんでしょうね~。これもスピードがあるんですよね。ルドルフとマリーの短い恋(と命)をあらわしているかのよう。
酒場での下着姿の売春婦たちのダンスは『NINE the musical』を彷彿させました。品のある色っぽさ。
最後に大きな白いベッドが舞台中央奥からズズイィ~と、どどーんと出て来たのにはちょっと引いちゃいました。ベッド、なのか…2人が自死する場所だから、まあそうなんでしょうけど。ベッドが奥からぐいっと持ちあがって斜めになったのも、見ててちょっと恥ずかしかったな~。
最後の最後は、中央のカーテンがレールからはずれて、床に落ちました。ふわりと半透明に透けて、はかなく散るさまが粋でした。
【出演】ルドルフ:井上芳雄 マリー・ヴェッツェラ:和音美桜 ステファニー:吉沢梨絵 ターフェ:坂元健児 ラリッシュ:一路真輝 フランツ・ヨーゼフ:村井國夫 <男性アンサンブル>青山航士/島田邦人/杉山有大/照井裕隆/中島康宏/原慎一郎/ひのあらた/松澤重雄/港幸樹/村瀬美音/山名孝幸 <女性アンサンブル>岩﨑亜希子/大月さゆ/樺島麻美/後藤藍/鈴木結加里/保泉沙耶/舞城のどか/美鳳あや/望月理世/柳本奈都子/やまぐちあきこ
原作:フレデリック・モートン著「A Nervous Splendor」「ルドルフ―ザ・ラスト・キス」(集英社文庫刊) 音楽:フランク・ワイルドホーン 脚本・歌詞:ナン・ナイトン 脚色:フランク・ワイルドホーン&フィービー・ホワン 原案:フランク・ワイルドホーン&スティーブン・キューデン 演出:デヴィッド・ルヴォー 装置:マイク・ブリットン/振付:ジョン・オコネル/振付補:二ラン・シュトラウブ 翻訳:迫光/翻訳・訳詞:竜真知子/音楽監督:八幡茂/歌唱指導:山口正義、ちあきしん/照明:小川幾雄/衣裳:前田文子/ヘアー:野澤幸雄(スタジオAD)/音響:山本浩一/指揮:塩田明弘/オーケストラ:東宝ミュージック(株)、(株)ダットミュージック/装置助手:高橋健一/振付助手:徳垣友子/舞台監督:廣田進/演出助手:上田一豪/プロデューサー:岡本義次、吉田訓和、小嶋麻倫子
【休演日】7/11,18,25【発売日】2012/04/21 S席12,500円 A席8,000円 B席4,000円
http://www.tohostage.com/rudolf/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年07月28日
松竹・Bunkamura『コクーン歌舞伎第十三弾「天日坊(てんにちぼう)」』06/15-07/07 Bunkamuraシアターコクーン
1994年に始まったコクーン歌舞伎はなんと18年目になるんですね。約150年前の歌舞伎台本を宮藤官九郎さんが新たに脚本化し、串田和美さんが演出・美術を手掛けます。
タイトルロールの六代目中村勘九郎さんはじめ、メインキャストには若手がずらり。白井晃さんら歌舞伎俳優ではない方々が、かなり重要な役で出演されていました。上演時間は約3時間25分(途中休憩20分を含む)。
チケットはそれなりのお値段ですが、全く舞台に触れたことのない方に迷いなくお薦めできる演劇というと、今ならコクーン歌舞伎かな~と思います。⇒昨年のレビュー
※私が観るのは基本的に首都圏の現代演劇が中心で、伝統芸能やミュージカルはあまり観ないんですけどね。
途中休憩中はロビーでおそうめんをいただきました。美味しかったです~♪ 客席でも食べられるんだけど、シアターコクーン内で飲食するのは緊張しちゃうので(苦笑)。
⇒CoRich舞台芸術!『コクーン歌舞伎 天日坊』
≪あらすじ≫ 公式サイトより。
鎌倉時代。木曽義仲が将軍・源頼朝の命令によって討たれた後、都で化け猫騒動が起こる。義仲に娘を嫁がせていた猫間中納言が謀反の疑いを掛けられ自害、その怨霊が帝の愛猫に乗り移っていたのだ。北条時貞と修験者・観音院の力で化け猫は退治された。観音院の弟子、法策は「生き延びよ」という化け猫の不思議な一言を聞く。法策はふとしたことから、飯炊きのお三婆さんの死んだ孫が将軍・頼朝のご落胤であることを知った。証拠の品は頼朝自筆の御書と三条小鍛冶の短刀。拾われた子であり、身元も知れず、親族もいない法策は、ご落胤になりすますことを決意し、お三を殺して証拠の品を奪う。悪事を重ねながら鎌倉へ向かう途中、盗賊・地雷太郎やその女房で女盗賊のお六たち一味と出会い、殺されそうになるが、開き直って、自分の素性と企みを明かし、加担しないかと持ちかける。その時、お六が法策の本当の素性を見抜いた。驚く法策だが、その素性ゆえに盗賊たちも結束し、法策は天日坊と名を変えて、一同は、鎌倉へ乗り込むのだった――
≪ここまで≫
箱型の演技スペースが山車のように移動して場面転換。箱の中の大道具、小道具とともに箱の奥の壁全体に掛けられている布の絵が変わるのが面白いです。書き割の役割を果たしているんですね。絵には「~~の段」といった文章が書かれていて、その場面で起こることの説明がされています。
化け猫の怨念、捨て子の正体、源氏と平氏の因縁など、興味をそそられるエピソードが続々と盛り込まれていきます。物話は複雑になり、歌舞伎ならではのセリフも多いのですが、わかりやすい!この“わかりやすさ”に感動します。宮藤さんの脚色と串田さんの演出は幅広い客層に開かれているんですよね。そして歌舞伎俳優がプロの技でそれに応えています。
タイトルロールの中村勘九郎さんは堂々たる、華のある主役でした。この大舞台を背負って、なんて立派なんだと勝手に感心しきりでした。
中村七之助さんの女形は美しいだけでなく、声も動きもキレがあって心奪われます。特に機敏かつ重みのある殺陣にゾクゾクしました。
勘九郎さん、七之助さんのお父様である中村勘三郎さんの、初期の食道がんの手術は成功だったそうです!ゆっくり静養なさって、また舞台に戻ってきてくださいますように。
ここからネタバレします。
動きが驚くほど遅いおばあさん(片岡亀蔵)は強烈でしたね(笑)。腰が直角に曲がったまま。セリフに体が追いつかないところは本当に笑ってしまった。勘九郎さんはボケつっこみもお上手。
天日坊を名のった法策(中村勘九郎)は、お六(中村七之助)と地雷太郎(中村獅童)とともに戦うことになります。勘九郎さんが困ったような、怖がったような表情で、心に大きな迷いがあるまま必死に剣を振り回すのは、お六と地雷太郎とは対照的でした。むせび泣くようなトランペットの音色が響く中、「俺は誰なのか」と激しく自分に問いながら走る姿が、心に痛くて、強く印象に残りました。
カーテンコールで出演者を見ていて、若い俳優がずらりと並んでいることに、いい意味で、軽いショックを受けました。歌舞伎界はこうやって世代交代を仕掛けてきたんですよね。
≪東京、長野≫
【出演】法策 後に天日坊=中村勘九郎 人丸お六=中村七之助 猫間光義=市村萬次郎 お三婆/赤星大八=片岡亀蔵 北條時貞=坂東巳之助 傾城高窓太夫=坂東新悟 越前の平蔵=近藤公園 観音院/鳴澤隼人=真那胡敬二 久助=白井晃 地雷太郎=中村獅童
坂東橘太郎 中村小三郎 澤村國久 中村蝶紫 片岡正二郎 三松明人 内田紳一郎 大月秀幸 中村仲之助 中村いてう 中村仲四郎 中村獅一 中村獅二郎 坂東大和 坂東彌風 土橋慶一 梶浦昭生 山岡弘征 三上剛 本田悟司 三原伸之 川守田政人 斎藤皓允 小谷真一 沢村恭輔 井上象策 押見啓太 岸本康太
トランペット:平田直樹 茶谷将彦 上石統 湯本淳希 田中充 田沼慶紀 エレキギター:佐藤純朗 ドラム パーカッション(交互出演):熊谷太輔 関根真理
原作:河竹黙阿弥「五十三次天日坊」 脚本:宮藤官九郎 演出・美術:串田和美 照明:齋藤茂男 音響:市来邦比古 音楽監督:平田直樹 音楽監督助手:片岡正二郎 立師:坂東橘太郎 田尻茂一 前田悟 狂言作者:竹柴彰三 竹柴潤一 竹柴康平 技術監督:センターラインアソシエイツ 演出助手:神野真理亜(神の左は示) 美術助手:原田愛 附打:山﨑哲 舞台監督:藤森條次 大道具:ステージフォー 美術工房拓人(松本邦彦) リンペット(林正) 小道具:藤浪小道具(関慶人) 衣裳:三茶小町(中野かおる) 松竹衣裳(高橋孝子) 日本演劇衣裳 かつら:日本演劇かつら 床山:東京鴨治床山(川口知昭) 光峯床山(谷山しほ) 造型制作:ゼペット(福田秋生) 特殊効果:アトリエカオス(田中義彦) 協力:渋谷ステージセンター 制作:岡崎哲也 山根成之 橋本芳孝 住井浩平 谷口さやか [主催]松竹株式会社/Bunkamura [製作]松竹株式会社
【発売日】2012/04/22 1等平場席\12,500 1等椅子席\12,500 2等席\9,000 3等席\5,000(税込)
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/12_kabuki.html
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/12_kabuki/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年07月25日
ゴーチ・ブラザーズ『千に砕け散る空の星』07/19-30シアタートラム
3人の英国劇作家が共作した戯曲を文学座の上村聡史さんが演出されます。3人の劇作家のうちの1人、サイモン・スティーヴンズ戯曲のレビュー⇒1、2、3 英国留学後に上村さんが演出した作品のレビュー⇒1、2
あるイギリス人家族の長年の別離の原因を、親子それぞれが秘めていた思いの吐露と、家系をさかのぼることで描いていきます。「あと3週間で世界が滅ぶとわかった時、最期の日をどう過ごすのか」という深刻そうな設定の内にとどまらない、面白い戯曲でした。上演時間は約2時間55分(途中休憩10分を含む)。
開演前に客席に配布されている人物相関図をご覧になっておくと良いと思います。私は“ジェイク”と“ジェイムズ”の区別がなかなかつかなくて、前半はお話についていくのに必死でした(汗)。
⇒CoRich舞台芸術!『千に砕け散る空の星』
≪あらすじ≫ 公式サイトより一部抜粋。
あなたならどうする、土曜日に世界が終わるとしたら?
科学者にも政府にもヒーローにも防ぐことはできない。
終末が近づくなかで家族が見つけたものとは…。
≪ここまで≫
コズミック・ストリングス(宇宙ひも)という、宇宙を粉々にしてしまうブラックホールが地球に迫っているという設定です。“宇宙ひも”は架空の概念ではなく、NASAの望遠鏡がとらえたものだそうです(当日パンフレットより)。
シアタートラムという劇場の壁をそのまま露出させた美術でした。舞台上には隕石のような石がちらほらと置かれ、客席の上にもぽっかりと浮かんでいます。劇場空間全体が宇宙だとも受け取れますね。個人的には殺風景過ぎてちょっとさびしかったな~。
音響もごくわずかで、俳優の演技でじっくり積み重ねていく演出だったように思います。だからでしょうか、静かに自然に舞台に居る役者さん、登場すると光を放つような鮮やかな存在感の役者さん、「翻訳劇のセリフをしゃべっている」ことがわかってしまう役者さんなど、演技の方法の違いが気になりました。あと、もっと笑いがあっていいのではないかと思いました。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
ベントン家の5人兄弟の長男ウィリアム(中嶋しゅう)は世界が終わると知り、末期の大腸がんの手術を受けずに実家に戻る決心をしました。彼が三男ジェイムズ(中村彰男)に家族全員を集めるよう頼んだことで、長年ばらばらだった兄弟が、母マーガレット(倉野章子)がいる実家に集まることになります。
三男ジェイムズには妻ハリエット(西尾まり)がいますが子供はありません。ジェイムズはかなり変わった性格で、しっかり者のハリエットが彼を支えている状況です。
次男ジェイク(大滝寛)は17歳の時に恋人を妊娠させ、早くに結婚。生まれた娘ニコラ(安藤サクラ)もまた早くに息子ロイ(碓井将大)を生んでいます。ニコラは売春婦で、ロイのことはジェイクにあずけたまま。
四男エドワード(古河耕史)は家出して都会でホームレスになっています。五男フィリップ(牧田哲也)はゲイであることを黙って母と暮らしてきました。
5人兄弟の仲がうまくいかなかったのは、母マーガレットが彼らを愛することができなかったから。なぜなら、彼女は自分の母、つまり5人兄弟の祖母ドリティ(安藤サクラ・2役)に愛されなかったから。ドリティは夫(5人兄弟の祖父)に暴力を振るわれており、カールというユダヤ人の愛人(古河耕史・2役)がいました。ベントン家の元凶はそこにあったのかもしれません。“この親にしてこの子あり”という言葉があるように、子は親に似るんですよね。憎しみが親子代々受け継がれて、同じことを繰り返してしまう人類の悲しみがあります。
次男ジェイクの孫ロイ(碓井将大)と五男フィリップは同じ年頃(14~15歳)で、なんと彼らは時空を超えたコミュニケーションができます。機動戦士ガンダムのニュータイプ同士みたい!たとえばフィリップは亡くなった祖母と会って、まだ赤ん坊だった母マーガレットを抱くこともできました。終盤の、ロイとフィリップが祖母の愛人カールと会って話をする場面が良かったです。カールはロイとフィリップに赦しを請い、「私を赦すために、まず君たちは自分を赦すことが必要だ」と言います。世界の終わりに、死を目前にした人間が何をするのか。自分自身を赦すことだという考えに共感をおぼえました。
実は長男ウィリアムはゲイだったのですが、誰にも言わずに亡くなりました。「好きな女の子を大切にしなさい」という祖母の言葉が、彼には呪いになったんでしょうね。自分の秘密を知った(と思われる)次男ジェイクを殺そうとしたぐらい、ウィリアムにとって自分がゲイであることは命にかかわる秘密でした。五男フィリップはウィリアムがゲイであることに気づいており、さらに、自分はゲイだと母にカミングアウトします。長男の無念を五男が受けとめ、自分の存在とともに肯定したことは未来の希望だと思います(『プライド』を思い出しました)。とはいえ、その日に五男もコズミック・ストリングスで死んでしまうんですが。
長男ウィリアムの体を母マーガレットが丁寧に洗ってあげる場面がありました。中嶋しゅうさんの美しい裸体と、ちょっと不器用そうに体を洗う倉野章子さんが、ひとすじの照明に照らされるのは緊張感のあるいい場面でした。でも、末期がん患者はあんなに立っていられるかしら。洗う時間が長かったのもあり、気になってしまいました。患者は床かベッドに横になったままで、濡れタオルで全身を拭くぐらいがいいのではないかと。
笑いが起こらなくて残念だったのは、長男ウィリアムが母だけに看取られて亡くなった場面。せっかく家族全員で集まろうと声をかけていたのに、すでに実家に着いていた三男ジェイムズとその妻ハリエットが、ちょうどその瞬間を逃しちゃうんです。ハリエットが枕元を離れたのは人参を取りに行ったせい。彼女が野菜を大量にかかえて呆然としている姿は、それだけで滑稽です。
一番可笑しかったのは、マーガレットとハリエットが2人で話すところで、ちょっともらい泣きもしちゃいました。嫁と姑という間柄なのに、本当の家族よりもスムーズにコミュニケーションできるのは皮肉ですよね。わがままで情けない男たちと、地に足をつけてしっかり正気を保って働く女たちの対比がよく出ていました。
"A thousand stars explode in the sky" by David Eldridge, Robert Holman, Simon Stephens
出演:中嶋しゅう 大滝寛 中村彰男 古河耕史 牧田哲也 碓井将大 安藤サクラ 西尾まり 倉野章子
脚本:デヴィッド・エルドリッジ/ロバート・ホルマン/サイモン・スティーヴンズ 翻訳:広田敦郎 演出:上村聡史 美術:乘峯雅寛 照明:三谷恵子 音響:小笠原康雅 衣裳:半田悦子 演出助手:稲葉賀恵 舞台監督:加瀬幸恵 技術監督:熊谷明人 宣伝美術:山下浩介 舞台写真:引地信彦 広報・宣伝:飯田裕幸 営業:鶴岡智恵子 票券:小野塚央 制作助手:清水美峰子 制作:赤羽ひろみ プロデューサー:伊藤達哉 穂坂知恵子 主催:S.I.T. 制作:ゴーチ・ブラザーズ 企画協力:文学座映画放送部 提携:公益財団法人せたがや文化財団/世田谷パブリックシアター 後援:世田谷区
【休演日】7/25【発売日】2012/05/26 一般5,000円 U24 2,500円(世田谷パブリックシアターチケットセンターにて要事前登録、登録時年齢確認できるもの要提示、オンラインのみ取扱い、枚数限定) 友の会会員割引 4,500円 せたがやアーツカード会員割引 4,700円
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2012/07/post_283.html
http://www.gorch-brothers.jp/infomation/detail_gorch.php?no=541&cno=1
http://sen-hoshi.blogspot.jp/
http://www.facebook.com/pages/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%88%9D%E4%B8%8A%E6%BC%943%E4%BA%BA%E3%81%AE%E8%8B%B1%E5%9B%BD%E4%BD%9C%E5%AE%B6%E3%81%8C%E5%85%B1%E4%BD%9C%E3%81%97%E3%81%9F%E6%96%B0%E4%BD%9C%E5%8A%87%E5%8D%83%E3%81%AB%E7%A0%95%E3%81%91%E6%95%A3%E3%82%8B%E7%A9%BA%E3%81%AE%E6%98%9F/230730113712757
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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ワンツーワークス『みんな豚になる-あるいは「蠅の王」-』07/20-26吉祥寺シアター
古城十忍さんが作・演出される劇団ワンツーワークスの再演公演です。ウィリアム・ゴールディング作「蠅の王」を現代日本の会社を舞台に脚色された作品です。初演の情報はこちら。上演時間は約2時間弱。
新国立劇場演劇研修所5期生(修了生)が2人出演されているので観に行きました。古城さんは新国立劇場マンスリー・プロジェクトのリーディングの演出と、昨年の5期生シーンスタディの演出もされていたんですね。
この作品とは関係ないですが、ロビーで販売されていたジョン・パトリック・シャンリィの戯曲本を購入しました。シャンリィ戯曲は『お月さまにようこそ』も『ダウト』も持っています。
⇒CoRich舞台芸術!『みんな豚になる-あるいは「蠅の王」-』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
パワーハラスメントの実態に迫る
ある会社の新規プロジェクトに各部署から8人の社員が集められる。元企画推進局次長はリーダーとして意欲に燃えるが、営業三課から配属された女性幹部も「リーダーを任されている」と言う。かくして、プロジェクト・チームはたちまち2分され、徐々に対立が起こり始め、やがて仕事の捗らない者、コミュニケーションのうまくとれない者への、執拗な言葉の暴力が横行するようになる。果たしてチームの面々は無事にプロジェクトを達成することができるのか――。
≪ここまで≫
会社内のパワハラ、というか、いわゆるいじめを描いていました。タイトルどおり“豚”を登場させるのが面白いです。腕をカク、カクと素早く動かしたり、ピタリと息の合ったストップモーション、スローモーションなどの身体表現を採り入れて、ストーリー・テリングだけに終わらない演出も良かったです。
いかにもな差別発言や悪口が飛び出しますが、デフォルメした演技で見せてくれますから、いじめがリアル過ぎなくていいですね。客観する視点を持ったまま観続けられたのも、私には良かったです。
ずらりと並ぶ業務用デスクが学校の木製の机にも見えてきました。会社内で大人が経験していることは、子供が通う学校でも起こるものだと思います。
下記に内田樹さんのブログ「いじめについて」(2012年7月12日)から一部抜粋して引用します。
私の見るところ、「いじめ」というのは教育の失敗ではなく、むしろ教育の成果です。 子供たちがお互いの成長を相互に支援しあうというマインドをもつことを、学校教育はもう求めていません。むしろ、子供たちを競争させ、能力に応じて、格付けを行い、高い評点を得た子供には報償を与え、低い評点をつけられた子供には罰を与えるという「人参と鞭」戦略を無批判に採用してる。 であれば、子供たちにとって級友たちは潜在的には「敵」です。同学齢集団の中での相対的な優劣が、成績評価でも、進学でも、就職でも、すべての競争にかかわってくるわけですから。 だから、子供たちが学校において、級友たちの成熟や能力の開花を阻害するようにふるまうのは実はきわめて合理的なことなのです。 周囲の子供たちが無能であり、無気力であり、学習意欲もない状態であることは、相対的な優劣を競う限り、自分にとっては「よいこと」だからです。 そのために、いまの子供たちはさまざまな工夫を凝らしています。「いじめ」もそこから導き出された当然の事態です。 「いじめ」は個人の邪悪さや暴力性だけに起因するのではありません。それも大きな原因ですが、それ以上に、「いじめることはよいことだ」というイデオロギーがすでに学校に入り込んでいるから起きているのです。
ここからネタバレします。
出世したいがためにプロジェクトで成果を挙げようとしますが、結局は会社が倒産してしまいます。そのプロジェクトの目的は在庫処分なので、集められた社員全員が最初から「棄て石」だったんですね。いじめる人も、いじめられる人も含め、そのプロジェクトメンバー全員が社内では“悪い見本”だったのでしょう。舞台上で行われていたコミュニケーションを反面教師にすればいいんだなと思いました。
女性幹部(武田竹美)とその恋人であろう若い男性部下(片桐レイメイ)が、一瞬だけイチャつく場面があって、そこが可笑しかったです。オフィスでこっそり年上の女性に甘えてみたら、ピシっときつい言葉を返されて、かえってその若者はデレデレと喜ぶんだもの(笑)。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
テーマ:「いじめっ子?いじめられっ子?」
出演:奥村洋治×越智哲也×林田航平
出演:奥村洋治(ワンツーワークス) 藤敏也 武田竹美 関谷美香子(ワンツーワークス) 越智哲也(ワンツーワークス) 増田和(ワンツーワークス) 片桐レイメイ 林田航平
脚本・演出:古城十忍(ウィリアム・ゴールディング「蠅の王」より) 美術=礒田ヒロシ 照明=磯野眞也 音響=黒澤靖博 舞台監督=尾崎裕 衣裳=加島博美 演出助手=谷本健志 小道具=日暮一成 イラスト=古川タク デザイン=西英一 スチール=富岡甲之 票券=ぷれいす 協力=タクンボックス アイズ バックステージ Gプロダクション 一般社団法人 職場のハラスメント研究所 制作=藤川けい子 製作=(株)オフィス ワン・ツー
【発売日】2012/05/28 全席指定 前売4,000円 当日4500円 高校生以下2,500円
※受付開始および当日券販売開始は開演の1時間前、開場は30分前です。 ※10歳未満の児童はご入場いただけません。
http://www.onetwo-works.jp/nextstage_buta.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年07月24日
【オーディション】MODE「2012年8月オーディション」8月9日もしくは8月10日に一次オーディション実施
松本修さんが演出されるMODEが2012年10月公演、2013年3月公演の出演者オーディションを行います。詳細は公式サイトより。⇒2009年のレビュー ⇒CoRich舞台芸術!の公演記録
応募資格に「MODE作品あるいは松本修演出作品を観たことがあること」とあります。性別・年齢は不問ですが演劇経験は必須。要項と申込書を送ってもらってからの応募になりますので、お気を付け下さい。
■MODE「2012年8月オーディション」 ⇒公式サイト(PDF)
一次オーディション ※いずれかを選択のこと
①8月9日(木) 17~21時
②8月10日(金) 17~21 時
二次オーディション 8月11日(土) 14~21 時
■MODE 2012年8月オーディション開催のお知らせ
「カフカ・プロジェクトに向けて」
MODE では2012 年秋~2013 年冬にかけてフランツ・カフカの小説を基にした舞台を連続して上演する<カフカ・プロジェクト>を企画しています。この企画に出演していただける実力ある俳優、個性的な新人をオーディションによって広く募集します。
プロセスとしてカフカ・ワークショップを数回実施し、今秋上演の「あなたに会ったことがある・2」、来年3 月上演の「城(改訂版)」を経て、最終的に約30人のメンバーによる大作「失踪者」「城」「審判」の三作品連続上演を2013年11月~12 月に決行します。
このプロジェクトに興味を持った方はさっそく【8月オーディション】にご参加下さい!
