2012年のしのぶの観劇ベストテンを発表します。お先にwonderlandの「今年の3本」に参加させていただきました。
ベストテンは「CoRich舞台芸術アワード!2012」にも投票しました。日本劇団協議会の会報紙「join」の「私が選ぶベストワン2012」、「シアターアーツ2012年年間回顧」にも参加予定です。
※2012年の観劇本数は203本(内、ダブルキャストを両公演観たのが1公演)。
ベストテンは上位10本という意味ですが、絞るのがつらいので13本にしちゃいました。
■メルマガ号外■ ※初日の早い順。
・メルマガ号外 新国立劇場演劇『まほろば』(再演)
・メルマガ号外 (公財)可児市文化芸術振興財団『高き彼物』
・メルマガ号外 葛河思潮社『浮標(ぶい)』(再演)
■心に残る13本■ ※初日の早い順。 ※号外を発行した公演を除く。 ※10本に絞れず13本に。
・さいたまネクスト・シアター『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」』
・THE SHAMPOO HAT『一丁目ぞめき』
・ナイロン100℃『百年の秘密』
・ネイチャー・シアター・オブ・オクラホマ『ライフ・アンド・タイムズ─エピソード1』
・マームとジプシー『マームと誰かさん・ふたりめ 飴屋法水さん(演出家)とジプシー』
・松竹・Bunkamura『コクーン歌舞伎第十三弾「天日坊」』
・神奈川芸術劇場・KAAT『暗いところからやってくる』
・KYOTO EXPERIMENT 2012・KUNIO10『更地』
・さいたまゴールド・シアター『ザ・ファクトリー1「白鳥の歌」「楽屋」』
・新国立劇場演劇『るつぼ』
・日生劇場オペラ『フィガロの結婚』
・天使館『ハヤサスラヒメ(速佐須良姫)』
・東京芸術劇場『ポリグラフ 嘘発見器』
■日本劇団協議会機関誌「join」77号特集「私が選ぶベストワン2012」■ ※2014/02/02加筆
・舞台
葛河思潮社『浮標(ぶい)』
・女優(対象となる舞台)
中嶋朋子(新国立劇場演劇『リチャード三世』)
・男優(対象となる舞台)
飴屋法水(マームとジプシー『マームと誰かさん・ふたりめ 飴屋法水さん(演出家)とジプシー』)
・演出家(対象となる舞台)
吹越満(東京芸術劇場『ポリグラフ 嘘発見器』)
・スタッフ(分野・対象となる舞台)
上田大樹
(映像・ ナイロン100℃『百年の秘密』、Bunkamura/キューブ『祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~[KERAバージョン]』)
・団体(理由)
新国立劇場演劇部門
(『負傷者16人―SIXTEEN WOUNDED―』、『サロメ』、『温室』、『るつぼ』の新訳による上演。)
・戯曲(作家名)
『百年の秘密』(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)
・ノンジャンル※海外国内問わず、すべての舞台芸術から1作品
ネイチャー・シアター・オブ・オクラホマ『ライフ・アンド・タイムズ─エピソード1』
▼演劇関連のお仕事▼
・「アクチュール・ステージvol.3」(キネマ旬報社・2012年3月2日発行)記事掲載
・こりっち「CoRich舞台芸術まつり!2012」審査員
・高校演劇/東京都中央地区大会の審査員 ⇒都大会では都立新宿高校のみ拝見
・雑誌「演劇男子。vol.3」(ぴあムック)記事掲載(12月3日発売)
▼執筆▼
・Studio Life『OZ-オズ-』02/23-03/12シアターサンモール ⇒ゲネプロ舞台写真
・TACT/FESTプログラムディレクターの中立公平さん@カフェOval
・俳優指導者アソシエーション「『シリーズ 俳優指導者のすべて』第3回“俳優養成の現状と未来”」
・ぴあ『韓国ミュージカル「ウェルテルの恋」』 ⇒プレスツアー参加報告 ⇒チョン・ドンソクさんインタビュー ⇒キム・ダヒョンさんインタビュー
●稽古場レポート
・華のん企画『チェーホフ短編集「賭け」』04/18-22あうるすぽっと ⇒稽古場レポート ⇒レビュー
・ワタナベエンターテインメント・Dステ11th『クールの誕生』 ⇒稽古場レポート ⇒レビュー
●記者発表
・SPAC「ふじのくに⇔せかい演劇祭2012」6/2(土)~7/1(日)@静岡芸術劇場、舞台芸術公園など ⇒記者発表写真レポート
・Studio Life『PHANTOM 語られざりし物語-The Kiss of Christine-』10/06-24(10/6-7はプレビュー)シアターサンモール ⇒写真記事
・東京芸術劇場「リニューアル・オープン記者発表会・内覧会」写真レポート(2012/08/09)
・「フェスティバル/トーキョー」2012年10月27日(土)~11月25日(日)⇒記者会見&キックオフ・フォーラム写真レポート
●その他
