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2012年08月06日

月影番外地『くじけまみれ』08/03-12ザ・スズナリ

 劇団☆新感線の女優、高田聖子さんが自ら主宰・出演される月影番外地の第3弾(月影十番勝負から数えると13弾?)です。福原充則さんが新作を書き下ろし、木野花さんが演出されます。

 木野さんの丁寧な演出で、福原さんのセリフの1つひとつをじっくり味わえました。荒唐無稽でポエジーに満ち満ちた、赤羽のお話。小劇場らしい、小劇場ならではの、贅沢な時間でした。上演時間は約1時間50分。

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 ⇒CoRich舞台芸術!『くじけまみれ

 ≪あらすじ・作品紹介≫ エントレβより
 麻子(高田聖子)は、45歳の独身女。社長1人、社員1人の小さな会社で働いていた。
 何も起こらない日常と、社長・真壁(政岡泰志)からの執拗なプロポーズに疲れていく日々。
 そんな麻子の唯一の慰めは、声高に革命を叫ぶ青年(丸山厚人)の、深夜の海賊放送を聞くこと。
 ある日、このラジオの男と出会い、恋に落ちる!
 “そこまでしないと人を愛せない面々”の“狂っているようで純愛”が炸裂!

 若手No.1の脚本家・福原充則の脚本、高田が最も信頼する木野花の演出で、
 この夏、月影番外地がザ・スズナリを熱くします!!
 ≪あらすじ≫ 

 複数の滑車付きパネルを動かして、黒子の姿もあまり隠さずにどんどんと場面転換をします。手作り感も生かし、ガチャガチャした印象を与える美術は、具象と抽象を荒々しく組み合わせ、戯曲の世界を生き生きとビジュアル化しています。

 薄幸そのものを体現している高田聖子さんが、みるみる美しく見えてくる演技の魔法。
 丸山厚人さん(=元唐組の役者さんです)が出演されているからだけではなく、客席に向かって、てらいなく真剣に言葉を届ける役者さんたちの姿を見ていて、一瞬、唐組のお芝居の1シーンであるかのように感じました。福原さんのセリフは、唐十郎さんの書かれるセリフのように、血と涙がにじむ詩のようでした。こらえられず、ちょっと涙が流れちゃったりも。

 ここからネタバレします。セリフなどは正確ではありません。

 麻子(高田聖子)が海賊放送の主=おマントさん(丸山厚人)と初めて本当に出会う場面は、3人の男性が騎馬戦の騎馬になって高田さんをかついで運びます。いわゆる笑える演出のはずなのに、ドラマティックなラブシーンになっていました。このギャップがかっこいいです。

 自信のない麻子の性格を直すのではなく、周囲の人々を麻子のように自信を持てない状況に陥れようという、おマントさんの発想が面白いです。弱点に開き直って武器にする逆転の発想が、意外な方向へとドラマをぐんぐん推し進めていくのは、福原戯曲の魅力だと思います。

 おマントさんが最初の方にラジオ放送で語っていた、彼独特の考え方がこちら↓
 「童貞の時は夢の中で女性器はぼやけていたが、童貞じゃなくなるとリアルに見えるようになる。人間は現実を夢に反映することができるんだ。ただ、何年も経つと記憶が曖昧になり、夢がリアルで現実が夢になることもよくある。だから30年後の自分からすると、“今の自分は空を飛んでいた”という記憶が本物になることもあるんだ。」
 過去の記憶が間違った風に塗り替えられて、何度も繰り返し思い出すうちに、いつの間にか間違いが本当になってしまうことは、恥ずかしながら私自身も経験しています。人間の脳は常に正しいわけではありません。その事実から、「いま胸に抱いている途方もない夢や希望を本当にしてしまおう」という発想になるんですね。すごく面白いです。

月影番外地 その3
出演:高田聖子、丸山厚人、山本圭祐、碓井清喜、植田裕一、政岡泰志
脚本:福原充則 演出:木野花 美術:片平圭衣子 照明:宮野和夫 音響:山本能久 衣裳:伊藤早苗 演出助手:柏木俊彦 舞台監督:福澤論志、小野綾香 演出部:小宮山実郁、石塚貴恵 小道具製作:泰真祐子、下田昌克 制作:高比良理恵 北澤芙未子 プロデューサー:岩間多佳子 企画・制作:月影番外地 主催:ぴあ
【発売日】2012/06/09 前売・当日 指定席 ¥5,000(税込) 自由席ベンチシート ¥4,500(税込)
http://www.sunrisetokyo.com/schedule/details.php?id=1213

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2012年08月06日 22:51 | TrackBack (0)