【応募資格】
・MODE作品あるいは松本修演出作品を観たことがあること
・演技経験のある俳優
・カフカ作品を読んでいること
・2012年10月公演、2013年3月公演のいずれか又は両方に参加できること
【MODE 8月オーディション】
場所/江古田ストアハウスにて
◆一次オーディション ※いずれかを選択のこと
①8月9日(木) 17~21時
②8月10日(金) 17~21 時
◆二次オーディション 8月11日(土) 14~21 時
【出演】
二次オーディション通過者は「あなたに会ったことがある・2」(上野ストアハウス)、「城(改訂版)」(あうるすぽっと)のいずれか又は両方に出演していただきます。
【申込方法】
下記に連絡先を添えて「オーディション希望」と連絡下さい。要項と申込書をお送りします。
E-mail mode1989(アットマーク)m8.dion.ne.jp
ファクス 03-5919-3165
MODE
〒160-0017 東京都新宿区左門町1 愛好ビル5F
TEL/FAX 03-5919-3165
公式ホームページ http://www.mode1989.com/
【オーディション】公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団「さいたまネクスト・シアター新メンバー 募集」※9/14〆切(郵送のみ)
蜷川幸雄さんが率いる若手演劇集団「さいたまネクスト・シアター」が新メンバーを募集します。詳細は公式サイトでご確認ください。過去レビュー⇒1、2、3
さいたまネクスト・シアター公演では本番直前まで配役を決定しないなど、稽古の厳しさは折り紙つき。我こそはと思う18歳から30歳までの若い方、応募資格をよく読んで、チャレンジしてみてください。
所属俳優は、蜷川さんが芸術監督をつとめる彩の国さいたま芸術劇場の公演や、外部演出作品への出演機会もあります(キャスティングされれば)。
■さいたまネクスト・シアター オーディション ⇒公式サイト
【応募資格】
・18歳から30歳までの男女
・さいたまネクスト・シアターの活動を最優先できる方
※高等学校在学中の方のご応募はお断りいたします
※未成年の方は必ず保護者の同意書を同封してください
※演技経験の有無は問いません
【応募締切】9月14日(金)郵送必着
【ワークショップ・オーディション】冨士山アネット「ワークショップ・オーディション」※8/8〆 切(メールのみ)
長谷川寧さんが作・演出・振付される冨士山アネットが今後の新作上演に向けたワークショップ・オーディションを実施します(関連レビュー等⇒1、2、3)。
俳優・ダンサー・パフォーマー等ジャンルは問わず。オーディションでなくワークショップだけ参加してみたいという方も募集しています。下記は主催者よりいただいた情報です。
■日程(都内会場/原則全日参加)
1次審査
A. 8月10日(金)18-22時, 11日(土)13-17時
B. 8月10日(金)18-22時, 11日(土)18-22時
2次審査(通過者のみ)
8月12日(日)14-22時
■参加費:2000円(2次審査は無料)
■締切(必着):8月8日(水) ※メールのみ
【冨士山アネットが、今後の新作上演に先駆け、WSオーディションを開催致します】
御興味の有る方、奮って御参加下さい。
俳優・ダンサー・パフォーマー等ジャンルは問いません。
身体表現に興味がある方を募集致します。
今回のWSでは、今後の作品に出て頂ける出演者との出会の場になればと思います。
既に予定が決まっている方、オーディションでなくWSだけ参加してみたいという方等、
今後の作品づくりの為にも沢山の人との出会いを広く募集します。
尚、出演の際、関東外の方には宿泊の提供等御座いますので、
奮って御参加下さい。
■募集内容
①2012/9/4 [東京福袋]イベント参加 at 東京芸術劇場シアターウェスト
(東京芸術劇場リニューアルオープニングイベント) ※男女不問
②2013/2下旬 冨士山アネット新作[シャウレイの十字架(仮)]横浜/京都公演
(アトリエ劇研フェスティバル8招聘作品) ※男性のみ
③2013/9 以降 冨士山アネット新作[タイトル未定]東京公演 他ツアー予定
※男女不問
■WS日程(都内会場/原則全日参加)
1次審査
A. 8月10日(金)18-22時, 11日(土)13-17時
B. 8月10日(金)18-22時, 11日(土)18-22時
2次審査(通過者のみ)
8月12日(日)14-22時 ※必要に応じて追加審査有/終了時間は早まる場合有
■参加費:2000円(2次審査は無料)
■対象:身体表現を元にしたクリエイションに興味が有る経験者
■定員:定員有。原則全日参加にて応募多数の場合選考有
■応募方法:メールにて「2012-13 WSオーディション希望」と件名明記の上、
1.名前(フリガナ) 2.住所 3.電話 4.メール(PC及び携帯) 5.年齢
6.希望コース(AかB)
7.希望作品(①②③から選択。複数可。WSのみ希望の場合はその旨を明記)
8.応募理由・冨士山アネット観劇の有無(有れば作品名と感想)
9.何処でこの募集を知ったか(サイト・カンパニー名等)
10.履歴書兼芸暦書(書式自由/所属・ダンス経歴等明記)
11.備考(今後のスケジュール等に問題がある方、決まっている方はお書き下さい)
12.写真(バストアップ・全身の2枚。4M以内で)
を貼付の上、冨士山家迄お送り下さい。
■締切(必着):8月8日(水)
■問合・申込:冨士山家 080-5496-7555 fujiyamanet(アットマーク)gmail.com
[冨士山アネット/ FujiyamaAnnette]
2003年、作・演出・振付の長谷川寧を中心に設立。
戯曲を元に身体を起こしていく「ダンス的演劇(テアタータンツ)」という独自の作品を発表。
東京を拠点に、東京芸術劇場、世田谷パブリックシアター、BankART、川崎市アートセンターなどが主催する企画に多数参加。
関西では、2011年に芸術創造館、本年7月には伊丹アイホール主催「break a leg」に参加する。
スイスやシンガポール、韓国など海外での活動も盛ん。
代表の長谷川寧は、NODA・MAP、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、ミクニヤナイハラプロジェクト、パパ・タラフマラ、FUKAIPRODUCE羽衣、快快、ホリプロ[エンロン]等への出演のほか、
演出家として、世田谷パブリックシアター主催[日本語を読む その2]、ITI 主催[ITI 世界の秀作短編研究シリーズ]、ドイツ文化センター主催[VISIONEN]なども手掛けている他、
振付家としてフジファブリック([モテキ]主題歌)、bonobos等のMVも手掛ける他、ホリプロ[エンロン](ローレンス・オリヴィエ賞受賞作品/市村正親主演)振付、おふぃす3○○、 FUKAIPRODUCE羽衣等の作品への振付も行う等、ジャンルを問わず広く活動中。 今秋には韓国での国際共同制作にてSPAF(ソウル国際公演芸術祭)に参加予定。
http://fannette.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年07月23日
【ご報告】「しのぶの演劇レビュー」facebookページに111件の「いいね!」をいただきました!
2011年2月11日に当サイト「しのぶの演劇レビュー」のfacebookページをオープンしました。約5ヵ月経ち、本日で111件の「いいね!」をいただきました!ありがとうございます!!
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2012年07月22日
新国立劇場演劇研修所第6期生試演会①『抱擁家族(チーム家族)』07/21-22新国立劇場小劇場
新国立劇場演劇研修所第6期生のはじめの試演会です。ダブルキャスト公演で、初日の“チーム抱擁”に続き、千秋楽の“チーム家族”を拝見。
キャストが変わって全く違う作品になってました!面白かった~っ、舞台は生もの~っ。初日は「なぜ発表会でこの作品をやるの?」ぐらいに思ってたんですが、今は「まさに、今やるべき作品かも!」とか思っちゃってます(笑)。現金な客ですみませんっ。
作品を咀嚼してから再び眺めてみると、このチラシのデザインは素晴らしいですね!クレジットにデザイナーのお名前が載ってないのが残念です。
⇒新国立劇場演劇研修所facebook
⇒CoRich舞台芸術!『抱擁家族』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
中年夫婦と2人の子供に家政婦という中流インテリ家庭の三輪家。
妻が年下の米兵と関係をもったことから物語は展開する。
家の新築、乳がんにおかされた妻、そして妻の死。残された夫は……。
≪ここまで≫
幕が開いた時からぎくしゃくとした、いびつな空気がちゃんと生み出されていて、引き込まれました。物語の主軸である夫・俊介(森下庸之)と妻・時子(池田朋子)が、不仲ながらも長年連れ添ってきた男女であることが伝わって来て、彼らの日常や独白を通して何かを描こうとしている(1つの家族を描くのが目的なのではない)こともわかりました。
夫役の比重が大きすぎるとも思わなかったは、夫役の森下さんが安定感のある演技をしてくださったおかげだと思います。妻役の池田さんも、一つひとつのセリフに意味と感情をしっかり乗せて、その場に居ることの説得力もありました。場面転換の無理っぽさも軽減されるんだから、演技って凄い(怖い)。ジョージの“英語”もすんなり受け入れられました。選曲も初日ほど気にならなかったです(カーテンコール以外)。
初日の“チーム抱擁”は緊張されてたんでしょうね。とはいえ、観客にとっては観たステージがその作品ですから、次回の試演会ではもっとがんばって欲しい!
原作は1965年に書かれた小島信夫さんの小説です。舞台版は、岸田國士戯曲賞受賞者で演出家でもある八木柊一郎さんが脚色・演出し、1971年に青年座で初演されました(当日パンフによると、夫役は森塚敏さん、妻役は東恵美子さん、息子役は西田敏行さん)。今から約40年前の“崩壊した家庭”が、今の日本のひな形だったのではないか…とまで思いました。だってこの作品の主人公である夫、三輪俊介は“引きこもり”なんだもの。
ここからネタバレします。セリフなどは正確ではありません。
俊介の出張中に時子がアメリカ兵ジョージとともに一夜を過ごし、それを家政婦が俊介に密告します。家政婦によるとジョージは「時子が怖い」とも言っていたとのこと。時子とジョージの証言が食い違っているため、俊介、時子、ジョージの3人で会合を持ちますが、和解には至らず、ただ時子とジョージの間に肉体関係があったことだけは明白になります。家が汚されたと感じた俊介は「塀が欲しい」と言いだします。外部から遮断された家にしたいと思うなんて、まさに“引きこもり”だと思います。
時子は新しい家に引っ越したいと言い、俊介は新居を購入。セントラルヒーティング、ステンレスの台所、2つのトイレがある家は、まさにアメリカン・ドリームの実現です。ジョージというアメリカ人を罵倒したくせに、夢見ていたのはアメリカ的な生活なんですね。ビジネスマンになったジョージを新居に呼び寄せて、豪邸自慢をするところがまた情けない。地位、財産、体裁や見た目ばかり気にしています。
でも、ジョージが来た日の夜、時子と俊介は「この夜のためにこの家が、これまでの日々があったのかもしれない」と思えるぐらい幸せな時間をベッドで過ごしました。平気な顔をしてジョージと会い、立派な家を見せびらかすことで、彼に仕返しができたからでしょうか。アメリカに憧れていながら、実は心の底から憎んでいる。そんな矛盾した心情のあらわれだと思います。この時すでに時子は乳がんにおかされ、2度も手術をしていました。
死期が近くなった時子は病床で、「私はあなた(俊介)としか話をしてこなかった。ジョージはあなたよ」と言います。夫の心が自分から離れてしまったから、他の男性に夫の姿を求めた。時子の告白はそういう意味だと思いました。そういえば時子は、俊介を執拗にバカにしたり、「あなたはいつも私をいじめる!」「また私を家に閉じ込めるの?」などと反発しても、俊介に「飯にしてくれ」と言われると、文句を言いながらも食事を作ってきました。俊介に「お前はアメリカを家に入れるために、ジョージを呼んだのか?」と訊かれた時は、「あなたがそう思うのならそうよ!」と答えていました。「あなたが思うから私はこうなった」とも言っており、すべて俊介のせいにしてしまうんです。本当の気持ちを言葉で説明することはしてこなかったんでしょうね。時子は主婦として、家事と子育てに専念してきた戦後の日本人女性です。家庭を守ることこそ女の仕事だという常識のもと、家の外で働いて金を稼いでくる夫を通じてしか、社会とつながれなかったのではないでしょうか。
時子の死後の俊介はというと、崩壊寸前の家族をちゃんと維持せんがため奔走します。家政婦を再び雇い、知人の山岸を下宿させ、長男の家出を止めてその友人も一緒に住まわせます。さらには一家の中心となって家庭を守るための“主婦”を手に入れるため、再婚をしようとします。百貨店の店員を衝動的にナンパしたり、山岸から紹介された女性にほぼ強制的に結婚を迫ったりと、ここまでくると喜劇です。
山岸との会話で、俊介は「我々が外国から取り入れた文化が矛盾が生じさせていて、それが家庭内にもゆがみを与えてきている」という意味のことを言っていました。彼は英文学者ですから、異文化について頭ではよくわかってるはずなんですよね。でも自分のことは全然見えていないようでした。何しろ「魚のような目をしている」のです。
ジョージは「私は良心と国家(アメリカ)にのみ責任を感じます」と明言していました。俊介は「自分の好きなものを自分の上に掲げて、それだけに責任を感じて生きると決めることは、芝居がかっている。その生き方に希望はあるのか?」と問います。自分自身にも観客にも問いかけているような演技でした。そこで終幕。
※もしかすると“良心”は“両親”?どちらかわかりづらかったです。
チラシ中央のタイトル「抱擁家族」の漢字の中に、日の丸と星条旗が隠れています。「家」という漢字には、犬が首輪とリードでつながれています。漢字の上部(もしくは背後)に家であろう大きな建物がそびえていて、犬はその家に対してとても小さな存在です。“家に支配された人間(日本人)”、“アメリカの犬(家来)”といったことも想像できます。
2008年に「モテたい理由」(赤坂真理著)という本を読んで、“戦争”と“アメリカ”について私自身がしっかり考えないと、日本人として生きていることの根本がわからないままではないか、と思ったんです。「抱擁家族」という小説が書かれた1965年に、すでに問題は表出していて、そのまま放置されて今に至ったんではないでしょうか。赤坂真理さんの新作小説「東京プリズン」はただいま取り寄せ中です。
Aキャスト(チーム抱擁)・20日(金)18:30開演・21日(土)13:30開演
Bキャスト(チーム家族)・21日(土)18:30開演・22日(日)13:30開演
【チーム家族 出演】三輪俊介(英文学者・翻訳家):森下庸之 時子(俊介の妻):池田朋子 良一(俊介の息子):玉田裕太 ノリ子(俊介の娘):森川由樹 みちよ(あつかましい家政婦):南名弥 ジョージ(時子と浮気をするGI):田部圭介 山岸(アメリカ帰りの若者):頼田昂治 木崎(良一の友人):野口雄作 老婆(時子と同時期に入院してた):沖田愛 老いた尼僧:沖田愛 若い尼僧:杉山みどり 付添婦:西井裕美 若い女1(百貨店の店員):杉山みどり 若い女2(百貨店でガウンを売る店員:落合千恵 医者:梶原航(5期修了生) 芳沢ちか子(俊介と見合いをする挿絵画家):横山友香
原作:小島信夫 脚色:八木柊一郎 演出:西川信廣 音楽:後藤浩明(生演奏) 美術:小池れい 照明:佐々木朗 音響:黒野尚 衣装:山田靖子 ヘアメイク指導:我妻淳子 演出助手:梶原航 舞台監督:村田明 演出部:鈴木政憲 板倉麻美 安田美和子 (第8期生 池田碧水 滝沢花野 西岡未央 今野健太 永澤洋) 制作助手:吉田友香 長川秀美 大道具:俳優座劇場舞台美術部 森島靖明 小道具:高津装飾美術 宮沢洋一 研修所長:栗山民也 制作:新国立劇場
【発売日】2012/06/03 A席 2,500円 B席 1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/training/20000659_training.html
http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/30000116.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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新国立劇場演劇研修所第6期生試演会①『抱擁家族(チーム抱擁)』07/20-21新国立劇場小劇場
新国立劇場演劇研修所第6期生のはじめの試演会です。『抱擁家族』は1965年に谷崎潤一郎賞を受賞した小島信夫さんの小説で、八木柊一郎さんによって脚色されて1971年に青年座で初演されました。
1960年代の日本の家族、というか夫婦を描いていますので、2012年の今だと首をかしげるエピソードも多々あるのですが、最後まで観て、ああ、アメリカと日本のことだったのかと、腑に落ちました(公式サイトの解説にすでに書いてありましたね…)。
ダブルキャスト公演で、初日は“チーム抱擁”を拝見しました。“チーム家族”は千秋楽に伺います。上演時間は約3時間弱(途中休憩1回を含む)。
⇒新国立劇場演劇研修所facebook
⇒CoRich舞台芸術!『抱擁家族』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
中年夫婦と2人の子供に家政婦という中流インテリ家庭の三輪家。
妻が年下の米兵と関係をもったことから物語は展開する。
家の新築、乳がんにおかされた妻、そして妻の死。残された夫は……。
≪ここまで≫
黒(もしくは灰色?)を基調とした暗い目の抽象的な空間です。上手にはダイニングと台所、下手奥にはベッドルーム、中央はリビングだったり喫茶店だったり。舞台中央奥に柱のようなものがあって、上部に小さな家の模型がポツンと置かれています。模型は屋根の上から眺める角度で設置されているので、観客は登場人物らが暮らす家を空から俯瞰するような視点も得られます。
3時間弱という上演時間の長さ自体には不満はないのですが、いったい何を見せたい(表現したい・伝えたい)お芝居なのかが、わかりづらかったです。3時間もかけて、やりたいことは何だったのかなと考えてしまいました。
選曲がなんとも不思議で…鳴る度に「なぜこのような曲を?」とひっかかりました。舞台下手でパーカッションらしきものやキーボードでの生演奏があり、効果音としてもかなりの活躍。曲と演奏が交ざるのが良かったです。それにしてもラストの曲の意図はいったい…奇抜すぎるように思いました。
演技も全体的に固かったですね。細かいことですが、場面転換がスムーズだとは思えない箇所も散見されました。ざっくり言ってしまうと、初日はまだ完成していなかったのかな~という印象です。
なぜ若い研修生15人のためにこの戯曲を選んだのかしらと考えちゃいましたね。高校生ぐらいの子供が2人いる中年夫婦(夫は45歳)が主人公で、独白も会話も含め、基本的に夫がしゃべり続けます。膨大なセリフ量で大変な役だと思いました。もちろん、どんな役でも「大変」でしょうけど、比重があまりに高いんですよね。発表会で役者さん1人が背負う責任が大きすぎるというか。
最後の15分で「ああ、そうだったのか」とやっと受けとめられたような気がしました。女性についての考え方があまりに古風、というか懐古趣味というか、昔の話だなと受け取らざるを得ないのですが、家庭のあり方については、もしかすると今も同じかも…と感じたんです。ということは、40年変わってないってことでしょうか…?