・【提案】金曜日の夜の開演時刻を19時半に
・【お知らせ】しばらく自宅療養します。(2012年02月11日)
・【再演舞台を観て語らう夕べ】岸田國士賞受賞作『まほろば』4月6日(金)19時の回
・芸団協セミナー「劇場法をめぐるラウンドテーブル ~劇場法制定、これまでとこれから」07/09芸能花伝舎
・【再演舞台を観て語らう夕べ】葛河思潮社『浮標(ぶい)』9月22日(土)14時開演の回
・【意見】こどもの城(青山劇場・青山円形劇場を含む)の閉館に反対します
・「しのぶの演劇レビュー」TOPで演劇関連情報の告知をしています。2012年は約100件。
▼2012年を振り返って▼
2012年は年始から体調不良でお休みし、秋以降は仕事の都合で観劇本数が激減して、レビューも全くと言っていいほど書けなくなりました(まだその状況が続いています)。2010年に「レビューを書かなくなるかも」とつぶやいたら、望んだわけではないのにその通りになってしまいました。レビューが書けないことがこんなにストレスになるなんて…。やっぱり感想を書いて伝えることの楽しさがあるから、個人サイトを続けてこられたんですね。今、久しぶりにブログ用の文章を書いていて、穏やかで充実した心持ちです。ありがたいことです。
2011年の震災然り、変化は突然やってきて、今までの世界を根こそぎ更新してしまうんですね。天災でも事件でも何かが起こると、人間はそこに意味や物語を見い出したがります。私の場合、「演劇を観て感想を書いて情報発信して、無邪気に盛り上がる青春時代は終わった。もういい年齢なんだから他にやるべきことをせよ、という啓示なのだ」とか、「人生の節目なのだ」とか、自分を納得させるための理由を作り出し、割り切ることで前向きになろうとしています。
そんな中、Nextさんが運営する「制作者の為のNews-Headline」が、メルマガ100号達成の記事を掲載してくださいました(⇒無料メルマガのご登録はこちら)。ただ同じことを続けてきただけなのですが、記事にしていただけたことで自分自身のことを確かめて、認めることができました。自分に起きたことを喜べるなんて、アラフォーにもなると少なくなるものなんです。8年半やってて良かった、これからも続けようと、決意を新たにできました。
退院後に思いつきで開催した【再演舞台を観て語らう夕べ】(ご報告⇒1、2)は、ご好評いただき2度開催できました。そして2作ともメルマガ号外を発行するという幸運に恵まれました。舞台フリークの1人として、再演はぜひとも応援したいです。今年も実施するつもりです。
本数は減りましたが、2012年は203本の舞台作品を観ることができました。本格的な観劇生活を初めて10年余り経ち、自分の好み(観たいと思うお芝居)は、ほぼ固まってきたように思います。ストレート・プレイから舞台の世界に入って、実験的なものや先鋭的なもの、伝統芸能、ダンス、ミュージカルなどジャンルを問わず拝見してきて、ぐるりと一周回って再びストレート・プレイに還ってきた…という感じです。今は“質の高い戯曲の本格的な上演”がマイブームですね。戯曲、演出、俳優はもちろん、美術、衣裳、照明、音響などのスタッフワークもフルスケールで観たいです。
数年前からこのサイトでも何度か書いていますが、私は「技術のある俳優(が出演する舞台)を観たい」と強く思っています。演技が下手な俳優が出ているだけで集中できなくなるという、わがままな観客になってしまいました。高校演劇や市民劇など、アマチュアであることの魅力を知り、それを武器にしている作品は好きです。でも俳優を素材とみなして奇抜な演出でアレンジする…といったタイプには、今はあまりそそられないです。
また、戯曲で勝負する作品に出会いたいという思いも強いですね。岡田利規さんが第56回岸田國士戯曲賞(2012年)の選評で「ドラマの逆襲があってしかるべきだろう。(中略)いずれ圧倒的な作品が一つ出てきて、それがすべてを打破するだろう」と書かれています。私もそれを待っています。そのためにはプロの俳優が必要だとも思います。
文字や記号で書かれた戯曲を作り手が“今・ここ”に立体化し、生き生きと息づいて存在する劇世界を、観客と作り手がともに味わい、その場で起きる出来事(感動)を共有する。1人ひとりの俳優もまた、いくつもの層(レイアー)で出来た存在で、1つの宇宙でもある。そのように幾重にも重なるレイアーの形状をした時間、つまり小さな宇宙の集まりが、舞台芸術である。こんなイメージがよく浮かぶようになったのは、震災以降の落胆のなか、すがるように原点回帰したくなったからかもしれません。私も1人の人間として、1つの宇宙として、舞台の時間に能動的に参加する観客でいようと思います。
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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