新国立劇場演劇研修所4期生(修了生)の女優さん2人が劇団を旗揚げされました。劇団名がガプリヨツって…ロゴの絵も直球で「どすこい!」な(笑)。
『おやすみ、母さん』は1983年度ピューリッツァー賞受賞作で、先日、白石加代子さんと中嶋朋子さんの豪華キャストで上演されていました。残念ながら見逃したので、今回観られて幸運でした。演出は新国立劇場演劇研修所アソシエイト・ディレクターの田中麻衣子さん。上演時間は約1時間30分。
⇒CoRich舞台芸術!『おやすみ、母さん』
≪あらすじ≫
年老いた母(斉藤まりえ)と娘(日沼さくら)が2人で暮らすアパート。母はお菓子を食べながらテレビを見ている。いつもの平穏な夜のはずだった。
≪ここまで≫
女優2人のがっつり会話劇。お芝居自体も1時間30分間のお話です。戯曲をしっかり読み込んで演技を組み立てていかれたのであろう、真摯な態度が見て取れました。
母が動、娘が静というコントラストがはっきり。娘役も感情の振れ幅をもっと大きくした方が面白いんじゃないかと思いました。
ルデコの空間にソファやテーブルセット、台所と棚、そして沢山の食料品が並べられています。小道具が細かく揃えられているのに感心しました。
今月、新国立劇場演劇研修所の修了生による公演を観るのは2度目です(⇒1度目)。3月に観た3期生による作品はイギリスの学生演劇フェスティバルに招聘され、いくつか賞を受賞されました(⇒新国立劇場のニュース)。修了生はいい戯曲を選ばれているのが頼もしいですし、観に行くのが楽しみです。
ここからネタバレします。セリフなどは正確ではありません。
母は60歳、娘は40歳。娘はてんかんの患者で、いわゆる一般の社会人のように働くことはできません。夫が出て行き、息子が非行に走り、娘は母の家に引き取られました。考えに考えた結論が自殺。娘の「今日、自殺するわ」との告白から幕が開きます。
母は娘の自殺を止められるのか。娘は本当に自殺する気なのか。もしかすると娘は母を殺すのではないか。母を殺して自分も死ぬのではないか。最後の銃声がした後、自殺に失敗した娘がひょっこりドアを開けて出てくるのではないか…。観客は結末を知りませんから、そういったさまざまな想像ができるように、もっと激しく、小刻みに気持ちを変化させてもいいのではないかと思いました。
劇団ガプリヨツ旗揚げ公演 "Night mother"
出演:斉藤まりえ 日沼さくら
脚本:マーシャ・ノーマン 訳:酒井洋子 演出:田中麻衣子(Theatre MUIBO) 舞台監督:森下康之 音響:信澤祐介 照明:中島一 宣伝美術:杉崎壮一 制作:松永彰子
【発売日】2012/07/10 ¥2,800税込(全席指定、日時指定)
http://www.gapriyo2.com
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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