ここからネタバレします。
アメリカ兵のジョージ(梶原航)は片言の日本語しか話せないという設定ですが、舞台上では常に日本語で話します。英語の時は英語でしゃべっちゃって良かったんじゃないでしょうか…どうにも居心地が悪かったです。
自宅で妻と寝たジョージと再び会ってみたり、新居ができたら招待してみたり…「オマエラ(夫も妻も)気持ち悪いんだよ!」と叫びたくなります(笑)。
妻の死後、三輪宅には10年アメリカに住んでいたという若い男性山岸がいそうろうし、息子の友人も転がり込んで、あつかましい家政婦も復帰します。死者である妻と夫が話すシーンが並行するのは面白いですね。それにしても、一体、この三輪俊介という男性は、何者なのか…「魚の目をしてる」と言われてもしょうがないです。彼が「日本」なんでしょうね。
良かったのは三輪家の人々とジョージが「間を埋めるために笑う」シーン。そして終盤の、黒いワンピースの挿絵作家(落合千恵)に主人公の三輪俊介(木村圭吾)が電話するところ。自分のことしか考えていないから周囲が見えておらず、必死ゆえにあまりに無粋。笑ってしまいました。
Aキャスト(チーム抱擁)・20日(金)18:30開演・21日(土)13:30開演
Bキャスト(チーム家族)・21日(土)18:30開演・22日(日)13:30開演
【チーム抱擁 出演】三輪俊介(英文学者・翻訳家):木村圭吾 時子(俊介の妻):西井裕美 良一(俊介の息子):野口雄作 ノリ子(俊介の娘):杉山みどり みちよ(あつかましい家政婦):沖田愛 ジョージ(時子と浮気をするGI):梶原航(5期修了生) 山岸(アメリカ帰りの若者):細川慶太 木崎(良一の友人):玉田裕太 老婆(時子と同時期に入院してた):南名弥 老いた尼僧:南名弥 若い尼僧:森川由樹 付添婦:池田朋子 若い女1(百貨店の店員):森川由樹 若い女2(百貨店でガウンを売る店員):横山友香 医者:田部圭介 芳沢ちか子(俊介と見合いをする挿絵画家):落合千恵
原作:小島信夫 脚色:八木柊一郎 演出:西川信廣 音楽:後藤浩明(生演奏) 美術:小池れい 照明:佐々木朗 音響:黒野尚 衣装:山田靖子 ヘアメイク指導:我妻淳子 演出助手:梶原航 舞台監督:村田明 演出部:鈴木政憲 板倉麻美 安田美和子 (第8期生 池田碧水 滝沢花野 西岡未央 今野健太 永澤洋) 制作助手:吉田友香 長川秀美 大道具:俳優座劇場舞台美術部 森島靖明 小道具:高津装飾美術 宮沢洋一 研修所長:栗山民也 制作:新国立劇場
【発売日】2012/06/03 A席 2,500円 B席 1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/training/20000659_training.html
http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/30000116.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年07月20日
ニットキャップシアター『ピラカタ・ノート』07/19-22アトリエ春風舎
ごまのはえさんが作・演出・出演される京都の劇団ニットキャップシアターの再演ツアーです。福岡、京都を経て、最終地の東京へ。上演時間は約1時間50分。
昨年4月にザ・スズナリで上演されていたんですね。演劇関係の友人が、昨年観た舞台作品中のNo.1戯曲に選んでいたので観に行きました。面白かったです。日本の創世記と、ある町の誕生を重ね、悠久の時間があらわされていました。
⇒京都公演の舞台写真
⇒CoRich舞台芸術!『ピラカタ・ノート』
≪あらすじ・作品紹介≫ CoRich舞台芸術!より。
病弱な青年が昏睡状態の中で死んだ母を訪ねる夢の話。シャガール好きの少年が、団地の子供たちとなじめずに孤独を深める話。団地のある夫婦と水槽の魚たちの話。いくつもの物語が1995年1月17日に団地で起きたある交通事故の話へと向かい……。
第12回OMS戯曲賞特別賞を受賞した『ヒラカタ・ノート』(2004年)に続く、ヒラカタシリーズの傑作舞台。高度成長のころ生まれた架空の街「ピラカタ」の歴史と今。ごまのはえの出身地、大阪府枚方(ひらかた)市の団地が並ぶ街並みをモチーフに、日本のクニツクリの物語「古事記」を援用して、語り・音・芝居で「ニュータウンの神話」を綴ります。
≪ここまで≫
舞台の床にはプラレールが丸くつながって、レゴの建物も並んで、ちょっとした町のジオラマができています。全体としては少々雑然とした抽象美術。客席はステージをほぼ四方からぐるりと囲む形に設置されています。劇場内の階段や柱のあるスペースもフルに使っていました。
日本の神話のエピソードと、1995年あたりの大阪のとある地域の住民の暮らしぶりを重ねて、夢と現実、あの世とこの世、人間界とそれ以外の生き物(?)の世界も行き来します。役者さんは複数役を演じ、登場しない時は小さな楽器を演奏したり、口や声で効果音を発したり。身体表現も積極的にとりいれた演出でした。汗だくになる激しい動きもあって、カオティックな空気が良かったです。マイクを通した大きすぎる声は苦手でしたが。
笑いのネタも多いですが、全体的には諦念の感が強かったかも。命が生じる瞬間の興奮と、今、自分が生きてる実感と、やがて消滅するであろう人類と…そんな個人的なノスタルジーから遥か遠くにある、宇宙の果ての空虚な何か…まで想像させてくれました。欲を言うと、そういう空虚さと好対照になる刺激や官能、うきうきやワクワク、ドキドキがもっと欲しかったかな~。
ここからネタバレします。セリフなどは正確ではありません。
ピラカタとは大阪の枚方(マイカタと書いてヒラカタと読みます)をモデルにした架空の町。大阪で生まれ育った私は、お芝居の冒頭で松下電器と京阪電鉄(=神々・イザナギとイザナミ)がひらかたパークや菊人形を生み出したというくだりに爆笑しちゃいました。「団地」が産み落とされて、そこに暮らすちょっと変わった人たちの日常が、断片的に演じられます。
母が早くに亡くなり、父、兄、妹の3人暮らしの家庭。兄のヤマトタケルはどうやら重度の障がい者で、知能レベルが低く、しゃべることができません。いじめられて竹藪に落ち、タケルは植物人間になってしまうのですが、夢の中では自由に動いてしゃべることができ、ヤマタノオロチを退治したり、イザナミ(ここではタケルの母)を探す旅に出ます。ヤマタノオロチの正体は掃除機で、首1つごとに違う電器メーカーの製品名が付いていました。タケルはもちろん松下製(笑)。
子供を産めない夫婦が、魚を飼っている水槽の中にピラカタの町のジオラマを作ります。舞台の床にも、水槽の中にも小さなピラカタが生まれ、幾層もの入れ子構造になりました。水槽に沈んだ町はアトランティス大陸みたい。劇場空間全体が水槽であると想像させる音の演出(役者さんがぶくぶく…と言う)もありました。
すぐにプロポーズする男と、彼から逃げる女は、実は水槽の中の2匹の魚でした。トラックに轢かれた全身ボロボロになったのに、死なずに歩き続ける女性の歩き方が良かったです。神(尿神さま)を作ろうとした少年のモデルはサカキバラなのかな。
各エピソードがあまりに広々と散らばっていくので、ごまのはえさんが「この芝居、収集つくの?」と言ったのは、ちょうど中盤あたりだったでしょうか。たしかにあの時は不安になりました(笑)。
絶滅種の動物たちとヤマトタケルがあの世で出会って遊んでいるのを眺めて、人類もいずれ絶滅するんだよなぁと、遠い未来のことを自分の身に引き寄せました。夕方の団地にいつも響いていた讃美歌(のような歌)と、「ゴハンよー」と子供たちを呼ぶ母親らの声は幸福の象徴ですね。そう考えると、世界の“たそがれどき”のようなお芝居だったなぁと思います。
第31回公演 ≪福岡、京都、東京≫
出演:門脇俊輔、高原綾子、澤村喜一郎、市川愛里、織田圭祐、藤田かもめ、ごまのはえ
脚本・演出=ごまのはえ 舞台美術=西田聖 照明=葛西健一(GEKKEN staffroom) 音響=三橋琢 衣裳=市川愛里 小道具=織田圭祐 絵=竹内まりの 宣伝美術=大庭佑子 宣伝映像=本郷崇士 制作=高原綾子、澤村喜一郎、藤田かもめ プロデューサー=門脇俊輔 企画・製作・主催=ニットキャップシアター 共催=京都芸術センター(京都公演)
【発売日】2012/05/21 前売=3,000円 当日=3,300円 [学生] 2,500円(前売・当日とも/当日要学生証) [高校生以下] 1,500円(前売・当日とも/当日要学生証)
http://knitcap.jp/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年07月19日
非戦を選ぶ演劇人の会・ピースリーディングvol.15『私(わん)の村から戦争が始まる 沖縄やんばる・高江の人々が守ろうとするもの』07/18-19全労済ホール/スペース・ゼロ
非戦を選ぶ演劇人の会が毎夏おこなっているピースリーディング。今年は沖縄北部の高江の今を伝えてくださいました。リーディングが約1時間50分、休憩15分を挟んで演奏が2組、最後にトークがあり、終演までで約2時間50分ほどだったと思います。
初日は当日券が多数出る盛況で満席でしたが、明日14:00の回は半数ぐらいしか予約がないと坂手洋二さんがおっしゃっていました。お時間ある方はぜひ。
最後のトークに出演された琉球新報の記者さんが、「沖縄の米軍基地とそれにまつわる諸問題の全てが、この演劇で語られていた」とおっしゃっていました。
⇒CoRich舞台芸術!『私(わん)の村から戦争が始まる』
≪あらすじ・解説≫ 公式サイトより
沖縄県、東村高江(ひがしそんたかえ)は、沖縄本島北部の「やんばる」と呼ばれる豊かな森に囲まれた、約160人が住む小さな集落です。
このやんばる地方には広大な在日アメリカ軍施設「北部訓練場」があり、隣接する高江集落でも昼夜問わず軍用ヘリコプターが上空を飛び交っています。
1995年、日米両政府による「SACO合意」に基づいて、米国は北部訓練場の約半分を返還することを約束しました。沖縄の負担は軽減されるはずでした。
ところがある日、高江集落を囲むように、米軍のヘリパッド(ヘリコプター離着陸帯)を新たに6つ、増設する工事が始められました。北部訓練場一部返還の条件として、返還される部分にあるヘリパッドを高江に移設するということが取り決められたためです。話し合いを求める住民の声を無視して計画は進められていきました。
2007年の夏、このままでは高江に人が住めなくなる!と考えた高江の住民たちは、工事現場の入り口で、座り込みを始めました。
≪ここまで≫
日本国内の米軍基地の75%が沖縄に集中していることは、情報として知ってはいました。でも、やっぱり人の声と体を通して聴くと全然違います。私の場合、自分に起こった出来事になるから、無視できなくなるんですよね。語られたことが事実なのだと素直に信じられるのは、この企画に参加されている演劇人の方々の普段のお仕事を拝見して、信頼をしているからでもあります。
戦後十数年経ったころに沖縄で実際に起きた、小学校に米軍機が突っ込んだ事故の惨状は、聴いているのがものすごくつらかったです。米軍兵による女児を含む婦女へのレイプおよび暴行事件の、なんと多いこと。しかも事実上の治外法権なんですね。日本、なんという国…。
辺野古への基地移設に反対するCoccoさんのドキュメンタリー映画があります。昨年観たお芝居(沖縄の基地問題が題材です)のレビューにも載せてますが、再掲します。おすすめです。
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原発建設反対デモを“日課”のように実行してきた祝島の方々のドキュメンタリーもあります。高江の方々が望む、基地のない、豊かな自然とともにある生活も、こんな感じなのかなと想像しました。
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ここからネタバレします。
オスプレイと呼ばれるヘリコプターと戦闘機が合体したような兵器は、会場であるスペース/ゼロ(最大584席)の中にすっぽり、ピッタリと入るぐらいの大きさだと言われて、しばし呆然としました。デカすぎる…。詳しい説明は省きますが、「プロペラが簡単に壊れる構造になっている」と技術者が言っていたのは、つまり、乗務員は助かるけど、大破して飛び散ったプロペラの破片による負傷者のことは考慮していないということです。
「軍は市民を守らない」というセリフが何度か繰り返されました。それは沖縄戦の際に日本兵が防空壕から一般市民を追い出したエピソードからも明白ですし、まさに今、日本の空(それも150mという低空)を飛ぼうとしている米国の兵器のずさんな設計にもあらわれています。
高江から武器を積んだ兵器が飛び立つことが嫌だという気持ちが、刺さりました。この公演のタイトルにもなっていますね。アルジャジーラは沖縄を「悪魔の島」と呼んだそうです。米軍の戦闘機は、沖縄から、中東へと飛んでくるから。ベトナム戦争の時も基地で働く沖縄の人が戦闘機の整備(?)をしていた、と。私も、日本から戦争が始まるのは、嫌だ…。
・演奏1:ひらたよーこ/パーカッション:大光亘
・演奏2:HiRO(唄者)
≪トーク≫ 聴いてメモできたことのみです。
ゲスト(舞台下手から):坂手洋二 与那嶺明彦(琉球新報記者) 糸数慶子(衆議院議員) 宮城康博(元名護市議)
与那嶺:オスプレイは本土上空も飛ぶのです。沖縄だけじゃない。
糸数:第二次世界大戦の本土決戦では沖縄が最初に戦場になりました。そして沖縄の人々の4人に1人が亡くなりました。日本に復帰して40年。今またオスプレイを配備しようとしている。いつも沖縄が切り捨てられている。オスプレイ配備に反対している日本の知事は、沖縄県知事以外だと6人しかいません。高知、山口、和歌山など、飛行ルートに入っているところだけ。
宮城:高江は沖縄からも名護からも遠くて、住んでいる人も少ない。なのに10年以上、反対をしてきて、実際にヘリパッド建設を止められているのは凄いこと。でも今年7月10日に工事が再開されました。2年前、真鍋防衛局長は「オスプレイが配備されるかどうかははっきりしていない」と説明していたのに、本当はすでに配備が決まっていたことがわかったんです。
坂手:そうやってずっと我々を愚弄し、だましてきた。
与那嶺:沖縄はいつも「基地か経済か」の二項対立ばかりが目立って報道されますが、実際は沖縄のGDPで米軍基地が締める割合は5%です。それに、基地もいらないし経済的にも豊かに暮らしたいと、両方を求めて何が悪いのかと思います。
出演:北直樹、KiNoMi、きゃんひとみ、ゴリ(18日のみ)、沢田冬樹、重田千穂子、高橋長英、高山正樹、津嘉山正種、寺田路恵、中川安奈、西村壮悟、比嘉モエル、藤木勇人、蒔田祐子、みやなおこ、宮城康博、山谷典子、ゆかわたかし、ほか、阿仁屋美峰、新井純、市毛良枝、采澤靖起、枝元萌、大沢健、大鷹明良、大谷亮介、大多和民樹、沖直美 HiRO
脚本:清水弥生、瀬戸山美咲、坂手洋二 演出:鵜山仁 演出補:永井愛、美術:加藤ちか、照明:賀澤礼子、音響:秦大介、舞台監督:北条孝、宣伝デザイン:石原燃、制作:福島明夫・高橋俊也、広報:松田美由紀 協力:ポスターハリス・カンパニー、ヘリパッドいらない住民の会、CoRich舞台芸術! 主催:非戦を選ぶ演劇人の会 特別協賛:全労済ホール/スペース・ゼロ
【発売日】2012/06/27 一般1500円、中高生1000円、小学生以下500円
http://www.hisen-engeki.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年07月18日
SPAC・静岡県舞台芸術センター『マハーバーラタ ~ナラ王の冒険~』06/02-23舞台芸術公園・野外劇場「有度」
「ふじのくに⇔せかい演劇祭2012」(⇒記者発表の写真レポート)参加のSPAC15周年記念作品。『マハーバーラタ ~ナラ王の冒険~』はク・ナウカで2003年に上演された時に拝見して以来です。パリの劇場のこけら落とし公演として招聘されるなど、演出家、宮城聰さんの代表作の1つだと思います。
野外劇場「有度」での上演で、小雨の中、雨ガッパを着て鑑賞。いつもは舞台になっているところに客席が作られていたので、嬉しくなって前の方に座っちゃいました。上演時間は失念。すみません。
⇒CoRich舞台芸術!『マハーバーラタ ~ナラ王の冒険~』
≪あらすじ≫ パンフレットより (ムーバーの役者名)を追加。
絶世の美女ダマヤンティ姫(美加理)と勇敢な王子ナラ(大高浩一)。ふたりは、神々に祝福されて盛大な結婚式を挙げる。ナラの治める王国は栄え、二人の暮らしは穏やかに続くかと思われた。しかし、ナラを妬む悪魔カリ(横山央)の呪いによって、その幸せは打ち砕かれる。カリにとり憑かれたナラは、賭博に狂い、全ての財産を失ってしまう。とうとう、国までも弟プシュカラ(牧山祐大)に奪われ、ダマヤンティを伴って流浪の旅に出るナラ。しかし、呪いによって来る彼は、ダマヤンティすらも打ち捨ててしまう。離れ離れになったふたりは、それぞれに数奇な運命を巡り、互いを探し求める…。
≪ここまで≫
王様とお妃様、そして神様や悪魔が出てくる祝祭劇です。色を白に統一し、日本の着物をもとにした立体的なデザインの衣裳がすっごくかっこいい!
