「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」(通称:劇場法)が成立し、今年6月27日に公布されたことを受け、芸団協でラウンドテーブルが開催されました。ご参考⇒2010年のラウンドテーブルまとめ 劇場法の条文は文化庁のホームページからダウンロードできます。
ザクっと、かなり乱暴にひとことで言ってしまうと、これまで「劇場」として利用されながら法的に「劇場」とは認められていなかった建物が、晴れて法的に「劇場」と認められるということです(図書館や美術館には専用の法律がありました)。だからどうなるか(どういうメリットがあるか/規制があるか)は、これから肉付けしていくことになるようですね。
※応募者多数でかなりの申込みを断ったこともあり、後日、このラウンドテーブルの内容は芸団協のウェブサイトで公開されるそうです。
劇場法は平成13年に公布された文化芸術振興基本法に基づくもので、「劇場、音楽堂等の活性化を図ることにより、我が国の実演芸術の水準の向上等を通じて実演芸術の振興を図り、もって心豊かな国民生活および活力ある地域社会の実現に寄与する」ことを目的にした法律です。
ラウンドテーブルでは演劇、バレエ、邦楽、クラシック音楽(オーケストラ)、スタッフ(音響家などの技術者)、ジャズダンスという各ジャンルで活躍する方々のご意見を拝聴できました。特に印象に残ったのは、東京交響楽団がミューザ川崎シンフォニーホールと新潟のりゅーとぴあで行っているアウトリーチのこと。劇場を介してアーティストと一般市民が触れ合い、地域社会に貢献している好例だと思いました。
第十三条には「国および地方公共団体は、制作者、技術者、経営者、実演家など専門能力者の養成・確保のための施策を講ずる」という意味のことが書かれています。観客側の私はついつい芸術家のことばかり考えてしまうのですが、劇場の安全を確保し、作り手と観客を守ってくださっているのは技術者の方々です。
⇒劇場等演出空間の運用および安全に関するガイドライン(PDFダウンロードできます)
このガイドライン(資料)がより多くの劇場に伝わるのも良いことだと思います。
また、日本版アーツカウンシルができたこともあり、舞台芸術への公的助成の方法は今までとは変わるようです(すべての助成について当てはまることではありません)。「過去10年にわたり助成されてきたからといって、来年も助成されるとは限らない」時代になるとのこと。劇場法に基づいてこれから決まっていくことを注視していく必要があると思います。
⇒日本芸術文化振興会プログラムディレクターの採用について(PDF 2012年4月2日)
ゲストスピーカー:大野順二(東京交響楽団) 芸団協・実演芸術新興委員会/政策部会[(向かって左から。※中央に大野順二氏) 福島明夫(公益社団法人日本劇団協議会/日本新劇製作者協会)、大和滋(芸団協)、小山久美(東京バレエ協議会)、中島一子(公益社団法人日本三曲協会) 支倉二二男(社団法人日本オーケストラ連盟)、松木哲志(日本舞台音響家協会)、家城比呂志(一般社団法人日本ジャズダンス芸術協会)]
主催団体:芸団協
入場無料(要事前申込み)
http://www.geidankyo.or.jp/12kaden/seminar/detail/412
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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