中央から客席下手へと伸びるL字型の舞台になっており、中央前方の席に座った私は、前方と左側を交互に眺めることになりました。役者さんや演奏者がとても近くて楽しかったです。
登場人物の動きを担当するムーバーと、セリフを語るスピーカーに分かれる、2人1役というスタイルです。ク・ナウカ時代から宮城さんと創作してきた俳優が出演されていて、安定感、重量感は抜群。美加理さんがカクンと首を曲げて立っている姿が美しかったな~。
失踪した王を探して、妻のダマヤンティが森の中をさまよいます。実際に原始林の中で上演されていることが、とにかく贅沢!色んな動物が登場するのですが、自然の風と雨の中ゆえの臨場感があったように思います。舞台の床が雨で濡れているので、激しい動き(ジャンプなど)はちょっと心配でしたが、水蒸気のスモークがいい効果になっていました。
ここからネタバレします。
語りは阿部一徳さん。何もかも阿部さんがしゃべっていると言っていいぐらいのセリフ量でした。「レバ刺し食べたい!」には笑ったな~。とはいえムーバーがセリフをしゃべることもあり、たまに阿部さんと会話をするのがいいスパイスになってました。
悪魔カリが三枚目のポジションを担っていて全然“悪魔”らしくなかったり、「シェー!」と昭和のギャグをかましたりするのは、好き嫌いが分かれるところかもしれません(笑)。私は人も動物も悪魔も神も、全部含めて、命を寿ぐお芝居なのだと受け取りました。あまり頭で考えずに、ただそこにある豊かな営みを浴びた感触です。とても贅沢で、幸せな時間でした。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
出演:長谷川逸子氏(建築家)+宮城聰 聴き手:大岡淳
長谷川さんは2度目の鑑賞だったようです。最初は中央から、2度目は舞台上手の客席から鑑賞し、残念ながらこの回は声が聞こえづらかったとのこと。座る場所によって感想が違うのかもしれません。
『マハーバーラタ』はパリのケ・ブランリー国立博物館内クロード・レヴィ=ストロース劇場のこけら落とし公演として招聘されました。宮城さんは同劇場の建築家の意図どおりには、空間を使わなかったそうです。日本での祝祭というと、盆踊りのやぐらのように、聴衆が演者を仰ぎ見る構造が一般的かもしれません。でもヨーロッパでは、演劇の起源がギリシア劇だと考えると、すり鉢状の劇場でステージに立っている演者を、観客が上から見下ろす構造になるんですよね。その違いについてのお話が興味深かったです。
SPAC15周年記念作品 ふじのくに⇔せかい演劇祭2012
出演:阿部一徳(語り)、赤松直美、泉陽二、いとうめぐみ、伊比井香織、大内米治、大高浩一、大多和芳恵、日下範子、黒須芯、桜内結う、鈴木麻里、鈴木真理子、大道無門優也、たきいみき、寺内亜矢子、中野真希、仲村悠希、前田知香、牧山祐大、美加理、山下ともち、山田裕子、山本実幸、横山央、吉植荘一郎
演出:宮城聰 台本:久保田梓美 音楽:棚川寛子 空間デザイン:木津潤平 照明デザイン:大迫浩二 照明:小早川洋也 音響:水村良 小嶋純真 山﨑智美 衣裳デザイン:高橋佳代 衣裳:駒井友美子 岡村英子 大岡舞 畑ジェニファー友紀 大内智美 小道具:深沢襟 小道具製作助手:佐藤洋輔 ヘアメイク:梶田キョウコ 古城雅美 早川夏未(アシスタント) 舞台監督:村松厚志 内野彰子 舞台:山田貴大 和田沙緒理 演出助手:中野真希 字幕翻訳:スティーブ・コルベイ 字幕操作:西尾祥子 バンドミストレス:寺内亜矢子 制作:大石多佳子 尾形麻悠子 製作:SPAC-静岡県舞台芸術センター 後援:インド大使館
【発売日】2012/04/15 一般大人:4,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円
☆SPACの会特典のほか、ゆうゆう割引、早期購入割引、みるみる割引、ペア/グループ割引料金があります。
http://www.spac.or.jp/f12mahabharata.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年07月17日
BATIK『おたる鳥をよぶ準備』06/30-07/01舞台芸術公園・野外劇場「有度」
「ふじのくに⇔せかい演劇祭2012」(⇒記者発表の写真レポート)の最後を飾ったのは、黒田育世さんの新作ダンス公演。上演時間はなんと野外劇場で3時間!前半が2時間30分、途中休憩15分をはさんで後半の15分間は、観客が舞台上に移り、客席が舞台となる演出でした。
大雨の野外公演は初体験でした…やっと屋外の洗礼を受けた気がします(笑)。100円のレインコートじゃあ頼りにならないのね!
⇒CoRich舞台芸術!『おたる鳥をよぶ準備』
⇒黒田育世ロングインタビュー(2010年) 前編 後編
あざやかな黄緑色の人工芝が敷き詰められたステージ。奥には本物の自然の木々が茂っています。舞台中央奥に人工芝と同色のパネルがぽつんと建てられており、紙製の日本地図(メルカトル図法)が貼られていました。
今回も黒田さんは冒頭から全力投球だなと思いました…。会場に入るなり、すでにフルスロットル。
死をテーマにした作品で、最期までおどり続ける鳥たちを見届けるには、強い雨が降りしきる環境は体力的にも精神的にも厳しかったですね。作品を鑑賞するというより、作り手と一緒に観客もふんばり続ける、ある意味とても能動的な(?)3時間でした。終演した時の私の達成感が異常(笑)。
ここからネタバレします。
笑顔で「私、ダンサーになるの!」と叫んで、日本地図に突進して、叩いて、また走って、倒れる。これの繰り返し。生まれて夢見て挫折して死んで、また何度も生まれて死ぬイメージ。
上手と中央で、「ダンサーになるの!」と言って倒れていた女性(名前わかりません)と黒田さんが2人で踊る間、下手ではあきらかにセックスの表象。その間、舞台上部に干した状態だった洗濯物が、何度も床に振り落とされます(洗濯物といっても雨でびしょ濡れ)。この繰り返しが凄かったな~…。何回繰り返したのか数えられないぐらいでした。席を立って帰ったお客さまもいました。
客席側が舞台になったラストは、高い台の上で踊る黒田さんのソロとじっくり観ることができました。空に、天に、神に、踊り(命)をささげているようでした。
SPAC・静岡県舞台芸術センター ふじのくに⇔せかい演劇祭2012
≪静岡、兵庫、愛知、東京≫
出演:BATIK(伊佐千明、植木美奈子、大江麻美子、梶本はるか、田中美沙子、寺西理恵、中津留絢香、西田弥生、矢嶋久美子、黒田育世)
構成・演出・振付:黒田育世 音楽・絵:松本じろ 舞台監督:寅川英司+鴉屋 舞台監督補:大友圭一郎 舞台監督助手:福島奈央花 小道具:栗山佳代子 照明:森島都絵(インプレッション) 音響:田鹿充 衣裳スタイリング:コロスケ 衣裳縫製:後藤寿子 中井川大介 制作進行:土屋彩子(ハイウッド) 制作プロデューサー:高樹光一郎(ハイウッド) 共同製作:愛知芸術文化センター、アイホール(伊丹市立演劇ホール)、SPAC‐静岡県舞台芸術センター 製作:BATIK 制作協力:ハイウッド
SPACスタッフ 舞台監督:内野彰子 舞台:佐藤洋輔 佐藤聖 和田沙緒理 照明:神谷怜奈 小早川洋也 音響:小嶋純真 衣裳:岡村英子 制作:伊藤尚子 高林利衣
【発売日】2012/04/15 一般大人:4,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円
☆SPACの会特典のほか、ゆうゆう割引、早期購入割引、みるみる割引、ペア/グループ割引料金があります。
http://www.spac.or.jp/f12otarudori.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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テアトロ・マランドロ『春のめざめ』06/30-07/01静岡芸術劇場
コロンビア出身でスイスでご活躍中の演出家オマール・ポラスさんによる『春のめざめ』は、「ふじのくに⇔せかい演劇祭2012」参加作品です。⇒記者発表の写真レポート
ポラス作品はSPAC『ドン・ファン』、SPAC共同制作版『シモン・ボリバル、夢の断片』を拝見したので、個人的には3度目。フランク・ヴェデキント作『春のめざめ』は戯曲がすごく好きで、今回はじめて上演を観られて嬉しかったです。演技も演出もとても面白かった。上演時間は約1時間55分。
⇒CoRich舞台芸術!『春のめざめ』
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
「赤ちゃんはどうやったらできるの?」
性にめざめ始めた子どもたちの悲劇
「子どもたちの悲劇」というサブタイトルを持つ本作は、性にめざめ始めた10代の少年少女の姿を赤裸々に描くと同時に、彼らを取り巻く無理解な大人たちや、19世紀末の抑圧的な道徳観を痛烈に批判した社会風刺劇です。ストレートな性描写、10代での妊娠・中絶死、暴力、やがて起こる友の自殺――。その過激さゆえに発表当時(1891年)のドイツでは社会問題にまで発展し、以後1906年まで上演を禁じられていたという、いわくつきの作品です。ブロードウェイミュージカルにもなった本作を、ポラスがどのように演出するのかに注目です。
≪ここまで≫
舞台中央から下手にコンクリートの壁。その奥には森の木々。壁の前の床には土が敷かれています。俳優はいわば戯画的な演技で子供たち、大人たちを代わるがわる演じます。衣裳とヘアメイクは映画「アダムス・ファミリー」みたい。
勉強できない子を落第させたり、世間体を守るために堕胎させたり、大人が子供の命を奪うエピソードが連続する残酷な物語ですが、過激だったり幻想的だったりするヴィジュアルによって、出来事の奥底や外側を豊かに想像させてくれました。役者さんもすごく達者な方々で満足。
ここからネタバレします。
両親が息子メルヒオールを糾弾する場面は、白黒の無声映画を模した演出でかなりコミカル。でも起こってることは非常に恐ろしいです。
自殺したモーリッツが眠る墓地で、出演者が次々とかつらを脱いでいくのには驚きました。完全に、物語の世界の外側へと出て行く演出ですよね。具体的にどういう意味なのかはっきりとはわからないですが、私は(物語の中の)窮屈な世間からの開放や、架空の物語と今ここにいいる出演者(および観客)との出会いなどと解釈しました。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
出演:オマール・ポラス 宮城聰 ほか(女優さん1人)
ポラス:この作品は長い、長い、詩だと思う。詩的な部分をあらわすために絵を使った。壁の絵の文字はCondemned to Agony。
ポラス:人生は「楽しい苦しみ」だと私は思っています。
宮城:座右の銘にしたいぐらいの言葉ですね。
SPAC・静岡県舞台芸術センター ふじのくに⇔せかい演劇祭2012
出演:ソフィー・ボット、オリヴィア・ダルリック、ペギー・ディアス、アレクサンドル・エテーヴ、アドリアン・ジギャクス、ポール・ジャンソン、ジャンヌ・パスキエ、フランソワ・プロー、アンナ=レーナ・シュトラーセ
脚本:フランク・ヴェデキント 演出:オマール・ポラス 翻訳・翻案:マルコ・サッバティーニ、演出助手:ジャン=バティスト・アルナル、作曲・音楽監督:アレッサンドロ・ラトチ、美術:アメリー・キリツェ=トポール、衣裳:イレーヌ・シュラッテール、衣裳助手:アマンディーヌ・リュチャマン、衣裳製作:セシリア・モッティエ、かつら・メイク:ヴェロニク・グエン、かつら・メイク助手:ジュリー・デュリオー、技術監督:オリヴィエ・ロレタン、舞台監督:ジャン=マルク・バッソーリ、小道具:ローラン・ブーランジェ、音響デザイン:エマニュエル・ナッペー、照明デザイン:マティアス・ロッシュ、制作:フロランス・クレットル、広報:サラ・ドミンゲス、ロジスティクス:リュシー・ゴワ、会計:ロサンジェッラ・ザネッラ 製作:テアトロ・マランドロ 共同製作:フォロム・メイラン劇場、エスパス・マルロー シャンベリー・サヴォワ国立舞台、シャトーヴァロン国立文化創造発信センター 助成:ジュネーヴ市、ジュネーヴ共和国・ジュネーヴ郡文化部、メイラン市、プロ・ヘルヴェティア スイス文化財団、ロトリー・ロマンド、メイラン市文化・スポーツ・社会事業推進財団、ハンス・ヴィルスドルフ財団、レーナールト財団 後援:スイス大使館 ※テアトロ・マランドロはフォロム・メイラン劇場のレジデントカンパニーです。
SPACスタッフ 舞台監督:村松厚志 舞台:市川一弥 渡辺明 永野雅仁 照明:樋口正幸 村松彩香 音響:西沢理恵子 大塚翔太 衣裳:駒井友美子 畑ジェニファー友紀 通訳:石川裕美 字幕・操作:堀切克洋(酒寄進一訳による) 制作:佐伯風土 岡野彰子
【発売日】2012/04/15 一般大人:4,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円
☆SPACの会特典のほか、ゆうゆう割引、早期購入割引、みるみる割引、ペア/グループ割引料金があります。
http://www.spac.or.jp/f12printemps.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【情報】福島県立あさか開成高校『この青空は、ほんとの空ってことでいいですか?』が7月31日に横浜で上演されます
東日本大震災からちょうど1年経った今年3月、東京の劇場で福島県立あさか開成高校演劇部が『この青空は、ほんとの空ってことでいいですか?』を上演しました。その直後、同校演劇部員はチャリティーイベントにも出演していました。
今月末に横浜で、また『この青空は、…』が観られます。昨年の三年生が卒業して、新キャストになっての上演です。私のレビューから一部抜粋した文章がチラシに掲載されております(⇒PDF)。
●PAW YOKOHAMA・PAW2012東北支援公演vol.2
福島県立あさか開成高校(郡山市)演劇部作品
『この青空は、ほんとの空ってことでいいですか?』
2012年7月31日(火)19時~@かなっくホール
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⇒公式サイト ⇒主催者ツイッター ⇒facebook内エントリー
※8月1日には同校演劇部元顧問の佐藤茂紀先生による高校生向けワークショップも実施されます。
福島県郡山市で暮らす高校生の本音を、高校生自身の声で聴くことは、衝撃をともなう貴重な体験になると思います。この機会にぜひ横浜にお運びください。
華のん企画『子供のためのシェイクスピア「リチャード三世」』07/15-21あうるすぽっと
マチネの『ヘンリー六世 Ⅲ(第三部)』に続き、ソワレの『リチャード三世』(再演)を拝見しました。関連レビュー⇒1、2、3 上演時間は約2時間10分(途中休憩15分を含む)。
初演より面白かったのはなぜなのかな~と考えたんですが、やっぱり『ヘンリー六世 Ⅲ(第三部)』と連続で、時系列に観られたからだと思います。何度も観てるはずなのに内容をすっかり忘れてるような、記憶力の弱い残念な観客だからかもしれませんが…(汗)。
全国12か所をめぐる夏休みのツアー公演ですが、2作品を同じ会場で観られるのは東京と大阪だけです。ご興味わいたらお早めにご予約を♪
⇒おけぴ「12/07/05 華のん企画『ヘンリー六世 Ⅲ』稽古場レポ」
⇒CoRich舞台芸術!『子供のためのシェイクスピア「ヘンリー六世 Ⅲ」「リチャード三世」』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
15世紀、イングランドの王座はランカスター家とヨーク家によって争われていた。
『ヘンリー六世』第三部で描かれる王権争いの終結、
しかしそれは『リチャード三世』へと続く惨劇の序章でもあった・・・
≪ここまで≫
開演前の歌い手は伊沢磨紀さん。曲目はスガシカオ『黒いシミ』でした。
『ヘンリー六世 Ⅲ』と同様の演出・演技スタイルですが、群像劇だった『ヘンリー…』と違い、『リチャード三世』はタイトルロール(山崎清介)が中心になっていました。だから連続ものとはいえ、受け取った印象はかなり違いました。原作がそうなのもあるでしょうね。『ヘンリー…』で張られていた伏線が回収されるのが気持ちいいです。きっと逆の順番で観ても面白いと思います。
2作通じて全体的に、照明が地味すぎるんじゃないかな~という気はしました。もっと色づけしたり、あおったりする効果を使ってもいいんじゃないかしら、とか。
ここからネタバレします。
『リチャード三世』の冒頭で『ヘンリー六世 Ⅲ』の一部を繰り返して見せて、前編を説明する演出でした。わかりやすくていいと思います。※7月15日は、代役の長本批呂士さんと山崎さんが同じ場面を演じることになったので、2人のリチャードを見比べられてお得でした♪
特に『ヘンリー…』で大活躍だった“ガミガミ女”のマーガレット(伊沢磨紀)は、『リチャード…』で突然登場すると、“魔女のような不可思議な登場人物”になってしまいかねないんですよね(今までの観劇経験上)。「ヨーク家の宿敵だったヘンリー六世の妻」だとわかって観ると、全然違います(物語を憶えている観客には必要ないかもしれませんが)。マーガレットが拡声器を通して呪いの言葉を発するのがすごく良かった(笑)。
『ヘンリー六世 Ⅲ』でヘンリー六世(若松力)が「リッチモンド(伊沢磨紀)が王になる」と予言していたり、ヨーク家の長男エドワード王(佐藤誓)の病死が暗示されていたり、続編だから楽しめる仕掛けもいっぱい。主要登場人物を同じ役者さんが演じているのもいいですね。もちろん、複数役演じるゆえの楽しみもあります。リチャードの母親であるヨーク侯爵夫人を男性の佐藤誓さんが演じたのは破壊力抜群でした(笑)。
リチャードは最後にリッチモンド(伊沢磨紀)に破れます。勝利をおさめたリッチモンドは、リチャードの左手(シェイクスピア人形)をもぎ取って右わきに抱えました。ばら戦争が終わってテューダー朝になっても、まだ争いは続くという意味ですよね。しゃべる人形の持ち主が変わるアイデアが面白いです。
死者は舞台上に横たわり、2人の人物(たぶん黒コートの人々)が死者の両手を引っ張って、その体を床に引きずりながら袖にはけます。リチャードに殺される人数が多いから、死者を引きずる場面も多いんですよね。最後に舞台上部に光った多数の小さな照明は、星空を表現していたと思うのですが、その星々が死者の数のように思えました。
あと、これは1ファンの勝手なつぶやきですが、イエローヘルメッツが出てこなかったですよね?悲しい!
王座をめぐる復讐の輪廻の物語、二作交互上演!
≪東京、神奈川、茨城、静岡、福島、大阪、愛知、滋賀、長野、愛知、福岡、三重≫
出演:伊沢磨紀(マーガレット/ヘースティングス/リッチモンド) 佐藤誓(エドワード/ヨーク侯爵夫人/司教) 山口雅義(ジョージ/スタンリー) 戸谷昌弘(ケーツビー/王子・兄) 若松力(ヘンリ―六世/バッキンガム) 大内めぐみ(エリザベス) 谷畑聡(グレー/ブラッケンベリー) チョウヨンホ(リヴァーズ/ティレル) 佐藤真希(皇太子/アン/ヨーク[王子・弟]) 山崎清介(リチャード/人形[左手])
原作=ウィリアム・シェイクスピア≪小田島雄志翻訳による≫ 脚本・演出:山崎清介 照明:山口暁 音響:角張正雄 衣裳:三大寺志保美 演出補:小笠原響 舞台監督:井上卓 プロデューサー:峰岸直子 企画製作:華のん企画 主催:華のん企画 稽古場アンダースタディー:長本批呂士
【発売日】2012/05/14 大人 5,000円 子ども(中学生以下) 3,000円 親子ペア(大人1+子ども1)6,800円※ 2公演通し券(『ヘンリー六世』1+『リチャード三世』1)8,500円※ ※華のん企画のみ取り扱い 当日学生割引(要学生証)4,200円
http://www.canonkikaku.com/information/shakespeare.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年07月16日
柿喰う客『無差別』09/14-24東京芸術劇場シアターイースト
柿喰う客『無差別』すごく良かった。今までに私が観た柿オリジナル作品でNo.1かも。最初はなぜに民話調?と思ったけど、荒々しく脈打つあらゆる命をことほぐ、祈りの演劇だった。野蛮で嫉妬深くて愚かでチャーミングな日本の神様が、劇場に降りてきてくれた。もうちょっと笑いが多い方が好みかな。
— 高野しのぶ (@shinorev) 2012, 9月 16
上演時間は1時間20分ぐらい。
※第57回岸田國士戯曲賞最終候補作品になりました(2013/12/29)。
⇒CoRich舞台芸術!『無差別』
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
罪悪を犯し禁忌を破り、
運命を呪い現世を生きる。
神も仏も獣も人も、
無差別に陥る因果の罠。
柿喰う客、1年半ぶりとなる新作長編!
戦後日本の思想的転換を題材に
人間<テクノロジー>と神<自然>の調和と共存を描く!
≪ここまで≫
≪東京、福岡、大阪≫
東京芸術劇場リニューアル記念「eyes plus」柿喰う客、1年半ぶりとなる新作長編
出演:七味まゆ味、玉置玲央、深谷由梨香、永島敬三、大村わたる、葉丸あすか、中屋敷法仁
脚本・演出:中屋敷法仁 美術:原田愛 照明:松本大介 音楽:和田俊輔 音響:上野雅 振付:北尾亘 衣裳:髙木阿友子 ヘアメイク:田中順子 演出助手:入倉麻美 舞台監督:棚瀬巧 宣伝美術:山下浩介 宣伝写真:引地信彦 映像撮影:竹崎博人 広報:赤羽ひろみ 票券:北澤芙未子 制作助手:加藤恵梨花 制作:斎藤努 制作協力:ピクニック/righteye/PAMC 企画・制作:柿喰う客 主催:柿喰う客/ゴーチ・ブラザーズ
アリーナ7:4,800円(前売のみ、各回限定7席、読み方:アリーナセブン) 一般:3,800円 初日割引:3,500円 平日昼間割引:3,500円 乱痴気公演:3,800円(全キャストシャッフルにて上演)
全ステージ共通割引 敬老(60歳以上):3,500円/学生2000円/高校生以下1000円<※当日受付にて要証明> ≪当日料金≫各前売りより500円UP
http://kaki-kuu-kyaku.com/main/?p=2694
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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華のん企画『子供のためのシェイクスピア「ヘンリー六世 Ⅲ」』07/14-22あうるすぽっと
毎夏のお楽しみ、子供のためのシェイクスピアカンパニーの公演。今年は『ヘンリー六世 Ⅲ(第三部)』と『リチャード三世』(再演)の交互上演です。この2つは歴史劇の続編なんですね。私は時系列順に『ヘンリー六世 Ⅲ』を先に拝見。関連エントリー⇒1、2、3、4、5 ※開演前にイエロー・ヘルメッツによる歌のサービスがあります。劇場へはお早めにどうぞ。
『ヘンリー六世 Ⅲ』と『リチャード三世』の両方に登場するリチャード役を演じるのは、脚本・演出の山崎清介さんです。山崎さんが体調不良のため、東京公演初日と2日目の2ステージだけ、稽古場代役(アンダースタディー)の長本批呂士さんが代役をつとめられました。上演時間は約2時間10分(途中休憩15分を含む)。
東京公演の後、各地を回るツアー公演ですが、2作品が同時に観られるのは東京と大阪だけです。私は続けて観られたおかげでとてもわかりやすかったので、もしお時間あれば2作品ともぜひ。
⇒おけぴ「12/07/05 華のん企画『ヘンリー六世 Ⅲ』稽古場レポ」
⇒CoRich舞台芸術!『子供のためのシェイクスピア「ヘンリー六世 Ⅲ」「リチャード三世」』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
15世紀、イングランドの王座はランカスター家とヨーク家によって争われていた。
『ヘンリー六世 』第三部で描かれる王権争いの終結、
しかしそれは『リチャード三世』へと続く惨劇の序章でもあった・・・
≪ここまで≫
私が観た回の開演前の歌い手は若松力さんでした。曲名忘れちゃったな。
黒いコートに身を包んだ俳優が木製のイスと机を移動させ、おなじみの手拍子と群舞でスピーディーに場面転換。コートを脱ぐとカラフルな衣裳の人物が現れます。俳優1人で数役を演じる上、黒コートを着れば不特定な誰かになって、たちまちコロスの一団が形成されるので、演出の幅がとても広いです。戦闘場面では激しいアクションもあって、切れのある殺陣を見せてくださいました。このカンパニーの歴史を感じます。
シェイクスピアの歴史劇の物語展開は折り紙つきの面白さ。さらに、長編をカットしてわかりやすく構成し、子供も大人も笑えるギャグを存分に挟みこんで、テンポよく進めてくれます。長い独白を複数人に分担させることで、聴きやすく、理解しやすく、新しい面白さも増えるんですよね。また、かえって独白を際立たせる効果もあったように思います。もともと原作は長いセリフが多いですから、厳選されることで重みが増すのではないでしょうか。特にヘンリー六世(若松力)、リチャード(長本批呂士)が客席に向かってじっくり話す場面は印象に残りました。
ヨーク家の三男坊、背むしの醜いリチャードは、左手にシェイクスピア人形を持っています。醜さを“しゃべる左手”で表象しているんですね。いつもは山崎清介さんが腹話術のように人形を操い、常に1人2役状態で演技をされるのを、代役の長本批呂士さんも見事にやりきってらっしゃいました。独白(人形との対話だったりもする)もすごく良くて驚きましたね~!シェイクスピア人形のしゃがれ声まで似せていて凄いです。
ちょっと気になったんですが、私が観た回(7月15日の昼と夜)は、子供のお客様がほとんどいなかったです。見かけた小学生は2人ぐらいかしら?夏休み前だからなのかな。でもこの日は前売り完売だったので、大人の常連客で埋まったのかもしれません。
ここからネタバレします。
ランカスター家(白ばら)とヨーク家(赤ばら)の30年に渡る戦いは“ばら戦争”と呼ばれています。白ばらと赤ばらの旗は終盤になって出てきましたが、もうちょっと早めに出してもらった方がわかりやすかった気がします。衣裳やステージングでグループ分けははっきりしているとはいえ、1人の役者さんが複数役演じますので、誰が誰の敵・味方なのか、頭の中で少々混乱しました。特にウォリック(チョウヨンホ)とジョージ(山口雅義)、寝返りすぎ(笑)。
ヘンリー六世が実子への王位継承権をヨーク家に譲ったのは、これ以上、罪のない国民を王権争いの死闘に巻き込みたくなかったから。心優しくて弱い王、ヘンリー六世の心の声に、今までにはないほど共感している自分がいました。私も弱ってます。…と言いながら、続編の主人公となるリチャードの暴虐・残忍な独白にも惹かれまくりなんですがっ!(笑)
王座をめぐる復讐の輪廻の物語、二作交互上演!
≪東京、神奈川、茨城、静岡、福島、大阪、愛知、滋賀、長野、愛知、福岡、三重≫
出演:伊沢磨紀(マーガレット/ウェストモアランド) 佐藤誓(エドワード) 山口雅義(ジョージ/ノーサンバランド) 戸谷昌弘(ヨーク/モンタギュー) 若松力(ヘンリ―六世/王ルイ) 大内めぐみ(エリザベス/ラットランド/モンゴメリー) 谷畑聡(クリフォード/オクスフォード) チョウヨンホ(ウォリック) 佐藤真希(皇太子/ボーナ姫) 山崎清介(リチャード/人形[左手]) 長本批呂士(『ヘンリー六世』東京公演初日と2日目のみ出演)
原作=ウィリアム・シェイクスピア≪小田島雄志翻訳による≫ 脚本・演出:山崎清介 照明:山口暁 音響:角張正雄 衣裳:三大寺志保美 演出補:小笠原響 舞台監督:井上卓 プロデューサー:峰岸直子 企画製作:華のん企画 主催:華のん企画 稽古場アンダースタディー:長本批呂士
【発売日】2012/05/14 大人 5,000円 子ども(中学生以下) 3,000円 親子ペア(大人1+子ども1)6,800円※ 2公演通し券(『ヘンリー六世』1+『リチャード三世』1)8,500円※ ※華のん企画のみ取り扱い 当日学生割引(要学生証)4,200円
http://www.canonkikaku.com/information/shakespeare.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年07月14日
こまつ座・ホリプロ『しみじみ日本・乃木大将』07/12-29彩の国さいたま芸術劇場大ホール
井上ひさしさんの1979年初演戯曲を蜷川幸雄さんが演出されます。「井上ひさし生誕77フェスティバル2012」も半ばを過ぎましたね。初日を拝見しました。上演時間は約2時間40分(途中休憩15分含む)。
お芝居でこんなに軽~い気持ちで笑ったのは久しぶりだったかも~(笑)。朝海ひかるさん、香寿たつきさんがお好きな方は必見かと!⇒初日の感想ツイート
⇒CoRich舞台芸術!『しみじみ日本・乃木大将』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
明治天皇大葬の日の夕刻。大帝に殉死することを決意した陸軍大将乃木希典が、夫人の静子様と共に、自邸の厩舎の前で3頭の愛馬に最後の別れを告げている。そこへ、出入りの酒屋の小僧が現れ、この家の書生になることを志願する。実はこの少年、かつて日露戦争で乃木の軍にいて戦死した兵士の忘れ形見で、その後乃木本人とも因縁浅からぬ関係ができていたのだ。
一行が立ち去った後、夫妻のただならぬ様子に異変を感じた愛馬たちが、突如として人の言葉を喋りだす。そしてあろうことか、3頭それぞれが前足と後足に分裂し、併せて6つの‘人格’ならぬ‘馬格’となって動き出したのだ!勝手気儘に語りだす愛馬たちに、やがて近所で飼われている2頭の牝馬も加わり…
≪ここまで≫
俳優が馬の脚を演じるのですからコメディーなのだろうと予想はしていましたが、まさかここまでとは!(笑) 最初は、有名俳優がとことん“馬”鹿を極める、はちゃめちゃのドタバタ喜劇に少々ひるみもしたのですが、実は明治時代の日本(軍)を超~過激に風刺する構造だとわかり、さすがは井上ひさし戯曲…!と唸りました。天皇と乃木大将の主従関係は、乃木大将を主人とする馬の脚たちの関係と同じです。馬の脚が語るのは当時の庶民らの本音。軍人だけでなく庶民もちゃんと登場させているんですね。
舞台の額縁を覆っていたのは定式幕。上演中は舞台奥の大きな幕をカーテンのように上下(かみしも)に移動させて場面転換します。舞台上でどんどん衣裳を着替えて、大道具、小道具の移動も役者さんがされて、ペープサートのような手作り感も盛り込み、劇中劇であることを前面に出していました。アドリブ(と思わせる演技)が派手で面白い!役者さんが客席を向いて話す時は、客席の照明をすごく明るくして、観客に参加を促しているようでした。
爆笑・苦笑の連続の中に、日本兵が“神軍”となっていくきっかけ(仕掛け)を、わかりやすく、大胆に示されました。迷いなく、鮮やかに、ぐんぐんと前へと運んでいく演出の力強さは、蜷川さんならではだと思いました。
ここからネタバレします。
香寿さんと朝海さんという元宝塚女優による、堂々たるデフォルメ宝塚(男役)なんて豪華すぎる!ゆえに、ものすごく滑稽!!2人で登場すると必ず拍手が起こるぐらいになっちゃって、私ももれなく拍手!!あー楽し過ぎた(笑)。
2人が演じる元帥が、乃木大将の個人的エピソードを利用して、日章旗(連隊旗)を天皇(=神)であると洗脳する手段にしたことも、笑いを存分に引き出す演技で伝えていきます。とても巧みだと思いました。
役者さんは軍服やドレス、和服を着ていても、下半身がぬいぐるみの馬になっているので、日本昔話などでよくある「たぬきが化けそこなった姿」のようで(笑)、おどけたムードと可愛らしい印象、さらには間抜けにも見えるのが良かったです。それでも明治天皇(大石継太)と皇后(根岸季衣)が登場すると、なぜか緊張してしまう私…。これもまた洗脳なのかもしれません。
鎖国が解けて江戸時代から明治となり、急激な近代化を迫られた日本人は、何を信じて何を目指して生きて行けばいいのかわからなくなったんじゃないでしょうか。なんだか今の私と重なります(昨年の震災で日本は変わったと思うので)。日本政府は日本兵に指針を示すべく、お手本として乃木大将とその夫人を選んだ、そして皆で一斉に“型”を演じていたのだ…とする井上さんの鋭い筆。皇后発案のあんぱんを、勲章のように恭しく胸につけまくる軍人らは滑稽ですが、私たちも似たようなことをやっているのでしょうね。
誰もがある型を演じることで、常識や社会通念などは形作られていきます。旗を守るために死ぬとか、天皇が死んだら自分も死ぬとか、そんな“型”を信じ込ませ強制したことは恐ろしいことです。ただ逆に、そういう理念がまるでないことも、人間が生きることを困難にするようにも思います。今の日本はそういう状態にある気がします。
初日の時点ですが、日本の童謡の替え唄を歌うところは、まだまだ改善の余地ありかなと思いました。観客も一緒にノリノリで観ていられる場面になるのかも。
≪埼玉、大阪、新潟≫ 井上ひさし生誕77フェスティバル2012 こまつ座&ホリプロ公演
出演:風間杜夫 根岸季衣 六平直政 山崎一 大石継太 朝海ひかる 香寿たつき 吉田鋼太郎 大川ヒロキ 都築香弥子 岡部恭子 荻野貴継 浦野真介
脚本:井上ひさし 演出:蜷川幸雄 音楽:朝比奈尚行 美術:中越司 照明:服部基 音響:井上正弘 衣裳:宮本宣子 ヘアメイク:佐藤裕子 演出補:井上尊晶 舞台監督:濱野貴彦 主催:こまつ座/ホリプロ/公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団
【休演日】7/17,24【発売日】2012/05/12(全席指定・税込)S席:8400円 A席:6300円 B席:5250円
http://www.horipro.co.jp/usr/ticket/kouen.cgi?Detail=179
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2012/p0712.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年07月10日
芸団協セミナー「劇場法をめぐるラウンドテーブル ~劇場法制定、これまでとこれから」07/09芸能花伝舎1-1
配布資料
「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」(通称:劇場法)が成立し、今年6月27日に公布されたことを受け、芸団協でラウンドテーブルが開催されました。ご参考⇒2010年のラウンドテーブルまとめ 劇場法の条文は文化庁のホームページからダウンロードできます。
ザクっと、かなり乱暴にひとことで言ってしまうと、これまで「劇場」として利用されながら法的に「劇場」とは認められていなかった建物が、晴れて法的に「劇場」と認められるということです(図書館や美術館には専用の法律がありました)。だからどうなるか(どういうメリットがあるか/規制があるか)は、これから肉付けしていくことになるようですね。
※応募者多数でかなりの申込みを断ったこともあり、後日、このラウンドテーブルの内容は芸団協のウェブサイトで公開されるそうです。
劇場法は平成13年に公布された文化芸術振興基本法に基づくもので、「劇場、音楽堂等の活性化を図ることにより、我が国の実演芸術の水準の向上等を通じて実演芸術の振興を図り、もって心豊かな国民生活および活力ある地域社会の実現に寄与する」ことを目的にした法律です。
ラウンドテーブルでは演劇、バレエ、邦楽、クラシック音楽(オーケストラ)、スタッフ(音響家などの技術者)、ジャズダンスという各ジャンルで活躍する方々のご意見を拝聴できました。特に印象に残ったのは、東京交響楽団がミューザ川崎シンフォニーホールと新潟のりゅーとぴあで行っているアウトリーチのこと。劇場を介してアーティストと一般市民が触れ合い、地域社会に貢献している好例だと思いました。
第十三条には「国および地方公共団体は、制作者、技術者、経営者、実演家など専門能力者の養成・確保のための施策を講ずる」という意味のことが書かれています。観客側の私はついつい芸術家のことばかり考えてしまうのですが、劇場の安全を確保し、作り手と観客を守ってくださっているのは技術者の方々です。
⇒劇場等演出空間の運用および安全に関するガイドライン(PDFダウンロードできます)
このガイドライン(資料)がより多くの劇場に伝わるのも良いことだと思います。
また、日本版アーツカウンシルができたこともあり、舞台芸術への公的助成の方法は今までとは変わるようです(すべての助成について当てはまることではありません)。「過去10年にわたり助成されてきたからといって、来年も助成されるとは限らない」時代になるとのこと。劇場法に基づいてこれから決まっていくことを注視していく必要があると思います。
⇒日本芸術文化振興会プログラムディレクターの採用について(PDF 2012年4月2日)
ゲストスピーカー:大野順二(東京交響楽団) 芸団協・実演芸術新興委員会/政策部会[(向かって左から。※中央に大野順二氏) 福島明夫(公益社団法人日本劇団協議会/日本新劇製作者協会)、大和滋(芸団協)、小山久美(東京バレエ協議会)、中島一子(公益社団法人日本三曲協会) 支倉二二男(社団法人日本オーケストラ連盟)、松木哲志(日本舞台音響家協会)、家城比呂志(一般社団法人日本ジャズダンス芸術協会)]
主催団体:芸団協
入場無料(要事前申込み)
http://www.geidankyo.or.jp/12kaden/seminar/detail/412
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【俳優養成・演劇教育】俳優指導者アソシエーション「『シリーズ 俳優指導者のすべて』第3回“俳優養成の現状と未来”」06/23芸能花伝舎1ー3
緑茶と和菓子をお供に
当サイトでご紹介していた俳優指導者向けのセミナー(全3回)の最終回を拝聴しました(紹介エントリー⇒1、2)。朝11時から夕方17時まで(途中、昼食休憩あり)、みっちりの座学および意見交換です。
2004年にロシア・マールイ劇場『かもめ』の舞台中継をNHKで見て以来、私は「舞台上で役人物として生きている俳優が観たい!」と思い続けてきました。その傾向は強くなるばかりで、今は俳優の心身にコントロールできていない嘘が見えると、どんなに演出が良くても劇世界に入ることが難しいという、融通の効かない観客になってきています。
そんな私のわがままを叶えてくれるのは、俳優指導者の先生方とその教育を受けたプロの俳優ではないかと気づいてから数年が経ちました。ただ、日本では“俳優指導者”の定義が確立されているわけではなく、俳優を教えるプロの指導者のほかに、プロの演出家と俳優、そして学校での演劇教育や、一般市民向けの創作演劇を教えるワークショップリーダーなども、俳優指導者であるとされているのが現状です。
今回のセミナーはそれらをふまえた上で具体的な問題点や課題を洗い出し、将来の展望を参加者全員で共有するものだったと思います。以下のレポートでは、私がメモしたことを7点に分割してまとめました。参考文献もいくつかご紹介していますので、ご興味のあるところからお読みいただけたらと思います。
※数か所ですが、⇒⇒⇒以下で私の感想および意見を述べています。最後にまとめの感想も書きました。
俳優指導者アソシエーションのメンバー(参加者・敬称略:池内美奈子、川南恵、石本興司、鍬田かおる)以外の参加者は、市民参加演劇のワークショップを担当する俳優、高校で演劇の時間を受け持つ俳優、全国で学生向けワークショップの指導をしている俳優、劇場の企画で一般市民向けのワークショップの担当をしている俳優、海外留学経験を生かして劇団でワークショップをしている俳優、俳優・声優・お笑い芸人を育成する専門学校の講師だった演出家、稽古場翻訳もする制作者など。やはり職業は多岐に渡っています。
【1.俳優指導者のおおまかな内訳】
〈1〉俳優養成を専門にしている指導者(実演家を育てる意識がある)
〈2〉小学校・中学校・高校・大学の演劇教育の講師(教育現場で演劇を教える、演劇的手法を応用して教える)
〈3〉一般向けのワークショップ・リーダー、ファシリテーター(演劇的手法を使って、社会に貢献する)
鍬田:俳優が片手間に、自分の体験や知識だけをもとに俳優を教えるのは、本当の意味でのプロの俳優養成とは違う。どのような実演家を育てるのかという目的意識とその目的達成のための手段に専門性があるのが俳優指導者。職業意識を持つことが大事。〈1〉〈2〉〈3〉は別の職業で、3つすべてが大事。演劇に比べて音楽とダンスはそこがちゃんとしている。
【2.教育の歴史】
■日本の教育のあり方は何度も変化してきた
川南:俳優養成は教育です。俳優の専門である前に、その下地として当然「学校教育」があるはず。また、人生のどの時期に、どのような教育を受けたのかが、人物形成に与える影響は大きい。私たち俳優指導者は、指導対象者をより深く理解するためにも背景にある日本の学校教育制度について知る必要がある。日本の教育行政担当機関である文部科学省の教育過程(カリキュラム)=学習指導要領 は戦後、何度も変わってきた。以下、時期に関しては小学校での実施開始の年を記載している。(概ね中学校での実施は翌年、高等学校では翌々年)
・1945年 終戦
・1960年 安保闘争
・1971年 文部省 学習指導要領①
→受験戦争、つめこみ教育
・1980年 文部省 学習指導要領②
→学習量を少し削減
・1992年 文部省 学習指導要領③
→学習量を少し削減。高校進学率90%・大学進学率50%。
・2002年 文科省 学習指導要領④
→「ゆとり教育」。週休2日制・学習量3割削減・総合学習の時間の誕生。
→塾の発達。貧富の差が学力の差としてあらわれる。
・2011年 文科省 学習指導要領⑤
→授業時数増加
川南:一般的に1987年生まれがゆとり第一世代と呼ばれている。今の大学生はゆとり第二世代。俳優指導者は自分が受けてきた教育と、生徒になる俳優が受けてきた教育が「違う」ことを知っておくべきだ。今の時代は「複雑」で「多様」で「速い」というのが特徴。
参加者S:1987年生まれの生徒から、授業中にトイレに行く子が増えた。ゆとり世代の生徒たちには自由な空気がある。
★参考文献 土井隆義著『キャラ化する/される子どもたち』
岩波書店
売り上げランキング: 20871
川南:最近の若いひとたちのなかには「この人の前ではこのキャラ、あの人の前ではあのキャラ」と自分を変える傾向がある。子どもたちは小さく分かれたグループのなかで日々を営み、そこでの「キャラ」で対応する。異年齢や多様な他者との交流経験が少なく、自己の統一性も脆弱。指導者はそのことをふまえておくべき。
【3.学校での演劇教育】
■学校でのワークショップの増加・学校内の文化を理解すること
川南:昔は少なかったが、今は学校教育の場でのワークショップは増加している。また、ワークショップを指導する人も増えたので、演劇人の中でその仕事は激戦になりつつある。だから能力や実績がより重要視されるだろう。
教育現場に入っていく演劇人が気をつけるべきことは、学校内の文化を理解すること。学校には学校特有の文化がある。そこに「演劇の文化」をどうアダプテーションしていくかのプランやセットアップは十分に練るべき。また公立や私立など学校ごとにも異なる文化があることを理解しておく必要がある。
石本:パートナーとしての学校教師が抱えている仕事の内容と量をある程度知っておくことが、我々講師にとって大切。
鍬田:小学生に演劇的手法に触れさせて、学校で演劇をつかった教育をほどこすのも方法の1つだけれど、優れた作品世界に触れさせること、つまり上演によって演劇を体験してもらうことも大事。それは私たちが「今」できることでもある。付け加えますが、「観客が観たがる作品をつくること」と「観るに値する作品をつくること」は別です。
■高校の演劇学科で演劇史を教える場合
参加者K:高校の演劇学科で演劇史を教えることになった。普通の歴史の授業と同じではなく、「歴史とは何か」から教えたい。
鍬田:1つの時代を採り上げて、その時期の複数の国の演劇を紹介する方法、または1つの国を採り上げて、時代 ごとの演劇を紹介する方法などがある。でもそれは誰でも考え付くし、普通の人にもできること。その俳優指導者にしかできない方法を提示できる。たとえば 「歴史は人がつくる」ということを身体を使って教えられる。Kさんは俳優として活躍中で、これまでもいろいろな劇世界を通じて歴史を体験し、Kさん自身にも歴史があるのだから・・・。
⇒⇒⇒ここで鍬田さんが提案された方法がすごく面白かったんです!私が学校で、こんな方法で歴史を教えてもらえたなら、もっと歴史に興味を持てたかもしれないと思いました。
池内:“自分”を使って考えることになるのがいい。
石本:歴史を内側(個人)から見るという視点は珍しい。
鍬田:生徒だけでなく先生も、お互いに楽しい時間を提供できる。その時、生徒が(この授業の意図が何だったのかが) わからなくても、3年後でも10年後でもいいと思うこと。それが種をまくということ。また、「歴史を教えることで、何を教えたいのか」という、演劇人とし ての課題も考える機会になる。
石本:演劇をつかった教育は、多くの学校教育とは異なる『学びのスタイル』を持っている。自分も高校生に演劇を教えているが、この異なる学びのスタイルを提供していることにはかなり意識的である。
【4.一般市民向けワークショップ】
■保険に加入する
参加者I:ワークショップ中に誰かが怪我をした場合、その責任はどこまで誰が取れるのかを考えてしまいます。
川南:スポーツイベント用の保険など、保険会社に問い合わせをすれば色んな種類のものがあるはず。1人につき100円といった安いものもあるので、調べれてみればどうか。
石本:もし怪我をした人がいたら、「怪我の再現」をしてみてもいいかもしれない。怪我もまた人間。自分の体を見ておこう、という習慣もいい。歩く、見る、聞く、話すなど、基本的動作と呼ばれるものを探究するのも演劇人。
■サラリーマンも参加
参加者I:夜のワークショップにはサラリーマンが多い。スーツ姿でいらして、急いで体操着に着替える方がたくさん。
川南:人間の根本(体感する、他者と関わる、表現するなど)を味わいなおしたい人は、割と多いのでは?
■ワークショップ当日に参加者と会う
参加者Y:ワークショップ会場についてから、足の不自由な参加者がいると知った。そのため、その場でプログラムを全て変えた。
川南:「どこで、誰が、誰に、何を、どういう目的で、教えるのか」といった事前情報を入手することが大事。企画者とのやりとりで聴いておく。指導者と、ワークショップ参加者の情報を指導者に伝達する人とが、お互いに目的を共有することが必要。あと、特別な事情がなくても当日に参加者の具合を見て進行内容を変えるというのはままあることだと思う。
⇒⇒⇒自分の予定どおりに押し切るのではなく、その場の全員が参加できるワークショップに変更されたのは、1人ひとりを大切にして、例外をつくらないという信念をお持ちだからだと思いました。議会のように多数決はしないし、ディベートのように勝敗もない、演劇のあり方があらわれていると思います。
■ワークショップの種類はさまざま
参加者I:一般の方にいかに演劇に興味を持ってもらうかを考えて、ワークショップを行っている。でも私は俳優であって俳優指導者ではないから、ワークショップの指導をしてはいけないのでは?
石本:白黒つける段階ではないと思います。今はいわば戦国時代のようなもので(笑)。人に求められるままにやるのでもいい。
【5.俳優養成学校の現実】
■俳優の教育機関
川南:日本における俳優になるための教育機関といえば何だろう。大学、専門学校、養成所、劇団、サークルな ど。どこも「プロの俳優を育てます」といった似たり寄ったりの看板を掲げているが、実際は授業のボリュームもモチベーションもばらばら。プロポーションも違う。受講対象者にはここにいったらうまい俳優になれるということは保障できないし、業界の人に対してはここを出た人だからこれだけの能力があるという質保証はできない。
■笑いを取ろうとする俳優
参加者S:専門学校の演技の授業で、シーンを演じる時に必ず笑いを取ろうとする生徒がいる。「それはしなくていい」と言っても止めない。
鍬田:大学の演劇専攻でもそういう人はいる。「キャラ化」の話につながるかもしれないが、昨年、今年ぐらいからお笑いを狙う人は増えている。半年では治らない。それ以外にできる事を増やしてあげることと、そのための方法を入手できるようにお手伝いができればとは思うが…あとはその人次第。
■演出家、劇作家、俳優に「エキスパート」の資格がない
★参考文献「実践知 -- エキスパートの知性」
川南:「実践知 -- エキスパートの知性」という本には、看護婦や芸舞子、専門職やスポーツ選手などの場合、何歳から何歳までの十数年間の練習を積んで、ピークはいつかなどのデータが載っている。他業種だが参考になる。日本では演出家、劇作家に「熟達(エキスパート)」になれる試験や尺度がない。俳優も同じ。試験や資格はいらないと思うが、俳優の育成段階の「上達」の変化を研究してみたい。たとえば10年で一万時間の修業をすると…など。「暗黙知」を言語化する必要性を感じる。近年、このような研究は少しずつなされつつある。
■日本の国立大学に演劇学科はできるか?
川南:1925年から26年にかけて(それ以降も)、岸田國士が俳優養成について書いた文章が青空文庫で読める。岸田は今と同じようなことを言っている。約85年前から何も変わっていないのが日本の俳優とそれをとりまく環境である。
・俳優教育について(1926年)
・俳優の素質(1926年)
・俳優養成と人材発見(1927年)
・新劇衰微の兆 天才俳優出でよ(1928年)
・演劇アカデミイの問題 国立俳優学校の提唱(1936年)
・俳優倫理(1940年)
【6.指導に必要なのは繊細さ】
■環境を緻密にデザインする
池内:漠然とエクササイズをするのはだめ。それぞれの現場で自分のアイデアが、相手の頭の中に立ち上がるように、環境をデザインする。たとえば怪我人が出た場合、「いつ?」「なぜ?」「どんなふうに?」という要素が緻密につながっている。フィリップ・ゴーリエ(フランスの俳優指導者)のクラスでは、あんなに激しく動くのに誰も怪我をしないのが不思議。それはフィリップのいかた(存在の仕方)が緻密だから。空気の作り方がきめ細やか。
ある香港の俳優指導者は「興奮して我を忘れると…」と言って数通りの怪我の仕方を提示した。「走ってぶつかるとどうなる?」「壁がかわいそう」「床がかわいそう」などと一つ一つ演出し、生真面目にならない方法で、参加者の頭に今本当は何が大切で何に挑むべきなのかを明確化した。何事も最終的に対峙のしかたがどれくらい細かいか、丁寧かが大事になる。
■マクロとミクロの両方を視野に
川南:俳優指導者は(そしてどの分野の教育者も)「私はこの人を変えられる」と思ってはいけない。指導者には人をよく観ること、また育てていく過程でのデリカシー、細やかさが必要。世界の中のアジアの中の日本の中の演劇界の中の「自分」であり「相手」である、そのことをミクロとマクロの両方の視点で見ること。わたしたちは演劇界で仕事をしているが、それをとりまくどの社会とも世界全体ともつながりを持っているのだから。
『Powers of Ten』(⇒関連リンク)という映像作品がある。人体からマクロの宇宙へと飛び、また人体へと戻って来て今度はミクロの世界へと潜っていく。このようなイメージの「広く外へ、そして、深く内へ」の視野が必要だろう。
「Powers of Ten」英語のみ
※柴幸男さん作・演出の短編『ハイパーリンくん』もこの映像がもとになっています。
■体にタッチすることについての責任のとりかた
鍬田:プロの俳優指導者が参加者の体を触る時は、たとえば「やめて欲しい時」「気づかせたい時」など、さまざま。
「体に触れる」ことは、常識だけではわりきれない。素人はプロのレベルにはなれない。俳優が思い通りに言葉を使える方法を獲得するのに時間がかかるよう に、俳優指導者でも「3年やればできるようになる」ものでもない。「体に触る方法」について研鑽が必要。言葉と同じように。
エクササイズを生徒同士でやらせたりするのは危険。マッサージをさせるのもすごくリスキー。意図がはっきりしているかどうか、目的に合っているかどうか、導入側にそういう意識があるかどうかが大事。
【7.俳優指導者、ワークショップリーダーの心得・将来の展望】
鍬田:相手の状況に合わせるのではなくて、行うエクササイズを越えたところを、根っこの部分を教えることが大事。実際に行うエクササイズの目的だけに狭めがち。でも、そのエクササイズの目的を果たすことだけでは、包括的な人間教育はできない。
川南:私は十数年前、俳優養成の仕事を始めたころには「誰が教えるか」ではなくて「何を教えるか」が重要だと考えていた。しかし、俳優養成の現場をたくさん経験した今、「何を教えるか」ももちろん大切だけれども「誰が教えるか」が最も重要なことだと考えを改めた。なぜならば、俳優養成は対人援助であり教育なのであって、どのようにやっても、経験も文化もその「個人」にくっついているから、その人つまり俳優指導者の全部ひっくるめたそのものが重要なのだ。俳優および俳優指導者は、相手の自尊心をはぐくむ者として、その文化を共感、共有しながらも外(一般)へも向かっていく。
★参考文献「学校という劇場から―演劇教育とワークショップ」
川南:佐藤信さんの「学校という劇場から―演劇教育とワークショップ」は、東京学芸大学のプロジェクトで、 ワークショップの手続きの仕方もあきらかにされている。「演劇は、一人称で語るしかないのだ」という立場をとりながらも、そこで終わっていない。どうしても言葉にできないから密室になりがちな演劇の現場について、工夫を凝らして言語化した書籍。ワークショップや俳優養成の現場で何が起こっているのかを語るのはとても難し い。でも私たちは自分たちでコツコツ努力を重ねてこれを言葉にし続けなければと思う。
池内:我々の大きな目標(目的、夢)は、今の日本の文化を変えること。大きなプロジェクトだと圧倒されるかもしれない。でも大小は問題ではない。いちいちその課題にどう取り組むのか、どういう姿勢をとるのかが大切。私は何を大切にしているのかをはっきりさせてきたら、自然と大きな課題と向きあうことになった。そしてこういうことは橋をつくるとか、ダムをつくるというように目に見えることではない。終わりがない。自分に嘘をつかず、共感する人を増やし、それぞれの環境をより良くするよう、よりよく行動していくこと。
石本:ワークショッブや俳優指導を受ける人には参加者、生徒、学生など、さまざまな呼称があるが、『俳優という名の学習者』という見方もあっていいだろう。学習は生涯つづくもの。『こういう学習者として育ってほしい』という思いを、どんな現場でも持っている。広くだけでなく、ものごとを深く探究していけるような人材を育む教育の専門家でいたい。
どんなことになっても生き残れる人材が必要。時間は止まらないし、体も超えられない(人は肉体から出ることはできない)。演劇は、それ(この誰にでも平等な制限)に向き合うことを得意としている。時代にフィットしなくても、一見地味な、当たり前のことを深めていきたい。
≪しのぶの感想≫
俳優指導、学校での演劇教育、そして一般の方が参加するワークショップなどの話を聴くと、いつもホっとしたり、ちょっと幸せな気持ちになります。人間の多様さ、差異が生む豊かさを全肯定する時間が存在することを確認できるからです。集団が小さかろうと、時間が短かろうと、その充実の時間を味わっている人が確かに存在した事実に、希望が持てます。
俳優指導者アソシエーションの企画に参加(または取材)して感じるのは、ある程度の筋道を予想して準備を万端にしていても、できるだけ正直に、その場で起こることにまかせてみようとする姿勢です。俳優指導の現場やワークショップだけでなく、セミナーでもそれが徹底されていました。私は聴講する立場で参加させていただきましたが、後半では少しだけ発言の機会をいただきました。
主催者側も参加申込者も私も含む、そこにいる全員がその場の空気を作っている。それを決して無視しないのです。そうなるとおのずと求められるのが自主性(および意見を発言すること)や、他者の意見を聴くことです。皆さんの問題意識や悩み、将来の夢を拝聴しながら、私自身はどうしたいのかを常に考えていました。
10年余り、さまざまな舞台作品を拝見してきてわかったことは、私がストレート・プレイがとても好きで、技術のある俳優が出ているお芝居が観たいと願い続けていることです。岸田國士の時代から望まれていて未だそれが叶っていないことには、ある意味絶望に近い心地にもなるのですが、だからといって私にはあきらめられないので、同じ志を持っている方々とゆるやかにつながりながら、私にできることを継続していきたいと思います。
最後に、戦中・戦後の日本の演劇史について、そして日本の俳優について書かれている素晴らしい本をご紹介します(以前にもご紹介しています)。如月小春著「俳優の領分 中村伸郎と昭和の劇作家たち」です。
岸田國士さんの苦悩についても多数引用されています。私は記憶力が優れている方ではないので2回読みました。もう忘れてるのでまた読まないと…と思っています。
俳優指導者アソシエーション『シリーズ 俳優指導者のすべて』
開講日:4/21(土)、5/19(土)、6/23(土)
受講料:19,000円(3回通し) 個別受講:7,000円/回
http://asatp.org/?page_id=18
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年07月07日
【ワークショップ】新国立劇場マンスリー・プロジェクト「子どもと親のコミュニケーション・ワークショップ」08/03-05新国立劇場Cリハーサル室※7/16(月)〆切(専用フォームあり)
新国立劇場で毎月実施されている無料イベント“マンスリー・プロジェクト”。とても好評で、講座は予約で満席になることもあります。夏休みは「子どもと親のコミュニケーション・ワークショップ」が開催されます。昨年の開催レポートはこちら。
講師の西垣耕造さんは2002年に文化庁の研修制度でロサンゼルスに留学、イマジネーション・ワークショップを学び、現在は俳優活動とともに全国の小・中・高等学校の授業や地域活動で、演劇の手法を取り入れた「コミュニケーション・ワークショップ」を実践されています。
チラシに掲載されている西垣さんの言葉はこちら。
「さぁ遊ぶことから始めましょう!そこには相手がいます。身体を動かし、心を動かし、相手と一緒にいる楽しさも難しさも、思いっきり体験してみましょう!」
親子一緒に参加することで、色んな発見がありそうですね。以下、公式サイトおよび主催者からの情報です。
■新国立劇場演劇・マンスリー・プロジェクト
ワークショップ・夏休み特別企画「子どもと親のコミュニケーション・ワークショップ」
講師:西垣耕造(東京演劇集団風 演出家・俳優)
日程:8月3日(金)・4日(土)・5日(日)13:00~16:30
場所:Cリハーサル室(B2F)
定員:1日15組(30名)、全体で45組の受付。
※毎日同じ内容で3回実施。3日間の中から1日を選んでお申込みください。
申込資格:小学3年生~中学3年生と保護者
参加費:無料
お申し込みはこちら
応募期間:6/26(火)~7/16(月)
※抽選となります。7/22(日)までに結果を通知します。
2012年07月06日
【ワークショップ】公益財団法人武蔵野文化事業団「夏休み限定・吉祥寺シアター演劇部2012部員大募集!(講師:柴幸男)」08/01-05吉祥寺シアター※7/15〆切(FAX or メール)
昨年に続き、吉祥寺シアターが夏休み限定の“演劇部員”を募集します。対象は中学生。講師は劇団ままごとの柴幸男さんです。
柴さんの中高生ワークショップの発表会を拝見したことがあります。とても楽しそうでした。以下、公式サイトからの情報です。
■吉祥寺シアター演劇部2012
日程:8月1日(水)~5日(日) 全5日間
※8月5日(日)発表会 19:00開演 (リハーサル13:00~)
対象:中学生
講師:柴幸男
応募〆切:7月15日(日)
■夏休み限定 吉祥寺シアター演劇部2012 部員大募集! ※公式サイトより
演劇やダンス専門の劇場「吉祥寺シアター」で、昨夏に引き続き5日間のワークショップ「吉祥寺シアター演劇部」を開催します!中学生を対象に、劇作家・演出家として活躍する柴幸男さんの指導で、カラダを動かしたりセリフをしゃべったり、演劇漬けの5日間を過ごします。未経験者大歓迎!最終日にはミニ発表会もあります。様々な中学校から集まった仲間と一緒に、吉祥寺で新しい作品を作ろう!
●日程 8月1日(水)~5日(日) 全5日間
8月1日(水) 13:00~18:00 ワークショップ
8月2日(木) 13:00~18:00 ワークショップ
8月3日(金) 13:00~18:00 ワークショップ
8月4日(土) 13:00~18:00 ワークショップ
8月5日(日) 発表会 19:00開演 ( リハーサル13:00~ )
●募集要項
会場:吉祥寺シアター けいこ場
参加費:1,000円
定員:15名 *応募者多数の場合は抽選となります。
対象:中学1年生~3年生
指導:柴幸男(劇作家・演出家・劇団「ままごと」主宰)
申込方法:「吉祥寺シアター演劇部係」宛に
①お名前(ふりがな) ②学校名・学年 ③住所 ④電話番号 ⑤メールアドレス(お持ちの方) ⑥保護者名 ⑦演劇経験の有無 ⑧応募動機 を書いて、
FAX:0422-22-0977 または
メール:theatre(アットマーク)musashino-culture.or.jp
でお送りください。
応募〆切:7月15日(日)
お問合せ:吉祥寺シアター TEL: 0422-22-0911
【柴さんからみなさんへコメント!】
演劇って、なんでしょう。ぱっと考えて思いつくのは、本気で遊ぶこと、体を使うこと、声を出すこと、自分を見つめること、世界と向かい合うこと。僕も、本当の答えはわかっていません。でも、演劇をはじめてから、ずっと考えてきました。だから、僕は、教えることはできないけど、一緒に考えることはできます。一緒に考えて、実験して、本気で遊んでもらいます。演劇は楽しいことだけじゃないけど、せっかくの夏休みなんだから、楽しい5日間がいいと、僕は、思います。
<柴幸男 プロフィール>
1982年愛知県生まれ。劇作家、演出家。2009年、“演劇を「ままごと」のようにより身近に、より豊かに。”をコンセプトに劇団ままごとを旗揚げ。日本大学芸術学部在学中に『ドドミノ』で第2回仙台劇のまち戯曲賞を受賞、2010年には『わが星』で第54回岸田國士戯曲賞を受賞した。あいちトリエンナーレや精華演劇祭への参加、岐阜県可児市での市民劇の演出、福島県いわき総合高校での演出など、地域と演劇を繋ぐ様々な活動も精力的に行っている。
主催:公益財団法人 武蔵野文化事業団
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年07月05日
メルマガ号外 (公財)可児市文化芸術振興財団『高き彼物』
(公財)可児市文化芸術振興財団『高き彼物(たかきかのもの)』
07/04-10吉祥寺シアター
≪岐阜、東京、滋賀、京都、新潟、石川、広島、大分、福岡≫
※公演詳細はこちら。
⇒CoRich舞台芸術!『高き彼物』
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“しのぶの演劇レビュー” 号外 Vol.50 2012.07.05 1,846部 発行
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今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
★★ 号 外 ★★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎(公財)可児市文化芸術振興財団『高き彼物(たかきかのもの)』
07/04-10吉祥寺シアター
ala Collection シリーズvol. 5
≪岐阜、東京、滋賀、京都、新潟、石川、広島、大分、福岡≫
☆出演:石丸謙二郎 田中美里 品川徹 金沢映子 酒井高陽
細見大輔 藤村直樹
脚本・演出:マキノノゾミ
http://www.kpac.or.jp/collection5/index.html
◎観劇後のコメント◎
『高き彼物』は2000年に俳優座劇場プロデュース公演として初演され、
脚本のマキノノゾミさんが鶴屋南北戯曲賞を、演出の鈴木裕美さんが
紀伊國屋演劇賞個人賞、読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞されました。
私は3演めと4演めを拝見し、2004年にメルマガ号外↓を発行しました。
http://archive.mag2.com/0000134861/20040904215000000.html
この度はじめてマキノさんご自身が演出されました。
あらすじや作品詳細は、充実の公式サイト↓ご覧下さい。
http://www.kpac.or.jp/collection5/about.html
2003年と2004年の私のレビュー↓もよろしければどうぞ。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/0904211717.html
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0904232855.html
大いに笑って泣いて、ギュっと考えられるストレート・プレイです。
マキノさんの演出はテンポが良く、緩急も鮮やか。
市井の人々を温かく描いたウェルメイドの会話劇ですが、
とても頻繁に、しかも絶妙のタイミングで、次々に事件が起こるのです!
大笑いした途端に少ししんみりして、すぐにドキ!っと驚いたらまた大笑い。
主演の石丸謙二郎さんはじめ、役者さんは皆とても生き生きとしていて、
緻密な役作りに裏付けられた連携プレイを見せてくださいました。
舞台となる昭和53年(西暦1978年)は、インターネットはもちろん、
携帯電話もない時代です。家族がツイッターで安否確認をする
平成24年(西暦2012年)の今、あの頃の日本を振り返る意味でも
貴重な体験になると思います。他者に対する不寛容が目立つ昨今、
「他人の幸せを自分の幸せのように喜び、他人の不幸を自分の
不幸のように悲しむ人でありたい」と願う気持ちに触れられただけで、
救われたような心地がしました。
東京公演初日は拍手が鳴りやまずカーテンコールが2回。
3回目もあれば良かったのに、と思いました。
2回目のカーテンコールの去り際で、石丸さんは
舞台奥に広がる茶畑の上の空に向かって、お辞儀をされました。
一体何なのかは誰にもわからない、でも確かに存在する“高き彼物”が
そこにあったのだと思います。作り手も観客も、この舞台から
立ちのぼってくる尊い何かを、見上げていたのだと信じます。
この作品は岐阜県にある可児市文化創造センターの製作で、
出演者、スタッフが可児市に1ヵ月間滞在して創作されました。
各客席に、可児市の花であるバラが1輪ずつプレゼントされています。
これだけおすすめしておいて、実は、東京公演は完売なのです…。
東京後もツアーが続くので、メルマガ号外発行に踏み切りました。
当日券についてはお問い合わせください。どうぞお見逃しなく!
※上演時間は約2時間40分(途中休憩10分を含む)。
数字を見ると長そうですが、面白いのであっという間です。
【チケット情報】
全席指定 一般 4,000円 学生 2,000円
※東京公演は完売ですが、当日券の存在はあります。
「学生券は公演当日のみの取扱い」だそうですので。
初日は空席がちらほらありました。
滋賀、京都、新潟、石川、広島、大分、福岡とツアーが続きます!
【東京公演のお問い合わせ】
吉祥寺シアター TEL:0422-22-0911
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2012/04/a5.html
中村ステージプロダクション TEL:03-5355-1332
http://www.stage-mura.jp/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎2011年2度目のメルマガ号外です。前回はこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0407231520.html
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速報としてはツイッターが最速です。
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◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
それが私の望みです。
これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪
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◆ 【このメルマガについての注意事項(毎号同じ内容です)】
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今回の配信は“号外”です。
メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
毎月1日発行のメルマガで、その月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
バックナンバーは全て公開中!
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このメルマガは、高野しのぶの演劇への情熱で書かれています。
沢山の人に演劇に触れてもらいたい! ので、クチコミ・転送 大歓迎です♪
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◎東京および関東近郊の情報に限らせていただいております。
◎掲載内容には細心の注意を払っておりますが、
間違いがあることもあります。情報は主催者URLでご確認ください。
◎お薦めを観に行って面白くなかったら・・・ごめんなさいっ。
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メルマガ 『今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台』
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Copyright(C)2004-2012 MTR standard corporation. All rights reserved.
許可無く転載することを禁じます。
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作・演出/マキノノゾミ 美術/奥村泰彦 照明/中川隆一 音響/鶴田浩 (公財)可児市文化芸術振興財団 宣伝美術/峯岸デザイン事務所 制作/松浦正和 (公財)可児市文化芸術振興財団 澤村潤 (公財)可児市文化芸術振興財団 舞台監督・プロダクションマネージャー/村松明彦 (公財)可児市文化芸術振興財団 プロデューサー/衛紀生 (公財)可児市文化芸術振興財団
2012年07月04日
【ワークショップ・オーディション】タカハ劇団「次回公演へ向けてのワークショップ&オーディション」7/15〆切(メールのみ)
高羽彩さんが作・演出されるタカハ劇団が次回公演へ向けてのワークショップ&オーディションを実施します。⇒タカハ劇団の前回レビュー 詳細は公式サイトでどうぞ。
■タカハ劇団ワークショップオーディション
A日程:7月21日(土)13:00~21:00
B日程:7月22日(日)13:00~21:00
参加条件:
・タカハ劇団の過去の公演を観劇したことのある方。
・上記どちらかの日程に参加可能な方。
定員:各回16名程度
参加費:2500円
締切:7月15日(日)23:59(メールのみ)
《タカハ劇団ワークショップオーディション開催のお知らせ》※公式サイトより
日時:2012年
A日程:7月21日(土)13:00~21:00
B日程:7月22日(日)13:00~21:00
@都内某所(参加決定後お知らせいたします。)
参加費:2500円
参加条件:
・タカハ劇団の過去の公演を観劇したことのある方。
・上記どちらかの日程に参加可能な方。
参加希望の方は feblabo(アットマーク)gmail.com に
件名を「タカハ劇団ワークショップ参加希望」として
1.希望日程(第一希望・第二希望)
2.名前(ふりがな)
3.性別
4.年齢
5.身長/体重
6.出身地
7.所属(劇団/事務所など)
8.自分の役者としてのセールスポイントを教えてください。
9.過去出演歴
10.過去にご覧になったタカハ劇団の公演のタイトル
と
写真(全身/バストアップ各一枚)を添付してお送りください。
定員:各回16名程度
※参加希望者が定員を超えた場合、書類での審査をさせていただきます。
参加確定の連絡などは応募期間終了後連絡させていただきます。
締切:7月15日(日)23:59
お問い合わせ・質問は
feblabo(アットマーク)gmail.comまで
たくさんのご参加をお待ちしております。
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【ワークショップ】燐光群「梅ヶ丘BOXサマーワークショップ・柚木佑美クラス参加者募集」※7/13〆切(メールor電話)
梅ヶ丘BOXで行われる柚木佑美さんのサンフォード・マイズナーテクニック「エクササイズコース」のご案内です。前回好評だったため続いて開催が決まったそうです。詳細は公式サイトでどうぞ。以下は柚木さんよりいただいた情報です。
■燐光群「梅ヶ丘BOXサマーワークショップ・柚木佑美クラス
『サンフォード・マイズナーテクニック「エクササイズコース」』」
07/23~08/10梅ヶ丘BOX
講師:柚木佑美(女優)
⇒ワークショップのレポート(2006年) ⇒柚木さんインタビュー(2007年)
対象=18才以上の心身ともに健康な、プロの俳優、もしくはプロを目指す方
募集人員=10~14名程度 参加費用=35,000円
申し込み〆切=7/13(メールor電話)
■梅ヶ丘BOX サマーワークショップ
柚木佑美 Yuki Hiromi(女優)
サンフォード・マイズナーテクニック「エクササイズコース」
対象:18才以上の心身ともに健康な、プロの俳優、もしくはプロを目指す方。
募集人員:10~14名程度
参加費用:35,000円
応募締切:7/13(金) ※応募者多数の場合、書類選考を行うことがあります。
日程:全10回 各日19:00~22:00
7/23(月)、24(火)、25(水)、26(木)、27(金)、8/2(木)、3(金)、6(月)、7(火)、8(水)
予備日 8/ 9(木)、10(金)
※天候等の事情により、上記日程にやむなく変更が生じる場合がありますので、必ず予備日もご考慮ください。
内容:いつも柚木佑美がアクターズワークスで行っているマイズナーワークショップの最初のコース。“感情”について具体的に学習していくクラス。様々なエクササイズを使って出しにくかった感情をよりスムーズに豊かに表現できるよう練習し、リピートエクササイズで相手とコミュニケーションすることを身体で学ぶレッスンです。
講師略歴:21才の時、NHKドラマ人間模様で女優デビュー。以来、NHK広島発特別ドラマ「帽子」、映画「パッチギ Love&Peace」など、TV・映画・舞台で活躍。また、39才からサンフォード・マイズナーシステムで演技指導者としても活動。アクターズワークスでのワークショップは12年目を迎え、NHK朝の連続テレビ小説の新人トレーニング、新国立劇場演技研究所常任講師などを務める。
【お申し込み方法】
メール rinkogun(アットマーク)alles.or.jp または
FAX 03-3426-6594 に以下の情報をお送り下さい。
※件名を「SWS参加希望」として下さい。
・希望講師名
・お名前
・ふりがな
・性別
・年齢
・お電話番号
・メールアドレス
・演劇経験などあればご記入ください。
・その他、質問等あればご記入ください。
お申し込み後、受付確認のメール(またはFAX)をお送りしますので、指定の銀行口座にお振込みをお願いします。
お問い合わせは(有)グッドフェローズまで。
TEL:03-3426-6294
Mail:rinkogun(アットマーク)alles.or.jp
ゆうきひろみHP http://yukihiromi.blogspot.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2012年07月01日
メルマガ 2012年07月のお薦め舞台

お薦めお芝居をご紹介しています
2012年7月のお薦め舞台11本+αをご紹介します。
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“しのぶの演劇レビュー” Vol. 97 2012.07.01 1,844部 発行
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今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
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◎先月は梅雨の湿気にすっかりノックアウトされてしまいました…。
7月はカラっと暑くなって欲しいな、冷房いらない程度に。
今月も面白そうな舞台がたくさん!健康第一で劇場通いに励みます♪
舞台には、あなたの心を揺さぶり、
人生の輝きを増してくれる奇跡があります。
“今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪
◎メルマガのバックナンバー↓は全て公開しています。
http://archive.mag2.com/0000134861/index.html
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○○ 今回のもくじ
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◆1【今月のお薦め11本+α】
◎No.1→ハイバイ
『ポンポン お前の自意識に小刻みに振りたくなるんだ ポンポン』
07/18-08/01こまばアゴラ劇場
≪東京、兵庫、愛知、福岡≫
http://hi-bye.net/2012/06/08/2219
◆2【先月のベスト3】
◎No.1→ネイチャー・シアター・オブ・オクラホマ
『ライフ・アンド・タイムズ―エピソード1』
06/16-17静岡芸術劇場
http://www.spac.or.jp/f12lifeandtimes.html
◆3【編集後記】
◎「CoRich舞台芸術まつり!2012春」グランプリはFUKAIPRODUCE羽衣!
◆4【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】
◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪
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◆1 【今月のお薦め10本+α】
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▽★印がいちおし公演です(3本)。
▽初日の早い順に並べています。
▽掲載内容:主催/企画製作・『題名』・日程・会場・価格・URL
▽座種の記述がない公演は全席指定。
※お薦め公演を10本から11本に増やしました。
1.東宝『ええから加減』
07/01-29シアタークリエ
☆出演:藤山直美 高畑淳子 赤井英和 田山涼成 逢坂じゅん 三倉佳奈
芋洗坂係長 武岡淳一 越智静香 矢部太郎 加藤義宗 野々村のん 他
原作:永田俊也 脚本・演出:田村孝裕(ONEOR8)
11,000円 クリエハッピーウェンズデー9,000円
http://www.tohostage.com/eekara/index.html
藤山直美さんと高畑淳子さんが漫才師に。作・演出は田村孝裕さん。
田村さんのシアタークリエ公演といえば、こちら↓も面白かったです。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0610220130.html
2.(公財)可児市文化芸術振興財団『高き彼物』
07/04-10吉祥寺シアター
ala Collection シリーズvol. 5
≪岐阜、東京、滋賀、京都、新潟、石川、広島、大分、福岡≫
☆出演:石丸謙二郎 田中美里 品川徹 金沢映子 酒井高陽
細見大輔 藤村直樹
脚本・演出:マキノノゾミ
一般 4,000円 学生 2,000円
http://www.kpac.or.jp/collection5/index.html
マキノノゾミ作・鈴木裕美演出で2000年に初演され、数々の賞を受賞。
何度も再演されています、2004年↓にメルマガ号外を発行しました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0904232855.html
この度はじめてマキノさんご自身が演出されるそうです。
昭和53年の夏を描いた物語が、平成24年の今、どう響くのかも楽しみ。
3.演劇集団円『ガリレイの生涯』
07/06-15シアタートラム
☆出演:吉見一豊 野村昇史 柏木隆太 高林由紀子 大谷朗 小川隆市 中平良夫
山崎健二 廣田行生 伊藤昌一 青山伊津美 福井裕子 石田登星 田原正治
石井英明 高橋理恵子 佐藤芳江 石原由宇 乙倉遥 戎哲史 ハゼヤマ俊介
脚本:ベルトルト・ブレヒト 訳:千田是也 演出:森新太郎
一般5,500円 学生4,000円/ペアチケット(一般2枚1組)10,000円
劇場会員、区民割引などあり
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2012/07/post_285.html
http://www.en21.co.jp/galileinoshougai.html
科学者ガリレイの46歳から晩年までの物語を森新太郎さんが演出。
世界的に有名なドイツの劇作家ブレヒトが1939年に発表した戯曲です。
今、演劇集団円が上演する意義も伝えてくれるんじゃないかと期待。
4.パルコ・プロデュース『なにわバタフライN.V』
07/11-22 PARCO劇場
≪大阪、宮城、北海道、茨城、愛知、石川、高知、福岡≫
☆出演:戸田恵子
脚本・演出:三谷幸喜
7,500円 U-25チケット6,000円(25歳以下対象)
http://www.parco-play.com/web/page/information/naniwa_butterfly_nv2012/
三谷幸喜さんが作・演出される戸田恵子さんの一人芝居ツアー。
2005年の初演↓の後、2010年のニューバージョンを経た再演です。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0108174840.html
戸田さんは初演で朝日舞台芸術賞・秋元松代賞を受賞↓されています。
http://www.asahi.com/shimbun/award/stage/05.html
5.こまつ座『しみじみ日本・乃木大将』
07/12-29彩の国さいたま芸術劇場大ホール
井上ひさし生誕77フェスティバル2012 第5弾公演
≪埼玉、大阪、新潟≫
☆出演:風間杜夫 根岸季衣 六平直政 山崎一 大石継太 朝海ひかる
香寿たつき 吉田鋼太郎 他
脚本:井上ひさし 演出:蜷川幸雄
S席:8400円 A席:6300円 B席:5250円
http://www.horipro.co.jp/usr/ticket/kouen.cgi?Detail=179
乃木大将の愛馬3頭の前足と後ろ足が人格(馬格?)を持ち、語りだす…。
この豪華キャストが“馬の脚”を演じるなんて、一体どうなることやら!
数々の井上ひさし戯曲を演出してきた蜷川幸雄さんの剛腕に期待。
第31回読売文学賞、第14回紀伊国屋演劇賞受賞作です。
6.椿組2012年夏・花園神社野外劇『20世紀少年少女唱歌集』
07/13-23花園神社
☆出演:恒松敦巳 田渕正博 木下藤次郎 池下重大 松田洋治 亀田佳明
伊藤新 津村知与支 高松潤 伊東由美子 水野あや 福島まり子 井上カオリ
長嶺安奈 李峰仙 岡村多加江 鳥越勇作 宮本翔太 趙徳安 浜野まどか
瀬山英里子 今井夢子 日沖和嘉子 青木恵 神在ひろみ 榊原千紘
寺田英一 下元史朗 辻親八 外波山文明
脚本:鄭義信 演出:松本祐子(文学座)
前売り指定(60席)4500円 前売り自由(整理番号付き)4000円/当日4300円
http://homepage2.nifty.com/tubakigumi/20seiki.ohudishon.html
↓こりっちでカンタン予約!
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=35822
椿組は毎年夏に花園神社で野外劇を上演されています。もう25年以上ですね。
今回は鄭義信さんが書かれた2003年初演作の再演です。
韓国公演も含め、松本祐子さんは同戯曲を何度も演出されているそうです。
7.華のん企画
『子供のためのシェイクスピア「ヘンリー六世 Ⅲ」「リチャード三世」』
07/14-22あうるすぽっと
≪東京、神奈川、茨城、静岡、福島、大阪、愛知、滋賀、長野、愛知、福岡、三重≫
☆出演:伊沢磨紀 佐藤誓 山口雅義 戸谷昌弘 若松力 大内めぐみ 谷畑聡
チョウヨンホ 佐藤真希 山崎清介
脚本・演出:山崎清介
大人5,000円 子ども(中学生以下)3,000円
親子ペア(大人1+子ども1)6,800円
2公演通し券8,500円 当日学生割引(要学生証)4,200円
http://www.canonkikaku.com/information/shakespeare.html
大人も子供も楽しめる演出で、シェイクスピア戯曲を上演し続けて20年弱。
子供のためのシェイクスピアカンパニーの毎年夏休み恒例のツアーです。
今年は「ヘンリー六世」の第三部と、その続編となる「リチャード三世」を
交互上演。完売の回もあるのでご予約はお早めに。過去レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0721214736.html
「リチャード三世」は今年10月に新国立劇場でも↓上演されます。
http://nnttplay.info/richard3/
8.青年団『東京ノート』
07/15-25東京都美術館・講堂ロビー
≪東京、高知≫
☆出演:山内健司 松田弘子 たむらみずほ 小河原康二 秋山建一 小林智
兵藤公美 能島瑞穂 大塚洋 井上三奈子 大竹直 熊谷祐子 山本雅幸
荻野友里 河村竜也 長野海 堀夏子 村田牧子 森内美由紀 小瀧万梨子
脚本・演出:平田オリザ
前売・予約・当日共 4,000円 英語字幕つき上演
http://www.seinendan.org/jpn/info/2012/07/tnotes/ueno/
平田オリザさんの岸田國士戯曲賞受賞作で、世界16カ国で上演された代表作。
フェルメール展が開催されている美術館を舞台にした戯曲です。
会場は、実際にフェルメールの絵が展示される、上野の東京都美術館。
マウリッツハイス美術館展:http://www.asahi.com/mauritshuis2012/
新国立劇場での上演↓も良かったので期待できそう。前売り完売。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0424232022.html
9.ゴーチ・ブラザーズ『千に砕け散る空の星』
07/19-30シアタートラム
☆出演:中嶋しゅう 大滝寛 中村彰男 古河耕史 牧田哲也 碓井将大
安藤サクラ 西尾まり 倉野章子
脚本:D・エルドリッジ、R・ホルマン、S・スティーヴンズ
翻訳:広田敦郎 演出:上村聡史
一般5,000円 U24 2,500円(枚数限定)
劇場会員・区民割引などあり。
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2012/07/post_283.html
http://sen-hoshi.blogspot.jp/
3人の英国劇作家が共作した戯曲を上村聡史さんが演出。
英国留学を経た上村さんの演出はとても面白いです。関連レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/1211153405.html
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0915164539.html
ベテランの中嶋しゅうさん、映画など映像でご活躍の安藤サクラさんら、
出演者も魅力的。サイモン・スティーヴンズ戯曲のレビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/1211153405.html
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0926221819.html
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/1108005908.html
10.パルコ・プロデュース『露出狂』
07/26-08/04 PARCO劇場
☆出演:柄本時生 遠藤要 入野自由 玉置玲央 畑中しんじろう 磯村洋祐
板橋駿谷 稲葉友 孔大維(コン・テユ) 遠山悠介 永島敬三
松田凌 間宮祥太朗 森崎ウィン
脚本・演出:中屋敷法仁
土日料金=6,500円 平日料金=6,000円
U-25チケット=5,000円(25歳以下対象)
http://www.parco-play.com/web/page/information/rosyutsukyou/
※チケットぴあで稽古場ご招待キャンペーンチケットあり↓
http://ticket.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=1210331&rlsCd=007
「CoRich舞台芸術まつり!2010春」でグランプリ↓を受賞した、
http://stage.corich.jp/festival2010/grand_prix.php#b
中屋敷法仁さん率いる劇団“柿喰う客”の代表作↓がパルコ劇場に登場。
http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=69858
某運動部を舞台にした、爆笑必至のスポ魂青春ものです。
作・演出は初演と同じく中屋敷さんで、キャストは若い男性のみ。
初演のキャストは女性のみだったので、どう変わるかも楽しみですね。
11.石井光三オフィスプロデュース『クリンドルクラックス!』
07/28-08/05世田谷パブリックシアター
≪東京、愛知、大阪≫
☆出演:阿久津愼太郎 伊阪達也 小野健斗 酒井敏也 宮地雅子 大河内浩
鈴木勝秀 小田豊 ぼくもとさきこ 西本裕行 ROLLY 安寿ミラ
脚本:フィリップ・リドリー 翻訳:谷賢一 演出:陰山恭行
一般6,300円 ラスキンシート3,150円(高校生以下対象、枚数限定)
劇場会員・区民割引などあり。
http://www.ishii-mitsuzo.com/info/ishii/web/kk/index.html
英国の映画監督、劇作家フィリップ・リドリーさんの児童文学の代表作を、
俳優、演出家の陰山恭行さんが演出されます。リドリー戯曲というと
怖くて幻想的な悲劇という印象があるのですが(過去レビュー↓)、
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/1010143856.html
この作品は竜退治をモチーフにした少年の成長物語で、1991年に
子供のための本に贈られる賞を受賞しています。1996年の書評↓
http://www.hico.jp/sakuhinn/2ka/kurunndoran.htm
色とりどりのキャスティングがいいですね。
★★★──────────────────────────────
前売3000円台の気になる作品を7本ご紹介します。
──────────────────────────────★★★
★【1】ハイバイ『ポンポン お前の自意識に小刻みに振りたくなるんだ ポンポン』
07/18-08/01こまばアゴラ劇場
≪東京、兵庫、愛知、福岡≫
☆出演:荒川良々 安藤聖 岩井秀人 岩瀬亮 川面千晶 坂口辰平
永井若葉 平原テツ 師岡広明
脚本・演出:岩井秀人
前半 = 前売 3,000円/当日 3,500円 後半 = 前売・当日とも 3,500円
学生 = 前売・当日とも 2,500円(要学生証)
http://hi-bye.net/2012/06/08/2219
岩井秀人さん率いる劇団ハイバイが再演を続けている作品です。過去レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0725132838.html
●お薦めポイント●
先月のメルマガ↓でお薦め前売り情報に掲載しました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0601000128.html
作・演出・出演の岩井秀人さんは向田邦子賞を受賞↓されたばかりです。
http://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/8000/115771.html
荒川良々さん、安藤聖さんら人気俳優が新たにキャスティングされ、
見どころが増えそう。こまばアゴラ劇場という小劇場で観られるのも贅沢。
気まずくて苦笑せずにいられない瞬間を早く味わいたい!
【2】ニットキャップシアター『ピラカタ・ノート』
07/19-22アトリエ春風舎
≪福岡、京都、東京≫
☆出演:門脇俊輔 高原綾子 澤村喜一郎 市川愛里 織田圭祐
藤田かもめ ごまのはえ
脚本・演出:ごまのはえ
前売3,000円 当日3,300円
[学生] 2,500円(前売・当日とも/当日要学生証)
[高校生以下] 1,500円(前売・当日とも/当日要学生証)
http://knitcap.jp/stage.html
ニットキャップシアターはごまのはえさんが作・演出される京都の劇団です。
個人的に信用している演劇関係者が、初演を観て、その年のNo.1戯曲に
選んでいたので期待して伺いたいと思います。再演に感謝。
【3】空想組曲『変則短篇集・組曲「回廊」』
07/19-29 OFF OFFシアター
☆出演:武藤晃子 川田希 狩野和馬 小玉久仁子 民本しょうこ 和知龍範
鶴町憲 櫻井圭登 中田顕史郎
脚本・演出:ほさかよう
全席自由 前売3300円 当日3500円 平日昼割:前売・当日ともに 2800円
http://www.k-kumikyoku.com/performance/9/
ほさかようさんが作・演出されるプロデュース形式の空想組曲の新作。
2010年の『変則短篇集・組曲「空想」』↓はとても面白かったです。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0704143513.html
各ステージごとに違うゲストが出演し、その人に合わせたシーンがあるとか。
【4】木ノ下歌舞伎・京都×横浜プロジェクト2012『義経千本桜』
07/20-21横浜にぎわい座・芸能ホール
≪京都、東京≫
☆出演:明季 石本華江 大寺亜矢子 大村わたる 小川敦子 黒木夏海
佐藤誠 佐山和泉 重岡漠 清水さと 関亜弓 高橋ゆうこ 立蔵葉子 史(Chika)
中島真央中林舞 南波早 深堀見帆 間野律子 宮崎晋太朗 森一生 山崎皓司
総合演出・演出:多田淳之介 演出:白神ももこ、杉原邦生
監修・補綴:木ノ下裕一
前売一般:3500円、U-25:3000円、高校生以下:1500円
当日券は各200円増し。未就学児童の入場不可。
http://kinoshita-kabuki.org/
歴史的な文脈を踏まえつつ、現行の歌舞伎の枠にとらわれないで、
歌舞伎の演目を上演している木ノ下歌舞伎の新作。
演劇を独自の視点でとらえる若い演出家3人が、『義経千本桜』の
通し上演に挑戦します。上演時間は約4時間半を予定。
【5】KAAT神奈川芸術劇場『暗いところからやってくる』
07/26-08/05神奈川芸術劇場・中スタジオ
KAATキッズ・プログラム2012 こどもとおとなのためのお芝居
☆出演:伊勢佳世 大窪人衛 岩本幸子 浜田信也 盛隆二 木下三枝子
脚本:前川知大 演出:小川絵梨子
全席自由 こども1,500円(高校生含む) おとな3,000円
おやこチケット4,000円<こども1枚(高校生含む)、おとな1枚>
シルバー2,500円
http://www.kaat.jp/pf/kuraitokorokara.html
前川知大さん率いる劇団イキウメが、夏休みに親子向けの演劇を上演。
演出は小川絵梨子さん。中学生男子が主人公のお話だそうです。
【6】クロムモリブデン『進化とみなしていいでしょう』
07/28-08/14赤坂RED/THEATER
☆出演:森下亮 金沢涼恵 奥田ワレタ 久保貫太郎 渡邉とかげ 幸田尚子
小林義典 武子太郎 花戸祐介 佐藤みゆき 手塚けだま ゆにば
脚本・演出:青木秀樹
【一般】前売3,500円 当日3,800円【学生】前売2,500円 当日2,800円
【早期観劇割引(7/28~31)】前売3,000円 学生前売2,000円
*未就学児はご入場頂けません。
http://crome.jp/
青木秀樹さんが作・演出される劇団の新作。毎回絶対に新作なんですよね。
昨年末の作品↓は、震災以降の日本を軽やかに風刺した娯楽作で、
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/1228235045.html
脚本・演出・出演者・スタッフワークともに素晴らしかったです。
個性際立つ劇団員に加え、オーディション合格者も凄そう。
★【7】パラドックス定数『東京裁判』
07/31-08/12 pit北/区域
☆出演:植村宏司 西原誠吾 井内勇希 今里真 小野ゆたか
脚本・演出:野木萌葱
1F通常席・2F傍聴席ともに、前売3000円、当日3200円
http://www.pdx-c.com/
野木萌葱さんが作・演出される、男優ばかりの劇団の代表作の再々演。
再演時にメルマガ号外↓を発行。今回も同じ劇場で、こだわりを感じます。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/1114012617.html
東京裁判を理解するための重要なポイントを面白く伝えてくれます。
野木さんはまた脚本に手を加えているそうです。見逃せませんね!
☆☆☆──────────────────────────────
前売2000円台の気になる作品を3本ご紹介します。
──────────────────────────────☆☆☆
《1》庭劇団ペニノ『誰も知らない貴方の部屋』
07/03-10 はこぶね
≪東京、大阪、東京≫
☆出演:飯田一期 島田桃依 瀬口タエコ 山田伊久磨
脚本・演出:タニノクロウ
前売り2500円 当日2800円
http://www.niwagekidan.org/
マンションの一室にしつらえられた小さな劇場で、思春期の性的倒錯、
兄弟の愛憎が絡み合う幻想世界に沈みこむ体験。2月公演レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0627153912.html
会場の「はこぶね」は近々なくなるそうなので、この機会にぜひ。
タニノクロウ開幕直前インタビュー↓
http://www.theaterguide.co.jp/theater_news/2012/06/29.php
※庭劇団ペニノの12月新作公演『ブリ・ミロ(仮)』出演者募集中↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0523110927.html
〆切は7/13(金)郵送必着。ご興味ある方は、タニノさんのフェティシズムや
劇団の力が凝縮されているこのアトリエ公演をご覧になると良いと思います。
《2》範宙遊泳『東京アメリカ』
07/08-15こまばアゴラ劇場
≪東京、愛知≫
☆出演:大橋一輝 熊川ふみ 埜本幸良 浅川千絵 斉藤マッチュ 高木健
田中美希恵 福原冠 緑茶麻悠 山脇唯
脚本・演出:山本卓卓
一般/2,500円 学生/2,200円(要学生証提示) 当日/300円増し
高校生以下/1,000円 平日お昼の回/2,000円(一律)
http://hanchu-yuei.com ↓こりっちでカンタン予約!
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=37151
山本卓卓さんが作・演出される範宙遊泳の再演ツアー。初演レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0907151001.html
演劇というフィクションの枠を、客席を巻き込んで突破する野心作。
★《3》マームとジプシー
『マームと誰かさん・さんにんめ 今日マチ子さん(漫画家)とジプシー』
07/21-23 SNAC
☆演出:藤田貴大
http://mum-gypsy.com/next/5-7.php
予約開始:7月9日(月) ※チケット詳細はまだ公開されていません。
マームとジプシーの藤田貴大さんが漫画家の今日マチ子さんと
コラボレート。前回、前々回↓がものすごかったです。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0511223538.html
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0603221047.html
来年は今日マチ子さんの漫画「cocoon」を舞台化↓するそうです。
http://natalie.mu/comic/news/71311
藤田さんはほぼ毎月公演をされていますね。毎度、強い刺激をもらって、
時間や過去の思い出についての自分の考えを新たにしています。
≪ミュージカル、その他≫
○ホリプロ『ミュージカル「スリル・ミー」』
07/15-29天王洲 銀河劇場
≪東京、大阪≫
☆出演:田代万里生×新納慎也、松下洸平×柿澤勇人、
良知真次×小西遼生、チェ・ジェウン×キム・ムヨル
作曲・脚本:STEPHEN DOLGINOFF 翻訳・訳詞:松田直行 演出:栗山民也
S席7,800円 ステージサイドシート7,800円 A席5,500円
http://www.m-tmjp.com/
男優2人だけのミュージカルです。小空間での初演↓がすごく面白かった!
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0922002533.html
4バージョンありますので、まずは1つ観て、面白かったらもう1つ!
個人的に松下×柿澤バージョンはオススメです♪
○Bunkamura『ブロードウェイミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」』
07/18-08/05東急シアターオーブ
☆作曲:レナード・バーンスタイン 脚本・演出:アーサー・ローレンツ
S席 ¥13,000 A席 ¥10,000 B席 ¥8,000
http://theatre-orb.com/wss/
1972席の新劇場“東急シアターオーブ”のこけら落とし公演は、
名作ミュージカルの来日公演。映画しか観ていないので本物が観たい!
○非戦を選ぶ演劇人の会
『私(わん)の村から戦争が始まる
沖縄やんばる・高江の人々が守ろうとするもの』
07/18-19全労済ホール/スペース・ゼロ
☆出演:演劇人有志
脚本:清水弥生、瀬戸山美咲 演出:鵜山仁
一般1500円、中高生1000円、小学生以下500円
http://www.hisen-engeki.com/
非戦を選ぶ演劇人の会は毎年夏にチャリティーイベントを開催しています。
昨年は東日本大震災と原発についての朗読劇↓を発表されました。
『それゆけ安全マン!?~レントゲン・チェルノブイリ・フクシマ~』
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0603223105.html
『核・ヒバク・人間』(シネマ・トゥデイのレポート)
http://news.livedoor.com/article/detail/5823407/
今年は米軍基地のある沖縄・高江の人々の今を伝えてくれるようです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆2 【先月のベスト3】
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1.ネイチャー・シアター・オブ・オクラホマ
『ライフ・アンド・タイムズ―エピソード1』
06/16-17静岡芸術劇場
☆ごく一般のアメリカ人女性の幼少期の思い出が、超リアルな口語の
ミュージカルに。舞台でのびのびと生きている俳優の魅力に
圧倒されました。約1年4ヵ月の創作期間を要した作品だそうです。
http://www.spac.or.jp/f12lifeandtimes.html
2.マームとジプシー
『マームと誰かさん・ふたりめ 飴屋法水さん(演出家)とジプシー』
06/01-03 SNAC
☆“身をもって知る”という行為を目の当たりにする体験でした。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0603221047.html
3.新国立劇場演劇『温室』
06/26-07/16新国立劇場小劇場
☆深津篤史さんの演出で、ピンター『温室』戯曲の
核心の部分を味わえた感覚が得られました。7/16まで上演中!
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2012/0627104341.html
その他はSPAC『マハーバーラタ』、青年団『月の岬』、
マームとジプシー『ドコカ遠クノ、ソレヨリ向コウ 或いは、泡ニナル、風景』、
劇団青年座『THAT FACE』、タカハ劇団『ネジ工場』など(順不同)。
◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
http://archive.mag2.com/0000134861/index.html
メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
2012年6月(観劇数19作品)は残念ながら発行しませんでした。
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◆3 【編集後記】
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◎「CoRich舞台芸術まつり!2012春」グランプリはFUKAIPRODUCE羽衣!
http://stage.corich.jp/festival2012/grand_prix.php
100万円スポンサード公演は歌と演奏のライブ。秋を待ちましょう!
◎「しのぶの演劇レビュー」facebookページ↓でブログ更新を報告中!
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「いいね!」をクリックしてニュースフィードに混ぜてください♪
◎おすすめ舞台中継 on TV(おすすめがある時だけ掲載)
【意見】NHK「芸術劇場」「ミッドナイトステージ館」
「プレミアムシアター」での演劇舞台中継の継続を嘆願します
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0202151800.html
【WOWOW ライブ】7/1(日)夜8:55~/7/16(月・祝)朝9:45~
『オペラ座の怪人』25周年記念公演 in ロンドン
http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/100320/
※再放送。
【WOWOW ライブ】7月7日(土)夜6:30~
平成中村座『法界坊 串田戯場』
http://www.wowow.co.jp/stage/kabuki/lineup/120707.html
【NHK BS プレミアムアーカイブス】7/10(火)深夜24:55~(7/11午前)
「劇団☆新感線 三十年の疾走」
http://www.nhk.or.jp/archives/premium/next/next2.html
http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2011025292SA000/index.html
※再放送。
【WOWOW ライブ】7/21(土)夜6:30~
Bunkamura『シダの群れ』
http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/075486/ レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0908003649.html
※再放送。
◎地方新聞に掲載される新作邦画DVDの紹介記事を書いています。
2012年6月は下記の5作品を拝見しました(順不同)。
・「映画 怪物くん」←色々ご都合主義だけど、最後の決断は良かったな~。
http://www.kaibutsukun-movie.com/
・「源氏物語 千年の謎」←紫式部と藤原道長が登場するのが面白いですね。
http://genji-nazo.jp/
・「ヒミズ」←もの凄い…去年の震災の記録とフィクションの入れ子構造。
http://himizu.gaga.ne.jp/
・「CUT」←西島秀俊さん目当て。パンチ1発ごとに映画1作ずつへ愛を贈る。
http://bitters.co.jp/cut/
・「ミツバチの羽音と地球の回転」←スウェーデンでは電力会社を選べる!
http://888earth.net/
◎【厳選シアター情報誌Choice!】TOPページ右下の“ちょいナビ”にて、
http://www.next-choice.com/
“しのぶの演劇レビュー”をご紹介いただいています!
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情報収集はもっぱらツイッター頼りです。
実名アカウント同士の身のあるやりとりから仕事に直結!
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◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています。
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◎「CoRich(こりっち)舞台芸術!」で
いつ、どこで、何が上演されているのかを簡単検索!
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それが私の望みです。
これからもこつこつ、地道に続けて行きたいと思っております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪
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